JP3724591B2 - 高光沢樹脂組成物 - Google Patents

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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は光沢および鮮映性が極めて優れ、かつ成形性、耐衝撃性のバランスが良好であるとともに、成形品表面にゲートマーク、フローマーク、曇り現象が発生しない外観が良好な高光沢樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ABS樹脂に代表されるゴム強化スチレン系樹脂は優れた耐衝撃性、機械物性、成形加工性および光沢を有し、汎用樹脂とエンジニアリング樹脂との中間の特性を持つ準エンプラとして自動車用途や家電用途などに広く使用されている。
【0003】
一方、この家電用途においては、商品価値をさらに高める目的で従来品よりも光沢が高く、かつ成形金型の構造に左右されず、優れた形成品外観を与える材料に対する需要が高まっている。
【0004】
一般的に、表面光沢の改良には樹脂組成物中のゴム質重合体の濃度を低くする方法やゴム質重合体の粒子径を小さくする方法が用いられているが、いずれの方法でも耐衝撃性の低下という不具合が招かれることになる。
【0005】
そこで、これらの欠点を改良するために、ゴム粒子径分布を規定する方法(特開昭62−11714号公報)やマトリックス樹脂の組成を規定する方法(特開昭60−11514号公報)などが提案されている。
【0006】
また、中粒子径ゴムを用いた樹脂組成物あるいは小〜中粒子径ゴムと大粒子径ゴムを組合せた樹脂組成物にポリシロキサンを添加する方法(特開昭58−17144号公報、特開平3−124756号公報、特開平3−221550号公報、特開平3−258851号公報)も提案されている。
【0007】
しかしながら、上記特開昭62−11714号公報および特開昭60−11514号公報に記載の方法では、表面光沢と耐衝撃性との両方を満足する樹脂組成物を得ることができない。
【0008】
また、特開昭58−17144号公報に記載の方法では、乳化重合法により平均粒子径0.4μm以上の大粒子径ゴムを製造するためのゴム肥大化工程を必要とするため、操作が煩雑で、かつコストが高くつくという欠点がある。
【0009】
さらに、特開平3−124756号公報などに記載の方法では、表面光沢と耐衝撃性との両方を満足するものが得られるものの、特殊なゲート構造を有する金型を用いて成形したり、あるいは複雑形状のものを成形する場合にしばしば発生するゲートマーク、フローマーク、曇り現象などを十分に抑制することが困難である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は上記した従来技術の欠点を解消し、光沢、鮮映性および発色性に優れ、かつ成形性、耐衝撃性が良好であるとともに、成形品表面にゲートマーク、フローマーク、曇り現象が発生しない外観の良好な高光沢樹脂組成物を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記した本発明の目的は、ゴム質重合体粒子の平均粒子径が0.15〜0.25μmであり、その80重量%以上が下記(I)式を満たす粒子径分布を有するジエン系ゴム質重合体ラテックス10〜60重量%(固形分換算)の存在下、芳香族ビニル系単量体10〜90重量%、シアン化ビニル系単量体1〜50重量%および不飽和カルボン酸アルキルエステル0〜80重量%からなる単量体混合物40〜90重量部をグラフト率25〜50%で重合してなるグラフト共重合体(A)、芳香族ビニル系単量体80〜40重量%およびシアン化ビニル系単量体20〜60重量%からなる単量体混合物を塊状重合してなる共重合体(B)からなり、(A)成分10〜95重量部、(B)成分5〜90重量部を配合してなる組成物であって、上記(A)成分のゴム質重合体を除く部分(樹脂部分)中のシアン化ビニル系単量体残基含有率Y(重量%)と(B)成分中のシアン化ビニル系単量体残基含有率Z(重量%)の差が下記(II)式を満たし、かつ(A)成分中の樹脂部分の極限粘度[ηA ]と(B)成分の極限粘度[ηB ]の差が下記(III)式を満たすことを特徴とする高光沢樹脂組成物によって達成できる。
0.7×M≦X≦1.3×M ……(I)
[ただし、式中Mはゴム粒子の平均粒子径(μm)、Xは個々のゴム粒子径(μm)を示す。]
≦Z−Y≦10 ……(II)
0.12≦[ηB ]−[ηA ]≦0.21 ……(III)
【0012】
本発明で用いられるグラフト共重合体(A)の構成成分であるジエン系ゴム質重合体としては、共役ジエンを主成分とした重合体または共重合体が好適である。このうち共役ジエンの含有量は75重量%以上、特に85重量%以上が好ましい。具体的には、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリル酸ブチル−ブタジエン共重合体またはイソプレンゴムなどを使用することができる。
【0013】
これらのジエン系ゴム質重合体ラテックスの平均粒子径は0.15〜0.25μmにあることが必要であり、特に0.17〜0.22μmの範囲にあることが好ましい。
【0014】
ここで、ジエン系ゴム質重合体ラテックスの平均粒子径が0.15μm未満の場合は樹脂組成物の耐衝撃性が悪く、逆に0.25μmを越える場合には表面光沢が低下して満足できる樹脂組成物を得ることができない。
【0015】
また、ここで使用するジエン系ゴム質重合体ラテックスは、重合体粒子の80重量%以上が下記(I)式を満足する範囲にある粒子径分布を有することが必須条件である。
0.7×M≦X≦1.3×M ………… (I)
(ただし、式中Mはゴム粒子の平均粒子径(μm)、Xは個々のゴム粒子径(μm)を示す。)
上記(I)式を満足する狭い粒子径分布を有するゴムラテックスを用いた場合のみ耐衝撃性に優れ、表面光沢の高い樹脂組成物を得ることができ、本発明の目的を達成することができる。
【0016】
また、ジエン系ゴム質重合体ラテックスのゲル含有率については、得られる組成物の表面光沢と耐衝撃性を考慮して、60重量%以上が好ましい。ここでゲル含有率とは、ゴムラテックスを凝固、乾燥した後のトルエン不溶分の重量分率を指す。
【0017】
これらのジエン系ゴム質重合体ラテックスの製造方法としては、通常の乳化重合法を採用することができる。平均粒子径、粒子径分布およびゲル含有率の所望の範囲への設定は、重合時の重合水量、乳化剤量、連鎖移動剤量、重合温度、撹拌速度および重合時間などを綿密にコントロールすることにより可能となる。
【0018】
本発明において、上記ジエン系ゴム質重合体ラテックスの存在下にグラフト重合する単量体は、芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体および必要に応じて不飽和カルボン酸アルキルエステルからなる単量体混合物である。
【0019】
芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、o−エチルスチレン、o−クロロスチレンおよびo,p−ジクロロスチレンなどが挙げられるが、特にスチレンが好ましい。これらは1種または2種以上を用いることができる。
【0020】
シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルおよびエタクリロニトリルなどが挙げられるが、特にアクリロニトリルが好ましい。
【0021】
不飽和カルボン酸アルキルエステルとしては、炭素数1〜6のアルキルまたは置換アルキル基を持つアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルが好適であり、1種または2種以上を用いることができる。具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸クロロメチルおよび(メタ)アクリル酸2−クロロエチルなどが挙げられ、なかでも(メタ)アクリル酸メチルが好ましく使用できる。
【0022】
ここで、芳香族ビニル系単量体の割合は全単量体に対し10〜90重量%、好ましくは15〜85重量%、より好ましくは20〜82重量%であり、10〜90重量%の範囲をはずれた場合は、樹脂組成物の耐衝撃性が悪くなる。
【0023】
シアン化ビニル系単量体の割合は全単量体に対し1〜50重量%、好ましくは2〜30重量%、より好ましくは4〜25重量%であり、1重量%未満の場合は樹脂組成物の耐衝撃性が悪化し、50重量%を越える場合には樹脂組成物の表面光沢が悪くなる。
【0024】
また、不飽和カルボン酸アルキルエステルは、全単量体に対し80重量%以下で用いれば本発明の目的を達成させることが可能である。
【0025】
またグラフト共重合体(A)は、上記ジエン系ゴム質重合体ラテックス10〜60重量部(固形分換算)、好ましくは25〜55重量部、より好ましくは30〜50重量部に対し、上記単量体混合物90〜40重量部、好ましくは75〜45重量部、より好ましくは70〜50重量部を用いて乳化グラフト重合することにより得ることができる。
【0026】
ジエン系ゴム質重合体ラテックスが10重量部(固形分換算)未満の場合は樹脂組成物の耐衝撃性が悪くなり、60重量部(固形分換算)を越える場合にはジエン系ゴム質重合体の分散不良により、樹脂組成物の表面光沢が著しく低下する。
【0027】
グラフト重合における単量体混合物、乳化剤、重合開始剤および連鎖移動剤などの成分の添加方法としては種々の方法を採用することができる。すなわち、(1)重合初期に全量を添加する方法、(2)一部を初期に添加し残りを一定の速度で連続添加する方法、および(3)2回以上に分割して添加する方法などである。
【0028】
使用する乳化剤、重合開始剤および連鎖移動剤の種類について特に制限はなく、通常の乳化重合で用いられる試薬を使用できる。代表的な乳化剤としてはロジン酸カリウム、ステアリン酸カリウムおよびオレイン酸カリウムなどが、重合開始剤としては有機ハイドロパーオキサイドと含糖ピロリン酸−硫酸第1鉄の併用系および過硫酸塩などが、また連鎖移動剤としてはアルキルチオール化合物が夫々挙げられる。
【0029】
このようにして得られるグラフト共重合体(A)のグラフト率は、耐衝撃性に優れた高光沢樹脂組成物を得るために25〜50%が必須条件である。グラフト率はゴム質重合体と単量体混合物の比率、重合開始剤の種類および量、連鎖移動剤および量を調節することにより制御可能である。
【0030】
また、グラフト共重合体(A)のメチルエチルケトン可溶分の極限粘度[η](30℃測定)は0.25〜0.58dl/gが好ましく、0.3〜0.53dl/gがより好ましい。
【0031】
本発明で用いられる共重合体(B)の構成成分である芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ビニルトルエン、o−エチルスチレン、o−クロロスチレンおよびo,p−ジクロロスチレンなどが挙げられるが、特にスチレンが好ましい。これらは1種または2種以上を用いることができる。
【0032】
シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルおよびエタクリロニトリルなどが挙げられるが、特にアクリロニトリルが好ましい。
【0033】
また、必要に応じて芳香族ビニル系単量体の一部を(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルなどの不飽和カルボン酸アルキルエステル、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系単量体に置換することができる。
【0034】
ここで、単量体混合物中の各成分の比は芳香族ビニル系単量体が80〜40重量%、好ましくは75〜60重量%、より好ましくは75〜65重量%であり、シアン化ビニル系単量体が20〜60重量%、好ましくは25〜40重量%、より好ましくは25〜35重量%となる範囲である。
【0035】
シアン化ビニル系単量体が20重量%未満の場合は樹脂組成物の耐衝撃性が悪く、60重量%を越える場合には樹脂組成物の表面光沢および色調が悪くなる。また、共重合体(B)の極限粘度[η](メチルエチルケトン溶媒、30℃測定)は0.35〜0.6dl/gが好ましく、0.4〜0.55dl/gがより好ましい。
【0036】
共重合体(B)の重合方法は塊状重合法を用いる。
【0037】
本発明においては、共重合体(B)成分中のシアン化ビニル系単量体残基含有率Z(重量%)とグラフト共重合体(A)成分のゴム質重合体を除く部分(樹脂部分)中のシアン化ビニル系単量体残基含有率Y(重量%)との差(Z−Y)が重量%以上10重量%以下であることが必要である。シアン化ビニル系単量体残基含有率の差が2重量%に満たないと光沢、鮮映性、発色性、耐衝撃性のバランスが悪く、14重量%を越えると耐衝撃性が悪化する。
【0038】
各成分中のシアン化ビニル系単量体残基含有率は、例えば元素分析や赤外吸収スペクトルから得られる吸光度などの公知の方法により分析することができる。また、グラフト共重合体(A)成分の樹脂部分中のシアン化ビニル系単量体残基含有率については、グラフト鎖または非グラフト鎖のいずれからも分析することができる。
【0039】
本発明においては、共重合体(B)成分の極限粘度[ηB]とグラフト共重合体(A)成分中の樹脂部分の極限粘度[ηA]の差([ηB]−[ηA])が0.12dl/g以上0.21dl/g以下である。極限粘度の差が0.02dl/gに満たないと成形品表面のゲートマーク、フローマーク、曇り現象の発生を防止する効果が十分でなく、0.30dl/gを越えると耐衝撃性が悪化する。各成分あるいは樹脂部分の極限粘度は前記と同様の条件(メチルエチルケトン溶媒、30℃)で測定することができる。
【0040】
乳化重合法にあっては、グラフト鎖と非グラフト鎖は近似的に同一組成、同一鎖長であることが一般的に知られているため、グラフト共重合体(A)成分中の樹脂部分がグラフト鎖または非グラフト鎖のいずれであっても前記のシアン化ビニル系単量体残基含有率または極限粘度を求めることができる。
【0041】
シアン化ビニル系単量体残基含有率または極限粘度を求めるためにグラフト鎖を幹ポリマーから分離する方法については、従来公知のオゾン分解法など(高分子論文集、vol.32、No.7、1975等)により行うことができる。
【0042】
本発明においては、上記のようにして得られた各重合体をグラフト共重合体(A)10〜95重量部、好ましくは15〜95重量部、より好ましくは20〜95重量部、共重合体(B)5〜90重量部、好ましくは5〜85重量部、より好ましくは5〜80重量部で、かつ上記(A)、(B)の合計量が100重量部となるように配合することが必要である。グラフト共重合体(A)の配合量が10重量部未満の場合は樹脂組成物の耐衝撃性が悪くなり、95重量部を越える場合には、成形品表面のゲートマーク、フローマーク、曇り現象の発生を防止する効果が十分でなくなる。
【0043】
また、樹脂組成物中に占めるジエン系ゴム質重合体の割合は5〜30重量%以下、好ましくは10〜20重量%であり、5重量%未満の場合は樹脂組成物の耐衝撃性が悪くなり、30重量%を越える場合には樹脂組成物の剛性および表面光沢が悪くなる。
【0044】
本発明の樹脂組成物の製造方法に関しては特に制限はなく、例えばグラフト共重合体(A)および共重合体(B)を高温撹拌機などを用いて均一に混合した後、十分な混練能力のある単軸または多軸の押出機で溶融混練する方法など種々の方法を採用することができる。また、目的に応じて顔料や染料、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、他の滑剤または可塑剤、帯電防止剤などを添加することもできる。
【0045】
【実施例】
本発明をさらに具体的に説明するために、以下に実施例および比較例を挙げて説明するが、これら実施例は本発明を限定するものではない。なお、ここでは特にことわりのない限り「部」は重量部、「%」は重量%を表わす。
【0046】
本発明のポリマ特性の分析法を以下に示す。
【0047】
ゴムラテックスの粒子径分布:アルギン酸ナトリウム法により測定した。
【0048】
グラフト率:グラフト共重合体の所定量(m)にアセトンを加え4時間還流した。この溶液を8,800ppm(10,000G)30分間遠心分離後、不溶分を濾過した。この不溶分を60℃で5時間減圧乾燥し、重量(n)を測定した。
【0049】
グラフト率は次式により算出した。
グラフト率(%)={[(n)−(m)×L]/[(m)×L]}×100
ここで、L:グラフト重合体のゴム含有率
【0050】
なお、最終的に得られた樹脂組成物は、射出成形法によって成形された後、下記の試験法により諸物性を測定した。
【0051】
Izod衝撃強度:ASTM D−256に従い23℃で測定した(1/2インチノッチ付)。
【0052】
溶融粘度:ASTM D−1238従い、220℃、10kg荷重の条件で測定した。
【0053】
曲げ弾性率:ASTM D−790に従い23℃で測定した。
【0054】
荷重たわみ温度:ASTM D−648に従い測定した(1/4インチ)。
【0055】
表面光沢:シリンダ温度230℃、金型温度30℃の条件で射出成形を行い、縦120mm×横80mm×厚さ3mmの試験片を得た。次いで、スガ試験機(株)製デジタル変角光沢計UGV−5Dを用い、入射角60度での成形品の表面反射光の測定を行った。
【0056】
ゲートマーク:図1の形状を有するフローマーク用金型を用いて、シリンダ温度220℃、金型温度30℃の条件で射出成形を行い、得られた成形品表面に発生したゲートマークの長さ(A面)および目立ち易さ(B面)から下記基準により判定した。
◎…ゲートマークの長さが10mm未満で、かつ目立たないもの
○…ゲートマークの長さが10mm以上、またはやや目立つもの
△…ゲートマークの長さが10mm以上で、かつ目立ち易いもの
【0057】
鮮映性:表面光沢の測定に用いたものと同様にして得られた成形品の表面に蛍光灯を映した時の像の鮮明性を目視観察し、下記基準により判定した。
◎…像が鮮明に映る。
【0058】
○…像がややぼやけて映る。
【0059】
△…像がぼやけて映る。
【0060】
参考例1
“グラフト共重合体Aの製造”
表1に記したゴム特性を示すジエン系ゴム質重合体ラテックスをガラス製反応器に仕込み、さらに撹拌しながらイオン交換水に溶解したブドウ糖、ピロリン酸ナトリウム、硫酸第一鉄を仕込み、窒素で容器内を置換した後、反応器内の温度を65℃まで昇温した。
【0061】
この混合液に、表1に示した所定量のモノマおよびノルマルオクチルメルカプタン混合物、クメンハイドロパーオキサイドのオレフィン酸カリウム水溶液を別々にそれぞれ3.5時間、5時間にわたって連続滴下した。内温を上げ75℃とし、さらに撹拌を1時間継続し反応を完結させた後、老化防止剤として2,6−ジ−tertブチルパラクレゾールを添加した。重合率は96.4%であった。
得られたグラフト共重合体ラテックスを硫酸で凝固し、NaOHで中和後、水洗、脱水、乾燥してグラフト共重合体(A−1)を得た。このグラフト共重合体のグラフト率は41%、メチルエチルケトン可溶分の極限粘度は0.33dl/gであった。
【0062】
同様の処方で、グラフト共重合体(A−2)〜(A−11)を得た。グラフト率およびメチルエチルケトン可溶分の極限粘度を表1にまとめた。
【0063】
参考例2
“共重合体Bの製造”
B−1:スチレン72%、アクリロニトリル28%からからなる単量体混合物を塊状重合し、共重合体B−1を製造した。メチルエチルケトン可溶分の極限粘度は0.52dl/gであった。
【0064】
B−2:スチレン76%、アクリロニトリル24%からなる単量体混合物を懸濁重合し、共重合体B−2を製造した。メチルエチルケトン可溶分の極限粘度は0.42dl/gであった。
【0065】
実施例1
上記参考例で調製したグラフト共重合体(A)および共重合体(B)をそれぞれ表2に示した配合割合で配合するとともに、さらにトリス(モノ、ジノニルフェニル)ホスファイト0.1部を加え、ヘンシェルミキサーで混合した。次に40mmφ押出機により混練温度220℃で押出しペレット化した後、成形温度230℃、金型温度60℃の条件で射出成形に供し、各試験片を作製して物性評価を行った。さらに前記方法に従い、表面光沢、ゲートマーク、鮮映性の評価を行った。結果を表3に示す。この結果から明らかなように光沢、表面外観に優れるとともに、耐衝撃性と流動性(成形性)のバランスが良好であることがわかる。また、曲げ弾性率28,000kg/cm2 、荷重たわみ温度91℃と優れたものであった。
【0066】
実施例2〜
グラフト共重合体(A)および共重合体(B)の種類または量を変更する以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を製造し、各試験片を得た。これらの樹脂組成物の配合および評価結果を表2、表3に示す。この結果から明らかなように、いずれも光沢、表面外観に優れるとともに、耐衝撃性と流動性のバランスが良好であった。
【0067】
【表1】
Figure 0003724591
【表2】
Figure 0003724591
【表3】
Figure 0003724591
実施例および比較例より次のことが明らかである。
【0068】
すなわち、本発明の樹脂組成物(実施例1〜7)は、いずれも成形品表面の光沢が高いとともに、鮮映性に優れ、ゲートマークが発生しにくいため、特殊なゲート構造を有する金型を用いた場合であっても優れた表面外観を得ることがてきる。また、優れた耐衝撃性と成形性のバランスを有している。
【0069】
これに対して、グラフト共重合体(A)中のゴム質重合体の平均粒子径が規定値をはずれるもの(比較例2、3)は、表面光沢、表面外観が低下するかあるいは耐衝撃性が低下する。
【0070】
また、グラフト共重合体(A)中のゴム質重合体のゴム粒子径分布が規定された式を満足しないもの(比較例4)は、表面光沢、表面外観が低下する。
【0071】
グラフト共重合体(A)成分と共重合体(B)成分におけるシアン化ビニル系単量体残基含有率の差が規定値をはずれるもの(比較例5,6)は、表面光沢、耐衝撃性が劣るほか、特にゲートマークが発生し易く鮮映性にも劣る。
【0072】
グラフト共重合体(A)成分と共重合体(B)成分における極限粘度の差が規定された式を満足しないもの(比較例7)は、ゲートマークが発生し表面外観が悪く、流動性も劣っている。
【0073】
グラフト共重合体(A)の配合割合が10重量部に満たないもの(比較例1)は、耐衝撃性が著しく低下した。
【0074】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物は、成形性と耐衝撃性のバランスを損なうことなく優れた表面光沢が得られるとともに、鮮映性とゲート付近の外観に優れるため、家庭用電気機器の外装部品などの成形材料として好適に使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】ゲートマークの評価に用いた成形品を示す概略図である。
【符号の説明】
A面:ゲートマークの長さ
B面:ゲートマークの目立ち易さ

Claims (1)

  1. ゴム質重合体粒子の平均粒子径が0.15〜0.25μmであり、その80重量%以上が下記(I)式を満たす粒子径分布を有するジエン系ゴム質重合体ラテックス10〜60重量%(固形分換算)の存在下、芳香族ビニル系単量体10〜90重量%、シアン化ビニル系単量体1〜50重量%および不飽和カルボン酸アルキルエステル0〜80重量%からなる単量体混合物40〜90重量部をグラフト率25〜50%で重合してなるグラフト共重合体(A)、芳香族ビニル系単量体80〜40重量%およびシアン化ビニル系単量体20〜60重量%からなる単量体混合物を塊状重合してなる共重合体(B)からなり、(A)成分10〜95重量部、(B)成分5〜90重量部を配合してなる組成物であって、上記(A)成分のゴム質重合体を除く部分(樹脂部分)中のシアン化ビニル系単量体残基含有率Y(重量%)と(B)成分中のシアン化ビニル系単量体残基含有率Z(重量%)の差が下記(II)式を満たし、かつ(A)成分中の樹脂部分の極限粘度[ηA ]と(B)成分の極限粘度[ηB ]の差が下記(III)式を満たすことを特徴とする高光沢樹脂組成物。
    0.7×M≦X≦1.3×M ……(I)
    [ただし、式中Mはゴム粒子の平均粒子径(μm)、Xは個々のゴム粒子径(μm)を示す。]
    ≦Z−Y≦10 ……(II)
    0.12≦[ηB ]−[ηA ]≦0.21 ……(III)
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