JP3552447B2 - スチレン系共重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スチレン系共重合体の塊状重合法よる製造方法に関するものである。さらに詳しくは、スチレン系化合物および複数のビニル基を有する化合物を共重合させるにあたり、ゲル発生を抑制し、塊状重合法による製造を安定的に実施可能とするスチレン系共重合体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
スチレン系樹脂は剛性があり、寸法安定性に優れ、かつ廉価であることから、成形用途に広く使用されている。近年、射出成形、押出成形、発泡成形の各種用途においては高強度化の要求が益々強くなっている。かかる要求に応える試みとして、樹脂の分子量を高くし、強度を高める方法が提案されている。しかしながら、この方法には樹脂の流動性が低下し成形が困難となるもといった問題があった。また、樹脂の分子量を低下させずに流動性を高める方法として、樹脂にミネラルオイルなどの可塑剤を添加して用いる方法がある。しかしながら、この方法には、可塑剤により樹脂の耐熱性及び機械的強度が低下するという問題があった。
このように流動性を維持したまま、樹脂の耐熱性および機械的強度を高くする方法として、スチレン系化合物とジビニルべンゼンのような複数のビニル基を有する化合物と共重合する方法が、特開昭8−45590号公報、特開平2−170866号公報、特開平7−166013号公報に開示されている。しかしながらこの方法は、塊状重合法おいて、未反応の複数のビニル基を有する化合物が多量に残存し、重合槽あるいはプロセス配管内にゲル付着物が発生しやすい問題があった。特に、スチレン系化合物と複数のビニル基を有する化合物を共に反応系に連続的に添加する方法、いわゆる連続塊状重合法において、リサイクルソルベント中に未反応の複数のビニル基を有する化合物が多量に残存するため、長期間の放置によりプロセス配管内にゲル付着物が発生する恐れがあり、長期連続運転が困難となる問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
かかる状況において、本発明が解決しようとする課題は、スチレン系化合物および複数のビニル基を有する化合物を塊状重合法により共重合させるスチレン系共重合体の製造方法において、製造プラントにおけるゲル発生を抑制し、操業を安定的に実施することができる製造方法を提供する点に存する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、スチレン系化合物および複数のビニル基を有する化合物を塊状重合法により共重合させるスチレン系共重合体の製造方法において、重合反応をラジカル捕捉剤の存在下、熱重合法で行うことを特徴とするスチレン系共重合体の製造方法に関する。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられるスチレン系化合物としては、スチレン、α−メチルスチレンなどのα−置換アルキルスチレン、p−メチルスチレンなどの核置換アルキルスチレンなどが挙げられる。
また、本発明の製造方法においては、上記のスチレン系化合物と共に、スチレン系化合物と共重合可能な化合物、たとえばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチルなどのエステル誘導体、などのビニルモノマー、更には無水マレイン酸、マレイミド、核置換マレイミドなどを重合性化合物の総量に対して50重量%以下の範囲で併用してもよい。
【0006】
本発明で用いられる複数のビニル基を有する化合物として、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレートなどを挙げることができる。複数のビニル基を有する化合物は重合性化合物の総量に対して0.005〜0.5重量%の範囲で重合することが好ましい。
【0007】
本発明で用いるラジカル捕捉剤とは、ポリマーの成長ラジカルと容易に結合、解離でき、平衡状態をとり得るような化合物であり、種々の安定フリーラジカル剤を使用することができる。
【0008】
本発明で用いるラジカル捕捉剤としては、例えば2, 2, 6, 6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ(以下、TEMPOと略する。)、4−アミノ−TEMPO、4−ヒドロキシ−TEMPO、4−オキソ−TEMPOなどのTEMPO誘導体、4, 4−ジメチル−3−オキサゾリニルオキシやその誘導体、2,2, 5, 5−テトラメチル−1−ピロリジニルオキシやその誘導体、フェニル−t−ブチルニトロキシド、2, 2−ジ(4−t−オクチルフェニル)−1−ピクリルヒドラジル(DPPH)等の安定フリーラジカル等がある。
これらの中でも2, 2, 6, 6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ(TEMPO)が好ましい。
【0009】
本発明で用いるラジカル捕捉剤は、重合性化合物の総量に対し0.005〜0.5重量%の範囲で、スチレン系化合物と予め混合して用いてもよいし、該範囲となるように重合槽に添加することもできる。
【0010】
本発明において重合方法としてはバッチ式塊状重合法または連続塊状法を用いることができる。重合槽としては、完全混合型撹拌重合槽、プラグフロータイプの満液型(縦型又は横型)重合槽あるいは重合塔、静的混合管型重合槽又はこれらの重合槽を組み合わせて用いることができる。
【0011】
本発明において、重合法は熱重合法である。
本発明の製造方法によって得られるスチレン系共重合体は、射出成形、押出成形、発泡成形等による各種成形品の製造に用いられる。
【0012】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例で用いた測定方法は、次のとおりである。
(1)重合転化率
重合で得られた重合溶液試料0. 5gを精秤し、メチルエチルケトンに溶解させた溶液を、過剰のメタノール溶液中に滴下して、沈殿させて、ろ過して得られたものを70℃で2時間真空乾燥させ乾燥後重量を0.5gで割った値を百分率で表したものを重合転化率とした。
(2)ゲルの有無、重量平均分子量(Mw)
(1)で乾燥したポリマーサンプルの濃度が約0. 5mg/mlになるように、テトラヒドロフラン溶剤に溶解させ、ゲルの有無を目視観察した。ゲル発生した場合は、溶液が白濁する。溶解液をろ過後、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した。ここでこのGPCは検出器として示差屈折率計を備えたものであり、重量平均分子量(Mw)は、単分散ポリスチレンを用いて求めた検量線によって算出した。
【0013】
実施例1、2
スチレンと、複数のビニル基を有する化合物としてジビニルベンゼン(m−、p−混合体)、ラジカル捕捉剤として2, 2, 6, 6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ(TEMPO)を用いて表1に示すような組成に調合した溶液を表1に示す重合温度、重合時間でバッチ式塊状重合を行った。測定結果を表1に示す。
【0014】
比較例1
ラジカル捕捉剤を用いないこと以外実施例1と同様にして重合を行った。測定結果を表2に示す。
【0015】
比較例2
スチレンと複数のビニル基を有する化合物としてジビニルベンゼン(m−、p−混合体)、連鎖移動剤であるn−ドデシルメルカプタン(n−DM)を用いて表2に示すような組成に調合した溶液を表2に示す重合温度、重合時間で重合を行った。測定結果を表2に示す。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】
【発明の効果】
本発明によれば、スチレン系化合物および複数のビニル基を有する化合物を塊状重合法により共重合させるスチレン系共重合体の製造方法において、製造プラントにおけるゲル発生を抑制し、操業を安定的に実施することができる。
Claims (3)
- スチレン系化合物および複数のビニル基を有する化合物を塊状重合法により共重合させるスチレン系共重合体の製造方法において、重合反応をラジカル捕捉剤の存在下、熱重合法で行うことを特徴とするスチレン系共重合体の製造方法。
- スチレン系化合物がスチレン、α−置換スチレンまたは核置換スチレンから選ばれた化合物であることを特徴とする請求項1記載のスチレン系共重合体の製造方法。
- 2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ(以下、TEMPOと略する。)、4−アミノ−TEMPO、4−ヒドロキシ−TEMPO、4−オキソ−TEMPO、4,4−ジメチル−3−オキサゾリニルオキシやその誘導体、2,2,5,5−テトラメチル−1−ピロリジニルオキシ、フェニル−t−ブチルニトロキシド、2,2−ジ(4−t−オクチルフェニル)−1−ピクリルヒドラジルから選ばれたラジカル捕捉剤を用いることを特徴とする請求項1記載のスチレン系共重合体の製造方法。
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1997
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