JP3754763B2 - 耐熱性樹脂成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性樹脂成形体および耐熱性カラー樹脂成形体の製造方法に関し、特に本発明の製造方法を用いることにより、耐熱性ABS系樹脂成形体を簡便に得ることが出来、従来から耐熱性ABS系樹脂が使用されてきた自動車部品、電気・電子部品、家電部品、雑貨等あらゆる分野の成形体に本発明の製造方法を適用することができる。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ABS系樹脂の耐熱性を向上させる手段として、α−メチルスチレン−アクリロニトル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−N−フェニルマレイミド共重合体、スチレン−N−フェニルマレイミド−アクリロニトリル共重合体等の耐熱性が高く、かつABS系樹脂に対して混和性を有する耐熱性共重合体をABS系樹脂に混練して混合する方法が知られている。
【0003】
従来、これらの耐熱性共重合体をABS系樹脂と混練混合する場合、単軸押出機、二軸押出機あるいはバンバリーミキサー等の混練機を用いて混合し、所望の耐熱性やその他の物性を有した樹脂ペレットを得て、その得られた樹脂ペレットを射出成形等の手段により賦形し、成形体を作成していた。
【0004】
また、着色された成形体を得る場合は、耐熱性共重合体とABS系樹脂とを混練混合する際に、顔料および顔料分散剤を添加して、耐熱性着色樹脂ペレットを得て成形するか、もしくは成形時にカラーマスターバッチと耐熱性樹脂ペレットを混合していた。
【0005】
この従来の方法には、主に三つの欠点があった。一つは、種々の耐熱レベルや色の異なった成形体を得るために、耐熱性のレベルに応じてそれぞれ異なった樹脂ペレット、色に応じてそれぞれ異なった着色ペレットあるいは着色カラーマスターバッチが必要という品種管理、在庫管理の煩雑さがあった。二つめは、混練操作を経ることにより、特にABS系樹脂が劣化し、衝撃強度の低下を招いていたことである。三つめは、混練操作、着色に多大なコストが発生し、経済的に不利であったことである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記に述べた主な三つの欠点を同時に解決することであり、ABS系樹脂と特定の耐熱性マスターバッチ樹脂または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂とをそのまま射出成形機にて成形して成形体を製造する方法を提供することである。
【0007】
本発明の方法に依れば、ABS系樹脂と特定の耐熱性マスターバッチ樹脂または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂の配合比率を変化させることによって、種々の所望する耐熱性を有する成形体が混練操作を経ずに簡便に得られ、同時に着色することも可能になるため、いくつもの原料樹脂や着色樹脂を持つ必要がなくなる。また、混練操作を経ないため、熱履歴が少なく、衝撃強度に優れた成形体を得ることが出来る。
【0008】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、下記の耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)とABS系樹脂(B)のそれぞれのペレットを混合し射出成形機を用いて射出成形する際、射出成形機のノズル部に静止型混合器を取り付けた成形機を用いて成形することを特徴とする耐熱性樹脂成形体の製造方法である。
耐熱性マスターバッチ樹脂(A 1 )が、芳香族ビニル単量体単位40〜70重量%、不飽和ジカルボン酸イミド誘導体単位30〜60重量%およびその他共重合可能なビニル単量体単位0〜20重量%からなるマレイミド系共重合体(a)、ゴム状重合体30〜70重量部の存在下に、芳香族ビニル単量体65〜80重量%、シアン化ビニル単量体20〜35重量%およびその他共重合可能なビニル単量体0〜10重量%からなる単量体混合物30〜70重量部をグラフト共重合して得られるABS系グラフト共重合体(b)および必要に応じて用いることが出来る、芳香族ビニル単量体単位65〜80重量%、シアン化ビニル単量体単位20〜35重量%およびその他共重合可能なビニル単量体単位0〜10重量%からなるAS系共重合体(c)からなり、
ABS系樹脂(B)が、ABS樹脂、耐熱ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂およびMBS樹脂よりなる群から選ばれた1種または2種以上である。
【0009】
また、本発明は、下記の耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)とABS系樹脂(B)のそれぞれのペレットを混合し射出成形機を用いて射出成形する際、射出成形機のノズル部に静止型混合器を取り付けた成形機を用いて成形することを特徴とする耐熱性カラー樹脂成形体の製造方法である。
耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A 2 )が、芳香族ビニル単量体単位40〜70重量%、不飽和ジカルボン酸イミド誘導体単位30〜60重量%およびその他共重合可能なビニル単量体単位0〜20重量%からなるマレイミド系共重合体(a)、ゴム状重合体30〜70重量部の存在下に、芳香族ビニル単量体65〜80重量%、シアン化ビニル単量体20〜35重量%およびその他共重合可能なビニル単量体0〜10重量%からなる単量体混合物30〜70重量部をグラフト共重合して得られるABS系グラフト共重合体(b)、必要に応じて用いることが出来る、芳香族ビニル単量体単位65〜80重量%、シアン化ビニル単量体単位20〜35重量%およびその他共重合可能なビニル単量体単位0〜10重量%からなるAS系共重合体(c)、着色剤(d)および必要に応じて用いることが出来る着色剤分散剤(e)からなり、
ABS系樹脂(B)が、ABS樹脂、耐熱ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂およびMBS樹脂よりなる群から選ばれた1種または2種以上である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の耐熱性樹脂成形体または耐熱性カラー樹脂成形体の製造方法は、マレイミド系共重合体(a)、ABS系グラフト共重合体(b)および必要に応じて用いることが出来るAS系共重合体(c)からなる耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)、またはマレイミド系共重合体(a)、ABS系グラフト共重合体(b)、必要に応じて用いることが出来るAS系共重合体(c)、着色剤(d)および必要に応じて着色剤分散剤(e)を含有する耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)とABS系樹脂(B)とをそのまま射出成形する際、射出成形機のノズル部に静止型混合器を取り付けた成形機を用いて成形することを特徴とする。
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明に用いることが出来るマレイミド系共重合体(a)について説明する。
【0012】
第一の製法として、芳香族ビニル単量体、不飽和ジカルボン酸イミド誘導体および必要に応じてその他共重合可能なビニル単量体からなる混合物を共重合させる方法によってマレイミド系共重合体を得ることが出来る。
【0013】
第二の製法として、芳香族ビニル単量体、不飽和ジカルボン酸無水物および必要に応じてその他共重合可能なビニル単量体からなる混合物を共重合させた後、アンモニアおよび/又は第一級アミンを反応させて酸無水物基をイミド基に変換させる方法が挙げられ、いずれの方法によってもマレイミド系共重合体を得ることが出来る。
【0014】
第一の製法および第二の製法のいずれの製法においても用いる芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン等のスチレン単量体およびその置換単量体が挙げられ、これらの中で特にスチレンが好ましい。
【0015】
第一の製法で用いられる不飽和ジカルボン酸イミド誘導体としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−アルキルマレイミド、およびN−アリールマレイミド(アリール基としては、例えばフェニル、クロルフェニル、メチルフェニル、メトキシフェニル、トリブロモフェニル等が挙げられる)等のマレイミド誘導体が挙げられ、これらの中で特にN−フェニルマレイミドが好ましい。また、これらの誘導体は二種以上混合して用いることも出来る。
【0016】
第二の製法で用いられる不飽和ジカルボン酸無水物としては、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、アコニット酸等の無水物が挙げられる。これらのなかで、特にマレイン酸無水物が好ましい。
【0017】
また、第一の製法および第二の製法のいずれの製法においても用いるその他共重合可能なビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体、メチルアクリル酸エステル、エチルアクリル酸エステル等のアクリル酸エステル単量体、メチルメタクリル酸エステル、エチルメタクリル酸エステル等のメタクリル酸エステル単量体、アクリル酸、メタクリル酸等のビニルカルボン酸単量体、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド等の単量体が挙げられる。また、第一の製法では無水マレイン酸も挙げられ、第二の製法では、マレイミド基へ転換されずに残った無水マレイン酸基も共重合体中に導入することが出来る。
【0018】
また、第二の製法で用いるアンモニアや第一級アミンは無水または水溶液のいずれの状態であってもよく、第一級アミンの例としては、メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、シクロヘキシルアミン等のアルキルアミン、アニリン、トルイジン、クロルアニリン、メトキシアニリン、トリブロモアニリン等の芳香族アミンが挙げられ、これらの中で特にアニリンが好ましい。
【0019】
第一の製法の場合は、懸濁重合、乳化重合、溶液重合、塊状重合等いずれも公知の重合法を用いることが出来る。第二の製法の場合は、塊状−懸濁重合、溶液重合、塊状重合等を好適に採用出来る。
【0020】
マレイミド系共重合体(a)は、芳香族ビニル単量体単位40〜70重量%、不飽和ジカルボン酸イミド誘導体単位30〜60重量%およびその他共重合可能なビニル単量体単位0〜20重量%からなる共重合体である。この範囲を逸脱すると、他の成分との相溶性が劣り、耐衝撃性の低下を招く。より好ましい範囲は、芳香族ビニル単量体単位45〜65重量%、不飽和ジカルボン酸イミド誘導体単位35〜55重量%およびその他共重合可能なビニル単量体単位0〜15重量%である。
【0021】
次に、ABS系グラフト共重合体(b)について説明する。
ABS系グラフト共重合体(b)は、ゴム状重合体の存在下に、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体および必要に応じてその他共重合可能なビニル単量体からなる単量体混合物を共重合したグラフト共重合体である。
【0022】
ゴム状重合体としては、ブタジェン重合体、ブタジェン−スチレン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジェン共重合体、アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。
【0023】
芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン等のスチレン単量体およびその置換単量体が挙げられ、これらの中で特にスチレンが好ましい。
【0024】
シアン化ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ、これらの中で特にアクリロニトリルが好ましい。
【0025】
また、その他共重合可能なビニル単量体としては、メチルアクリル酸エステル、エチルアクリル酸エステル、ブチルアクリル酸エステル等のアクリル酸エステル単量体、メチルメタクリル酸エステル、エチルメタクリル酸エステル等のメタクリル酸エステル単量体、アクリル酸、メタクリル酸等のビニルカルボン酸単量体、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド等の単量体、並びにマレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−アルキルマレイミド、およびN−アリールマレイミド(アリール基としては、例えばフェニル、クロルフェニル、メチルフェニル、メトキシフェニル、トリブロモフェニル等が挙げられる)等のマレイミド誘導体が挙げられる。これらの中でアクリル酸エステル、メチルメタクリル酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸等の単量体が特に好ましい。
【0026】
ABS系グラフト共重合体(b)は、ゴム状重合体30〜70重量部の存在下に、芳香族ビニル単量体65〜80重量%、シアン化ビニル単量体20〜35重量%およびその他共重合可能なビニル単量体0〜10重量%からなる単量体混合物30〜70重量部をグラフト共重合して得られる。この範囲を逸脱すると、他成分との相溶性が劣り、耐衝撃性の低下を招く。より好ましい範囲は、ゴム状重合体40〜60重量部の存在下に、芳香族ビニル単量体70〜75重量%、シアン化ビニル単量体25〜30重量%およびその他共重合可能なビニル単量体0〜5重量%からなる単量体混合物40〜60重量部をグラフト共重合して得られる範囲である。
【0027】
なお、グラフト共重合においては、通常単量体全量がゴム状重合体上にグラフトすることは困難であり、未グラフト共重合体が副生産される。本発明においては未グラフト共重合体を積極的に分離、除去した真のグラフト共重合体はもちろんのこと、未グラフト共重合体を含有したままのグラフト重合でもよく、グラフト共重合体として用いることができる。
【0028】
また、グラフト共重合体のグラフト率は、[(ゴム状重合体上にグラフトされている共重合体の重量/ゴム状重合体の重量)×100(%)]で表わされ、そのグラフト率の範囲は30〜100%が望ましい。グラフト率が30%未満では、ゴム状重合体が凝集しやすくなるために外観不良が出やすく、また耐衝撃性の低下を招き、またグラフト率が100%を越えると成形加工性の低下を招く。より好ましいグラフト率の範囲は40〜65%である。
【0029】
グラフト重合は公知のいずれの重合技術も採用可能であって、例えば懸濁重合、乳化重合のごとき水性不均一重合、塊状重合、溶液重合および生成重合体の貧溶媒中での沈殿重合等がある。強度に影響を与えるゴム粒径を制御しやすいという点から乳化重合が好ましい。
【0030】
次に必要に応じて用いることが出来るAS系共重合体(c)について説明する。
AS系共重合体(c)は、芳香族ビニル単量体単位、シアン化ビニル単量体単位および必要に応じてその他共重合可能なビニル単量体単位からなる共重合体である。
【0031】
芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン等のスチレン単量体およびその置換単量体が挙げられ、これらの中で特にスチレンおよびα−メチルスチレンが好ましい。
【0032】
シアン化ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ、特にアクリロニトリルが好ましい。
【0033】
その他共重合可能なビニル単量体としては、前記のABS系グラフト共重合体(b)の製法で用いるその他共重合可能なビニル単量体として挙げた単量体と同じ単量体種を挙げることが出来る。
【0034】
AS系共重合体(c)は、芳香族ビニル単量体単位65〜80重量%、シアン化ビニル単量体単位20〜35重量%およびその他共重合可能なビニル単量体単位0〜10重量%からなる共重合体である。この範囲を逸脱すると、他成分との相溶性が劣り、耐衝撃性の低下を招く。より好ましい範囲は、芳香族ビニル単量体単位68〜78重量%、シアン化ビニル単量体単位22〜32重量%およびその他共重合可能なビニル単量体単位0〜10重量%である。
【0035】
AS系共重合体(c)は、通常の重合方法で製造できる。例えば懸濁重合、溶液重合、乳化重合等の重合方法が採用される。
【0036】
次に、本発明において用いられる着色剤(d)および着色剤分散剤(e)について説明する。
本発明において、着色剤(d)としては特に制限されないが、耐熱性を有する顔料、染料、その他の加工着色剤を用いるのが好ましく、それらの中で特に顔料、染料が好ましい。
【0037】
本発明において用いられる顔料、染料は特に限定されないが、耐熱性が良好な顔料、染料が望ましい。例えば、顔料としては、酸化チタン、チタンイエロー、弁柄、群青、フタロシアニン系、キナクリドン系、ペリレン系、イソインドリノン系、カーボンブラック等で、染料としては、ペリノン系、アンスラキノン系等が挙げられる。
【0038】
また、着色剤分散剤(e)としては、着色剤を分散する機能を有するものであればよい。着色剤分散剤の中で、顔料、染料分散剤の具体例としては、脂肪酸金属塩、脂肪酸アマイド、脂肪酸エステルなどでABS樹脂との相溶性が比較的良好なものが望ましい。
【0039】
本発明の耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)は、高温側ガラス転移温度(耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)が有する最も高いガラス転移温度を称する)が140℃以上であることが好ましい。この高温側ガラス転移温度が140℃未満では、耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)としての耐熱性が低いため、所望の耐熱性樹脂成形体または耐熱性カラー樹脂成形体を得るのに高価格の耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)をより多く添加しなけらばならず、経済的効果が低くなるために好ましくない。より好ましい範囲は、高温側ガラス転移温度が150℃以上である。なお、高温側ガラス転移温度の上限値は使用するマレイミド系共重合体(a)のガラス転移温度と耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)を構成するマレイミド系共重合体(a)、ABS系グラフト共重合体(b)および必要に応じて用いるAS系共重合体(c)の配合割合により決まり、マレイミド系共重合体(a)のガラス転移温度よりも低い値である。
【0040】
また、耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)および耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)は、低温側ガラス転移温度をも有しているが低温側ガラス転移温度は耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)および耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)中のゴム状重合体のガラス転移温度を表しているもので、その範囲は特に制限されない。
【0041】
本発明の耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)におけるマレイミド系共重合体(a)、ABS系グラフト共重合体(b)およびAS系共重合体(c)の配合割合は、耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)の高温側ガラス転移温度が140℃以上で、ABS系グラフト共重合体(b)が25重量%以上になるように配合することが好ましい。ABS系グラフト共重合体(b)が25重量%未満では、射出成形して得られる耐熱性樹脂成形体の耐衝撃性が低下するので好ましくない。
【0042】
なお、本発明の耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)の配合割合の一例を示すと、マレイミド系共重合体(a)50〜75重量%、ABS系グラフト共重合体(b)25〜50重量%およびAS系共重合体(c)0〜20重量%の範囲が挙げられるが、この範囲は特に限定されるものではない。
【0043】
また、本発明の耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)におけるマレイミド系共重合体(a)、ABS系グラフト共重合体(b)、必要に応じて用いることが出来るAS系共重合体(c)、着色剤(d)および必要に応じて添加する着色剤分散剤(e)の配合割合は、耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)の高温側ガラス転移温度が140℃以上で、ABS系グラフト共重合体(b)が(a)、(b)、(c)の合計量100重量%中25重量%以上になるように配合することが好ましい。ABS系グラフト共重合体(b)が25重量%未満では、射出成形して得られる耐熱性樹脂成形体の耐衝撃性が低下するので好ましくない。
【0044】
なお、本発明の耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)の配合割合の一例を示すと、マレイミド系共重合体(a)50〜75重量%、ABS系グラフト共重合体(b)25〜50重量%およびAS系共重合体(c)0〜20重量%を含有し、さらに(a)、(b)、(c)の合計量100重量部に対して着色剤(d)0.1〜20重量部および着色剤分散剤(e)0〜10重量部を含有する範囲が挙げられるが、この範囲は特に限定されるものではない。
【0045】
本発明のABS系樹脂(B)は、前記で例示した成分組成比をなすABS系グラフト共重合体(b)およびAS系共重合体(c)からなるものが一般的であるが、耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)の製造に用いられた同一のABS系グラフト共重合体(b)およびAS系共重合体(c)に限定されるものではなく、市販のABS系樹脂ペレットを好適に用いることができる。
【0046】
市販のABS系樹脂(B)の具体例としては、ABS(アクリロニトリル−ブタジェン−スチレン)樹脂、耐熱ABS(アクリロニトリル−ブタジェン−スチレン−α−メチルスチレン)樹脂、AES(アクリロニトリル−EPDM−スチレン)樹脂、AAS(アクリロニトリル−アクリレート−スチレン)樹脂、およびMBS(メチルメタクリレート−ブタジェン−スチレン)樹脂等が挙げられるが、これらの例に限定されるものではない。
【0047】
本発明の耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)とABS系樹脂(B)との配合割合は、耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)の高温側ガラス転移温度がABS系樹脂(B)の耐熱性の温度レベルと比較してより高温であればあるほど耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)は少量の配合割合で所望する耐熱性の温度レベルの耐熱性樹脂成形体または耐熱性カラー樹脂成形体を得ることができる。一方、耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)および耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)の高温側ガラス転移温度がABS系樹脂(B)の耐熱性の温度レベルとより近傍温度にあれば所望する耐熱性の温度レベルの耐熱性樹脂成形体および耐熱性カラー樹脂成形体を得るのに多量の配合割合を必要とする。従って、所望する耐熱性樹脂成形体および耐熱性カラー樹脂成形体の耐熱性の温度レベルに応じてその配合割合は変えられ、その範囲は限定されるものではない。
【0048】
本発明の耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)とABS系樹脂(B)との配合割合の一例を示すと、耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)が5〜55重量%とABS系樹脂(B)が95〜45重量%が好ましい。
【0049】
本発明に用いる静止型混合器とは、射出成形機用ミキシングノズル等〔例えば、松井輝一郎等著「静止型混合器−基礎と応用−」(日刊工業新聞社、昭和56年9月30日発行)の132頁から146頁に記載されている射出成形機用ミキシングノズル〕を言い、そのエレメント数や形状には特に制限はなく、目的や成形機のサイズに合わせて選択できる。
【0050】
本発明に用いられる静止型混合器の具体例として、射出成形機用ミキシングノズルの1例を図1に示す。図1は、射出成形機用ミキシングノズルの1例を示す概略断面図である。同図において、射出成形機用ミキシングノズルは、射出成形機1の成形機バレル2に静止型混合器3が取り付けられ、該静止型混合器3の先端にノズルチップ4が設けられた構造からなる。静止型混合器3の外周面には加熱用のバンドヒーター5が設けられている。溶融された原料樹脂の耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)とABS系樹脂(B)はそのまま、射出成形機1の成形機バレル2から静止型混合器3を通過して均一に混合され、ノズルチップ4から金型キャビティー(不図示)内に射出され成形される。
【0051】
本発明の耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)とABS系樹脂(B)とをそのまま射出成形機で成形する方法においては、射出成形機のシリンダー設定温度は、240℃〜300℃、より好ましくは250℃〜270℃にすることによって、より耐衝撃性や外観性に優れた成形体を得ることが出来る。
【0052】
耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)とABS系樹脂(B)を射出成形機に供給する方法としては、タンブラーミキサーやVブレンダー等の公知の装置を用いてプリブレンドしたものを供給する方法や、射出成形機のホッパーに両樹脂を別々に定量的に供給する方法も採用することが出来る。特に供給する方法にはこだわるものではない。
【0053】
本発明の耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)および耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤等を目的に合わせて配合しておくことが出来る。また、耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)とABS系樹脂(B)を射出成形機に供給する際に、これらの添加剤を同時に供給することも出来るが、これらの添加剤がマスターバッチ化されたものを用いることがより好ましい。
【0054】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。実施例中の部、%はいずれも重量基準で表した。
【0055】
(1)原料樹脂
(イ)マレイミド系共重合体(a)
以下に使用したマレイミド系共重合体(a)の製造例を示す。
製造例1
共重合体SMI−1の製造例
撹拌機を備えたオートクレーブ中にスチレン60部、α−メチルスチレンダイマー0.1部、メチルエチルケトン100部を仕込み、系内を窒素ガスで置換した後、温度を85℃に昇温し、無水マレイン酸40部とベンゾイルパーオキサイド0.15部をメチルエチルケトン200部に溶解した溶液を8時間で連続的に添加した。添加後、更に3時間温度を85℃に保った。粘稠な反応液の一部をサンプリングしてガスクロマトグラフィーにより未反応単量体の定量を行なった結果、重合率はスチレン99%、無水マレイン酸98%であった。ここで得られた共重合体溶液にアニリン38部、トリエチルアミン0.6部を加え140℃で7時間反応させた。反応液をベント付き二軸押出機に供給し、脱揮してマレイミド系共重合体を得た。C−13NMR分析より酸無水物基のイミド基への転化率は93%であった。このマレイミド系共重合体は不飽和ジカルボン酸イミド誘導体としてのN−フェニルマレイミド単位を51%含む共重合体であり、これを共重合体SMI−1とした。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析より、ポリスチレン換算の重量平均分子量は140000であった。なお、GPC測定には、昭和電工株式会社製「SHODEX GPC SYSTEM−21」を用い、標準分子量のポリスチレンを用いて作製した検量線を使用し、ポリスチレン換算の重量平均分子量を求めた。
【0056】
上記の使用したマレイミド系共重合体(a)の成分組成比とゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による重量平均分子量を表−1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
(ロ)ABS系グラフト共重合体(b)
以下に使用したABS系グラフト共重合体(b)の製造例を示す。
製造例2
共重合体G−1の製造例
撹拌機を備えた反応缶中にポリブタジェンラテックス114部(固形分35%、重量平均粒径0.25μm、ゲル含率90%)、スチレン−ブタジェンラテックス15部(固形分67%、重量平均粒径0.5μm、ゲル含率15%)、ステアリン酸ソーダ1部、ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.1部、テトラソジウムエチレンジアミンテトラアセチックアシッド0.03部、硫酸第一鉄0.003部、および純水150部を仕込み、温度を50℃に加熱し、これにスチレン70%およびアクリロニトリル30%よりなる単量体混合物50部、t−ドデシルメルカプタン0.2部、キユメンハイドロパーオキサイド0.15部を6時間で連続添加し、さらに添加後65℃に昇温し2時間重合した。重合率は97%に達した。得られたラテックスにイルガノックス1076を0.3部添加した後、5%塩化カルシウム水溶液300部を添加して凝固、水洗、乾燥後白色粉末としてグラフト共重合体を得た。これを共重合体G−1とした。
【0059】
上記の使用したABS系グラフト共重合体(b)の成分組成比、グラフト率および未グラフト共重合体の重量平均分子量を表−2に示す。
【0060】
これらの値は、一定量の試料を温度25℃で、溶媒メチルエチルケトン(MEK)に24時間膨潤させた後、遠心分離した上澄み溶液を未グラフト共重合体とし、GPC測定による重量平均分子量およびゲルタール窒素定量分析による組成分析をおこなった。また遠心分離で沈降したMEK不溶分を取り出し、溶媒を完全に乾燥除去した後、ハロゲン付加法によりゴム状重合体成分を、また下記の式(1)よりグラフト率を求めた。なお、ゴム状重合体成分中のブタジェンゴムとスチレン−ブタジェンゴムの比率は製造時に仕込んだ比率となっているものとした。
【0061】
【数1】
【0062】
【表2】
【0063】
(ハ)AS系共重合体(c)
以下に使用したAS系共重合体(c)の製造例を示す。
製造例3
共重合体AS−1の製造例
撹拌機を備えた反応缶中にスチレン70部、アクリロニトリル30部、第三リン酸カルシウム2.5部、t−ドデシルメルカプタン0.5部、ベンゾイルパーオキサイド0.2部および水250部を仕込み、70℃に昇温し重合を開始させた。重合開始から7時間後に温度を75℃に昇温して3時間保ち重合を完結させた。重合率は97%に達した。得られた反応液に5%塩酸水溶液200部を添加し析出させ、脱水、乾燥後白色ビーズ状の共重合体を得た。これを共重合体AS−1とした。
【0064】
上記の使用したAS系共重合体(c)の成分組成比とGPC測定による重量平均分子量を表−3に示す。
【0065】
【表3】
【0066】
(2)耐熱性マスターバッチ樹脂(A 1 )および耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A 2 )の製造
耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)および耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)を表−4に示す割合で、同方向回転二軸押出機(東芝機械株式会社製TEM−35B、スクリュー径37mm、L/D=32)にて、シリンダー設定温度280℃、スクリュー回転数200rpm、原料フィード量20kg/hrの条件で混練混合し、耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)のMB−1と耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)のMB−2のペレットを得た。得られた耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)MB−1および耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)MB−2のDSC測定機「DSC−220C」(セイコー電子株式会社製)で測定した高温側ガラス転移温度も表−4に示した。
【0067】
【表4】
【0068】
(3)ABS系樹脂(B)の製造
ABS系グラフト共重合体およびAS系共重合体からなるABS系樹脂として、上記のグラフト共重合体(G−1)35%、AS系共重合体(AS−1)65%の割合で単軸押出機(アイ・ケー・ジー株式会社製、MS40−32ベント押出機、L/D=32、ダルメージスクリュー)を用いてシリンダー設定温度230℃、スクリュー回転数100rpmの条件にて混練混合を行いペレット化してABS系樹脂(ABS−1と称する)を得た。
【0069】
実施例1〜4および比較例1〜4
耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)を温度110℃で3時間、ABS系樹脂(B)を温度80℃で3時間の乾燥を行った後、耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)とABS系樹脂(B)を表−5に示す配合比でタンブラーミキサーを用いて5分間混合し、射出成形機に供給した。射出成形機は川口鉄工株式会社製射出成形機K−125を用い、実施例1〜実施例4では静止型混合器であるミキシングノズル「型式TMN16−06(東レエンジニアリング株式会社製)」を設置して射出成形を行い、比較例1〜比較例4では通常のオープンノズルのまま射出成形を行った。成形条件は次の通りである。
【0070】
シリンダー設定温度;実施例1、実施例2、実施例4、比較例1、比較例2および比較例4は260℃で、実施例3と比較例3は250℃
射出圧力;最小充填圧力+5Kg/cm2G
射出速度;70%
金型温度;60℃
スクリュー;フルフライトスクリュー
【0071】
耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)とABS系樹脂(B)とを表−5に示す配合比で前記成形条件でそれぞれの評価用試験片を成形、IZOD衝撃強度、ビカット軟化点、外観評価を行い、その結果も表−5に合わせて示した。
【0072】
また、その時の物性の測定条件および外観評価は次の通りである。
(1)IZOD衝撃強度は、ASTM D256に従い、厚み1/4インチのノッチ付き試験片を測定温度23℃、測定湿度50%RHの条件下で測定した。
(2)ビカット軟化点は、JIS K7206に従い、1/4インチ試験片を使用し、5kg荷重、昇温速度50℃/hrで測定した。
【0073】
(3)外観評価は、縦120mm、横40mm、肉厚はゲート側より40mm間隔で3mm、2mm、1mmの3段プレートを使用した。この成形品のゲートは、肉厚3mm部側面にサイドゲートが設置されている。耐熱性マスターバッチ樹脂または耐熱性マカラースターバッチ樹脂がABS樹脂中に均一に分散していない場合、ヘアライン状の外観不良が発生する。外観評価の判定は、この不良現象が一見して分かるものを×、凝視して分かる程度のものを△、不良現象がないものを○で表した。
【0074】
【表5】
【0075】
本発明の実施例1から実施例4では、静止型混合器を設置することによって外観不良のない良好な成形品が得られている。
比較例3が示すように、シリンダー設定温度を下げると分散が悪くなる傾向にあるが、実施例3では設定温度を10℃下げても良好な成形品が得られており、静止型混合器を設置することにより、広範囲な成形条件で成形可能であることが分かる。
【0076】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、耐熱性、衝撃強度および外観性に優れた耐熱性樹脂成形体または耐熱性カラー樹脂成形体を、経済的に有利に得ることができ、従来から耐熱性ABS系樹脂が用いられてきた自動車部品、電気・電子部品、家電部品、雑貨等のあらゆる分野の射出成形部品へ適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いられる射出成形機用ミキシングノズルの1例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 射出成形機
2 成形機バレル
3 静止型混合器
4 ノズルチップ
5 バンドヒーター
Claims (2)
- 下記の耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)とABS系樹脂(B)のそれぞれのペレットを混合し射出成形機を用いて射出成形する際、射出成形機のノズル部に静止型混合器を取り付けた成形機を用いて成形することを特徴とする耐熱性樹脂成形体の製造方法。
耐熱性マスターバッチ樹脂(A 1 )が、芳香族ビニル単量体単位40〜70重量%、不飽和ジカルボン酸イミド誘導体単位30〜60重量%およびその他共重合可能なビニル単量体単位0〜20重量%からなるマレイミド系共重合体(a)、ゴム状重合体30〜70重量部の存在下に、芳香族ビニル単量体65〜80重量%、シアン化ビニル単量体20〜35重量%およびその他共重合可能なビニル単量体0〜10重量%からなる単量体混合物30〜70重量部をグラフト共重合して得られるABS系グラフト共重合体(b)および必要に応じて用いることが出来る、芳香族ビニル単量体単位65〜80重量%、シアン化ビニル単量体単位20〜35重量%およびその他共重合可能なビニル単量体単位0〜10重量%からなるAS系共重合体(c)からなり、
ABS系樹脂(B)が、ABS樹脂、耐熱ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂およびMBS樹脂よりなる群から選ばれた1種または2種以上である。 - 下記の耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)とABS系樹脂(B)のそれぞれのペレットを混合し射出成形機を用いて射出成形する際、射出成形機のノズル部に静止型混合器を取り付けた成形機を用いて成形することを特徴とする耐熱性カラー樹脂成形体の製造方法。
耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A 2 )が、芳香族ビニル単量体単位40〜70重量%、不飽和ジカルボン酸イミド誘導体単位30〜60重量%およびその他共重合可能なビニル単量体単位0〜20重量%からなるマレイミド系共重合体(a)、ゴム状重合体30〜70重量部の存在下に、芳香族ビニル単量体65〜80重量%、シアン化ビニル単量体20〜35重量%およびその他共重合可能なビニル単量体0〜10重量%からなる単量体混合物30〜70重量部をグラフト共重合して得られるABS系グラフト共重合体(b)、必要に応じて用いることが出来る、芳香族ビニル単量体単位65〜80重量%、シアン化ビニル単量体単位20〜35重量%およびその他共重合可能なビニル単量体単位0〜10重量%からなるAS系共重合体(c)、着色剤(d)および必要に応じて用いることが出来る着色剤分散剤(e)からなり、
ABS系樹脂(B)が、ABS樹脂、耐熱ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂およびMBS樹脂よりなる群から選ばれた1種または2種以上である。
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