JP6136214B2 - フマル酸ジエステル重合体粒子の製造方法 - Google Patents

フマル酸ジエステル重合体粒子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明はフマル酸ジエステル重合体粒子の製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、たとえ大型の重合反応器であっても重合体粒子同士の凝集・ブロッキングが抑制された生産安定性に優れるフマル酸ジエステル重合体粒子の製造方法に関する。
フマル酸ジエステルから得られる単独重合体または共重合体は、一般的な熱可塑性ビニル重合体と比べて高い耐熱性を示し、また、透明性に優れた樹脂となることが知られている。例えば、フマル酸ジイソプロピルやフマル酸ジシクロヘキシルから得られる単独重合体は、200℃を超える軟化点、ガラス転移温度を有し、光学分野における様々な用途に使用可能な透明樹脂として有望な材料である(例えば、特許文献1、非特許文献1参照。)。
このようなフマル酸ジエステル重合体は、ラジカル重合により製造することが可能である。また、その製造方法は、塊状重合、懸濁重合、溶液重合、乳化重合等の従来公知の方法により製造することができる。しかしながら、塊状重合は重合系が高粘度となり温度制御が困難である等の課題を有し、溶液重合では引火性溶媒中で重合を行うために安全性等に課題を有する。また、乳化重合は重合後の乳化剤の除去が困難である等の課題がある。さらに、沈殿重合によるフマル酸ジエステル重合体の製造方法が開示されている。しかしながら、この方法では引火性溶媒中で重合を行う必要があること及び得られる重合体の分子量が比較的小さい等の課題がある(例えば、特許文献1〜5参照。)。
一方、懸濁重合は重合系の温度制御が容易であること、水媒体中で実施可能であること、重合後の分散剤の除去が比較的容易であることから、工業的に好ましい製造方法とされ、懸濁重合によるフマル酸ジエステル重合体の製造方法が提案されている(例えば、特許文献6〜8参照。)。
しかしながら、フマル酸ジエステル重合体を、懸濁重合における一般的な分散剤であるポリビニルアルコール存在下で懸濁重合により製造すると、重合体粒子中に取り込まれ、残存するポリビニルアルコールが、フマル酸ジエステル重合体の透明性を低下させるとともに、加熱時にフマル酸ジエステル重合体が着色するという課題があった。
また、懸濁重合法は、重合体粒子と溶媒が不均一の重合系であることから重合の進行とともに重合体粒子の凝集・ブロッキングが発生しやすく、これらの発生が生産性に大きく影響する重合反応系であることが知られている。また、重合体粒子の凝集・ブロッキングは反応系のスケールが大きくなるにつれより発生しやすくなることも知られている。そして、特許文献6〜8に提案された方法においても、実験室レベルの小スケールの検討のみが記載されており、工業的生産に適応した場合の生産性等については検討されていないものであった。
特公平05−040281号公報 特開昭58−198511号公報 特公平05−040281号公報 特開平05−194654号公報 特開2001−048935号公報 特開2006−328132号公報 特開2008−133323号公報 特開2011−021102号公報
大津隆行著、未来材料、2002年、Vol.2、No.12発行、(第70〜第74頁)
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、例え生産機等の大型の重合反応器を用いても重合体粒子同士の凝集・ブロッキングが抑制された生産安定性に優れるフマル酸ジエステル重合体粒子の製造方法を提供することである。
本発明者等は、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、特定の工程を経ることによりフマル酸ジエステル重合体粒子同士の凝集・ブロッキングの抑制が可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、フマル酸ジエステルを、水溶性セルロース、油溶性ラジカル重合開始剤の存在下、水性媒体中で懸濁重合を行いフマル酸ジエステル重合体粒子を製造するに際し、少なくとも所定の(1)〜(3)工程を経ることを特徴とするフマル酸ジエステル重合体粒子の製造方法である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のフマル酸ジエステル重合体粒子の製造方法は、フマル酸ジエステルを、水溶性セルロース、油溶性ラジカル重合開始剤の存在下、水性媒体中で懸濁重合を行いフマル酸ジエステル重合体粒子を製造するに際し、少なくとも以下の(1)〜(3)工程を経るものである。
(1)工程;攪拌機を有する重合反応器に水性媒体及び水溶性セルロースを導入し、水溶性セルロースを水性媒体に溶解する工程。
(2)工程;(1)工程の後に、無攪拌下でフマル酸ジエステルを導入する工程。
(3)工程;(2)工程の後に、油溶性ラジカル重合開始剤を導入した後、攪拌を開始し懸濁状態とした後に昇温を行い懸濁重合を行う工程。
本発明のフマル酸ジエステル重合体粒子の製造方法における(1)工程は、攪拌機を有する重合反応器内で分散剤である水溶性セルロースを水性媒体に溶解する工程であり、該(1)工程により水性媒体に事前に水溶性セルロースを溶解させておくことで、フマル酸ジエステルを導入した際の懸濁安定性が高められるものである。ここで、水性媒体に水溶性セルロースが事前に溶解していない場合、フマル酸ジエステルを導入した際の懸濁安定性が劣るものとなり、フマル酸ジエステル重合体粒子同士の凝集・ブロッキングを抑制することが困難となる。
本発明において用いられる水性媒体としては、通常水性媒体として扱われているものでよいため特に制限はなく、例えば、水、工業用水、イオン交換水、蒸留水等を挙げることができる。また、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて、メタノール、エタノール、アセトン等の水溶性媒体を混合した混合水性媒体であってもよい。
本発明において用いられる水溶性セルロースとしては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース等のアルキルセルロース;ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース;ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のヒドロキシアルキルアルキルセルロース;カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース等のカルボキシアルキルセルロース等が挙げられ、その中でも懸濁安定性がより高いため、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース;ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のヒドロキシアルキルアルキルセルロースが好ましく、ヒドロキシプロピルメチルセルロースがさらに好ましい。ここで、水溶性セルロース以外の分散剤である場合、得られるフマル酸ジエステル重合体は品質に劣るものとなる。
また、本発明のフマル酸ジエステル重合体粒子の製造方法においては、本発明の目的を逸脱しない範囲において、該水溶性セルロースと他の分散剤を併用して用いることも可能であり、他の分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子化合物;りん酸カルシウム等の無機化合物等が挙げられる。
本発明において用いられる攪拌機を有する重合反応器としては、グラスライニング(GL)、ステンレス(SUS)製等の反応釜等が挙げられる。
該(1)工程は収量及び品質がより安定化するため、窒素雰囲気下とすることが好ましく、水性媒体中の溶存酸素濃度が3mg/リットルとなるまで水性媒体に窒素バブリングを行うことがさらに好ましい。
本発明のフマル酸ジエステル重合体粒子の製造方法における(2)工程は、(1)工程の後に、無攪拌下でフマル酸ジエステルを導入する工程であり、無攪拌下でフマル酸ジエステルを導入することにより水性媒体とフマル酸ジエステルの相分離がより効率的に進行し、後の懸濁の際の懸濁安定性が高められるものである。ここで、攪拌下でフマル酸ジエステルを導入した場合、水性媒体とフマル酸ジエステルの親和性が比較的よいことから、懸濁安定性が劣るものとなり、フマル酸ジエステル重合体粒子同士の凝集・ブロッキングを抑制することが困難となる。
本発明において用いられるフマル酸ジエステルとしては、フマル酸ジエステルの範疇に属するものであれば如何なるものでもよく、例えば、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジ−n−プロピル、フマル酸ジ−n−ペンチル、フマル酸ジ−n−ヘキシル、フマル酸ジイソプロピル、フマル酸ジ−n−ブチル、フマル酸ジ−iso−ブチル、フマル酸ジ−sec−ブチル、フマル酸ジ−tert−ブチル、フマル酸ジシクロプロピル、フマル酸ジシクロブチル、フマル酸ジシクロヘキシル等が挙げられ、これらの中でも、特に耐熱性、透明性、光学特性により優れるフマル酸ジエステル重合体の製造が可能となることからフマル酸ジイソプロピル、フマル酸ジ−tert−ブチル、フマル酸ジエチル等が好ましい。
該(2)工程も収量及び品質がより安定化するため、窒素雰囲気下とすることが好ましい。
本発明のフマル酸ジエステル重合体粒子の製造方法における(3)工程は、(2)工程の後に、油溶性ラジカル重合開始剤を導入した後、攪拌を開始し懸濁状態とした後に昇温を行い懸濁重合を行う工程であり、無攪拌下で油溶性ラジカル重合開始剤を導入することにより、該油溶性ラジカル重合開始剤は効率的にフマル酸ジエステルに溶存するものとなる。ここで、攪拌下で油溶性ラジカル重合開始剤を導入した場合、懸濁安定性が劣るものとなり、フマル酸ジエステル重合体粒子同士の凝集・ブロッキングを抑制することが困難となる。
本発明のフマル酸ジエステル重合体粒子の製造方法における油溶性ラジカル重合開始剤としては特に制限はなく、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーブチルピバレート等の有機過酸化物;2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−ブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ系開始剤が挙げられる。
そして本発明は、油溶性ラジカル重合開始剤を導入した後、攪拌を開始して重合系を懸濁状態とし、重合系の昇温を開始して懸濁重合を行うことにより、フマル酸ジエステル重合体粒子を製造するものである。
懸濁重合を行う際の重合温度としては、油溶性ラジカル重合開始剤の分解温度に応じて適宜設定することができ、製造時の安全性に優れるため、一般的には40〜150℃の範囲で行うことが好ましい。また、重合時間としては、適宜選択可能であり、生産性に優れるため、1〜50時間の範囲で行うことが好ましい。
該(3)工程も収量及び品質がより安定化するため、窒素雰囲気下とすることが好ましい。
本発明のフマル酸ジエステル重合体粒子の製造方法における水性媒体、フマル酸ジエステル、水溶性セルロース、油溶性ラジカル重合開始剤の配合割合は、所望するフマル酸ジエステル重合体の品質により適宜選択することが可能であり、その中でもより生産効率に優れたフマル酸ジエステル重合体粒子の製造方法となることから、水性媒体100重量部に対し、フマル酸ジエステル50〜150重量部、水溶性セルロース0.01〜20重量部、油溶性ラジカル重合開始剤0.001〜5重量部として用いることが好ましい。
また、本発明のフマル酸ジエステル重合体粒子の製造方法においては、本発明の目的を逸脱しない限りにおいてフマル酸ジエステルと共重合が可能な単量体を更に用いてもよく、該共重合可能な単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸アルキルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸アルキルエステル類;スチレン、α−メチルスチレン等のビニル芳香族炭化水素類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバル酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のN−置換マレイミド類;アクリロニトリル;メタクリロニトリル;オキセタニル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;テトラヒドロフルフリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。そして、その中でも得られるフマル酸ジエステル重合体中にオキセタニル基及び/又はテトラヒドロフルフリル基を導入することにより重合体間に架橋構造を形成し、耐熱性、透明性により優れるのみならず、耐薬品性、寸法安定性により優れたフマル酸ジエステル重合体の粒子となることから、オキセタニル基を有する(メタ)アクリル酸エステル及び/又はテトラヒドロフルフリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルであることが好ましく、懸濁重合反応時の安定性により優れ、フマル酸ジエステル重合体粒子同士の凝集・ブロッキングをより抑制することが可能となることからオキセタニル基を有する(メタ)アクリル酸エステルであることが好ましい。該フマル酸ジエステルと共重合が可能な単量体は、(2)工程におけるフマル酸ジエステル導入時、(3)工程における油溶性ラジカル重合開始剤導入時等に併用して導入することも可能である。
そして、オキセタニル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばアクリル酸3−オキセタニルメチル、アクリル酸3−メチル−3−オキセタニルメチル、アクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル、アクリル酸3−プロピル−3−オキセタニルメチル、アクリル酸3−n−ブチル−3−オキセタニルメチル、アクリル酸3−イソプロピル−3−オキセタニルメチル、アクリル酸3−オキセタニルエチル、アクリル酸3−メチル−3−オキセタニルエチル、アクリル酸3−エチル−3−オキセタニルエチル、メタクリル酸3−オキセタニルメチル、メタクリル酸3−メチル−3−オキセタニルメチル、メタクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル、メタクリル酸3−プロピル−3−オキセタニルメチル、メタクリル酸3−n−ブチル−3−オキセタニルメチル、メタクリル酸3−イソプロピル−3−オキセタニルメチル、メタクリル酸3−iso−ブチル−3−オキセタニルメチル、メタクリル酸3−sec−ブチル−3−オキセタニルメチル、メタクリル酸3−tert−ブチル−3−オキセタニルメチル、メタクリル酸3−オキセタニルエチル、メタクリル酸3−メチル−3−オキセタニルエチル、メタクリル酸3−エチル−3−オキセタニルエチル等が挙げられ、これらの中でも重合体の透明性及び重合安定性により優れるため、アクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチルが好ましい。また、テトラヒドロフルフリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸2−メチルテトラヒドロフルフリル、アクリル酸2−エチルテトラヒドロフルフリル、アクリル酸2−プロピルテトラヒドロフルフリル、アクリル酸2−n−ブチルテトラヒドロフルフリル、アクリル酸2−イソプロピルテトラヒドロフルフリル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸2−メチルテトラヒドロフルフリル、メタクリル酸2−エチルテトラヒドロフルフリル、メタクリル酸2−プロピルテトラヒドロフルフリル、メタクリル酸2−n−ブチルテトラヒドロフルフリル、メタクリル酸2−イソプロピルテトラヒドロフルフリル等が挙げられ、これらの中でも重合体の透明性及び重合安定性により優れるため、アクリル酸テトラヒドロフルフリルが好ましい。
該共重合可能な単量体を用いる場合、その配合量は、本発明の目的であるフマル酸ジエステル重合体粒子が得られる限り、如何なる配合割合でもよく、その中でもより耐熱性、透明性に優れたフマル酸ジエステル重合体が粒子として安定的に得られることから、フマル酸ジエステル100重量部に対し、1〜50重量部であることが好ましく、1〜40重量部であることがさらに好ましい。
本発明のフマル酸ジエステル重合体粒子の製造方法は、重合体粒子同士の凝集・ブロッキングが抑制され生産性に優れる製造方法となるものであり、特に攪拌効率、攪拌ムラ、温度ムラ、デッドスペース等が発生しやすいことから重合体粒子同士の凝集・ブロッキングが発生しやすい大型の重合反応器、例えば、内容量100リットル以上の重合反応器を用いた場合、その効果がより顕著に発揮されるものである。
本発明のフマル酸ジエステル重合体粒子の製造方法においては、(1)工程の前、(1)工程と(2)工程の中間、(2)工程と(3)工程の中間、(3)工程の後、等に付加的工程を付随することも可能であり、より透明性、光学特性に優れるフマル酸ジエステル重合体の粒子を製造することが可能となることから得られたフマル酸ジエステル重合体粒子を洗浄し、水溶性セルロース及び未反応フマル酸ジエステルを除去する工程を設けることが好ましい。該洗浄工程に用いられる溶媒としては、フマル酸ジエステル重合体粒子を溶解することなく、水溶性セルロース及び/又はフマル酸ジエステルを溶解する溶媒であれば如何なるものを用いることも可能であり、該洗浄工程は、水溶性セルロース及びフマル酸ジエステルを同一の溶媒で同時に除去しても、異なる溶媒により段階的に個別に除去してもよい。そして、水溶性セルロースの除去用の洗浄溶媒としては特に制限はないが、例えば、水、メタノール/水混合溶剤、エタノール/水混合溶剤等が挙げられ、フマル酸ジエステルの除去用の洗浄溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、メタノール/水混合溶剤、エタノール/水混合溶剤等が挙げられる。
本発明のフマル酸ジエステル重合体粒子の製造方法は、例え大型の重合反応器であっても重合体粒子同士の凝集・ブロッキングが抑制され、生産安定性に優れるフマル酸ジエステル重合体粒子が得られる方法である。
本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
(1);攪拌機、窒素導入管及び熱伝対を備えた200リットル反応器に、蒸留水72kgを仕込み溶存酸素濃度が3mg/リットルとなるまで窒素バブリングを行った後、攪拌を行いながらヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学製、(商品名)メトローズ60SH−50)(水性媒体100重量部に対して0.38重量部、以下単に重量部と称する)を仕込み、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの溶解を行った。
(2);ヒドロキシプロピルメチルセルロースの溶解後、攪拌を停止し、フマル酸ジイソプロピル47kg(65重量部)を仕込んだ。
(3);その後、t−ブチルパーオキシピバレート372g(0.52重量部)を仕込み、攪拌を再開しながら50℃に昇温し、24時間保持することにより懸濁ラジカル重合を行なった。重合反応の終了後、反応器のボトム弁より内容物を回収し、重合粒子をろ別し、メタノールで4回洗浄を行った後、蒸留水で2回洗浄し、120℃で5時間真空乾燥することによりフマル酸ジエステル重合体粒子を得た。フマル酸ジエステル重合体粒子同士の凝集は見られず、また、反応器内、攪拌翼へのスケール・ブロッキングも見られなかった。
実施例2
(3)でt−ブチルパーオキシピバレート372gを仕込む代わりに、t−ブチルパーオキシピバレート372g(0.52重量部)とアクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル1.4kg(1.9重量部)とを同時に仕込んだ以外は、実施例1と同様の方法によりフマル酸ジエステル重合体粒子を得た。フマル酸ジエステル重合体粒子同士の凝集は見られず、また、反応器内、攪拌翼へのスケール・ブロッキングも見られなかった。
実施例3
(2)でフマル酸ジイソプロピル47kgを仕込む代わりに、フマル酸ジイソプロピル47kg(65重量部)とアクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル1.4kg(1.9重量部)とを同時に仕込んだ以外は、実施例1と同様の方法によりフマル酸ジエステル重合体粒子を得た。フマル酸ジエステル重合体粒子同士の凝集は見られず、また、反応器内、攪拌翼へのスケール・ブロッキングも見られなかった。
実施例4
(2)でフマル酸ジイソプロピル47kgを仕込む代わりに、フマル酸ジイソプロピル44kg(61重量部)、フマル酸ジエチル6kg(8.3重量部)とを同時に仕込んだ以外は、実施例1と同様の方法によりフマル酸ジエステル重合体粒子を得た。フマル酸ジエステル重合体粒子同士の凝集は見られず、また、反応器内、攪拌翼へのスケール・ブロッキングも見られなかった。
実施例5
(2)でフマル酸ジイソプロピル47kgを仕込む代わりに、フマル酸ジイソプロピル33kg(46重量部)、フマル酸ジエチル4kg(5.6重量部)、フマル酸ジ−tert−ブチル6kg(8.3重量部)とを同時に仕込んだ以外は、実施例1と同様の方法によりフマル酸ジエステル重合体粒子を得た。フマル酸ジエステル重合体粒子同士の凝集は見られず、また、反応器内、攪拌翼へのスケール・ブロッキングも見られなかった。
比較例1
攪拌機、窒素導入管及び熱伝対を備えた200リットル反応器に、攪拌を行いながら蒸留水72kg、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学製、(商品名)メトローズ60SH−50)276g(0.38重量部)、フマル酸ジイソプロピル47kg(0.65重量部)、t−ブチルパーオキシピバレート372g(0.52重量部)を仕込み溶存酸素濃度が3mg/リットルとなるまで窒素バブリングを行った後、50℃に昇温し、24時間保持することにより懸濁ラジカル重合を試みた。
重合反応の終了後、反応器のボトム弁より内容物の回収を試みたがフマル酸ジエステル系重合体粒子はほとんど回収できず、粒子同士の凝集した固まりが見られた。また、反応器内、攪拌翼へのスケール・ブロッキングは激しいものであった。
比較例2
フマル酸ジイソプロピル47kgを仕込む代わりに、フマル酸ジイソプロピル44kg(0.61重量部)、フマル酸ジエチル6kg(0.83重量部)を仕込んだ以外は、比較例1と同様の方法により懸濁ラジカル重合を試みた。
重合反応の終了後、反応器のボトム弁より内容物の回収を試みたがフマル酸ジエステル系重合体粒子はほとんど回収できず、粒子同士の凝集した固まりが見られた。また、反応器内、攪拌翼へのスケール・ブロッキングは激しいものであった。
比較例3
攪拌機、窒素導入管及び熱伝対を備えた200リットル反応器に、蒸留水72kgを仕込み溶存酸素濃度が3mg/リットルとなるまで窒素バブリングを行った後、攪拌を行いながらヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学製、(商品名)メトローズ60SH−50)276g(0.38重量部)、フマル酸ジイソプロピル47kg(65重量部)を仕込み、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの溶解を行った。
ヒドロキシプロピルメチルセルロースの溶解後、t−ブチルパーオキシピバレート372g(0.52重量部)を仕込み、攪拌を行いながら50℃に昇温し、24時間保持することにより懸濁ラジカル重合を試みた。
重合反応の終了後、反応器のボトム弁より内容物の回収を試みたがフマル酸ジエステル系重合体粒子はほとんど回収できず、粒子同士の凝集した固まりが見られた。また、反応器内、攪拌翼へのスケール・ブロッキングは激しいものであった。
比較例4
攪拌機、窒素導入管及び熱伝対を備えた200リットル反応器に、蒸留水72kgを仕込み溶存酸素濃度が3mg/リットルとなるまで窒素バブリングを行った後、攪拌を行いながらヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学製、(商品名)メトローズ60SH−50)276g(0.38重量部)を仕込み、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの溶解を行った。
ヒドロキシプロピルメチルセルロースの溶解後、攪拌を継続したまま、フマル酸ジイソプロピル47kg(65重量部)を仕込んだ。
その後、t−ブチルパーオキシピバレート372g(0.52重量部)を仕込み、攪拌を継続したまま50℃に昇温し、24時間保持することにより懸濁ラジカル重合を試みた。
重合反応の終了後、反応器のボトム弁より内容物の回収を試みたがフマル酸ジエステル系重合体粒子はほとんど回収できず、粒子同士の凝集した固まりが見られた。また、反応器内、攪拌翼へのスケール・ブロッキングは激しいものであった。
比較例5
攪拌機、窒素導入管及び熱伝対を備えた200リットル反応器に、蒸留水72kgを仕込み溶存酸素濃度が3mg/リットルとなるまで窒素バブリングを行った後、攪拌を行いながらヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学製、(商品名)メトローズ60SH−50)276g(0.38重量部)を仕込み、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの溶解を行った。
ヒドロキシプロピルメチルセルロースの溶解後、攪拌を停止し、フマル酸ジイソプロピル47kg(65重量部)を仕込んだ。
その後、攪拌を再開しながらt−ブチルパーオキシピバレート372g(0.52重量部)を仕込み50℃に昇温し、24時間保持することにより懸濁ラジカル重合を試みた。
重合反応の終了後、反応器のボトム弁より内容物の回収を試みたがフマル酸ジエステル系重合体粒子はほとんど回収できず、粒子同士の凝集した固まりが見られた。また、反応器内、攪拌翼へのスケール・ブロッキングは激しいものであった。
本発明の製造方法により、透明部材材料、光学補償材料等への展開が期待されるフマル酸ジエステル重合体を、粒子として効率よく、安定的に製造することが可能となり、その産業的価値は極めて高いものである。

Claims (4)

  1. フマル酸ジエステルを、水溶性セルロース、油溶性ラジカル重合開始剤の存在下、水性媒体中で懸濁重合を行いフマル酸ジエステル重合体粒子を製造するに際し、少なくとも以下の(1)〜(3)工程を経ることを特徴とするフマル酸ジエステル重合体粒子の製造方法。
    (1)工程;攪拌機を有する重合反応器に水性媒体及び水溶性セルロースを導入し、水溶性セルロースを水性媒体に溶解する工程。
    (2)工程;(1)工程の後に、無攪拌下でフマル酸ジエステルを導入する工程。
    (3)工程;(2)工程の後に、油溶性ラジカル重合開始剤を導入した後、攪拌を開始し懸濁状態とした後に昇温を行い懸濁重合を行う工程。
  2. 水溶性セルロースが、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース及びアルキルセルロースの群より選択される1種以上の水溶性セルロースであることを特徴とする請求項1に記載のフマル酸ジエステル重合体粒子の製造方法。
  3. フマル酸ジエステルが、フマル酸ジイソプロピル、フマル酸ジエチル及びフマル酸ジ−tert−ブチルからなる群より選択される1種以上のフマル酸ジエステルであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のフマル酸ジエステル重合体粒子の製造方法。
  4. 水性媒体100重量部に対し、フマル酸ジエステル50〜150重量部、水溶性セルロース0.01〜20重量部、油溶性ラジカル重合開始剤0.001〜5重量部を用いることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずかに記載のフマル酸ジエステル重合体粒子の製造方法
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