JP3652788B2 - 熱可塑性樹脂成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑樹脂組成物、それを用いた熱可塑性樹脂成形体及びその製造方法に関する。特に、本発明は特定の割合で不飽和ジカルボン酸無水物単量体残基及び不飽和ジカルボン酸イミド単量体残基を必須とするマレイミド系共重合体、ゴム状重合体と芳香族ビニル単量体残基及びシアン化ビニル単量体残基を必須とするグラフト共重合体、ポリアミド樹脂、不飽和ジカルボン酸単量体残基及び/又はその無水物単量体残基を含有するエチレン−α−オレフィンからなるエラストマーを必須成分とする熱可塑性樹脂組成物で、ABS系樹脂に優れた耐薬品性を付与することのできる熱可塑性樹脂組成物である。更に、この熱可塑性樹脂組成物とABS系樹脂とからなる耐熱性や耐薬品性を有する熱可塑性樹脂成形体、特に、この熱可塑性樹脂組成物とABS系樹脂とを同時に成形機に供給し成形する(以下、直接成形と称する)方法により得られた優れた耐衝撃性、耐熱性や耐薬品性を有する熱可塑性樹脂成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ゴム状重合体にスチレンとアクリロニトリル等との混合物をグラフト共重合させた、いわゆるABS系樹脂は、その優れた耐衝撃性、成形性及び良好な表面光沢を有することから、種々の用途に使用されている。一方用途によっては耐薬品性を有する材料も望まれており、特に洗剤、油又は有機溶剤等の薬品類と接するような自動車部品、電気電子部品、事務用機器部品、熱器具、食器、冷蔵庫部品、浴槽部品、シャワー部品、浄水機部品、便座等の部品においては安全上、耐久上の理由から耐薬品性が要求されている。
【0003】
従来から、ABS系樹脂の耐薬品性を向上させる方法として、アクリル系ゴム状重合体や、ポリアミド樹脂をABS系樹脂にブレンドする方法が知られている。
【0004】
しかしながら、アクリル系ゴム状重合体を含有するABS系樹脂は耐薬品性、耐衝撃性は高いが、耐熱性、熱安定性が低い問題点がある。又、ポリアミド樹脂をABS系樹脂にブレンドした樹脂組成物は、耐薬品性は改良されるものの、ブレンドした樹脂間の相溶性が充分でなく、成形体にしたときに剥離が生じたり、耐衝撃性と耐薬品性のバランスがとりづらいという欠点がある。
【0005】
アクリル系ゴム状重合体又は、ポリアミド樹脂をABS系樹脂と混練混合する場合は、単軸押出機、2軸押出機或いはバンバリーミキサー等の混練機を用いて混合し、所望の耐薬品性やその他の物性を有した樹脂ペレットを得て、その得られた樹脂ペレットを射出成形等の手段により賦形し、成形体を製造していた。
【0006】
これらの従来の方法では、種々の耐薬品性や耐熱性等の物性のレベルが異なった成形体を得るためには、必要物性レベルに応じてそれぞれ異なった樹脂ペレットが必要という品質管理の煩雑さがあった。
【0007】
更に、それぞれの物性レベルに応じた樹脂ペレットを得るためには個別に混練操作を行うため特にABS系樹脂が劣化しやすく衝撃強度の低下を招いていた。又混練操作に多大なコストが発生し経済的に不利であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ABS系樹脂に優れた耐薬品性を付与することができる熱可塑性樹脂組成物と、ABS系樹脂とを直接成形して得られた耐衝撃性、耐熱性、耐薬品性に優れた熱可塑性樹脂成形体の製造方法を提供することである。
【0009】
【問題点を解決する為の手段】
本発明の発明者らは、ABS系樹脂の射出成形時に成形体に耐薬品性を付与できる熱可塑性樹脂組成物の開発を目的に鋭意検討した結果、特定の割合で不飽和ジカルボン酸無水物単量体残基及び不飽和ジカルボン酸イミド単量体残基を含有するマレイミド系共重合体、グラフト共重合体、ポリアミド樹脂、特定の割合で不飽和ジカルボン酸単量体残基及び/又はその酸無水物単量体残基を含有するエチレン−α−オレフィンからなるエラストマー、更に必要に応じて芳香族ビニル単量体残基、シアン化ビニル単量体残基を必須とするビニル系共重合体を、特定の割合で配合した場合に上記目的を達成できることを見いだし、本発明に達した。
【0010】
即ち本発明は、(A)成分:芳香族ビニル単量体残基40〜80重量%、不飽和ジカルボン酸無水物単量体残基20重量%以下(但し0は含まず)、不飽和ジカルボン酸イミド誘導体残基10重量%以上60重量%未満及びこれらと共重合可能なビニル単量体残基0〜20重量%からなるマレイミド系共重合体3〜50重量部、(B)成分:芳香族ビニル単量体残基60〜80重量%、シアン化ビニル単量体残基20〜40重量%、及びこれらと共重合可能なビニル単量体残基0〜20重量%からなるビニル系共重合体0〜50重量部、(C)成分:ゴム状重合体35〜65重量部に、芳香族ビニル単量体50〜80重量%、シアン化ビニル単量体20〜40重量%及びこれらと共重合可能なビニル単量体0〜30重量%からなる単量体混合物35〜65重量部をグラフト重合させたグラフト共重合体3〜50重量部、(D)成分:ポリアミド樹脂20重量部を越え56重量部以下と、(E)成分:不飽和ジカルボン酸単量体残基及び/又はその酸無水物単量体残基5重量%以下(但し0は含まず)を含むエチレン−α−オレフィンからなるエラストマー共重合体12重量部を越え40重量部以下とからなる熱可塑性樹脂組成物において、該熱可塑性樹脂組成物の265℃、10kg荷重におけるメルトフロレート(MFR)が3〜40g/10分であり、(D)成分と(E)成分の比率が重量比で(E)/(D)=30/70〜50/50であり、(D)成分と(E)成分からなる組成物をあらかじめ溶融混合し、更に(A)成分、(B)成分、(C)成分の比率が重量比で[(A)+(B)+(C)]/[(D)+(E)]=60/40〜20/80となるように混合してなる熱可塑性樹脂組成物(但し(A)〜(E)の合計は100重量部)10〜50重量%とABS系樹脂50〜90重量%を同時に成形機に供給し成形することを特徴とする熱可塑性樹脂成形体の製造方法である。
【0011】
本発明の熱可塑性樹脂成形体の製造方法の特長は、成形体としたときにベースのABS系樹脂の耐熱性、耐衝撃性等の諸物性を極端に低下させることなく、簡便かつ低コストで耐薬品性を付与する点である。
【0012】
ここで、本発明の熱可塑性樹脂成形体の製造方法に用いられるマレイミド系共重合体(A)成分について説明する。(A)成分を構成する芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン系単量体から選ばれる少なくとも1種の単量体であるが、これらの中でスチレンが特に好ましい。
【0013】
芳香族ビニル単量体、不飽和ジカルボン酸イミド誘導体、不飽和ジカルボン酸無水物、更に必要に応じて用いるこれらと共重合可能なビニル単量体からの共重合体は不飽和ジカルボン酸無水物を芳香族ビニル単量体、更に必要に応じて用いる共重合可能なビニル単量体と共重合させた後アンモニア、及び/又は第1級アミンと反応させて不飽和ジカルボン酸無水物単量体残基、不飽和ジカルボン酸イミド単量体残基を有するマレイミド系共重合体にしても良く、又はマレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ナフチルマレイミド、グルタルイミド等から選ばれる少なくとも1種のイミド単量体を直接芳香族ビニル単量体、不飽和ジカルボン酸無水物単量体、更に必要に応じて用いるこれらと共重合可能なビニル単量体とを共重合させマレイミド系共重合体としても良い。尚、不飽和ジカルボン酸無水物としては、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、アコニット酸等の無水物から選ばれる少なくとも1種であり、マレイン酸無水物が特に好ましい。
【0014】
イミド化反応に用いるアンモニアや第1級アミンは無水又は水溶液のいずれの状態でもあってよく、又第1級アミンの例としてメチルアミン、エチルアミン、シクロヘキシルアミン等のアルキルアミン及び、アニリン、トルイジン、ナフチルアミン等の芳香族アミンから選ばれる少なくとも1種があげられる。
【0015】
イミド化反応は溶液状態又は懸濁状態で行う場合は通常の反応容器、例えばオートクレーブなどを用いるのが好ましく、塊状溶融状態で行う場合には、脱揮装置のついた押出機を用いてもよい。
【0016】
イミド化反応の温度は約80〜350℃であり、好ましくは100〜300℃である。80℃未満の場合には反応速度が遅く、反応に長時間を要して実用的でない。一方350℃を越える場合には重合体の熱分解による物性低下をきたす。イミド化反応時に触媒を用いてもよく、その場合は第3級アミン、例えばトリエチルアミン等が好ましく用いられる。
【0017】
(A)成分に用いられる芳香族ビニル単量体残基は40〜80重量%であるが、45〜60重量%が特に好適である。40重量%未満では成形性が低下し、80重量%を越えると熱可塑性樹脂組成物の耐熱性が低下し好ましくない。(A)成分に用いられる不飽和ジカルボン酸イミド誘導体残基は10重量%以上60重量%未満であり、10重量%未満、或いは、60重量%以上では熱可塑性樹脂組成物としたときの相溶性が劣り、耐衝撃性が大幅に低下する。不飽和ジカルボン酸イミド誘導体残基は25〜55重量%が特に好適である。又、不飽和ジカルボン酸無水物単量体残基は20重量%以下(但し0は含まず)であり、特に0.5〜15重量%が好ましい。不飽和ジカルボン酸無水物残基を含まないと、(A)成分のマレイミド系共重合体と(D)成分のポリアミド樹脂との相溶性が低下し、成形体の層剥離の原因となるだけでなく、衝撃強度が低下する。20重量%を越えると、(D)成分のポリアミド樹脂中の末端アミノ基との架橋が進み、流動性(メルトフロレート:MFR)が低下し、表面外観が損なわれるのみならず、成形性も低下する。又、共重合可能なビニル単量体残基0〜20重量%であるが、0〜10重量%が特に好適である。20重量%を越えると他の成分との相溶性が低下し耐衝撃性が低下し、成形体としたときに層剥離が発生しやすくなる。
【0018】
又、(A)成分のマレイミド系共重合体の重量平均分子量については特に限定されないが、好ましくは7万〜16万、特に好ましくは8万〜15万である。
【0019】
次に本発明の熱可塑性樹脂成形体の製造方法に用いられるビニル系共重合体(B)について説明する。本発明の(B)成分において用いられる芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン系単量体から選ばれる少なくとも1種であり、とくにスチレンが好ましい。シアン化ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等から選ばれる少なくとも1種があり、特にアクリロニトリルが好ましい。
【0020】
又、これらと共重合可能なビニル単量体としては、メチルアクリル酸エステル、エチルアクリル酸エステル、ブチルアクリル酸エステルなどのアクリル酸エステル類,メチルメタクリル酸エステル、エチルメタクリル酸エステル等のメタクリル酸エステル単量体、アクリル酸、メタクリル酸等のビニルカルボン酸単量体、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、及びN−ビニルカルバゾ−ル等から選ばれる少なくとも1種があげられる。これらの中でメタクリル酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸などの単量体が特に好ましい。
【0021】
(B)成分中の芳香族ビニル単量体残基は60〜80重量%であり、好ましくは68〜78重量%である。60重量%未満や、80重量%を越えると成形性が低下してしまう。シアン化ビニル単量体残基は20〜40重量%であり、特に22〜32重量%が望ましい。20重量%未満か40重量%を越えると(A)成分との相溶性が低下し、成形体の層剥離や衝撃強度低下の原因となる。又、共重合可能なビニル単量体残基は0〜20重量%であるが、0〜10重量%が特に好適である。20重量%を越えると他の成分との相溶性が低下し耐衝撃性が低下し、成形体としたときに層剥離が発生しやすくなる。
【0022】
(B)成分も通常の重合方法で製造でき、例えば懸濁重合、溶液重合、乳化重合等の重合方法が採用できる。
【0023】
次に本発明の熱可塑性樹脂成形体の製造方法に用いられる(C)成分のグラフト共重合体について説明する。(C)成分に使用されるゴム状重合体はブタジエン重合体、ブタジエンと共重合可能なビニル単量体との共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体等から選ばれる少なくとも1種があげられる。
【0024】
又、(C)成分に用いられる芳香族ビニル単量体にはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン系単量体から選ばれる少なくとも1種があげられ、とくにスチレンが好ましい。シアン化ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等から選ばれる少なくとも1種があり、特にアクリロニトリルが好ましい。
【0025】
又、これらと共重合可能なビニル単量体としては、メチルアクリル酸エステル、エチルアクリル酸エステル、ブチルアクリル酸エステル等のアクリル酸エステル単量体、メチルメタアクリル酸エステル、エチルメタクリル酸エステル等のメタクリル酸エステル単量体、アクリル酸、メタクリル酸等のビニルカルボン酸単量体、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、及び、N−ビニルカルバゾール等から選ばれる少なくとも1種があげられ、これらの中でアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸等の単量体が特に好ましい。
【0026】
(C)成分のグラフト重合体の製造に当たっては公知のいずれの重合技術も採用可能であって、例えば懸濁重合、乳化重合の如き水性不均一重合、塊状重合、溶液重合及び生成重合体の貧溶媒中での沈殿不均一重合等並びにこれらの組合せがあげられる。
【0027】
(C)成分のグラフト共重合体のゴム粒径、グラフト率及び未グラフトコポリマーの重量平均分子量は特に規定はされないが、ゴム粒径は0.1〜0.6μmの範囲が、耐衝撃性の面から好ましい。又、グラフト率は20〜80%、特に好ましくは30〜50%で、未グラフトコポリマーの重量平均分子量は5万〜20万、特に好ましくは6万〜10万の範囲であると、耐衝撃性と成形性のバランスが良好であり好ましい。
【0028】
(C)成分のグラフト共重合体は、ゴム状重合体35〜65重量部存在下に、芳香族ビニル単量体50〜80重量%、シアン化ビニル単量体20〜40重量%、及びこれらと共重合可能なビニル単量体0〜30重量%からなる単量体混合物35〜65重量部をグラフト重合させたものである(但しゴム状重合体と単量体混合物の合計は100重量部)。特に芳香族ビニル単量体65〜72重量%、シアン化ビニル単量体22〜32重量%及びこれらと共重合可能なビニル単量体0〜13重量%が好ましい。芳香族ビニル単量体が50重量%未満では熱可塑性樹脂組成物とABS系樹脂との直接成形性が低下し、80重量%を越えると熱可塑性樹脂組成物の耐熱性が低下してしまう。又、シアン化ビニル単量体は20重量%未満か40重量%を越えると(A)成分との相溶性が低下し熱可塑性樹脂組成物とABS系樹脂との成形体において層剥離や、衝撃強度低下の原因となる。共重合可能なビニル単量体残基は30重量%を越えると他の成分との相溶性が低下し耐衝撃性が低下し、成形体としたときに層剥離が発生しやすくなる。又、(C)成分のゴム状重合体が35重量部未満では熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が低下し、65重量部を越えると熱可塑性樹脂組成物の耐熱性、熱可塑性樹脂組成物とABS系樹脂との直接成形性が低下して好ましくない。
【0029】
尚、グラフト重合においては、通常単量体全量がゴム状重合体上にグラフトすることは困難であり、未グラフト共重合体が副生産される。本発明においては未グラフト共重合体を積極的に分離、除去した真のグラフト共重合体はもちろんのこと、未グラフト共重合体を含有したままのグラフト重合でもよく、いずれもグラフト共重合体として取り扱うことができる。
【0030】
次に、本発明の熱可塑性樹脂成形体の製造方法に用いられる(D)成分のポリアミド樹脂について説明する。(D)成分のポリアミド樹脂としては、例えばナイロンー6、ナイロン−6,6、ナイロン−4,6、ナイロン−6,10、ナイロン−12、ナイロン−11等があげられ、これらを単独又は混合して用いることもできる。
【0031】
次に、本発明の熱可塑性樹脂成形体の製造方法に用いられる(E)成分のエチレン−α−オレフィンからなるエラストマーについて説明する。(E)成分の不飽和ジカルボン酸及び/又はその無水物を含むエチレン−α−オレフィンからなるエラストマーとしては、数平均分子量が10,000〜1,000,000の範囲にあり、エチレン含有量が50〜80モル%のものが好ましい。又、α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテンから選ばれる少なくとも1種を用いることができ、特に、プロピレンが好ましい。
【0032】
又、(E)成分の官能基として変性に用いる不飽和ジカルボン酸単量体残基及び/又はその無水物単量体残基として、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、アコニット酸及びこれらの酸無水物単量体から選ばれる少なくとも1種があり、特に無水マレイン酸が好適である。
【0033】
不飽和ジカルボン酸単量体残基及び/又はその無水物単量体残基の含有量としては5重量%以下(但し0は含まず)、好ましくは0.5〜5重量%であり、5重量%を越えると組成物にゲル等が発生する。又、0.5重量%未満では、熱可塑性樹脂組成物の相溶性が不充分で成形体としたときに層剥離の原因となり、衝撃強度が発現しない。この変性されたエチレン−α−オレフィンからなるエラストマーは特公昭58−445号公報に開示されている実施例1の製造方法などを用いる事により得ることが出来る。
【0034】
本発明の熱可塑性樹脂組成物における(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び(E)成分の配合比は、(A)成分3〜50重量部、(B)成分0〜50重量部、(C)成分3〜50重量部、(D)成分20重量部を越え56重量部以下、(E)成分12重量部を越え40重量部以下であり、特に好ましくは、(A)成分5〜30重量部、(B)成分0〜30重量部、(C)成分5〜20重量部、(D)成分30〜50重量部、(E)成分20〜40重量部である(但し(A)〜(E)の合計は100重量部)。(A)成分が3重量部未満では、相溶性が充分でなく、50重量部を越えると熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性、成形性が大幅に低下する。又、(B)成分は50重量部を越えると成形性が低下する問題点がある。(C)成分が3重量部未満では耐衝撃性が低下し、50重量部を越えると成形性が低下する。(D)成分は20重量部以下では耐薬品性が充分でなく、56重量部を越えると、寸法安定性が低下する。(E)成分は12重量部以下では、耐衝撃性が充分ではなく、40重量部を越えると、成形性が低下する。尚、本発明の熱可塑性樹脂組成物における(D)成分と(E)成分の比率は特に限定されないが、好ましくは重量比で(E)/(D)=30/70〜50/50である。
【0035】
本発明の熱可塑性樹脂成形体の製造方法を得る為に(A)〜(E)成分を混合する方法は、公知の手段を使用する事が出来る。その手段として例えばバンバリ−ミキサ−、タンブラ−ミキサ−、混合ロ−ル、1軸又は2軸押出機等があげられる。混合形態としては通常の溶触混合、マスタ−ペレット等を用いる多段階溶融混合、溶液中でのブレンドより組成物を得る方法がある。特に(D)成分と(E)成分からなる樹脂組成物をあらかじめ溶融混合し、更に(A)成分、(B)成分、(C)成分の比率を重量比で[(A)+(B)+(C)]/[(D)+(E)]=60/40〜20/80、特に好ましくは40/60〜20/80となるように混合し熱可塑性樹脂組成物とした後、ABS系樹脂と直接成形することで、得られた成形体の耐熱性、耐薬品性、耐衝撃性、成形性が更に良好となる。更に、熱可塑性樹脂組成物のメルトフロレート(MFR)は、3〜40の範囲であることが必要であるが、好ましくは3〜25、特に好ましくは3〜10である。3未満ではABS系樹脂と直接成形して得られた成形体の表面外観が劣り、40を越えると成形体の衝撃強度、耐熱性が低下する傾向にある。
【0036】
又、本発明に使用される熱可塑性樹脂組成物に更に安定剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、着色剤を目的に合わせて配合しておくことが可能である。
【0037】
本発明に使用される熱可塑性樹脂組成物と、ABS系樹脂を射出成形機に供給する際にこれらの添加剤を同時に供給することが必要である。尚、本発明で用いるABS系樹脂の具体例としては、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、α−メチルスチレン系耐熱ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−α−メチルスチレン)樹脂、マレイミド系耐熱ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−N−フェニルマレイミド)樹脂、AES(アクリロニトリル−EPDM−スチレン)樹脂、AAS(アクリロニトリル−アクリレート−スチレン)樹脂、MBS(メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン)樹脂、MABS(メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂等があげられるが、これらは特に限定されるものではない。
【0038】
本発明に使用される熱可塑性樹脂組成物とABS系樹脂との配合割合は特に限定されないが、好ましくは熱可塑性樹脂組成物10〜50重量%とABS系樹脂50〜90重量%、好ましくは熱可塑性樹脂組成物15〜40重量%、ABS系樹脂60〜85重量%、特に好ましくは熱可塑性樹脂組成物15〜30重量%、ABS系樹脂70〜85重量%である。
【0039】
熱可塑性樹脂組成物が10重量%未満では、ABS系樹脂と直接成形して得られた成形体の耐薬品性が十分でない。又、50重量%を越えるとABS系樹脂との直接成形性が低下する。
【0040】
本発明に使用される熱可塑性樹脂組成物には、本発明の目的を逸脱しない範囲、具体的には、0〜20%の範囲で、ABS系樹脂を配合しておくことも出来る。
【0041】
本発明で用いる成形機としては射出成形機、シート成形機、ブロー成形機、射出−ブロー成形機等があげられるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
本発明に使用される熱可塑性樹脂組成物とABS系樹脂を成形機に供給する方法としては、タンブラーミキサーや、Vブレンダー等の公知の装置を用いてプリブレンドしたものを供給する方法や、成形機の供給口に両材料を別々に定量的に供給する方法や、熱可塑性樹脂組成物とABS系樹脂を事前に溶融混練りしペレットとしたのち成形機に供給方法を採用することができる。特に供給方法にこだわるものではない。
【0043】
成形機のシリンダー設定温度は、熱可塑性樹脂組成物の組成により、その最適温度が決まる。具体的に、本発明の場合は240℃〜280℃が好ましい。
【0044】
又、射出成形の場合は、成形機シリンダーとノズルの間に、公知の静止型混合器、例えばスルーザータイプ、ケニックスタイプ、東レタイプ等を設置することにより、より高品質の成形体を得ることが出来る。
【0045】
更に、射出成形機のスクリューは、最も汎用性の高いフルフライトスクリューを用いることが出来るが、より混練性の高いダルメージタイプ、ピンタイプ、マドックタイプのスクリューを用いることもできる。
【0046】
以下本発明を更に実施例により説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。尚、実施例、比較例中の部、%はいずれも特にことわらない限り重量基準である。
【0047】
【実施例】
実験例1〜2.マレイミド系共重合体(A)成分(A−1、A−3)
撹拌機を備えたオートクレーブ中にスチレン60部、α−メチルスチレンダイマー0.05部、メチルエチルケトン100部を仕込み、系内を窒素ガスで置換した後温度を85℃に昇温し、無水マレイン酸40部とベンゾイルパ−オキサイド0.15部をメチルエチルケトン200部に溶解した溶液を8時間で連続的に添加した。添加後更に3時間温度を85℃に保った。ここで得られた共重合体溶液にアニリン38部、トリエチルアミン0.6部を加え140℃で7時間反応させた。反応液をベント付き2軸押出し機に供給し、脱揮してマレイミド系共重合体を得た。C−13NMR分析より酸無水物基のイミド基への転化率は92モル%であった。このマレイミド系共重合体は不飽和ジカルボン酸イミド誘導体としてのN−フェニルマレイミド単位を52%含む共重合体でありこれを共重合体A−1とした。マレイミド系共重合体A−3もアニリンの添加量を調整することによる、無水マレイン酸のイミド基への添加率を調整したこと以外はA−1と同様な方法で製造した。
【0048】
実験例3.マレイミド系共重合体(A)成分(A−2)
撹拌機を備えたオートクレーブ中にスチレン60部、メチルエチルケトン100部を仕込み、系内を窒素ガスで置換した後温度を85℃に昇温し、温度を保ちながら充分撹拌を行った。この中にα−メチルスチレンダイマー1部を添加する以外はA−1と同様な方法にて、マレイミド系共重合体A−2を製造した。表1にA−1〜A−3の組成分析結果及び特性解析をしめす。
【0049】
【表1】
【0050】
重量平均分子量算出のためのGPC測定には、昭和電工株式会社製「SHODEX GPC SYSTEM−21」を用い、標準分子量のポリスチレンを用いて作成した検量線を使用し、ポリスチレン換算の重量平均分子量を求めた。
【0051】
>実験例4.ビニル系共重合体(B)成分の製造(B−1)
撹拌機を備えた反応缶中にスチレン70部、アクリロニトリル30部、第三リン酸カルシウム2.5部、t−ドデシルメルカプタン0.5部、ベンゾイルパーオキサイド0.2部及び水250部を仕込み、70℃に昇温し重合を開始させた。重合開始から7時間後に温度を75℃に昇温して3時間保ち重合を完結させた。重合率は97%に達した。得られた反応液を塩酸にて中和し、脱水、乾燥後白色ビーズ状の共重合体を得た。これを共重合体B−1とした。
【0052】
実験例5.グラフト共重合体(C)成分の製造(C−1)
撹拌機を備えた反応缶中にポリブタジエンラテックス143部(固形分35%重量平均粒径0.25μm、ゲル含率90%)、ステアリン酸ソーダ1部、ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレ−ト0.1部、テトラソジウムエチレンジアミンテトラアセチックアシッド0.03部、硫酸第一鉄0.003部、及び純水150部を50℃に加熱し、これにスチレン70%及びアクリロニトリル30%よりなる単量体混合物50部、t−ドデシルメルカプタン0.2部、キユメンハイドロパーオキサイド0.15部、を6時間で連続添加し、更に添加後65℃に昇温し2時間重合した。重合率は97%に達した。得られたラテックスに酸化防止剤(イルガノックス1076)0.3部を添加した後、塩化カルシウムで凝固、水洗、乾燥後白色粉末としてグラフト共重合体を得た。これを共重合体C−1とした。
【0053】
次にC−1のグラフト率と未グラフトコポリマーの分子量を測定する為に、C−1を3gとり、メチルエチルケトン溶液に膨潤させて、遠心分離した上澄み溶液中のグラフトされていないスチレン−アクリロニトリル共重合体の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィーにて測定したところ、重量平均分子量は8.2万であった。又、遠心分離で沈降したゲル分(グラフトコポリマーとゴム状重合体)の組成をケルダール窒素定量分析と熱分解ガスクロマトグラフィーにより分析し、スチレンとアクリロニトリル量からグラフトコポリマーの重量を測定した。又、臭素付加法によりポリブタジエンゴムを分析し、ゴム状重合体の重量を決定した。このように求められたグラフトコポリマーの重量とゴム状重合体の重量から以下の式よりグラフト率を求めたところグラフト率は33%であった。
グラフト率=(グラフトコポリマー重量/ゴム状重合体重量)×100(%)
【0054】
(D)成分のポリアミド樹脂としてナイロン−6;ε−カプロラクタムを縮合重合して得られた相対粘度2.65(溶媒に濃硫酸、濃度は0.5g/100ml、温度は25℃で測定した値)のナイロン−6(東レ(株)製CM−1017)をD−1として使用した。
【0055】
実験例6.変性エチレン−α−オレフィンからなるエラストマー(E成分)の製造(E−1)
特開昭52−49289号公報に示される製法(実施例に準じ)にて数平均分子量50万のエチレン−プロピレン共重合体(230℃、10kgのMFRが0.5g/10分の変性EPR:三井石油化学(株)タフマー MP−0430)に無水マレイン酸を1.3%グラフトしたものをE−1として使用した。
【0056】
実験例7.(D)成分と(E)成分の混合
(D)成分60部と(E)成分40部をブレンドし、このブレンド物を35mm脱揮装置付き同方向回転2軸押出機にて280℃で押出し、ペレット化し、樹脂組成物F−1を得た。同様な方法で、(D)成分80部と(E)成分20部からなる樹脂組成物F−2を得た。
【0057】
実験例8.熱可塑性樹脂組成物の製造
(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び、F−1、F−2成分を、表2に示す量比でブレンドし、35mm脱揮装置付き同方向回転2軸押出機にて280℃で押出し、ペレット化して、熱可塑性樹脂組成物MB−1〜MB−9を製造した。この熱可塑性樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)を測定し、表2に示した。
【0058】
【表2】
【0059】
ABS系樹脂としては市販のABS樹脂「GT−R(電気化学工業株式会社製)」(以下、ABS−1と称する)を、耐熱性ABS樹脂は市販の「K−090(電気化学工業株式会社製)」(以下、ABS−2と称する)を用いた。
【0060】
実施例1〜7
熱可塑性樹脂組成物MB−2、MB−4、MB−5、MB−7、MB−8及びABS系樹脂ABS−1、ABS−2をそれぞれ定量フィ−ダーにて、表3に示す割合で射出成形機に供給し、試験片を成形した。成形は、川口鉄工株式会社製射出成形機K−125に東レエンジニア株式会社製静止型混練器(ミキシングノズル)TMN−16−06を取り付けて行った。その他の成形条件は次の通りである。
シリンダー設定温度:260℃
射出圧力:最小充填圧力+5kg/cm2G
射出速度:70%
金型温度:60℃
スクリュー:フルフライトタイプ
ここで得られた試験片を用いて、各種物性測定を行い、表3に結果を示した。尚、熱可塑性樹脂組成物を添加しないABS−1、ABS−2の評価を表4の参考例とした。
【0061】
比較例9
熱可塑性樹脂組成物MB−2を20部及びABS樹脂ABS−2を80部とを、40mmΦ単軸押出機にて260℃で押出し、ペレットを得た。このペレットを用い、実施例1と同一の成形条件で試験片を作成した。その物性測定を表3に示した。
【0062】
【表3】
【0063】
【表4】
【0064】
比較例1〜8
熱可塑性樹脂組成物MB−1、MB−3、MB−6、MB−9、F−1、及び、ABS樹脂ABS−1、ABS−2を、表5に示す割合で用いた以外は、実施例と同様の方法で行った。
【0065】
【表5】
【0066】
物性測定試験方法
1)HDT(熱変形温度):荷重18.6kg/cm2、ASTM D−648に準じて測定した。
2)アイゾット衝撃強度:1/4インチ厚、ノッチ付試験片を用いてASTM D−256に準じて測定した。
3)MFR:265℃、10kg荷重条件下、ASTM D−6874に準じて測定した。
4)臨界歪み(耐薬品性):試験片形状330×20×2mm、長半径248mm、短半径148mmの1/4楕円法により、23℃、24時間後の臨界歪み量を測定した。尚、試験片は成形歪みの影響を排除するため、270℃にてペレットをプレス成形し、切り出して製造した。薬品はサラダ油を用いて行った。
5)寸法安定性:ASTM D−638に準じて1号ダンベルを80℃の温水に24時間浸し、浸す前後のダンベルの長手方向の寸法変化を測定した。
寸法変化率が0.5%以下の場合を○とし、0.5%を越える場合を×とした。
6)外観:縦127mm、横127mm、肉厚2mmの角板をサイドゲート(2点)で前記射出成形条件にて成形し、その成形体の外観を目視し、以下の基準で判定した。
○:表面に不良現象(フローマーク、銀条、フラッシュ)が発生していない。
×:表面に不良現象(フローマーク、銀条、フラッシュ)が発生している。
【0067】
表3の実施例に示す通り、本発明に使用される熱可塑性樹脂組成物とABS系樹脂とを直接成形することによって、ベースのABS系樹脂の諸物性を低下させることなく、耐薬品性、高品質外観を有した成形体を得ることができる。これに対して、表5の比較例に示す通り、本発明に使用する範囲を逸脱した熱可塑性樹脂組成物を用いると、これらの優れた品質の成形体を得ることはできない。
【0068】
【発明の効果】
以上、説明したとおり、本発明に使用される熱可塑性樹脂組成物とABS系樹脂とを成形することで得られた成形体は耐薬品性、耐熱性に優れており、特に本発明に使用される熱可塑性樹脂組成物はABS系樹脂と直接成形が可能で、その成形体は優れた耐薬品性、耐熱性及び耐衝撃性を有し、しかもベースABS樹脂の諸物性を低下させることもなく、成形性も優れている。本発明の直接成形に依れば耐薬品性を持たせたいベースのABSと特定の熱可塑性樹脂組成物の配合比率を変化させることによって、ベースのABSの特性を低下させることなく、所望の耐薬品性を付与した成形体を簡便にかつ低コストで得ることができる。又、直接成形という経済的に優れたプロセスを採用することができるため自動車部品、電気、電子部品、事務用機器部品、熱器具、食器、冷蔵庫部品、浴槽部品、シャワー部品、浄水機部品、便座等の材料として産業上の利用価値は極めて大きい。
Claims (1)
- (A)成分:芳香族ビニル単量体残基40〜80重量%、不飽和ジカルボン酸無水物単量体残基20重量%以下(但し0は含まず)、不飽和ジカルボン酸イミド誘導体残基10重量%以上60重量%未満及びこれらと共重合可能なビニル単量体残基0〜20重量%からなるマレイミド系共重合体3〜50重量部、(B)成分:芳香族ビニル単量体残基60〜80重量%、シアン化ビニル単量体残基20〜40重量%、及びこれらと共重合可能なビニル単量体残基0〜20重量%からなるビニル系共重合体0〜50重量部、(C)成分:ゴム状重合体35〜65重量部に、芳香族ビニル単量体50〜80重量%、シアン化ビニル単量体20〜40重量%及びこれらと共重合可能なビニル単量体0〜30重量%からなる単量体混合物35〜65重量部をグラフト重合させたグラフト共重合体3〜50重量部、(D)成分:ポリアミド樹脂20重量部を越え56重量部以下と、(E)成分:不飽和ジカルボン酸単量体残基及び/又はその酸無水物単量体残基5重量%以下(但し0は含まず)を含むエチレン−α−オレフィンからなるエラストマー共重合体12重量部を越え40重量部以下とからなる熱可塑性樹脂組成物において、該熱可塑性樹脂組成物の265℃、10kg荷重におけるメルトフロレート(MFR)が3〜40g/10分であり、(D)成分と(E)成分の比率が重量比で(E)/(D)=30/70〜50/50であり、(D)成分と(E)成分からなる組成物をあらかじめ溶融混合し、更に(A)成分、(B)成分、(C)成分の比率が重量比で[(A)+(B)+(C)]/[(D)+(E)]=60/40〜20/80となるように混合してなる熱可塑性樹脂組成物(但し(A)〜(E)の合計は100重量部)10〜50重量%とABS系樹脂50〜90重量%を同時に成形機に供給し成形することを特徴とする熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
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