JP2005298774A - 樹脂組成物及びそれを用いた耐熱性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】重量平均分子量が11万〜16万である芳香族ビニル−マレイミド系共重合体(a)85〜60質量%、重量平均分子量が13万〜17万で、AN含有量が29〜33質量%であるAN−ST系(AS)共重合体(b)15〜40質量%からなり、かつ(a)、(b)が合計で100質量%である樹脂組成物(A)であって、ガラス転移温度が140〜165℃で、MFRが265℃、10kg荷重条件下で20〜35g/10分である樹脂組成物(A)10〜50質量%と樹脂(B)90〜50質量%とからなる樹脂組成物(C)。
【選択図】 なし
Description
この場合、マレイミド変性の耐熱性ABS樹脂を得る為の押出条件として混練性の強い2軸押出機を用いないとマレイミド系共重合体の分散性が不十分となり、成形した際の成形品の外観性の低下や衝撃強度の低下等良好な物性が得にくいという欠点があった。又、耐熱性、衝撃強度、成形性に優れているものの十分なタッピング強度性が得られていないという問題点もある。
又、タッピング強度についても従来の製造方法から得られる耐熱性樹脂組成物と比べ同等であり、改善効果は得られていなかった。
ここでABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂およびMBS樹脂をABS系樹脂と以降は略称する。
又、第一の製法では無水マレイン酸も挙げられ、第二の製法では、マレイミド基へ転換されずに残った無水マレイン酸基も共重合体中に導入することができる。
又、AS系共重合体の重量平均分子量は13万〜17万が好ましい。更に好ましくは14万〜16万の範囲である。13万未満であると耐熱ABS化した際のタッピング強度が劣る。17万を越えるとABS樹脂への分散性が劣り、耐熱ABS化した際の外観が悪くなる。又、耐熱ABSとしての成形性も劣る。
ABS系樹脂中のゴム含有量が25質量%を越える場合は、得られる耐熱性ABS系樹脂の成形性や耐熱性が低くなる。
(イ)芳香族ビニル−マレイミド系共重合体(a)
以下に使用したマレイミド系共重合体(a)の参考例を示す。
参考例1(共重合体SMI−1の製造)
攪拌機を備えたオートクレーブ中にスチレン60部、α−メチルスチレンダイマー0.1部、メチルエチルケトン100部を仕込み、系内を窒素ガスで置換した後、温度を85℃に昇温し、無水マレイン酸40部とベンゾイルパーオキサイド0.15部をメチルエチルケトン200部に溶解した溶液を8時間で連続的に添加した。添加後、更に3時間温度を85℃に保った。粘稠な反応液の一部をサンプリングしてしてガスクロマトグラフイーにより未反応単量体の定量を行った結果、重合率はスチレン99%、無水マレイン酸98%であった。ここで得られた共重合体溶液にアニリン36部、トリエチルアミン0.6部を加え140℃で7時間反応させた。反応液をベント付き二軸押出機に供給し、脱揮してマレイミド系共重合体を得た。C−13NMR分析より無水マレイン基のイミド基への転化率は93%であった。このマレイミド系共重合体は不飽和ジカルボン酸イミド誘導体としてのN−フェニルマレイミド単位を51%、スチレン単位47%、無水マレイン酸単位2%を含む共重合体であり、これをSMI−1とした。ゲルパーミエーション(GPC)分析より、ポリスチレン換算の重量平均分子量は140,000であった。
α−メチルスチレンダイマー0.2部を用いた以外は製造例1と同様な方法でN−フェニルマレイミド単位51%、スチレン単位47%、無水マレイン酸単位2%からなる重量平均分子量120,000の共重合体を得た。これを共重合体SMI−3とした。
α−メチルスチレンダイマー1.5部を用いた以外は製造例1と同様な方法でN−フェニルマレイミド単位51%、スチレン単位47%、無水マレイン酸単位2%からなる重量平均分子量70,000の共重合体を得た。これを共重合体SMI−2とした。
α−メチルスチレンダイマー0.02部を用いた以外は製造例1と同様な方法でN−フェニルマレイミド単位51%、スチレン単位47%、無水マレイン酸単位2%からなる重
量平均分子量190,000の共重合体を得た。これを共重合体SMI−4とした。
攪拌機を備えたオートクレーブ中にスチレン49部、α−メチルスチレンダイマー1.7部、メチルエチルケトン100部を仕込み、系内を窒素ガスで置換した後、温度を85℃に昇温し、無水マレイン酸51部とベンゾイルパーオキサイド0.15部をメチルエチルケトン200部に溶解した溶液を8時間で連続的に添加した。添加後、更に3時間温度を85℃に保った。粘稠な反応液の一部をサンプリングしてしてガスクロマトグラフイーにより未反応単量体の定量を行った結果、重合率はスチレン99%、無水マレイン酸98%であった。ここで得られた共重合体溶液にアニリン46部、トリエチルアミン0.7部を加え140℃で7時間反応させた。反応液をベント付き二軸押出機に供給し、脱揮してマレイミド系共重合体を得た。C−13NMR分析より無水マレイン基のイミド基への転化率は95%であった。このマレイミド系共重合体は不飽和ジカルボン酸イミド誘導体としてのN−フェニルマレイミド単位を62%、スチレン単位36%、無水マレイン酸単位2%を含む共重合体であり、これをSMI−5とした。ゲルパーミエーション(GPC)分析より、ポリスチレン換算の重量平均分子量は142,000であった。
攪拌機を備えたオートクレーブ中にスチレン81部、α−メチルスチレンダイマー0.1部、メチルエチルケトン100部を仕込み、系内を窒素ガスで置換した後、温度を85℃に昇温し、無水マレイン酸19部とベンゾイルパーオキサイド0.15部をメチルエチルケトン200部に溶解した溶液を8時間で連続的に添加した。添加後、更に3時間温度を85℃に保った。粘稠な反応液の一部をサンプリングしてしてガスクロマトグラフイーにより未反応単量体の定量を行った結果、重合率はスチレン99%、無水マレイン酸98%であった。ここで得られた共重合体溶液にアニリン17部、トリエチルアミン0.3部を加え140℃で7時間反応させた。反応液をベント付き二軸押出機に供給し、脱揮してマレイミド系共重合体を得た。C−13NMR分析より無水マレイン基のイミド基への転化率は94%であった。このマレイミド系共重合体は不飽和ジカルボン酸イミド誘導体としてのN−フェニルマレイミド単位を28%、スチレン単位71%、無水マレイン酸単位2%を含む共重合体であり、これをSMI−6とした。ゲルパーミエーション(GPC)分析より、ポリスチレン換算の重量平均分子量は139,000であった。
アニリン38部用いた以外は製造例1と同様な方法でN−フェニルマレイミド単位53%、スチレン単位47%からなる重量平均分子量140,000の共重合体を得た。無水マレイン基のイミド基への転化率は100%であった。これを共重合体SMI−7とした。
装 置;Shodex製、「SYSTEM−21」
カラム;PLgel MIXED−B
温 度;40℃
溶 媒;テトラヒドロフラン
検 出;RI
濃 度;0.2%
注入量;100μl
検量線;標準ポリスチレン(Polymer Laboratories製)を用い、溶離時間と溶出量との関係を分子量と変換して各種平均分子量を求めた。
以下に使用したAS系共重合体(c)の参考例を示す。
参考例6(AS系共重合体AS−1の製造)
攪拌機を備えた反応缶中にスチレン68部、アクリロニトリル32部、第三リン酸カルシウム2.5部、t−ドデシルメルカプタン0.25部、t−ブチルパーオキシアセテート0.2部及び水250部を仕込み、70℃に昇温し重合を開始させた。重合開始から7時間後に温度を75℃に昇温して3時間保ち重合を簡潔させた。重合率は97%に達した。得られた反応液に5%塩酸水溶液200部を添加し析出させ、脱水、乾燥後白色ビーズ状の共重合体を得た。これを共重合体AS−1とした。
上記の使用したAS系共重合体(c)の成分組成比とGPC測定による重量平均分子量を表2に示す。
参考例7(AS系共重合体AS−2の製造)
スチレン75部、アクリロニトリル25部用いた以外は参考例7と同様な方法でAS系共重合体を得た。これを共重合体AS−2とした。
上記の使用したAS系共重合体(c)の成分組成比とGPC測定による重量平均分子量を表2に示す。
参考例8
t−ドデシルメルカプタンの量を0.40部とする以外は参考例7と同様な方法でAS系共重合体を得た。これを共重合体AS−3とした。
上記の使用したAS系共重合体(c)の成分組成比とGPC測定による重量平均分子量を表2に示す。
参考例9
t−ドデシルメルカプタンの量を0.10部とする以外は参考例7と同様な方法でAS系共重合体を得た。これを共重合体AS−4とした。
上記の使用したAS系共重合体(c)の成分組成比とGPC測定による重量平均分子量を表2に示す。
参考例10
スチレン64部、アクリロニトリル36部用いた以外は参考例7と同様な方法でAS系共重合体を得た。これを共重合体AS−5とした。
上記の使用したAS系共重合体(c)の成分組成比とGPC測定による重量平均分子量を表2に示す。
参考例11
t−ドデシルメルカプタンの量を0.68部とする以外は参考例7と同様な方法でAS系共重合体を得た。これを共重合体AS−6とした。
上記の使用したAS系共重合体(c)の成分組成比とGPC測定による重量平均分子量を表2に示す。
マスターバッチ樹脂組成物を作成するために東芝機械(株)製2軸押出機TEM−35B(スクリュー系37mm、L/D=32)にて、シリンダー温度280℃、スクリュー回転数200rpm、原料フィード量20kg/hrの条件にて混練混合を実施した。
マスターバッチ樹脂は予めプレスして厚さ5mmの薄板上に成形してから測定に用いた。滑剤は10mgを精秤して用いた。
測定条件は以下のとおりである。
温度範囲:室温〜200℃
昇温速度:10℃/min
雰囲気:窒素気流化
温度265℃、荷重98Nで、ISO1133に準じて測定した。
マスターバッチ樹脂組成物とABS系樹脂を混練混合してなる下記の耐熱性樹脂組成物を製造する際に用いた、ABS系樹脂は、ABS系グラフト共重合体とAS系樹脂を混練することにより製造した。
以下に使用したABS系グラフト共重合体(b)の参考例を示す。
参考例5(ABS系グラフト共重合体G−1の製造)
攪拌機を備えた反応缶中にポリブタジエンラッテクス114部(固形分35%、重量平均径0.3μm、ゲル含有率90%)、スチレン−ブタジエンラテックス15部(固形分67%、重量平均径0.5μm、ゲル含有率15%)、ステアリン酸ソーダ1部、ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.2部、テトラソジウムエチレンジアミンテトラアセチックアシッド0.01部、硫酸第一鉄0.005部、及び純水150部を仕込み、温度を50℃に加熱し、これにスチレン70%及びアクリロニトリル30%よりなる単量体混合物50部、t−ドデシルメルカプタン1.0部、キュメンハイドロパーオキサイド0.15部を6時間かけて連続添加し、更に添加後65℃に昇温し2時間重合した。重合率は97%に達した。得られたラテックスにイルガノックス1076(チバスペシャリティケミカル社製)を0.3部添加した後、5%塩化カルシウム水溶液300部を添加して凝固、水洗、乾燥後白色粉末としてグラフト共重合体を得た。これを共重合体G−1とした。
作成したABS系樹脂の配合比、成分組成比を表4に示す。
熱分解装置:日本分析工業社製 JPS−220
熱分解温度:590℃
ガスクロマトグラフィー:ヒューレットパッカード製 5890SERIESII
カラム:微極性カラム DB−5
キャリアガス:He 圧力 2psi
温度条件:50℃で5分保持後18℃/分で250℃まで昇温し、250℃で7分 保持
検出:FID
0.3mg秤量して測定にかける。検出された3成分のピーク面積比をとった。
耐熱性樹脂組成物作成のための混練混合は、池貝鉄工所製単軸押出機FS40−28(スクリュー径40mm、L/D=32)にて、シリンダー設定温度260℃、スクリュー回転数100rpm、吐出量20kg/hrの条件で製造した。
1)シャルピー衝撃強度:厚み4.0mm、幅10.0mmでノッチ付きのISO多目的射出成形試験片を用いてISO179に準じて測定した。
2)VSP(ビカット軟化点):厚み4.0mmの試験片を用いて荷重50NでISO306に準じて測定した。
3)MFR:温度265℃、荷重98Nで、ISO1133に準じて測定した。
プレートの成形は川口鉄工社K−125を用い、以下の成形条件で行った。
シリンダー設定温度:210℃
射出圧力:最小充填圧力+5kg/cm2G
射出速度:70%
金型温度:50℃
マスターバッチ樹脂組成物(A)が樹脂(B)中に均一に分散していない場合、耐熱性樹脂組成物(C)にヘアライン状の外観不良が発生する。この不良現象が一目で確認できるのを×、不良減少を凝視して確認できるのを△、不良現象がなく、外観良好なものを○とした。
Claims (6)
- 重量平均分子量が11万〜16万である芳香族ビニル−マレイミド系共重合体(a)85〜60質量%、重量平均分子量が13万〜17万で、アクリロニトリル含有量が29〜33質量%であるアクリロニトリル−スチレン系(AS)共重合体(b)15〜40質量%からなり、ガラス転移温度が140〜165℃で、メルトマスフローレイト(MFR)が265℃、10kg荷重条件下で20〜35g/10分である樹脂組成物(A)10〜50質量%と、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂およびMBS樹脂からなる群から選ばれた1種または2種以上の樹脂(B)90〜50質量%とからなる樹脂組成物(C)。
- 芳香族ビニル−マレイミド系共重合体(a)が芳香族ビニル単量体40〜70質量%、不飽和ジカルボン酸イミド誘導体30〜60質量%及びその他共重合可能なビニル単量体0〜20質量%からなる共重合体であることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物(A)。
- 樹脂組成物(A)が10〜50質量%と樹脂(B)が90〜50質量%で成る請求項1または請求項2記載の樹脂組成物(C)。
- 樹脂組成物(A)10〜50質量%と樹脂(B)90〜50質量%とを混練混合してなる請求項1または請求項3の樹脂組成物(C)の製造方法。
- 樹脂(B)中のゴム成分含有量が11質量%〜25質量%であることを特徴とする請求項1または請求項3の樹脂組成物(C)。
- 請求項1、請求項3、請求項5のいずれか一項に記載の樹脂組成物(C)を用いてなる成形体。
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WO2022054676A1 (ja) * | 2020-09-09 | 2022-03-17 | デンカ株式会社 | 耐熱性樹脂組成物及びその射出成形体 |
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