JP5782902B2 - 樹脂組成物およびそれを用いた光学補償フィルム - Google Patents
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Description
(式中、nxはフィルム面内の進相軸方向の屈折率、nyはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、nzはフィルム面外の屈折率を示し、dはフィルム厚みを示す。)
また、フマル酸エステル系樹脂からなる位相差フィルムが提案されている(例えば特許文献4参照)。
本発明の樹脂組成物が含有するセルロース系樹脂は、β−グルコース単位が直鎖状に重合した高分子であり、グルコース単位の2位、3位および6位の水酸基の一部または全部をアシル基によりエステル化したポリマーであり、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートブチレート等が挙げられる。
Nz=(ny−nz)/(ny−nx) (2)
Rth=[(nx+ny)/2−nz]×d (3)
(式中、nxはフィルム面内の進相軸方向の屈折率を示し、nyはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率を示し、nzはフィルム面外の屈折率を示し、dはフィルム厚みを示す。)
本発明の光学補償フィルムは、輝度向上のため、光線透過率が好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。
本発明の樹脂組成物を用いて得られた光学補償フィルムは、面内位相差(Re)を発現するために少なくとも一軸方向に延伸することが好ましい。延伸は50〜200℃で行うことが好ましく、100〜160℃で行うことがさらに好ましく、延伸倍率は1.05倍〜3倍が好ましく、1.1倍〜2.0倍がさらに好ましい。延伸温度、延伸倍率により面内位相差(Re)を制御することができる。
重合体の構造解析は核磁気共鳴測定装置(日本電子製、商品名:JNM−GX270)を用い、プロトン核磁気共鳴分光(1H−NMR)スペクトル分析より求めた。
ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)装置(東ソー製、商品名:C0−8011(カラムGMHHR―Hを装着))を用い、テトラヒドロフラン、またはジメチルホルムアミドを溶媒として、40℃で測定し、標準ポリスチレン換算値として求めた。
作成したフィルムの光線透過率及びヘーズは、ヘーズメーター(日本電色工業製、商品名:NDH2000)を使用し、光線透過率の測定はJIS K 7361−1(1997版)に、ヘーズの測定はJIS−K 7136(2000年版)に、それぞれ準拠して測定した。
試料傾斜型自動複屈折計(王子計測機器製、商品名:KOBRA−WR)を用いて波長589nmの光りを用いて光学補償フィルムの位相差特性を測定した。
5リットルオートクレーブ中に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.2wt%を含む蒸留水2400g、フマル酸ジイソプロピル1388g、フマル酸ジエチル212g、重合開始剤(日油製、商品名:パーブチルPV)12.7gを仕込み、重合温度48℃、重合時間30時間の条件にて懸濁ラジカル重合反応を行った。得られた重合体粒子を濾過回収し、水、メタノールで十分に洗浄し80℃にて乾燥することにより、フマル酸ジイソプロピル・フマル酸ジエチル重合体を得た。得られたフマル酸ジイソプロピル・フマル酸ジエチル重合体の数平均分子量は98000、フマル酸ジイソプロピル単位83モル%、フマル酸ジエチル単位17モル%であった。
1リットルオートクレーブ中に、フマル酸ジイソプロピル200g、フマル酸ジエチル17g、ビニルピロリドン32g、重合開始剤(日油製、商品名:パーブチルPV)0.2gを仕込み、重合温度45℃、重合時間8時間の条件にてラジカル重合反応を行った。得られた重合体を含む溶液を大過剰のメタノール投入し、重合体を析出させた。得られた重合体を濾過し80℃にて乾燥することにより、フマル酸ジイソプロピル・フマル酸ジエチル・ビニルピロリドン重合体を得た。得られた重合体の数平均分子量は45000、フマル酸ジイソプロピル単位80モル%、フマル酸ジエチル単位6モル%、ビニルピロリドン単位14モル%であった。
1リットルオートクレーブ中に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.2wt%を含む蒸留水480g、フマル酸ジイソプロピル208g、フマル酸ジエチル85g、重合開始剤(日油製、商品名:パーブチルPV)12.7gを仕込み、重合温度48℃、重合時間30時間の条件にて懸濁ラジカル重合反応を行った。得られた重合体粒子を濾過回収し、水、メタノールで十分に洗浄し80℃にて乾燥することにより、フマル酸ジイソプロピル・フマル酸ジエチル重合体を得た。得られたフマル酸ジイソプロピル・フマル酸ジエチル重合体の数平均分子量は63000、フマル酸ジイソプロピル単位64モル%、フマル酸ジエチル単位36モル%であった。
5リットルオートクレーブ中に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.2重量%を含む蒸留水2600g、フマル酸ジイソプロピル1232g、フマル酸ジ−n−ブチル168g、重合開始剤(日油製、商品名:パーブチルPV)11gを仕込み、重合温度47℃、重合時間36時間の条件にて懸濁ラジカル重合反応を行った。得られた重合体粒子を濾過回収し、水、メタノールで十分に洗浄し80℃にて乾燥することにより、フマル酸ジイソプロピル・フマル酸ジ−n−ブチル重合体を得た。得られた重合体の数平均分子量は88000、フマル酸ジイソプロピル単位88モル%、フマル酸ジ−n−ブチル単位12モル%であった。
5リットルオートクレーブ中に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.2重量%を含む蒸留水2600g、フマル酸ジイソプロピル1200g、フマル酸ジ−2−エチルヘキシル184g、重合開始剤(日油製、商品名:パーブチルPV)11gを仕込み、重合温度47℃、重合時間36時間の条件にて懸濁ラジカル重合反応を行った。得られた重合体粒子を濾過回収し、水、メタノールで十分に洗浄し80℃にて乾燥することにより、フマル酸ジイソプロピル・フマル酸ジ−2−エチルヘキシル重合体を得た。得られた重合体の数平均分子量は54000、フマル酸ジイソプロピル単位92.5モル%、フマル酸ジ−2−エチルヘキシル単位7.5モル%であった。
セルロースアセテート(アセチル基=82モル%、全置換度DS=2.46、数平均分子量=30,000)261g、合成例1により得られたフマル酸ジイソプロピル・フマル酸ジエチル重合体39gを塩化メチレン1700gに溶解し15重量%溶液とした後、大量のメタノールに投入することにより固体を析出させた。得られた固体を濾過、乾燥し、樹脂組成物298gを得た。得られた樹脂組成物は、セルロースアセテート87重量%、フマル酸ジイソプロピル・フマル酸ジエチル重合体13重量%を含む樹脂組成物であった。得られた樹脂組成物200gを塩化メチレン800gに溶解し、Tダイ法により溶液流延装置の支持体に流延し、乾燥温度30℃、次いで80℃と段階的に乾燥し、光学補償フィルム(幅150mm、厚み80μm)を得た。
セルロースアセテート(アセチル基=82モル%、全置換度DS=2.46、数平均分子量=30,000)283g、合成例2により得られたフマル酸ジイソプロピル・フマル酸ジエチル・ビニルピロリドン重合体50gを塩化メチレン1500gに溶解した後、大量のメタノールに投入することにより固体を析出させた。得られた固体を濾過、乾燥し、樹脂組成物305gを得た。得られた樹脂組成物は、セルロースアセテート85重量%、フマル酸ジイソプロピル・フマル酸ジエチル・ビニルピロリドン重合体15重量%を含む樹脂組成物であった。得られた樹脂組成物200gを塩化メチレン800gに溶解し、Tダイ法により溶液流延装置の支持体に流延し、乾燥温度30℃、次いで80℃と段階的に乾燥し、光学補償フィルム(幅150mm、厚み80μm)を得た。
セルロースアセテートプロピオネート(アセチル基=7モル%、プロピオニル基=80モル%、全置換度DS=2.6、数平均分子量=25,000)279g、合成例1により得られたフマル酸ジイソプロピル・フマル酸ジエチル重合体21gをテトラヒドロフラン1700gに溶解し15重量%溶液とした後、大量のメタノールに投入することにより固体を析出させた。得られた固体を濾過、乾燥し、樹脂組成物295gを得た。得られた樹脂組成物は、セルロースアセテートプロピオネート93重量%、フマル酸ジイソプロピル・フマル酸ジエチル重合体7重量%を含む樹脂組成物であった。得られた樹脂組成物200gをメチルエチルケトン800gに溶解し、Tダイ法により溶液流延装置の支持体に流延し、乾燥温度30℃、次いで80℃と段階的に昇温、乾燥し、光学補償フィルム(幅150mm、厚み77μm)を得た。
セルロースアセテートブチレート(アセチル基5モル%、ブチリル基=82モル%、全置換度DS=2.6、数平均分子量=43,000)210g、合成例3により得られたフマル酸ジイソプロピル・フマル酸ジエチル重合体90gをメチルエチルケトン1700gに溶解し15重量%溶液とした後、大量のメタノールに投入することにより固体を析出させた。得られた固体を濾過、乾燥し、樹脂組成物278gを得た。得られた樹脂組成物は、セルロースアセテートブチレート70重量%、フマル酸ジイソプロピル・フマル酸ジエチル重合体30重量%を含む樹脂組成物であった。得られた樹脂組成物200gをメチルエチルケトン800gに溶解し、Tダイ法により溶液流延装置の支持体に流延し、乾燥温度30℃、次いで100℃と段階的に乾燥した後、幅150mm、厚み190μmのフィルムを得た。得られたフィルムを50mm角に切り出し、145℃で縦1.3倍、横1.1倍に延伸し、光学補償フィルムを得た。
セルロースブチレート(ブチリル基=87モル%、全置換度DS=2.6、数平均分子量=30,000)240g、合成例2により得られたフマル酸ジイソプロピル・フマル酸ジエチル・ビニルピロリドン重合体60gをメチルエチルケトン1700gに溶解し15重量%溶液とした後、大量のメタノールに投入することにより固体を析出させた。得られた固体を濾過、乾燥し、樹脂組成物278gを得た。得られた樹脂組成物は、セルロースブチレート81重量%、フマル酸ジイソプロピル・フマル酸ジエチル・ビニルピロリドン重合体19重量%を含む樹脂組成物であった。得られた樹脂組成物200gをメチルエチルケトン800gに溶解し、Tダイ法により溶液流延装置の支持体に流延し、乾燥温度30℃、次いで100℃と段階的に乾燥した後、幅150mm、厚み200μmのフィルムを得た。得られたフィルムを50mm角に切り出し、150℃で縦1.5倍、横1.1倍に延伸し、光学補償フィルムを得た。
セルロースブチレート(ブチリル基=91モル%、全置換度DS=2.7、数平均分子量=35,000)250g、合成例4により得られたフマル酸ジイソプロピル・フマル酸ジ−n−ブチル重合体50gをテトラヒドロフラン1700gに溶解し15重量%溶液とした後、大量のメタノールに投入することにより固体を析出させた。得られた固体を濾過、乾燥し、樹脂組成物280gを得た。得られた樹脂組成物は、セルロースブチレート83重量%、フマル酸ジイソプロピル・フマル酸ジ−n−ブチル重合体17重量%を含む樹脂組成物であった。得られた樹脂組成物200gをテトラヒドロフラン800gに溶解し、Tダイ法により溶液流延装置の支持体に流延し、乾燥温度30℃、次いで100℃と段階的に乾燥した後、幅150mm、厚み200μmのフィルムを得た。得られたフィルムを50mm角に切り出し、140℃で縦1.3倍、横1.0倍に延伸し、光学補償フィルムを得た。
セルロースブチレート(ブチリル基=87モル%、全置換度DS=2.6、数平均分子量=30,000)100g、合成例5により得られたフマル酸ジイソプロピル・フマル酸ジ−2−エチルヘキシル重合体200gをメチルエチルケトン1700gに溶解し15重量%溶液とした後、大量のメタノールに投入することにより固体を析出させた。得られた固体を濾過、乾燥し、樹脂組成物286gを得た。得られた樹脂組成物は、セルロースブチレート32重量%、フマル酸ジイソプロピル・フマル酸ジ−2−エチルヘキシル重合体68重量%を含む樹脂組成物であった。得られた樹脂組成物200gをメチルエチルケトン800gに溶解し、Tダイ法により溶液流延装置の支持体に流延し、乾燥温度30℃、次いで100℃と段階的に乾燥した後、幅150mm、厚み180μmのフィルムを得た。得られたフィルムを50mm角に切り出し、150℃で縦1.25倍、横1.05倍に延伸し、光学補償フィルムを得た。
実施例1で用いたセルロースアセテート200gを塩化メチレン800gに溶解し、Tダイ法により溶液流延装置の支持体に流延し、乾燥温度30℃、次いで80℃と段階的に乾燥し、幅150mm、厚み80μmのフィルムを得た。
実施例3で用いたセルロースアセテートプロピオネート200gをテトラヒドロフラン800gに溶解し、Tダイ法により溶液流延装置の支持体に流延し、乾燥温度30℃、次いで80℃と段階的に乾燥し、幅150mm、厚み77μmのフィルムを得た。
合成例1により得られたフマル酸ジイソプロピル・フマル酸ジエチル重合体200gを塩化メチレン800gに溶解し、Tダイ法により溶液流延装置の支持体に流延し、乾燥温度30℃、次いで80℃と段階的に乾燥し、幅150mm、厚み80μmのフィルムを得た。
実施例4で使用したセルロースアセテートブチレート200gをメチルエチルケトン800gに溶解し、Tダイ法により溶液流延装置の支持体に流延し、乾燥温度30℃、次いで100℃と段階的に乾燥した後、幅150mm、厚み200μmのフィルムを得た。得られたフィルムを50mm角に切り出し、150℃で縦1.5倍、横1.1倍に延伸した。
Claims (14)
- 一般式(1)で示されるセルロース系樹脂のアシル化度が1.5〜3.0であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
- フマル酸ジエステル重合体が、フマル酸ジイソプロピル残基単位60〜95モル%およびフマル酸ジエチル残基単位、フマル酸ジ−n−プロピル残基単位、フマル酸ジ−n−ブチル残基単位、フマル酸ジ−2−エチルヘキシル残基単位から選ばれるフマル酸ジエステル残基単位5〜40モル%を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜請求項3のいずれかの項に記載の樹脂組成物を用いてなることを特徴とする光学補償フィルム。
- 厚みが5〜200μmであることを特徴とする請求項4に記載の光学補償フィルム。
- 下記式(1)で示される面内位相差(Re)が80〜300nmで、下記式(2)で示されるNz係数が0.35〜0.65であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の光学補償フィルム。
Re=(ny−nx)×d (1)
Nz=(ny−nz)/(ny−nx) (2)
(式中、nxはフィルム面内の進相軸方向の屈折率を示し、nyはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率を示し、nzはフィルム面外の屈折率を示し、dはフィルム厚みを示す。) - 式(1)で示される面内位相差(Re)が50〜200nmで、式(2)で示されるNz係数が−0.2〜0.2であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の光学補償フィルム。
- 式(1)で示される面内位相差(Re)が0〜20nmで、下記式(3)で示される面外位相差(Rth)が−150〜10nmであることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の光学補償フィルム。
Rth=[(nx+ny)/2−nz]×d (3)
(式中、nxはフィルム面内の進相軸方向の屈折率を示し、nyはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率を示し、nzはフィルム面外の屈折率を示し、dはフィルム厚みを示す。) - 光線透過率が85%以上であることを特徴とする請求項4〜請求項8のいずれかの項に記載の光学補償フィルム。
- ヘーズが2%以下であることを特徴とする請求項4〜請求項9のいずれかの項に記載の光学補償フィルム。
- 下記一般式(1)で示されるセルロース系樹脂30〜90重量%および下記一般式(2)で示されるフマル酸ジエステル残基単位を含むフマル酸ジエステル重合体70〜10重量%を溶剤に溶解し、得られた樹脂溶液を基材にキャストし、乾燥後、基材より剥離することを特徴とする請求項4〜請求項10のいずれかの項に記載の光学補償フィルムの製造方法。
- 一般式(1)で示されるセルロース系樹脂のアシル化度が1.5〜3.0であることを特徴とする請求項11に記載の光学補償フィルムの製造方法。
- フマル酸ジエステル重合体が、フマル酸ジイソプロピル残基単位60〜95モル%およびフマル酸ジエチル残基単位、フマル酸ジ−n−プロピル残基単位、フマル酸ジ−n−ブチル残基単位、フマル酸ジ−2−エチルヘキシル残基単位から選ばれるフマル酸ジエステル残基単位5〜40モル%を含むことを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の光学補償フィルムの製造方法。
- キャストして得られたフィルムを少なくとも一軸方向に延伸することを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の光学補償フィルムの製造方法。
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