JP4239819B2 - ペプチド生成酵素遺伝子、ペプチド生成酵素およびジペプチドの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、複雑な合成方法を経ることなく、簡便かつ安価にジペプチドを製造する方法に関し、詳しくは、ペプチド生成酵素遺伝子、ペプチド生成酵素、および該酵素を用いたジペプチドの製造方法に関する。
背景技術
ジペプチドは、医薬品素材、機能性食品等のさまざまな分野で利用されている。例えば、L−アラニル−L−グルタミンは無血清培地の成分として有用であり、L−グルタミンに比べ安定で、水溶性も高いことから輸液成分に用いられる。
ジペプチドの製造法としては従来から化学合成法が知られているが、その製造法は必ずしも簡便なものではなかった。例えば、N−ベンジルオキシカルボニルアラニン(以下Z−アラニンと称する)と保護L−グルタミンを用いる方法(Bull.Chem.Soc.Jpn.,34,739(1961)、Bull.Chem.Soc.Jpn.,35,1966(1962))、Z−アラニンと保護L−グルタミン酸−γ−メチルエステルを用いる方法(Bull.Chem.Soc.Jpn.,37,200(1964))、Z−アラニンエステルと無保護グルタミン酸を用いる方法(特開平1−96194号公報)、2−置換−プロピオニルハロイドを原料として、N−(2−置換)−プロピオニルグルタミン誘導体を中間体として合成する方法(特開平6−234715号公報)等が知られている。
しかしながら、いずれの方法においても、保護基の導入脱離、もしくは中間体の合成が必要であり、工業的に有利で十分に満足できる製造方法ではなかった。酵素を用いたジペプチドの代表的製造法としては、N保護、C無保護のカルボキシ成分とN無保護、C保護のアミン成分を用いる縮合反応(反応1)、およびN保護、C保護のカルボキシ成分とN無保護、C保護のアミン成分を用いる置換反応(反応2)が知られており、反応1の例としては、Z−アスパラギン酸とフェニルアラニンメチルエステルからのZ−アスパルチルフェニルアラニンメチルエステルの製造方法(特開昭53−92729号公報)、(反応2)の例としてはアセチルフェニルアラニンエチルエステルとロイシンアミドからのアセチルフェニルアラニルロイシンアミドの製造方法(Biochemical J.,163,531(1977))が挙げられる。N無保護、C保護のカルボキシ成分を用いる方法の研究報告例は極めて少なく、N無保護、C保護のカルボキシ成分とN無保護、C保護のアミン成分を用いる置換反応(反応3)の例としては特許WO 90/01555があり、例えばアルギニンエチルエステルとロイシンアミドからのアルギニルロイシンアミドの製造方法が挙げられる。N無保護、C保護のカルボキシ成分とN無保護、C無保護のアミン成分を用いる置換反応(反応4)の例としては、特許EP 278787Aがあり、例えばチロシンエチルエステルとアラニンからのチロシルアラニンの製造方法が挙げられる。これらの方法の中で最も安価な製造方法となり得るのは、当然ながら保護基の数が最も少ない反応4の範疇に入る反応である。
しかしながら、反応4の先行例(特許EP 278787A)に使用する酵素は、カビ、植物に由来する比較的高価なcarboxypeptidase標品を用いており、また生産されるジペプチドも比較的疎水度の高いアミノ酸を含むものであった。反応4において、細菌および酵母由来の酵素を用いる方法は全く知られておらず、また親水性の高いアラニルグルタミンやアラニルアスパラギンの製造方法についても全く知られていなかった。このような背景の下、これらペプチドの工業的安価な製造法の開発が望まれていた。
一方、プロリンイミノペプチダーゼは、N末端にプロリンを持つペプチドから、そのN末端プロリンを切り出す反応を触媒する酵素であり、多くの生物種においてその存在が知られている。例えば、モルモット(脳)(J.Biol.Chem.,258,6147−6154(1983))、ラット(脳・腎)(Eur.J.Biochem.,190,509−515(1990))等の高等動物、アンズ種子(J.Biochem.,92,413−421(1982))等の高等植物、トルコデマ・デンテコーラ(Infect,Immun.,64,702−708(1996))等の口腔スピロヘータ、ペニシリウム等の糸状菌(特開平1−215288)、しいたけ等の担子菌(特開昭58−36387)、ストレプトミセズ・ブリカタス(Biochem.Biophys.Res.Commun.,184,1250−1255(1992))等の放線菌類、コリネバクテリウム・バリアビリス(J.Appl.Microbiol.,90,449−456(2001))等の細菌等で、プロリンイミノペプチダーゼの存在が知られている。
また、プロリンイミノペプチダーゼ遺伝子も、アースロバクター・ニコチアナ(FEMS Microbiol.Lett.,78,191−197(1999))、エシェリヒア・コリ(特開平2−113887)、フラボバクテリウム・メニンゴセプティカム(Arch.Biochem.Biophys.,336,35−41(1996))、ハフニア・アルベイ(J.Biochem.,119,468−474(1996))、ラクトバチルス・デブルキー(Microbiology,140,527−535(1994))、バチルス・コアギュランス由来(J.Bacteriol.,174,7919−1925(1994))、アエロモナス・ソブリア由来(J.Biochem.,116,818−825(1994))、キサントモナス・キャンペストリス(特開平9−121860)、ナイセリア・コノローヘ(Mol.Microbiol.,9,1203−1211(1993))、プロピオニバクテリウム・フリュデンリチー(Appl.Environ.Micorbiol.,64,4736−4742(1998))、セラチア・マルセッセンス(J.Biochem.,122,601−605(1997))、サーモプラズマ・アシドフィラム(FEBS Lett.,398,101−105(1996))の遺伝子のクローニング、塩基配列が報告されている。
また最近、微生物の全ゲノム解析により、多くの生物種で、プロリンイミノペプチダーゼをコードすると推測される塩基配列が報告されている。例えば、シュードモナス・アルギノーサのゲノム全塩基配列が報告され(Nature,406,959(2000))、その中でプロリンイミノペプチダーゼをコードすると推測される塩基配列が見出されている。
一方、プロリンイミノペプチダーゼにより、L−プロリンあるいはDL−プロリンのエステルとαアミノ酸を反応させて含プロリンジペプチドを生成することが見出されている(特開平3−13391号公報)。しかしながら、プロリンイミノペプチダーゼはN末端にプロリンを持つペプチドから、そのN末端プロリンを切り出す反応を触媒する酵素であり、この基質特異性から、プロリンエステルとアミノ酸からプロリルアミノ酸を生成させることは当然考えられることであるが、プロリンイミノペプチダーゼを用いてプロリン以外のアミノ酸エステルとアミノ酸からペプチドを合成することは全く知られていなかった。勿論、L−アラニンエチルエステル塩酸塩及びL−グルタミンからL−アラニル−L−グルタミンを合成することについてもこれまで全く知られていなかった。また、シュードモナス・プチダATCC12633のプロリンイミノペプチダーゼ部分塩基配列が公開されていた(AF032970)が、その活性については検出も含め全く検討されていなかった。
発明の開示
本発明は、安価に入手可能な出発原料と安価に供給できる酵素源(微生物の培養物、微生物菌体、菌体処理物等)を用いて、工業的に有利かつ簡便な経路でジペプチドを製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記目的に鑑み鋭意研究を重ねた結果、プロリンイミノペプチダーゼが、L−アミノ酸エステルとL−アミノ酸とからペプチドを生成する能力を有することを見出した。また、該酵素についてその遺伝子をクローニング・発現するとともに、精製組換え酵素を用いてペプチド生成の広い基質特異性を明らかとすることにより、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下のとおりである。
〔1〕 下記(A)または(B)に示すタンパク質。
(A)配列表の配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質。
(B)配列表の配列番号5に記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、L−アミノ酸エステルとL−アミノ酸とからジペプチドを生成する活性を有するタンパク質。
〔2〕 下記(C)または(D)に示すタンパク質。
(C)配列表の配列番号15に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質。
(D)配列表の配列番号15に記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、L−アミノ酸エステルとL−アミノ酸とからジペプチドを生成する活性を有するタンパク質。
〔3〕 下記(E)または(F)に示すタンパク質。
(E)配列表の配列番号17に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質。
(F)配列表の配列番号17に記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、L−アミノ酸エステルとL−アミノ酸とからジペプチドを生成する活性を有するタンパク質。
〔4〕 下記(a)または、(b)に示すDNA。
(a)配列表の配列番号4に記載の塩基番号57〜1295の塩基配列からなるDNA
(b)配列表の配列番号4に記載の塩基番号57〜1295の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、L−アミノ酸エステルとL−アミノ酸とからジペプチドを生成する活性を有するタンパク質をコードするDNA
〔5〕 下記(c)または(d)に示すDNA。
(c)配列表の配列番号14に記載の塩基番号486〜1496の塩基配列からなるDNA
(d)配列表の配列番号14に記載の塩基番号486〜1496の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、L−アミノ酸エステルとL−アミノ酸とからジペプチドを生成する活性を有するタンパク質をコードするDNA
〔6〕 下記(e)または(f)に示すDNA。
(e)配列表の配列番号16に記載の塩基番号311〜1279の塩基配列からなるDNA
(f)配列表の配列番号16に記載の塩基番号311〜1279の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、L−アミノ酸エステルとL−アミノ酸とからジペプチドを生成する活性を有するタンパク質をコードするDNA
〔7〕 前記ストリンジェントな条件が、1×SSC及び0.1%SDSに相当する塩濃度で60℃で洗浄が行われる条件である、上記〔4〕から〔6〕のいずれか一項に記載のDNA。
〔8〕 上記〔4〕から〔7〕のいずれか一項に記載のDNAが組み込まれた組換えDNA。
〔9〕 上記〔4〕から〔7〕のいずれか一項に記載のDNAがコードするタンパク質を発現可能に導入された形質転換細胞。
〔10〕 上記〔9〕に記載の形質転換細胞を培地で培養し、培地中および/または形質転換細胞中に、L−アミノ酸エステルとL−アミノ酸とからジペプチドを生成する活性を有するタンパク質を蓄積させることを特徴とする、ジペプチド生成酵素の製造方法。
〔11〕 上記〔9〕に記載の形質転換細胞が生成する、L−アミノ酸エステルとL−アミノ酸とからジペプチドを生成する活性を有するタンパク質を用いて、L−アミノ酸エステルとL−アミノ酸とからジペプチドを製造することを特徴とする、ジペプチドの製造方法。
〔12〕 前記L−アミノ酸エステルが、L−アラニンエステル、グリシンエステル、L−バリンエステル、L−イソロイシンエステル、L−メチオニンエステル、L−フェニルアラニンエステル、L−セリンエステル、L−スレオニンエステル、L−グルタミンエステル、L−チロシンエステル、L−アルギニンエステル、L−アスパラギン酸−α−エステル、L−アスパラギン酸−β−エステル、L−ロイシンエステル、L−アスパラギンエステル、L−リジンエステル、L−アスパラギン酸−α、β−ジメチルエステル、L−グルタミン−γ−エステルからなる群より選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする、上記〔11〕に記載のジペプチドの製造法。
〔13〕 前記L−アミノ酸が、L−グルタミン、L−アスパラギン、グリシン、L−アラニン、L−ロイシン、L−メチオニン、L−プロリン、L−フェニルアラニン、L−トリプトファン、L−セリン、L−スレオニン、L−チロシン、L−リジン、L−アルギニン、L―ヒスチジンおよびL−グルタミン酸からなる群より選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする、上記〔11〕または〔12〕に記載のジペプチドの製造法。
〔14〕 プロリンイミノペプチダーゼ活性を有するたんぱく質を、L−アミノ酸エステルおよびL−アミノ酸に作用させ、ジペプチドを合成することを特徴とするジペプチドの製造法。
〔15〕 前記プロリンイミノペプチダーゼ活性を有するタンパク質が、コリネバクテリウム属、シュードモナス属、バチルス属のいずれかに属する微生物に由来することを特徴とする、上記〔14〕に記載のジペプチドの製造法。
〔16〕 前記プロリンイミノペプチダーゼ活性を有するタンパク質が、コリネバクテリウム グルタミカム、シュードモナス プチダ、バチルス コアギュランスのいずれかに由来することを特徴とする、前記〔14〕に記載のジペプチドの製造法。
〔17〕 前記アミノ酸エステルが、L−アラニンエステル、グリシンエステル、L−バリンエステル、L−イソロイシンエステル、L−メチオニンエステル、L−フェニルアラニンエステル、L−セリンエステル、L−スレオニンエステル、L−グルタミンエステル、L−チロシンエステル、L−アルギニンエステル、L−アスパラギン酸−α−エステル、L−アスパラギン酸−β−エステル、L−ロイシンエステル、L−アスパラギンエステル、L−リジンエステル、L−アスパラギン酸−α、β−ジメチルエステル、L−グルタミン−γ−エステルからなる群より選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする、上記〔14〕から〔16〕のいずれか一項に記載のペプチドの製造法。
〔18〕 前記L−アミノ酸が、L−グルタミン、L−アスパラギン、グリシン、L−アラニン、L−ロイシン、L−メチオニン、L−プロリン、L−フェニルアラニン、L−トリプトファン、L−セリン、L−スレオニン、L−チロシン、L−リジン、L−アルギニン、L−ヒスチジンおよびL−グルタミン酸からなる群より選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする、上記〔14〕から〔17〕のいずれか一項に記載のペプチドの製造法。
〔19〕 コリネバクテリウム属、シュードモナス属またはバチルス属に属し、アミノ酸エステルとアミノ酸とからジペプチドを生成する能力を有する微生物の培養物、該培養物より分離した微生物菌体、該微生物の菌体処理物を用いて、アミノ酸エステルとアミノ酸とからジペプチドを製造することを特徴とするジペプチドの製造方法。
〔20〕 前記アミノ酸エステルが、L−アラニンエステル、グリシンエステル、L−バリンエステル、L−イソロイシンエステル、L−メチオニンエステル、L−フェニルアラニンエステル、L−セリンエステル、L−スレオニンエステル、L−グルタミンエステル、L−チロシンエステル、L−アルギニンエステル、L−アスパラギン酸−α−エステル、L−アスパラギン酸−β−エステル、L−ロイシンエステル、L−アスパラギンエステル、L−リジンエステル、L−アスパラギン酸−α、β−ジメチルエステル、L−グルタミン−γ−エステルからなる群より選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする、上記〔19〕に記載のペプチドの製造法。
〔21〕 前記L−アミノ酸が、L−グルタミン、L−アスパラギン、グリシン、L−アラニン、L−ロイシン、L−メチオニン、L−プロリン、L−フェニルアラニン、L−トリプトファン、L−セリン、L−スレオニン、L−チロシン、L−リジン、L−アルギニン、L―ヒスチジンおよびL−グルタミン酸からなる群より選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする、上記〔19〕に記載のペプチドの製造法。
発明を実施するための最良の形態
本発明は、L−アミノ酸エステルとL−アミノ酸とからジペプチドを生成する活性を有する新規なタンパク質、これをコードするDNAを提供し、さらにこれらを利用したジペプチドの製造方法を提供するものである。本発明のジペプチドの製造方法における反応は下記反応式のように表される。下記化学式に例示されるように、本明細書において「ジペプチド」とは、ペプチド結合を1つ有するペプチドポリマーのことをいう。
(Rは置換または無置換の炭化水素鎖、R1はアミノ酸エステルの側鎖、R2はアミノ酸の側鎖を表す)
アミノ酸エステルは、安価に入手可能な化合物である。アミノ酸エステルと無保護アミノ酸を出発原料として、細菌、酵母などを酵素源として水溶液中で反応せしめる本発明の方法は、従来にはない新しいジペプチドの製造方法であり、医薬品素材、機能性食品として有用なジペプチドをより安価に提供することを可能とするものである。
以下、本発明について、
〔I〕L−アミノ酸エステルとL−アミノ酸とからジペプチドを生成する能力を有する微生物
〔II〕ペプチド生成活性を有するタンパク質をコードするDNAの単離等
〔III〕ペプチド生成酵素の性質
〔IV〕ジペプチドの製造方法
の順に詳細に説明する。
〔I〕L−アミノ酸エステルとL−アミノ酸とからジペプチドを生成する能力を有する微生物
本発明に使用する微生物としては、L−アミノ酸エステルとL−アミノ酸とからジペプチドを生成する能力を有する微生物を特に限定なく使用することができる。L−アミノ酸エステルとL−アミノ酸とからジペプチドを生成する能力を有する微生物としては、バチルス属、コリネバクテリウム属、シュードモナス属に属する微生物などを挙げることができるが、具体的には以下のものを例示することができる。
バチルス ズブチリス ATCC 6633
(Bacillus subtilis)
バチルス コアギュランス EK01(J.Bacteriol.174,7919−7925(1992))
(Bacillus coagulans)
コリネバクテリウム グルタミカムATCC 13286
(Corynebacterium glutamicum)
シュードモナス プチダ AJ−2402 FERM BP−8101
(Pseudomonas putida)
シュードモナス プチダ ATCC12633
(Pseudomonas putida)
シュードモナス プチダ AJ2048 FERM BP−8123
(Pseudomonas putida)
上記菌株のうち、ATCC番号が記載されているものは、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(P.O.Box 1549 Manassas,VA 20110)に寄託されており、各番号を参照して分譲を受けることができる。
上記菌株のうち、FERM番号が記載されているものは、独立行政法人産業技術総合研究所特許微生物寄託センター(〒305−8566 茨城県つくば市東1−1−1中央第6)に寄託され、受託番号が付与された微生物である。シュードモナス プチダAJ−2402株は、2001年10月1日に独立行政法人産業技術総合研究所特許微生物寄託センターに寄託され、AJ−2402はFERM P−18544の受託番号が付与され、さらに2002年7月1日に国際寄託へ移管され、受託番号FERM BP−8101が付与されている。尚、FERM BP−8101(AJ−2402)は、以下の分類実験により、上述のシュードモナス プチダであることが同定された。また、シュードモナス プチダ AJ2048株は、2002年7月22日に独立行政法人産業技術総合研究所特許微生物寄託センターに寄託され、FERM BP−8123の受託番号が付与されている。
シュードモナス プチダ FERM BP−8101株は、桿菌(0.7〜0.8×1.5〜2.0μm)、グラム陰性、胞子形成なし、運動性あり、コロニー形態は円形、全縁滑らか、凸状、光沢あり、クリーム色、30℃で生育、カタラーゼ陽性、オキシダーゼ陽性、OFテスト(グルコース)陰性の性質より、運動性を有する無胞子桿菌であり、シュードモナスに属する細菌と同定された。更に、硝酸塩還元陰性、インドール産生陰性、グルコースからの産生陰性、アルギニンジヒドロラーゼ陽性、ウレアーゼ陰性、エスクリン加水分解陰性、ゼラチン加水分解陰性、β―ガラクトシダーゼ陰性、グルコース資化陽性、L−アラビノース資化陰性、D−マンノース資化陽性、D−マンニトール資化陽性、N−アセチル−D−グルコサミン資化陰性、マルトース資化陰性、グルコン酸カリウム資化陽性、n−カプリン酸陽性、アジピン酸資化陰性、dl−リンゴ酸資化陽性、クエン酸ナトリウム資化陽性、酢酸フェニル資化陽性、オキシダーゼ陽性、King’s B寒天培地での蛍光色素生産陽性、ショ糖からのレバン産生陽性、ソルビトールの資化微弱という生理学的性質よりシュードモナス プチダ(Pseudomonas putida)と同定された。
これらの微生物としては、野生株または変異株のいずれを用いてもよいし、また、細胞融合もしくは遺伝子操作などの遺伝学的手法により誘導される組み換え株等も用いることができる。
このような微生物の菌体を得るには、当該微生物を適当な培地で培養増殖せしめるとよい。このための培地はその微生物が増殖し得るものであれば特に制限はなく、通常の炭素源、窒素源、リン源、硫黄源、無機イオン、更に必要に応じ有機栄養源を含む通常の培地でよい。
例えば、炭素源としては上記微生物が利用可能であればいずれも使用でき、具体的には、グルコース、フラクトース、マルトース、アミロース等の糖類、ソルビトール、エタノール、グリセロール等のアルコール類、フマル酸、クエン酸、酢酸、プロピオン酸などの有機酸類及びこれらの塩類、パラフィンなどの炭水化物類あるいはこれらの混合物などを使用することができる。
窒素源としては、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウムなどの無機塩のアンモニウム塩、フマル酸アンモニウム、クエン酸アンモニウムなどの有機酸のアンモニウム塩、硝酸ナトリウム、硝酸カリウムなどの硝酸塩、ペプトン、酵母エキス、肉エキス、コーンスティープリカーなどの有機窒素化合物あるいはこれらの混合物を使用することができる。
他に無機塩類、微量金属塩、ビタミン類等、通常の培地に用いられる栄養源を適宜混合して用いることができる。
培養条件にも格別の制限はなく、例えば、好気的条件下にてpH5〜8、温度15〜40℃の範囲でpHおよび温度を適当に制限しつつ12〜48時間程度培養を行えばよい。
〔II〕ペプチド合成活性を有するタンパク質をコードするDNAの単離等
〔II―1〕DNAの単離
本発明者らは上記の微生物から、L−アミノ酸エステルとL−アミノ酸とからジペプチドを合成する活性を有するタンパク質をコードする本発明のDNAを単離し、配列を特定した。配列表の配列番号4に記載の塩基番号57〜1295の塩基配列からなるDNAは、コリネバクテリウム グルタミカムATCC13286株から単離された。また、配列表の配列番号14に記載の塩基番号486〜1496の塩基配列からなるDNAは、シュードモナス プチダATCC12633株から単離された。さらに、配列表の配列番号16に記載の塩基番号311〜1279の塩基配列からなるDNAは、シュードモナス プチダ FERM BP−8123株から単離された。なお、本明細書において「配列番号4に記載の塩基配列」、「配列番号14に記載の塩基配列」、「配列番号16に記載の塩基配列」とは、特に断らない限りCDS部分を指す。
DNAを単離する一例を示すと、はじめに、精製されたペプチド生成酵素のアミノ酸配列を決定する。エドマン法(Edman,P.,Acta Chem.Scand.4,22(1950))を用いてアミノ酸配列を決定することができる。またApplied Biosystems社製のシークエンサーを用いてアミノ酸配列を決定することができる。精製されたペプチド生成酵素についてのN末端、あるいは、リジルエンドペプチダーゼ等の処理により得られたペプチドの約10から30残基のアミノ酸配列を決定し、明らかとなったアミノ酸配列に基づいて、これをコードするDNAの塩基配列を演繹できる。DNAの塩基配列を演繹するには、ユニバーサルコドンを採用する。
演繹された塩基配列に基づいて、30塩基対程度のDNA分子を合成する。該DNA分子を合成する方法はTetrahedron Letters,22,1859(1981)に開示されている。また、Applied Biosystems社製のシンセサイザーを用いて該DNA分子を合成できる。該DNA分子をプライマーとして用いて、PCR法で染色体DNAからペプチド生成酵素をコードするDNAを増幅することができる。ただし、PCR法を用いて増幅されるDNAは、ペプチド生成酵素をコードするDNA全長を含んでいないので、PCR法を用いて増幅されるDNAをプローブとして用いて、ペプチド生成酵素をコードするDNA全長をコリネバクテリウム グルタミカム、シュードモナス プチダ、バチルス スブチリスなどの各菌株の染色体遺伝子ライブラリーから単離する。
あるいは、遺伝子の塩基配列の一部が既知である場合には、その既知配列を有するDNAをプローブとして用いて、ペプチド生成酵素をコードするDNA全長を染色体遺伝子ライブラリーから単離することができる。
さらに、遺伝子の塩基配列が既知配列と相同性を有する場合には、その既知配列を有するDNAをプローブとして用いて、ペプチド生成酵素をコードするDNA全長を染色体遺伝子ライブラリーから単離することができる。
PCR法の操作については、White,T.J.et al.,Trends Genet.5,185(1989)等に記載されている。染色体DNAを調製する方法、さらにDNA分子をプローブとして用いて、遺伝子ライブラリーから目的とするDNA分子を単離する方法については、Molecular Cloning,2nd edition,Cold Spring Harbor press(1989)等に記載されている。
単離されたペプチド生成酵素をコードするDNAの塩基配列を決定する方法は、A Practical Guide to Molecular Cloning,John Wiley & Sons,Inc.(1985)に記載されている。また、Applied Biosystems社製のDNAシークエンサーを用いて、塩基配列を決定することができる。このようにしてコリネバクテリウム グルタミカムATCC13286株、シュードモナス プチダATCC12633株、シュードモナス プチダFERM BP−8123株から単離された、ペプチド生成酵素をコードするDNAを、それぞれ配列表配列番号4、14、16に示す。
本発明で用い得るDNAは、配列表配列番号4、14、16で特定されるDNAのみではない。例えば、コリネバクテリウム グルタミカムATCC13286株から単離された配列表配列番号4のDNAについて以下説明すると、コリネバクテリウム グルタミカムATCC13286株の染色体DNAから単離されたペプチド生成酵素をコードするDNAに人工的に変異を加えたDNAであっても、ペプチド生成酵素をコードする場合には、本発明のDNAである。人工的に変異を加える方法として頻繁に用いられるものとして、Method.in Enzymol.,154(1987)に記載されている部位特異的変異導入法がある。
また、配列表配列番号4に記載の塩基配列と相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列を有し、ペプチド生成酵素活性を有するタンパク質をコードするDNAも本発明で用いることができるDNAである。
さらに、配列表の配列番号4に記載のCDSからなるDNAに基づいて調製されるプローブとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、ペプチド合成活性を有するタンパク質をコードするDNAを単離することによっても、本発明のDNAと実質的に同一のDNAが得られる。プローブは、例えば配列番号4に記載の塩基配列に基づいて定法により作製することができる。また、プローブを用いてこれとハイブリダイズするDNAをつり上げ、目的とするDNAを単離する方法も、定法に従って行えばよい。例えば、DNAプローブはプラスミドやファージベクターにクローニングされた塩基配列を増幅し、プローブとして用いたい塩基配列を制限酵素により切り出し、抽出して調製することができる。切り出す箇所は、目的とするDNAに応じて調節することができる。
ここで「ストリンジェントな条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。この条件を明確に数値化することは困難であるが、一例を示せば、相同性が高いDNA同士、例えば50%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上の相同性を有するDNA同士がハイブリダイズし、それより相同性が低いDNA同士がハイブリダイズしない条件、あるいは通常のサザンハイブリダイゼーションの洗いの条件である60℃、1×SSC、0.1%SDS、このましくは、60℃、0.1×SSC、0.1%SDS、さらに好ましくは65℃、0.1×SSC、0.1%SDSに相当する塩濃度でハイブリダイズする条件があげられる。ペプチド生成酵素の活性については既に上記にて説明したとおりである。ただし、配列表の配列番号4に記載の塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列の場合には、50℃、pH8の条件下で配列表の配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質の10%以上、より好ましくは50%以上の酵素活性を保持していることが望ましい。
さらに、配列表の配列番号4に記載のDNAがコードするペプチド生成酵素と実質的に同一のタンパク質も本発明で用いることができる。したがって、「配列表の配列番号5に記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列を有し、かつ、L−アミノ酸エステルとL−アミノ酸からジペプチドを生成する反応を触媒するペプチド生成酵素活性を有するタンパク質」をコードするDNAも本発明において用いることができる。ここで「数個」とは、アミノ酸残基のタンパク質の立体構造や、ペプチド生成酵素活性を大きく損なわない範囲のものであり、具体的には、2〜50個、好ましくは2〜30個、さらに好ましくは2〜10個である。また、ペプチド生成酵素の活性については、既に説明した通りである。ただし、配列表の配列番号5に記載のアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加または逆位を含むアミノ酸配列の場合には、50℃、pH8の条件下で配列表の配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質の10%以上、より好ましくは50%以上の酵素活性を保持していることが望ましい。
上記のように、本発明のDNAとして、コリネバクテリウム グルタミカムATCC13286株から単離したDNA、シュードモナス プチダATCC12633株から単離したDNA、シュードモナス プチダFERM BP−8123株から単離したDNAなどのほか、これらと実質的に同一のDNAも提供される。すなわち、本発明が提供するDNAとしては次のようなものが挙げられる。
(i)配列表の配列番号4、14または16に記載のCDSからなるDNA。
(ii)配列表の配列番号4、14または16に記載のCDSと相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつL−アミノ酸エステルとL−アミノ酸からジペプチドを生成する反応を触媒するペプチド生成酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA。
(iv)配列表の配列番号5、15または17に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNA。
(v)配列表の配列番号5、15または17に記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列を有し、かつ、L−アミノ酸エステルとL−アミノ酸からジペプチドを生成する反応を触媒するペプチド生成酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA。
〔II−2〕形質転換体の作製
次に、ペプチド生成酵素活性を有するタンパク質を発現する形質転換体の作製について説明する。組換えDNA技術を利用して酵素、生理括性物質等の有用タンパク質を製造する例は数多く知られており、組換えDNA技術を用いることで、天然に微量に存在する有用タンパク質を大量生産できる。
本発明の方法で用いることができる形質転換体としては、例えば下記(AA)、(BB)または(CC)などのタンパク質を発現することができる形質転換体が好適なものとして挙げられる。
(AA)配列表の配列番号5、15または17に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質。
(BB)配列表の配列番号5、15または17に記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列を有し、かつ、L−アミノ酸エステルとL−アミノ酸からジペプチドを生成する反応を触媒するペプチド生成活性を有するタンパク質。
(CC)配列表の配列番号4、16または18の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドまたは配列番号4、16または18の塩基配列に基づいて調製されるプローブとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつL−アミノ酸エステルとL−アミノ酸からジペプチドを生成する反応を触媒するペプチド生成酵素活性を有するタンパク質をコードするDNAでコードされるタンパク質。
上記(AA)〜(CC)のペプチド生成活性を有するタンパク質を発現する形質転換体を作製するためには、上記〔II−1〕の欄に示した(i)、(ii)、(iii)、(iv)または(v)のDNAを宿主細胞に導入すればよい。すなわち、(i)、(ii)、(iii)、(iv)または(v)のDNAを宿主細胞で発現可能な組換えDNA、具体的には発現ベクターなどに組み込み、これを宿主細胞に導入する。
また、上記(BB)に示されるような変異は、例えば部位特異的変異法によって、本酵素遺伝子の特定の部位のアミノ酸が置換、欠失、挿入、付加されるように塩基配列を改変することによって得られる。また、上記のような改変されたDNAは、従来知られている突然変異処理によっても取得され得る。突然変異処理としては、本酵素をコードするDNAをヒドロキシルアミン等でインビトロ処理する方法、及び本酵素をコードするDNAを保持するエシェリヒア属細菌を、紫外線照射またはN−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)もしくは亜硝酸等の通常人工突然変異に用いられている変異剤によって処理する方法などが挙げられる。
タンパク質を組換えDNA技術を用いて大量生産する場合、該タンパク質を生産する形質転換体内で該タンパク質が会合し、タンパク質の封入体(inclusionbody)を形成させる形態も好ましい一実施形態として挙げられる。この発現生産方法の利点は、目的のタンパク質を菌体内に存在するプロテアーゼによる消化から保護する点および目的のタンパク質を菌体破砕に続く遠心分離操作によって簡単に精製できる点等である。
このようにして得られるタンパク質封入体は、タンパク質変性剤により可溶化され、主にその変性剤を除去することによる活性再生操作を経た後、正しく折り畳まれた生理的に活性なタンパク質に変換される。例えば、ヒトインターロイキン−2の活性再生(特開昭61−257931号公報)等多くの例がある。
タンパク質封入体から活性型タンパク質を得るためには、可溶化・活性再生等の一連の操作が必要であり、直接活性型タンパク質を生産する場合よりも操作が複雑になる。しかし、菌体の生育に影響を及ぼすようなタンパク質を菌体内で大量に生産させる場合は、不活性なタンパク質封入体として菌体内に蓄積させることにより、その影響を抑えることができる。
目的タンパク質を封入体として大量生産させる方法として、強力なプロモータの制御下、目的のタンパク質を単独で発現させる方法の他、大量発現することが知られているタンパク質との融合タンパク質として発現させる方法がある。
さらに、融合タンパク質として発現させた後に、目的のタンパク質を切り出すため、制限プロテアーゼの認識配列を適当な位置に配しておくことも有効である。
タンパク質を組換えDNA技術を用いて大量生産する場合、形質転換される宿主細胞としては、細菌細胞、放線菌細胞、酵母細胞、カビ細胞、植物細胞、動物細胞等を用いることができるが、一般に大腸菌などの腸内細菌、好ましくは大腸菌(エシェリヒア コリ、Escherichia coli)が用いられる。大腸菌などの腸内細菌を用いてタンパクを大量生産する技術について数多くの知見があるためである。以下、形質転換された大腸菌を用いてペプチド生成酵素を製造する方法の一形態を説明する。
ペプチド生成酵素をコードするDNAを発現させるプロモータとしては、通常大腸菌における異種タンパク質生産に用いられるプロモータを使用することができ、例えば、T7プロモータ、lacプロモータ、trpプロモータ、trcプロモータ、tacプロモータ、ラムダファージのPRプロモータ、PLプロモータ等の強力なプロモータが挙げられる。
ペプチド生成酵素を融合タンパク質封入体として生産させるためには、ペプチド生成酵素遺伝子の上流あるいは下流に、他のタンパク質、好ましくは親水性であるペプチドをコードする遺伝子を連結して、融合タンパク質遺伝子とする。このような他のタンパク質をコードする遺伝子としては、融合タンパク質の蓄積量を増加させ、変性・再生工程後に融合タンパク質の溶解性を高めるものであればよく、例えば、T7gene 10、β−ガラクトシダーゼ遺伝子、デヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、インターフェロンγ遺伝子、インターロイキン−2遺伝子、プロキモシン遺伝子等が候補として挙げられる。
これらの遺伝子とペプチド生成酵素をコードする遺伝子とを連結する際には、コドンの読み取りフレームが一致するようにする。適当な制限酵素部位で連結するか、あるいは適当な配列の合成DNAを利用すればよい。
また、生産量を増大させるためには、融合タンパク質遺伝子の下流に転写終結配列であるターミネーターを連結することが好ましい場合がある。このターミネータとしては、T7ターミネータ、fdファージターミネータ、T4ターミネータ、テトラサイクリン耐性遺伝子のターミネータ、大腸菌trpA遺伝子のターミネータ等が挙げられる。
ペプチド生成酵素またはペプチド生成酵素と他のタンパク質との融合タンパク質をコードする遺伝子を大腸菌に導入するためのベクターとしては、いわゆるマルチコピー型のものが好ましく、ColE1由来の複製開始点を有するプラスミド、例えばpUC系のプラスミドやpBR322系のプラスミドあるいはその誘導体が挙げられる。ここで、「誘導体」とは、塩基の置換、欠失、挿入、付加または逆位などによってプラスミドに改変を施したものを意味する。なお、ここでいう改変とは、変異剤やUV照射などによる変異処理、あるいは自然変異などによる改変をも含む。より具体的には、ベクターとしては、例えば、pUC19、pUC18、pBR322、pHSG299、pHSG298、pHSG399、pHSG398、RSF1010、pMW119、pMW118、pMW219、pMW218等を用いることができる。他にもファージDNA、トランスポゾンDNAのベクターも利用できる。
また、形質転換体を選別するために、該ベクターがアンピシリン耐性遺伝子等のマーカーを有することが好ましい。このようなプラスミドとして、強力なプロモーターを持つ発現ベクターが市販されている(pUC系(宝酒造(株)製)、pPROK系(クローンテック製)、pKK233−2(クローンテック製)ほか)。
プロモータ、ペプチド生成酵素またはペプチド生成酵素と他のタンパク質との融合タンパク質をコードする遺伝子、場合によってはターミネータの順に連結したDNA断片と、ベクターDNAとを連結して組換えDNAを得る。
該組換えDNAを用いて大腸菌を形質転換し、この大腸菌を培養すると、ペプチド生成酵素またはペプチド生成酵素と他のタンパク質との融合タンパク質が発現生産される。形質転換される宿主は、異種遺伝子の発現に通常用いられる株を使用することができるが、例えばエシェリヒア コリ JM109株が好ましい。形質転換を行う方法、および形質転換体を選別する方法はMolecular Cloning,2nd edition,Cold Spring Harbor press(1989)等に記載されている。
融合タンパク質として発現させた場合、血液凝固因子Xa、カリクレインなどの、ペプチド生成酵素内に存在しない配列を認識配列とする制限プロテアーゼを用いてペプチド生成酵素を切り出せるようにしてもよい。
生産培地としては、M9−カザミノ酸培地、LB培地など、大腸菌を培養するために通常用いる培地を用いてもよい。また、培養条件、生産誘導条件は、用いたベクターのマーカー、プロモータ、宿主菌等の種類に応じて適宜選択する。
ペプチド生成酵素またはペプチド生成酵素と他のタンパク質との融合タンパク質を回収するには、以下の方法などがある。ペプチド生成酵素あるいはその融合タンパク質が菌体内に可溶化されていれば、菌体を回収した後、菌体を破砕あるいは溶菌させ、粗酵素液として使用できる。さらに、必要に応じて、通常の沈澱、濾過、カラムクロマトグラフィー等の手法によりペプチド生成酵素あるいはその融合タンパク質を精製して用いることも可能である。この場合、ペプチド生成酵素あるいは融合タンパク質の抗体を利用した精製法も利用できる。
タンパク質封入体が形成される場合には、変性剤でこれを可溶化する。菌体タンパク質とともに可溶化してもよいが、以降の精製操作を考慮すると、封入体を取り出して、これを可溶化するのが好ましい。封入体を菌体から回収するには、従来公知の方法で行えばよい。例えば、菌体を破壊し、遠心分離操作等によって封入体を回収する。タンパク質封入体を可溶化させる変性剤としては、グアニジン塩酸(例えば、6M、pH5〜8)や尿素(例えば8M)などが挙げられる。
これらの変性剤を透析等により除くと、活性を有するタンパク質として再生される。透析に用いる透析溶液としては、トリス塩酸緩衝液やリン酸緩衝液などを用いればよく、濃度としては20mM〜0.5M、pHとしては5〜8が挙げられる。
再生工程時のタンパク質濃度は、500μg/ml程度以下に抑えるのが好ましい。再生したペプチド生成酵素が自己架橋を行うのを抑えるために、透析温度は5℃以下であることが好ましい。また、変性剤除去の方法として、この透析法のほか、希釈法、限外濾過法などがあり、いずれを用いても活性の再生が期待できる。
ペプチド生成酵素をコードするDNAとして、配列表配列番号4に示されるDNAを用いた場合には配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するペプチド生成酵素が生産される。また、ペプチド生成酵素をコードするDNAとして、配列表配列番号14に示されるDNAを用いた場合には配列番号15に記載のアミノ酸配列を有するペプチド生成酵素が生産される。また、ペプチド生成酵素をコードするDNAとして、配列表配列番号16に示されるDNAを用いた場合には配列番号17に記載のアミノ酸配列を有するペプチド生成酵素が生産される。
なお、遺伝子工学的な手法については、例えばMolecular Cloning,2nd edition,Cold Spring Harbor press(1989)などの文献に記載された手法に準拠して実施することができる。
〔III〕ペプチド生成酵素の性質
つぎに、上記微生物のうち、例として、コリネバクテリウム グルタミカムATCC13286株から精製されたペプチド生成酵素の性質について説明する。
L−アラニンエステルとL−グルタミンとを原料(基質)とする場合を例に取ると、当該ペプチド生成酵素は、L−アラニンエステルとL−グルタミンとを基質としL−アラニル−L−グルタミンを生成する活性を有する。また、L−アラニンアミドとL−グルタミンとを原料とする場合を例に取ると、当該ペプチド生成酵素は、L−アラニンエステルとL−アスパラギンとを基質としL−アラニル−L−アスパラギンを生成する活性を有する。
作用としては、L−アラニンエステルと、L−アスパラギンまたはL−グルタミンとを原料とする場合を例に取ると、当該ペプチド生成酵素は、L−アラニンエステル1分子とL−グルタミン1分子からL−アラニル−L−グルタミン1分子とアルコール1分子を生成、L−アラニンエステル1分子とL−アスパラギン1分子からL−アラニル−L−アスパラギン1分子とアルコール1分子を生成する。
至適pHは6.0から10.0付近にあり、至適温度は30から50℃付近にある。サブユニットの分子量はSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって42,000〜46,000と算出される。
〔IV〕ジペプチドの製造方法
本発明のジペプチドの製造方法は、L−アミノ酸エステルとL−アミノ酸とからジペプチドを合成する活性を有する酵素または当該酵素含有物を用いてジペプチドを製造する方法である。具体的には、L−アミノ酸エステルとL−アミノ酸とからジペプチドを生成する能力を有する微生物の培養物、該培養物より分離した微生物菌体、該微生物の菌体処理物、または、該微生物に由来するペプチド生成酵素を用いて、L−アミノ酸エステルおよびL−アミノ酸からジペプチドを製造するものである。なお、L−アミノ酸エステルおよびL−アミノ酸からジペプチドを生成する活性を有する限り、上記または下記表1などに例示した微生物に由来するプロリンイミノペプチダーゼ活性を有するタンパク質を用いることもできる。
上記微生物の産生するペプチド生成酵素は、L−アミノ酸エステルとL−アミノ酸を基質としてジペプチドを生成する活性を有するものである。
上記微生物の産生するペプチド生成酵素をL−アミノ酸エステルおよびL−アミノ酸に作用せしめる方法としては、上記微生物を培養しながら、培養液中に直接基質を添加してもよいし、培養終了後の培養液あるいは微生物培養物から遠心分離等により菌体を分離し、これをそのままもしくは洗浄した後、緩衝液に再懸濁したものにL−アミノ酸エステル−アミノ酸を添加して反応させてもよい。あるいは、ポリアクリルアミドゲル法、カラギーナン法、アルギン酸ゲル法等の公知の方法で固定化した菌体を用いることができる。
また、微生物菌体の処理物として、菌体破砕物、アセトン処理菌体、凍結乾燥菌体を用いてもよい。菌体破砕には超音波破砕、フレンチプレス破砕、ガラスビーズ破砕等の方法を用いることができ、また溶菌させる場合には卵白リゾチームや、ペプチターゼ処理、またはこれらを適宜組み合わせた方法が用いられる。
さらに、当該微生物菌体処理物からペプチド生成酵素を回収し、粗酵素液として使用してもよいし、必要に応じて、酵素を精製して用いてもよい。培養物からの精製法としては通常の酵素精製法をもちいることができる。具体的には遠心分離等によって菌体を集め、超音波処理、ガラスビーズ、ダイノミルなどの機械的方法によって菌体を破砕し、細胞片等の固形物を遠心分離によって除き、粗酵素を得て、超遠心分離分画、塩析、有機溶媒沈殿、イオン交換クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー等を行うことによって上述のペプチド生成酵素が精製される。
なお、「微生物に由来するペプチド生成酵素」とは、当該微生物菌体処理物から上記精製工程を経て得られた酵素のみならず、当該酵素の遺伝子を異種または同種の宿主において発現させることによる、いわゆる遺伝子工学的手法によって生産された酵素をも含む。
すなわち、L−アミノ酸エステルとL−アミノ酸とからジペプチドを生成する活性を有する画分であれば、酵素と当該酵素含有物全てを使用することが可能である。ここで、「酵素含有物」とは、当該酵素を含有するものであればよく、具体的形態としては、当該酵素を生産する微生物の培養物、当該培養物から分離された微生物菌体、菌体処理物などが含まれる。微生物の培養物とは、微生物を培養して得られる物のことであり、より具体的には、微生物菌体、その微生物の培養に用いた培地および培養された微生物により生成された物質の混合物などのことをいう。また、微生物菌体は洗浄し、洗浄菌体として用いてもよい。また、菌体処理物には、菌体を破砕、溶菌、凍結乾燥したものなどが含まれ、さらに菌体などを処理して回収される粗酵素、さらに精製した精製酵素なども含まれる。精製処理された酵素としては、各種精製法によって得られる部分精製酵素等を使用してもよいし、これらを共有結合法、吸着法、包括法等によって固定化した固定化酵素を使用してもよい。また、使用する微生物によっては、培養中に一部、溶菌するものもあるので、この場合には培養液上清も酵素含有物として利用できる。
なお、培養物、培養菌体、洗浄菌体、菌体を破砕あるいは溶菌させた菌体処理物を用いる場合には、ペプチドの生成に関与せずに生成ペプチドを分解する酵素が存在することが多く、この場合には、金属酵素阻害剤、例えばエチレンジアミンン四酢酸(EDTA)のような金属プロテアーゼ阻害剤などを添加するほうが好ましい場合がある。添加量は、0.1mMから100mMの範囲で、好ましくは1mMから50mMである。
酵素または酵素含有物の使用量は、目的とする効果を発揮する量(有効量)であればよく、この有効量は当業者であれば簡単な予備実験により容易に求められるが、例えば洗浄菌体を用いる場合は反応液1リットル当たり1〜500gである。
L−アミノ酸エステルとしては、当該ペプチド生成酵素の基質特異性においてL−アミノ酸とジペプチドを生成できるL−アミノ酸エステルであればいかなるものも使用でき、例えば、L−アミノ酸のメチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、iso−プロピルエステル、n−ブチルエステル、iso−ブチルエステル、tert−ブチルエステル等が挙げられる。また、天然型のアミノ酸に対応したL−アミノ酸エステルだけでなく、非天然型のアミノ酸もしくはその誘導体に対応するL−アミノ酸エステルも使用可能である。本発明において、L−アミノ酸エステルとして好ましくは、L−アミノ酸エステルは、L−アラニンエステル、グリシンエステル、L−バリンエステル、L−イソロイシンエステル、L−メチオニンエステル、L−フェニルアラニンエステル、L−セリンエステル、L−スレオニンエステル、L−グルタミンエステル、L−チロシンエステル、L−アルギニンエステル、L−アスパラギン酸−α−エステル、L−アスパラギン酸−β−エステル、L−ロイシンエステル、L−アスパラギンエステル、L−リジンエステル、L−アスパラギン酸−α、β−ジメチルエステル、L−グルタミン−γ−エステルなどを用いることができる。
L−アミノ酸としては、当該ペプチド生成酵素の基質特異性においてL−アミノ酸エステルとジペプチドを形成するものであれば特に限定なく公知のものを使用できる。本発明においては、L−アミノ酸として好ましくは、L−グルタミン、L−アスパラギン、グリシン、L−アラニン、L−ロイシン、L−メチオニン、L−プロリン、L−フェニルアラニン、L−トリプトファン、L−セリン、L−スレオニン、L−チロシン、L−リジン、L−アルギニン、L―ヒスチジンおよびL−グルタミン酸など、特に好ましくは、L−グルタミン、L−アスパラギンなどを用いることができる。
出発原料であるL−アミノ酸エステルおよびL−アミノ酸の濃度は各々1mM〜10M、好ましくは0.05M〜2Mであるが、L−アミノ酸エステルに対してL−アミノ酸を等量以上添加したほうが好ましい場合がある。また、必要ならば、例えば基質が高濃度だと反応を阻害するような場合には、反応中にこれらを阻害しない濃度にして逐次添加する事ができる。
反応温度は3〜70℃、好ましくは5〜50℃であり、反応pHはpH2〜12好ましくはpH3〜11である。かくして2〜48時間程度反応を行うことにより、反応混合物中にジペプチドが生成蓄積する。生成されたジペプチドは、定法により回収し、必要に応じて精製することができる。
実施例
以下、実施例をあげて、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例におけるL−アラニン、L−アラニル−L−グルタミンまたはL−アラニル−L−アスパラギンの定量は高速液体クロマトグラフィーを用いる方法(カラム:GLサイエンス社製 InertsiL ODS−2、溶離液:リン酸水溶液(pH2.2、5.0mM 1−オクタンスルホン酸ナトリウム溶液/メタノール=100/15、流量:1.0mL/min、検出210nm)により行った。
(実施例1) L−アラニル−L−グルタミン生成に対するEDTAの添加効果
1L中にグルコース 5g、硫酸アンモニウム 5g、リン酸一カリウム 1g、リン酸二カリウム 3g、硫酸マグネシウム 0.5g、酵母エキス 10g、ペプトン 10gを含む培地(pH7.0)50mLを500mL坂口フラスコに分注し、115℃で15分殺菌した。これに同組成を含む斜面寒天培地(寒天20g/L、pH7.0)にて30℃、24時間培養したシュードモナス プチダ(Pseudomonas putida)FERM BP−8101株を1白金耳接種し、30℃、120往復/分、で17時間振とう培養を行った。培養後菌体を遠心分離し、湿菌体として100g/Lになるように100mM 1Mホウ酸緩衝液(pH9.0)にて懸濁した。菌体懸濁液1mLを、EDTA無添加、もしくはEDTA20mMを含み、L−アラニンエチルエステル塩酸塩200mM、及びL−グルタミン400mMを含む100mMホウ酸緩衝液(pH9.0)1mL(基質溶液)にそれぞれ添加し、全量を2mLとした後、30℃にて1時間反応をおこなった。この結果、EDTA無添加区では4.9mM,EDTA添加区では10.1mMのL−アラニル−L−グルタミンが生成した。
尚、これらの反応系において、菌体懸濁液の代わりに100mMホウ酸緩衝液(pH9.0)1mLを基質溶液1mLに添加した添加した条件(菌体無添加区)、および基質溶液の替わりに、L−アラニンエチルエステル塩酸塩とグルタミンを含まない、EDTA無添加あるいは20mMEDTAを含有する100mMホウ酸緩衝液(pH9.0)1mLを菌体懸濁液に添加した条件(基質無添加区)では、いずれの場合もL−アラニル−L−グルタミンの生成は見られなかった。
(実施例2) 基質としてのアミノ酸エステル
実施例1と同様に調製したシュードモナス プチダ(Pseudomonas putida)FERM BP−8101株の菌体懸濁液湿菌体(100g/L)1mLを、EDTA20mMと下記のL−アラニンエステル塩酸塩200mM、及びL−グルタミン400mMを含む100mMホウ酸緩衝液(pH9.0)1mLにそれぞれ添加し、全量を2mLとした後、30℃にて1時間反応をおこなった。この結果、L−アラニンメチルエステル塩酸塩とL−グルタミンを基質した場合には、14.9mM、L−アラニンエチルエステル塩酸塩とL−グルタミンを基質した場合には、11.4mM、L−アラニン−tert−ブチルエステル塩酸塩とL−グルタミンを基質した場合には、0.5mMのL−アラニル−L−グルタミンが生成した。
(実施例3) 基質としてのL−アミノ酸
実施例1と同様に調製した シュードモナス プチダFERM BP−8101株の菌体懸濁液湿菌体(100g/L)1mLを、EDTA20mMとL−アラニンメチルエステル塩酸塩200mM、及びL−グルタミンあるいはL−アスパラギン400mMを含む100mMホウ酸緩衝液(pH9.0)1mLにそれぞれ添加し、全量を2mLとした後、30℃にて1時間反応を行った。この結果、L−アラニンメチルエステル塩酸塩とL−グルタミンを基質した場合には、12.7mMのL−アラニル−L−グルタミン、L−アラニンメチルエステル塩酸塩とL−アスパラギンを基質した場合には、4.8mMのL−アラニル−L−アスパラギンが生成した。
(実施例4) L−アラニル−L−グルタミンを生成する微生物
微生物の培養には、1L中にグルコース 5g、硫酸アンモニウム 5g、リン酸一カリウム 1g、リン酸二カリウム 3g、硫酸マグネシウム 0.5g、酵母エキス 10g、ペプトン 10gを含む培地(pH7.0)50mLを500mL坂口フラスコに分注し、115℃で15分殺菌したものを用いた。これに1L中にグルコース 5g、酵母エキス 10g、ペプトン 10g、NaCl 5gを含む斜面寒天培地(寒天 2g/L、pH7.0)にて30℃、24時間培養した表1に示す細菌を1白金耳接種し、30℃、120往復/分、で17時間振とう培養を行った。培養後菌体を遠心分離し、湿菌体として100g/Lになるように10mMのEDTAを含む0.1Mホウ酸緩衝液(pH9.0)にて懸濁した。培養終了後、これらの培養液から菌体を遠心分離し、湿菌体として100g/Lになるように10mMのEDTAを含む0.1Mホウ酸緩衝液(pH9.0)にて懸濁した。これらの微生物の菌体懸濁液0.1mLに、EDTA10mM、L−アラニンメチルエステル塩酸塩200mM、及びL−グルタミン400mMを含む100mMホウ酸緩衝液(pH9.0)0.1mLをそれぞれ添加し、全量を0.2mLとした後、25℃にて2時間反応をおこなった。このときのL―アラニル−L−グルタミン(Ala−Gln)の生成量(mM)を表1に示す。
(実施例5) L−アラニル−L−グルタミン生成に及ぼす温度の影響
実施例4の微生物の培養法に従って調製したシュードモナス プチダFERM BP−8101株菌体懸濁液(100g/L)1mLを、EDTA10mM、L−アラニンメチルエステル塩酸塩 200mM、L−グルタミン400mMを含む100mMホウ酸緩衝液(pH9.0)1mLにそれぞれ添加し、全量を2mLとした後、20℃、30℃、40℃にてそれぞれ1時間反応をおこなった結果を表2に示した。L−アラニル−L−グルタミン(Ala−Gln)の生成は、シュードモナス プチダFERM BP−8101株の場合には40℃において最も高い値を示した。
(実施例6) コリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)ATCC13286株からのペプチド生成酵素の精製と精製酵素によるL−アラニル−L−グルタミンの生産
1L中にグルセロール 5g、酵母エキス 5g、ペプトン 5g、塩化ナトリウム5g、L−アラニンアミド塩酸塩 5gを含む培地500mLを5L坂口フラスコに分注し、120℃、20分殺菌した。これに、上記と同じ組成の培地で20時間培養したコリネバクテリウム グルタミカムATCC13286株の培養液を5%(V/V)になるように植菌し、30℃、120往復/分で20時間培養した。この培養液8Lから遠心分離により菌体を集めた。、以下の操作は氷上あるいは4℃にて行った。菌体を50mM燐酸カリウム緩衝液(pH7.0)にて洗浄後、0.1mm径のガラスビーズをもちいて約10分間破砕処理を行った。ガラスビーズと菌体破砕液を分離し、20,000×g、30分の遠心分離にて破砕菌体片を除去し、無細胞抽出液を得た。更に200,000×g、60分の超遠心分離にて不溶性画分を除去し、上清液として可溶性画分を得た。得られた可溶性画分に硫酸アンモニウムを60%飽和になるように添加し、20,000×g、30分の遠心分離によって沈殿を回収した。得られた沈殿を少量の50mM燐酸カリウム緩衝液(pH7.0)に溶解し、50mM燐酸カリウム緩衝液(pH7.0)に対して透析した。この酵素液を50mM燐酸カリウム緩衝液(pH7.0)で予め平衡化したQ−Sepharose HPカラムに供し、0〜1.0M塩化ナトリウムを含む50mM燐酸カリウム緩衝液(pH7.0)の直線的な濃度勾配で酵素を溶出させた。活性画分を集め、50mM燐酸カリウム緩衝液(pH7.0)で予め平衡化したSuperdex200pgに供し、同緩衝液で酵素を溶出させた。活性画分を集め、0.5M硫酸アンモニウムを含む20mM燐酸カリウム緩衝液(pH7.0)に対して透析を行い、0.5M硫酸アンモニウムを含む20mM燐酸カリウム緩衝液(pH7.0)で予め平衡化したPhenyl−SepharoseHPに供した。0.5〜0M硫酸アンモニウムを含む20mM燐酸カリウム緩衝液(pH7.0)の直線的な濃度勾配で酵素を溶出させた。活性画分を集め、50mM燐酸カリウム緩衝液(pH7.0)に対して透析し、これを50mM燐酸カリウム緩衝液(pH7.0)で予め平衡化したMonoQカラムに供し、0〜1.0M塩化ナトリウムを含む50mM燐酸カリウム緩衝液(pH7.0)の直線的な濃度勾配で酵素を溶出させた。こうしてペプチド精製酵素を電気泳動的に均一に精製した。
本精製酵素の比活性は9.841Unit/mgで、これらの精製過程を通じて当該ペプチド精製酵素の比活性は約246倍に上昇した。また、本精製酵素標品の分子量をSDSポリアクリルアミド電気泳動に供した結果、分子量42,000〜46,000と算出される位置に均一なバンドが検出された。尚、酵素の力価の測定は以下の通り行った。トリス塩酸緩衝液(pH9.0)200μmol、L−アラニンアミド50μmolおよび適当量の酵素液を加え、全量が1mlとなるように混合し、30℃にて60分間反応させた後、リン酸水溶液(pH2.1)を4ml加え反応を停止した。生成したアラニンを高速液体クロマトグラフィーで定量し、1分間に1μmolのL−アラニンを生成する酵素量を1単位とした。
この精製酵素をEDTA、L−アラニンメチルエステル塩酸塩、及びL−グルタミン(あるいはL−アスパラギン)を含むホウ酸緩衝液(pH9.0)に加え、全量が1mLになるように混合(終末濃度として、酵素添加量はアラニンアミド分解活性として2Unit、EDTA10mM、L−アラニンメチルエステル塩酸塩100mM、L−グルタミン200mM(あるいはL−アスパラギン200mM)、ホウ酸緩衝液100mM)し、30℃にて4時間反応させた(尚、酵素のunit数はL−アラニンメチルエステルとL−グルタミンからのL−アラニル−L−グルタミン生成活性ではなく、簡便なL−アラニンアミド分解活性で示した)。このときL−アラニル−L−グルタミンの生成量は50.2mM、L−アラニル−L−アスパラギンの生成量は49.8mMであった。
(実施例7) コリネバクテリウム グルタミカムATCC13286株からのペプチド生成酵素遺伝子の単離とE.coliでの発現
以下、コリネバクテリウム グルタミカムATCC13286からのペプチド生成酵素遺伝子の単離とEscherichia coli(E.coli)での発現について述べる。遺伝子の単離、発現とも、E.coli JM109を宿主に用い、ベクターはpUC18を用いた。
1.決定アミノ酸配列に基づいたPCRプライマーの作製
実施例1で得たコリネバクテリウム グルタミカムATCC13286株由来のペプチド生成酵素のN末端アミノ酸配列(配列表配列番号1)をもとに、配列表配列番号2、3にそれぞれ示すミックスプライマーを作製した。
2.菌体の取得
コリネバクテリウム グルタミカムATCC13286株をCM2Gly寒天培地(0.5g/dl グリセロール、 1.0g/dl 酵母エキス、1.0g/dl ペプトン、0.5g/dl NaCl、2g/dl 寒天、pH7.0)上で30℃、24 時間培養し菌をリフレッシュした。これを50 mlのCM2Gly液体培地を張り込んだ500 mlの坂口フラスコに1白金耳植菌し、30℃、16時間好気的に振盪培養した。
3.菌体からの染色体DNAの取得
培養液50mlを遠心分離操作(12,000rpm、4℃、15分間)に供し、集菌した。この菌体を10mlの20mM EDTAを含む50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)に懸濁し、遠心分離操作により菌体を回収した。再び、この菌体を10mlの20mM EDTAを含む50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)に懸濁した。さらに、この懸濁液に、0.5mlの20mg/mlリゾチーム溶液、1mlの10%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)溶液を加えた後、55℃で20分間インキュベートした。このインキュベートした薄液に、1mM EDTAを含む10mMトリス塩酸緩衝液(pH 8.0)で飽和したフェノールを等量加えて除タンパクを行った。この分離した水層に対して、等量の2−プロパノールを加えて、DNAを沈澱させ、回収した。沈澱したDNAを20mM EDTAを含む50mMトリス塩酸緩衝液(pH 8.0)0.5mlに溶解した後、5μlの10mg/ml RNase、5μlの10mg/ml ProteinaseKを加えて、55℃で2時間反応させた。反応後、この溶液に等量の1mM EDTAを含む10mMトリス塩酸緩衝液(pH 8.0)で飽和したフェノールで除タンパクを行った。さらに、分離した水層に等量の24:1 クロロホルム/イソアミルアルコールを加えて攪拌し、水層を回収した。この操作をさらに2回行った後に得られた水層に、終濃度0.4Mとなるように3M酢酸ナトリウム溶液(pH 5.2)を加え、さらに2倍容のエタノールを加えた。沈澱となって生じたDNAを回収し、70%エタノールで洗浄した後、乾燥させ、1mlの1mM EDTAを含む10mMトリス塩酸緩衝液(pH 8.0)に溶解させた。
4.カセットPCR法によるペプチド生成酵素遺伝子の一部を含むDNA断片の取得
カセットPCR法によるペプチド生成酵素をコードする遺伝子(aah)を含むDNA分子の単離・増幅には、TaKaRa LA PCR in vitro Cloning Kit(宝酒造社製)を用いた。以下断わりの無い限り、説明書の方法に基づき実験を行った。カセットPCR法において、プライマー1(1st PCR、配列表配列番号2)と2(2nd PCR、配列表配列番号3)をプライマーとした場合に、EcoR Iカセットとの間で約0.5kbのバンド(フラグメント1)が増幅した。この断片の塩基配列を決定することにより、フラグメント1がaahの一部分であることを確認した。
5.遺伝子ライブラリーからのペプチド生成酵素遺伝子のクローニング
次に、aahの全長取得のために、フラグメント1をプローブとしてまず、サザンハイブリダイゼーションを行った。
プローブとなるDNA断片を約50ng/μlに調整し、このDNA溶液16μlをDIG High Prime(Boehringer Mannheim)を使用して、プロトコールに準じて37℃で24時間インキュベートしてプローブの標識を行った。
染色体DNA1μgを各種制限酵素の組合わせで完全消化し、0.8%アガロースゲルで電気泳動した後に、ナイロンメンブレン(Boehringer Mannheim,Nylon membranes positively charged)にブロッティングした。以下定法に従ってサザンハイブリダイゼーションを行った。ハイブリダイゼーションはDIG Easy Hyb(Boehringer Mannheim)を用いて行い、50℃、30分間プレハイブリダイゼーションを行った後にプローブを添加して、50℃、18時間ハイブリダイゼーションさせた。検出はDIG Nucleotide Detection Kit(Boehringer Mannheim)を用いて行った。
その結果、Bgl IIの切断物においては、約7kbの位置にバンドが検出された。この7kb領域の断片を回収してpUC18に連結し、E.coli JM109にてライブラリー(120株)を作製した。以下定法に従ってコロニーハイブリダイゼーションを行った。コロニーをナイロンメンブレンフィルター(Boehringer Mannheim、Nylon membranes for colony and plaque hybridization)に転写し、アルカリ変性、中和、固定化の処理を行った。ハイブリダイゼーションはDIG Easy Hybを用いて行った。フィルターをbuffer中に浸し、42℃、30分間プレハイブリダイゼーションを行った。その後、上述の標識プローブを添加し、42℃、18時間ハイブリダイゼーションを行った。SSC bufferでの洗浄後、DIG Nucleotide Detection Kitを用いてポジティブクローン1株を選抜した。
6.コリネバクテリウム グルタミカム ATCC13286由来ペプチド生成酵素遺伝子の塩基配列
選抜した形質転換体が保有するプラスミドをMolecular Cloning,2nd edition,Cold Spring Harbor press(1989)に記載される方法に従って調製し、プローブとハイブリダイズした近傍の塩基配列を決定した。ペプチド生成酵素の30残基のN末端アミノ酸配列を含むタンパク質をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)が存在し、ペプチド生成酵素をコードする遺伝子aahであることを確認した。ペプチド生成酵素遺伝子全長の塩基配列を配列表配列番号4に示した。得られたORFは既知のプロピオニバクテリウム(Propionibacterium)属細菌由来のプロリンイミノペプチダーゼ(proline iminopeptidase)と塩基配列で57.6%の相同性を示した。なお、相同性の数値はGenetyxを用いて得られた値である(以下、本実施例において同じ)。
7.ペプチド生成酵素遺伝子のE.coliでの発現
aahをE.coliで発現させるために、pUC18のlacプロモーターの下流にaahを連結したプラスミドpUCAAHを構築した。コリネバクテリウム グルタミカムATCC13286染色体DNAを鋳型とし、表3に示すオリゴヌクレオチドをプライマーとしてPCRにより増幅した断片をSacI、SmaIで処理し、pUC18のSacI、SmaI切断物とライゲーションした後、E.coli JM109に形質転換した。アンピシリン耐性株の中から、目的のプラスミドを持った株を選択し、構築した発現プラスミドpUCAAHと命名した。
pUCAAHを持つE.coliでのペプチド生成酵素の発現形質転換体を0.1mg/mlアンピシリンを含むLB培地で、37℃、16時間、シード培養した。LB培地50mlを張り込んだ500ml坂口フラスコに、この前培養液を1mlシードし、37℃にて本培養を行った。培養開始2時間後に、終濃度1mMとなるようにイソプロピル1−チオ−β−D−ガラクトピラノシド(IPTG)を添加し、さらに3時間培養を行った。
培養終了後、集菌、洗浄を行い、10mlの20mM リン酸緩衝液 (pH8.0)に懸濁し、180W、30分間、超音波破砕した。溶液を回収し、12,000g×10分の遠心分離操作を行い、その上清を無細胞抽出液とした。
(実施例8) ペプチド生成酵素活性測定
1.コリネバクテリウム グルタミカムATCC13286由来酵素の活性
上記のようにして培養終了後、無細胞抽出液を調製し、これを酵素源としてペプチド生成酵素活性の測定を行った。ペプチド生成酵素活性の測定は、100mM L−アラニンメチルエステル塩酸塩、150mM L−グルタミン、100mM ホウ酸緩衝液(pH9.0)、10mM EDTAおよび酵素溶液を含む反応液を30℃で60分インキュベートした後、4倍容のリン酸(pH1.5)を添加することにより反応を停止させた。HPLCにてL−アラニル−L−グルタミン量を定量することによった。酵素活性の単位として、この条件にて1分間に1μmolのL−アラニル−L−グルタミンを生成する酵素活性をもって1Uと定義した。
分析に用いたHPLCの条件は以下の通り。
カラム:Inertsil ODS−2
移動相:(リン酸水溶液(pH2.1)),2.5mM sodium−1−octanesulfonate/methanol=10/1
カラム温度:40℃
流速:1.0ml/分
検出:UV 210nm
その結果、pUC18AAHを導入した場合に、0.54U/mgのL−アラニンメチルエステル塩酸塩からのL−アラニル−L−グルタミン合成の活性が検出され、クローニングしたaah遺伝子がE.coliで発現したことを確認した。なお、対照としてpUC18のみを導入した場合には、活性は検出されなかった。
2.His−Tagペプチド生成酵素遺伝子のE.coliでの発現
aahをE.coliで発現させるために、pUC18のlacプロモーターの下流にHis−Tagタンパクとしてペプチド生成酵素を発現させるプラスミドpQEAAHを構築した。コリネバクテリウム グルタミカムATCC13286株染色体DNAを鋳型とし、表4に示すオリゴヌクレオチドをプライマーとしてPCRにより増幅した断片をSacI、SmaIで処理し、pQE−30(Qiagen社)のSacI、SmaI切断物とライゲーションした後、E.coli JM109に形質転換した。アンピシリン耐性株の中から、目的のプラスミドを持った株を選択し、構築した発現プラスミドpQEAAHと命名した。
pQEAAHを持つE.coliでのペプチド生成酵素の発現形質転換体について、実施例8と同様の方法で活性測定したところ、5.28U/mgのペプチド生成酵素活性を示した。
3.His−Tag精製酵素の調製
pQEAAHを持つE.coli JM109の培養液150mlから、上記の方法で菌体破砕し、His Trap kit(Amersham Pharmacia Biotech社製)を用い、その添付プロトコールに従ってHis−TagL―アラニンアミドハイドロラーゼを精製した。SDS−PAGE上で単一バンドを示すタンパクが24mg取得された。その精製酵素のL−アラニンメチルエステル塩酸塩からのL−アラニル−L−グルタミン合成の比活性は148.3U/mgであり、L−アラニンメチルエステル塩酸塩に対して50.7%であった。
4.His−Tag精製酵素を用いた基質特異性の検討
取得したペプチド生成酵素によるL−アラニル−L−グルタミン以外のペプチド合成についてHis−Tag精製酵素を用いて検討を行った。
(1)L−アラニンメチルエステルと他のL−アミノ酸からのペプチド合成
合成反応は、100mM L−アラニンメチルエステル塩酸塩、150mM供試アミノ酸、100mM ホウ酸緩衝液(pH9.0)、10mM EDTAおよび酵素溶液(0.05U/ml)を含む反応液を25℃で3時間インキュベートし、生成したペプチドをHPLCで定量した。その結果、L−アミノ酸としてL−アスパラギンを用いた場合には、22.34mMのL−アラニル−L−アスパラギン、グリシンを用いた場合には、5.66mMのL−アラニル−グリシン、L−アラニンを用いた場合には、10.63mMのL−アラニル−L−アラニン、L−ロイシンを用いた場合には、13.73mMのL−アラニル−L−ロイシン、L−メチオニンを用いた場合には、48.80mMのL−アラニル−L−メチオニン、L−プロリンを用いた場合には、1.02mMのL−アラニル−L−プロリン、L−フェニルアラニンを用いた場合には、16.13mMのL−アラニル−L−フェニルアラニン、L−トリプトファンを用いた場合には、15.31mMのL−アラニル−トリプトファン、L−セリンを用いた場合には、26.14mMのL−アラニル−L−セリン、L−スレオニンを用いた場合には、24.23mMのL−アラニル−L−スレオニン、L−チロシンを用いた場合には0.96mMのL−アラニル−L−チロシン、L−リジンを用いた場合には、7.91mMのL−アラニル−L−リジン、L−アルギニンを用いた場合には、24.87mMのL−アラニル−L−アルギニン、L−ヒスチジンを用いた場合には、23.16mMのL−アラニル−L−ヒスチジンおよびL−グルタミン酸を用いた場合には、1.11mMのL−アラニル−L−グルタミン酸が生成された。
(2)他のL−アミノ酸メチルエステルとL−グルタミンからのペプチド合成
L−アラニンメチルエステル以外のアミノ酸メチルエステルを用いて反応をを行った。
合成反応は、100mM供試アミノ酸メチルエステル、150mM L−グルタミン、100mM ホウ酸緩衝液(pH9.0)、10mM EDTAおよび酵素(0.05U/ml)を含む反応液を25℃で3時間インキュベートし、生成したペプチドをHPLCで定量した。その結果、L−アミノ酸メチルエステルとしてグリシンメチルエステルを用いた場合には、52.19mMのグリシル−L−グルタミン、L−バリンメチルエステルを用いた場合には、5.94mMのL−バリル−L−グルタミン、L−イソロイシンメチルエステルを用いた場合には、0.59mMのL−イソロイシル−L−グルタミン、L−メチオニンメチルエステルを用いた場合には、4.31mMのL−メチオニル−L−グルタミン、L−フェニルアラニンメチルエステルを用いた場合には、3.67mMのL−フェニルアラニル−L−グルタミン、L−セリンメチルエステルを用いた場合には、40.44mMのL−セリル−L−グルタミン、L−スレオニンメチルエステルを用いた場合には、3.85mMのL−スレオニル−L−グルタミン、L−グルタミンメチルエステルを用いた場合にはでは0.23mMのL−グルタミニル−L−グルタミン、L−チロシンメチルエステルを用いた場合には、1.24mMのL−チロシル−L−グルタミン、L−アルギニンメチルエステルを用いた場合には、6.52mMのL−アルギニル−L−グルタミン、L−アスパラギン酸−α−メチルエステルを用いた場合には8.22mMのL−アスパルチル−α−L−グルタミンが生成された。また、アミノ酸メチルエステルとしてL−ロイシンメチルエステル、あるいはL−アスパラギンメチルエステル、あるいはL−リジンメチルエステル、あるいはL−アスパラギン酸−β−メチルエステル、あるいはL−アスパラギン酸−α,β−ジメチルエステル、あるいはL−グルタミン酸−γ−メチルエステルを用いた場合にも、対応するアミノ酸とL−グルタミンからなるペプチドの生成が確認された(標準品が入手できなかったため、定量はしていない)。
(3)プロリンイミノペプチダーゼ(pepI)活性の測定法
反応液(組成;50mM ホウ酸緩衝液(pH9.0),5mM EDTA,1mM プロリン2−ナフチルアミド(proline−pNA))を用いて、30℃で反応を行った。ナフチルアミドの遊離速度を405nmの吸光度の増大で測定(ε=9.83)。1分間に1μmolのナフチルアミドを放出する活性を1Uとした。
精製酵素のプロリンイミノペプチダーゼ活性は、5.83x103U/mgであった。
(実施例9) シュードモナス プチダATCC12633株プロリンイミノペプチダーゼ(pepI)遺伝子の単離とE.coliでの発現
1.プロリンイミノペプチダーゼ(pepI)遺伝子部分断片の取得
実施例7の3.と同様の方法でシュードモナス・プチダATCC12633の培養菌体(50ml培養)から、DNAを単離した。
一方、Genbankに公開されているシュードモナス・プチダATCC12633株のプロリンイミノペプチダーゼ部分塩基配列(AF032970)に基づいて合成DNAオリゴマー(配列番号10:GGC GGA TCC GGT GCT CAA AGC GCA A、および、配列番号11:GGC GGA TC AGG TCG CCG CGT TCT TC)を作製し、これらをプライマーとしてTaKaRa LA(宝酒造社製)を用いたPCR法により遺伝子部分断片を増幅した。
2.遺伝子ライブラリーからのプロリンイミノペプチダーゼ遺伝子全長のクローニング
シュードモナス・プチダATCC12633のプロリンイミノペプチダーゼ遺伝子(pepI)の全長取得のために、この部分断片をプローブとして用いて、まず、実施例7の5.に記載の方法と同様にしてサザンハイブリダイゼーションを行った。その結果、XhoIの切断物においては、約2.8kbの位置にバンドが検出された。次に、この2.8kb領域の断片を回収してpUC18のSalI部位に連結し、E.coli JM109にてライブラリー(100株)を作製した。実施例と同様の方法にてコロニーハイブリダイゼーションを行い、ポジティブクローン1株を選抜した。
3.シュードモナス・プチダATCC12633株プロリンイミノペプチダーゼ遺伝子の塩基配列
選抜した形質転換体が保有するプラスミドをMolecular Cloning,2nd edition,Cold Spring Harbor press(1989)に記載される方法に従って調製し、プローブとハイブリダイズした近傍の塩基配列を決定した。337アミノ酸よりなるタンパク質をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)が存在し、この遺伝子全長を取得したことを確認した。プロリンイミノペプチダーゼ遺伝子全長の塩基配列を配列表配列番号14に示した。
なお、得られたORFは既知のコリネ属細菌由来のプロリンイミノペプチダーゼと塩基配列46.3%の相同性、シュードモナス・アルギノーサPA01のプロリンイミノペプチダーゼと82.4%の相同性を示した。
4.プロリンイミノペプチダーゼ遺伝子のE.coliでの発現
プロリンイミノペプチダーゼ(pepI)遺伝子をE.coliで発現させるために、pUC18のlacプロモーターの下流にpepI遺伝子を連結したプラスミドpUCPPPEPIを構築した。染色体DNAを鋳型とし、配列番号9、11に示すオリゴヌクレオチド(配列番号9;GGC GGA TCC GGT GCT CAA AGC GCA A、配列番号11;CAC GCG CTG CAG CAA ACC CCT CAT)をプライマーとしてPCRにより増幅した断片をで処理し、pUC18切断物とライゲーションした後、E.coli JM109に形質転換した。アンピシリン耐性株の中から、目的のプラスミドを持った株を選択し、構築した発現プラスミドpUCPPPEPIと命名した。
pUCPPPEPIを持つE.coli形質転換体を0.1mg/mlアンピシリンを含むLB培地で、37℃、16時間、シード培養した。LB培地50mlを張り込んだ500ml坂口フラスコに、この前培養液を1mlシードし、37℃にて本培養を行った。培養開始2時間後に、終濃度1mMとなるようにイソプロピル1−チオ−β−D−ガラクトピラノシド(IPTG)を添加し、さらに3時間培養を行った。
培養終了後、集菌、洗浄を行い、10mlの20mM リン酸緩衝液(pH8.0)に懸濁し、180W、30分間、超音波破砕した。溶液を回収し、12,000g×10分の遠心分離操作を行い、その上清を無細胞抽出液とした。その結果、pUCPPPEPIを導入した場合のみプロリンイミノペプチダーゼ活性(1.21x103U/mg)が検出され、クローニングしたpepI遺伝子がE.coliで発現したことが確認された。
(実施例10) シュードモナス・プチダATCC12633株のプロリンイミノペプチダーゼによるL−アラニル−L−グルタミン合成
1.シュードモナス・プチダATCC12633株におけるL−アラニル−L−グルタミン合成活性の検出
シュードモナス・プチダATCC12633をL培地で30℃一晩液体培養し、菌体を得た。取得した菌体を0.1Mホウ酸緩衝液(pH9.0)、10mM EDTAにけん濁し、酵素液とした。なお、L−アラニル−L−グルタミン合成活性は、以下の酵素活性測定法により行った。終濃度0.1Mホウ酸緩衝液(pH9.0)、10mM EDTA、100mML−アラニンメチルエステル塩酸塩、及び150mM L−グルタミンとなる反応溶液にて30℃にて酵素反応を行い、反応に伴い生じるL−アラニル−L−グルタミンをHPLCにより定量した。一分間に1μmolのL−アラニル−L−グルタミンを生じる活性を1Uとした。
培養液1mlあたり0.051UのL−アラニル−L−グルタミン合成活性が検出された。
2.プロリンイミノペプチダーゼ発現E.coliによるL−アラニル−L−グルタミン合成
上記無細胞抽出液を用いて、L−アラニル−L−グルタミン合成活性を測定した。その結果、pUCPPPEPIを導入した場合には7.88U/mgのL−アラニル−L−グルタミン合成活性が検出され、クローニングしたpepI遺伝子がL−アラニル−L−グルタミン合成酵素の遺伝子であることが確認された。L−アラニル−L−グルタミンの最高蓄積は25mMであった。
(実施例11) シュードモナス プチダFERM BP−8123株プロリンイミノペプチダーゼ(pepI)遺伝子の単離とE.coliでの発現
1.プロリンイミノペプチダーゼ(pepI)遺伝子部の取得
シュードモナス プチダ FERM BP−8123株のプロリンイミノペプチダーゼ遺伝子(pepI)取得のために、実施例1と同様の方法でシュードモナス プチダ FERM BP−8123株の培養菌体(50ml培養)から、DNAを単離した。
一方、実施例9で増幅したシュードモナス・プチダATCC12633株のpepI遺伝子部分断片をプローブとして用いて、まず、実施例9の5.同様の方法でサザンハイブリダイゼーションを行った。その結果、PstIの切断物においては、約6.5kbの位置にバンドが検出された。
次に、この6.5kb領域の断片を回収してpUC18のPstI部位に連結し、E.coli JM109にてライブラリー(200株)を作製した。実施例と同様の方法にてコロニーハイブリダイゼーションを行い、ポジティブクローン2株を選抜した。
2.シュードモナス プチダFERM BP−8123株のプロリンイミノペプチダーゼ遺伝子の塩基配列
選抜した形質転換体が保有するプラスミドをMolecular Cloning,2nd edition,Cold Spring Harbor press(1989)に記載される方法に従って調製し、プローブとハイブリダイズした近傍の塩基配列を決定した。323アミノ酸よりなるタンパク質をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)が存在し、この遺伝子全長を取得したことを確認した。プロリンイミノペプチダーゼ遺伝子全長の塩基配列を配列表配列番号16に示した。得られたORFはシュードモナス・プチダATCC12633株のプロリンイミノペプチダーゼ遺伝子と塩基配列で83%、アミノ酸配列で85%の相同性を示した。
3.プロリンイミノペプチダーゼ遺伝子のE.coliでの発現
pepI遺伝子をE.coliで発現させるために、pUC18のlacプロモーターの下流にpepI遺伝子を連結したプラスミドを構築した。染色体DNAを鋳型とし、配列番号12、13に示すオリゴヌクレオチド(配列番号12;CCC GAA TTC TTA CGG AGC GCG CAA TG、配列番号13;CGG GGA TCC CTT CAT GCT TCT TCA GG)をプライマーとしてPCRにより増幅した断片をで処理し、pUC18切断物とライゲーションした後、E.coli JM109に形質転換した。アンピシリン耐性株の中から、目的のプラスミドを持った株を選択し、構築した発現プラスミドpUCPGPEPIと命名した。
pUCPGPEPIを持つE.coli形質転換体を実施例8と同様の方法で無細胞抽出液を作成し、プロリンイミノペプチダーゼ活性を測定したところ活性(3.48x101U/mg)が検出され、クローニングしたpepI遺伝子がE.coliで発現したことが確認された。
(実施例12) シュードモナス プチダFERM BP−8123株のプロリンイミノペプチダーゼによるL−アラニル−L−グルタミン合成
1.シュードモナスプチダFERM BP−8123株によるL−アラニル−L−グルタミン合成活性の検出
シュードモナスプチダFERM BP−8123株を実施例10と同様に培養し酵素活性を測定した。培養液1mlあたり0.054UのL−アラニル−L−グルタミン合成活性が検出された。
2.L−アラニル−L−グルタミン合成酵素活性の検出
pUCPGPEPIを持つE.coli形質転換体無細胞抽出液を用いて、L−アラニル−L−グルタミン合成活性を測定した。その結果、pUCPGPEPIを導入した場合には0.470U/mgのL−アラニル−L−グルタミン合成活性が検出され、クローニングしたpepI遺伝子がL−アラニル−L−グルタミン合成酵素の遺伝子であることが確認された。L−アラニル−L−グルタミンの最高蓄積は30mMであった。
(実施例13) バチルス・コアギュランスEK01株のプロリンイミノペプチダーゼ活性を有する酵素によるL−アラニル−L−グルタミン合成
東洋紡より市販されているバチルス・コアギュランスEK01株の精製酵素(3.93x105U/mg)をもちいて、実施例10に開示されている方法でL−アラニル−L−グルタミン合成活性を測定した。その結果、52.0U/mgの活性が検出され、このプロリンイミノペプチダーゼがL−アラニル−L−グルタミン合成活性を有する酵素であることが確認された。L−アラニル−L−グルタミンの最高蓄積は18mMであった。
(実施例14) 取得酵素の活性に対する阻害剤の影響
取得したプロリンイミノペプチダーゼに対する阻害剤の影響を調べた。0.1Mホウ酸緩衝液(pH9.0)、10mM EDTA、100mM L−アラニンメチルエステル塩酸塩、150mM L−グルタミン、および1mM阻害剤となる反応溶液にて30℃にて30分間酵素反応を行い、L−アラニル−L−グルタミン合成を測定した。バチルス コアギュランスEK01、シュードモナス プチダATCC12633株、シュードモナス プチダFERM BP−8123株については、NEM(N−エチルマレイミド)を1mM添加すると、酵素活性はほぼ完全に阻害された。また、1mMのIAA(ヨードアセトアミド)添加によって、活性がある程度減少した。一方、1mMのPMSF(フェニルメチルスルフォニルフロリド)添加時には活性に影響はなかった。コリネバクテリウム グルタミカムATCC13286株については、調べたどの阻害剤でも活性は影響を受けなかった。
(配列表フリーテキスト)
配列番号1:コリネバクテリウム グルタミカム由来のペプチド生成酵素のN末端アミノ酸配列
配列番号2:PCR用プライマー
配列番号3:PCR用プライマー
配列番号4:コリネバクテリウム グルタミカム由来のペプチド生成酵素のコードシーケンス
配列番号5:コリネバクテリウム グルタミカム由来のペプチド生成酵素のアミノ酸配列
配列番号6:プライマー
配列番号7:プライマー
配列番号8:プライマー
配列番号9:プライマー
配列番号10:プライマー
配列番号11:プライマー
配列番号12:プライマー
配列番号13:プライマー
配列番号14:シュードモナス プチダATCC12633由来のペプチド生成酵素のコードシーケンス
配列番号15:シュードモナス プチダATCC12633由来のペプチド生成酵素のアミノ酸配列
配列番号16:シュードモナス プチダFERM BP−8123由来のペプチド生成酵素のコードシーケンス
配列番号17:シュードモナス プチダFERM BP−8123由来のペプチド生成酵素のアミノ酸配列
産業上の利用の可能性
本発明のジペプチドの製造方法により、複雑な合成方法を経ることなく、安価に入手可能なL−アミノ酸エステルとL−アミノ酸を用いてジペプチドを製造することができ、医薬品素材、機能性食品等として有用なジペプチドの製造コストダウンが可能となる。また、本発明のジペプチドの製造方法によれば、様々な種類のアミノ酸エステルおよびアミノ酸を原料として、種々のタイプのジペプチドを生成することができる。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
第1図は、阻害剤を添加したときのジペプチド合成活性を示した図である。
Claims (4)
- アミノ酸エステルとアミノ酸とからジペプチドを生成する活性、および、プロリンイミノペプチダーゼ活性を有するタンパク質を、L−アミノ酸エステルおよびL−アミノ酸に作用させ、ジペプチドを合成することを特徴とするジペプチドの製造方法であって、
前記タンパク質が、コリネバクテリウム グルタミカム、シュードモナス プチダ、バチルス コアギュランスのいずれかに属する微生物に由来し、
前記アミノ酸エステルが、L−アラニンエステル、グリシンエステル、L−バリンエステル、L−イソロイシンエステル、L−メチオニンエステル、L−フェニルアラニンエステル、L−セリンエステル、L−スレオニンエステル、L−グルタミンエステル、L−チロシンエステル、L−アルギニンエステル、L−アスパラギン酸−α−エステル、L−アスパラギン酸−β−エステル、L−ロイシンエステル、L−アスパラギンエステル、L−リジンエステル、L−アスパラギン酸−α,β−ジメチルエステル、L−グルタミン−γ−エステルからなる群より選ばれる1種または2種以上であり、
前記L−アミノ酸が、L−グルタミン、L−アスパラギン、グリシン、L−アラニン、L−ロイシン、L−メチオニン、L−プロリン、L−フェニルアラニン、L−トリプトファン、L−セリン、L−スレオニン、L−チロシン、L−リジン、L−アルギニン、L−ヒスチジンおよびL−グルタミン酸からなる群より選ばれる1種または2種以上である、
ことを特徴とするジペプチドの製造方法。 - 前記微生物の培養物、該培養物より分離した微生物菌体、該微生物の菌体処理物を用いて、前記タンパク質を供給することを特徴とする、特許請求の範囲第1項に記載のジペプチドの製造方法。
- 前記タンパク質が、下記(A)から(F):
(A)配列表の配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、
(B)配列表の配列番号5に記載のアミノ酸配列において、1〜50個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、L−アミノ酸エステルとL−アミノ酸とからジペプチドを生成する活性を有するタンパク質、
(C)配列表の配列番号15に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、
(D)配列表の配列番号15に記載のアミノ酸配列において、1〜50個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、L−アミノ酸エステルとL−アミノ酸とからジペプチドを生成する活性を有するタンパク質、
(E)配列表の配列番号17に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、および
(F)配列表の配列番号17に記載のアミノ酸配列において、1〜50個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、L−アミノ酸エステルとL−アミノ酸とからジペプチドを生成する活性を有するタンパク質、
からなる群より選ばれる、特許請求の範囲第1項または第2項に記載のジペプチドの製造方法。 - 前記タンパク質が、下記(a)から(f):
(a)配列表の配列番号4に記載の塩基番号57〜1295の塩基配列からなるDNA、
(b)配列表の配列番号4に記載の塩基番号57〜1295の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、L−アミノ酸エステルとL−アミノ酸とからジペプチドを生成する活性を有するタンパク質をコードするDNA、
(c)配列表の配列番号14に記載の塩基番号486〜1496の塩基配列からなるDNA、
(d)配列表の配列番号14に記載の塩基番号486〜1496の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、L−アミノ酸エステルとL−アミノ酸とからジペプチドを生成する活性を有するタンパク質をコードするDNA、
(e)配列表の配列番号16に記載の塩基番号311〜1279の塩基配列からなるDNA、および
(f)配列表の配列番号16に記載の塩基番号311〜1279の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、L−アミノ酸エステルとL−アミノ酸とからジペプチドを生成する活性を有するタンパク質をコードするDNA、
からなる群より選ばれるDNAを含む発現ベクターが導入された形質転換体により前記DNAを発現させて供給され、かつ、
前記ストリンジェントな条件が、65℃、0.1×SSC、0.1%SDSである、
特許請求の範囲第1項または第2項に記載のジペプチドの製造方法。
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