JP3303390B2 - 高光沢樹脂組成物 - Google Patents

高光沢樹脂組成物

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JP3303390B2 JP2945393A JP2945393A JP3303390B2 JP 3303390 B2 JP3303390 B2 JP 3303390B2 JP 2945393 A JP2945393 A JP 2945393A JP 2945393 A JP2945393 A JP 2945393A JP 3303390 B2 JP3303390 B2 JP 3303390B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光沢および鮮映性が極め
て優れ、かつ成形性、耐衝撃性のバランスが良好である
とともに、成形品表面にゲートマーク、フローマーク、
曇り現象が発生しない外観が良好な高光沢樹脂組成物に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】ABS樹脂に代表されるゴム強化スチレ
ン系樹脂は優れた耐衝撃性、機械物性、成形加工性およ
び光沢を有し、汎用樹脂とエンジニアリング樹脂との中
間の特性を持つ半エンプラとして自動車用途や家電用途
などに広く使用されている。
【0003】一方、この家電用途においては、商品価値
をさらに高める目的で従来品よりも光沢が高く、かつ成
形金型の構造に左右されず、優れた形成品外観を与える
材料に対する需要が高まっている。
【0004】一般的に、表面光沢の改良には樹脂組成物
中のゴム質重合体の濃度を低くする方法やゴム質重合体
の粒子径を小さくする方法が用いられているが、いずれ
の方法でも耐衝撃性の低下という不具合が招かれること
になる。
【0005】そこで、これらの欠点を改良するために、
ゴム粒子径分布を規定する方法(特開昭62−1171
4号公報)やマトリックス樹脂の組成を規定する方法
(特開昭60−11514号公報)などが提案されてい
る。
【0006】また、中粒子径ゴムを用いた樹脂組成物あ
るいは小〜中粒子径ゴムと大粒子径ゴムを組合せた樹脂
組成物にポリシロキサンを添加する方法(特開昭58−
17144号公報、特開平3−124756号公報、特
開平3−221550号公報、特開平3−258851
号公報)も提案されている。
【0007】しかしながら、上記特開昭62−1171
4号公報および特開昭60−11514号公報に記載の
方法では、表面光沢と耐衝撃性との両方を満足する樹脂
組成物を得ることができない。
【0008】また、特開昭58−17144号公報に記
載の方法では、乳化重合法により平均粒子径0.4μm
以上の大粒子径ゴムを製造するためのゴム肥大化工程を
必要とするため、操作が煩雑で、かつコストが高くつく
という欠点がある。
【0009】さらに、特開平3−124756号公報な
どに記載の方法では、表面光沢と耐衝撃性との両方を満
足するものが得られるものの、特殊なゲート構造を有す
る金型を用いて成形したり、あるいは複雑形状のものを
成形する場合にしばしば発生するゲートマーク、フロー
マーク、曇り現象などを十分に抑制することが困難であ
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は上記し
た従来技術の欠点を解消し、光沢、鮮映性および発色性
に優れ、かつ成形性、耐衝撃性が良好であるとともに、
成形品表面にゲートマーク、フローマーク、曇り現象が
発生しない外観の良好な高光沢樹脂組成物を提供するこ
とにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記した本発明の目的
は、ゴム質重合体粒子の平均粒子径が0.15〜0.2
5μmであり、その80重量%以上が下記(I)式を満
たす粒子径分布を有するジエン系ゴム質重合体ラテック
ス10〜60重量%(固形分換算)の存在下、芳香族ビ
ニル系単量体10〜90重量%、シアン化ビニル系単量
体1〜50重量%および不飽和カルボン酸アルキルエス
テル0〜80重量%からなる単量体混合物40〜90重
量部を重合してなるグラフト共重合体(A)、芳香族ビ
ニル系単量体80〜40重量%およびシアン化ビニル系
単量体20〜60重量%からなる単量体混合物を重合し
てなる共重合体(B)および高級脂肪酸アミド(C)か
らなり、(A)成分10〜95重量部、(B)成分5〜
90重量部の合計100重量部に対し,上記(C)成分
を0.01〜重量部配合してなる組成物であって、上
記(A)成分のゴム質重合体を除く部分(樹脂部分)中
のシアン化ビニル系単量体残基含有率Y(重量%)と
(B)成分中のシアン化ビニル系単量体残基含有率Z
(重量%)の差が下記(II)式を満たし、かつ(A)成
分中の樹脂部分の極限粘度[ηA ]と(B)成分の極限
粘度[ηB ]の差が下記(III)式を満たすことを特徴
とする高光沢樹脂組成物によって達成で きる。 0.7×M≦X≦1.3×M ……(I) [ただし、式中Mはゴム粒子の平均粒子径(μm)、X
は個々のゴム粒子径(μm)を示す。] 2≦Z−Y≦14 ……(II) 0.02≦[ηB ]−[ηA ]≦0.30 ……(III)
【0012】本発明で用いられるグラフト共重合体
(A)の構成成分であるジエン系ゴム質重合体として
は、共役ジエンを主成分とした重合体または共重合体が
好適である。このうち共役ジエンの含有量は75重量%
以上、特に85重量%以上が好ましい。具体的には、ポ
リブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリ
ロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリル酸ブチル−
ブタジエン共重合体またはイソプレンゴムなどを使用す
ることができる。
【0013】これらのジエン系ゴム質重合体ラテックス
の平均粒子径は0.15〜0.25μmにあることが必
要であり、特に0.17〜0.22μmの範囲にあるこ
とが好ましい。
【0014】ここで、ジエン系ゴム質重合体ラテックス
の平均粒子径が0.15μm未満の場合は樹脂組成物の
耐衝撃性が悪く、逆に0.25μmを越える場合には表
面光沢が低下して満足できる樹脂組成物を得ることがで
きない。
【0015】また、ここで使用するジエン系ゴム質重合
体ラテックスは、重合体粒子の80重量%以上が下記
(I)式を満足する範囲にある粒子径分布を有すること
が必須条件である。 0.7×M≦X≦1.3×M ………… (I) 〔ただし、式中Mはゴム粒子の平均粒子径(μm)、X
は個々のゴム粒子径(μm)を示す。〕 上記(I)式を満足する狭い粒子径分布を有するゴムラ
テックスを用いた場合のみ耐衝撃性に優れ、表面光沢の
高い樹脂組成物を得ることができ、本発明の目的を達成
することができる。
【0016】また、ジエン系ゴム質重合体ラテックスの
ゲル含有率については、得られる組成物の表面光沢と耐
衝撃性を考慮して、60重量%以上が好ましい。ここで
ゲル含有率とは、ゴムラテックスを凝固、乾燥した後の
トルエン不溶分の重量分率を指す。
【0017】これらのジエン系ゴム質重合体ラテックス
の製造方法としては、通常の乳化重合法を採用すること
ができる。平均粒子径、粒子径分布およびゲル含有率の
所望の範囲への設定は、重合時の重合水量、乳化剤量、
連鎖移動剤量、重合温度、撹拌速度および重合時間など
を綿密にコントロールすることにより可能となる。
【0018】本発明において、上記ジエン系ゴム質重合
体ラテックスの存在下にグラフト重合する単量体は、芳
香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体および必
要に応じて不飽和カルボン酸アルキルエステルからなる
単量体混合物である。
【0019】芳香族ビニル系単量体としては、スチレ
ン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニル
トルエン、t−ブチルスチレン、o−エチルスチレン、
o−クロロスチレンおよびo,p−ジクロロスチレンな
どが挙げられるが、特にスチレンが好ましい。これらは
1種または2種以上を用いることができる。
【0020】シアン化ビニル系単量体としては、アクリ
ロニトリル、メタクリロニトリルおよびエタクリロニト
リルなどが挙げられるが、特にアクリロニトリルが好ま
しい。
【0021】不飽和カルボン酸アルキルエステルとして
は、炭素数1〜6のアルキルまたは置換アルキル基を持
つアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エス
テルが好適であり、1種または2種以上を用いることが
できる。具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メ
タ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピ
ル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル
酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メ
タ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ク
ロロメチルおよび(メタ)アクリル酸2−クロロエチル
などが挙げられ、なかでも(メタ)アクリル酸メチルが
好ましく使用できる。
【0022】ここで、芳香族ビニル系単量体の割合は全
単量体に対し10〜90重量%、好ましくは15〜85
重量%、より好ましくは20〜82重量%であり、10
〜90重量%の範囲をはずれた場合は、樹脂組成物の耐
衝撃性が悪くなる。
【0023】シアン化ビニル系単量体の割合は全単量体
に対し1〜50重量%、好ましくは2〜30重量%、よ
り好ましくは4〜25重量%であり、1重量%未満の場
合は樹脂組成物の耐衝撃性が悪化し、50重量%を越え
る場合には樹脂組成物の表面光沢が悪くなる。
【0024】また、不飽和カルボン酸アルキルエステル
は、全単量体に対し80重量%以下で用いれば本発明の
目的を達成させることが可能である。
【0025】またグラフト共重合体(A)は、上記ジエ
ン系ゴム質重合体ラテックス10〜60重量部(固形分
換算)、好ましくは25〜55重量部、より好ましくは
30〜50重量部に対し、上記単量体混合物90〜40
重量部、好ましくは75〜45重量部、より好ましくは
70〜50重量部を用いて乳化グラフト重合することに
より得ることができる。
【0026】ジエン系ゴム質重合体ラテックスが10重
量部(固形分換算)未満の場合は樹脂組成物の耐衝撃性
が悪くなり、60重量部(固形分換算)を越える場合に
はジエン系ゴム質重合体の分散不良により、樹脂組成物
の表面光沢が著しく低下する。
【0027】グラフト重合における単量体混合物、乳化
剤、重合開始剤および連鎖移動剤などの成分の添加方法
としては種々の方法を採用することができる。すなわ
ち、(1)重合初期に全量を添加する方法、(2)一部
を初期に添加し残りを一定の速度で連続添加する方法、
および(3)2回以上に分割して添加する方法などであ
る。
【0028】使用する乳化剤、重合開始剤および連鎖移
動剤の種類について特に制限はなく、通常の乳化重合で
用いられる試薬を使用できる。代表的な乳化剤としては
ロジン酸カリウム、ステアリン酸カリウムおよびオレイ
ン酸カリウムなどが、重合開始剤としては有機ハイドロ
パーオキサイドと含糖ピロリン酸−硫酸第1鉄の併用系
および過硫酸塩などが、また連鎖移動剤としてはアルキ
ルチオール化合物が夫々挙げられる。
【0029】このようにして得られるグラフト共重合体
(A)のグラフト率は、耐衝撃性に優れた高光沢樹脂組
成物を得るために20〜80%が好ましく、25〜50
%がより好ましい。グラフト率はゴム質重合体と単量体
混合物の比率、重合開始剤の種類および量、連鎖移動剤
および量を調節することにより制御可能である。
【0030】また、グラフト共重合体(A)のメチルエ
チルケトン可溶分の極限粘度[η](30℃測定)は
0.25〜0.58dl/gが好ましく、0.3〜0.
53dl/gがより好ましい。
【0031】本発明で用いられる共重合体(B)の構成
成分である芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、
α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチル
スチレン、ビニルトルエン、o−エチルスチレン、o−
クロロスチレンおよびo,p−ジクロロスチレンなどが
挙げられるが、特にスチレンが好ましい。これらは1種
または2種以上を用いることができる。
【0032】シアン化ビニル系単量体としては、アクリ
ロニトリル、メタクリロニトリルおよびエタクリロニト
リルなどが挙げられるが、特にアクリロニトリルが好ま
しい。
【0033】また、必要に応じて芳香族ビニル系単量体
の一部を(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル
酸エチルなどの不飽和カルボン酸アルキルエステル、N
−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、
N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系単量体に置
換することができる。
【0034】ここで、単量体混合物中の各成分の比は芳
香族ビニル系単量体が80〜40重量%、好ましくは7
5〜60重量%、より好ましくは75〜65重量%であ
り、シアン化ビニル系単量体が20〜60重量%、好ま
しくは25〜40重量%、より好ましくは25〜35重
量%となる範囲である。
【0035】シアン化ビニル系単量体が20重量%未満
の場合は樹脂組成物の耐衝撃性が悪く、60重量%を越
える場合には樹脂組成物の表面光沢および色調が悪くな
る。また、共重合体(B)の極限粘度[η](メチルエ
チルケトン溶媒、30℃測定)は0.35〜0.6dl
/gが好ましく、0.4〜0.55dl/gがより好ま
しい。
【0036】共重合体(B)の重合方法にも特に制限は
なく、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合
法などの公知の方法を用いることができる。
【0037】本発明においては、共重合体(B)成分中
のシアン化ビニル系単量体残基含有率Z(重量%)とグ
ラフト共重合体(A)成分のゴム質重合体を除く部分
(樹脂部分)中のシアン化ビニル系単量体残基含有率Y
(重量%)との差(Z−Y)が2重量%以上14重量%
以下であることが必要であり、好ましくは4重量%以上
12重量%以下、さらに好ましくは5重量%以上10重
量%以下である。シアン化ビニル系単量体残基含有量の
差が2重量%に満たないと光沢、鮮映性、発色性、耐衝
撃性のバランスが悪く、14重量%を越えると耐衝撃性
が悪化する。
【0038】各成分中のシアン化ビニル系単量体残基含
有率は、例えば元素分析や赤外吸収スペクトルから得ら
れる吸光度などの公知の方法により分析することができ
る。また、グラフト共重合体(A)成分の樹脂部分中の
シアン化ビニル系単量体残基含有率については、グラフ
ト鎖または非グラフト鎖のいずれからも分析することが
できる。
【0039】本発明においては、共重合体(B)成分の
極限粘度[ηB ]とグラフト共重合体(A)成分中の樹
脂部分の極限粘度[ηA ]の差([ηB ]−[ηA ])
が0.02dl/g以上0.30dl/g以下であるこ
とが必要であり、好ましくは0.05dl/g以上0.
25dl/g以下、さらに好ましくは0.12dl/g
以上0.21dl/g以下である。極限粘度の差が0.
02dl/gに満たないと成形品表面のゲートマーク、
フローマーク、曇り現象の発生を防止する効果が十分で
なく、0.30dl/gを越えると耐衝撃性が悪化す
る。各成分あるいは樹脂部分の極限粘度は前記と同様の
条件(メチルエチルケトン溶媒、30℃)で測定するこ
とができる。
【0040】乳化重合法にあっては、グラフト鎖と非グ
ラフト鎖は近似的に同一組成、同一鎖長であることが一
般的に知られているため、グラフト共重合体(A)成分
中の樹脂部分がグラフト鎖または非グラフト鎖のいずれ
であっても前記のシアン化ビニル系単量体残基含有率ま
たは極限粘度を求めることができる。
【0041】シアン化ビニル系単量体残基含有率または
極限粘度を求めるためにグラフト鎖を幹ポリマーから分
離する方法については、従来公知のオゾン分解法など
(高分子論文集、vol.32、No.7、1975
等)により行うことができる。
【0042】本発明においては、上記のようにして得ら
れた各重合体をグラフト共重合体(A)10〜95重量
部、好ましくは15〜95重量部、より好ましくは20
〜95重量部、共重合体(B)5〜90重量部、好まし
くは5〜85重量部、より好ましくは5〜80重量部
で、かつ上記(A)、(B)の合計量が100重量部と
なるように配合することが必要である。グラフト共重合
体(A)の配合量が10重量部未満の場合は樹脂組成物
の耐衝撃性が悪くなり、95重量部を越える場合には、
成形品表面のゲートマーク、フローマーク、曇り現象の
発生を防止する効果が十分でなくなる。
【0043】また、樹脂組成物中に占めるジエン系ゴム
質重合体の割合は5〜30重量%以下、好ましくは10
〜20重量%であり、5重量%未満の場合は樹脂組成物
の耐衝撃性が悪くなり、30重量%を越える場合には樹
脂組成物の剛性および表面光沢が悪くなる。
【0044】さらに本発明は、グラフト共重合体(A)
と共重合体(B)の合計100重量部に対し、高級脂肪
酸アミドを0.01〜重量部、好ましくは0.1〜
重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部添加するこ
とにより表面光沢、耐衝撃性、成形性のバランスが向上
する。0.01重量部に満たないと表面光沢、耐衝撃
性、成形性のバランスの向上効果がみられず、一方8重
量部を越えると成形品の剛性や耐熱性が低下する。
【0045】本発明に使用される高級脂肪酸アミドと
は、一般式R1 CONHR′もしくはR2 CONHR″
NHCOR3 (但し、R1 、R2 、R3 は炭素数8〜1
8のアルキル基、R′は水素またはオキシメチル基、
R″は−(CH2 n −、n=1〜2)で示され、例え
ばステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、リノール酸
アミド、パルミチン酸アミド、ラウリル酸アミド、メチ
ロールアミド、メチレンビスステアリルアミド、、エチ
レンビスステアリルアミドなどを挙げることができる
が、これらのみに限定されるものではない。これらのな
かで、ステアリン酸アミド、メチレンビスステアリルア
ミド、エレチンビスステアリルアミドが好ましく用いら
れる。
【0046】本発明においては高級脂肪酸アミドに加え
て、高級脂肪族モノカルボン酸の金属塩化合物および高
級脂肪酸またはオキシ脂肪酸の多価アルコールエステル
を使用してもよい。そのような高級脂肪族モノカルボン
酸の金属塩化合物としては、主成分として炭素原子数1
8〜33の高級脂肪族モノカルボン酸のアルカリおよび
/またはアルカリ土類金属化合物をいい、例えばステア
リン酸、ノナデカン酸、ラウキン酸、カルナウバ酸、リ
グノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、ペトロセリン
酸、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸およびこれらを
含む酸混合物のリチウム塩、ナトリウム塩、かりうむ
塩、バリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、スト
ロンチウム塩化合物を挙げることができ、これらのなか
でステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウ
ム、ステアリン酸バリウム、モンタン酸ナトリウム、モ
ンタン酸カルシウム、エルカ酸ナトリウムが好ましく用
いられる。また、高級脂肪酸またはオキシ脂肪酸の多価
アルコールエステルとは、炭素数11〜26のものをい
い、例えばウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、
ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン
酸、鯨油酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸な
どのポリグリコールエステル、モノグリセリド、ジグリ
セリド、トリグリセリド、モノペンタエリスリットエス
テル、ジペンタエリスリットエステル、トリペンタエリ
スリットエステル、テトラペンタエリスリットエステル
あるいはこれらの水添硬化物または水添半硬化物など、
およびこれら脂肪酸のグリセリドの混合物として主成分
をなす天然油脂、例えばアマニ油、大豆油、トウモロコ
シ油、ナタネ油、ヒマシ油、ベニバナ油、綿実油、牛
脂、馬脂、豚脂、羊脂、イワシ油、各種鯨油、ニシン油
などの水添硬化油または水添半硬化油である。
【0047】本発明の樹脂組成物の製造方法に関しては
特に制限はなく、例えばグラフト共重合体(A)および
共重合体(B)を高級脂肪酸アミドなど(C)とともに
高温撹拌機などを用いて均一に混合した後、十分な混練
能力のある単軸または多軸の押出機で溶融混練する方法
など種々の方法を採用することができる。 また、目的
に応じて顔料や染料、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸
収剤、光安定剤、他の滑剤または可塑剤、帯電防止剤な
どを添加することもできる。
【0048】
【実施例】本発明をさらに具体的に説明するために、以
下に実施例および比較例を挙げて説明するが、これら実
施例は本発明を限定するものではない。なお、ここでは
特にことわりのない限り「部」は重量部、「%」は重量
%を表わす。
【0049】本発明のポリマ特性の分析法を以下に示
す。
【0050】ゴムラテックスの粒子径分布:アルギン酸
ナトリウム法により測定した。
【0051】グラフト率:グラフト共重合体の所定量
(m)にアセトンを加え4時間還流した。この溶液を
8,800ppm(10,000G)30分間遠心分離
後、不溶分を濾過した。この不溶分を60℃で5時間減
圧乾燥し、重量(n)を測定した。
【0052】グラフト率は次式により算出した。 グラフト率(%)={[(n)−(m)×L]/
[(m)×L]}×100 ここで、L:グラフト重合体のゴム含有率
【0053】なお、最終的に得られた樹脂組成物は、射
出成形法によって成形された後、下記の試験法により諸
物性を測定した。
【0054】Izod衝撃強度:ASTM D−256
に従い23℃で測定した(1/2インチノッチ付)。
【0055】溶融粘度:ASTM D−1238従い、
220℃、10kg荷重の条件で測定した。
【0056】曲げ弾性率:ASTM D−790に従い
23℃で測定した。
【0057】荷重たわみ温度:ASTM D−648に
従い測定した(1/4インチ)。
【0058】表面光沢:シリンダ温度230℃、金型温
度30℃の条件で射出成形を行い、縦120mm×横8
0mm×厚さ3mmの試験片を得た。次いで、スガ試験
機(株)製デジタル変角光沢計UGV−5Dを用い、入
射角60度での成形品の表面反射光の測定を行った。
【0059】ゲートマーク:図1の形状を有するフロー
マーク用金型を用いて、シリンダ温度220℃、金型温
度30℃の条件で射出成形を行い、得られた成形品表面
に発生したゲートマークの長さ(A面)および目立ち易
さ(B面)から下記基準により判定した。 ◎…像が鮮明に映る。
【0060】○…像がややぼやけて映る。
【0061】△…像がぼやけて映る。
【0062】
【0063】鮮映性:表面光沢の測定に用いたものと同
様にして得られた成形品の表面に蛍光灯を映した時の像
の鮮明性を目視観察し、下記基準により判定した。 ◎…像が鮮明に映る。
【0064】○…像がややぼやけて映る。
【0065】△…像がぼやけて映る。
【0066】参考例1 “グラフト共重合体Aの製造” 表1に記したゴム特性を示すジエン系ゴム質重合体ラテ
ックスをガラス製反応器に仕込み、さらに撹拌しながら
イオン交換水に溶解したブドウ糖、ピロリン酸ナトリウ
ム、硫酸第一鉄を仕込み、窒素で容器内を置換した後、
反応器内の温度を65℃まで昇温した。
【0067】この混合液に、表1に示した所定量のモノ
マおよびノルマルオクチルメルカプタン混合物、クメン
ハイドロパーオキサイドのオレフィン酸カリウム水溶液
を別々にそれぞれ3.5時間、5時間にわたって連続滴
下した。内温を上げ75℃とし、さらに撹拌を1時間継
続し反応を完結させた後、老化防止剤として2,6−ジ
−tertブチルパラクレゾールを添加した。重合率は
96.4%であった。得られたグラフト共重合体ラテッ
クスを硫酸で凝固し、NaOHで中和後、水洗、脱水、
乾燥してグラフト共重合体(A−1)を得た。このグラ
フト共重合体のグラフト率は42%、メチルエチルケト
ン可溶分の極限粘度は0.31dl/gであった。
【0068】同様の処方で、グラフト共重合体(A−
2)〜(A−11)を得た。グラフト率およびメチルエ
チルケトン可溶分の極限粘度を表1にまとめた。
【0069】参考例2 “共重合体Bの製造” B−1:スチレン72%、アクリロニトリル28%から
からなる単量体混合物を塊状重合し、共重合体B−1を
製造した。メチルエチルケトン可溶分の極限粘度は0.
52dl/gであった。
【0070】B−2:スチレン76%、アクリロニトリ
ル24%からなる単量体混合物を懸濁重合し、共重合体
B−2を製造した。メチルエチルケトン可溶分の極限粘
度は0.42dl/gであった。
【0071】実施例1 上記参考例で調製したグラフト共重合体(A)、共重合
体(B)およびエチレンビスステアリルアミド(C−
1)をそれぞれ表2、表3に示した配合割合で配合する
とともに、さらにトリス(モノ、ジノニルフェニル)ホ
スファイト0.1部を加え、ヘンシェルミキサーで混合
した。次に40mmφ押出機により混練温度220℃で
押出しペレット化した後、成形温度230℃、金型温度
60℃の条件で射出成形に供し、各試験片を作製して物
性評価を行った。さらに前記方法に従い、表面光沢、ゲ
ートマーク、鮮映性の評価を行った。結果を表2、表3
に示す。この結果から明らかなように光沢、表面外観に
優れるとともに、耐衝撃性と流動性(成形性)のバラン
スが良好であることがわかる。また、曲げ弾性率27,
000kg/cm2 、荷重たわみ温度90℃と優れたも
のであった。
【0072】実施例2〜9 グラフト共重合体(A)、共重合体(B)および高級脂
肪酸アミドなどから選ばれた(C)成分の種類または量
を変更する以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を製
造し、各試験片を得た。これらの樹脂組成物の配合およ
び評価結果を表2、表3に示す。この結果から明らかな
ように、いずれも光沢、表面外観に優れるとともに、耐
衝撃性と流動性のバランスが良好であった。
【0073】
【表1】
【表2】
【表3】 実施例および比較例より次のことが明らかである。
【0074】すなわち、本発明の樹脂組成物(実施例1
〜9)は、いずれも成形品表面の光沢が高いとともに、
鮮映性に優れ、ゲートマークが発生しにくいため、特殊
なゲート構造を有する金型を用いた場合であっても優れ
た表面外観を得ることがてぎる。また、優れた耐衝撃性
と成形性のバランスを有している。
【0075】これに対して、グラフト共重合体(A)中
のゴム質重合体の平均粒子径が規定値をはずれるもの
(比較例2、3)は、表面光沢、表面外観が低下するか
あるいは耐衝撃性が低下する。
【0076】また、グラフト共重合体(A)中のゴム質
重合体のゴム粒子径分布が規定された式を満足しないも
の(比較例4)は、表面光沢、表面外観が低下する。
【0077】グラフト共重合体(A)成分と共重合体
(B)成分におけるシアン化ビニル系単量体残基含有量
の差が規定値をはずれるもの(比較例5,6)は、表面
光沢、耐衝撃性が劣るほか、特にゲートマークが発生し
易く鮮映性にも劣る。
【0078】グラフト共重合体(A)成分と共重合体
(B)成分における極限粘度の差が規定された式を満足
しないもの(比較例7)は、ゲートマークが発生し表面
外観が悪く、流動性も劣っている。
【0079】高級脂肪酸アミドなどから選ばれた(C)
成分の配合量が規定値に満たないもの(比較例8)は、
表面光沢、表面外観に劣るものであった。一方、(C)
成分の配合量が規定値を越えるもの(比較例9)は、表
面光沢および耐衝撃性などに優れるものの、曲げ弾性率
23,000kg/cm2 、荷重たわみ温度80℃と劣
るものであった。
【0080】グラフト共重合体(A)成分と共重合体
(B)成分におけるシアン化ビニル系単量体残基含有量
の差が規定値をはずれるもの(比較例5,6)は、表面
光沢、耐衝撃性が劣るほか、特にゲートマークが発生し
易く鮮映性にも劣る。
【0081】グラフト共重合体(A)成分と共重合体
(B)成分における極限粘度の差が規定された式を満足
しないもの(比較例7)は、流動性と表面外観に劣るも
のであった。
【0082】グラフト共重合体(A)の配合割合が10
重量部に満たないもの(比較例1)は、耐衝撃性が著し
く低下した。
【0083】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物は、成形性と耐衝撃
性のバランスを損なうことなく優れた表面光沢が得られ
るとともに、鮮映性とゲート付近の外観に優れるため、
家庭用電気機器の外装部品などの成形材料として好適に
使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】ゲートマークの評価に用いた成形品を示す概略
図である。
【符号の説明】
A:ゲートマークの長さ B:ゲートマークの目立ち易さ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−168650(JP,A) 特開 昭55−165942(JP,A) 特開 昭54−94548(JP,A) 特開 昭53−145859(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 55/02 C08L 25/12 C08K 5/20

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ゴム質重合体粒子の平均粒子径が0.15
    〜0.25μmであり、その80重量%以上が下記
    (I)式を満たす粒子径分布を有するジエン系ゴム質重
    合体ラテックス10〜60重量%(固形分換算)の存在
    下、芳香族ビニル系単量体10〜90重量%、シアン化
    ビニル系単量体1〜50重量%および不飽和カルボン酸
    アルキルエステル0〜80重量%からなる単量体混合物
    40〜90重量部を重合してなるグラフト共重合体
    (A)、芳香族ビニル系単量体80〜40重量%および
    シアン化ビニル系単量体20〜60重量%からなる単量
    体混合物を重合してなる共重合体(B)および高級脂肪
    酸アミド(C)からなり、(A)成分10〜95重量
    部、(B)成分5〜90重量部の合計100重量部に対
    し,上記(C)成分を0.01〜重量部配合してなる
    組成物であって、上記(A)成分のゴム質重合体を除く
    部分(樹脂部分)中のシアン化ビニル系単量体残基含有
    率Y(重量%)と(B)成分中のシアン化ビニル系単量
    体残基含有率Z(重量%)の差が下記(II)式を満た
    し、かつ(A)成分中の樹脂部分の極限粘度[ηA ]と
    (B)成分の極限粘度[ηB ]の差が下記(III)式を
    満たすことを特徴とする高光沢樹 脂組成物。 0.7×M≦X≦1.3×M ……(I) [ただし、式中Mはゴム粒子の平均粒子径(μm)、X
    は個々のゴム粒子径(μm)を示す。] 2≦Z−Y≦14 ……(II) 0.02≦[ηB ]−[ηA ]≦0.30 ……(III)
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CN114249959B (zh) * 2021-12-21 2023-05-09 天津金发新材料有限公司 一种抗应力发白高流动的abs组合物及其制备方法和应用

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