JP6229561B2 - 光学補償フィルム用重合体 - Google Patents

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Description

本発明は、光学補償フィルム用重合体に関するものであり、より詳しくは、特定の樹脂組成物の一部として用いられるときに、該樹脂組成物を用いて得られる光学補償フィルムが位相差特性に優れたものになる光学補償フィルム用重合体に関する。
液晶ディスプレイは、マルチメディア社会における最も重要な表示デバイスとして、携帯電話、コンピューター用モニター、ノートパソコン、テレビまで幅広く使用されている。液晶ディスプレイには表示特性向上のため多くの光学フィルムが用いられている。特に光学補償フィルムは、正面や斜めから見た場合のコントラスト向上、色調の補償など大きな役割を果たしている。
液晶ディスプレイには、垂直配向型(VA−LCD)、面内配向型液晶(IPS−LCD)、スーパーツイストネマチック型液晶(STN−LCD)、反射型液晶ディスプレイ、半透過型液晶ディスプレイなどの多くの方式が有り、ディスプレイにあわせた光学補償フィルムが必要となっている。
従来の光学補償フィルムとしては、セルロース系樹脂、ポリカーボネートや環状ポリオレフィンなどの延伸フィルムが用いられている。特にトリアセチルセルロースフィルムなどのセルロース系樹脂からなるフィルムは、偏光子であるポリビニルアルコールとの接着性も良好なことから幅広く使用されている。
しかしながら、セルロース系樹脂からなる光学補償フィルムはいくつかの課題がある。例えば、セルロース系樹脂フィルムは延伸条件を調整することで各種ディスプレイにあわせた位相差値を持つ光学補償フィルムに加工されるが、セルロース系樹脂フィルムの一軸または二軸延伸により得られるフィルムの三次元屈折率は、ny≧nx>nzであり、それ以外の3次元屈折率、例えば、ny>nz>nxや、ny=nz>nxなどの3次元屈折率を有する光学補償フィルムを製造するためには、フィルムの片面または両面に熱収縮性フィルムを接着し、その積層体を加熱延伸処理して、高分子フィルムの厚み方向に収縮力をかけるなど特殊な延伸方法が必要であり屈折率(位相差値)の制御も困難である(例えば、特許文献1〜3参照)。ここでnxはフィルム面内の進相軸方向(最も屈折率の小さい方向)の屈折率、nyはフィルム面内の遅相軸方向(最も屈折率の大きい方向)の屈折率、nzはフィルム面外(厚み方向)の屈折率を示す。
また、セルロース系樹脂フィルムは一般に溶剤キャスト法により製造されるが、キャスト法により成膜したセルロース系樹脂フィルムはフィルム厚み方向に40nm程度の面外位相差(Rth)を有するため、IPSモードの液晶ディスプレイなどではカラーシフトが起こるなどの問題がある。ここで面外位相差(Rth)は以下の式で示される位相差値である。
Rth=[(nx+ny)/2−nz]×d
(式中、nxはフィルム面内の進相軸方向の屈折率、nyはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、nzはフィルム面外の屈折率を示し、dはフィルム厚みを示す。)
また、フマル酸エステル系樹脂からなる位相差フィルムが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
しかしながら、フマル酸エステル系樹脂からなる延伸フィルムの3次元屈折率は、nz>ny>nxであり、上記3次元屈折率を示す光学補償フィルムを得るためには他の光学補償フィルム等との積層などが必要である。
特許2818983号公報 特開平5−297223号公報 特開平5−323120号公報 特開2008−64817号公報
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、セルロース系樹脂組成物の一部として用いられるときに、該樹脂組成物が光学補償フィルム材料として好適なものとなる光学補償フィルム用重合体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の光学補償フィルム用重合体が、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、フマル酸ジエチル残基単位50〜100モル%および所定の式で示されるフマル酸モノエステル残基単位0〜50モル%を含む光学補償フィルム用フマル酸エステル重合体である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の光学補償フィルム用フマル酸エステル重合体は、フマル酸ジエチル残基単位50〜100モル%および下記一般式(2)で示されるフマル酸モノエステル残基単位0〜50モル%を含むフマル酸エステル重合体である
Figure 0006229561
(式中、Rは炭素数1〜12のアルキル基を示す。)
本発明の光学補償フィルム用フマル酸エステル重合体を用いるのに好適な樹脂組成物が含有するセルロース系樹脂は、β−グルコース単位が直鎖状に重合した高分子であり、グルコース単位の2位、3位および6位の水酸基の一部または全部をアシル基によりエステル化したポリマーであり、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートブチレート等が挙げられる。
アシル化度は、2位、3位および6位のそれぞれについて、セルロースの水酸基がエステル化している割合(100%のエステル化は置換度1)を意味し、アシル基の全置換度DSは、好ましくは1.5〜3.0(1.5≦DS≦3.0)であり、さらに好ましくは1.8〜2.8である。セルロース系樹脂は、炭素数2〜12のアシル基を置換基として有することが好ましい。炭素数2〜12のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、イソブタノイル基、t−ブチリル基、シクロヘキサンカルボニル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基等を挙げることができる。これらの中でも、炭素数2〜5のアシル基であるアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基が特に好ましい。本発明で用いるセルロース系樹脂に用いられるアシル基は1種類だけでもよいし、2種類以上のアシル基が使用されていてもよい。2種類以上のアシル基を用いるときは、そのひとつがアセチル基であることが好ましい。
セルロース系樹脂のアシル化において、アシル化剤としては、酸無水物や酸クロライドを用いた場合、反応溶媒である有機溶媒としては、有機酸、例えば、酢酸、メチレンクロライド等が使用される。触媒としては、アシル化剤が酸無水物である場合には、硫酸のようなプロトン性触媒が好ましく用いられ、アシル化剤が酸クロライド(例えば、CHCHCOCl)である場合には、塩基性化合物が好ましく用いられる。最も一般的なセルロースの混合脂肪酸エステルの工業的合成方法は、セルロースをアセチル基および他のアシル基に対応する脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、吉草酸等)またはそれらの酸無水物を含む混合有機酸成分でアシル化する方法である。
セルロース系樹脂は、機械特性に優れ、製膜時の成形加工性に優れたものとなることから、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(GPC)により測定した溶出曲線より得られる標準ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が1×10〜1×10であることが好ましく、5×10〜2×10であることがさらに好ましい。
本発明の光学補償フィルム用フマル酸エステル重合体は、フマル酸ジエチル残基単位50〜100モル%および上記一般式(2)で示されるフマル酸モノエステル残基単位0〜50モル%を含むものである。フマル酸ジエチル残基単位が50モル%未満の場合(フマル酸モノエステル残基単位が50モル%を超える場合)、重合が困難となる。また、フマル酸ジエチル残基単位60%以上を含むものが好ましく、80モル%以上を含むものがさらに好ましい。
光学補償フィルム用フマル酸エステル重合体におけるフマル酸モノエステル残基単位のエステル置換基であるRは炭素数1〜12のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基、s−ペンチル基、t−ペンチル基、s−ヘキシル基、t−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、セルロース樹脂との相溶性から、炭素数1〜4のエステル基であるメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が特に好ましい。一般式(2)で示されるフマル酸モノエステル残基単位としては、例えば、フマル酸モノメチル残基、フマル酸モノエチル残基、フマル酸モノ−n−プロピル残基、フマル酸モノイソプロピル残基、フマル酸モノ−n−ブチル残基、フマル酸モノ−s−ブチル残基、フマル酸モノ−t−ブチル残基、フマル酸モノ−n−ペンチル残基、フマル酸モノ−s−ペンチル残基、フマル酸モノ−t−ペンチル残基、フマル酸モノ−n−ヘキシル残基、フマル酸モノ−s−ヘキシル残基、フマル酸モノ−t−ヘキシル残基、フマル酸モノ−2−エチルヘキシル、フマル酸モノシクロプロピル残基、フマル酸モノシクロペンチル残基、フマル酸モノシクロヘキシル残基等が挙げられる。これらの中でも、セルロース樹脂との相溶性が良いことから、フマル酸モノメチル残基単位、フマル酸モノエチル残基単位、フマル酸モノ−n−プロピル残基単位、フマル酸モノ−n−ブチル残基単位、フマル酸モノ−2−エチルヘキシル残基単位から選ばれるフマル酸モノエステル残基単位が好ましい。
光学補償フィルム用フマル酸エステル重合体は、フマル酸ジエチル残基単位50〜100モル%およびフマル酸モノエステル残基単位0〜50モル%の割合で含む合計単量体を100モル%として、フマル酸ジエチルおよびフマル酸モノエステル類と共重合可能な単量体の残基単位0〜50モル%を含んでいてもよい。
フマル酸エステル類と共重合可能な単量体の残基単位としては、例えば、スチレン残基、α−メチルスチレン残基などのスチレン類残基;アクリル酸残基;アクリル酸メチル残基、アクリル酸エチル残基、アクリル酸ブチル残基などのアクリル酸エステル類残基;メタクリル酸残基;メタクリル酸メチル残基、メタクリル酸エチル残基、メタクリル酸ブチル残基などのメタクリル酸エステル類残基;酢酸ビニル残基、プロピオン酸ビニル残基などのビニルエステル類残基;アクリロニトリル残基;メタクリロニトリル残基;エチレン残基、プロピレン残基などのオレフィン類残基、ビニルピロリドン残基、ビニルピリジン残基等の1種または2種以上を挙げることができる。
光学補償フィルム用フマル酸エステル重合体は、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(GPC)により測定した溶出曲線より得られる標準ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が1×10〜5×10のものであることが好ましく、特に本発明の光学補償フィルム用フマル酸エステル重合体を用いて得られる光学補償フィルムが機械特性に優れ、製膜時の成形加工性に優れたものとなることから5×10〜2×10であることがさらに好ましい。
本発明の光学補償フィルム用フマル酸エステル重合体を用いるのに好適な樹脂組成物におけるセルロース系樹脂とフマル酸エステル重合体の組成の割合は、セルロース系樹脂60〜99重量%およびフマル酸エステル重合体1〜40重量%である。セルロース系樹脂が60重量%未満の場合(フマル酸エステル重合体が40重量%を超える場合)、またはセルロース系樹脂が99重量%を超える場合(フマル酸エステル重合体が1重量%未満の場合)は、位相差の制御が困難である。好ましくは、セルロース系樹脂70〜97重量%およびフマル酸エステル重合体3〜30重量%であり、さらに好ましくはセルロース系樹脂80〜97重量%およびフマル酸エステル重合体3〜20重量%である。
光学補償フィルム用フマル酸エステル重合体の製造方法としては、該フマル酸エステル重合体が得られる限りにおいて如何なる方法により製造してもよく、例えば、フマル酸ジエチルとフマル酸モノエステル類、場合によってはフマル酸ジエチルおよびフマル酸モノエステル類と共重合可能な単量体を併用し、ラジカル重合を行うことにより製造することができる。この際のフマル酸ジエチルと共重合可能なフマル酸モノエステル類としては、例えば、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノ−n−プロピル、フマル酸モノイソプロピル、フマル酸モノ−n−ブチル、フマル酸モノ−s−ブチル、フマル酸モノ−t−ブチル、フマル酸モノ−s−ペンチル、フマル酸モノ−t−ペンチル、フマル酸モノ−s−ヘキシル、フマル酸モノ−t−ヘキシル、フマル酸モノ−2−エチルヘキシル、フマル酸モノシクロプロピル、フマル酸モノシクロペンチル、フマル酸モノシクロヘキシル等が挙げられ、フマル酸ジエチルおよびフマル酸モノエステル類と共重合可能な単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン類;アクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルなどのアクリル酸エステル類;メタクリル酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどのメタクリル酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;アクリロニトリル;メタクリロニトリル;エチレン、プロピレンなどのオレフィン類;ビニルピロリドン;ビニルピリジン等の1種または2種以上を挙げることができる。
ラジカル重合の方法としては、例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、沈殿重合法、乳化重合法等のいずれもが採用可能である。
ラジカル重合を行う際の重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドなどの有機過酸化物;2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−ブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)などのアゾ系開始剤等が挙げられる。
そして、溶液重合法または沈殿重合法において使用可能な溶媒として特に制限はなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族溶媒;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコールなどのアルコール系溶媒;シクロヘキサン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、酢酸イソプロピル等が挙げられ、これらの混合溶媒をも挙げられる。
また、ラジカル重合を行う際の重合温度は、重合開始剤の分解温度に応じて適宜設定することができ、一般的には30〜150℃の範囲で行うことが好ましい。
本発明の光学補償フィルム用フマル酸エステル重合体を用いるのに好適な樹脂組成物が含有する芳香族炭化水素環または芳香族性ヘテロ環を有する添加剤は、下記式(1)で示される複屈折Δnについては、特に制限はないが、光学特性に優れた光学補償フィルムとなることから、好ましくは0.05以上であり、さらに好ましくは0.05〜0.5、特に好ましくは0.1〜0.5である。添加剤のΔnは分子軌道計算によって求めることができる。
Δn=ny−nx (1)
(式中、nxは添加剤分子の進相軸方向の屈折率を示し、nyは添加剤分子の遅相軸方向の屈折率を示す。)
本発明の光学補償フィルム用フマル酸エステル重合体を用いるのに好適な樹脂組成物における芳香族炭化水素環または芳香族性ヘテロ環を有する添加剤は、芳香族炭化水素環または芳香族性ヘテロ環の分子内の個数については、特に制限はないが、光学特性に優れた光学補償フィルムとなることから、好ましくは1〜12個であり、さらに好ましくは1〜8個である。芳香族炭化水素環としては、例えば、5員環、6員環、7員環または二つ以上の芳香族環からなる縮合環等が挙げられ、芳香族性ヘテロ環としては、例えば、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、1,3,5−トリアジン環等が挙げられる。
芳香族炭化水素環または芳香族性ヘテロ環は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、水酸基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、カルボン酸残基、アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、シアノ基、ニトロ基、スルホニル基、スルホン酸残基、ホスホニル基、ホスホン酸残基等が挙げられる。
本発明で用いるのに好適な芳香族炭化水素環または芳香族性ヘテロ環を有する添加剤としては、例えば、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)等のリン酸エステル系化合物;ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジノルマルオクチルフタレート、2−エチルヘキシルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ジカプリルフタレート、ジノニルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジデシルフタレート、ジイソデシルフタレート等のフタル酸エステル系化合物;トリブチルトリメリテート、トリ−ノルマルヘキシルトリメリテート、トリ(2−エチルヘキシル)トリメリテート、トリ−ノルマルオクチルトリメリテート、トリ−イソクチルトリメリテート、トリ−イソデシルトリメリテート等のトリメリット酸エステル系化合物;トリ(2−エチルヘキシル)ピロメリテート、テトラブチルピロメリテート、テトラ−ノルマルヘキシルピロメリテート、テトラ(2−エチルヘキシル)ピロメリテート、テトラ−ノルマルオクチルピロメリテート、テトラ−イソクチルピロメリテート、テトラ−イソデシルピロメリテート等のピロメリット酸エステル系化合物;安息香酸エチル、安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸エチル等の安息香酸エステル系化合物;フェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレート等のサリチル酸エステル系化合物;メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等のグリコール酸エステル系化合物;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系化合物;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物、N−ベンゼンスルホンアミド等のスルホンアミド系化合物、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン系化合物等が挙げられ、好ましくはトリクレジルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等が挙げられ、これらは必要に応じて1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の光学補償フィルム用フマル酸エステル重合体を用いるのに好適な樹脂組成物における芳香族炭化水素環または芳香族性ヘテロ環を有する添加剤の割合は0.01〜30重量%であり(上記の樹脂成分:70〜99.99重量%)、好ましくは0.5〜20重量%、さらに好ましくは1〜15重量%である。0.01重量%未満の場合は光学特性に劣るものとなり、30重量%を超える場合は機械的特性に劣るものとなる。
本発明の光学補償フィルム用フマル酸エステル重合体を用いるのに好適な樹脂組成物は、熱安定性を向上させるために酸化防止剤を含有していても良い。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ヒドロキシルアミン系酸化防止剤、ビタミンE系酸化防止剤、その他酸化防止剤が挙げられ、これら酸化防止剤はそれぞれ単独でもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
本発明の光学補償フィルム用フマル酸エステル重合体を用いるのに好適な樹脂組成物は、耐候性を高めるためヒンダードアミン系光安定剤や紫外線吸収剤を含有していてもよい。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、トリアジン、ベンゾエート等が挙げられる。
本発明の光学補償フィルム用フマル酸エステル重合体を用いるのに好適な樹脂組成物は、発明の主旨を超えない範囲で、その他ポリマー、界面活性剤、高分子電解質、導電性錯体、顔料、染料、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤等を含有していてもよい。
本発明の光学補償フィルム用フマル酸エステル重合体を用いるのに好適な樹脂組成物は、セルロース系樹脂とフマル酸エステル重合体と芳香族炭化水素環または芳香族性ヘテロ環を有する添加剤をブレンドすることにより得ることができる。
ブレンドの方法としては、溶融ブレンド、溶液ブレンド等の方法を用いることができる。溶融ブレンド法とは加熱により樹脂と芳香族炭化水素環または芳香族性ヘテロ環を有する添加剤を溶融させて混練することにより製造する方法である。溶液ブレンド法とは樹脂と芳香族炭化水素環または芳香族性ヘテロ環を有する添加剤を溶剤に溶解しブレンドする方法である。溶液ブレンドに用いる溶剤としては、例えば、塩化メチレン、クロロホルムなどの塩素系溶剤;トルエン、キシレンなどの芳香族溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール溶剤;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル溶剤;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等を用いることができる。各樹脂および芳香族炭化水素環または芳香族性ヘテロ環を有する添加剤を溶剤に溶解したのちブレンドすることも可能であり、各樹脂の粉体、ペレット等を混練後、溶剤に溶解させることも可能である。得られたブレンド樹脂溶液を貧溶剤に投入し、樹脂組成物を析出させることも可能であり、またブレンド樹脂溶液のまま光学補償フィルムの製造に用いることも可能である。
ブレンドの際のセルロース系樹脂とフマル酸ジエステル重合体と芳香族炭化水素環または芳香族性ヘテロ環を有する添加剤の割合は、セルロース系樹脂:フマル酸エステル重合体が60〜99重量%:1〜40重量%であり、樹脂成分(セルロース系樹脂とフマル酸エステル重合体):芳香族炭化水素環または芳香族性ヘテロ環を有する添加剤が70〜99.99重量%:0.01〜30重量%である。添加剤の割合がこの範囲を外れた場合は位相差の制御が困難になる場合がある。
本発明の光学補償フィルム用フマル酸エステル重合体を用いるのに好適な樹脂組成物を用いた光学補償フィルムは、厚みが5〜200μmであることが好ましく、10〜100μmがさらに好ましく、20〜80μmが特に好ましく、25〜75μmがもっとも好ましい。厚みが5μm未満の場合は、フィルムの取り扱いが困難になる場合があり、200μmを超える場合は、光学部材の薄膜化に適合しない場合がある。
本発明の光学補償フィルム用フマル酸エステル重合体を用いるのに好適な樹脂組成物を用いた光学補償フィルムの位相差特性は、目的とする光学補償フィルムにより異なるものであり、例えば、1)下記式(2)で示される面内位相差(Re)が好ましくは80〜300nm、さらに好ましくは100〜300nmであって、下記式(3)で示されるNz係数が好ましくは0.35〜0.65、さらに好ましくは0.45〜0.55であるもの、2)面内位相差(Re)が好ましくは50〜200nm、さらに好ましくは80〜160nmであって、Nz係数が好ましくは−0.2〜0.2、さらに好ましくは−0.1〜0.1であるもの、3)面内位相差(Re)が好ましくは0〜20nm、さらに好ましくは0〜5nm、下記式(4)で示される面外位相差(Rth)が好ましくは−150〜10nm、さらに好ましくは−120〜0nmであるもの等が挙げられる。このときの位相差特性は全自動複屈折計(王子計測機器株式会社製、商品名KOBRA−21ADH)を用い、測定波長589nmの条件で測定されるものである。
これらは、従来のセルロース系樹脂を用いた光学補償フィルムでは発現が困難な位相差特性を有している。
Re=(ny−nx)×d (2)
Nz=(ny−nz)/(ny−nx) (3)
Rth=[(nx+ny)/2−nz]×d (4)
(式中、nxはフィルム面内の進相軸方向の屈折率を示し、nyはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率を示し、nzはフィルム面外の屈折率を示し、dはフィルム厚みを示す。)
本発明の光学補償フィルム用フマル酸エステル重合体を用いて得られる光学補償フィルムは、輝度向上のため、光線透過率が好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。
本発明の光学補償フィルム用フマル酸エステル重合体を用いて得られる光学補償フィルムは、コントラスト向上のため、ヘーズが好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下である。
本発明の光学補償フィルム用フマル酸エステル重合体を用いるのに好適な樹脂組成物を用いた光学補償フィルムの製造方法としては、本発明の光学補償フィルム用フマル酸エステル重合体を用いて得られる光学補償フィルムの製造が可能であれば如何なる方法を用いてもよいが、光学特性、耐熱性、表面特性などに優れる光学補償フィルムが得られることから、溶液キャスト法により製造することが好ましい。ここで、溶液キャスト法とは、樹脂溶液(一般にはドープと称する。)を支持基板上に流延した後、加熱することにより溶媒を蒸発させて光学補償フィルムを得る方法である。流延する方法としては、例えば、Tダイ法、ドクターブレード法、バーコーター法、ロールコーター法、リップコーター法等が用いられ、工業的には、ダイからドープをベルト状またはドラム状の支持基板に連続的に押し出す方法が最も一般的に用いられている。また、用いられる支持基板としては、例えば、ガラス基板、ステンレスやフェロタイプ等の金属基板、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチック基板などがある。高度に表面性、光学均質性の優れた基板を工業的に連続製膜するには、表面を鏡面仕上げした金属基板が好ましく用いられる。溶液キャスト法において、厚み精度、表面平滑性に優れた光学補償フィルムを製造する際には、樹脂溶液の粘度は極めて重要な因子であり、樹脂溶液の粘度は樹脂の濃度、分子量、溶媒の種類に依存するものである。本発明の光学補償フィルム用フマル酸エステル重合体を用いるのに好適な樹脂組成物を用いた光学補償フィルムを製造する際の樹脂溶液はセルロース系樹脂とフマル酸エステル重合体を溶媒に溶解し調製する。樹脂溶液の粘度は重合体の分子量、重合体の濃度、溶媒の種類で調整可能である。樹脂溶液の粘度としては、特に制限はないが、フィルム塗工性をより容易にするため、好ましくは100〜10000cps、さらに好ましくは300〜5000cps、特に好ましくは500〜3000cpsである。
本発明の光学補償フィルム用フマル酸エステル重合体を用いるのに好適な樹脂組成物を用いた光学補償フィルムの製造方法としては、例えば、樹脂成分として下記一般式(1)で示されるセルロース系樹脂60〜99重量%ならびにフマル酸ジエチル残基単位50〜100モル%および下記一般式(2)で示されるフマル酸モノエステル残基単位0〜50モル%を含むフマル酸エステル重合体1〜40重量%と、該樹脂成分70〜99.99重量%および芳香族炭化水素環または芳香族性ヘテロ環を有する添加剤0.01〜30重量%を含有する樹脂組成物を溶剤に溶解し、得られた樹脂溶液を基材にキャストし、乾燥後、基材より剥離することが挙げられる。
Figure 0006229561
(式中、R、R、Rはそれぞれ独立して水素または炭素数1〜12のアシル基を示す。)
Figure 0006229561
(式中、Rは炭素数1〜12のアルキル基を示す。)
本発明の光学補償フィルム用フマル酸エステル重合体を用いるのに好適な樹脂組成物を用いて得られた光学補償フィルムは、面内位相差(Re)を発現するために一軸延伸またはアンバランス二軸延伸することが好ましい。光学補償フィルムを延伸する方法としては、ロール延伸による縦一軸延伸法やテンター延伸による横一軸延伸法、これらの組み合わせによるアンバランス逐次二軸延伸法やアンバランス同時二軸延伸法等を用いることができる。また本発明の光学補償フィルム用フマル酸エステル重合体を用いて得られる光学補償フィルムでは、熱収縮性フィルムの収縮力の作用下に延伸を行う特殊延伸法を用いずに位相差特性を発現させることができる。
延伸する際の光学補償フィルムの厚みは10〜200μmが好ましく、30〜150μmがさらに好ましく、45〜100μmが特に好ましい。厚みが20μm未満の場合は、延伸が困難になる場合があり、200μmを超える場合は、光学部材の薄膜化に適合しない場合がある。
延伸の温度は特に制限はないが、良好な位相差特性が得られることから、好ましくは50〜200℃、さらに好ましくは100〜160℃である。一軸延伸の延伸倍率は特に制限はないが、良好な位相差特性が得られることから、1.05〜3倍が好ましく、1.1〜2.0倍がさらに好ましい。アンバランス二軸延伸の延伸倍率は特に制限はないが、光学特性に優れた光学補償フィルムとなることから長さ方向には1.05〜3倍が好ましく、1.1〜2.0倍がさらに好ましく、光学特性に優れた光学補償フィルムとなることから、幅方向には1.01〜1.2倍が好ましく、1.05〜1.1倍がさらに好ましい。延伸温度、延伸倍率により面内位相差(Re)を制御することができる。
本発明の光学補償フィルム用フマル酸エステル重合体を用いるのに好適な樹脂組成物を用いた光学補償フィルムは、必要に応じて他樹脂を含むフィルムと積層することができる。他樹脂としては、例えば、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリナフタレンテレフタレート、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、マレイミド系樹脂、フッ素系樹脂、ポリイミド等が挙げられる。また、ハードコート層やガスバリア層を積層することも可能である。
本発明の光学補償フィルム用フマル酸エステル重合体を用いるのに好適な樹脂組成物を用いた光学補償フィルムは、薄膜で特定の位相差特性を示すことから、液晶ディスプレイ用光学補償フィルムや反射防止用フィルムとして有用である。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例により示す諸物性は、以下の方法により測定した。
<重合体の解析>
重合体の構造解析は核磁気共鳴測定装置(日本電子製、商品名:JNM−GX270)を用い、プロトン核磁気共鳴分光(H−NMR)スペクトル分析より求めた。
<数平均分子量の測定>
ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(GPC)装置(東ソー製、商品名:C0−8011(カラムGMHHR―Hを装着))を用い、テトラヒドロフラン、またはジメチルホルムアミドを溶媒として、40℃で測定し、標準ポリスチレン換算値として求めた。
<光学補償フィルムの光線透過率およびヘーズの測定>
作成したフィルムの光線透過率およびヘーズは、ヘーズメーター(日本電色工業製、商品名:NDH2000)を使用し、光線透過率の測定はJIS K 7361−1(1997版)に、ヘーズの測定はJIS−K 7136(2000年版)に、それぞれ準拠して測定した。
<位相差特性の測定>
試料傾斜型自動複屈折計(王子計測機器製、商品名:KOBRA−WR)を用いて波長589nmの光を用いて光学補償フィルムの位相差特性を測定した。
合成例1
容量75mLのガラスアンプルにフマル酸ジエチル50g、および重合開始剤であるtert−ブチルパーオキシピバレート0.45gを入れ、窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で熔封した。このアンプルを50℃の恒温槽に入れ、72時間保持することによりラジカル重合をした。重合反応終了後、アンプルから重合物を取出し、テトラヒドロフラン200gで溶解させた。このポリマー溶液を4Lのヘキサン中に滴下して析出させた後、80℃で10時間真空乾燥することにより、フマル酸ジエチル重合体26gを得た。得られた重合体の数平均分子量は25,000であった。
合成例2
容量75mLのガラスアンプルにフマル酸ジエチル48g、フマル酸モノエチル2.1gおよび重合開始剤であるtert−ブチルパーオキシピバレート0.45gを入れ、窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で熔封した。このアンプルを50℃の恒温槽に入れ、72時間保持することによりラジカル重合をした。重合反応終了後、アンプルから重合物を取出し、テトラヒドロフラン200gで溶解させた。このポリマー溶液を4Lのヘキサン中に滴下して析出させた後、80℃で10時間真空乾燥することにより、フマル酸ジエチル/フマル酸モノエチル共重合体22gを得た。得られた重合体の数平均分子量は23,000、フマル酸ジエチル残基単位95モル%、フマル酸モノエチル残基単位5モル%であった。
合成例3
容量75mLのガラスアンプルにフマル酸ジエチル46g、フマル酸モノエチル4.3gおよび重合開始剤であるtert−ブチルパーオキシピバレート0.47gを入れ、窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で熔封した。このアンプルを50℃の恒温槽に入れ、72時間保持することによりラジカル重合をした。重合反応終了後、アンプルから重合物を取出し、テトラヒドロフラン200gで溶解させた。このポリマー溶液を4Lのヘキサン中に滴下して析出させた後、80℃で10時間真空乾燥することにより、フマル酸ジエチル/フマル酸モノエチル共重合体21gを得た。得られた重合体の数平均分子量は20,000、フマル酸ジエチル残基単位90モル%、フマル酸モノエチル残基単位10モル%であった。
合成例4
容量75mLのガラスアンプルにフマル酸ジエチル41g、フマル酸モノエチル8.7gおよび重合開始剤であるtert−ブチルパーオキシピバレート0.48gを入れ、窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で熔封した。このアンプルを50℃の恒温槽に入れ、72時間保持することによりラジカル重合をした。重合反応終了後、アンプルから重合物を取出し、テトラヒドロフラン200gで溶解させた。このポリマー溶液を4Lのヘキサン中に滴下して析出させた後、80℃で10時間真空乾燥することにより、フマル酸ジエチル/フマル酸モノエチル共重合体15gを得た。得られた重合体の数平均分子量は16,000、フマル酸ジエチル残基単位82モル%、フマル酸モノエチル残基単位18モル%であった。
合成例5
5リットルオートクレーブ中に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.2重量%を含む蒸留水2600g、フマル酸ジイソプロピル1232g、フマル酸ジ−n−ブチル168g、重合開始剤(日油製、商品名:パーブチルPV)11gを仕込み、重合温度47℃、重合時間36時間の条件にて懸濁ラジカル重合反応を行った。得られた重合体粒子を濾過回収し、水、メタノールで十分に洗浄し80℃にて乾燥することにより、フマル酸ジイソプロピル/フマル酸ジ−n−ブチル共重合体を得た。得られた重合体の数平均分子量は88000、フマル酸ジイソプロピル残基単位88モル%、フマル酸ジ−n−ブチル残基単位12モル%であった。
実施例1
セルロースアセテートブチレート(ブチリル基=53モル%、アセチル基=33モル%、全置換度DS=2.58、数平均分子量=70,000、イーストマンケミカル製)143g、合成例1により得られたフマル酸ジエチル/フマル酸モノエチル共重合体8gと2,2’,4,4’―テトラヒドロキシベンゾフェノン15gをテトラヒドロフランに溶解して15重量%の樹脂溶液とし、コーターによりポリエチレンテレフタレートフィルム上に流涎し、乾燥温度25℃にて乾燥した後、幅150mmの光学補償フィルム(樹脂組成物)を得た[樹脂成分(セルロースアセテートブチレート:95重量%、フマル酸ジエチル/フマル酸モノエチル共重合体:5重量%):90重量%、2,2’,4,4’―テトラヒドロキシベンゾフェノン:10重量%]。得られた光学補償フィルムを50mm角に切り出し、120℃で1.75倍に一軸延伸した(延伸後の厚み60μm)。
得られた光学補償フィルムの全光線透過率、ヘーズ、位相差特性を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 0006229561
得られた光学補償フィルムは、光線透過率が高く透明性に優れる、ヘーズが小さい、面内位相差(Re)およびNz係数が目的とする光学特性を有するものであった。
実施例2
セルロースブチレート(ブチリル基=53モル%、アセチル基=33モル%、全置換度DS=2.58、数平均分子量=70,000、イーストマンケミカル製)143g、合成例2により得られたフマル酸ジエチル/フマル酸モノエチル共重合体8gと2,2’,4,4’―テトラヒドロキシベンゾフェノン15gをテトラヒドロフランに溶解して15重量%の樹脂溶液とし、コーターによりポリエチレンテレフタレートフィルム上に流涎し、乾燥温度25℃にて乾燥した後、幅150mmの光学補償フィルム(樹脂組成物)を得た[樹脂成分(セルロースブチレート:95重量%、フマル酸ジエチル/フマル酸モノエチル共重合体:5重量%):90重量%、2,2’,4,4’―テトラヒドロキシベンゾフェノン:10重量%]。得られた光学補償フィルムを50mm角に切り出し、120℃で1.75倍に一軸延伸した(延伸後の厚み60μm)。得られた光学補償フィルムの光線透過率、ヘーズ、位相差特性を測定した。その結果を表1に合わせて示す。
得られた光学補償フィルムは、光線透過率が高く透明性に優れる、ヘーズが小さい、面内位相差(Re)およびNz係数が目的とする光学特性を有するものであった。
実施例3
セルロースアセテートブチレート(ブチリル基=53モル%、アセチル基=33モル%、全置換度DS=2.58、数平均分子量=70,000、イーストマンケミカル製)143g、合成例3により得られたフマル酸ジエチル/フマル酸モノエチル共重合体8gと2,2’,4,4’―テトラヒドロキシベンゾフェノン15gをテトラヒドロフランに溶解して15重量%の樹脂溶液とし、コーターによりポリエチレンテレフタレートフィルム上に流涎し、乾燥温度25℃にて乾燥した後、幅150mmの光学補償フィルム(樹脂組成物)を得た[樹脂成分(セルロースアセテートブチレート:95重量%、フマル酸ジエチル/フマル酸モノエチル共重合体:5重量%):90重量%、2,2’,4,4’―テトラヒドロキシベンゾフェノン:10重量%]。得られた光学補償フィルムを50mm角に切り出し、120℃で1.7倍に一軸延伸した(延伸後の厚み60μm)。得られた光学補償フィルムの光線透過率、ヘーズ、位相差特性を測定した。その結果を表1に合わせて示す。
得られた光学補償フィルムは、光線透過率が高く透明性に優れる、ヘーズが小さい、面内位相差(Re)およびNz係数が目的とする光学特性を有するものであった。
実施例4
セルロースアセテートブチレート(ブチリル基=53モル%、アセチル基=33モル%、全置換度DS=2.58、数平均分子量=70,000、イーストマンケミカル製)143g、合成例4により得られたフマル酸ジエチル/フマル酸モノエチル共重合体8gと2,2’,4,4’―テトラヒドロキシベンゾフェノン15gをテトラヒドロフランに溶解して15重量%の樹脂溶液とし、コーターによりポリエチレンテレフタレートフィルム上に流涎し、乾燥温度25℃にて乾燥した後、幅150mmの光学補償フィルム(樹脂組成物)を得た[樹脂成分(セルロースアセテートブチレート:95重量%、フマル酸ジエチル/フマル酸モノエチル共重合体:5重量%):90重量%、2,2’,4,4’―テトラヒドロキシベンゾフェノン:10重量%]。得られた光学補償フィルムを50mm角に切り出し、120℃で1.75倍に一軸延伸した(延伸後の厚み60μm)。得られた光学補償フィルムの光線透過率、ヘーズ、位相差特性を測定した。その結果を表1に合わせて示す。
得られた光学補償フィルムは、光線透過率が高く透明性に優れる、ヘーズが小さい、面内位相差(Re)およびNz係数が目的とする光学特性を有するものであった。
実施例5
セルロースアセテートブチレート(ブチリル基=23モル%、アセチル基=70モル%、全置換度DS=2.79、数平均分子量=65,000、イーストマンケミカル製)143g、合成例1により得られたフマル酸ジエチル/フマル酸モノエチル共重合体8gと2,2’,4,4’―テトラヒドロキシベンゾフェノン15gをテトラヒドロフランに溶解して15重量%の樹脂溶液とし、コーターによりポリエチレンテレフタレートフィルム上に流涎し、乾燥温度25℃にて乾燥した後、幅150mmの光学補償フィルム(樹脂組成物)を得た[樹脂成分(セルロースアセテートブチレート:95重量%、フマル酸ジエチル/フマル酸モノエチル共重合体:5重量%):90重量%、2,2’,4,4’―テトラヒドロキシベンゾフェノン:10重量%]。得られた光学補償フィルムを50mm角に切り出し、140℃で1.75倍に一軸延伸した(延伸後の厚み60μm)。得られた光学補償フィルムの光線透過率、ヘーズ、位相差特性を測定した。その結果を表1に合わせて示す。
得られた光学補償フィルムは、光線透過率が高く透明性に優れる、ヘーズが小さい、面内位相差(Re)およびNz係数が目的とする光学特性を有するものであった。
実施例6
セルロースアセテートブチレート(ブチリル基=23モル%、アセチル基=70モル%、全置換度DS=2.79、数平均分子量=65,000、イーストマンケミカル製)143g、合成例2により得られたフマル酸ジエチル/フマル酸モノエチル共重合体8gと2,2’,4,4’―テトラヒドロキシベンゾフェノン15gをテトラヒドロフランに溶解して15重量%の樹脂溶液とし、コーターによりポリエチレンテレフタレートフィルム上に流涎し、乾燥温度25℃にて乾燥した後、幅150mmの光学補償フィルム(樹脂組成物)を得た[樹脂成分(セルロースアセテートブチレート:95重量%、フマル酸ジエチル/フマル酸モノエチル共重合体:5重量%):90重量%、2,2’,4,4’―テトラヒドロキシベンゾフェノン:10重量%]。得られた光学補償フィルムを50mm角に切り出し、140℃で1.75倍に一軸延伸した(延伸後の厚み60μm)。得られた光学補償フィルムの光線透過率、ヘーズ、位相差特性を測定した。その結果を表1に合わせて示す。
得られた光学補償フィルムは、光線透過率が高く透明性に優れる、ヘーズが小さい、面内位相差(Re)およびNz係数が目的とする光学特性を有するものであった。
比較例1
実施例1で用いたセルロースアセテートブチレート200gおよび2,2’,4,4’―テトラヒドロキシベンゾフェノン22gをテトラヒドロフラン800gに溶解し、Tダイ法により溶液流延装置の支持体に流延し、乾燥温度30℃、次いで80℃と段階的に乾燥し、幅150mm、厚み77μmのフィルム(樹脂組成物)を得た(セルロースアセテートブチレート:90重量%、2,2’,4,4’―テトラヒドロキシベンゾフェノン:10重量%)。得られたフィルムの光線透過率、ヘーズ、位相差特性を測定した。その結果を表2に示す。
Figure 0006229561
得られたフィルムは、光線透過率が高く透明性に優れ、ヘーズが小さいものの、厚み方向の面外位相差(Rth)が大きく目的とする光学特性を有していなかった。
比較例2
実施例1で使用したセルロースアセテートブチレート200gおよび2,2’,4,4’―テトラヒドロキシベンゾフェノン22gをメチルエチルケトン800gに溶解し、Tダイ法により溶液流延装置の支持体に流延し、乾燥温度30℃、次いで100℃と段階的に乾燥した後、幅150mm、厚み200μmの光学補償フィルム(樹脂組成物)を得た(セルロースアセテートブチレート:90重量%、2,2’,4,4’―テトラヒドロキシベンゾフェノン:10重量%)。得られた光学補償フィルムを50mm角に切り出し、125℃で縦1.5倍、横1.1倍に延伸した(延伸後の厚み163μm)。得られた光学補償フィルムの光線透過率、ヘーズ、位相差特性を測定した。その結果を表2に合わせて示す。
得られた光学補償フィルムは、光線透過率が高く透明性に優れ、ヘーズが小さいものの、面内位相差(Re)およびNz係数が目的とする光学特性を有していなかった。
比較例3
実施例1で用いたセルロースアセテートブチレート161.5g、合成例5により得られたフマル酸ジイソプロピル/フマル酸ジ−n−ブチル共重合体8.5gと2,2’,4,4’―テトラヒドロキシベンゾフェノン18gをメチルエチルケトン800gに溶解した。溶解したものを、Tダイ法により溶液流延装置の支持体に流延し、乾燥温度30℃、次いで100℃と段階的に乾燥した後、幅150mm、厚み220μmの光学補償フィルム(樹脂組成物)を得た[樹脂成分(セルロースアセテートブチレート:95重量%、フマル酸ジイソプロピル/フマル酸ジ−n−ブチル共重合体:5重量%):90重量%、2,2’,4,4’―テトラヒドロキシベンゾフェノン:10重量%]。得られた光学補償フィルムを50mm角に切り出し、125℃で縦1.5倍、横1.1倍に延伸した。得られた光学補償フィルムの光線透過率、ヘーズ、位相差特性を測定した。その結果を表2に合わせて示す。
得られた光学補償フィルムは、面内位相差(Re)が目的とする光学特性を有しているものの、光線透過率が低く透明性に劣り、ヘーズが大きかった。
比較例4
実施例2で用いたセルロースブチレート200gおよび2,2’,4,4’―テトラヒドロキシベンゾフェノン22gをテトラヒドロフラン800gに溶解し、Tダイ法により溶液流延装置の支持体に流延し、乾燥温度30℃、次いで80℃と段階的に乾燥し、幅150mm、厚み77μmのフィルム(樹脂組成物)を得た(セルロースブチレート:90重量%、2,2’,4,4’―テトラヒドロキシベンゾフェノン:10重量%)。得られたフィルムの光線透過率、ヘーズ、位相差特性を測定した。その結果を表2に合わせて示す。
得られたフィルムは、光線透過率が高く透明性に優れ、ヘーズが小さいものの、厚み方向の面外位相差(Rth)が大きく目的とする光学特性を有していなかった。

Claims (1)

  1. 記一般式(1)で示されるセルロース系樹脂60〜99重量%ならびにフマル酸ジエチル残基単位50〜100モル%(ただし、フマル酸ジエチル残基単位が100モル%である場合を除く。)およびフマル酸モノメチル残基単位、フマル酸モノエチル残基単位、フマル酸モノイソプロピル残基単位、フマル酸モノ−n−プロピル残基単位、フマル酸モノ−n−ブチル残基単位、フマル酸モノ−2−エチルヘキシル残基単位から選ばれるフマル酸モノエステル残基単位0〜50モル%(ただし、フマル酸モノエステル残基単位が0モル%である場合を除く。)を含む光学補償フィルム用フマル酸エステル重合体1〜40重量%を含有し、さらに、該セルロース系樹脂と該フマル酸エステル重合体とからなる樹脂成分70〜99.99重量%および芳香族炭化水素環または芳香族性ヘテロ環を有する添加剤0.01〜30重量%を含有することを特徴とする樹脂組成物。
    Figure 0006229561
    (式中、R、R、Rはそれぞれ独立して水素または炭素数1〜12のアシル基を示す。)
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