JP3698822B2 - 耐熱性マスターバッチ樹脂、耐熱性樹脂成形体及びその製造方法 - Google Patents

耐熱性マスターバッチ樹脂、耐熱性樹脂成形体及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は耐熱性マスターバッチ樹脂、耐熱性カラーマスターバッチ樹脂、それらを用いた耐熱性樹脂成形体、耐熱性カラー樹脂成形体及びそれらの製造方法に関し、特に本発明の方法を用いることにより、耐熱性ABS系樹脂成形体を簡便に得ることができ、従来から耐熱性ABS系樹脂が使用されてきた自動車部品、電気・電子部品、家電部品、雑貨等あらゆる分野の成形体に本発明の方法を適用することができる。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ABS系樹脂の耐熱性を向上させる手段として、α−メチルスチレン−アクリロニトル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−N−フェニルマレイミド共重合体、スチレン−N−フェニルマレイミド−アクリロニトリル共重合体等の耐熱性が高く、かつABS系樹脂に対して混和性を有する耐熱性共重合体をABS系樹脂に混練して混合する方法が知られている。
【0003】
従来、これらの耐熱性共重合体をABS系樹脂と混練混合する場合、単軸押出機、二軸押出機あるいはバンバリーミキサー等の混練機を用いて混合し、所望の耐熱性やその他の物性を有した樹脂ペレットを得て、その得られた樹脂ペレットを射出成形等の手段により賦形し、成形体を作成していた。
【0004】
また、着色された成形体を得る場合は、耐熱性共重合体とABS系樹脂とを混練混合する際に、顔料および顔料分散剤を添加して、耐熱性着色樹脂ペレットを得て成形するか、もしくは成形時にカラーマスターバッチと耐熱性樹脂ペレットを混合していた。
【0005】
この従来の方法には、主に三つの欠点があった。一つは、種々の耐熱レベルや色の異なった成形体を得るために、耐熱性のレベルに応じてそれぞれ異なった樹脂ペレット、色に応じてそれぞれ異なった着色ペレットあるいは着色カラーマスターバッチが必要という品種管理、在庫管理の煩雑さがあった。二つめは、混練操作を経ることにより、特にABS系樹脂が劣化し、衝撃強度の低下を招いていたことである。三つめは、混練操作、着色に多大なコストが発生し、経済的に不利であったことである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記に述べた主な三つの欠点を同時に解決することであり、ABS系樹脂と特定の耐熱性マスターバッチ樹脂または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂とをそのまま射出成形機にて成形して成形体を製造する方法、およびこの方法を可能とする耐熱性マスターバッチ樹脂または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂を提供することである。
【0007】
本発明の方法に依れば、ABS系樹脂と特定の耐熱性マスターバッチ樹脂または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂の配合比率を変化させることによって、種々の所望する耐熱性を有する成形体が混練操作を経ずに簡便に得られ、同時に着色することも可能になるため、いくつもの原料樹脂や着色樹脂を持つ必要がなくなる。また、混練操作を経ないため、熱履歴が少なく、衝撃強度に優れた成形体を得ることが出来る。
【0008】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、重量平均分子量10万〜13.5万であるマレイミド系共重合体(a)50〜75重量%、ABS系グラフト共重合体(b)25〜50重量%およびAS系共重合体(c)0〜20重量%を含有することを特徴とする耐熱性マスターバッチ樹脂である。
【0009】
また、本発明は、上記の耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)とABS系樹脂(B)とを射出成形して得られた耐熱性樹脂成形体である。
さらに、本発明は、上記の耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)とABS系樹脂(B)とをそのまま射出成形することを特徴とする耐熱性樹脂成形体の製造方法である。
【0010】
本発明の他の発明は、重量平均分子量10万〜13.5万であるマレイミド系共重合体(a)50〜75重量%、ABS系グラフト共重合体(b)25〜50重量%およびAS系共重合体(c)0〜20重量%を含有し、さらに(a)、(b)、(c)の合計量100重量部に対して着色剤(d)0.1〜20重量部および着色剤分散剤(e)0〜10重量部を含有することを特徴とする耐熱性カラーマスターバッチ樹脂である。
【0011】
また、本発明は、上記の耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)とABS系樹脂(B)とを射出成形して得られた耐熱性カラー樹脂成形体である。
さらに、本発明は、上記の耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)とABS系樹脂(B)とをそのまま射出成形することを特徴とする耐熱性カラー樹脂成形体の製造方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は、重量平均分子量10万〜13.5万で、マレイミド系共重合体(a)50〜75重量%、ABS系グラフト共重合体(b)25〜50重量%およびAS系共重合体(c)0〜20重量%を含有する耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)、または重量平均分子量10万〜13.5万であるマレイミド系共重合体(a)50〜75重量%、ABS系グラフト共重合体(b)25〜50重量%およびAS系共重合体(c)0〜20重量%を含有し、さらに(a)、(b)、(c)の合計量100重量部に対して着色剤(d)0.1〜20重量部および着色剤分散剤(e)0〜10重量部を含有する耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)、および該耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)とABS系樹脂(B)とをそのまま射出成形して耐熱性樹脂成形体または耐熱性カラー樹脂成形体を製造する方法である。
【0013】
特に、マレイミド系共重合体(a)として耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)中または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)の(a)+(b)+(c)の合計量100重量部中に、重量平均分子量6万〜10万であるマレイミド系共重合体25〜37.5重量%と重量平均分子量13.5万〜20万であるマレイミド系共重合体25〜37.5重量%とを併用して用いることにより、外観性と耐衝撃性のバランスの優れた耐熱性樹脂成形体または耐熱性カラー樹脂成形体を得ることができる。
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明の耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)に用いることが出来るマレイミド系共重合体(a)について説明する。
【0015】
第一の製法として、芳香族ビニル単量体、不飽和ジカルボン酸イミド誘導体および必要に応じてその他共重合可能なビニル単量体からなる混合物を共重合させる方法によってマレイミド系共重合体を得ることが出来る。
【0016】
第二の製法として、芳香族ビニル単量体、不飽和ジカルボン酸無水物および必要に応じてその他共重合可能なビニル単量体からなる混合物を共重合させた後、アンモニアおよび/又は第一級アミンを反応させて酸無水物基をイミド基に変換させる方法が挙げられ、いずれの方法によってもマレイミド系共重合体を得ることが出来る。
【0017】
第一の製法および第二の製法のいずれの製法においても用いる芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン等のスチレン単量体およびその置換単量体が挙げられ、これらの中で特にスチレンが好ましい。
【0018】
第一の製法で用いられる不飽和ジカルボン酸イミド誘導体としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−アルキルマレイミド、およびN−アリールマレイミド(アリール基としては、例えばフェニル、クロルフェニル、メチルフェニル、メトキシフェニル、トリブロモフェニル等が挙げられる)等のマレイミド誘導体が挙げられ、これらの中で特にN−フェニルマレイミドが好ましい。また、これらの誘導体は二種以上混合して用いることも出来る。
【0019】
第二の製法で用いられる不飽和ジカルボン酸無水物としては、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、アコニット酸等の無水物が挙げられ、これらの中で特にマレイン酸無水物が好ましい。
【0020】
また、第一の製法および第二の製法のいずれの製法においても用いるその他共重合可能なビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体、メチルアクリル酸エステル、エチルアクリル酸エステル等のアクリル酸エステル単量体、メチルメタクリル酸エステル、エチルメタクリル酸エステル等のメタクリル酸エステル単量体、アクリル酸、メタクリル酸等のビニルカルボン酸単量体、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド等の単量体が挙げられる。また、第一の製法では無水マレイン酸も挙げられ、第二の製法では、マレイミド基へ転換されずに残った無水マレイン酸基も、共重合体中に導入することが出来る。
【0021】
また、第二の製法で用いるアンモニアや第一級アミンは無水または水溶液のいずれの状態であってもよく、第一級アミンの例としては、メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、シクロヘキシルアミン等のアルキルアミン、アニリン、トルイジン、クロルアニリン、メトキシアニリン、トリブロモアニリン等の芳香族アミンが挙げられ、これらの中で特にアニリンが好ましい。
【0022】
第一の製法の場合は、懸濁重合、乳化重合、溶液重合、塊状重合等いずれも公知の重合法を用いることが出来る。第二の製法の場合は、塊状−懸濁重合、溶液重合、塊状重合等を好適に採用出来る。
【0023】
マレイミド系共重合体(a)は、芳香族ビニル単量体単位40〜70重量%、不飽和ジカルボン酸イミド誘導体単位30〜60重量%およびその他共重合可能なビニル単量体単位0〜20重量%からなる共重合体である。この範囲を逸脱すると、他の成分との相溶性が劣り、耐衝撃性の低下を招く。より好ましい範囲は、芳香族ビニル単量体単位45〜65重量%、不飽和ジカルボン酸イミド誘導体単位35〜55重量%およびその他共重合可能なビニル単量体単位0〜15重量%である。
【0024】
本発明に用いるマレイミド系共重合体(a)は、重量平均分子量10万〜13.5万の1種のマレイミド系共重合体でもよく、また重量平均分子量が異なる2種以上のマレイミド系共重合体を組み合わせた混合物で、その混合物の重量平均分子量が10万〜13.5万の範囲にあるものであればそのマレイミド系共重合体の混合物を使用することができる。
【0025】
そして、本発明に用いるマレイミド系共重合体(a)としては、重量平均分子量10万〜13.5万、好ましくは11万〜13万であるマレイミド系共重合体を用いると、外観性と耐衝撃性のバランスを改善する効果がある。さらに、本発明に用いるマレイミド系共重合体(a)として、耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)中または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)組成分[(a)+(b)+(c)]中に、重量平均分子量6万〜10万であるマレイミド系共重合体25〜37.5重量%と重量平均分子量13.5万〜20万であるマレイミド系共重合体25〜37.5重量%とを併用して用いることによって、より外観性と耐衝撃性のバランスに優れた耐熱性樹脂成形体または耐熱性カラー樹脂成形体を得ることが出来る。重量平均分子量13.5万を越えるマレイミド系共重合を単独で用いて得られた耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)は、高流動タイプのABS樹脂とは分散が悪く外観不良を生じやすい。また、重量平均分子量10万未満のマレイミド系共重合体を単独で用いて得られた耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)は、高流動タイプのABS系樹脂であっても外観良好であるが耐衝撃性に劣る。
【0026】
次に、ABS系グラフト共重合体(b)について説明する。
ABS系グラフト共重合体(b)は、ゴム状重合体の存在下に、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体および必要に応じてその他共重合可能なビニル単量体からなる単量体混合物を共重合したグラフト共重合体である。
【0027】
ゴム状重合体としては、ブタジェン重合体、ブタジェン−スチレン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジェン共重合体、アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。
【0028】
芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン等のスチレン単量体およびその置換単量体が挙げられ、これらの中で特にスチレンが好ましい。
【0029】
シアン化ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ、これらの中で特にアクリロニトリルが好ましい。
【0030】
また、その他共重合可能なビニル単量体としては、メチルアクリル酸エステル、エチルアクリル酸エステル、ブチルアクリル酸エステル等のアクリル酸エステル単量体、メチルメタクリル酸エステル、エチルメタクリル酸エステル等のメタクリル酸エステル単量体、アクリル酸、メタクリル酸等のビニルカルボン酸単量体、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド等の単量体、並びにマレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−アルキルマレイミド、およびN−アリールマレイミド(アリール基としては、例えばフェニル、クロルフェニル、メチルフェニル、メトキシフェニル、トリブロモフェニル等が挙げられる)等のマレイミド誘導体が挙げられる。これらの中でアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸などの単量体が特に好ましい。
【0031】
ABS系グラフト共重合体(b)の製法は、ゴム状重合体30〜70重量部の存在下に、芳香族ビニル単量体65〜80重量%、シアン化ビニル単量体20〜35重量%およびその他共重合可能なビニル単量体0〜10重量%からなる単量体混合物30〜70重量部をグラフト共重合して得られる。この範囲を逸脱すると、他成分との相溶性が劣り、耐衝撃性の低下を招く。より好ましい範囲は、ゴム状重合体40〜60重量部の存在下に、芳香族ビニル単量体70〜75重量%、シアン化ビニル単量体25〜30重量%およびその他共重合可能なビニル単量体0〜5重量%からなる単量体混合物40〜60重量部をグラフト共重合して得られる範囲である。
【0032】
なお、グラフト共重合においては、通常単量体全量がゴム状重合体上にグラフトすることは困難であり、未グラフト共重合体が副生産される。本発明においては未グラフト共重合体を積極的に分離、除去した真のグラフト共重合体はもちろんのこと、未グラフト共重合体を含有したままのグラフト重合でもよく、グラフト共重合体として用いることができる。
【0033】
また、グラフト共重合体のグラフト率は、[(ゴム状重合体上にグラフトされている共重合体の重量/ゴム状重合体の重量)×100(%)]で表わされ、そのグラフト率の範囲は30〜100%が望ましい。グラフト率が30%未満では、ゴム状重合体が凝集しやすくなるために外観不良が出やすく、また耐衝撃性の低下を招き、またグラフト率が100%を越えると成形加工性の低下を招く。より好ましいグラフト率の範囲は40〜65%である。
【0034】
グラフト重合は公知のいずれの重合技術も採用可能であって、例えば懸濁重合、乳化重合のごとき水性不均一重合、塊状重合、溶液重合および生成重合体の貧溶媒中での沈殿重合等がある。強度に影響を与えるゴム粒径を制御しやすいという点から乳化重合が好ましい。
【0035】
次に必要に応じて用いることが出来るAS系共重合体(c)について説明する。
AS系共重合体は、芳香族ビニル単量体単位、シアン化ビニル単量体単位および必要に応じて用いるその他共重合可能なビニル単量体単位からなる共重合体である。
【0036】
芳香族ビニル単量体としては、前記のABS系グラフト共重合体(b)の製法で用いられる芳香族ビニル単量体として挙げた単量体と同じ単量体種が挙げられ、これらの中でスチレンおよびα−メチルスチレンが特に好ましい。
【0037】
シアン化ビニル単量体としては、前記のABS系グラフト共重合体(b)の製法で用いられるシアン化ビニル単量体として挙げた単量体と同じ単量体種が挙げられ、これらの中で特にアクリロニトリルが好ましい。
【0038】
その他共重合可能なビニル単量体としては、前記のABS系グラフト共重合体(b)の製法で用いるその他共重合可能なビニル単量体として挙げた単量体と同じ単量体種を挙げることが出来る。
【0039】
AS系共重合体(c)は、芳香族ビニル単量体単位65〜80重量%、シアン化ビニル単量体単位20〜35重量%およびその他共重合可能なビニル単量体単位0〜10重量%からなる共重合体である。この範囲を逸脱すると、他成分との相溶性が劣り、耐衝撃性の低下を招く。より好ましい範囲は、芳香族ビニル単量体単位68〜78重量%、シアン化ビニル単量体単位22〜32重量%およびその他共重合可能なビニル単量体単位0〜10重量%である。
【0040】
AS系共重合体(c)は、通常の重合方法で製造できる。例えば懸濁重合、溶液重合、乳化重合等の重合方法が採用される。
【0041】
本発明の耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)の組成は、マレイミド系共重合体(a)50〜75重量%、ABS系グラフト共重合体(b)25〜50重量%およびAS系共重合体(c)0〜20重量%である。さらに好ましい組成は、マレイミド系共重合体(a)55〜70重量%、ABS系グラフト共重合体(b)30〜45重量%およびAS系共重合体(c)0〜10重量%である。
【0042】
本発明の耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)の組成は、マレイミド系共重合体(a)50〜75重量%、ABS系グラフト共重合体(b)25〜50重量%およびAS系共重合体(c)0〜20重量%を含有し、さらに(a)、(b)、(c)の合計量100重量部に対して着色剤(d)0.1〜20重量部および着色剤分散剤(e)0〜10重量部を含有する組成であり、さらに好ましい組成は、マレイミド系共重合体(a)55〜70重量%、ABS系グラフト共重合体(b)30〜45重量%およびAS系共重合体(c)0〜10重量を含有し、さらに(a)、(b)、(c)の合計量100重量部に対して着色剤(d)0.1〜20重量部および着色剤分散剤(e)0〜5重量部を含有する組成である。
【0043】
次に、本発明において用いられる着色剤(d)および着色剤分散剤(e)について説明する。
本発明において、着色剤(d)としては特に制限されないが、耐熱性を有する顔料、染料、その他の加工着色剤を用いるのが好ましく、それらの中で特に顔料、染料が好ましい。
【0044】
本発明において用いられる顔料、染料は特に限定されないが、耐熱性が良好な顔料、染料が望ましい。例えば、顔料としては、酸化チタン、チタンイエロー、弁柄、群青、フタロシアニン系、キナクリドン系、ペリレン系、イソインドリノン系、カーボンブラック等で、染料としては、ペリノン系、アンスラキノン系等が挙げられる。
【0045】
また、着色剤分散剤(e)としては、着色剤を分散する機能を有するものであればよい。着色剤分散剤の中で、顔料、染料分散剤の具体例としては、脂肪酸金属塩、脂肪酸アマイド、脂肪酸エステルなどでABS樹脂との相溶性が比較的良好なものが望ましい。
【0046】
所望の耐熱性樹脂成形体および耐熱性カラー樹脂成形体を得るには、耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)および耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)の耐熱性が高いほど添加量が少なく経済的に有利となる。従って、マレイミド系共重合体の含有量が多く、ABS系グラフト共重合体が少ないほど耐熱性が高くなるので、経済的効果が高くなるが、ABS系グラフト共重合体が25重量%未満では、耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)とABS系樹脂(B)との分散が不均一になり、外観不良が生じ易くなるため好ましくない。マレイミド系共重合体の合計量が50重量%未満では耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)を多く用いることになり経済的効果が低くなるので好ましくない。また、AS系共重合体が20重量%を超える範囲では、射出成形して得られる耐熱性樹脂成形体および耐熱性カラー樹脂成形体の耐衝撃性が低下するので好ましくない。
【0047】
さらに、本発明の耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)中または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)組成分[(a)+(b)+(c)]中に、マレイミド系共重合体(a)は、重量平均分子量10万〜13.5万であるマレイミド系共重合体50〜75重量%を用いることが重要である。さらには、重量平均分子量6万〜10万であるマレイミド系共重合体25〜37.5重量%と重量平均分子量13.5万〜20万であるマレイミド系共重合体25〜37.5重量%とを併用して用いることにより、より一層外観性と耐衝撃性のバランスに優れた耐熱性樹脂成形体および耐熱性カラー樹脂成形体を得ることが出来る。
【0048】
次に、本発明の耐熱性樹脂成形体または耐熱性カラー樹脂成形体は、上記の耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)とABS系樹脂(B)とを射出成形して得ることができる。
本発明に用いるABS系樹脂(B)は、前記で例示した成分組成比をなすABS系グラフト共重合体(b)およびAS系共重合体(c)からなるものが一般的であるが、耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)の製造に用いられた同一のABS系グラフト共重合体(b)およびAS系共重合体(c)に限定されるものではなく市販のABS系樹脂ペレットを好適に用いることができる。
【0049】
市販のABS系樹脂(B)の具体例としては、ABS(アクリロニトリル−ブタジェン−スチレン)樹脂、耐熱ABS(アクリロニトリル−ブタジェン−スチレン−α−メチルスチレン)樹脂、AES(アクリロニトリル−EPDM−スチレン)樹脂、AAS(アクリロニトリル−アクリレート−スチレン)樹脂およびMBS(メチルメタクリレート−ブタジェン−スチレン)樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0050】
本発明の耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)とABS系樹脂(B)との配合割合は、耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)と、ABS系樹脂(B)と、耐熱性樹脂成形体または耐熱性カラー樹脂成形体のそれぞれの耐熱性の温度レベルに応じてその配合割合は変えられ、その範囲は限定されるものではない。一般的には、耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)が5〜55重量%とABS系樹脂(B)が95〜45重量%が好ましい。
【0051】
本発明の耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)とABS系樹脂(B)とをそのまま射出成形機で成形する方法では、射出成形機のシリンダー設定温度は、260℃〜300℃、より好ましくは260℃〜280℃にすることによって、より耐衝撃性や外観性に優れた成形体を得ることが出来る。
【0052】
耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)とABS系樹脂(B)を射出成形機に供給する方法としては、タンブラーミキサーやVブレンダー等の公知の装置を用いてプリブレンドしたものを供給する方法や、射出成形機のホッパーに両樹脂を別々に定量的に供給する方法も採用することが出来る。特に供給する方法にはこだわるものではない。
【0053】
本発明の耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤等を目的に合わせて配合しておくことが出来る。また、耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)とABS系樹脂(B)を射出成形機に供給する際に、これらの添加剤を同時に供給することも出来るが、これらの添加剤がマスターバッチ化されたものを用いることがより好ましい。
【0054】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。実施例中の部、%はいずれも重量基準で表した。
【0055】
(1)原料樹脂
(イ)マレイミド系共重合体(a)
以下に使用したマレイミド系共重合体(a)の製造例を示す。
製造例1
共重合体SMI−1の製造例
撹拌機を備えたオートクレーブ中にスチレン60部、α−メチルスチレンダイマー0.03部、メチルエチルケトン100部を仕込み、系内を窒素ガスで置換した後、温度を85℃に昇温し、無水マレイン酸40部とベンゾイルパーオキサイド0.15部をメチルエチルケトン200部に溶解した溶液を8時間で連続的に添加した。添加後、更に3時間温度を85℃に保った。粘稠な反応液の一部をサンプリングしてガスクロマトグラフィーにより未反応単量体の定量を行なった結果、重合率はスチレン99%、無水マレイン酸98%であった。ここで得られた共重合体溶液にアニリン38部、トリエチルアミン0.6部を加え140℃で7時間反応させた。反応液をベント付き二軸押出機に供給し、脱揮してマレイミド系共重合体を得た。C−13NMR分析より酸無水物基のイミド基への転化率は93%であった。このマレイミド系共重合体は不飽和ジカルボン酸イミド誘導体としてのN−フェニルマレイミド単位を51%含む共重合体であり、これを共重合体SMI−1とした。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析より、ポリスチレン換算の重量平均分子量は170000であった。なお、GPC測定には、昭和電工株式会社製「SHODEX GPC SYSTEM−21」を用い、標準分子量のポリスチレンを用いて作製した検量線を使用し、ポリスチレン換算の重量平均分子量を求めた。
【0056】
製造例2
共重合体SMI−2の製造例
α−メチルスチレンダイマー1.5部を用いた以外は実施例1と同様の方法でN−フェニルマレイミド単位51%、スチレン単位47%、無水マレイン酸単位2%からなる重量平均分子量70000の共重合体を得た。これを共重合体SMI−2とした。
【0057】
製造例3
共重合体SMI−3の製造例
α−メチルスチレンダイマー0.2部を用いた以外は実施例1と同様の方法でN−フェニルマレイミド単位51%、スチレン単位47%、無水マレイン酸単位2%からなる重量平均分子量120000の共重合体を得た。これを共重合体SMI−3とした。
【0058】
上記の使用したマレイミド系共重合体(a)の成分組成比とゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による重量平均分子量を表−1に示す。
【0059】
【表1】
Figure 0003698822
【0060】
(ロ)ABS系グラフト共重合体(b)
以下に使用したABS系グラフト共重合体(b)の製造例を示す。
製造例4
共重合体G−1の製造例
撹拌機を備えた反応缶中にポリブタジェンラテックス114部(固形分35%、重量平均粒径0.25μm、ゲル含率90%)、スチレン−ブタジェンラテックス15部(固形分67%、重量平均粒径0.5μm、ゲル含率15%)、ステアリン酸ソーダ1部、ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.1部、テトラソジウムエチレンジアミンテトラアセチックアシッド0.03部、硫酸第一鉄0.003部、および純水150部を仕込み、温度を50℃に加熱し、これにスチレン70%およびアクリロニトリル30%よりなる単量体混合物50部、t−ドデシルメルカプタン0.2部、キユメンハイドロパーオキサイド0.15部を6時間で連続添加し、さらに添加後65℃に昇温し2時間重合した。重合率は97%に達した。得られたラテックスにイルガノックス1076を0.3部添加した後、5%塩化カルシウム水溶液300部を添加して凝固、水洗、乾燥後白色粉末としてグラフト共重合体を得た。これを共重合体G−1とした。
【0061】
上記の使用したABS系グラフト共重合体(b)の成分組成比、グラフト率および未グラフト共重合体の重量平均分子量を表−2に示す。
【0062】
これらの値は、一定量の試料を温度25℃で、溶媒メチルエチルケトン(MEK)に24時間膨潤させた後、遠心分離した上澄み溶液を未グラフト共重合体とし、GPC測定による重量平均分子量およびゲルタール窒素定量分析による組成分析をおこなった。また遠心分離で沈降したMEK不溶分を取り出し、溶媒を完全に乾燥除去した後、ハロゲン付加法によりゴム状重合体成分を、また下記の式(1)よりグラフト率を求めた。なお、ゴム状重合体成分中のブタジェンゴムとスチレン−ブタジェンゴムの比率は製造時に仕込んだ比率となっているものとした。
【0063】
【数1】
Figure 0003698822
【0064】
【表2】
Figure 0003698822
【0065】
(ハ)AS系共重合体(c)
以下に使用したAS系共重合体(c)の製造例を示す。
製造例5
共重合体AS−1の製造例
撹拌機を備えた反応缶中にスチレン70部、アクリロニトリル30部、第三リン酸カルシウム2.5部、t−ドデシルメルカプタン0.5部、ベンゾイルパーオキサイド0.2部および水250部を仕込み、70℃に昇温し重合を開始させた。重合開始から7時間後に温度を75℃に昇温して3時間保ち重合を完結させた。重合率は97%に達した。得られた反応液に5%塩酸水溶液200部を添加し析出させ、脱水、乾燥後白色ビーズ状の共重合体を得た。これを共重合体AS−1とした。
【0066】
上記の使用したAS系共重合体(c)の成分組成比とGPC測定による重量平均分子量を表−3に示す。
【0067】
【表3】
Figure 0003698822
【0068】
(2)耐熱性マスターバッチ樹脂(A 1 )、耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A 2
耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)および耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)を作成するために、東芝機械株式会社製二軸押出機TEM−35B(スクリュー径37mm、L/D=32)にて、シリンダー設定温度280℃、スクリュー回転数200rpm、原料フィード量20kg/hrの条件にて混練混合を実施した。
【0069】
作成した耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)および耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)の配合比を表−4に示す。作成した耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)および耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)をそれぞれMB−1〜MB−11と称した。
【0070】
【表4】
Figure 0003698822
【0071】
(注)
(1)MB−10、MB−11の色はブラウンで、使用顔料は酸化チタン、チタンイエロー、弁柄、カーボンブラックであり、それ等を配合して調整した。
(2)EBSはエチレンビスステアロアミドを示す。
【0072】
(3)ABS系樹脂(B)
ASTM D−1238に準じて温度220℃、荷重10Kgの条件にて測定したメルトフローレートが40(g/10分)である市販の高流動タイプABS樹脂「QF(電気化学工業株式会社製)」(以下、ABS−1と称する)を用いた。
【0073】
実施例1〜4および比較例1〜7
耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)および耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)は、温度110℃で3時間、ABS系樹脂(B)は温度80℃で3時間の乾燥を行った後、耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)とABS系樹脂(B)を表−5に示す割合でタンブラーミキサーを用いて5分間混合し、射出成形機に供給した。射出成形機は川口鉄工株式会社製射出成形機K−125を用いてオープンノズルにて射出成形を行った。成形条件は次の通りである。
【0074】
シリンダー設定温度;260℃
射出圧力;最小充填圧力+5Kg/cm2
射出速度;70%
金型温度;60℃
スクリュー;フルフライトスクリュー
耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)とABS系樹脂(B)とを表−5に示す配合比で前記成形条件でそれぞれの評価用試験片を成形し、IZOD衝撃強度、ビカット軟化点、外観評価を行いその結果も合わせて示した。
【0075】
また、物性の測定条件および外観評価は次の通りである。
(1)IZOD衝撃強度は、ASTM D256に従い、厚み1/4インチのノッチ付き試験片を測定温度23℃、測定湿度50%RHの条件下で測定した。
(2)ビカット軟化点は、JIS K7206に従い、1/4インチ試験片を使用し、5kg荷重、昇温速度50℃/hrで測定した。
【0076】
(3)外観評価は、縦120mm、横40mm、肉厚はゲート側より40mm間隔で3mm、2mm、1mmの3段プレートを使用した。この成形品のゲートは、肉厚3mm部側面にサイドゲートが設置されている。耐熱性マスターバッチ樹脂または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂がABS樹脂中に均一に分散していない場合、ヘアライン状の外観不良が発生する。また、ある程度均一に分散していても微分散していない場合は光沢が低くなる。外観評価の判定は、この不良現象が一見して分かるものを×、不良現象が凝視すると発見できるものを△、不良現象はないが光沢が低いものを○、不良現象がなく光沢良好なものを◎で表した。
【0077】
【表5】
Figure 0003698822
【0078】
本発明の実施例1から実施例4では、耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)と高流動タイプのABS樹脂(B)を、押出機等による混練操作を経ずに直接成形して所望する耐熱性樹脂成形体または耐熱性カラー樹脂成形体が得られている。
また、実施例1と実施例3を比較すると、重量平均分子量17万と重量平均分子量7万のマレイミド系共重合体を併用している実施例1の方が、重量平均分子量12万のマレイミド系共重合体単独使用よりも衝撃強度と外観のバランスが優れている。
【0079】
比較例1では、用いた耐熱性マスターバッチ樹脂MB−4中のマレイミド系共重合体が、重量平均分子量7万であるマレイミド系共重合体単独であるために衝撃強度が劣っている。
比較例2、比較例5および比較例7では、用いた耐熱性マスターバッチ樹脂MB−5、MB−8および耐熱性カラーマスターバッチ樹脂MB−11中のマレイミド系共重合体が、重量平均分子量17万であるマレイミド系共重合体単独であるために耐熱性マスターバッチ樹脂または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂と高流動タイプABS樹脂との分散が悪く、外観不良が現れている。
【0080】
比較例3では、用いた耐熱性マスターバッチ樹脂MB−6中のマレイミド系共重合体が、重量平均分子量17万のマレイミド系共重合体と重量平均分子量7万であるマレイミド系共重合体とを併用しているが、重量平均分子量が13.5万を超えているために併用の効果がなく、外観不良が現れている。
【0081】
比較例4では、用いた耐熱性マスターバッチ樹脂MB−7中のマレイミド系共重合体が、重量平均分子量17万のマレイミド系共重合体と重量平均分子量7万であるマレイミド系共重合体とを併用しているが、重量平均分子量が10万よりも小さいために衝撃強度が劣っている。
比較例6では、用いた耐熱性マスターバッチ樹脂MB−9中のAS系共重合体が20重量%を超えているために耐衝撃性が劣っている。
【0082】
【発明の効果】
本発明の耐熱性マスターバッチ樹脂または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂を用いた本発明の成形方法によれば、耐熱性マスターバッチ樹脂または耐熱性カラーマスターバッチ樹脂とABS系樹脂とをそのまま射出成形機にて成形することにより、衝撃強度と外観性に優れた耐熱性樹脂成形体または耐熱性カラー樹脂成形体を、経済的に有利に得ることができ、従来から耐熱性ABS系樹脂が用いられてきた自動車部品、電気・電子部品、家電部品、雑貨等のあらゆる分野の射出成形部品へ適用することができる。

Claims (14)

  1. 重量平均分子量10万〜13.5万であるマレイミド系共重合体(a)50〜75重量%、ABS系グラフト共重合体(b)25〜50重量%およびAS系共重合体(c)0〜20重量%を含有することを特徴とする耐熱性マスターバッチ樹脂。
  2. マレイミド系共重合体(a)が、耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)中に重量平均分子量6万〜10万であるマレイミド系共重合体25〜37.5重量%と重量平均分子量13.5万〜20万であるマレイミド系共重合体25〜37.5重量%とを含有することを特徴とする請求項1記載の耐熱性マスターバッチ樹脂。
  3. マレイミド系共重合体(a)が芳香族ビニル単量体単位40〜70重量%、不飽和ジカルボン酸イミド誘導体単位30〜60重量%およびその他共重合可能なビニル単量体単位0〜20重量%からなる共重合体、
    ABS系グラフト共重合体(b)がゴム状重合体30〜70重量部の存在下に、芳香族ビニル単量体65〜80重量%、シアン化ビニル単量体20〜35重量%およびその他共重合可能なビニル単量体0〜10重量%からなる単量体混合物30〜70重量部をグラフト共重合して得られる共重合体、
    およびAS系共重合体(c)が芳香族ビニル単量体単位65〜80重量%、シアン化ビニル単量体単位20〜35重量%およびその他共重合可能なビニル単量体単位0〜10重量%からなる共重合体からなることを特徴とする請求項1記載の耐熱性マスターバッチ樹脂。
  4. 請求項1乃至3のいずれかの項に記載の耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)とABS系樹脂(B)とを射出成形して得られた耐熱性樹脂成形体。
  5. ABS系樹脂(B)としてABS樹脂、耐熱ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂およびMBS樹脂よりなる群から選ばれた1種または2種以上の樹脂を用いることを特徴とする請求項4記載の耐熱性樹脂成形体。
  6. 請求項1乃至3のいずれかの項に記載の耐熱性マスターバッチ樹脂(A1)とABS系樹脂(B)とをそのまま射出成形することを特徴とする耐熱性樹脂成形体の製造方法。
  7. ABS系樹脂(B)としてABS樹脂、耐熱ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂およびMBS樹脂よりなる群から選ばれた1種または2種以上の樹脂を用いることを特徴とする請求項6記載の耐熱性樹脂成形体の製造方法。
  8. 重量平均分子量10万〜13.5万であるマレイミド系共重合体(a)50〜75重量%、ABS系グラフト共重合体(b)25〜50重量%およびAS系共重合体(c)0〜20重量%を含有し、さらに(a)、(b)、(c)の合計量100重量部に対して着色剤(d)0.1〜20重量部および着色剤分散剤(e)0〜10重量部を含有することを特徴とする耐熱性カラーマスターバッチ樹脂。
  9. マレイミド系共重合体(a)が、(a)+(b)+(c)の合計量100重量部中に重量平均分子量6万〜10万であるマレイミド系共重合体25〜37.5重量%と重量平均分子量13.5万〜20万であるマレイミド系共重合体25〜37.5重量%とを含有することを特徴とする請求項8記載の耐熱性カラーマスターバッチ樹脂。
  10. マレイミド系共重合体(a)が芳香族ビニル単量体単位40〜70重量%、不飽和ジカルボン酸イミド誘導体単位30〜60重量%およびその他共重合可能なビニル単量体単位0〜20重量%からなる共重合体、
    ABS系グラフト共重合体(b)がゴム状重合体30〜70重量部の存在下に、芳香族ビニル単量体65〜80重量%、シアン化ビニル単量体20〜35重量%およびその他共重合可能なビニル単量体0〜10重量%からなる単量体混合物30〜70重量部をグラフト共重合して得られる共重合体、
    およびAS系共重合体(c)が芳香族ビニル単量体単位65〜80重量%、シアン化ビニル単量体単位20〜35重量%およびその他共重合可能なビニル単量体単位0〜10重量%からなる共重合体からなることを特徴とする請求項8記載の耐熱性カラーマスターバッチ樹脂。
  11. 請求項8乃至10のいずれかの項に記載の耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)とABS系樹脂(B)とを射出成形して得られた耐熱性カラー樹脂成形体。
  12. ABS系樹脂(B)としてABS樹脂、耐熱ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂およびMBS樹脂よりなる群から選ばれた1種または2種以上の樹脂を用いることを特徴とする請求項11記載の耐熱性カラー樹脂成形体。
  13. 請求項8乃至10のいずれかの項に記載の耐熱性カラーマスターバッチ樹脂(A2)とABS系樹脂(B)とをそのまま射出成形することを特徴とする耐熱性カラー樹脂成形体の製造方法。
  14. ABS系樹脂(B)としてABS樹脂、耐熱ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂およびMBS樹脂よりなる群から選ばれた1種または2種以上の樹脂を用いることを特徴とする請求項13記載の耐熱性カラー樹脂成形体の製造方法。
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