JP2002037823A - 多分岐型マルチスチレンマクロモノマーとオレフィン類との共重合体及びその製造法 - Google Patents

多分岐型マルチスチレンマクロモノマーとオレフィン類との共重合体及びその製造法

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JP2002037823A
JP2002037823A JP2000223722A JP2000223722A JP2002037823A JP 2002037823 A JP2002037823 A JP 2002037823A JP 2000223722 A JP2000223722 A JP 2000223722A JP 2000223722 A JP2000223722 A JP 2000223722A JP 2002037823 A JP2002037823 A JP 2002037823A
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styrene
copolymer
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polymer
olefin
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Jinka Kin
仁華 金
Katsu Hiyo
克 馮
Shiyoushin Boku
鐘震 朴
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Kawamura Institute of Chemical Research
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明が解決しようとする課題は、高い分子
量を有しながら、溶剤に可溶なスチレン系マクロモノマ
ーとオレフィン系化合物との新規な共重合体、及びその
製造法を提供することにある。 【解決手段】 一般式(I) 【化1】 [式中、Xはハロゲン原子、p-CH3PhSO3基又は水酸基で
あり、Zは−(OCH2CH2)n、−O(CH2)n、又は−OCH2Phであ
り(nは1〜12の整数で、その末端酸素原子がベンゼ
ン環のo−、m−及びp−位に結合されている)]で表
わされる多分岐型マルチスチレンマクロモノマーとオレ
フィン化合物とをラジカル共重合させる、スチレン残基
の二重結合部分にオレフィン化合物が結合された多分岐
型マルチスチレンマクロモノマーとオレフィン類との新
規な共重合体、及びその製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は多分岐性マルチスチ
レンマクロモノマーとオレフィン化合物(オレフィン系
モノマー)との共重合反応による線状ポリマー構造と多
分岐状構造ポリマーがハイブリッドされた共重合体、及
びその製造方法に関する。即ち、本発明の共重合体の線
状部分はオレフィン類モノマーから構成される繰り返し
単位を有するポリマーであり、分岐状部分はランダム的
な分岐構造から構成された重縮合系ポリマーからなる。
本発明での線状−分岐状ハイブリッド型共重合体は新規
な高分子樹脂、高分子材料の創製に有用である。
【0002】
【従来の技術】マクロモノマーとオレフィン類モノマー
との共重合は様々な高分子構築に有用であり、それの製
造技術に関する開発研究も盛んに展開されているが、従
来のマクロモノマーは、その殆どが直鎖型高分子の末端
に一個のモノマー構造が導入されているものであり、そ
れを用いる重合反応では、通常の構造が異なるオレフィ
ンモノマー同士の共重合反応が与える線状ポリマー構造
と変わりはなく、基本的に線状に成長した共重合体が形
成される。従って、従来の技術ではマクロモノマーが関
わる線状のブロック共重合体、グラフト共重合体、コア
−コロナ型高分子微粒子が製造できるが、多岐に広がる
分岐構造を有する共重合体例は稀である。
【0003】ポリスチレンの末端にスチレン残基が結合
したマクロモノマーを用いるオレフィン類モノマーとの
共重合反応から、ポリスチレン主鎖にポリスチレン側鎖
がぶら下がった構造の共重合体、又は主鎖はポリスチレ
ン−ポリメタクリレートの共重合骨格で、側鎖にポリス
チレンがぶら下がった構造の共重合体の製造方法がポリ
マー(Polymer)」35巻、2205頁、1994年}、
{「マクロモレキュルス(Macromolecules)」22巻、1
546頁、1989年}に示されている。
【0004】またポリスチレン末端にアクリレート残基
が導入されたマクロモノマーとオレフィン類との共重合
体の製造方法が、マクロモレキュルス(Macromolecule
s)、22巻、2869頁、1989年に記載されてい
る。またポリエチレンオキシドの末端にスチレン残基が
導入されたマクロモノマーとスチレンとの共重合反応に
よる、主鎖はスチレン、側鎖構造にポリエチレンオキシ
ドがぶら下がった構造の共重合体の製造方法が、マクロ
モレキュルス(Macromolecules)、30巻、2811頁、
1997年に示されている。
【0005】一方、非直鎖型の分岐性マクロモノマーを
用いる共重合体が最近注目を浴びるようになっている。
例えば、分岐性高分子のファカルポイントに一個のモノ
マー残基を有するマクロモノマーを単独重合、又は他の
オレフィン類モノマーと共重合させることで、側鎖に分
岐ポリマー構造が結合したポリマーを製造する方法がジ
ヤ-ナル、オブ、ポリマー、サイエンス、パートA:ポリ
マー、ケミストリー(J. Polym. Sci. Part A: Polym.
Chem.) 、36巻、955頁、1998年に開示されて
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、高い分子量を有しながら、溶剤に可溶なス
チレン系マクロモノマーとオレフィン系化合物との新規
な共重合体、及びその製造法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、鋭意研究した結果、多分岐型マルチスチレンマク
ロモノマーをオレフィ系モノマーと共重合させることに
より、高い分子量を有しながら、溶剤に可溶な新たな共
重合体が製造できることを見出し、本発明を完成するに
到った。即ち、本発明は、(1)一般式(I)
【化5】 [式中、Xはハロゲン原子、p-CH3PhSO3基又は水酸基で
あり、Zは−(OCH2CH2)n、−O(CH2)n、又は−OCH2Phであ
り(nは1〜12の整数で、その末端酸素原子がベンゼ
ン環のo−、m−及びp−位に結合されている)]で表
わされる多分岐型マルチスチレンマクロモノマーとオレ
フィン化合物とをラジカル共重合させる、スチレン残基
の二重結合部分にオレフィン化合物が結合された多分岐
型マルチスチレンマクロモノマーとオレフィン類との共
重合体の製造法と、
【0008】(2)オレフィン化合物が、スチレン類、
メタクリレート類、アクリレート類、アクリルアミド
類、ビニルピリジン類から選ばれる1種以上の重合性モ
ノマーである(1)に記載の多分岐型マルチスチレンマ
クロモノマーとオレフィン化合物との共重合体の製造法
と、
【0009】(3)上記の(1)又は(2)に記載の製
造法により製造される多分岐型マルチスチレンマクロモ
ノマーとオレフィン類との共重合体と、
【0010】(4)上記の(1)又は(2)に記載の製
造法により製造される、Zが−(OCH2CH 2)nである、一般
式(II)
【化6】 (ここでnは1〜10の整数)で表される多分岐型マル
チスチレンマクロモノマーとオレフィン化合物との共重
合体と、
【0011】(5)上記の(1)又は(2)に記載の製
造法により製造される、Zが−O(CH2)nである、一般式
(III)
【化7】 (ここでnは2〜12の整数)で表される多分岐型マル
チスチレンマクロモノマーとオレフィン化合物との共重
合体と、
【0012】(6)上記の(1)又は(2)に記載の製
造法により製造される、Zが−OCH2Phである、一般式(I
V)
【化8】 (ここでnは1〜6の整数)で表される多分岐型マルチ
スチレンマクロモノマーとオレフィン化合物との共重合
体とを含むものである。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明で用いる多分岐型マルチス
チレンマクロモノマーは従来の一つのオレフィン残基し
か有しないマクロモノマーとは異なり、多数のモノマー
残基を分岐構造中にランダムに結合するので、それが関
わる重合では、多分岐型マルチスチレンマクロモノマー
そのものが通常の低分子マルチ官能基型架橋剤的な機能
を備えることになる。
【0014】低分子架橋剤モノマーは、通常三次元的に
ゲル化した不溶性ポリマーを与えることは良く知られて
いる。しかし、本発明で用いる多数のスチレン残基を分
岐構造のポリマーに結合した多分岐型マルチスチレンマ
クロモノマーは、その立体的な構造要素から、他のオレ
フィン類との共重合反応で、その重合の制御によりゲル
化なしの二次元的な架橋に止めることができる。その二
次元的な架橋構造は、マルチスチレンマクロモノマーを
島領域にしたネット構造の形成、「島−吊り橋」型の構
造である。これを模式的に示したのが化9である。
【0015】
【化9】
【0016】(式中、Aは一般式(I)を表し、Qはオ
レフィン化合物の二重結合と共役二重結合を有する置換
基である)
【0017】本発明で得られる多分岐型マルチスチレン
マクロモノマーとオレフィン類との共重合体(以下、分
岐状−線状ハイブリッド重合体、又は単にハイブリッド
共重合体と言うことがある)とは、一つの多分岐構造ポ
リマーに多くの線状のポリマーが結合された星型ポリマ
ーの構造を有する。更に、本発明のハイブリッド共重合
体は、いくつかの多分岐性ポリマーが多くの線状ポリマ
ーによりつながった二次元的なネット型の構造を有す
る。
【0018】また、本発明での共重合反応では、上記の
星型ポリマー又はネット型ポリマーと単純な線状ポリマ
ーが混合されたブレンド型ポリマーを与えることもでき
る。更に、本発明での共重合反応では、マルチスチレン
型分岐マクロモノマーの架橋に起因する三次元的なネッ
ト型ポリマーを与えることもできる。
【0019】本発明での線状−分岐状ハイブリッド共重
合体は、一般に、以下の方法により製造できる。一般式
(I)で表される多分岐型マルチスチレンマクロモノマー
が入った容器にオレフィン化合物(オレフィン系モノマ
ー)及び溶媒を加え、十分に撹拌してこれらを完全に溶
解させる。この混合溶液に重合開始剤を加え、反応溶液
を一定温度まで加熱し、一定時間撹拌しながら反応させ
る。反応終了後、反応混合液に貧溶媒を加えて共重合体
を沈殿させた後、ろ別し、必要に応じて共重合体を溶剤
で洗浄、乾燥させることにより、分岐マクロモノマーが
導入された線状−分岐状ハイブリッド共重合体を得るこ
とができる。
【0020】本発明の一般式(I)で表わされる多分岐型
マルチスチレンマクロモノマーは、特開2000−12
8848号公報に開示された製造方法に従って、製造す
ることができる。
【0021】用いる多分岐型マルチスチレンマクロモノ
マーとしては、一般式(I)で表わされる多分岐型マルチ
スチレンマクロモノマーの中でも、zが(CH2CH2O)n−
であり、(CH2CH2O)n−の酸素原子はベンゼン環のo−
又はm−又はp−位に結合しているものが好ましく、そ
の酸素原子がp−位に結合しているものが特に好まし
い。更に(CH2CH2O)n−のnは1から10のものが好ま
しく、その数値が2又は3のものが特に好ましい。
【0022】用いる多分岐型マルチスチレンマクロモノ
マーとして、一般式(III)で表わされる多分岐型マルチ
スチレンマクロモノマーの中でも、zが−O(CH2)nであ
り、その酸素原子はベンゼン環のo−又はm−又はp−
位に結合しているものが好ましく、その酸素原子がp−
位に結合しているものが特に好ましい。更に、−O(CH 2)
nのnは2から12のものが好ましく、その数値が4から
8のものが特に好ましい。
【0023】用いる多分岐型マルチスチレンマクロモノ
マーとして、一般式(IV)で表わされる多分岐型マルチス
チレンマクロモノマーの中でも、−OCH2Phの酸素原子は
ベンゼン環のo−又はm−又はp−位に結合しているも
のが好ましく、その酸素原子がp−位に結合しているも
のが特に好ましい。
【0024】上記の共重合体の製造反応に用いるオレフ
ィン化合物としては、スチレン系化合物、例えば、スチ
レン、2−クロロメチルスチレン、3−クロロメチルス
チレン、4−クロロメチルスチレン、p−メトキシスチ
レン、p−ビニル安息香酸、p−ビニルフェニルスルホ
ン酸などがあり、
【0025】次にビニルピリジン類化合物としては、例
えば、p−ビニルピリジン、o−ビニルピリジン類が挙
げられ、メタクリレート系化合物としては、例えば、メ
チルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメ
タクリレート、t−ブチルメタクリレート、ヘキシルメ
タクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジ
ルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレー
ト、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、
【0026】アクリレート系化合物としては、例えば、
メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアク
リレート、t−ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレ
ート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレ
ート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ジメチ
ルアミノエチルアクリレート等が挙げられる。
【0027】また本発明の共重合体の製造反応に用いる
オレフィン化合物であるアクリルアミド化合物として
は、例えば、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリ
ルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソ
プロピルアクリルアミド等が挙げられる。
【0028】本発明の共重合反応においては、溶媒なし
でのバルク重合、又は溶媒存在下での溶液重合、又はア
ルコール類溶剤の存在下でのエマルジョン重合などの異
なる重合方法が適用できる。
【0029】本発明の共重合反応に用いることができる
溶剤としては、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、
ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼ
ン、アニソール、シアノベンゼン、ジメチルフォルムア
ミド、N,N−ジメチルアセトアミド、メチルエチルケ
トン等が挙げられる。更に、エマルジョン重合に用いら
れるアルコール類溶剤としては、プロパノール、ブタノ
ール、ペンタノール、ヘキサノール等の脂肪族アルコー
ルが挙げられる。
【0030】本発明の共重合反応の温度は、用いるオレ
フィン化合物、溶剤等によっても異なるが、一般に室温
から130℃までの範囲に設定することができ、40〜
100℃の反応温度が好ましく、60〜100℃の範囲
がより好ましい。
【0031】反応時間は、1〜24時間範囲で十分であ
るが、開始剤の種類、オレフィンモノマーの種類及び反
応温度によりその反応時間を設定することが望ましい。
更に、反応時間の設定は、得られる共重合体の分子量制
御に合わせて、設定することが望ましい。
【0032】本発明の共重合反応には、重合開始剤を用
いることが好ましい。これらの重合開始剤は、基本的に
ラジカル重合開始剤に限定されるが、公知慣用のラジカ
ル重合開始剤とその他のリビングラジカル重合開始剤の
両方を用いることができる。
【0033】通常のラジカル重合開始剤としては、2,2-
アゾビスイソブチルニトリル、2,2-アゾビス(シクロヘ
キサン−1−カルボニトリル)、2,2-アゾビス(2−メ
チルブチロニトリル)2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレ
ロニトリル)、2,2-アゾビス[2-(ヒドロキシメチル)
プロピオニトリル]、ペルオキソ二硫酸カリウム、ペル
オキソ二硫酸アンモニウム、ジベンゾイルペルオキシド
などが挙げられる。
【0034】またスルホン酸クロリド類化合物として、
ベンゼンスルホン酸クロリド、p−メチルベンゼンスル
ホン酸クロリド、p−メトキシベンゼンスルホン酸クロ
リド、p-フルオロベンゼンスルホン酸クロリドなどが挙
げられる。
【0035】リビングラジカル重合開始剤としては、例
えば、原子移動ラジカル重合系である有機ハロゲン又は
スルホン酸クロリド類を開始剤分子、そして遷移金属ハ
ロゲン塩類・ビピリジン錯体を触媒とするリビングラジ
カル重合開始剤である。有機ハロゲン化合物として、ク
ロロメチルベンゼン、ブロモメチルベンゼン、1−クロ
ロエチルベンゼン、1−ブロモエチルベンゼン、1−ヨ
ードエチルベンゼン、1−ブロモプロピオン酸エチルエ
ステルなどが挙げられる。
【0036】遷移金属ハロゲン塩類としては、塩化第一
銅、臭化第一銅、沃化第一銅、塩化鉄、塩化ニッケルな
どが挙げられる。ビピリジン類として、2,2'−ビピリジ
ン、4,4'−ジメチル−2,2'−ビピリジンなどが挙げられ
る。
【0037】また、マクロイニシエーターとして、末端
にハロゲン原子、例えば臭素を結合させた線状ポリスチ
レンや末端に臭素を結合したポリメタクリレートなどが
挙げられる。マクロイニシエーターを用いる重合系で
は、例えば、マクロイニシエーターとマクロモノマー中
のスチレン残基を反応させ、生長末端となる活性点がマ
クロモノマーの骨格に結合し、それにオレフィンモノマ
ーを加え、重合を続けることで、マクロモノマーを中心
とし、マクロイニシエーターの鎖と重合されたオレフィ
ンの鎖をアームとした星型ポリマーが得られる。
【0038】更にリビングラジカル重合開始剤として
は、例えば、可逆付加−フラグメンテーション連鎖転移
重合系である通常のラジカル重合開始剤分子にジチオエ
ステル類連鎖移動剤を組み合わせたリビング重合開始剤
である。連鎖移動剤として、ベンジルベンゼンジチオエ
ステル、ジメチルフェニルメチルベンゼンジチオエステ
ル、ベンジル酢酸ジチオエステルの如くジチオエステル
類化合物が挙げられる。
【0039】共重合反応に用いるマルチスチレンマクロ
モノマーとオレフィン類モノマーとの仕込み割合は、マ
ルチスチレンマクロモノマー中のスチレン残基とオレフ
ィンモノマーとのモル比をもって算出するが、そのモル
比が0.1/100〜20/100の範囲であることが好
ましく、その比が0.1/100〜10/100の範囲が
更に好ましく、0.3/100〜5/100の範囲が特に
好ましい。
【0040】上記の範囲でのマルチスチレンマクロモノ
マー中のスチレン残基とオレフィンモノマーとのモル比
での共重合反応では、ゲル化反応は起こらず、溶解性に
優れた「島−吊り橋」型分岐状−線状ハイブリッド共重
合体が得られる。換言すれば、マルチスチレンマクロモ
ノマーのモル比が20/100を越えると、ゲル化が発
生しやすく、また0.1/100未満であると、共重合
の十分な効果が得られにくい。
【0041】本発明の分岐状マルチスチレンマクロモノ
マーを用いるオレフィン類とのラジカル共重合反応から
得られる共重合体は、「島−吊り橋」型の分岐状−線状
ハイブリッド構造により構成されていると推定される。
本発明の共重合体は、極めて高い分子量、具体的には、
平均重量分子量が10万〜100万、好ましくは、20
万〜70万、更に好ましくは30万〜50万を有しなが
ら、且つ有機溶剤に可溶である特性を有する。
【0042】これらの有機溶剤は、例えば、テトラヒド
ロフラン、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、クロ
ロベンゼン、ジクロロベンゼン、アニソール、シアノベ
ンゼン、ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルア
セトアミド、メチルエチルケトン等である。この特性の
ために、本発明の共重合体は、優れた加工性を有すると
共に、高度な強度、更には強い靭帯性を有する、新規な
多機能的な高分子材料として有用である。
【0043】
【実施例】(GPC測定法)高速液体クロマトグラフィ
ー(東ソー株式会社製HLC−8020)、RI検出
器、TSKgel 2000xl+3000Hxl+5000Hxl+guardcolum
nHxl-H、溶媒THF流速:1.0ml/min、温調:40℃にて
測定した。
【0044】(参考例1) [スチレン残基を有するベ
ンジルオキフェニルアセトニトリル骨格系のマクロモノ
マー(略号:St-BPA-MM-1)の合成] 磁気攪拌子備えた1000mlの茄子型フラスコに、4
−(4−クロロメチルベンジルオキ)フェニルアセトニ
トリル2.46g、4−クロロメチルスチレン0.67
g、ジメチルスルフォキシド200mlを加えた。この
混合溶液をスターラで攪拌しながら、50%の水酸化ナ
トリルム水溶液20mlを一遍に加え、その混合液を3
0℃で1時間攪拌した。その後、蒸留水400mlを加
え、反応をクェンチした。
【0045】この水溶液に攪拌しながら10%の塩酸水
溶液を滴下し、溶液を中和させ、その中和状態で1時間
ほど放置した後、沈殿された重合体を吸引ろ過し、蒸留
水、メタノルの順で3回繰り返し洗浄した。得られた重
合体を室温で乾燥した後、テトラヒドロフラン25ml
に溶解し、その溶液をメタノール250ml中に注ぎ、
重合体を沈殿させた。重合体を吸引ろ過後、デシケータ
に入れ、真空ポンプにて減圧し、真空下24時間乾燥さ
せて、分岐型マルチスチレンマクロモノマー(以下、St
-BPA-MM-1と省略する。)2.56gを得た。(収率9
6.2%)
【0046】参考例1で得た重合体(St-BPA-MM-1)のG
PC(ゲル浸透クロマトグラフィー)を用いて測定した
数平均分子量は4400、分子量分布は1.48であっ
た。また、1H-NMRの測定結果から、重合体ファカールポ
イントのメチレンプロトン(4.4〜4.6ppm)と
重合体骨格中のメチレンオキシドのプロトン(4.8〜
5.3ppm)の積分比を計算したところ、重合体中の
フェニルアセトニトリルの繰り返し数、即ち、数平均重
合度は15であった。更に、1H-NMRの測定結果から、重
合体中のフェニルアセトニトリルとスチレンとのモル組
成比は72:28であった。このモル組成比はモル仕込
比の67対33の数値に接近している。
【0047】(参考例2) [スチレン残基を有するベ
ンジルオキフェニルアセトニトリル骨格系のマクロモノ
マー(略号:St-BPA-MM-2)の合成] 参考例1において、4−クロロメチルスチレン1.34
gを用いた以外は、実施例1と同様にして、分岐型マル
チスチレンマクロモノマー(以下、St-BPA-MM-2と省略
する。)2.92gを得た。(収率91.8%)
【0048】重合体(St-BPA-MM-2)のGPCでの数平均
分子量は5300で、分子量分布は1.26であった。
また、1H-NMRの測定結果から、重合体ファカールポイン
トのメチレンプロトン(4.4〜4.6ppm)と重合
体中のメチレンオキシドのプロトン(4.8〜5.3p
pm)の積分比を計算したところ、重合体骨格を形成す
るフェニルアセトニトリルの繰り返し数、即ち、数平均
重合度は12であった。更に、1H-NMRの測定結果から、
重合体中のフェニルアセトニトリルとスチレンとのモル
組成比は60:40であった。このモル組成比はモル仕
込比の50対50の数値に接近している。
【0049】参考例1及び参考例2から、マクロモノマ
ーのスチレン残基の含有量は重合反応でのフェニルアセ
トニトリルとクロロメチレンスチレンの仕込割合を変え
ることで容易に制御できることが判る。
【0050】(参考例3) [スチレン残基を有するア
ルコキシフェニルアセトニトリル骨格系のマクロモノマ
ー(略号: I2-MS)の合成] 4−(2−(2−ブロモエトキシ)−エトキシ)フェニ
ルアセトニトリル (30重量部)をDMSO(1000
重量部)に溶解し、溶液の温度を30℃に設定し、激し
く撹拌しながら、60%の水酸化ナトリウム水溶液(8
0重量部)を加えた。その混合物を1.6時間撹拌した
後、60重量部の4−クロロメチルスチレンを加え、同
一温度にて4時間撹拌を続けた。その後、反応液を大量
の蒸留水に加え、その混合液に10%塩酸水溶液を滴下
した(pH=4)。
【0051】静置後の沈殿物を濾過し、固体を蒸留水で
洗浄した。得られた固体を室温乾燥後、塩化メチレンに
溶解し、その溶液を石油エーテルに注ぎ、ポリマーを再
沈殿させた。吸引濾過、真空乾燥を経て、スチレン残基
が導入されたマクロモノマーI2-MSを得た。収率(85
%)。GPCでの重量平均分子量は5180、分子量分
布は2.17であり、スチレンの導入量は3.5mmo
l/gであった。
【0052】以下、主に一般式(I)で表せるnが2であ
り、酸素原子がベンゼン環のp-位の結合であり、重量平
均分子量は5180、分子量分布は2.17であり、ス
チレン残基は3.5mmol/gである)マルチスチレ
ンマクロモノマー(略語: I2-MSと記す)を用いた例を
用いて本発明を更に詳細に説明する。
【0053】(実施例1) [I2-MS とスチレンとの共
重合による多分岐型マルチスチレンマクロモノマーとオ
レフィン類との共重合体(略号:P-I2-MS-St-1)の合成] 磁気攪拌子を備えた茄子型フラスコを窒素置換し、それ
に0.3重量部のI2-MS、1.09重量部のアゾビスイ
ソブチルニトリル、109重量部のスチレン 、12重
量部のトルエンを加え、混合溶液を調製した。この混合
溶液をスターラで攪拌しながら、100℃のオイルバス
にて加熱し、15時間反応させた。
【0054】重合反応液を1H NMRにて測定したところ、
スチレンモノマーの転化率は97%であった。このポリ
マーを大量のヘキサン中で沈殿させ、重合体固形物を吸
引濾過により洗浄した。重合体を室温で乾燥した後、真
空下、60℃、24時間乾燥させ、89%の収率で重合
体P-I2-MS-St-1を得た。共重合体(P-I2-MS-St-1)のG
PCでの重量平均分子量は446000で、分子量分布
は14であった。
【0055】(比較例1)対照実験として、実施例1と
同様な仕込みと同様な条件下、マクロモノマーなしでス
チレンだけの単独重合で得られたポリスチレンの重量平
均分子量は90000で、分子量分布は3.5であっ
た。
【0056】(実施例2) [I2-MSとスチレンとの共重
合による多分岐型マルチスチレンマクロモノマーとオレ
フィン類との共重合体(略号:P-I2-MS-St-2)の合成] 磁気攪拌子を備えた茄子型フラスコを窒素置換し、2.
0重量部のI2-MS、0.55重量部のアゾビスイソブチ
ルニトリル、 54.6重量部のスチレン、54.6重
量部のトルエンを加え、混合溶液を調製した。この混合
溶液をスターラで攪拌しながら、100℃のオイルバス
にて加熱し1時間反応させた。
【0057】重合反応液を1H NMRにて測定したところ、
スチレンモノマーの転化率は47%であった。このポリ
マーを大量のヘキサン中で沈殿させ、共重合体固形物を
吸引濾過により洗浄した。共重合体を室温で乾燥した
後、真空下、60℃、24時間乾燥させ、40%の収率
で共重合体P-I2-MS-St-2を得た。共重合体(P-I2-MS-S
t-2)のGPCでの重量平均分子量は258000で、
分子量分布は9.9であった。
【0058】(比較例2)対照実験として、実施例2と
同様な仕込みと同様な条件下、マクロモノマーなしでス
チレンだけの単独重合の場合、モノマーの転化率は50
%で、得られたポリスチレンの重量平均分子量は477
00で、分子量分布は2.9であった。
【0059】実施例1及び実施例2の結果から、スチレ
ンとマルチスチレンマクロモノマーの共重合で得られる
共重合体は、同様な条件でのマクロモノマーなしのスチ
レンの単独重合体より、重量平均分子量は五倍以上も伸
びたことがわかる。即ち、わずかな分岐状マルチスチレ
ンマクロモノマーの添加により、重量平均分子量が数十
万以上の共重合体を容易に製造することができる。
【0060】(実施例3) [I2-MSとスチレンとの原子
移動ラジカル共重合による共重合体(略号:P-I2-MS-St
-4)の合成] 磁気攪拌子を備えた茄子型フラスコに、6.0重量部の
I2-MS、3.6重量部の1−ブロモエチルベンゼン、
2.7重量部の臭化銅、9.0重量部の2,2−ビピリ
ジン、66重量部のスチレン、110重量部のトルエン
を加え、混合溶液を調製した。この溶液をアルゴンガス
で30分バブリングした後、100℃のオイルバスにて
加熱しながら、24時間攪拌した。
【0061】反応終了時点でのスチレンの転化率は10
0%であった。反応液に少量のTHFを加えてから、そ
の溶液を大量のメタノール中に注ぎ、重合体を沈殿させ
た。重合体固形物を吸引濾過により洗浄後、室温で乾燥
し、更に真空下、60℃、24時間乾燥させ、100%
収率で重合体P-I2-MS-St-3を得た。共重合体(P-I2-MS
-St-3)のGPCでの重量平均分子量は171000
で、分子量分布は5.7であった。
【0062】(比較例3)対照実験として、実施例3と
同様な仕込みと同様な条件下、マクロモノマーなしでス
チレンだけの単独重合の場合、モノマーの転化率は10
0%で、得られたポリスチレンの重量平均分子量は62
00、分子量分布は1.2であった。
【0063】比較例3では、開始剤とスチレンモノマー
とのモル比(1対33)の通り、そのリビングラジカル
重合の特徴から、重合体の分子量はほぼ5000前後に
止まり、それ以上には伸びなかった。実施例3では同様
なモル比(1対33)にも関わらず、僅かなマルチスチ
レンマクロモノマーの存在により、得られたハイブリッ
ドポリマーの重量平均分子量は17万以上に上った。実
施例3で得られた重合体には、「島」と「島」が吊り橋
で結ばれたような構造が推定できる。即ち、分岐状−線
状ハイブリッドポリマーの形成である。
【0064】(実施例5) [I2-MSとスチレンの末端臭
素結合の線状ポリスチレン開始剤による分岐状−線状ハ
イブリッド重合体(略号:P-I2-MS-St-4)の合成]
【0065】[末端臭素結合の線状ポリスチレン(略
語:PS-Br)の合成]磁気攪拌子を備えた茄子型フラス
コに、1.14重量部の1−ブロモエチルベンゼン、
0.86重量部の臭化銅、2.81重量部の2,2−ビ
ピリジン、21.8重量部のスチレンを加え混合溶液を
調製した。この溶液をアルゴンガスで30分バブリング
した後、100℃のオイルバスにて加熱しながら、15
時間攪拌した。反応終了時点でのスチレンの転化率は9
0%であった。
【0066】反応液に少量のTHFを加えてから、その
溶液を大量のメタノール中に注ぎ重合体を沈殿させた。
重合体固形物を吸引濾過により洗浄後、室温で乾燥し、
更に真空下、60℃、24時間乾燥させ、80%収率で
末端ブロマイド結合線状ポリスチレン(略語:PS-Br)
を得た。PS-BrのGPCでの重量平均分子量は8300
で、分子量分布は1.4であった。
【0067】[PS-Brを開始剤とするマルチスチレンマ
クロモノマー及びスチレンの2段階重合]磁気攪拌子を
備えた茄子型フラスコに、1.0重量部のI2-MS、10重
量部のPS-Br、0.45重量部の臭化銅、1.5重量部
の2,2−ビピリジン、110重量部のトルエンを加
え、混合溶液を調製した。この溶液をアルゴンガスで3
0分バブリングした後、100℃のオイルバスにて加熱
しながら、15時間攪拌した。この時点でのGPCでの
重合体の重量平均分子量は14400で、分子量分布は
1.6であった。この重合反応液に、更にスチレン6.
55重量部を加え、100℃で24時間撹拌した。
【0068】反応液に少量のTHFを加えてから、その
溶液を大量のメタノール中に注ぎ、重合体を沈殿させ
た。重合体固形物を吸引濾過により洗浄後、室温で乾燥
し、更に真空下、60℃、24時間乾燥させ、80%収
率で重合体P-I2-MS-St-4を得た。重合体(P-I2-MS-St-
4)のGPCでの重量平均分子量は105000で、分
子量分布は3.6であった。
【0069】(実施例6) [I2-MSとスチレンとのリビ
ングラジカル共重合系における分岐状−線状ハイブリッ
ド重合体の形成と時間との関係]
【0070】磁気攪拌子を備えた茄子型フラスコに、
3.0重量部のI2-MS、1.8重量部の1−ブロモエチ
ルベンゼン、1.38重量部の臭化銅、4.5重量部の
2,2−ビピリジン、33重量部のスチレン、55重量
部のトルエンを加え、混合溶液を調製した。この溶液を
アルゴンガスで30分バブリングした後、100℃に加
熱したオイルバスにて撹拌しながら、一定時間ごとにシ
リンジにて若干のサンプルを取り出し、そのサンプルの
GPC測定及び1H NMR測定を行った。
【0071】(比較例4)対照実験として、磁気攪拌子
を備えた茄子型フラスコに、1.8重量部の1−ブロモ
エチルベンゼン、1.38重量部の臭化銅、4.5重量
部の2,2−ビピリジン、33重量部のスチレンを加
え、混合溶液を調製した。この溶液をアルゴンガスで3
0分バブリングした後、100℃のオイルバスにて撹拌
しながら、4時間撹拌し、その時点での重合の度合いを
GPC及び1H NMR測定にて確認したところ、モノマーの
転化率は93%で、重量平均分子量は5000で、分子
量分布は1.26であった。
【0072】上記の両実験とも、開始剤である1−ブロ
モエチルベンゼンとモノマーであるスチレンとのモル比
は1対33である。従って、この比による線状のポリス
チレンの分子量は、論理的には1万を越えることは不可
能である。
【0073】実施例6の重合時間ごとの共重合体のGP
Cチャートと比較試験の線状ポリスチレンの結果を図1
に示す。一番上のカーブは比較例としてのスチレン単独
重合系で、反応4時間、転化率93%の時点での線状ポ
リスチレンのGPCチャートである。
【0074】二番目以下は実施例6の共重合系の反応2
時間(転化率25%)、3時間、4時間(転化率49
%)、5時間(転化率55%)、5.5時間、6時間(転
化率58%)、6.5時間、7時間(転化率66%)、8
時間、19時間(93%)、28時間、100時間の時
点でのGPCチャートである。
【0075】図1の結果から、マルチスチレンマクロモ
ノマーが関わる共重合系では、反応2時間でスチレン転
化率が25%であるにも関わらず、その重量平均分子量
は1万を越え、単独重合系でのスチレンの転化率が93
%の時の重量平均分子量(5000)よりも大きいことがわか
る。更に、GPCチャートは反応時間の増加につれ、高
分子側にシフトし、分子量は時間と共に増大していくこ
とがわかる。
【0076】即ち、マルチスチレンマクロモノマーが関
わる重合系でも、生長ラジカルはリビング性を有し、ス
チレンモノマーの転化率がまだ低いところから、マルチ
スチレンマクロモノマーは共重合に関わりながら生長し
ていくことがわかる。特に、反応が19時間進行したと
ころでは、GPCでの高分子側でのカーブの始まりであ
る最大分子量は2613000となり、28時間後では444300
0、100時間後では、1千万を越える10104000に達し
た。
【0077】実施例6の図1の結果は、マルチスチレン
マクロモノマーが関わるスチレンのリビングラジカル重
合において、そのオレフィン官能基の時間ごとの転化率
と分子量には同一方向へ増大することを示し、更には、
分子量の増大は一定時間後、大きく飛び上がることを示
した。従って、マルチスチレンマクロモノマーを用いる
ラジカル重合系では、オレフィンモノマーの単独重合系
ではありえない二次元的な「島−吊り橋」型の分岐状−
線状ハイブリッド重合体を容易に製造できる。
【0078】更に、GPCチャートの始めの分子量を最
大分子量とし、それとスチレンの転化率及び重合反応時
間との相関を図2に示した。反応時間の増大につれて、
スチレンの転化率はスムーズに増大したが、最大分子量
は一定時間過ぎるところでは飛躍的に増大した。即ち、
マクロモノマーの存在により、共重合体の分子量は時間
又は転化率の増大につれ、急にジャンプすることが判
る。この現象は、マクロモノマー同士を吊り橋構造で結
び合う重合反応過程を強く示唆するものと考えられる。
【0079】(実施例7) [I2-MSとメチルメタクリレ
ートとのラジカル共重合系よる分岐状−線状ハイブリッ
ド重合体(略号:P-I2-MS-MMA-6)の合成]磁気攪拌子を
備えた茄子型フラスコを窒素置換し、それに1.3重量
部のI2-MS、0.51重量部のアゾビスイソブチルニト
リル、50.8重量部メチルメタクリレート 、50.
8重量部のトルエンを加え、混合溶液を調製した。この
混合溶液をスターラで攪拌しながら、100℃のオイル
バスにて加熱し、15分反応させた。重合反応液を1H N
MRにて測定したところ、メチルメタクリレートモノマー
の転化率は78%であった。
【0080】このポリマーを大量のヘキサン中で沈殿さ
せ、重合体固形物を吸引濾過により洗浄した。重合体を
室温で乾燥した後、真空下、60℃、24時間乾燥さ
せ、73%の収率で重合体P-I2-MS-MMA-6を得た。重合
体(P-I2-MS-MMA-6)のGPCでの重量平均分子量は325
000で、分子量分布は15.5であった。
【0081】(比較例5)対照実験として、実施例6と
同様な仕込みと同様な条件下、マクロモノマーなしでメ
チルメタクリレートだけの単独重合で得られたポリメチ
ルメタクリレートの重量平均分子量は15000で、分子量
分布は1.76であった。
【0082】
【発明の効果】本発明は、多分岐型マルチスチレンマク
ロモノマーをオレフィン系モノマーと共重合させること
により、高い分子量を有しながら、溶剤に可溶な新たな
共重合体、及びその製造法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例6の共重合体の重合時間によるGPCチ
ャートの変化を示す図である。一番上のカーブは比較例
のスチレン単独重合系(反応4時間、転化率93%)の
GPCチャート、二番目以降のカーブは共重合系の各反
応時間でのGPCチャートを示す。図の横軸はGPCの
保持時間(分)を示す。
【図2】実施例6の共重合体の重合時間によるスチレン
モノマーの転化率と最大分子量の変化を示す図である。
図の横軸は重合時間(h)、左縦軸はスチレンモノマーの
転化率(%)、右縦軸は最大分子量(×103)を示
す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J027 AA08 AC03 AC07 AJ02 BA05 BA07 BA13 BA14 CB02 CB03 CB05 CB09 CC02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 [式中、Xはハロゲン原子、p-CH3PhSO3基又は水酸基で
    あり、Zは−(OCH2CH2)n、−O(CH2)n、又は−OCH2Phであ
    り(nは1〜12の整数で、その末端酸素原子がベンゼ
    ン環のo−、m−及びp−位に結合されている)]で表
    わされる多分岐型マルチスチレンマクロモノマーとオレ
    フィン化合物とをラジカル共重合させる、スチレン残基
    の二重結合部分にオレフィン化合物が結合された多分岐
    型マルチスチレンマクロモノマーとオレフィン類との共
    重合体の製造法。
  2. 【請求項2】 オレフィン化合物が、スチレン類、メタ
    クリレート類、アクリレート類、アクリルアミド類、ビ
    ニルピリジン類から選ばれる1種以上の重合性モノマー
    である請求項1に記載の多分岐型マルチスチレンマクロ
    モノマーとオレフィン化合物との共重合体の製造法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の製造法により製
    造される多分岐型マルチスチレンマクロモノマーとオレ
    フィン類との共重合体。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2に記載の製造法により製
    造される、Zが−(OCH2CH2)nである、一般式(II) 【化2】 (ここでnは1〜10の整数)で表される多分岐型マル
    チスチレンマクロモノマーとオレフィン化合物との共重
    合体。
  5. 【請求項5】 請求項1又は2に記載の製造法により製
    造される、Zが−O(CH2)nである、一般式(III) 【化3】 (ここでnは2〜12の整数)で表される多分岐型マル
    チスチレンマクロモノマーとオレフィン化合物との共重
    合体。
  6. 【請求項6】 請求項1又は2に記載の製造法により製
    造される、Zが−OCH2Phである、一般式(IV) 【化4】 (ここでnは1〜6の整数)で表される多分岐型マルチ
    スチレンマクロモノマーとオレフィン化合物との共重合
    体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2003064524A1 (fr) * 2002-01-31 2003-08-07 Dainippon Ink And Chemicals, Inc. Composition de resine styrenique et son procede de production
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