JP3080217B2 - 熱可塑性共重合体及びそれを用いた熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性共重合体及びそれを用いた熱可塑性樹脂組成物

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JP3080217B2
JP3080217B2 JP09005739A JP573997A JP3080217B2 JP 3080217 B2 JP3080217 B2 JP 3080217B2 JP 09005739 A JP09005739 A JP 09005739A JP 573997 A JP573997 A JP 573997A JP 3080217 B2 JP3080217 B2 JP 3080217B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な熱可塑性共
重合体及びそれを用いた熱可塑性樹脂組成物に関するも
のである。さらに詳しくいえば、本発明は耐熱性及び透
明性に優れ、かつ高い機械的強度を有する熱可塑性三元
共重合体及びそれを成分として用いた耐熱性、耐薬品性
に優れる上、高い衝撃強度を有する成形品を与え、自動
車内装部品や電気・電子機器用部品などの材料として好
適な熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車、事務機品、電気製品など
の分野において、軽量化、省エネルギー化、低価額化の
目的で特に板金製の一部分を、樹脂化することが試みら
れており、例えばポリカーボネートとABS樹脂とのア
ロイや変性PPEなどの耐熱耐衝撃性樹脂に置き換える
ことが試みられている。
【0003】ところで、スチレン−アクリロニトリル共
重合体(AS樹脂)は、耐薬品性に優れ、かつ高い機械
的強度を有する透明な熱可塑性樹脂であって、ABS樹
脂などとの混和性も良好で、成形加工材料として広く使
用されているが、耐熱性に劣るため、高温で使用する用
途には不適当であるという欠点があった。
【0004】このAS樹脂の耐熱性を向上させる方法と
しては、例えば分子鎖中にα‐メチルスチレン単位及び
無水マレイン酸単位を導入する方法が知られているが、
この方法では耐熱性向上に限界があって、得られた樹脂
が高温で分解し、品質低下を生じる。さらに、ブロー成
形法により大型成形品を製造する場合には、該α‐メチ
ルスチレンの熱分解性に起因するドローダウンが著し
く、上記の方法を採用することができないという欠点が
あった。
【0005】一方、該α‐メチルスチレンのこのような
欠点を改良する目的で、アクリロニトリルとスチレンと
の共重合体の分子鎖中に、N‐アリールマレイミド単位
を導入することにより、耐熱性を改良する方法が提案さ
れている(米国特許第3,652,726号明細書、米
国特許第3,766,142号明細書、特公昭62−5
0357号公報、特公平1−34961号公報)。
【0006】しかしながら、これらの方法によって得ら
れるスチレンとアクリロニトリルとN‐アリールマレイ
ミドとの三元共重合体は、その組成分布が著しく広いた
め、耐熱性や機械的強度などの物性に劣る上、透明性も
低く、用途の制限を免れないという欠点を有している。
さらに、このような共重合体を用いた樹脂組成物は機械
的強度及び耐熱変形性の向上効果が十分に発揮されない
という問題があった。
【0007】他方、前記三元共重合体の組成分布を均一
にする方法として、連続溶液重合法により共重合させる
のが好ましいことが知られている。この連続溶液重合法
による前記三元共重合体の製造方法について、特開昭6
1−276807号公報に記載されているが、この方法
においては、共重合体の組成分布は均一になるものの、
耐熱性が高く、かつ残存フェニルマレイミドの少ない共
重合体を得ることができない。すなわち、耐熱性を高く
するために重合槽にフェニルマレイミドを大量に供給し
た場合には、多量のマレイミドを含んだ反応液を揮発分
除去装置で処理する際、副反応を生じるため、かなりの
量のオリゴマーが生成し、共重合体中の残存フェニルマ
レイミドの量が多くなるという好ましくない事態を招来
する。このように、従来技術においては、残存フェニル
マレイミドを削減すべく、揮発分除去装置を高温、高真
空度の条件で運転した場合、大量のオリゴマーが発生す
るとともに、共重合体の組成分布の不均一化や熱分解、
熱着色を生じる。
【0008】該三元共重合体中の未反応のN‐アリール
マレイミドの残存量は50ppm以下であることが重要
である。この量が50ppmを超えると、例えば該三元
共重合体を食品に接する成形品に用いる場合、食品に溶
出して安全衛生上の問題が生じることがあるし、また、
成形時に著しい着色やメヤニが生じたり、耐熱性が低下
したりするなどの問題が生じ、用途が制限されるのを免
れない。また、従来の技術においては、該三元共重合体
の耐熱性を向上させ、かつN‐アリールマレイミドの残
存量を低減させると、共重合体の組成分布が広くなる傾
向があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、耐熱性及び透明性を有し、かつ高い機械
的強度を有する、未反応N‐置換マレイミド残存量が5
0ppm以下の芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化
合物とN‐置換マレイミドとの熱可塑性共重合体及びこ
の共重合体を含有して成る耐熱性、耐薬品性に優れる
上、衝撃強度の高い成形品を与えうる熱可塑性樹脂組成
物を提供することを目的としてなされたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の割合の
芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とN‐置換
マレイミドとの単量体混合物を、連続溶液重合法で共重
合させることにより、組成分布が狭く、かつ未反応N‐
置換マレイミド残存量が50ppm以下で、耐熱性及び
透明性に優れる上、高い機械的強度を有する熱可塑性三
元共重合体が得られること、及びこの三元共重合体に特
定の熱可塑性共重合体を所定の割合で配合した熱可塑性
樹脂組成物や、前記の三元共重合体又は組成物にガラス
繊維やガラスフレーク、あるいはポリカーボネート樹脂
を所定の割合で配合した熱可塑性樹脂組成物は耐熱性、
耐薬品性に優れる上、剛性や衝撃強度の高い成形品を与
えうることを見い出し、この知見に基づいて本発明を完
成するに至った。
【0011】すなわち、本発明は、(イ)芳香族ビニル
化合物単位30〜70重量%、(ロ)シアン化ビニル化
合物単位4〜40重量%及び(ハ)N‐置換マレイミド
単位26〜50重量%から成る共重合体であって、GP
Cで5〜25万に区分けした分子量区分ごとの赤外吸収
測定で定量した共重合体組成の分布が芳香族ビニル化合
物単位の平均組成をX1、組成をX、シアン化ビニル化
合物単位の平均組成をY1、組成をY、N‐置換マレイ
ミド単位の平均組成をZ1、組成をZとしたとき、 X=(1±0.2)X1(重量%) Y=(1±0.2)Y1(重量%) Z=(1±0.2)Z1(重量%) で表わされ、アセトン不溶分を実質上含まず、かつ重量
平均分子量が10万〜30万、数平均分子量が5万〜1
5万で、未反応N‐置換マレイミドの残存量が50pp
m以下であることを特徴とする熱可塑性共重合体(但
し、スチレン単位が55重量%、アクリロニトリル単位
が10重量%、N−フェニルマレイミド単位が35重量
%である組合せを除く)(I)、(A)熱可塑性共重合
体(I)30〜70重量%と、(B)(ニ)芳香族ビニ
ル化合物単位50〜80重量%及び(ホ)シアン化ビニ
ル化合物単位50〜20重量%から成る重量平均分子量
8万〜30万の熱可塑性共重合体(II)70〜30重
量%とを含有して成る熱可塑性樹脂組成物、(A)熱可
塑性共重合体(I)30〜70重量%と、(B)熱可塑
性共重合体(II)5〜30重量%と、(C)Tgが2
5℃以下のアクリレート系ゴム及びジエン系ゴムの中か
ら選ばれた少なくとも1種のゴム成分に、芳香族ビニル
化合物とシアン化ビニル化合物との単量体混合物を、得
られる共重合体中のそれぞれの単位の割合が重量比5
0:50ないし80:20の範囲にあり、かつゴム成分
の含有量が30〜60重量%になるようにグラフト重合
させて得られる熱可塑性グラフト共重合体(III)2
5〜45重量%とを含有して成る熱可塑性樹脂組成物、
(A)熱可塑性共重合体(I)30〜70重量%と、
(B)熱可塑性共重合体(II)5〜30重量%と、
(D)Tgが25℃以下のアクリレート系ゴム及びジエ
ン系ゴムの中から選ばれた少なくとも1種のゴム成分
に、芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とN‐
フェニルマレイミドとの単量体混合物を、得られる共重
合体中の芳香族ビニル化合物単位とシアン化ビニル化合
物単位との割合が重量比で50:50ないし80:20
の範囲にあり、かつN‐フェニルマレイミド単位の含有
量が5〜10重量%で、ゴム成分の含有量が30〜60
重量%になるようにグラフト重合させて得られる熱可塑
性グラフト共重合体(IV)25〜45重量%とを含有
して成る熱可塑性樹脂組成物、(A)熱可塑性共重合体
(I)30〜70重量%と、(E)(a)硬質樹脂粒子
の表面に、アクリル酸エステル系架橋重合体層を、該粒
子と重合体層との重量比が5:95ないし40:60に
なるように設けて成るゴム状共重合体粒子30〜80重
量%と、このゴム状共重合体粒子の表面に順次グラフト
重合により設けられた(b)アクリル酸エステル単位2
0〜80重量%と芳香族ビニル化合物単位5〜75重量
%とシアン化ビニル化合物単位5〜50重量%とから成
るゴム状弾性体層10〜30重量%及び(c)芳香族ビ
ニル化合物単位30〜90重量%とシアン化ビニル化合
物単位10〜50重量%と場合により導入されるアクリ
ル酸エステル単位20重量%以下とから成る樹脂層10
〜40重量%とから構成された平均粒子径0.2〜0.
8μmの多層グラフト共重合体粒子(V)25〜45重
量%と、場合により用いられる(B)熱可塑性共重合体
(II)50重量%以下とを含有して成る熱可塑性樹脂
組成物、及び前記熱可塑性共重合体(I)又は前記各組
成物に対し、(F)ポリカーボネート樹脂を、重量比1
/9〜9/1の範囲で配合して成る熱可塑性樹脂組成
物、あるいは(G)ガラス繊維及びガラスフレークの中
から選ばれた少なくとも1種の無機充てん剤を、重量比
1/9〜4/6の範囲で配合して成る熱可塑性樹脂組成
物を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明共重合体(I)の特徴は、組成分布が極めて狭い
点にある。例えば共重合体をテトラヒドロフランに溶解
させて、GPCにより分子量を区分けした場合に、従来
技術による共重合体では、各分子量に応じて組成が異な
り、極めて広い組成分布を示すが、本発明共重合体
(I)は、各分子量に応じて組成が均一であり、かつ分
子量区分ごとの組成分布が極めて狭く、実質上一定であ
るといえる。このように、本発明共重合体(I)は組成
分布が均一であることから、透明性及び耐熱変形性に優
れるとともに、機械的強度が高い。
【0013】本発明共重合体(I)における(イ)単
位、すなわち芳香族ビニル化合物単位を形成する単量体
としては、例えばスチレン、α‐メチルスチレン、o‐
メチルスチレン、m‐メチルスチレン、p‐メチルスチ
レン、t‐ブチルスチレン、クロロスチレンなどが挙げ
られるが、これらの中でスチレンが好適である。これら
の芳香族ビニル化合物は1種用いてもよいし、2種以上
を組み合わせて用いてもよい。
【0014】本発明共重合体(I)における(ロ)単
位、すなわちシアン化ビニル化合物単位を形成する単量
体としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニト
リルなどが挙げられるが、これらの中でアクリロニトリ
ルが好適である。該シアン化ビニル化合物は1種用いて
もよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0015】本発明共重合体(I)における(ハ)単
位、すなわちN‐置換マレイミド単位は一般式
【化1】 (式中のRはアルキル基、置換アルキル基、アリール基
又は置換アリール基である)で表わされる構造を有する
ものであって、この単位を形成する単量体としては、例
えばN‐メチルマレイミド、N‐エチルマレイミド、N
‐ブチルマレイミド、N‐フェニルマレイミド、N‐シ
クロヘキシルマレイミド、N‐クロロフェニルマレイミ
ドなどが挙げられるが、これらの中で耐熱向上性、入手
の容易さ、経済性などの点からN‐フェニルマレイミド
が特に好適である。また、これらのN‐置換マレイミド
は1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いて
もよい。
【0016】本発明共重合体(I)における各単位の含
有割合については、芳香族ビニル化合物単位が30〜7
0重量%、シアン化ビニル化合物単位が4〜40重量%
及びN‐置換マレイミド単位が26〜50重量%、好ま
しくは芳香族ビニル化合物単位が35〜60重量%、シ
アン化ビニル化合物単位が10〜30重量%及びN‐置
換マレイミド単位が26〜40重量%の割合で含有する
ことが必要である。
【0017】芳香族ビニル化合物単位の含有量が30重
量%未満では機械的強度が低いし、70重量%を超える
と耐熱性が低下する。また、シアン化ビニル化合物単位
の含有量が4重量%未満では機械的強度が低いし、40
重量%を超えると耐熱性が低下するとともに熱着色しや
すくなる。さらに、N‐置換マレイミド単位の含有量が
26重量%未満では耐熱性の向上効果が十分に発揮され
ないし、50重量%を超えると機械的強度及び流動性が
低下する。
【0018】本発明共重合体(I)は、重量平均分子量
が10万〜30万で、数平均分子量が5万〜15万であ
ることが必要で、重量平均分子量や数平均分子量が前記
範囲を逸脱すると本発明の目的が十分に達せられない。
また、本発明共重合体はアセトン不溶分を実質上含有し
ないことが必要である。このアセトン不溶分は該共重合
体3gを温度25℃でアセトン27gに溶解した場合の
不溶分を意味する。芳香族ビニル化合物とN‐置換マレ
イミドとのモル比約1:1の交互共重合体を前記条件で
アセトンに溶解した場合、不溶分量はほぼ99重量%で
ある。したがって、本発明共重合体が該アセトン不溶分
を実質上含まないことは交互共重合体を実質上含まない
ことを意味する。該交互共重合体を含有する共重合体
は、耐熱性と機械的強度とのバランスに劣り、好ましく
ない。
【0019】さらに、本発明共重合体(I)は、未反応
のN‐置換マレイミドの残存量が50ppm以下である
ことが必要である。このN‐置換マレイミドの残存量が
50ppmを超えると耐熱変形温度が低下する傾向が生
じるとともに、食品包装材料などとしての用途が制限さ
れ好ましくない。
【0020】前記共重合体(I)は、例えば連続溶液重
合法を用いて、製造することができる。この際の各単量
体の使用割合については、芳香族ビニル化合物が30〜
90重量%、シアン化ビニル化合物4〜40重量%、N
‐置換マレイミドが5〜50重量%、好ましくは芳香族
ビニル化合物が40〜80重量%、シアン化ビニル化合
物10〜30重量%、N‐置換マレイミド10〜40重
量%の割合であることが望ましい。
【0021】また、溶媒としては、例えば芳香族炭化水
素、ケトン類、アルコール類、エーテル類などを使用し
うるが、好ましい溶媒としては、エチルベンゼン、トル
エン、キシレン、メチルエチルケトン、ブタノール、テ
トラヒドロフランなどを挙げることができる。これらの
溶媒は1種用いてもよいし、2種以上を混合して用いて
もよい。
【0022】また、重合で用いられるラジカル開始剤に
ついては特に制限はなく、従来AS樹脂の製造において
慣用されているもの、例えば10時間半減期が70〜1
20℃である有機過酸化物やアゾ系化合物などを用いる
ことができる。このようなものとしては、例えばt‐ブ
チルパーオキシイソプロピルカーボネート、1,1‐ビ
ス(t‐ブチルパーオキシ)‐3,3,5‐トリメチル
シクロヘキサン、アゾイソブチロニトリルなどを挙げる
ことができる。
【0023】さらに、重合の際には、必要に応じて公知
の分子量調節剤、可塑剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安
定剤などを添加してもよい。前記共重合体(I)の製造
に用いられる重合装置としては、完全混合型反応器と層
流反応器とを直列に配したものを用いることが望まし
い。この装置に、所要量の各単量体、溶媒、ラジカル開
始剤などを連続的に供給することにより、所望の共重合
体を連続的に製造することができる。
【0024】前記完全混合型反応器における重合率は3
0重量%以上、好ましくは40重量%以上、より好まし
くは50〜65重量%であり、またこの完全混合型反応
器より流出する反応液中の未反応単量体の組成は、未反
応単量体の全量に基づき、芳香族ビニル化合物が30〜
80重量%、シアン化ビニル化合物が10〜50重量
%、N‐置換マレイミドが20重量%以下、好ましくは
15重量%以下であることが望ましい。
【0025】さらに、前記最終層流反応器における重合
率は50重量%以上、好ましくは60重量%以上、より
好ましくは70重量%以上であり、また、前記完全混合
型反応器における重合率と最終層流反応器における重合
率との差が10重量%以上であることが好ましい。
【0026】この重合反応における温度は通常70〜1
80℃の範囲で選ばれるが完全混合型反応器においては
70〜160℃、層流反応器においては90〜180
℃、好ましくは前者が90〜140℃で、後者が100
〜160℃の範囲にあるのが望ましい。また、層流反応
器における滞留時間(反応器容積/供給液量)は通常
0.5時間以上、好ましくは1時間以上である。
【0027】完全混合型反応器における重合率が30重
量%未満では、芳香族ビニル化合物とN‐置換マレイミ
ドとがモル比で1:1に近い交互共重合体を生成しやす
くなるし、該完全混合型反応器より流出する反応液中の
未反応N‐置換マレイミドの含有量が、未反応単量体の
全量に基づき20重量%を超えると、層流反応器におい
て、芳香族ビニル化合物とN‐置換マレイミドとが、モ
ル比で1:1に近い交互共重合体を生成しやすくなり、
好ましくない。
【0028】また、最終層流反応器における重合率が5
0重量%未満では得られる共重合体中の未反応N‐置換
マレイミドの含有量が50ppmを超えるおそれがあ
る。芳香族ビニル化合物とN‐置換マレイミドとのモル
比が約1:1の交互共重合体を含有する重合体は、耐熱
性と機械的強度とのバランスに劣り、好ましくない。こ
のような交互共重合体が重合体中に存在するか否かの判
定については、該交互共重合体3gをアセトン27gに
溶解した場合、ほぼ99重量%がアセトンに不溶である
ことから、該共重合体が実質上アセトン不溶物を含まな
ければ、交互共重合体を実質上含まないことを意味し、
これによって判定することができる。
【0029】さらに、該共重合体は、未反応N‐置換マ
レイミドの含有量が50ppm以下であることが必要で
ある。この未反応N‐置換マレイミドの含有量が50p
pmを超えると耐熱変形温度が低下する傾向が生じると
ともに、熱着色しやすくなり、食品包装材料などとして
の用途が制限されるのを免れない。
【0030】本発明において用いられる完全混合型反応
器については、特に特定されたタイプの反応器に限定さ
れるものではないが、反応器内の各部において、重合
物、重合液組成及び温度が等しく保持されるようなもの
が好ましい。また、層流反応器についても特に特定され
たタイプの反応器に限定されるものではないが、積分的
に重合が進むものが好ましい。
【0031】反応器の槽数については特に制限はない
が、完全混合型反応器1基又は2基、層流反応器1基な
いし3基が好ましい。さらに、層流反応器においては、
芳香族ビニル化合物を予定使用量の20重量%以下、好
ましくは15重量%以下の割合で追添することもでき
る。特に、層流反応器に供給される反応液中に、未反応
のシアン化ビニル化合物が、その使用量の30重量%以
上存在する場合、前記追添を行うと、得られる共重合体
中の未反応N‐置換マレイミドの含有量を50ppm以
下にすることができ、有利である。
【0032】このようにして、得られた重合溶液は、通
常揮発分分離除去装置に導入し、未反応単量体と溶媒と
を除去したのち、必要に応じヒンダードフェノール系酸
化防止剤やヒンダードアミン系、ベンゾトリアゾール系
の耐候剤などを添加し、溶融状態の重合体を押出、冷
却、固化、細断することにより、本発明共重合体(I)
が連続的に得られる。該揮発分分離除去装置において
は、通常温度200〜270℃、真空度0.1〜50ト
ールの条件で5〜160分間程度滞留させることによ
り、揮発分が除去される。
【0033】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(A)前
記熱可塑性共重合体(I)と、(B)(ニ)芳香族ビニ
ル化合物単位50〜80重量%及び(ホ)シアン化ビニ
ル化合物単位50〜20重量%から成る熱可塑性共重合
体(II)とを含有するものであって、該共重合体(I
I)における芳香族ビニル化合物単位を形成する単量体
としては、例えばスチレン、α‐メチルスチレン、ビニ
ルトルエン、t‐ブチルスチレン、クロロスチレンなど
が挙げられるが、これらの中でスチレンが好適である。
これらの芳香族ビニル化合物は1種用いてもよいし、2
種以上組み合わせて用いてもよい。またシアン化ビニル
化合物単位を形成する単量体としては、例えばアクリロ
ニトリル、メタクリロニトリルなどが用いられるが、こ
れらの中でアクリロニトリルが好適である。このシアン
化ビニル化合物は単独で用いてもよいし、2種以上組み
合わせて用いてもよい。
【0034】この熱可塑性共重合体(II)における芳
香族ビニル化合物単位とシアン化ビニル化合物単位との
含有割合は、重量比50:50ないし80:20の範囲
が適当である。また、この共重合体(II)は、重量平
均分子量が8万〜30万の範囲にあることが必要であ
る。重量平均分子量が前記範囲を逸脱すると本発明の目
的が十分に達せられない。
【0035】この共重合体(II)を製造するには、連
続塊状重合法、連続溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合
法などのラジカル重合法を用いることができるが、連続
溶液重合法が好適である。この連続溶液重合の際に使用
する溶媒としては、例えばトルエン、エチルベンゼン、
キシレンなどの炭化水素系溶媒、メチルエチルケトン、
ブチルアルコール、テトラヒドロフランなどの極性溶媒
などが挙げられるが、これらの中で炭化水素系溶媒が好
ましい。
【0036】次に、該熱可塑性共重合体(II)を連続
溶液重合法によって製造する例について説明すると、ま
ず芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物をそれ
ぞれ所定の割合で含有する単量体混合物に、所望に応じ
て用いられる溶媒、有機過酸化物や有機アゾ化合物など
のラジカル重合開始剤、アルキルメルカプタンやα‐メ
チルスチレンダイマーなどの連鎖移動剤、ヒンダードア
ミン系やベンゾトリアゾール系などの耐候剤などを、そ
れぞれ所定量加えて均一に溶解したのち、この溶液を連
続的に重合器に供給して重合させ、次いで連続的に重合
体溶液を取り出し、高温減圧容器に供給して未反応単量
体及び溶媒を留去させたのち、必要ならば酸化防止剤や
耐候剤を添加し、その後溶融状態の重合体を押出、冷
却、固化、細断して、目的の熱可塑性共重合体(II)
を得る。
【0037】この方法においては、通常重合温度は10
0〜160℃、高温減圧容器における温度、真空度及び
滞留時間は、それぞれ200〜270℃、1〜50トー
ル、5〜160分間の範囲で選ばれる。該熱可塑性樹脂
組成物においては、前記(A)成分の熱可塑性共重合体
(I)及び(B)成分の熱可塑性共重合体(II)は、
それぞれ30〜70重量%及び70〜30重量%の範囲
で用いられる。該共重合体(I)及び(II)の含有割
合が前記範囲にあれば、耐熱性及び流動性が共に優れた
組成物が得られる。
【0038】本発明においては、場合により耐衝撃性を
さらに向上させるために、前記(A)成分の熱可塑性共
重合体(I)及び(B)成分の熱可塑性共重合体(I
I)と共に、(C)成分として熱可塑性グラフト共重合
体(III)を含有させてもよいし、あるいは(D)成
分として熱可塑性グラフト共重合体(IV)を含有させ
てもよい。該(C)成分の熱可塑性グラフト共重合体
(III)は、Tgが25℃以下のアクリレート系ゴム
やジエン系ゴムに、芳香族ビニル化合物とシアン化ビニ
ル化合物との単量体混合物をグラフト重合させることに
より得られ、また、(D)成分の熱可塑性グラフト共重
合体(IV)は、Tgが25℃以下のアクリレート系ゴ
ムやジエン系ゴムに、芳香族ビニル化合物とシアン化ビ
ニル化合物とN‐フェニルマレイミドとの単量体混合物
をグラフト重合させることにより得られる。
【0039】前記Tgが25℃以下のアクリレート系ゴ
ムとしては、例えば主構成単位としてブチルアクリレー
ト単位や2‐エチルヘキシルアクリレート単位を含有す
る重合体などが挙げられ、一方Tgが25℃以下のジエ
ン系ゴムとしては、例えばポリブタジエンやポリイソプ
レンなどが挙げられる。これらのゴムは単独で用いても
よいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0040】これらのアクリレート系やジエン系ゴムに
グラフト共重合させる単量体の芳香族ビニル化合物とし
ては、例えばスチレン、α‐メチルスチレン、ビニルト
ルエン、t‐ブチルスチレン、クロロスチレンなどが挙
げられるが、これらの中でスチレンが好適である。これ
らの芳香族ビニル化合物は単独で用いてもよいし、2種
以上組み合わせて用いてもよい。またシアン化ビニル化
合物としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニ
トリルなどが挙げられるが、これらの中でアクリロニト
リルが好適である。シアン化ビニル化合物は単独で用い
てもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。芳香
族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物との使用割合に
ついては、グラフト重合させて得られる樹脂における芳
香族ビニル化合物単位とシアン化ビニル化合物単位とが
重量比50:50ないし80:20になるような割合で
用いられる。
【0041】該グラフト共重合体(III)及び(I
V)におけるゴム成分の含有量は30〜60重量%の範
囲にあることが必要である。また、該グラフト共重合体
(III)は、α‐メチルスチレン単位を10〜30重
量%の割合で含有するものが好適である。さらに、グラ
フト共重合体(IV)におけるN‐フェニルマレイミド
単位の含有量は5〜10重量%の範囲で選ばれる。この
ように、グラフト共重合体中にα‐メチルスチレン単位
やN‐フェニルマレイミド単位が導入されることによ
り、グラフト層のTgが高められ、従来技術の欠点であ
る射出成形品の退色性が大幅に改善される。したがっ
て、本発明組成物の場合には、射出成形品を110℃の
熱環境下においても退色せず、実用上全く問題を生じな
い。
【0042】このグラフト共重合体(III)及び(I
V)の製造方法については特に制限はなく、従来のグラ
フト重合によってABS樹脂を製造する際に慣用されて
いる方法、例えば乳化重合、塊状重合、塊状懸濁液重合
などの方法の中から任意の方法を選び用いることができ
る。
【0043】本発明の熱可塑性樹脂組成物において、前
記(C)成分のグラフト共重合体(III)又は(D)
成分のグラフト共重合体(IV)を用いる場合、各成分
の配合割合については、(A)成分の熱可塑性共重合体
(I)が30〜70重量%、(B)成分の熱可塑性共重
合体(II)が5〜30重量%、(C)成分の熱可塑性
グラフト共重合体(III)又は(D)成分の熱可塑性
グラフト共重合体(IV)が25〜45重量%になるよ
うに配合することが必要である。各成分の含有量が前記
範囲を逸脱すると本発明の目的が十分に達せられない。
特に(C)成分又は(D)成分の含有量が前記範囲にあ
ると耐熱性及び流動性の良好な組成物が得られる。
【0044】また、前記(A)成分の熱可塑性共重合体
(I)30〜70重量%と、(E)多層グラフト共重合
体粒子(V)25〜45重量%と、場合により用いられ
る前記(B)成分の熱可塑性共重合体(II)50重量
%以下とを含有して成る熱可塑性樹脂組成物も本発明に
包含されている。
【0045】前記多層グラフト共重合体粒子(V)は、
(a)硬質樹脂粒子(第1層)表面に、アクリル酸エス
テル系架橋重合体層(第2層)を設けて成るゴム状共重
合体粒子と、このゴム状共重合体粒子の表面に順次グラ
フト重合により設けられた(b)ゴム状弾性体層(第3
層)及び(c)樹脂層(第4層)とから成るものであっ
て、各層には重要な機能が分担されている。
【0046】まず、最内層の硬質樹脂層(第1層)は、
ゴム状共重合体の弾性率を高めるためにも、またシード
重合において、多層グラフト共重合体の最終粒子径を決
定するという意味からも重要である。第1層と第2層と
で構成されるゴム状共重合体粒子における第1層の硬質
樹脂層と第2層のアクリル酸エステル系架橋重合体層と
の含有割合は、重量比5:95ないし40:60の範囲
にあることが必要である。該硬質樹脂層の含有割合が前
記範囲より少ないと弾性率を高める効果が十分でない
し、前記範囲より多いと、ゴム状共重合体の弾性率が上
がりすぎて衝撃強度が低下する。また、硬質樹脂は通常
の乳化重合法により得られるものであればよく特に制限
はない。例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸プロピルなどのメタクリル酸アルキル
エステル;スチレン、α‐メチルスチレンなどの芳香族
ビニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル
などのシアン化ビニル化合物などの高いガラス転移点
(Tg)の重合体を与えるモノマーが挙げられる。これ
らのモノマーは1種用いてもよいし、2種以上を組み合
わせて用いてもよく、また、得られる重合体のTgを下
げない程度に、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エ
チル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチルなどの低
Tgの重合体を与えるモノマーと組み合わせて用いても
よい。
【0047】一方、第2層のアクリル酸エステル系架橋
重合体層は、衝撃強度付与のために設けられた層であ
り、アクリル酸エステルとしては、アクリル酸ブチル、
アクリル酸エチル、アクリル酸2‐エチルヘキシルなど
のアルキル基の炭素数が1〜10のアクリル酸アルキル
エステル、アクリル酸ベンジルなどのアクリル酸芳香族
エステルなどが挙げられる。これらのアクリル酸エステ
ルは1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用い
てもよく、また所望により共重合可能な他のビニル系モ
ノマー、例えばスチレン、アクリロニトリル、メタクリ
ロニトリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸、アク
リル酸などと組み合わせて用いてもよい。このアクリル
酸エステル系架橋重合体に用いられる架橋剤は、分子中
にC=C結合を少なくとも2個有する架橋性モノマーで
あって、アクリル酸エステルと共重合しうるものであ
り、このようなものとしては、例えばエチレングリコー
ルジメタクリレートなどのポリオールの不飽和酸エステ
ル類;シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリ
ルなどの多塩基酸の不飽和アルコールエステル類;ジビ
ニルベンゼンなどのジビニル化合物などが挙げられる。
また、多層グラフト共重合体粒子(V)における該ゴム
状共重合体粒子(第1層、第2層)の含有量は30〜8
0重量%の範囲にあることが必要である。この量が前記
範囲を逸脱すると衝撃強度の付与効果が十分に発揮され
ない。
【0048】ゴム状弾性体層から成る第3層は、前記第
1層と第2層とから構成されるゴム状重合体粒子と第4
層の樹脂層との間に設けられる中間層であり、該ゴム状
共重合体と第4層との接着性を向上させる作用を有して
いる。この第3層のゴム状弾性体層はアクリル酸エステ
ル単位20〜80重量%と芳香族ビニル化合物単位5〜
75重量%とシアン化ビニル化合物単位5〜50重量%
とを含有することが必要である。アクリル酸エステル単
位の含有量が20重量%未満では第2層のアクリル酸エ
ステル系架橋重合体層との接着性が悪く、衝撃強度が不
十分であるし、80重量%を超えると第4層の樹脂層と
の接着性が悪くなり、衝撃強度が低下する。
【0049】前記ゴム状弾性体層は、アクリル酸エステ
ルと芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物と架橋
剤との単量体混合物を、前記の第1層と第2層とから構
成されるゴム状共重合体粒子にグラフト重合させること
により、形成することができる。この際アクリル酸エス
テルとしては、前記第2層のアクリル酸エステル系架橋
重合体層の説明において例示したものを用いることがで
きる。このアクリル酸エステルは1種用いてもよいし、
2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、芳香族ビ
ニル化合物としては、例えばスチレン、α‐メチルスチ
レン、ビニルトルエン、t‐ブチルスチレン、ハロゲン
化スチレンなどが挙げられ、これらは単独で用いてもよ
いし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらにシ
アン化ビニル化合物としては、例えばアクリロニトリル
やメタクリロニトリルなどが挙げられ、これらは単独で
用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよ
い。
【0050】一方、架橋剤としては、前記第2層の説明
において例示したものを用いることができ、その使用量
は、通常単量体混合物の重量に基づき、0.05〜5重
量%の範囲で選ばれる。また、多層グラフト共重合体粒
子(V)におけるこの第3層の含有量は10〜30重量
%の範囲にあることが必要である。該多層グラフト共重
合体粒子における第4層の樹脂層は、(A)成分の熱可
塑性共重合体(I)との相容性を向上させるために設け
られた層であって、芳香族ビニル化合物単位30〜90
重量%とシアン化ビニル化合物単位10〜50重量%と
場合により導入されるアクリル酸エステル単位20重量
%以下とを含有することが必要である。該アクリル酸エ
ステル単位の含有量が20重量%を超えると、(A)成
分の熱可塑性共重合体(I)との相容性が悪くなり、衝
撃強度が低下する。
【0051】前記第4層の樹脂層は、芳香族ビニル化合
物とシアン化ビニル化合物と場合により用いられるアク
リル酸エステルとの単量体混合物を、第3層のゴム状弾
性体層が設けられたゴム状共重合体粒子にグラフト重合
させることにより形成することができる。この際、芳香
族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物としては、前
記第3層のゴム状弾性体層の説明において例示したもの
を用いることができるし、またアクリル酸エステルとし
ては、前記第2層のアクリル酸エステル系架橋重合体層
の説明において例示したものを用いることができる。こ
れらの各単量体は、単独で用いてもよいし、2種以上を
組み合わせて用いてもよい。さらに、多層グラフト共重
合体粒子(V)におけるこの第4層の含有量は10〜4
0重量%の範囲にあることが必要である。
【0052】本発明組成物における前記(E)成分の多
層グラフト共重合体粒子(V)は、平均粒子径が0.2
〜0.8μmの範囲にあることが必要である。この平均
粒子径が0.2μm未満では、得られる成形品は、表面
光沢は優れているものの衝撃強度が低いし、0.8μm
を超えると衝撃強度は高いものの表面光沢が悪くなる。
【0053】この多層グラフト共重合体粒子の製造方法
としては、乳化剤、重合開始剤、連鎖移動剤の存在下に
モノマーを重合させる乳化重合法、特に最内層となる硬
質樹脂の存在下に、新しい生成を抑制するような条件で
モノマーを重合させるシード重合法などが好ましく用い
られる。前記乳化剤としては、例えば炭素数2〜22の
カルボン酸類;炭素数6〜22のアルコール又はアルキ
ルフェノール類のスルホネートなどのアニオン性乳化
剤;脂肪族アミン又はアミドにアルキレンオキシドを付
加したノニオン性乳化剤;第四級アンモニウム塩含有化
合物などのカチオン性乳化剤などが挙げられる。重合開
始剤としては、例えば過酸化水素、過硫酸のアルカリ金
属塩やアンモニウム塩などの水溶性過酸化物;ベンゾイ
ルパーオキシド、キュメンヒドロパーオキシドなどの油
溶性有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリルなどの
アゾ化合物などが単独又は組み合わせて用いられる。ま
た、レドックス触媒として、還元剤と過酸化物との混合
物、例えばヒドラジン、ビスサルファイト、チオサルフ
ァイト、ヒドロサルファイト類のアルカリ金属塩、可溶
性被酸化性スルホキシル化合物などの還元剤と前記過酸
化物との混合物を用いることができる。さらに、連鎖移
動剤としては、例えばt‐ドデシルメルカプタンなどの
アルキルメルカプタン、トルエン、キシレン、クロロホ
ルム、ハロゲン化炭化水素などが挙げられる。
【0054】モノマーの添加方法については、一括添加
してもよいが、数回に分けて添加するか、あるいは連続
添加するのが有利である。この場合、重合反応の抑制が
容易であって、過熱や凝固を防止することができる。ま
た、第3層のゴム状弾性体層及び第4層の樹脂層を形成
させるには、第2層のアクリル酸エステル系架橋重合体
層を形成させるための重合反応を完結させてから、ゴム
状弾性体層形成用モノマー及び樹脂層形成用モノマーを
添加して逐次重合させてもよいし、該アクリル酸エステ
ル系架橋重合体層を形成させるための重合反応を完結せ
ずに未反応モノマーを残存させた状態で、芳香族ビニル
化合物及びシアン化ビニル化合物を添加して、ゴム状弾
性体層及び樹脂層を形成させてもよい。
【0055】さらに、該多層グラフト共重合体粒子の粒
子径の抑制方法としては、最内層の硬質樹脂層の重合で
得られたラテックス(シードラテックス)の一部を取り
出し、イオン交換水、乳化剤、モノマーを加えシード重
合を続ける際に、該シードラテックスの取り出し量を調
整し、シードラテックスの粒子数を抑制することによ
り、該多層グラフト共重合体粒子の粒子径を制御する方
法を用いることができる。
【0056】このようにして得られた多層グラフト共重
合体粒子を(E)成分とし、これに(A)成分として前
記熱可塑性共重合体(I)を配合し、さらに場合によ
り、(B)成分として前記熱可塑性共重合体(II)を
配合することによって、耐熱性、耐薬品性、耐候性、耐
衝撃性、流動性、外観性に優れた熱可塑性樹脂組成物が
得られる。この組成物における各成分の含有量は、
(A)成分が30〜70重量%、(E)成分が25〜4
5重量%、場合により用いられる(B)成分が50重量
%以下であることが必要である。該(A)成分の含有量
が30重量%未満では耐熱性が不十分であるし、70重
量%を超えると耐衝撃性及び流動性が低下する。また、
(E)成分の含有量が25重量%未満では耐衝撃性の向
上効果が十分に発揮されないし、45重量%を超えると
剛性及び耐熱性が低下する。一方、(B)成分の含有量
が50重量%を超えると耐熱性が低下する。
【0057】本発明においては、その目的を十分に達成
させるには、各組成物において(A)成分として用いら
れる熱可塑性共重合体(I)は、組成分布が均一である
ことが必要である。この組成分布は次のようにして求め
ることができる。すなわち、共重合体約100mgを精
秤し、10mlのメスフラスコに入れ、テトラヒドロフ
ラン(THF)に溶かして定容にする。この100μl
をGPC装置に注入して分子量分布を測定する。一方、
分子量分布の測定において、チャート上にピークが出は
じめたならば、流出時間1分ごとにサンプルに分取し、
これに一定量のKBrの粉末を加えたのち、THFを蒸
散させ拡散反射法により赤外吸収測定を行う。各フラク
ションごとに組成比はCN基(2237cm-1)、C=
O基(1712cm-1)、ベンゼン環(760cm-1
の吸収強度をあらかじめ作成しておいた検量線を用いて
測定し、求めることができる。
【0058】また、組成の分布の狭さ(均一性)の定義
については、GPCで5〜25万に区分けした分子量区
分ごとの赤外吸収測定で定量した共重合体組成の分布が
芳香族ビニル化合物単位(例えばスチレン単位)の平均
組成をX1、組成をX、シアン化ビニル化合物単位(例
えばアクリロニトリル単位)の平均組成をY1、組成を
Y、N‐置換マレイミド単位(例えばN‐フェニルマレ
イミド単位)の平均組成をZ1、組成をZとしたとき、 X=(1±0.20)X1(重量%) Y=(1±0.20)Y1(重量%) Z=(1±0.20)Z1(重量%) X+Y+Z=100 で表わされる場合に、組成分布が狭く均一であるという
ことができる。
【0059】すなわち、本発明における共重合体(I)
の組成分布は、平均値よりの偏差が20%以内の範囲に
あることが必要で、20%を超えると該共重合体(I)
は透明性が低下し、濁りを生じたり、機械的強度が低下
するため、工業的用途が制限され、好ましくない。
【0060】本発明の熱可塑性共重合体(I)及び各組
成物には、耐熱性及び剛性を向上させるために、(G)
成分として、ガラス繊維及びガラスフレークの中から選
ばれた少なくとも1種の無機充てん剤を配合することが
できる。該共重合体(I)や組成物はマレイミド基やシ
アノ基を有することから、ガラス繊維やガラスフレーク
を配合することにより、耐熱性及び剛性が効果的に向上
する。該ガラス繊維は、組成物中においてアスペクト比
(L/D)が20以上で繊維径が5〜15μmの範囲に
あることが望ましく、また、ガラスフレークは、組成物
中において、厚さが1〜10μmの範囲であって、長さ
が10〜500μmの範囲にあることが望ましい。この
ガラス繊維やガラスフレークの形状が、前記範囲を逸脱
すると本発明の目的が十分に達せられない。
【0061】これらのガラス繊維やガラスフレークは単
独で用いてもよいし、またこれらを組み合わせて用いて
もよい。これらのガラス繊維やガラスフレークは、その
ままで用いてもよいが、あらかじめカップリング剤のよ
うな表面処理剤で処理したものや、あらかじめ樹脂によ
り集束処理したものを用いるのが好ましい。
【0062】該表面処理剤としては、例えばシラン系、
チタネート系、アルミニウム系、クロム系、ジルコニウ
ム系、ボラン系カップリング剤などが挙げられるが、こ
れらの中でシラン系カップリング剤及びチタネート系カ
ップリング剤が好ましく、特にシラン系カップリング剤
が好適である。
【0063】さらに、ガラスの種類については特に制限
はなく含アルカリガラス、低アルカリガラス、無アルカ
リガラスのいずれであってもよい。また、ガラス繊維と
しては、例えばロービング、チョップドストランド、ミ
ルドファイバーなどいずれのものも用いることができ
る。
【0064】本発明組成物において、無機充てん剤
(G)としてガラス繊維を用いる場合、適当な樹脂で集
束処理することが望ましいが、この樹脂としては、前記
した樹脂成分の樹脂と相容性のある重合体ラテックス、
例えば芳香族ビニル化合物単位とシアン化ビニル化合物
単位とから成る共重合体ラテックスのようなものが、通
常用いられる。この集束処理の方法については特に制限
はなく、従来慣用されている方法、例えば100〜5
0,000本程度のフィラメントから成るガラス繊維
に、浸せき塗り、ローラ塗り、吹き付け塗り、流し塗
り、スプレー塗りなどの方法で該ラテックスを塗布した
のち、乾燥する方法などを用いることができる。
【0065】本発明においては、前記ガラス繊維やガラ
スフレークは、熱可塑性共重合体(I)の各組成物に対
して、重量比1/9〜4/6の割合で配合することが必
要である。この配合量が前記範囲より少ないと耐熱性及
び機械的特性が不十分になるし、前記範囲より多いと混
練が困難となり、成形加工性が低下する。
【0066】さらに、本発明の熱可塑性共重合体(I)
及び各組成物にはポリカーボネート樹脂を、樹脂成分に
対して1/9〜9/1の範囲で配合することができる。
このポリカーボネート樹脂としては、例えば2,2‐ビ
ス(4‐ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノー
ルA)を原料とするポリカーボネートなどのジヒドロキ
シジアリールアルカン系ポリカーボネートが好適であ
る。
【0067】本発明組成物には、本発明の目的をそこな
わない範囲で、所望に応じ各種添加成分、例えば炭酸カ
ルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アル
ミニウム、タルク、クレー、マイカ、シリカ、ケイ藻
土、モンモリロナイト、ベントナイト、ホウ酸亜鉛、メ
タホウ酸バリウムなどの無機フィラー、あるいはヒンダ
ードフェノール類、ホスファイト類などの酸化防止剤、
ヒンダードアミン類などの耐光剤、さらには難燃剤、帯
電防止剤、着色剤などの添加剤を配合することができ
る。
【0068】本発明の熱可塑性樹脂組成物の調製方法に
ついては特に制限はなく、例えば各樹脂成分をV‐ブレ
ンダー、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、タン
ブラーブレンダーなどで混合するか、又は混合後さらに
例えばバンバリーミキサー、ニーダー、オーブンロー
ル、各種押出機などで溶融混練し、次いでペレット化し
てもよい。
【0069】また、ガラス繊維やガラスフレークを用い
る場合には、前記のようにして集束されたガラス繊維ロ
ービングを、押出機を用いて樹脂成分で押出被覆するこ
とにより得られたストランドを裁断してペレット化して
もよいし、集束処理されたガラス繊維のストランドを適
当な大きさに裁断してチョップドストランド、あるいは
ガラス短繊維やガラスフレークと樹脂成分とを前記の混
合機を用いて混合するか、又は混合後、さらに前記の混
練機を用いて溶融混練し、次いでペレット化してもよ
い。このようにして得られた本発明組成物は、例えば射
出成形、押出成形、圧縮成形などの成形法により、所望
の成形品に成形することができる。
【0070】
【発明の効果】本発明の熱可塑性共重合体は、AS樹脂
と同等の透明性及び機械的強度を有し、かつポリカーボ
ネートに匹敵する耐熱性を有しており、このような特徴
を活かして、例えば自動車部品、工業部品、家電部品な
どの成形材料として好適に用いられる。また、本発明共
重合体は、AS樹脂やABS樹脂との混和性が良く、こ
れらの樹脂にその耐熱性を改良する目的で混合し、樹脂
ブレンドして用いることができる。さらに、該共重合体
は、未反応のN‐置換マレイミドの残存量が極めて少な
いので安全衛生上問題となることもない。前記熱可塑性
共重合体を用いた本発明の樹脂組成物は耐薬品性、耐衝
撃性、耐熱性に優れ、かつ良好な機械的強度を有する成
形品を与える上、成形性もよいなどの特徴を有し、例え
ばコンソールボックス、スピーカーボックス、インスツ
ルメントパネル、エアスポイラー、ラジエーターカバー
などの自動車内装部品、あるいはワードプロセッサーや
パーソナルコンピューターなどのハウジング、シャーシ
などの電気・電子製品などの材料として好適に用いられ
る。
【0071】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定され
るものではない。なお、各物性は次の方法により求め
た。
【0072】(1)共重合体組成 窒素分析及びH‐NMR測定により求めた。 (2)残存N‐フェニルマレイミド量 共重合体1.25gを25mlのメスフラスコに秤取
し、メチルエチルケトン溶液25mlを調製して、GC
分析を行い、残存N‐フェニルマレイミド量を求めた。 (3)アセトン不溶分 共重合体3gをアセトン27gに溶解し、不溶分の確認
を目視により行った。
【0073】(4)分子量(Mw、Mn) 通常のホモポリスチレンと同様な方法により、ゲルパー
ミエーションクロマトグラフィー分析を行い、標準ポリ
スチレンを用いて作成した検量線を用いて、Mw、Mn
を求めた。
【0074】(5)共重合体(I)の組成分布 共重合体約100mgを精秤し、10mlのメスフラス
コに入れ、テトラヒドロフラン(THF)に溶かして定
容にする。この100μlをGPC装置に注入して分子
量分布を測定する。一方、分子量分布の測定において、
チャート上にピークが出はじめたならば、流出時間1分
ごとにサンプルビンに分取し、これに一定量のKBrの
粉末を加えたのち、THFを蒸散させ拡散反射法により
赤外吸収測定を行う。各フラクションごとの組成比はC
N基(2237cm-1)、C=O基(1712c
-1)、ベンゼン環(760cm-1)の吸収強度をあら
かじめ作成しておいて検量線を用いて測定し、求めるこ
とができる。
【0075】(6)ゴム粒子径 電顕法で求めたラテックス粒子径と、そのラテックスの
希釈溶液(固形分で50ppm)の波長550nmにお
ける吸光度との関係の検量線を作成し、各種ラテックス
の吸光度を測定することによりその検量線から読み取っ
た。
【0076】(7)多層グラフト共重合体粒子(V)の
ゲル% 25倍量のアセトンに試料を浸せきし、2時間振とう
後、遠心分離機で上ずみを除去するという操作を3回繰
り返した後に、乾燥して得た試料の重量と初めの試料と
の重量比を求め、百分率で表わした。
【0077】(8)各物性 次に示す測定方法に準拠して求めた。 曇り度:ASTM D1746 加熱変形温度:ASTM D648(1/4、18.6
kg/cm荷重下) 引張り強さ :ASTM D638 曲げ強さ :ASTM D790 曲げ弾性率 :ASTM D790 引張り伸び :ASTM D638 アイゾット衝撃強さ:ASTM D256 MI:JIS K7210(250℃、10kg荷重) 光沢度 :ASTM D253
【0078】(9)成形加工性 射出成形時にオリゴマー、残留フェニルマレイミドなど
が金型に付着し、成形が困難になる場合を××、成形が
やや困難であるのを△、全く問題なく連続成形できるの
を○とした。
【0079】実施例1 スチレン36重量部、アクリロニトリル14重量部、N
‐フェニルマレイミド20重量部、エチルベンゼン30
重量部及びt‐ブチルパーオキシイソプロピルカーボネ
ート0.02重量部から成る混合液を1.26リットル
/hrの速度で、反応容積1.9リットルの完全混合反
応器と0.5リットルの層流反応器(3基)とを直列に
並べた重合槽に連続的に供給し、完全混合反応器の温度
109℃、層流反応器の温度110〜140℃の条件で
重合を行った。なお、第2層流反応器の上流に、スチレ
ン10重量部を添加混合した。各反応器出口の反応液中
の残存N‐フェニルマレイミドの濃度は、第1反応器か
ら順次6.0重量%、0.35重量%、0.025重量
%及び0.0018重量%であった。
【0080】次いで固形分50重量%の重合体溶液を2
65℃に加熱すると同時に20トールの減圧室に導き、
脱揮を15分間行い、溶融重合体を取り出し冷却固化
し、共重合体(I)を得た。この共重合体(I)は、N
‐フェニルマレイミドの残存量が18ppmで、スチレ
ン(ST)単位50重量%、アクリロニトリル(AN)
単位17重量%及びN‐フェニルマレイミド(NPM
I)単位33重量%から成るものであった。また重量平
均分子量Mw(ポリスチレン換算)18.5万、重量平
均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比Mw/Mnは
1.96であった。
【0081】この共重合体を260℃で成形して曇り度
を求めたところ、2.1%であった。さらにこの共重合
体は、アセトン不溶分はなく、耐熱変形温度138℃、
引張り強度670kg/cm、曲げ強度920kg/
cm、曲げ弾性率39,800kg/cmであり、
また成形加工性については、全く問題なく連続成形が可
能であった。 仕込組成を表1に、共重合体の組成分布
(分子量区分ごとの組成)を表2に、共重合体の組成及
び物性を表3に示す。
【0082】実施例2、3、比較例1、2 実施例1において、仕込組成を表1に示すように変更し
た以外は、実施例1と同様にして共重合体(I)を製造
した。実施例2、3の共重合体の組成分布を表2に、実
施例2、3、比較例1、2の共重合体の組成及び物性を
表3に示す。
【0083】
【表1】 注)ST :スチレン AN :アクリロニトリル NPMI:N‐フェニルマレイミド EB :エチルベンゼン BPPC:t‐ブチルパーオキシイソプロピルカーボネ
ート
【0084】
【表2】
【0085】
【表3】
【0086】比較例3 ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム0.05重量部、
過硫酸アンモニウム0.02重量部、水200重量部か
ら成る水溶液30リットルを60リットル反応器に仕込
み、内温を60℃にコントロールした。次にアクリロニ
トリル15重量%、スチレン54.8重量%、フェニル
マレイミド30重量%及びt‐ドデシルメルカプタン
0.20重量%から成る単量体混合物100重量部をこ
の反応器に添加し、添加後55℃で2時間重合し、その
後70℃で6時間重合を継続した。反応率は96%であ
った。この共重合体の組成分布を表4に示す。
【0087】
【表4】
【0088】この共重合体を260℃で成形して曇り度
を求めたところ、4.5%であった。この共重合体の組
成及び物性を表3に示す。
【0089】比較例4 スチレン36重量部、アクリロニトリル14重量部、N
‐フェニルマレイミド20重量部、エチルベンゼン30
重量部及びt‐ブチルパーオキシイソプロピルカーボネ
ート0.02重量部から成る混合液を1.26リットル
/hrの速度で反応容積1.9リットルの完全混合反応
器に連続的に供給し重合を行った。完全混合槽の温度は
109℃であった。
【0090】次いで固形分50重量%の重合体溶液を2
65℃に加熱すると同時に10トールの減圧室に導き、
脱揮を30分間行った。しかし共重合体中の残留N‐フ
ェニルマレイミドは2325ppmであった。この共重
合体を260℃で成形し、曇り度を求めたところ、3.
2%であり、黄色度は大きな値を示した。また、共重合
体の組成分布は実施例1と同様に均一であった。この共
重合体の組成及び物性を表3に示す。
【0091】比較例5 比較例4において、仕込組成をスチレン50重量部、ア
クリロニトリル16重量部、N‐フェニルマレイミド4
0重量部、エチルベンゼン30重量部に変更した以外
は、比較例4と同様にして重合を行った。得られた共重
合体の組成及び物性を表3に示す。
【0092】実施例4 (1)共重合体(II)の製造 アクリロニトリル30重量%及びスチレン70重量%か
ら成る単量体混合物を用いて、実施例1と同様にして重
合を行い、共重合体(II)を製造した。この共重合体
(II)のMw(ポリスチレン換算)は10万、Mw/
Mnは1.9であった。 (2)組成物の調製及び評価 実施例1で得られた共重合体(I)50重量部と前記
(1)で得られた共重合体(II)50重量部とを、P
CM45mmφ押出機で溶融ブレンドしてペレットを得
た。次にこのペレットを射出成形して試験片を作成し、
物性を評価した。その結果を共重合体の組成とともに、
表5に示す。
【0093】実施例5、6 (1)共重合体(II)の製造 実施例4(1)と同様にして、表5に示す組成の共重合
体(II)を得た。 (2)組成物の調製及び評価 共重合体(I)として、実施例2、3で得られたものを
用い、このものと前記(1)で得られた共重合体(I
I)とを、表5に示す割合で実施例4と同様にして溶融
ブレンドしてペレットを得たのち、試験片を作成し、物
性を評価した。その結果を表5に示す。
【0094】
【表5】
【0095】実施例7 (1)共重合体(II)の製造 アクリロニトリル30重量%及びスチレン70重量%か
ら成る単量体混合物を用いて、実施例1と同様にして重
合を行い、共重合体(II)を製造した。この共重合体
(II)のMw(ポリスチレン換算)は10万、Mw/
Mnは1.9であった。 (2)共重合体(IV)の製造 ブタジエンゴム(日本ゼオン製ポリブタジエンラテック
ス、粒子計3000A)40重量部、ジヘキシルスルホ
コハク酸ナトリウム0.05重量部、過硫酸アンモニウ
ム0.02重量部、水200重量部から成る水溶液30
リットルを60リットル反応器に仕込み、内温を75℃
にコントロールした。次いで、アクリロニトリル35重
量%、スチレン55重量%、N‐フェニルマレイミド1
0重量%から成る単量体混合物40重量部をこの反応器
に連続的に55℃で2時間添加し、添加終了後さらに6
時間重合を継続した。反応率は96%であった。このよ
うにして得られた共重合体(IV)の組成は、ゴム成分
40重量%、スチレン単位33重量%、アクリロニトリ
ル単位21重量%、N‐フェニルマレイミド単位6重量
%であった。
【0096】(3)組成物の調製及び評価 実施例1で得られた共重合体(I)55重量部と前記
(1)で得られた共重合体(II)10重量部と前記
(2)で得られた共重合体(IV)35重量部との樹脂
成分に、染顔料として酸化チタンとペリノン系アンスラ
キノン系の赤色染料と複素環系の黄色染料との混合物
0.3重量部を配合して、池貝鉄工(株)製PCM45
mmφの押出機で260℃にて溶融混練し、ペレットを
得た。次いで、このペレットを射出成形機で成形して物
性測定用の試験片を得た。この試験片を110℃で2時
間加熱しても熱変色は認められず、また、ガソリン中に
20℃で48時間浸漬した場合、耐ガソリン性は良好で
あり、外観の変化は認められなかった。さらに、アクリ
ル系塗料で塗装した場合、外観平滑性が良好であって、
鮮映度は良好であった。表6に試験片の物性を、組成物
の成分組成と共に示す。
【0097】実施例8〜11 表6に示す組成の共重合体(I)、共重合体(II)及
び共重合体(III)を、それぞれ実施例1、実施例4
(1)及び実施例7(2)と同様にして製造し、表6に
示す割合で配合した以外は、実施例7と同様にして試験
片を作成した。これらの試験片の耐熱変色性、耐ガソリ
ン性及び塗装外観平滑性、鮮映度は実施例7と同様であ
った。表6に物性を示す。
【0098】
【表6】 注1) 試験片をサンシャインウエザオメータで63℃
にて2000時間曝露試験を行い、外観を目視観察し
た。
【0099】実施例12 (1)共重合体(III)の製造 第1段の重合として、メチルメタクリレート80重量%
とブチルアクリレート20重量%とから成る単量体混合
物10重量部を、第2段の重合として、ブチルアクリレ
ート99重量%とトリアリルイソシアヌレート1.0重
量%とから成る単量体混合物63重量部を、第3段の重
合としてアクリロニトリル40重量%とスチレン60重
量%とから成る単量体混合物27重量部を用い、75℃
で通常の乳化重合を行い、反応率97%で共重合体(I
II)を得た。
【0100】(2)組成物の調製及び評価 実施例8において、共重合体(III)として前記
(1)で得られたものを用いた以外は、実施例8と同様
にしてペレットを得たのち、試験片を作成した。MFI
は6.0g/10分、HDTは113℃、アイゾット衝
撃強さは14kg・cm/cmであった。またこの試験
片をサンシャインウエザオメータで、63℃にて200
0時間耐候試験を実施したところ、外観の変化はほとん
どなかった。
【0101】実施例13 500〜20000本から成るガラス繊維ロービイング
を、アクリロニトリル単位25重量%とスチレン単位7
5重量%とから成る共重合体の水性エマルション中に浸
せきしたのち、乾燥し、集束処理した。次に、押出機を
用いて、実施例1で得られた共重合体(I)80重量部
で、前記の集束処理ガラス繊維20重量部を押出被覆す
ることにより得られたストランドを裁断して、GF強化
ペレットを作成した。このペレットを射出成形機で成形
し、物性測定用の試験片を作成し、物性を評価した。そ
の結果を表7に示す。
【0102】実施例14 実施例13において、共重合体(I)の代りに、表7に
示す共重合体(I)、(II)、(III)を用いた以
外は、実施例13と同様にしてペレットを得たのち、試
験片を作成し、物性を評価した。その結果を表7に示
す。
【0103】
【表7】 注1) MFR:250℃、荷重10kgの条件で求め
た。 2) 射出成形片の目視観察により評価した。
【0104】実施例15 実施例1で得られた共重合体(I)10重量部と実施例
4で得られた共重合体(II)20重量部と実施例7で
得られた共重合体(IV)20重量部とポリカーボネー
ト「ノバレックス7035A」〔三菱化成(株)製、商
品名〕50重量部とを、PCM45mmφ押出機を用い
てブレンドし、押出混練してペレットを作成した。次
に、このペレットを射出成形機で成形し、物性測定用の
試験片を作成し、物性を評価した。その結果、MFR
(250℃、10kg)は8.4g/10分、アイゾッ
ト衝撃強度は11.7kg・cm/cm、耐熱変形温度
は124℃、曲げ弾性率は26,000kg/cm
あった。
【0105】実施例16 (1)多層グラフト共重合体粒子(V)の製造 (イ) 最内層の硬質樹脂層(第1層)の作製 ・シード1段目重合 反応器内にイオン交換水248.3重量部、ジヘキシル
スルホコハク酸ナトリウム0.05重量部を仕込み、か
きまぜながら窒素置換を十分に行ったのち、昇温して内
温を75℃にした。この反応器に過硫酸アンモニウム
0.02重量部添加後、メタクリル酸メチル8重量部、
アクリル酸ブチル2重量部の混合物を50分間で連続的
に添加した。添加後、さらに過硫酸アンモニウム0.0
1重量部を添加してから75℃で45分間反応を続け
た。重合率は99%であり、ラテックスの粒子径は0.
17μmであった。
【0106】・シード2段目の重合 次に、このラテックスの1/4(固形分換算で2.5重
量部)を取り出し、さらにイオン交換水186.2重量
部、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム0.03重量
部を反応器に仕込み、かきまぜながら窒素置換を十分に
行ったのち、昇温して内温を75℃にした。この反応器
に過硫酸アンモニウム0.02重量部添加後、メタクリ
ル酸メチル6.0重量部とアクリル酸ブチル1.5重量
部との混合物を50分間で連続的に添加した。添加終了
後、さらに反応を完結するために75℃で45分間反応
を続けた。重合率は98%であり、ラテックスの粒子径
は0.28μmであった。
【0107】(ロ) アクリル酸エステル系架橋重合体
層(第2層)の作製 前記(イ)で得られた硬質樹脂粒子を含有するラテック
スの存在下に、過硫酸アンモニウム0.01重量部、ジ
ヘキシルスルホコハク酸ナトリウム0.05重量部を添
加後、アクリル酸ブチル63重量部と、架橋剤としての
トリアリルイソシアヌレート1.2重量部との混合物を
70℃で80分間かけて連続的に添加した。添加終了
後、さらに70℃で20分間反応を続けた。1層、2層
を通しての重合率は85%であり、粒子径は0.41μ
mであった。
【0108】(ハ) ゴム状弾性体層(第3層)の作製 前記(ロ)工程終了後、未反応のアクリル酸ブチル11
重量部、トリアリルイソシアヌレート0.18重量部の
存在下で、過硫酸アンモニウム0.045重量部、ジヘ
キシルスルホコハク酸ナトリウム0.45重量部を添加
後、アクリロニトリル3.8重量部、スチレン11.4
重量部及びt‐ドデシルメルカプタン0.025重量部
から成る混合物を75℃で90分間かけて連続的に添加
した。重合率は93%であった。また、ラテックス中の
残存モノマー量がガスクロマトグラフィーにより測定し
て、3層の共重合組成比を算出した結果、アクリロニト
リル単位/スチレン単位/アクリル酸ブチル単位の重量
比は10/43/47であった。
【0109】(ニ) 樹脂層(第4層)の作製 (ハ)のラテックスの存在下に、アクリロニトリル2.
95重量部、スチレン8.86重量部及びt‐ドデシル
メルカプタン0.02重量部から成る混合物を75℃で
70分間かけて連続的に添加した。さらに重合を完結さ
せるために85℃で1時間反応を続けた。重合率は97
%であり、粒子径は0.56μmであった。また、ラテ
ックス中の残存モノマー量をガスクロマトグラフィーに
より測定して、4層の共重合組成比を算出した結果、ア
クリルニトリル単位/スチレン単位/アクリル酸ブチル
単位の重量比は24/65/11であった。このように
して得られたラテックスを常法に従って硫酸アルミニウ
ム塩析、乾燥して、多層グラフト共重合体粒子(V)を
得た。
【0110】(2)組成物の調製及び評価 実施例1で得られた共重合体(I)と、前記(1)で得
られた多層グラフト共重合体粒子(V)とを、該多層グ
ラフト共重合体粒子(V)中のアクリル酸ブチル単位の
量が組成物の重量に基づき22重量%になるように機械
的に混合したのち(多層グラフト共重合体粒子(V)/
共重合体(I)重量比35/65)、250℃で溶融押
出機にて混練してペレット化した。次いで、このペレッ
トを用い、射出成形機にて各種試験片を作成し、諸物性
を評価した。その結果を表9に示す。また、多層グラフ
ト共重合体(V)の組成、ゲル%及び粒子径を表8に示
す。表8、表9より、本発明の樹脂組成物は高い衝撃強
度と優れた外観を有することが分かる。
【0111】実施例17 実施例1で得られた共重合体(I)、実施例16で得ら
れた多層グラフト共重合体(V)及び実施例4で得られ
た共重合体(II)を、重量比55/35/10の割合
で、機械的に混合したのち、250℃で溶融押出機で混
練してペレット化した。このペレットを用い、射出成形
機にて各種試験片を作成し、物性を評価した。その結果
を表9に示す。
【0112】比較例6 (1)多層グラフト共重合体粒子(V)の製造 (イ) 最内層の硬質樹脂層(第1層)の作製 実施例16(イ)と同様にして行った。 (ロ) アクリル酸エステル系架橋重合体層(第2層)
の作製 前記(イ)で得られたラテックスの存在下、過硫酸アン
モニウム0.13重量部、ジヘキシルスルホコハク酸ナ
トリウム0.05重量部を添加後、アクリル酸ブチル6
3重量部と架橋剤としてのトリアリルイソシアヌレート
1.2重量部との混合物を80℃で80分間かけて連続
的に添加した。添加終了後、さらに80℃で90分間反
応を続けた。1層、2層を通しての重合率は99.5%
であり、粒子径は0.41μmであった。
【0113】(ハ) 樹脂層の作製 前記(ロ)で得られたラテックスの存在下に、過硫酸ア
ンモニウム0.045重量部、ジヘキシルスルホコハク
酸ナトリウム0.45重量部を添加後、アクリロニトリ
ル6.75重量部、スチレン20.25重量部及びt‐
ドデシルメルカプタン0.045重量部から成る混合物
を75℃で160分間かけて連続的に添加した。さらに
重合を完結させるために85℃で1時間反応を続けた。
重合率は98%であり、粒子径は0.55μmであっ
た。また、ラテックス中の残存モノマー量をガスクロマ
トグラフィーにより測定して樹脂層の共重合組成比を算
出した結果、アクリロニトリル単位/スチレン単位/ア
クリル酸ブチル単位の重量比25/75/0であった。
このようにして得られたラテックスを実施例16と同様
な処理を行った。その結果を表8に示す。
【0114】
【表8】 注)MMA:メタクリル酸メチル BA:アクリル酸ブ
チル AN:アクリロニトリル ST:スチレン
【0115】(2)組成物の調製及び評価 前記(1)で得られた多層グラフト共重合体粒子(V)
を用いた以外は、実施例16と同様にしてペレットを得
たのち、試験片を作成し、物性を評価した。その結果を
表9に示す。
【0116】
【表9】
【0117】表8、表9から、ゴム状弾性体層のない多
層グラフト共重合体粒子はゲル%も低く、かつアイゾッ
ト衝撃強度も低いことが分かる。
【0118】比較例7 実施例16において、多層グラフト共重合体粒子(V)
の製造における(ロ)のアクリル酸エステル系架橋重合
体層(第2層)の作製において、架橋剤としてのトリア
リルイソシアヌレートを用いなかったこと以外は、実施
例16と同様にして実施した。その結果を表10に示
す。表10より、トリアリルイソシアヌレートを用いな
かった場合、得られる組成物は、衝撃強度をはじめとし
た機械的性質が実施例16に比べて著しく劣ることが分
かる。
【0119】比較例8 実施例16において、多層グラフト共重合体粒子(V)
の製造における(ロ)のアクリル酸エステル系架橋重合
体層(第2層)の作製において、架橋剤としてのトリア
リルイソシアヌレートの代りに、グラフト剤のアリルメ
タクリレート1.2重量部を用いた以外は、実施例16
と同様にして実施した。その結果を表10に示す。表1
0から、架橋剤のトリアリルイソシアヌレートの代り
に、グラフト剤のアリルメタクリレートを用いた場合、
得られる組成物は実施例16に比較して衝撃強度が低い
ことが分かる。
【0120】
【表10】
【0121】実施例18〜20、比較例9、10 実施例16において、最内層の硬質樹脂(1層)のシー
ド1段目の重合によって得られたラテックスの採取量を
減少させてシード重合を続けることにより最終粒子径を
0.56〜0.85μmまで抑制した。また、上記のシ
ード1段目のジヘキシルスルホコハク酸ナトリウムを増
量してシード重合を続けることにより最終粒子径を0.
56〜0.16μmまで抑制した。このようにして得ら
れたラテックスを実施例16と同様に処理して多層グラ
フト共重合体粒子(V)を得たのち、実施例16と同様
にして組成物を調製し、評価した。その結果を表11に
示す。表11によると、多層グラフト共重合体の粒子径
が0.2μmより小さいと得られる組成物の光沢は優れ
ているものの、衝撃強度が低く、一方、0.8μm以上
では衝撃強度は優れているものの、光沢が低いことが分
かる。
【0122】
【表11】
【0123】比較例11、12 実施例16において、マトリックス樹脂である共重合体
(I)に代えて、アクリロニトリル‐スチレン共重合体
(旭化成工業(株)製、商品名;スタイラックAS‐7
83)を用いた組成物(比較例11)、ABS樹脂(旭
化成工業(株)製、商品名スタイラックABS)を用い
た組成物(比較例12)及び実施例16、17の組成物
について、ASTM D648に準拠した方法で耐熱変
形温度を測定した。また、デューパネル光コントロール
ウェザーメーターによる耐候性促進テストも併せて行っ
た。その結果を表12に示す。表12によると、本発明
の樹脂組成物は、比較例の樹脂組成物に比較して、耐熱
性、耐候性が優れていることが分かる。
【0124】
【表12】 注1) スガ試験機(株)製デューパネル光コントロー
ルウェザーメーターに(DPWL‐5型)を用いて60
℃で照射し、40℃で湿潤結露というサイクルで耐候性
促進テストを行った。
【0125】実施例21 実施例16の組成物80重量部で、実施例13と同様に
して集束処理したガラス繊維20重量部を、押出機を用
いて押出被覆することにより得られたストランドを裁断
してGF強化ペレットを作成した。次に、このペレット
を射出成形機で成形し、物性測定用の試験片を作成し、
物性を評価した。その結果、引張り強さ1110kg/
cm、伸び4%、曲げ強さ1480kg/cm、ア
イゾット衝撃強さ13.6kg・cm/cm、耐熱変形
温度137℃であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 33/18 C08L 33/18 51/04 51/04 69/00 69/00 (56)参考文献 特開 平2−138321(JP,A) 特開 昭63−162708(JP,A) 特開 昭62−267350(JP,A) 特開 昭61−276807(JP,A) 特開 昭62−185705(JP,A) 特開 昭63−89561(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 212/00 - 222/40

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (イ)芳香族ビニル化合物単位30〜7
    0重量%、(ロ)シアン化ビニル化合物単位4〜40重
    量%及び(ハ)N‐置換マレイミド単位26〜50重量
    %から成る共重合体であって、GPCで5〜25万に区
    分けした分子量区分ごとの赤外吸収測定で定量した共重
    合体組成の分布が芳香族ビニル化合物単位の平均組成を
    X1、組成をX、シアン化ビニル化合物単位の平均組成
    をY1、組成をY、N‐置換マレイミド単位の平均組成
    をZ1、組成をZとしたとき、 X=(1±0.2)X1(重量%) Y=(1±0.2)Y1(重量%) Z=(1±0.2)Z1(重量%) で表わされ、アセトン不溶分を実質上含まず、かつ重量
    平均分子量が10万〜30万、数平均分子量が5万〜1
    5万で、未反応N‐置換マレイミドの残存量が50pp
    m以下であることを特徴とする熱可塑性共重合体(但
    し、スチレン単位が55重量%、アクリロニトリル単位
    が10重量%、N−フェニルマレイミド単位が35重量
    %である組合せを除く)。
  2. 【請求項2】 (A)請求項1記載の熱可塑性共重合体
    に対し、(F)ポリカーボネート樹脂を、重量比1/9
    〜9/1の範囲で配合して成る熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 (A)請求項1記載の熱可塑性共重合体
    に対し、(G)ガラス繊維及びガラスフレークの中から
    選ばれた少なくとも1種の無機充てん剤を、重量比1/
    9〜4/6の範囲で配合して成る熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 (A)請求項1記載の熱可塑性共重合体
    30〜70重量%と、(B)(ニ)芳香族ビニル化合物
    単位50〜80重量%及び(ホ)シアン化ビニル化合物
    単位50〜20重量%から成る重量平均分子量8万〜3
    0万の熱可塑性共重合体70〜30重量%とを含有して
    成る熱可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の組成物に対し、(F)ポ
    リカーボネート樹脂を、重量比1/9〜9/1の範囲で
    配合して成る熱可塑性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 請求項4記載の組成物に対し、(G)ガ
    ラス繊維及びガラスフレークの中から選ばれた少なくと
    も1種の無機充てん剤を、重量比1/9〜4/6の範囲
    で配合して成る熱可塑性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 (A)請求項1記載の熱可塑性共重合体
    30〜70重量%と、(B)(ニ)芳香族ビニル化合物
    単位50〜80重量%及び(ホ)シアン化ビニル化合物
    単位50〜20重量%から成る重量平均分子量8万〜3
    0万の熱可塑性共重合体5〜30重量%と、(C)Tg
    が25℃以下のアクリレート系ゴム及びジエン系ゴムの
    中から選ばれた少なくとも1種のゴム成分に、芳香族ビ
    ニル化合物とシアン化ビニル化合物との単量体混合物
    を、得られる共重合体中のそれぞれの単位の割合が重量
    比50:50ないし80:20の範囲にあり、かつゴム
    成分の含有量が30〜60重量%になるようにグラフト
    重合させて得られる熱可塑性グラフト共重合体25〜4
    5重量%とを含有して成る熱可塑性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の組成物に対し、(F)ポ
    リカーボネート樹脂を、重量比1/9〜9/1の範囲で
    配合して成る熱可塑性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 請求項7記載の組成物に対し、(G)ガ
    ラス繊維及びガラスフレークの中から選ばれた少なくと
    も1種の無機充てん剤を、重量比1/9〜4/6の範囲
    で配合して成る熱可塑性樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 (A)請求項1記載の熱可塑性共重合
    体30〜70重量%と、(B)(ニ)芳香族ビニル化合
    物単位50〜80重量%及び(ホ)シアン化ビニル化合
    物単位50〜20重量%から成る重量平均分子量8万〜
    30万の熱可塑性共重合体5〜30重量%と、(D)T
    gが25℃以下のアクリレート系ゴム及びジエン系ゴム
    の中から選ばれた少なくとも1種のゴム成分に、芳香族
    ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とN‐フェニルマ
    レイミドとの単量体混合物を、得られる共重合体中の芳
    香族ビニル化合物単位とシアン化ビニル化合物単位との
    割合が重量比で50:50ないし80:20の範囲にあ
    り、かつN‐フェニルマレイミド単位の含有量が5〜1
    0重量%で、ゴム成分の含有量が30〜60重量%にな
    るようにグラフト重合させて得られる熱可塑性グラフト
    共重合体25〜45重量%とを含有して成る熱可塑性樹
    脂組成物。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の組成物に対し、
    (F)ポリカーボネート樹脂を、重量比1/9〜9/1
    の範囲で配合して成る熱可塑性樹脂組成物。
  12. 【請求項12】 請求項10記載の組成物に対し、
    (G)ガラス繊維及びガラスフレークの中から選ばれた
    少なくとも1種の無機充てん剤を、重量比1/9〜4/
    6の範囲で配合して成る熱可塑性樹脂組成物。
  13. 【請求項13】 (A)請求項1記載の熱可塑性共重合
    体30〜70重量%と、(E)(a)硬質樹脂粒子の表
    面に、アクリル酸エステル系架橋重合体層を、該粒子と
    重合体層との重量比が5:95ないし40:60になる
    ように設けて成るゴム状共重合体粒子30〜80重量%
    と、このゴム状共重合体粒子の表面に順次グラフト重合
    により設けられた(b)アクリル酸エステル単位20〜
    80重量%と芳香族ビニル化合物単位5〜75重量%と
    シアン化ビニル化合物単位5〜50重量%とから成るゴ
    ム状弾性体層10〜30重量%及び(c)芳香族ビニル
    化合物単位30〜90重量%とシアン化ビニル化合物単
    位10〜50重量%と場合により導入されるアクリル酸
    エステル単位20重量%以下とから成る樹脂層10〜4
    0重量%とから構成された平均粒子径0.2〜0.8μ
    mの多層グラフト共重合体粒子25〜45重量%と、場
    合により用いられる(B)(ニ)芳香族ビニル化合物単
    位50〜80重量%及び(ホ)シアン化ビニル化合物単
    位50〜20重量%から成る重量平均分子量8万〜30
    万の熱可塑性共重合体50重量%以下とを含有して成る
    熱可塑性樹脂組成物。
  14. 【請求項14】 請求項13記載の組成物に対し、
    (F)ポリカーボネート樹脂を、重量比1/9〜9/1
    の範囲で配合して成る熱可塑性樹脂組成物。
  15. 【請求項15】 請求項13記載の組成物に対し、
    (G)ガラス繊維及びガラスフレークの中から選ばれた
    少なくとも1種の無機充てん剤を、重量比1/9〜4/
    6の範囲で配合して成る熱可塑性樹脂組成物。
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