JP6229561B2 - 光学補償フィルム用重合体 - Google Patents
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Description
(式中、nxはフィルム面内の進相軸方向の屈折率、nyはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、nzはフィルム面外の屈折率を示し、dはフィルム厚みを示す。)
また、フマル酸エステル系樹脂からなる位相差フィルムが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
本発明の光学補償フィルム用フマル酸エステル重合体を用いるのに好適な樹脂組成物が含有するセルロース系樹脂は、β−グルコース単位が直鎖状に重合した高分子であり、グルコース単位の2位、3位および6位の水酸基の一部または全部をアシル基によりエステル化したポリマーであり、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートブチレート等が挙げられる。
(式中、nxは添加剤分子の進相軸方向の屈折率を示し、nyは添加剤分子の遅相軸方向の屈折率を示す。)
本発明の光学補償フィルム用フマル酸エステル重合体を用いるのに好適な樹脂組成物における芳香族炭化水素環または芳香族性ヘテロ環を有する添加剤は、芳香族炭化水素環または芳香族性ヘテロ環の分子内の個数については、特に制限はないが、光学特性に優れた光学補償フィルムとなることから、好ましくは1〜12個であり、さらに好ましくは1〜8個である。芳香族炭化水素環としては、例えば、5員環、6員環、7員環または二つ以上の芳香族環からなる縮合環等が挙げられ、芳香族性ヘテロ環としては、例えば、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、1,3,5−トリアジン環等が挙げられる。
Nz=(ny−nz)/(ny−nx) (3)
Rth=[(nx+ny)/2−nz]×d (4)
(式中、nxはフィルム面内の進相軸方向の屈折率を示し、nyはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率を示し、nzはフィルム面外の屈折率を示し、dはフィルム厚みを示す。)
本発明の光学補償フィルム用フマル酸エステル重合体を用いて得られる光学補償フィルムは、輝度向上のため、光線透過率が好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。
本発明の光学補償フィルム用フマル酸エステル重合体を用いるのに好適な樹脂組成物を用いて得られた光学補償フィルムは、面内位相差(Re)を発現するために一軸延伸またはアンバランス二軸延伸することが好ましい。光学補償フィルムを延伸する方法としては、ロール延伸による縦一軸延伸法やテンター延伸による横一軸延伸法、これらの組み合わせによるアンバランス逐次二軸延伸法やアンバランス同時二軸延伸法等を用いることができる。また本発明の光学補償フィルム用フマル酸エステル重合体を用いて得られる光学補償フィルムでは、熱収縮性フィルムの収縮力の作用下に延伸を行う特殊延伸法を用いずに位相差特性を発現させることができる。
重合体の構造解析は核磁気共鳴測定装置(日本電子製、商品名:JNM−GX270)を用い、プロトン核磁気共鳴分光(1H−NMR)スペクトル分析より求めた。
ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(GPC)装置(東ソー製、商品名:C0−8011(カラムGMHHR―Hを装着))を用い、テトラヒドロフラン、またはジメチルホルムアミドを溶媒として、40℃で測定し、標準ポリスチレン換算値として求めた。
作成したフィルムの光線透過率およびヘーズは、ヘーズメーター(日本電色工業製、商品名:NDH2000)を使用し、光線透過率の測定はJIS K 7361−1(1997版)に、ヘーズの測定はJIS−K 7136(2000年版)に、それぞれ準拠して測定した。
試料傾斜型自動複屈折計(王子計測機器製、商品名:KOBRA−WR)を用いて波長589nmの光を用いて光学補償フィルムの位相差特性を測定した。
容量75mLのガラスアンプルにフマル酸ジエチル50g、および重合開始剤であるtert−ブチルパーオキシピバレート0.45gを入れ、窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で熔封した。このアンプルを50℃の恒温槽に入れ、72時間保持することによりラジカル重合をした。重合反応終了後、アンプルから重合物を取出し、テトラヒドロフラン200gで溶解させた。このポリマー溶液を4Lのヘキサン中に滴下して析出させた後、80℃で10時間真空乾燥することにより、フマル酸ジエチル重合体26gを得た。得られた重合体の数平均分子量は25,000であった。
容量75mLのガラスアンプルにフマル酸ジエチル48g、フマル酸モノエチル2.1gおよび重合開始剤であるtert−ブチルパーオキシピバレート0.45gを入れ、窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で熔封した。このアンプルを50℃の恒温槽に入れ、72時間保持することによりラジカル重合をした。重合反応終了後、アンプルから重合物を取出し、テトラヒドロフラン200gで溶解させた。このポリマー溶液を4Lのヘキサン中に滴下して析出させた後、80℃で10時間真空乾燥することにより、フマル酸ジエチル/フマル酸モノエチル共重合体22gを得た。得られた重合体の数平均分子量は23,000、フマル酸ジエチル残基単位95モル%、フマル酸モノエチル残基単位5モル%であった。
容量75mLのガラスアンプルにフマル酸ジエチル46g、フマル酸モノエチル4.3gおよび重合開始剤であるtert−ブチルパーオキシピバレート0.47gを入れ、窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で熔封した。このアンプルを50℃の恒温槽に入れ、72時間保持することによりラジカル重合をした。重合反応終了後、アンプルから重合物を取出し、テトラヒドロフラン200gで溶解させた。このポリマー溶液を4Lのヘキサン中に滴下して析出させた後、80℃で10時間真空乾燥することにより、フマル酸ジエチル/フマル酸モノエチル共重合体21gを得た。得られた重合体の数平均分子量は20,000、フマル酸ジエチル残基単位90モル%、フマル酸モノエチル残基単位10モル%であった。
容量75mLのガラスアンプルにフマル酸ジエチル41g、フマル酸モノエチル8.7gおよび重合開始剤であるtert−ブチルパーオキシピバレート0.48gを入れ、窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で熔封した。このアンプルを50℃の恒温槽に入れ、72時間保持することによりラジカル重合をした。重合反応終了後、アンプルから重合物を取出し、テトラヒドロフラン200gで溶解させた。このポリマー溶液を4Lのヘキサン中に滴下して析出させた後、80℃で10時間真空乾燥することにより、フマル酸ジエチル/フマル酸モノエチル共重合体15gを得た。得られた重合体の数平均分子量は16,000、フマル酸ジエチル残基単位82モル%、フマル酸モノエチル残基単位18モル%であった。
5リットルオートクレーブ中に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.2重量%を含む蒸留水2600g、フマル酸ジイソプロピル1232g、フマル酸ジ−n−ブチル168g、重合開始剤(日油製、商品名:パーブチルPV)11gを仕込み、重合温度47℃、重合時間36時間の条件にて懸濁ラジカル重合反応を行った。得られた重合体粒子を濾過回収し、水、メタノールで十分に洗浄し80℃にて乾燥することにより、フマル酸ジイソプロピル/フマル酸ジ−n−ブチル共重合体を得た。得られた重合体の数平均分子量は88000、フマル酸ジイソプロピル残基単位88モル%、フマル酸ジ−n−ブチル残基単位12モル%であった。
セルロースアセテートブチレート(ブチリル基=53モル%、アセチル基=33モル%、全置換度DS=2.58、数平均分子量=70,000、イーストマンケミカル製)143g、合成例1により得られたフマル酸ジエチル/フマル酸モノエチル共重合体8gと2,2’,4,4’―テトラヒドロキシベンゾフェノン15gをテトラヒドロフランに溶解して15重量%の樹脂溶液とし、コーターによりポリエチレンテレフタレートフィルム上に流涎し、乾燥温度25℃にて乾燥した後、幅150mmの光学補償フィルム(樹脂組成物)を得た[樹脂成分(セルロースアセテートブチレート:95重量%、フマル酸ジエチル/フマル酸モノエチル共重合体:5重量%):90重量%、2,2’,4,4’―テトラヒドロキシベンゾフェノン:10重量%]。得られた光学補償フィルムを50mm角に切り出し、120℃で1.75倍に一軸延伸した(延伸後の厚み60μm)。
セルロースブチレート(ブチリル基=53モル%、アセチル基=33モル%、全置換度DS=2.58、数平均分子量=70,000、イーストマンケミカル製)143g、合成例2により得られたフマル酸ジエチル/フマル酸モノエチル共重合体8gと2,2’,4,4’―テトラヒドロキシベンゾフェノン15gをテトラヒドロフランに溶解して15重量%の樹脂溶液とし、コーターによりポリエチレンテレフタレートフィルム上に流涎し、乾燥温度25℃にて乾燥した後、幅150mmの光学補償フィルム(樹脂組成物)を得た[樹脂成分(セルロースブチレート:95重量%、フマル酸ジエチル/フマル酸モノエチル共重合体:5重量%):90重量%、2,2’,4,4’―テトラヒドロキシベンゾフェノン:10重量%]。得られた光学補償フィルムを50mm角に切り出し、120℃で1.75倍に一軸延伸した(延伸後の厚み60μm)。得られた光学補償フィルムの光線透過率、ヘーズ、位相差特性を測定した。その結果を表1に合わせて示す。
セルロースアセテートブチレート(ブチリル基=53モル%、アセチル基=33モル%、全置換度DS=2.58、数平均分子量=70,000、イーストマンケミカル製)143g、合成例3により得られたフマル酸ジエチル/フマル酸モノエチル共重合体8gと2,2’,4,4’―テトラヒドロキシベンゾフェノン15gをテトラヒドロフランに溶解して15重量%の樹脂溶液とし、コーターによりポリエチレンテレフタレートフィルム上に流涎し、乾燥温度25℃にて乾燥した後、幅150mmの光学補償フィルム(樹脂組成物)を得た[樹脂成分(セルロースアセテートブチレート:95重量%、フマル酸ジエチル/フマル酸モノエチル共重合体:5重量%):90重量%、2,2’,4,4’―テトラヒドロキシベンゾフェノン:10重量%]。得られた光学補償フィルムを50mm角に切り出し、120℃で1.7倍に一軸延伸した(延伸後の厚み60μm)。得られた光学補償フィルムの光線透過率、ヘーズ、位相差特性を測定した。その結果を表1に合わせて示す。
セルロースアセテートブチレート(ブチリル基=53モル%、アセチル基=33モル%、全置換度DS=2.58、数平均分子量=70,000、イーストマンケミカル製)143g、合成例4により得られたフマル酸ジエチル/フマル酸モノエチル共重合体8gと2,2’,4,4’―テトラヒドロキシベンゾフェノン15gをテトラヒドロフランに溶解して15重量%の樹脂溶液とし、コーターによりポリエチレンテレフタレートフィルム上に流涎し、乾燥温度25℃にて乾燥した後、幅150mmの光学補償フィルム(樹脂組成物)を得た[樹脂成分(セルロースアセテートブチレート:95重量%、フマル酸ジエチル/フマル酸モノエチル共重合体:5重量%):90重量%、2,2’,4,4’―テトラヒドロキシベンゾフェノン:10重量%]。得られた光学補償フィルムを50mm角に切り出し、120℃で1.75倍に一軸延伸した(延伸後の厚み60μm)。得られた光学補償フィルムの光線透過率、ヘーズ、位相差特性を測定した。その結果を表1に合わせて示す。
セルロースアセテートブチレート(ブチリル基=23モル%、アセチル基=70モル%、全置換度DS=2.79、数平均分子量=65,000、イーストマンケミカル製)143g、合成例1により得られたフマル酸ジエチル/フマル酸モノエチル共重合体8gと2,2’,4,4’―テトラヒドロキシベンゾフェノン15gをテトラヒドロフランに溶解して15重量%の樹脂溶液とし、コーターによりポリエチレンテレフタレートフィルム上に流涎し、乾燥温度25℃にて乾燥した後、幅150mmの光学補償フィルム(樹脂組成物)を得た[樹脂成分(セルロースアセテートブチレート:95重量%、フマル酸ジエチル/フマル酸モノエチル共重合体:5重量%):90重量%、2,2’,4,4’―テトラヒドロキシベンゾフェノン:10重量%]。得られた光学補償フィルムを50mm角に切り出し、140℃で1.75倍に一軸延伸した(延伸後の厚み60μm)。得られた光学補償フィルムの光線透過率、ヘーズ、位相差特性を測定した。その結果を表1に合わせて示す。
セルロースアセテートブチレート(ブチリル基=23モル%、アセチル基=70モル%、全置換度DS=2.79、数平均分子量=65,000、イーストマンケミカル製)143g、合成例2により得られたフマル酸ジエチル/フマル酸モノエチル共重合体8gと2,2’,4,4’―テトラヒドロキシベンゾフェノン15gをテトラヒドロフランに溶解して15重量%の樹脂溶液とし、コーターによりポリエチレンテレフタレートフィルム上に流涎し、乾燥温度25℃にて乾燥した後、幅150mmの光学補償フィルム(樹脂組成物)を得た[樹脂成分(セルロースアセテートブチレート:95重量%、フマル酸ジエチル/フマル酸モノエチル共重合体:5重量%):90重量%、2,2’,4,4’―テトラヒドロキシベンゾフェノン:10重量%]。得られた光学補償フィルムを50mm角に切り出し、140℃で1.75倍に一軸延伸した(延伸後の厚み60μm)。得られた光学補償フィルムの光線透過率、ヘーズ、位相差特性を測定した。その結果を表1に合わせて示す。
実施例1で用いたセルロースアセテートブチレート200gおよび2,2’,4,4’―テトラヒドロキシベンゾフェノン22gをテトラヒドロフラン800gに溶解し、Tダイ法により溶液流延装置の支持体に流延し、乾燥温度30℃、次いで80℃と段階的に乾燥し、幅150mm、厚み77μmのフィルム(樹脂組成物)を得た(セルロースアセテートブチレート:90重量%、2,2’,4,4’―テトラヒドロキシベンゾフェノン:10重量%)。得られたフィルムの光線透過率、ヘーズ、位相差特性を測定した。その結果を表2に示す。
実施例1で使用したセルロースアセテートブチレート200gおよび2,2’,4,4’―テトラヒドロキシベンゾフェノン22gをメチルエチルケトン800gに溶解し、Tダイ法により溶液流延装置の支持体に流延し、乾燥温度30℃、次いで100℃と段階的に乾燥した後、幅150mm、厚み200μmの光学補償フィルム(樹脂組成物)を得た(セルロースアセテートブチレート:90重量%、2,2’,4,4’―テトラヒドロキシベンゾフェノン:10重量%)。得られた光学補償フィルムを50mm角に切り出し、125℃で縦1.5倍、横1.1倍に延伸した(延伸後の厚み163μm)。得られた光学補償フィルムの光線透過率、ヘーズ、位相差特性を測定した。その結果を表2に合わせて示す。
実施例1で用いたセルロースアセテートブチレート161.5g、合成例5により得られたフマル酸ジイソプロピル/フマル酸ジ−n−ブチル共重合体8.5gと2,2’,4,4’―テトラヒドロキシベンゾフェノン18gをメチルエチルケトン800gに溶解した。溶解したものを、Tダイ法により溶液流延装置の支持体に流延し、乾燥温度30℃、次いで100℃と段階的に乾燥した後、幅150mm、厚み220μmの光学補償フィルム(樹脂組成物)を得た[樹脂成分(セルロースアセテートブチレート:95重量%、フマル酸ジイソプロピル/フマル酸ジ−n−ブチル共重合体:5重量%):90重量%、2,2’,4,4’―テトラヒドロキシベンゾフェノン:10重量%]。得られた光学補償フィルムを50mm角に切り出し、125℃で縦1.5倍、横1.1倍に延伸した。得られた光学補償フィルムの光線透過率、ヘーズ、位相差特性を測定した。その結果を表2に合わせて示す。
実施例2で用いたセルロースブチレート200gおよび2,2’,4,4’―テトラヒドロキシベンゾフェノン22gをテトラヒドロフラン800gに溶解し、Tダイ法により溶液流延装置の支持体に流延し、乾燥温度30℃、次いで80℃と段階的に乾燥し、幅150mm、厚み77μmのフィルム(樹脂組成物)を得た(セルロースブチレート:90重量%、2,2’,4,4’―テトラヒドロキシベンゾフェノン:10重量%)。得られたフィルムの光線透過率、ヘーズ、位相差特性を測定した。その結果を表2に合わせて示す。
Claims (1)
- 下記一般式(1)で示されるセルロース系樹脂60〜99重量%ならびにフマル酸ジエチル残基単位50〜100モル%(ただし、フマル酸ジエチル残基単位が100モル%である場合を除く。)およびフマル酸モノメチル残基単位、フマル酸モノエチル残基単位、フマル酸モノイソプロピル残基単位、フマル酸モノ−n−プロピル残基単位、フマル酸モノ−n−ブチル残基単位、フマル酸モノ−2−エチルヘキシル残基単位から選ばれるフマル酸モノエステル残基単位0〜50モル%(ただし、フマル酸モノエステル残基単位が0モル%である場合を除く。)を含む光学補償フィルム用フマル酸エステル重合体1〜40重量%を含有し、さらに、該セルロース系樹脂と該フマル酸エステル重合体とからなる樹脂成分70〜99.99重量%および芳香族炭化水素環または芳香族性ヘテロ環を有する添加剤0.01〜30重量%を含有することを特徴とする樹脂組成物。
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