JP3652790B2 - 熱可塑性樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂成形体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物を用いた熱可塑性樹脂成形体製造方法に関する。特に、ABS系樹脂に優れた耐光性を付与することのできる、AS系共重合体と耐光剤を必須とする特定の熱可塑性樹脂組成物ABS系樹脂とを同時に成形機に供給し成形する(以下、直接成形と称する)方法により得られた優れた耐熱性や耐光性を有する熱可塑性樹脂成形体製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ゴム状重合体にスチレンとアクリロニトリル等との混合物をグラフト共重合させた、いわゆるABS系樹脂は、その優れた耐衝撃性、成形性及び良好な表面光沢を有することから種々の用途に使用されているが、これらは光劣化して変色しやすい欠点がある。特に可視光線、紫外線、日光等の光と接するような自動車部品、電気、電子部品、事務用機器部品、熱器具、食器、冷蔵庫部品、浴槽部品、シャワー部品、浄水機部品、便座等の部品においては安全上、耐久上の理由から材料に耐光性が要求されている。
【0003】
このため、ABS系樹脂成形品表面に耐光性を向上させるために塗料を塗布する方法が用いられているが、塗装工程にコストがかかることや塗料用溶剤による環境汚染の問題がある。
【0004】
又、ABS系樹脂に耐光剤を練り込む方法も広く知られているが、耐光剤を多量に添加しないと効果が発現しない欠点がある。又、この方法では、種々の耐光性の物性のレベルが異なった成形体を得るためには、必要物性レベルに応じてそれぞれ異なった樹脂ペレットが必要という品質管理の煩雑さがあった。更に、それぞれの物性レベルに応じた樹脂ペレットを得るためには個別に混練操作を行うため特にABS系樹脂が劣化しやすく衝撃強度の低下を招いていた。更に、混練操作に多大なコストが発生し経済的に不利である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ABS系樹脂に優れた耐熱性と耐光性を付与することができる熱可塑性樹脂組成物成形体を得る際に生じている課題も解決し熱可塑性樹脂組成物と、ABS系樹脂を直接成形して得られた耐熱性、耐光性に優れた熱可塑性樹脂成形体製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、下記の熱可塑性樹脂組成物を見い出し、この熱可塑性樹脂組成物とABS系樹脂とからなる熱可塑性樹脂成形体、特に熱可塑性樹脂組成物とABS系樹脂を直接成形することによってその目的を達成できることを知見した。即ち、本発明は(A)成分:マレイミド系共重合体0〜40重量%、(B)成分:AS系共重合体10〜95重量%、(C)成分:ABS系グラフト共重合体0〜40重量%、(D)成分:耐光剤5〜30重量%からなる熱可塑性樹脂組成物[但し(A)〜(D)の合計は100重量%]において、該熱可塑性樹脂組成物の温度260℃における溶融粘度が、剪断速度60±5(sec-1)において15000poise以下5000poise以上である熱可塑性樹脂組成物4〜50重量%とABS系樹脂50〜96重量%を同時に成形機に供給し成形することを特徴とする熱可塑性樹脂成形体の製造方法である。
【0007】
更に、本発明は(D)成分が、ベンゾトリアゾール誘導体及びヒンダードアミン化合物からなる耐光剤の重量比が1/1〜100/1であることを特徴とする上記の熱可塑性樹脂成形体の製造方法であり、(D)成分のベンゾトリアゾール誘導体が2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールであり、ヒンダードアミン化合物がビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートであることを特徴とする上記の熱可塑性樹脂成形体の製造方法である。
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に用いることができる(A)成分のマレイミド系共重合体について説明する。(A)成分のマレイミド系共重合体の製法としては、第一の製法として、ゴム状重合体の存在下或いは非存在下に芳香族ビニル単量体、不飽和ジカルボン酸イミド誘導体及び必要に応じてこれらと共重合可能なビニル単量体からなる混合物を共重合させる方法によってマレイミド系共重合体を得ることができる。
【0009】
第二の製法として、ゴム状重合体の存在下或いは非存在下に芳香族ビニル単量体、不飽和ジカルボン酸無水物及び必要に応じてこれらと共重合可能なビニル単量体からなる混合物を共重合させた後、アンモニア及び/又は第1級アミンを反応させて酸無水物基をイミド基に変換させる方法が挙げられ、いずれの方法によってもマレイミド系共重合体を得ることができる。
【0010】
第一の製法及び第二の製法で用いることができるゴム状重合体は、ブタジエン単独又はこれと共重合可能なビニル単量体よりなる重合体ゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム或いはアクリル酸エステル単独又はこれと共重合可能なビニル単量体よりなる重合体ゴムが挙げられる。
【0011】
第一の製法及び第二の製法で用いるられる芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、クロロスチレン等から選ばれる少なくとも1種のスチレン系単量体及びその置換単量体であり、これらの中でスチレンが特に好ましい。
【0012】
第一の製法で用いられる不飽和ジカルボン酸イミド誘導体としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド等から選ばれる少なくとも1種のマレイミド誘導体が挙げられる。これらの中でN−フェニルマレイミドが好ましい。
【0013】
第一の製法で用いることができる共重合可能なビニル単量体としては、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物、アコニット酸無水物、メチルアクリル酸エステル、エチルアクリル酸エステル、ブチルアクリル酸エステル等のアクリル酸エステル類、メチルメタクリル酸エステル、エチルメタクリル酸エステル等のメタクリル酸エステル等から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0014】
第二の製法で用いられる不飽和ジカルボン酸無水物としてはマレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、アコニット酸等の無水物から選ばれる少なくとも1種であり、マレイン酸無水物が特に好ましい。
【0015】
第二の製法で用いることができる共重合可能なビニル単量体としては、メチルアクリル酸エステル、エチルアクリル酸エステル、ブチルアクリル酸エステル等のアクリル酸エステル類、メチルメタクリル酸エステル、エチルメタクリル酸エステル等のメタクリル酸エステル等から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0016】
第二の製法のイミド化反応に用いるアンモニアや第1級アミンは無水又は水溶液のいずれの状態でもあってよく、又、第1級アミンの例としてメチルアミン、エチルアミン、シクロヘキシルアミン等のアルキルアミン及び/又はアニリン、トルイジン、ナフチルアミン等の芳香族アミンが挙げられる。
【0017】
第二の製法のイミド化反応は溶液状態又は懸濁状態で行う場合は通常の反応容器、例えばオートクレーブ等を用いるのが好ましく、塊状溶融状態で行う場合には、脱揮装置のついた押出機を用いてもよい。イミド化反応の温度は約80〜350℃であり、好ましくは100〜300℃である。80℃未満の場合には反応速度が遅く、反応に長時間を要して実用的でない。一方350℃を越える場合には重合体の熱分解による物性低下をきたす。イミド化反応時に触媒を用いてもよく、その場合は第3級アミン、例えばトリエチルアミン等が好ましく用いられる。
【0018】
(A)成分のマレイミド系共重合体を構成するゴム状重合体、芳香族ビニル単量体残基量、不飽和ジカルボン酸イミド誘導体残基量、不飽和ジカルボン酸無水物残基量及びこれらと共重合可能なビニル単量体残基量の含量については特に限定はないが、好ましくはゴム状重合体0〜40重量%、芳香族ビニル単量体残基量40〜80重量%、不飽和ジカルボン酸イミド誘導体残基量10〜60重量%、不飽和ジカルボン酸無水物残基量0〜15重量%及びこれらと共重合可能なビニル単量体残基量0〜15重量%である。
【0019】
(A)成分を構成するゴム状重合体の好ましい範囲は0〜40重量%であるが、特に好ましくは0〜15重量%である。40重量%を越える範囲では、本発明の熱可塑性樹脂組成物とABS系樹脂との直接成形性が低下するので好ましくない。
【0020】
(A)成分を構成する芳香族ビニル単量体残基量の好ましい範囲は40〜80重量%であるが、特に好ましくは45重量%以上60重量%未満である。40重量%未満では本発明の熱可塑性樹脂組成物とABS系樹脂との成形性が低下し、80重量%を越えると熱可塑性樹脂組成物の耐熱性が低下し好ましくない。
【0021】
(A)成分を構成する不飽和ジカルボン酸イミド誘導体残基量の好ましい範囲は10〜60重量%があるが、特に好ましくは40〜55重量%である。10重量%未満では熱可塑性樹脂組成物の耐熱性の向上が充分でなく、60重量%を越えると熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が大幅に低下する傾向があり好ましくない。
【0022】
(A)成分を構成する不飽和ジカルボン酸無水物残基量の好ましい範囲は0〜15重量%であるが、特に好ましくは10重量%以下(但し0は含まず)である。15重量%を越えると熱可塑性樹脂組成物の耐熱性が低下し好ましくない。
【0023】
(A)成分を構成する共重合可能なビニル単量体残基量の好ましい範囲は0〜15重量%であるが、特に好ましくは0〜10重量%である。15重量%を越えると他の成分との相溶性が低下し、熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が低下する傾向にあり、成形体としたときに層剥離が発生しやすくなる。
【0024】
(A)成分の重合方法としては、第一の製法では、懸濁重合、乳化重合、溶液重合、塊状重合等何れの公知の重合法も用いることができる。第二の製法の場合は塊状−懸濁重合、溶液重合、塊状重合等を好適に採用できる。
【0025】
次に、本発明の熱可塑性樹脂組成物に用いられる(B)成分のAS系共重合体について説明する。AS系共重合体は芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、及びこれらと共重合可能なビニル単量体からなる共重合体である。
【0026】
(B)成分を構成する芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、クロロスチレン等から選ばれる少なくとも1種のスチレン系単量体及びその置換単量体であり、とくにスチレンが好ましい。
【0027】
(B)成分を構成するシアン化ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等から選ばれる少なくとも1種であり、特にアクリロニトリルが好ましい。
【0028】
(B)成分を構成する共重合可能なビニル単量体としては、メチルアクリル酸エステル、エチルアクリル酸エステル、ブチルアクリル酸エステル等のアクリル酸エステル類,メチルメタクリル酸エステル、エチルメタクリル酸エステル等のメタクリル酸エステル単量体、アクリル酸、メタクリル酸等のビニルカルボン酸単量体、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、及びN−ビニルカルバゾ−ル等から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらの中でアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸等の単量体が特に好ましい。
【0029】
(B)成分のAS系共重合体を構成する芳香族ビニル単量体残基量、シアン化ビニル単量体残基量、及びこれらと共重合可能なビニル単量体残基量の含量については特に限定はないが、好ましくは芳香族ビニル単量体残基量は60〜80重量%であり、65〜75重量%が特に好ましい。60重量%未満では熱可塑性樹脂組成物の成形性が低下しやすく、80重量%を越えると熱可塑性樹脂組成物の耐熱性が低下する傾向にある。シアン化ビニル単量体残基量は20〜40重量%が好ましいが、25〜35重量%が特に好ましい。20重量%未満か40重量%を越えると他の成分との相溶性が低下しやすく、熱可塑性樹脂組成物の層剥離や衝撃強度低下の原因となりやすい。更にこれらと共重合可能なビニル単量体残基量の好ましい範囲は0〜20重量%であるが、0〜10重量%が特に好ましい。20重量%を越えると他の成分との相溶性が低下しやすく、熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が低下する傾向になり、成形体としたときに層剥離が発生しやすくなる。
【0030】
(B)成分の重合方法は、通常の重合方法で製造でき、例えば懸濁重合、溶液重合、乳化重合等の重合方法が採用できる。
【0031】
次に、本発明の熱可塑性樹脂組成物に用いることのできる(C)成分のABS系グラフト共重合体について説明する。
ABS系グラフト共重合体は、ゴム状重合体存在下に、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体及びこれらと共重合可能なビニル単量体からなる単量体混合物をグラフト重合させたものである。
【0032】
(C)成分に用いられるゴム状重合体は、ブタジエン単独又はこれと共重合可能なビニル単量体よりなる重合体ゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム、或いはアクリル酸エステル単独又はこれと共重合可能なビニル単量体よりなる重合体ゴムから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0033】
(C)成分に用いられる芳香族ビニル単量体はスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、クロロスチレン等から選ばれる少なくとも1種のスチレン系単量体であり、とくにスチレンが好ましい。
【0034】
(C)成分に用いられるシアン化ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等から選ばれる少なくとも1種であり、特にアクリロニトリルが好ましい。
【0035】
(C)成分に用いられる共重合可能なビニル単量体としては、メチルアクリル酸エステル、エチルアクリル酸エステル、ブチルアクリル酸エステル等のアクリル酸エステル類,メチルメタクリル酸エステル、エチルメタクリル酸エステル等のメタクリル酸エステル単量体、アクリル酸、メタクリル酸等のビニルカルボン酸単量体、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、及びN−ビニルカルバゾ−ル等から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0036】
(C)成分のABS系グラフト共重合体を構成するゴム状重合体の含量については特に限定はないが、好ましくはゴム状重合体が35〜65重量部であり、45〜55重量部が特に好ましい。35重量部未満では耐衝撃性が低く、65重量部を越えると成形体とするときの成形加工性、本発明の熱可塑性樹脂組成物及びその成形体の耐熱性が低下する傾向がある。又、(C)成分のABS系グラフト共重合体を構成する芳香族ビニル単量体残基量、シアン化ビニル単量体残基量、及びこれらと共重合可能なビニル単量体残基量の総含量については特に限定はないが、好ましくは35〜65重量部であり、45〜55重量部が特に好ましい。更にこれらの残基の比率について特に限定はないが、芳香族ビニル単量体残基量、シアン化ビニル単量体残基量、これらと共重合可能なビニル単量体残基量の総量を100重量%に対し、芳香族ビニル単量体残基量の好ましい範囲は50〜80重量%であり、55〜75重量%が特に好ましい。50重量%未満では熱可塑性樹脂組成物を成形体とするときの成形加工性が低下しやすく、80重量%を越えると本発明の熱可塑性樹脂組成物及びその成形体の耐衝撃性が低下する傾向にある。シアン化ビニル単量体残基量の好ましい範囲は20〜50重量%であり、特に25〜45重量%が好ましい。20重量%未満か50重量%を越えると(A)成分のマレイミド系共重合体との相溶性が低下しやすく、本発明の熱可塑性樹脂組成物及びその成形体の耐衝撃性が著しく低くなる傾向がある。更に、これらと共重合可能なビニル単量体残基量の好ましい範囲は0〜20重量%であり、特に0〜10重量%が好ましい。20重量%を越えると熱可塑性樹脂組成物の相溶性が低下し成形体としたときに耐衝撃性が低下する傾向がある。
【0037】
(C)成分のABS系グラフト共重合体のゴム粒径、グラフト率、未グラフトコポリマーの重量平均分子量については特に限定されないが、ゴム粒径は0.1〜0.6μmの範囲が本発明の熱可塑性樹脂組成物及びその成形体の耐衝撃性の面から好ましい。又、グラフト率は20〜80%で、未グラフトコポリマーの重量平均分子量は5〜20万の範囲であると、耐衝撃性と成形性のバランスが良好であり好ましい。
【0038】
(C)成分の重合方法に当たっては公知のいずれの重合技術も採用可能であって、例えば懸濁重合、乳化重合の如き水性不均一重合、塊状重合、溶液重合及び生成重合体の貧溶媒中での沈殿不均一重合等及びこれらの組合せが挙げられる。
【0039】
次に、本発明の熱可塑性樹脂組成物に用いられる(D)成分の耐光剤について説明する。耐光剤としてはサルチル酸エステル誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、ヒンダードアミン化合物、ニッケル錯塩化合物が挙げられる。サルチル酸エステル誘導体としてはp−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート、p−ドデシルフェニルサリシレート、p−ノリルフェニルサリシレート等が挙げられる。ベンゾフェノン誘導体としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等が挙げられる。ベンゾトリアゾール誘導体としては2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等が挙げられる。ヒンダードアミン化合物としてはビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、1,2,3,4−テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニル)ブタン、1,2−ビス(2−オキソ−3,3,5,5−テトラメチルピペリジル)エタン等が挙げられる。ニッケル錯塩化合物としては[2,2’−チオビス(4−t−オクチルフェノラート)]−n−ブチルアミン・ニッケル、ニッケルビス(オクチルフェニルサルファイド)等が挙げられる。
好ましくは、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール及び/又はビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートからなる耐光剤であり、特に好ましくは、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール及びビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートからなる耐光剤としたときに耐光剤の相乗効果により、優れた耐光性を付与することができ望ましい。更に、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール及びビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートからなる耐光剤においてそれぞれの耐光剤の比率の規定は限定されないが、好ましくは、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール/ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートの重量比が1/1〜100/1、更に好ましくは1/1〜5/1、特に好ましくは1/1以上3/1未満である。
【0040】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は(A)成分のマレイミド系共重合体0〜40重量%、(B)成分のAS系共重合体10〜95重量%、(C)成分のABS系グラフト共重合体0〜40重量%、(D)成分の耐光剤5〜30重量%とからなる。更に(A)成分のマレイミド系共重合体0〜30重量%、(B)成分のAS系共重合体10〜80重量%、(C)成分のABS系グラフト共重合体0〜35重量%、(D)成分の耐光剤10〜25重量%とからなる熱可塑性樹脂組成物が好ましい。
【0041】
(A)成分のマレイミド系共重合体が40重量%を越えると本発明の熱可塑性樹脂組成物とABS系樹脂とを直接成形した成形体の耐衝撃性が低下するので好ましくない。
【0042】
(B)成分のAS系共重合体が10重量%未満では本発明の熱可塑性樹脂組成物とABS系樹脂の混合が不十分となり本発明の熱可塑性樹脂組成物とABS系樹脂とを直接成形した成形体の耐衝撃性が低下するので好ましくない。又、95重量%を越えると耐光性の付与効果が充分でない。
【0043】
(C)成分のABS系グラフト共重合体は40重量%を越えると本発明の熱可塑性樹脂組成物とABS系樹脂の混合性が不十分となり本発明の熱可塑性樹脂組成物とABS系樹脂とを直接成形した成形体の耐衝撃性が低下するので好ましくない。
【0044】
(D)成分の耐光剤は5重量%未満では熱可塑性樹脂組成物とABS系樹脂からなる熱可塑性樹脂成形体の耐光性が低く、30重量%を越えると熱可塑性樹脂組成物自体の耐熱性が低下し、ABS系樹脂との成形体を製造する際の乾燥時に原料ペレットが融着する問題点があり好ましくない。
【0045】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、温度260℃における溶融粘度が15000poise以下5000poise以上であることが必要である。15000poiseを越える範囲では、分散が不良になり本発明の熱可塑性樹脂組成物とABS系樹脂とを直接成形した成形体の耐光性が低下し好ましくなく、5000poise未満では成形時の可塑化工程が不安定で、成形機においてサージング(脈動)が起こり可塑化時間が一定となりずらい等の問題がある。
【0046】
本発明の熱可塑性樹脂組成物の温度220℃、10kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)は特に限定されないが、好ましくは3〜100g/10分、特に好ましくは35〜80g/10分である。3g/10分未満ではABS系樹脂と直接成形して得られた成形体の耐光性が低下しやすくなり、100g/10分を越えると成形体の耐熱性、耐衝撃性が低下しやすくなる。
【0047】
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造時の(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分の混合方法には特に制限がなく、公知の手段を使用することができる。その手段として例えばバンバリーミキサー、タンブラーミキサー、混合ロール、1軸又は2軸押出機等が挙げられる。混合形態としては通常の溶融混合、溶液中でのブレンドより組成物を得る方法がある。
【0048】
本発明の熱可塑性樹脂組成物と直接成形時に用いることができるABS系樹脂として特に限定されるものではないが、具体的には、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、α−メチルスチレン系耐熱ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−α−メチルスチレン)樹脂、マレイミド系耐熱ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン−N−フェニルマレイミド)樹脂、AES(アクリロニトリル−EPDM−スチレン)樹脂、AAS(アクリロニトリル−アクリレート−スチレン)樹脂、MBS(メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン)樹脂、MABS(メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂等が挙げられ一般的にはゴム状重合体の含量が35重量%未満のものが用いられる。
【0049】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発明の目的を逸脱しない範囲、具体的には、0〜20%の範囲で、ABS系樹脂を配合しておくこともできる。
【0050】
本発明に用いることのできる熱可塑性樹脂組成物とABS系樹脂のメルトフローレート(MFR)の比は特に限定されないが、好ましくは1/1〜10/1である。1/1未満では分散不良になり耐光性が不良になりやすく、10/1を越える範囲では成形可塑化時にスリップがおこりやすく成形ができにくい。
【0051】
本発明の熱可塑性樹脂組成物とABS系樹脂との配合割合は特には限定されないが、好ましくは熱可塑性樹脂組成物4〜50重量%とABS系樹脂50〜96重量%で、更に好ましくは熱可塑性樹脂組成物5〜40重量%とABS系樹脂60〜95重量%、特に好ましくは熱可塑性樹脂組成物5〜20重量%とABS系樹脂80〜95重量%である。
熱可塑性樹脂組成物が4重量%未満では、ABS系樹脂と直接成形して得られた成形体の耐光性が不十分であり、又、50重量%を越えるとABS系樹脂との直接成形性が低下する傾向がある。
【0052】
又、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、更に酸化防止剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、着色剤、タルク、シリカ、クレー、マイカ、炭酸カルシウム等の添加剤から選ばれる少なくとも1種を添加することも可能である。又、本発明の熱可塑性樹脂組成物とABS系樹脂を成形機に供給する際に、これらの添加剤を同時に供給することもできる。
【0053】
着色剤はABS系樹脂に通常使用できるもので、酸化チタン、酸化鉄(弁柄)、群青、フタロシアニンブルー、カーボンブラック、チタンイエロー、コバルトブルー、ペリノン系レッド、ペリレン系レッド、キナクリドンレッド、アンスラキノン系レッド等が好ましい。
【0054】
本発明の熱可塑性樹脂組成物とABS系樹脂とを成形機に供給する方法としてはタンブラーミキサーやVブレンダー等の公知の装置を用いてプリブレンドしたものを供給する方法や、成形機のホッパーに両材料を別々に定量的に供給する方法採用することもできる又、目的に応じて着色剤或いは着色剤マスターバッチを同時に供給することもできる。
【0055】
本発明で用いる成形機としては、射出成形機、シート成形機、ブロー成形機、射出ブロー成形機等が挙げられる。
【0056】
成形機のシリンダー設定温度は、熱可塑性樹脂組成物、ABS系樹脂の種類によりその最適値が決まる。具体的に、本発明の場合は温度220℃〜280℃が好ましい。
【0057】
又、射出成形の場合は、成形機シリンダーとノズルの間に、公知の静止型混合器、例えば東レタイプ、スルーザータイプ、ケニックスタイプ等を設置することにより、より優れた耐光性を有する成形体を得ることができる。
【0058】
更に、射出成形機のスクリューは、最も汎用性の高いフルフライトスクリューを用いることができるが、より混練り性の高いダルメージタイプ、ピンタイプ、マドックタイプのスクリューを用いることもできる。
【0059】
【実施例】
以下本発明を更に実施例により説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の部、%はいずれも特にことわらない限り重量基準である。
【0060】
(A)成分のマレイミド系共重合体
実験例1.マレイミド系共重合体(SMI−1)の製造
撹拌機を備えたオートクレーブ中にスチレン60部、α−メチルスチレンダイマー0.05部、メチルエチルケトン100部を仕込み、系内を窒素ガスで置換した後温度を85℃に昇温し、無水マレイン酸40部とベンゾイルパ−オキサイド0.15部をメチルエチルケトン200部に溶解した溶液を8時間で連続的に添加した。添加後更に3時間温度を85℃に保った。ここで得られた共重合体溶液にアニリン38部、トリエチルアミン0.6部を加え140℃で7時間反応させた。反応液をベント付き2軸押出機に供給し、脱揮してマレイミド系共重合体を得た。C−13NMR分析より酸無水物基のイミド基への転化率は93モル%であった。このマレイミド系共重合体はN−フェニルマレイミド単位を51%含む共重合体であり、これを共重合体SMI−1とした。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析より重量平均分子量は145000であった。なおGPC測定には、昭和電工株式会社製「SHODEX GPC SYSTEM−21」を用い、標準分子量のポリスチレンを用いて作成した検量線を使用し、ポリスチレン換算の重量平均分子量を求めた。
上記に使用したマレイミド系共重合体(SMI−1)の組成比とゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による重量平均分子量を表1に示す。
【0061】
【表1】
Figure 0003652790
【0062】
(B)成分のAS系共重合体
実験例2.AS系共重合体(AS−1)の製造
撹拌機を備えた反応缶中にスチレン75部、アクリロニトリル25部、第三リン酸カルシウム2.5部、t−ドデシルメルカプタン0.5部、ベンゾイルパーオキサイド0.2部及び水250部を仕込み、70℃に昇温し重合を開始させた。重合開始から7時間後に温度を75℃に昇温して3時間保ち重合を完結させた。重合率は97%に達した。得られた反応液に5%塩酸水溶液200部を添加し析出させ、脱水、乾燥後白色ビーズ状の共重合体を得た。これをAS−1とした。
【0063】
実験例3.AS系共重合体(AS−2)の製造
撹拌機を備えた反応缶中にスチレン75部、アクリロニトリル25部、第三リン酸カルシウム2.5部、t−ドデシルメルカプタン0.3部、ベンゾイルパーオキサイド0.2部及び水250部を仕込み、70℃に昇温し重合を開始させた。重合開始から7時間後に温度を75℃に昇温して3時間保ち重合を完結させた。重合率は97%に達した。得られた反応液に5%塩酸水溶液200部を添加し析出させ、脱水、乾燥後白色ビーズ状の共重合体を得た。これを共重合体AS−2とした。
【0064】
上記で使用したAS系共重合体の成分組成比とGPC測定による重量平均分子量を表2に示す。
【0065】
【表2】
Figure 0003652790
【0066】
(C)成分のABS系グラフト共重合体
実験例4.ABS系グラフト共重合体(GF−1)の製造
撹拌機を備えた反応缶中にポリブタジエンラテックス143部(固形分35%、重量平均粒径0.25μm、ゲル含率90%)、ステアリン酸ソーダ1部、ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレ−ト0.1部、テトラソジウムエチレンジアミンテトラアセチックアシッド0.03部、硫酸第一鉄0.003部、及び純水150部を50℃に加熱し、これにスチレン75%及びアクリロニトリル25%よりなる単量体混合物50部、t−ドデシルメルカプタン0.2部、キユメンハイドロパーオキサイド0.15部を6時間で連続添加し、更に添加後65℃に昇温し2時間重合した。重合率は97%に達した。得られたラテックスに酸化防止剤(イルガノックス1076)0.3部を添加した後、5%塩化カルシウム水溶液300部を添加して凝固、水洗、乾燥後白色粉末としてグラフト共重合体(GF−1)を得た。
【0067】
実験例5.ABS系グラフト共重合体(GF−2)の製造
実験例4に示したGF−1の製造において、t−ドデシルメルカプタン0.2部を用いない以外は実験例4と同様に行いグラフト共重合体(GF−2)を得た。
【0068】
上記に使用したABS系グラフト共重合体の成分組成比、グラフト率及び未グラフト共重合体の重量平均分子量を表3に示す。
【0069】
これらの値は、一定量の試料を温度25℃で、溶媒メチルエチルケトン(MEK)に24時間膨潤させた後、遠心分離した上澄み溶液を未グラフト共重合体とし、GPC測定による重量平均分子量及びケルダール窒素定量分析による組成分析を行った。又遠心分離で沈降したMEK不溶分を取り出し、溶媒を完全に乾燥除去した後、ハロゲン付加法によりゴム状重合体重量を求め、又下記の式によりグラフト率を求めた。
【0070】
グラフト率=[(MEK不溶分重量−ゴム状重合体重量)/ゴム状重合体重量]×100(%)
【0071】
【表3】
Figure 0003652790
【0072】
(D)成分の耐光剤として、チバガイギー製チヌビンP(2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール)と三共製LS−770(ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート)を用いた。
【0073】
実験例6.熱可塑性樹脂組成物の製造
熱可塑性樹脂組成物作成のための混練混合は、東芝機械社製2軸押出機TEM−35B(スクリュー径37mm、L/D=32)にて、シリンダー温度設定280℃、スクリュー回転数250rpm、吐出量20kg/hrの条件にて実施した。
【0074】
作成した熱可塑性樹脂組成物の配合比を表4と表5に示す。作成した熱可塑性樹脂組成物をそれぞれMB−1〜MB−10と称した。
【0075】
【表4】
Figure 0003652790
【0076】
【表5】
Figure 0003652790
【0077】
ABS系樹脂として、ASTM D−1238に準じて温度220℃、荷重10kgの条件にて測定したメルトフローレートが40g/10分である市販のABS樹脂「QF(電気化学工業株式会社製)」(以下ABS−1と称する)と同条件でのメルトフローレートが13g/10分である市販のマレイミド系ABS樹脂「K−090(電気化学工業株式会社製)」(以下ABS−2と称する)を用いた。
【0078】
実施例1〜実施例11、比較例1〜比較例5
熱可塑性樹脂組成物とABS系樹脂とを表6〜表7に示す配合比で成形し、その時のIZOD衝撃強度、熱変形温度(HDT)、耐光変色の結果を併せて示した。本発明の熱可塑性樹脂組成物、ABS系樹脂は温度80℃で3時間乾燥した後、タンブラーミキサーで5分間混合し、射出成形機に供給した。射出成形機は川口鉄工社製射出成形機K−125を用いて射出成形を行った。成形条件は以下の通りである。
シリンダー設定温度:260℃
射出速度:70%
金型温度:60℃
スクリュー:フルフライトタイプ
比較例2では、乾燥時に熱可塑性樹脂組成物が融着してしまい成形できなかった。結果を表6、7に記す。
【0079】
比較例6
熱可塑性樹脂組成物MB−1を10部及びABS系樹脂(ABS−1)90部を、40mmΦ1軸押出機にて温度260℃で押出し、ペレットを得た。このペレットを用い実施例3と同一の成形条件で試験片を作成し、各種物性を測定した。その結果を表6に示す。
【0080】
【表6】
Figure 0003652790
【0081】
【表7】
Figure 0003652790
【0082】
比較例6〜比較例8
ABS系樹脂に耐光剤としてチヌビンPとLS−770を各1部ブレンドし、このブレンド物を35m/m脱揮装置付き同方向回転2軸押出機にて温度250℃で押出し、ペレット化した。このペレットを使用し実施例1〜11と同じ様に射出成形機により、温度260℃にて物性測定用の試験片を作成し、各種物性を測定した。その結果を表8に示す。
【0083】
参考例1〜参考例2
熱可塑性樹脂組成物、耐光剤を用いないABS系樹脂(ABS−1、ABS−2)を実施例3と同一の成形条件で試験片を作成し、各種物性を測定した。その結果を表8に示す。
【0084】
【表8】
Figure 0003652790
【0085】
物性測定試験方法
1)熱変形温度(HDT):荷重18.6kg/cm2でASTMD−648に準じて測定した。
2)IDOD衝撃強度:1/4インチ厚のノッチ付試験片を用いてASTM D−256に準じて測定した。
3)耐光変色:ダンベルをフェードメーターにてブラックパネル温度63℃で200時間照射し、照射前後の色差△Eを測定した。
4)溶融粘度:キャピラリーレオメーター(株式会社東洋精機製)を用いて剪断速度60[secー1]、シリンダー温度260℃の条件下、キャピラリーの長さ40mm、直径1mmのものを用いてJIS K−7199に準じて測定した。
5)メルトフローレート(MFR):荷重10kg、温度220℃でJIS K−6874に準じて測定した。
【0086】
表6に示す結果から明らかなように、実施例1〜実施例12の熱可塑性樹脂成形体は優れた耐熱性、耐光性を示す。
【0087】
これに対し表7の比較例1、比較例3〜比較例5では熱可塑性樹脂組成物の溶融時の粘度が20000poiseを超えており、均一に混合されないためにIZOD衝撃強度、耐光性が劣っている。
【0088】
又、表7の比較例2は熱可塑性樹脂組成物中の耐光剤量が30%を超えているため、乾燥時に融着し成形できない。
【0089】
又、比較例6〜比較例8を実施例1〜実施例8と比較すると、本発明の熱可塑性樹脂組成物とABS系樹脂との直接成形により得られた熱可塑性樹脂成形体のほうが耐光性が優れていることがわかる。
【0090】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いた本発明の成形方法によれば、耐熱性と耐光性に優れた樹脂成形体を、経済的に有利に得ることができる。この発明は従来ABS系樹脂が使用されてきて耐熱性、耐光性能が要求される、自動車部品、電気、電子部品、事務用機器部品、熱器具、食器、冷蔵庫部品、浴槽部品、シャワー部品、浄水機部品、便座等の材料として特に有効に適用できるものである。

Claims (3)

  1. (A)成分:マレイミド系共重合体0〜40重量%、(B)成分:AS系共重合体10〜95重量%、(C)成分:ABS系グラフト共重合体0〜40重量%、(D)成分:耐光剤5〜30重量%からなる熱可塑性樹脂組成物[但し(A)〜(D)の合計は100重量%]において、該熱可塑性樹脂組成物の温度260℃における溶融粘度が、剪断速度60±5(sec-1)において15000poise以下5000poise以上である熱可塑性樹脂組成物4〜50重量%とABS系樹脂50〜96重量%を同時に成形機に供給し成形することを特徴とする熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
  2. (D)成分が、ベンゾトリアゾール誘導体及びヒンダードアミン化合物からなる耐光剤の重量比が1/1〜100/1であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
  3. (D)成分のベンゾトリアゾール誘導体が2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールであり、ヒンダードアミン化合物がビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートであることを特徴とする請求項2記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
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