JP4144535B2 - 固体撮像装置、画素信号読出方法 - Google Patents
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Description
CMOSイメージセンサーは、その製造には世界中で生産されている一般的なCMOS型集積回路と同様の製造プロセスを用いる事が可能であり、また単一電源での駆動が可能である。さらにCMOSプロセスを用いたアナログ回路や論理回路を同一チップ内に混在させることができるため、周辺ICの数を減らすことができるといった、非常に大きなメリットを複数持ち合わせている。
また、並列処理により信号出力回路の帯域を抑える事ができる為、結果的にノイズレベルを低くできるというメリットもある。
この並列出力型CMOSイメージセンサーの信号出力回路については実に様々なものが提案されている。例えば画素の出力をスイッチトキャパシタでサンプリングして読み出すものや、列毎にアンプを搭載して読み出すもの、中にはADコンバータやDRAMといったものまで列毎に設けているものもある。そして本発明は主に、列毎にアンプを設けた読み出し方式に係るものである。
図9はある1つの画素GSに対応する1列(1つの垂直信号線VLの回路系)だけを抜き出して示したものである。
画素GSは、フォトダイオードPD、リセットトランジスタTrst、増幅用トランジスタTg、読出用トランジスタTsを有して成る。
そしてこの場合、容量素子C1,C2を有する電荷積分回路と、ソース接地アンプ100とによる電荷積分アンプを用いて画素GSの出力を読み出す構成になっている。ソース接地アンプ100は駆動MOSトランジスタTr16と負荷MOSトランジスタTr17とにより構成される。
またこの場合、帰還容量C2をスイッチ用のトランジスタTr15と基準電圧Vrefを用いてプリチャージするような構成を採っており、これによって、ソース接地アンプ100のオフセットバラツキを除去できるようにしている。
次にT2期間において、信号φRC、φTCにより、トランジスタTr15がオフ、トランジスタTr14がオン状態になることで、先ほどプリチャージした基準電圧Vrefが電荷積分アンプの出力Voutに現れる。尚、この時トランジスタTr13はトランジスタTr15と同時にオフするのでリセット状態は解除される。
次にT3期間において、画素GSからオフセット電圧Voのみが出力され、それを積分する事で電荷積分アンプの出力には信号成分だけが、容量素子C1、C2の大きさの比をゲインとして読み出されることになる。
最後に読み出した信号をシフトレジスタ101から供給されるパルスφSRに同期して水平信号線HLへと順次出力していく。
図11も上記図9と同様に、ある1つの画素GSに対応する1列(1つの垂直信号線VLの回路系)だけを抜き出して示したものである。
この図11の例も、上記図9と同じく、画素GSからの信号をシングルエンドのアンプAPと容量素子C1,C2からなる電荷積分アンプで読み出す構成になっている。
尚、ここで容量素子C2は容量c21,c22及びスイッチSφ3から構成されており、スイッチSφ3のオン/オフによって容量値可変の構成をとっている。これによりアンプAPの読み出しゲインが可変となる。
パルスφSV、φR、φTXは画素GSに対する駆動パルスである。またパルスφ1〜φ4は、図11のスイッチSφ1〜Sφ4をオン/オフするパルスである。
この場合、同じ電荷積分アンプなので基本的な動作は図9の例と変わらないが、図11に示した画素GSは転送ゲートTt付きの画素の例としており、この場合図13に示すタイミングからわかるように、パルスφRにより先にリセット動作を行い、リセットレベルとしてのオフセット電圧Voを読んでから、パルスφTXによりオフセット電圧Voに信号レベルVpsを重複した値を出力している。
この順番は図9の例と逆であるが、この方がパルスφRによるリセット時のKT/Cノイズを除去できる事から低ノイズであり、現在の主流である。なお図9の例とは信号出力の極性が反対となる。また、この例では基準電圧Vrefにプリチャージするような動作はなく、パルスφ1によってスイッチSφ1をオンとし、帰還をかけた時のスレッショルド電圧Vtを基準として信号を出力する。出力Vout=Vt+(C1/C2)・Vpsとなる。
ただし、列毎にアンプをレイアウトしなければならない為、どうしてもレイアウト面積が増大しがちである。その為できるだけ1列当たりの回路構成を簡単化することが求められ、上記例にあるように、比較的構成が簡単なソース接地アンプ等が好んで用いられる。
もちろん差動アンプを用いる事も可能であるが、やはり回路構成の複雑さを考慮すると、ソース接地アンプの方が好ましい。ただし電源電圧の変化によって入力オフセット電圧が増減する割合であるPSRR(Power Supply Rejection Ratio)という点から見ると、電源、グランド基準で動作するソース接地アンプは差動アンプに比べてどうしても劣ってしまう。
図14に一般的なレイアウト構成を示す。画素エリア200の下、もしくは上下に出力回路エリア201が配置されるが、出力回路エリア201においては、各垂直信号線VL(・・・VLn、VLn+1・・・VLm)の列に対応してアンプAP(・・・APn、APn+1・・・APm)が1つずつ配置される為に、必然的に横に多数のアンプAPと並ぶような構成になる。
するとどうしても細長い配線になってしまう為、寄生抵抗rの影響が無視できなくなってくる。
電源供給線LVDD、グランド線LGNDの場合は、当然アンプAPの電流を流している為、寄生抵抗rの影響でIRドロップ(電圧降下)を起こし、中央と端とでは電源、グランドの電位が異なることとなる。
また、寄生抵抗rというインピーダンスを持った線に電流を流しているということは、その電位を常に安定させる為には流している電流値を常に安定させなければならないということになるが、図9で紹介したようなソース接地アンプの場合、トランジスタTr17は伝達コンダクタンスを抵抗に見立てて負荷としているだけなので、いわゆる抵抗負荷と同じような動作となり、アンプの出力値に依存して流す電流値が変化することになる。
図12の例のように定電流源を負荷トランジスタT10として用いることもできるが、定電流源が定電流源として動作できる電圧範囲には限りがあり、あまり大きな信号が来て出力値が高くなりすぎると、電流源MOSトランジスタの動作領域は線形領域へと突入し、いわゆる抵抗と結局変わらない動作になる。
図15(a)において、PチャンネルMOSトランジスタT10はゲートに電圧Vbp1が与えられ、飽和領域になるように動作電圧を設定する事で電流源として機能する。
この負荷トランジスタT10が電流源として機能するのは、Vout<Vbp1+Vtp (但しVoutはアンプの出力電圧、VtpはPMOSの負荷トランジスタT10のしきい値電圧)の範囲である。図15(b)に横軸を出力電圧Vout、縦軸を電流Idsとして示しているが、出力電圧Voutが上記Vbp1+Vtpの値を超えてしまうと、アンプが流す電流値Idsは減少していく。最後に出力電圧Voutが電源電圧VDD−Vtpを越えると、電流Idsは0となってしまう。
例えば図11、図13の例においては、画素GSのリセットレベルのオフセット信号Voを読み出している時のアンプのスレッショルド電圧Vtはその後も不変である必要がある。ところが、このスレッショルド電圧Vtは電源、グランドレベルを基準として作られる電圧なので、信号レベルVpsを読み出す時に信号が大きすぎて電流値Idsが変化しまうと、電源、グランドレベルが変化し、一緒にスレッショルド電圧Vtも変化してしまう。
結局、それを補う為にアンプの出力Voutまで変化してしまい、あたかも黒レベルが変化したように見える。
例えば、画素エリア200の一部に強い光が当たり、そこを読み出すアンプの電流が変化してしまうと、その影響を横方向に共有してしまい、横帯を引いたような画像信号が出力されてしまう。そもそも強い光が当たっている部分はほとんど真っ白にしか写らないので多少の黒レベルの変化は気にならないが、それを回りの暗い部分と共有してしまうと、黒レベルの変化は横帯となってハッキリ画像に表れる。これはイメージセンサーとしては致命的な欠陥となり、シングルエンドのアンプを用いる場合の大きな問題点となりうる。
そして、上記アンプ手段が、その消費電流を決める為の電流源MOSトランジスタと、該電流源MOSトランジスタのドレイン端子電圧を抑える為に直列に接続したカスコードMOSトランジスタと、上記電流源MOSトランジスタのドレイン電圧を検出して、該ドレイン電圧を一定に保つように上記カスコードMOSトランジスタのゲート端子に対してフィードバックをかける補助アンプ部を有する構成とされる場合、上記リミッタ手段は、ソース端子を上記アンプ手段の出力に、ドレイン端子を電源もしくはグランドに、ゲート端子を上記カスコードMOSトランジスタのゲート端子に接続したMOSトランジスタにより形成されるようにする。
この場合に、各アンプ手段の出力にリミッタ手段を設けて、アンプ手段の出力範囲をアンプ手段の消費電流が一定に保たれる範囲に制限する。つまりアンプ手段の消費電流が低下していくようなレベルの出力がなされないようにする。
また、構成が簡単である一方、電源、グランドの変動に弱いシングルエンドのアンプの場合であっても、リミッタ手段を備えるようにすることで問題なく用いることが可能となり、列毎に画素ピッチに合わせてアンプ手段をレイアウトしなければいけないといった制約条件の中、レイアウト面積の削減に貢献できる。
1.各実施の形態に共通の全体構成
2.第1の実施の形態のアンプ/リミッタ構成
3.第2の実施の形態のアンプ/リミッタ構成
4.第3の実施の形態のアンプ/リミッタ構成
5.実施の形態の効果及び変形例
図1は実施の形態の固体撮像装置の要部のブロック図である。
図1における画素アレイ1には、図示しないレンズ系によって被写体からの光が入射される。この画素アレイ1はCMOSセンサアレイとされ、固体撮像素子(CMOSセンサ)としての撮像画素GSが、行方向及び列方向に多数配されて形成されている。
なお、画素GSの構成は、例えば図9或いは図11に示したような構成とされればよい。つまり、図9のように画素GSは、フォトダイオードPD、リセットトランジスタTrst、増幅用トランジスタTg、読出用トランジスタTsを有して成る。或いは図11のように、フォトダイオードPD、リセットトランジスタTrst、増幅用トランジスタTg、読出用トランジスタTs、転送ゲートTtを有して成る。
図1においては1行の画素に対して1つの垂直走査線Lを示しているが、図9のような画素GSの構成の場合は、1つの垂直走査線Lは、パルスφR、φSVを与えるための信号線を含むものとして示している。また画素GSが図11の構成の場合は、1つの垂直走査線Lは、パルスφR、φSV、φTXを与えるための信号線を含むものとして示している。
より具体的には、垂直走査回路3は、例えば、まず選択した行の各画素GSからリセットレベルの信号を各垂直信号線VLに与えさせ(いわゆるP相読出)、その後、フォトダイオードPDに蓄積された電荷に応じた画素信号を垂直信号線VLに与える動作(いわゆるD相読出)を実行させる。垂直走査回路3はこのような読み出し動作を順次実行させることになる。
選択された或る行の画素GSからの画素信号の読出は、1水平期間内の水平ブランキング期間に行われる。つまり水平ブランキング期間においては、垂直走査回路3によって選択された行の各画素GSからの画素信号が、各垂直信号線VL1,VL2・・・に対して並列的に出力されることになる。
カラム読出部5では、各垂直信号線VL(各列)に対して、アンプAP、リミッタLM、及びスイッチSWが設けられる。アンプAP及びリミッタLMの具体的な構成については後述するが、アンプAPは、例えば容量素子やスイッチ素子や、例えばシングルエンドアンプを有して成る電荷積分アンプが形成されている。このアンプAPにより、いわゆるCDS(Correlated Double Sampling:相関二重サンプリング)回路が形成されて、画素信号のサンプリングを行う。具体的にはP相読出レベル(リセットレベル)とD相読出レベル(データレベル)の差を、画素信号としてサンプリングし、出力する。
またその出力についてはリミッタLMにより出力電圧が制限される。
水平信号線HLとしては、例えば3本の水平信号線HL1,HL2,HL3が設けられており、各列のアンプAP(及びリミッタLM)は、順番に3本の水平信号線HL1,HL2,HL3に振り分けられるように、スイッチSWを介して接続されている。水平転送については、アンプAPが水平信号線HLを駆動することになるが、列毎に設けられた各アンプAPによって、水平信号線HL1,HL2,HL3が順次駆動されることになる。そして水平信号線HL1,HL2,HL3で転送される信号(アンプAPの出力)がマルチプレクサMPXで順次選択されていくことで、1ラインの撮像画像信号とされ、出力回路4に供給される。
ところで水平信号線HLが複数設けられるのは、列毎に配置されたアンプAPで1本の水平信号線を高速で駆動することが難しいためである。つまり水平信号線HLを複数本とし、並列的に水平転送することで、水平信号線1本あたりのデータレートを下げるものである。これよりアンプAPを駆動能力が比較的低いアンプ構成としてもよいものとなり、レイアウト面積的にも有利となる。
なお水平信号線の本数としては、3本は一例であり、2本又は4本以上でも良い。本数が多いほど1本あたりのデータレートを下げることができるのは自明である。通常、水平ブランキング期間の読出動作と同程度の駆動スピードとなるような本数を用意することが効率がよく好ましい。
また、アンプAPの駆動能力が高い場合などは、1本の水平信号線で水平転送する構成として良いことは言うまでもない。
このような処理を経て出力回路4から出力される撮像画像信号は、その後、表示用の信号処理が行われて表示部で画像表示が行われたり、フォーマット処理、圧縮処理等のエンコード処理が行われて記録メディアに記録されたり、或いは送信出力される。
垂直走査回路3、水平走査回路6、カラム読出部5、出力回路4での動作タイミングは、タイミングジェネレータ2によって制御される。タイミングジェネレータ2は、垂直同期信号、水平同期信号に基づいて、各部の動作タイミングを制御する。
カラム読出部5では画素アレイ1からの各列、つまり各垂直信号線VL(・・・VLn、VLn+1・・・VLm)に対応してアンプAP(・・・APn、APn+1・・・APm)が1つずつ配置され、またリミッタLM(・・・LMn、LMn+1・・・LMm)が1つずつ配置される。
このように並ぶ多数のアンプAPに対して、電源供給線LVDD、グランド線LGND等の配線が形成される。つまり基板上のPAD(電源PAD、GND−PAD)から横方向へ長く配線される。この場合に、細長い配線になり、寄生抵抗rの影響が無視できなくなることや、アンプAPでの消費電流が一定にならず、それにより問題が発生することは前述したとおりである。
ここで本例では、画素GSから列毎に垂直信号線VL(・・・VLn、VLn+1・・・VLm)に出力された信号は、やはり列毎に配置されたアンプAP(・・・APn、APn+1・・・APm)によって読み出されるが、その読み出される信号電圧は、その先に配置されたリミッターLM(・・・LMn、LMn+1・・・LMm)によってある基準レベルを越えないように制限がかけられる。
この基準レベルとは、アンプAPがその出力レベルによらす常に一定の電流を流し続けられる範囲内に設けられる。また、撮像画像信号に影響を与えないように、後段に備えられるA/D変換器の入力範囲外に設定する事が好ましい。
以下、アンプAP及びリミッタLMの具体的な構成を述べていく。
上記アンプAPとリミッタLMの具体例として第1の実施の形態を図3、図4,図5で説明する。
図3は画素アレイ1のある1列に対応するアンプAP及びリミッタLMの回路例を示している。
アンプAPは、基本的にはNチャンネルMOSの駆動トランジスタT2と、PチャンネルMOSの電流源負荷トランジスタT1からなるソース接地アンプであり、容量C1,C2により電荷積分アンプを構成する。
なお、この図3はソース接地アンプのレギュレーテッドカスコードを用いない場合の例である。
電流源負荷となるトランジスタT1は、ゲート電圧Vbp1が与えられ、飽和領域になるように動作電圧を設定する事で電流Idsの電流源として機能する。
電荷積分アンプを構成する為の容量として容量C1,C2が設けられるが、容量C2は容量素子c21、c22及びスイッチSφ3によって可変容量を構成しており、読み出しゲインを変化させる事ができる。
スイッチSφ1はリセットスイッチで、容量C2の初期化に用いる。
このトランジスタT3は、出力電圧Voutが所定のリミッタレベルVLL(=VLIMIT+Vtpl)よりも高くなったときに導通状態になり、トランジスタT1が流す電流Idsを引き抜くことになる。なおVtplはトランジスタT3のしきい値電圧である。
アンプAPは、画素GSからの信号Vpsを入力し、容量比C1/C2のゲインをもって出力電圧Voutとする。
もしリミッタLM(トランジスタT3)が設けられていなれば、この図3のアンプAPは従来例として挙げた図15と同じであるから、出力VoutがVbp1+Vtpよりも高くなれば、トランジスタT1は線形領域に入り、電流源としては機能しなくなる。なお、Vbp1はトランジスタT1のゲート電圧、VtpはトランジスタT1のしきい値電圧である。
図4(a)(b)では破線によりリミッタLMを設けない場合を示している。
図4(a)は横軸をアンプAPの入力電圧(信号Vps)、縦軸を出力電圧Voutとしている。この場合、出力VoutがVbp1+Vtpに達するまでは、容量比C1/C2としてのゲインによる傾きで入出力特性が示されるが、出力VoutがVbp1+Vtpを越えると、図示する曲線の特性になる。そして図4(b)には、横軸を出力電圧Vout、縦軸を電流Idsとして示しているが、出力電圧Voutが上記Vbp1+Vtpの値を超えてしまうと、アンプが流す電流値Idsは減少していく。
これにより図4(a)に太線で示すように、リミッタLMの機能によって出力電圧VoutはVLIMIT+Vtplを限度として、それ以上高くならないものとなる。
また図4(b)からわかるように、太線で示す出力電圧VoutがリミッタLMによってVLIMIT+Vtplを上限とすることは、出力電圧Voutは、電流Idsが一定に保たれる範囲内で変動するものとなる。
つまりは、リミッターレベルVLL(=VLIMIT+Vtpl)を、Vbp1+Vtpよりも低く設定することで、トランジスタT1は常に飽和領域にいることが保証され、アンプAP+リミッタLM全体で見た時に消費する電流値を常に一定に保つことができる。
このように設定すると、リミッタレベルVLLより高い範囲で出力電圧Voutがクリップされることによって画像に影響を与えることが無くなる。これは、リミッタLMでクリップされる、リミッタレベルVLLより高い出力電圧Voutは、仮にリミッタLMを設けない場合でも、A/D変換器のレンジ上限を越えてクリップされるためである。換言すれば、リミッタレベルVLLをA/D変換器の入力範囲外に設定することは、もともとA/D変換器でクリップされる電圧領域となる出力電圧VoutをリミッタLMで制限することとなり、リミッタLM有無はA/D変換出力に影響を与えない。従って、リミッタ動作が撮像画像信号に影響を与えるということはない。
なおリミッタレベルVLL自体の設定に自由度がない場合は、A/D変換器の上限RT、下限RBのレベルを変えても良い。但し一般的に上限RTはC1/C2で決まるアンプAPのゲインが最も低い時の画素信号の飽和レベルと同程度、下限RBは暗時の出力と同程度に設定される。
またA/D変換器をどこに配置するかは特に限定しないが、図5はアンプAPとA/D変換器がDC的に直結されていることを想定した図である。アンプAPとA/D変換器の間にゲイン成分やDCオフセットが入る場合は、それらを加味してリミッターレベルを設定する必要があることは言うまでもない。
この「出力電圧Voutのわずかな上昇分」はトランジスタT3の伝達コンダクタンスによって決まるもので、VLIMIT+VtplとVbp1+Vtpとの間にどれだけマージンがあるかといった所に応じて適宜決める必要がある。
ただし、確実にリミッターがかかるようにと、トランジスタT3のゲート電圧VLIMITを低くしすぎるとそれだけアンプの出力レンジが狭くなってA/D変換器の上限RTと干渉する可能性があるし、「出力電圧Voutのわずかな上昇分」を減らす為にトランジスタT3のサイズを大きくしすぎると通常動作中のリーク電流が多くなってくる可能性があるので注意が必要である。
続いて、アンプAP及びリミッタLMの構成として第2の実施の形態を図6に示す。
上記図3の構成との違いは、アンプAPにレギュレーテッドカスコードを用いていることである。即ち図3の構成に加えて、電流源負荷トランジスタT1に対してカスコード接続されたPチャンネルMOSトランジスタT4が設けられる。またPチャンネルMOSトランジスタT5及び電流源I1からなる補助アンプAsを備えている。
また、このようなアンプAPに対しては、図3のようにPチャンネルMOSトランジスタT3のみから成るリミッタLMを用いることができるが、この図6の例では基準のゲート電圧VLIMITを使わない方式を示す。即ち図6のリミッタLMは、PチャンネルMOSトランジスタT6のソース端子をアンプAPの出力に、ドレイン端子をグランドに、ゲート端子をカスコードMOSトランジスタT4のゲート端子(補助アンプAsの出力)に接続する構成としている。
補助アンプAsは、このゲート−ソース間電圧Vgs(T5)が常に一定になるように、トランジスタT4に対して負帰還をかけている為、結果的にトランジスタT1のドレイン−ソース電圧Vds(T1)も常に一定となる。このトランジスタT1のドレイン−ソース電圧Vds(T1)が、トランジスタT1を飽和領域で動作させる電圧(すなわちVbp1+Vtpより低い電圧)であれば、トランジスタT1は出力電圧Voutの変化に対して非常に高い定電流性を示すようになる。
ここで補助アンプAsはPチャンネルMOSトランジスタT5の一個からなるソース接地アンプであるから、通常50倍前後のゲインを持っている。するとトランジスタT4が線形領域に入ってトランジスタT1のドレイン−ソース電圧Vds(T1)が少しでも変化したときには、補助アンプAsの出力はその50倍も変化するわけであるから、この補助アンプAsの出力はトランジスタT1が線形領域に入る前にその前兆を示すフラグのような働きを持っている事がわかる。
これを上手く利用する為に、リミッタLMとしてPチャンネルMOSトランジスタT6のゲートを補助アンプの出力(すなわちトランジスタT5のドレイン)、ソースを出力電圧Vout、ドレインをグランドに接続する。
このリミッタLMのトランジスタT6は、トランジスタT1のドレイン−ソース電圧Vds(T1)の変化を補助アンプAsのゲイン倍して自身のゲート−ソース間電圧Vgs(T6)の変化とするから、トランジスタT1が線形領域に入る前に必ず導通状態となり、その電流Idsを引き抜くことができるので、確実にトランジスタT1を飽和領域に保つことができる。
これに対して、図6の第2の実施の形態では、トランジスタT1が線形領域に入りそうなのを自分で検出して自分でリミッターをかけるという動作となり、特に素子のばらつきといったものを気にする事なく確実にリミッターをかけることができる。
また、第1の実施の形態の場合、トランジスタT3のゲートがVLIMITという固定電位なのに対して、第2の実施の形態ではアクティブに動く補助アンプAsの出力電圧を用いている為、ゲート−ソース間電圧Vgs(T6)の変化量が大きく、より小さなトランジスタサイズでも、トランジスタT1の電流Idsを引き抜くことができる。これは通常動作時のリーク電流対策としても有利である。
図6に示した第2の実施の形態の場合、第1の実施の形態とアンプAPの構成は違うが、容量C1,C2による電荷積分アンプを構成していることには変わりないので、入力信号VpsがゲインC1/C2を持って読み出される。
リミッターがかかる電圧VLLは、トランジスタT1のドレイン−ソース電圧Vds(T1)が変化しはじめる電圧だから、トランジスタT4が線形領域に入る電圧という事になる。
トランジスタT4のソース電圧はトランジスタT5のゲート−ソース間電圧Vgs(T5)で決まり、電源電圧VDD−Vgs(T5)となるから、トランジスタT4が線形領域に入る出力電圧Voutは、
VDD−Vgs(T5)−Vgs(T4)+Vth(T4)
となる。ただし、この式が成り立つのは、トランジスタT4のしきい値電圧Vth(T4)<トランジスタT6のしきい値電圧Vth(T6)の場合である。
VDD−Vgs(T5)−Vgs(T4)+Vth(T6)
となる。
この場合、トランジスタT4が線形領域に入る前にリミッターが働いてしまうので、少しリミッターとしての動作が早すぎることになる。従ってVth(T4)<Vth(T6)として用いた方がアンプAPの出力レンジを有効に使えるし、通常動作時のトランジスタT6の実効電圧(Vgs(T6)−Vth(T6))が小さくなるので、リーク対策としても有利である。
同じPチャンネルMOSトランジスタであれば、トランジスタT4よりもトランジスタT6の方がバックバイアスが大きくかかるので何もしなくてもVth(T4)<Vth(T6)となるが、ばらつき等も考慮して、できればトランジスタサイズや不純物濃度の調節でVth(T4)<Vth(T6)となるようにした方が好ましい。
図8に、第3の実施の形態としてのアンプAP及びリミッタLMの構成を示す。
この図8の場合、上記第2の実施の形態との違いはレギュレーテッドカスコードを2つ備えている点である。
図8に示されるように、電流源負荷トランジスタT1に対してカスコード接続されたPチャンネルMOSトランジスタT4が設けられ、またPチャンネルMOSトランジスタT5及び電流源I1からなる補助アンプAs1を備えている。
さらに、駆動トランジスタT2側にも、カスコード接続されたNチャンネルMOSトランジスタT7が設けられ、またNチャンネルMOSトランジスタT8及び電流源I2からなる補助アンプAs2が設けられている。
リミッタLMの構成は図6と同様であり、その動作も図7で説明したものと全く変わらない。
この図8のように、駆動トランジスタT2側にもレギュレーテッドカスコードを加えた場合でも、特に問題なくこのリミッタLMを用いることができる。また、この構成のアンプAPに対して、第1の実施の形態(図3)で示したようなリミッタLMを適用することも、もちろん可能である。
以上、実施の形態を説明してきたが、上記各例によれば、アンプAPが流す電流値Idsが変化してしまうほどの大きな入力信号Vpsが画素GSから供給されたとしても、リミッタLMによって電流Idsが変化しない範囲に出力電圧Voutが制限され、結果的に電源、グランドのレベルを常に一定に保つように働く。よって常に安定した黒レベルを持つことができ、画面の一部に強い光が当たった場合に横帯を引くといった問題も解消される。
尚、アンプAPとしては差動アンプを用いることも考えられるが、本発明が特にその有効性を発揮するのはアンプがシングルエンドの場合である。
無論これはアンプAPの構成に依存したものであり、PチャンネルMOSトランジスタを駆動トランジスタ、NチャンネルMOSトランジスタを電流源トランジスタとして用いるようなアンプの場合は、アンプ出力Voutの下限に制限をかけるようなリミッタ回路を用いることになる。この場合リミッタLMを構成するトランジスタとしてはNチャンネルMOSトランジスタを用いることになる。
また、アンプAPの構成によっては上限、下限両方にリミッターをかける場合も考えられる。その場合はNチャンネルMOSトランジスタ、PチャンネルMOSトランジスタの両方をリミッタLMとして用いることになる。
Claims (2)
- 行方向及び列方向に撮像画素が配されて成る撮像画素手段と、
上記撮像画素手段について、選択した行における各列の撮像画素からの画素信号を、各列に対して設けられている垂直信号線に出力させる垂直転送手段と、
各列の上記垂直信号線に対して設けられ、各列の撮像画素からの画素信号がそれぞれ入力される複数のアンプ手段と、
上記各アンプ手段に対応して複数設けられ、上記アンプ手段の出力電圧範囲を、上記アンプ手段での消費電流が一定に保たれる範囲に制限するように、上記アンプ手段の出力を制限するリミッタ手段と、
上記各アンプ手段から出力される画素信号を水平信号線により転送させる水平転送手段と、
を備え、
上記アンプ手段は、その消費電流を決める為の電流源MOSトランジスタと、該電流源MOSトランジスタのドレイン端子電圧を抑える為に直列に接続したカスコードMOSトランジスタと、上記電流源MOSトランジスタのドレイン電圧を検出して、該ドレイン電圧を一定に保つように上記カスコードMOSトランジスタのゲート端子に対してフィードバックをかける補助アンプ部を有する構成とされるとともに、
上記リミッタ手段は、ソース端子を上記アンプ手段の出力に、ドレイン端子を電源もしくはグランドに、ゲート端子を上記カスコードMOSトランジスタのゲート端子に接続したMOSトランジスタにより形成される
ことを特徴とする固体撮像装置。 - 行方向及び列方向に撮像画素が配されて成る撮像画素手段と、上記撮像画素手段について、選択した行における各列の撮像画素からの画素信号を、各列に対して設けられている垂直信号線に出力させる垂直転送手段と、各列の上記垂直信号線に対して設けられ、各列の撮像画素からの画素信号がそれぞれ入力される複数のアンプ手段と、上記各アンプ手段に対応して複数設けられ、上記アンプ手段の出力電圧範囲を、上記アンプ手段での消費電流が一定に保たれる範囲に制限するように、上記アンプ手段の出力を制限するリミッタ手段と、上記各アンプ手段から出力される画素信号を水平信号線により転送させる水平転送手段とを備え、上記アンプ手段は、その消費電流を決める為の電流源MOSトランジスタと、該電流源MOSトランジスタのドレイン端子電圧を抑える為に直列に接続したカスコードMOSトランジスタと、上記電流源MOSトランジスタのドレイン電圧を検出して、該ドレイン電圧を一定に保つように上記カスコードMOSトランジスタのゲート端子に対してフィードバックをかける補助アンプ部を有する構成とされるとともに、上記リミッタ手段は、ソース端子を上記アンプ手段の出力に、ドレイン端子を電源もしくはグランドに、ゲート端子を上記カスコードMOSトランジスタのゲート端子に接続したMOSトランジスタにより形成される個体撮像装置における画素信号読出方法であって、
行方向及び列方向に撮像画素が配されて成る撮像画素手段において選択した行における各列の撮像画素からの画素信号を、各列に対して設けられている垂直信号線に出力させるステップと、
上記各列の垂直信号線に設けられたアンプ手段の出力電圧範囲を、上記アンプ手段での消費電流が一定に保たれる範囲に制限しながら、上記垂直信号線にあらわれる画素信号を上記アンプ手段から出力するステップと、
上記アンプ手段から出力された画素信号を水平信号線により転送するステップと、
を備えたことを特徴とする画素信号読出方法。
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