JPH0621219B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH0621219B2
JPH0621219B2 JP29452786A JP29452786A JPH0621219B2 JP H0621219 B2 JPH0621219 B2 JP H0621219B2 JP 29452786 A JP29452786 A JP 29452786A JP 29452786 A JP29452786 A JP 29452786A JP H0621219 B2 JPH0621219 B2 JP H0621219B2
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thermoplastic resin
styrene
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hydroxyl group
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祐輔 津田
貴志 蔵田
康之 下里
友治 山元
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Japan Synthetic Rubber Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 a.産業上の利用分野 本発明は、耐薬品性の優れた熱可塑性樹脂組成物に関す
る。
b.従来の技術 従来、ゴム状重合体で変性されたスチレン系熱可塑性樹
脂は、優れた成形性、成形品外観性、機械的強度に加え
て耐衝撃性が改善されるため、幅広い用途に利用され
る。
ところが、これらゴム変性スチレン系熱可塑性樹脂は耐
薬品性という点では他のポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリアミドなどの結晶性樹脂やフッ素樹脂あるいは
熱硬化性樹脂などよりも劣るので、この点についての改
良が望まれていた。特に、溶剤と応力との相互作用によ
って生じるき裂、すなわちソルベントストレスクラッキ
ング(solvent stress cracking)は工業的に使用する
上で重要な問題点となっている。
このようなソルベントクラッキングは、実際に塩化ビニ
ル樹脂とゴム変性スチレン系樹脂とが接触している部品
では、塩化ビニル樹脂中に含まれる可塑剤がゴム変性ス
チレン系樹脂に及ぼす影響によって、ゴム変性スチレン
系樹脂にき裂が生じるといった現象が起ることがあり、
このような現象の起らない耐可塑性の良好なゴム変性ス
チレン系樹脂が開発されることが望まれていた。
そこでゴム変性スチレン系樹脂の耐薬品性を向上させる
ために、従来(i)スチレン系基質部分にアクリロニトリ
ルなどの極性基を有する化合物を多量に導入する方法
(例えば特開昭59−53513号明細書など)や(ii)ポリプ
ロピレン、ポリアミドなどの結晶性樹脂を混合する方法
(例えば特開昭57−53549号明細書、特公昭38−23476号
公報)などの方法が知られている。
c.発明が解決しようとする問題点 しかしながら、このような従来法の前記(i)の方法では
耐薬品性の向上が十分でなく、また、樹脂中に極性基を
多量に導入するために流動性が低下して成形加工性が劣
ると云った欠点を有している。
また、前記従来法の(ii)の方法の場合には耐薬品性の大
幅な改良効果の向上が見られるが、ゴム変性スチレン系
樹脂との相溶性が悪くなり、その結果、耐衝撃性の低下
や層状はく離が見られるといった欠点を有していた。
一方、前記相溶性を改良する手法として、ゴム変性スチ
レン系樹脂に特定の単量体を共重合する方法、例えばゴ
ム変性スチレン系樹脂の製造時にエチレン系不飽和カル
ボンアミドを共重合した後ポリアミドと混合する方法
(特開昭58−93745号明細書)などが知られているが、
本発明者らの追試実験によれば、相溶性の向上効果も十
分とはいえず、しかも得られる樹脂は着色しているとい
う欠点を有していた。
d.問題点を解決するための手段 本発明者らは、このような従来の問題点を解決するため
に、結晶性樹脂を混合し、さらにゴム変性スチレン系樹
脂との相溶性を向上させることを主目的として鋭意検討
した結果、特定量の共重合可能な水酸基含有ビニル単量
体を共重合して、水酸基含有ビニル単量体を共重合成分
として含有するゴム変性スチレン系熱可塑性樹脂成分と
ポリアミド樹脂成分とを特定の割合で混合した場合に、
耐薬品性が優れ、かつ耐衝撃性などの一般物性も良好で
あり上記従来の課題を改善した熱可塑性樹脂組成物が得
られることを見い出して、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、ゴム変性スチレン系重合体または
ゴム変性スチレン系重合体とスチレン系重合体とからな
り、該重合体の少なくとも1つに水酸基含有ビニル単量
体を共重合成分として含有するゴム変性スチレン系熱可
塑性樹脂成分60〜98重量%と、ポリアミド樹脂成分2〜
40重量%とからなる組成物中に前記水酸基含有ビニル単
量体を共重合成分として0.5〜15重量%含有しているこ
とを特徴とする熱可塑性樹脂組成物である。
e.発明の具体的な説明 (A)ゴム変性スチレン系熱可塑性樹脂成分 本発明において使用されるゴム変性スチレン系熱可塑性
樹脂成分としては、ゴム変性スチレン系重合体または
ゴム変性スチレン系重合体とスチレン系重合体(ゴム
変性してないもの)との混合物であり、高度の耐衝撃性
を得る目的でゴム質重合体を特定なスチレン系重合体中
に混合したものである。該混合方法としては単純な機械
的なブレンド方法でもかまわないが、良好な相溶性を得
るためには、ゴム質重合体の存在下にスチレン系単量体
などをグラフト共重合させるいわゆるグラフト共重合処
方向によって得られたものが一層好ましいものである。
また、該方法で得られるゴム変性スチレン系重合体(グ
ラフト重合体)に、別途方法によって得られるスチレン
系重合体を混合するいわゆるグラフト−ブレンド法によ
って得られたものを用いることも好ましい。
ゴム質重合体 前記ゴム質重合体として用いられるものの種類として
は、ポリブタジエン、スチレンブタジエン共重合体、ア
クリル系共重合体、エチレン・プロピレン系共重合体、
塩素化ポリエチレン、ポリウレタンなどが挙げられる
が、中でもポリブタジエンを用いることが好ましいもの
である。
ゴム変性スチレン系熱可塑性樹脂 本発明において用いられるゴム変性スチレン系熱可塑性
樹脂成分としては、ゴム変性スチレン系重合体または
ゴム変性スチレン系重合体と、スチレン系重合体との
混合物からなるものである。の場合にはその重合体中
に水酸基含有ビニル単量体を共重合成分として含有する
ものであり、の混合物の場合にはその少なくとも一方
の重合体中に、スチレン系単量体と該スチレン系単量体
と共重合して共重合成分として水酸基含有ビニル単量体
を含有するものである。
前記スチレン系単量体としてはスチレン、α−メチルス
チレン、ブロモスチレンなどがあるが、これらの中でも
スチレンを用いることが最適である。
また、前記水酸基含有ビニル単量体としては、例えばヒ
ドロキシスチレン、アクリル酸−2−ヒドロキシエチ
ル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸
−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−2−ヒドロ
キシプロピルなどが挙げられ、これらの中でもメタクリ
ル酸−2−ヒドロキシエチルを用いることが好ましい。
前記水酸基含有ビニル単量体は後記ポリアミド樹脂成分
を配合した全組成物中に0.5〜15重量%、好ましくは1
〜10重量%の量で用いることが重要である。該使用量が
0.5重量%未満の場合にはポリアミド樹脂成分との相溶
性が低下し、結果として耐衝撃性が低下するため好まし
くない。また、その量が15重量%を越える場合は耐衝撃
性および流動性が低下して、成形品の表面光沢が低下す
るため好ましくない。
さらに、必要に応じてこれらスチレン系単量体と共重合
可能な前記水酸基含有ビニル単量体以外の共単量体を用
いて共重合することが可能である。このような共単量体
としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メ
チルメタクリレート、N−フェニルマレイミド、N−シ
クロヘキシルマレイミドなどが列記される。
一般にスチレン系単量体単独では耐衝撃性が発現しにく
いのでアクリロニトリルを共重合させるのが好ましい。
ゴム変性スチレン系熱可塑性樹脂に水酸基含有ビニル単
量体を共重合させる場合に存在させてグラフト共重合さ
せる基材としては、1)ゴム質重合体、2)グラフト重合体
のグラフト層、または3)非グラフトスチレン系重合体な
どが挙げられるが、これらの中でも2)または3)、特に3)
であることが好ましい。
このようにして得られるゴム変性スチレン系熱可塑性樹
脂を具体的に示せば、従来のアクリロニトリル−ブタジ
エン−スチレン樹脂(ABS樹脂)、アクリロニトリル−
エチレンプロピレン−スチレン樹脂(AES樹脂)、メタ
クリル酸メチル−ブタジエン−スチレン樹脂(MBS樹
脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸メ
チル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−n−ブチルア
クリレート−スチレン樹脂(AAS樹脂)、ゴム変性ポリ
スチレン(ハイインパクトポリスチレン:HIPS)、α−
メチルスチレンを用いた耐熱ゴム変性スチレン系樹脂な
どの共重合体樹脂を製造する際に、前記共重合体樹脂中
もしくは前記共重合体樹脂に混合するスチレン系重合体
中にスチレン単量体の一部を水酸基含有ビニル単量体に
替えて重合して得られる、前記共重合体中に水酸基含有
ビニル単量体を含有させて成るものである。これらゴム
変性スチレン系熱可塑性樹脂の中でも前記従来のABS樹
脂中に水酸基含有ビニル単量体を共重合して含有させた
ものが最適である。
製造 上記のゴム変性スチレン系熱可塑性樹脂は乳化重合、溶
液重合、塊状重合、懸濁重合などによって製造される。
また、該重合に用いられる重合開始剤、分子量調節剤、
乳化剤、分散剤、溶媒などとしては通常これら重合法で
用いられているものをそのまま用いることが可能であ
る。前記製造方法の好ましい方法としては乳化重合によ
り得られるゴム質重合体の存在下に単量体および追加の
乳化剤、単量体、重合開始剤を用いて一般に重合温度30
〜150℃、重合時間1〜15時間、重合圧力−1.0〜5.0kg/
cm2の条件下でグラフト共重合して得られるグラフト共
重合体(但し未グラフトのスチレン系重合体を含む)と
乳化重合もしくは溶液重合により得られたスチレン系重
合体とを混合することによって製造する方法である。
(B)ポリアミド樹脂成分 本発明に用いられるポリアミド樹脂成分としては、通常
ナイロン樹脂として知られている射出成形可能なポリア
ミド樹脂であり、例えばポリカプロラクタム(ナイロン
6)のようなポリラクタム、あるいはプポリヘキサメチ
レンアジポアミド(ナイロン6,6)、ポリヘキサメチ
レンアジパミド(ナイロン6,10)、ポリテトラメチレ
ンアジパミド(ナイロン4,6)などの脂肪族ジアミン
と脂肪族ジカルボン酸より得られるポリアミド樹脂があ
る。
これらポリアミド樹脂の中でもナイロン6、あるいはナ
イロン6,6を用いることが好ましい。
(C)熱可塑性樹脂組成物の製造 ゴム変性スチレン系熱可塑性樹脂成分とポリアミド樹脂
成分とを混合して熱可塑性樹脂組成物を製造するのであ
るが、その具体的な方法としては以下の通りである。
組成 ゴム変性スチレン系熱可塑性樹脂は前記組成物中に60〜
98重量%、好ましくは70〜5重量%含有するように配合
される。60重量%未満の場合には得られた樹脂の熱変形
温度と耐衝撃性が低下するので好ましくない。また、含
有量が98重量%を越える場合には耐薬品性が低下するの
で好ましくない。
次に前記ポリアミド樹脂成分は、前記組成物中に2〜40
重量%、好ましくは5〜30重量%含有させることが重要
である。前記組成物中に含まれるポリアミド樹脂成分が
2重量%未満の場合には、得られた熱可塑性樹脂の組成
物の耐薬品性が低下するので好ましくない。また、該ポ
リアミド樹脂成分が40重量%を越える場合は、熱変形温
度と耐衝撃性が低下するので好ましくない。
混合 前記ゴム変性スチレン系熱可塑性樹脂成分とポリアミド
樹脂成分の混合方法としては、バンバリーミキサー、ブ
ラベンダー、プラストミル、ニーダー、ベント付き押出
機など、通常の熱可塑性樹脂の混合に用いられる各種の
混合装置および方法を用いることができるが、これら方
法の中でもベント付き押出機を用いる方法が好ましい。
また、混合する前の各成分樹脂の形態としてはペレッ
ト、ビーズ、粉末、フレークなどいずれの場合でも混合
可能であるが、混合する温度は混合するポリアミドの融
点以上の温度が必要であり、一般に約210〜330℃の温度
であることが好ましい。また、一般にゴム変性熱可塑性
樹脂は300℃を越える温度では熱的に不安定であるた
め、最適温度は210〜300℃である。
なお、ゴム変性スチレン系熱可塑性樹脂をグラフト−ブ
レンド法によって製造する場合には、グラフト重合体、
スチレン系重合体およびポリアミド樹脂の三者を同時に
混合することが可能である。
作用 このようにして配合された熱可塑性樹脂は、ゴム変性ス
チレン系熱可塑性樹脂中に水酸基含有ビニル単量体が導
入されているので、該水酸基が相溶性を向上するための
作用に何らかの寄与をしているものと考えられる。
一般に、構造の類似した化合物は溶け合うというのが化
学通念であるが、かかる発想に基づけば、前述の特開昭
58−93745号明細書中で述べられている変性スチレン樹
脂にエチレン系不飽和カルボンアミドを共重合させてポ
リアミド樹脂との相溶性を向上させる方法は、ポリアミ
ド樹脂と構造の類似したカルボンアミドを分子中に導入
させるという発想と同一のことであり、前記一般概念と
同じでその効果も優れていると予想することができる。
しかしながら、このような分子中に水酸基を導入させて
相溶性を向上させる方法は、水酸基と含有ビニル単量体
とポリアミド樹脂とはそれほど類似の構造をした化合物
であるとは言えず、このような効果が発現することは全
く予想外のことである。
本発明の効果はその詳細については不明であるが、おそ
らく水酸基とアミド結合との間に水素結合のごとき分子
間力が働き、これが相溶性に寄与しているであろうこ
と、或いはポリアミド樹脂の末端のアミノ基またはカル
ボキシル基と水酸基が反応して、これが相溶性に寄与し
ているためとも考えられるが現在のところ不明である。
(D)その他の配合例 本発明の熱可塑性樹脂組成物は、前記必須成分の他に必
要に応じて骨材帯電防止材、酸化防止剤、難燃剤、紫外
線吸収剤、光酸化防止剤、着色材、ガラス繊維などの無
機質充填材など、この種熱可塑性樹脂組成物において通
常用いられる配合剤や添加剤を混合することが可能であ
る。
f.実施例 次に、本発明を実施例によりさらに詳述する。本実施例
中の重量部は単に「部」と省略する。
製造例1(グラフト共重合体G-1、G-2) 撹拌翼を備えた7ガラス製フラスコに、表−1に示す
バッチ仕込みの組成で薬液を加え、窒素でフラスコ内部
の空気を置換した後、ジャケットを70℃にコントロール
しながらフラスコ内部を40℃に昇温する。そして、水10
部に溶解したピロリン酸ナトリウム0.3部、デキストロ
ーズ0.35部、硫酸第1鉄0.01部とクメンハイドロパーオ
キサイド0.1部を添加して重合反応を開始させた。
反応を開始してから1時間後に、表−1に示すインクレ
メント混合物の薬液を3時間にわたって連続的に添加し
た後、さらに1時間反応を続けた。
得られたグラフト共重合体ラテックスに老化防止剤とし
て2,6−ジ−tert−ブチルパラクレゾール1.0部を添
加した後、硫酸(ポリマー100部に対し2部)を加えて9
0℃で凝固させた。そして、これを分離、水洗、脱水、
乾燥してグラフト共重合体G-1、G-2を得た。
製造例2(スチレン系重合体M-1〜M-6) 撹拌翼を備えた7ガラス製フラスコに、表−2に示す
薬液を加え、窒素で内部の空気を置換した後、ジャケッ
トを70℃にコントロールしながら内部を50℃に昇温し
た。そして、水4部に溶解した過硫酸カリ0.3部と水1
部に溶解させた亜硫酸ナトリウム0.1部を添加して3時
間共重合反応を行なった。
得られたスチレン系重合体ラテックスに塩化カルシウム
(ポリマー100部に対して2部)を加え、90℃で凝固さ
せた。そしてこれを分離、水洗、脱水、乾燥して表−2
のスチレン系重合体M-1〜M-6を得た。
製造例3(グラフト重合体G-3) パドル型撹拌翼を備えたステンレス製反応器内を窒素で
置換した後、ヨウ素価15、ムーニー粘度65、プロピレン
含有率43重量%、ジエン成分としてエチリデンノルボル
ネンを含むEPDM(日本合成ゴム株式会社製造JSR EP−2
4)24部、スチレン56部、アクリロニトリル20部、トル
エン100部を仕込み、50℃にてゴムが完全に溶解するま
で撹拌し、t−ドデシルメルカプタン0.1部、ジベンゾ
イルパーオキサイド0.2部、t−ブチルパーオキシ−1
−プロピルカーボネート0.2部、ジクミルパーオキサイ
ド0.1部を加えた後昇温し、80℃で3時間、引き続き100
℃に昇温して3時間、さらに125℃に昇温して3時間、
合計9時間重合反応を行なった。
水蒸気蒸留によって未反応単量体と溶媒を留去した後、
粉砕、乾燥して重合体を得た。
実施例1〜9、比較例1〜7 製造例−1で得られたグラフト共重合体G-1、G-2、製造
例2で得られたスチレン系重合体M-1〜M-6、日本合成ゴ
ム(株)製スチレン−アクリロニトリル系重合体樹脂AS
−240(結合アクリロニトリル24.5重量%、メチルエチ
ルトケン30℃での〔η〕=0.60)、および東レ(株)製
ナイロン6、アミランCM−1017を表−3に示す配合割合
でヘンシェルミキサーを用いて混合した。
なお、該混合時にはエチレンビスステアリルアミド0.63
部、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイ
ト0.80部およびマグネシウムステアレート0.13部を添加
剤成分として加えた。
さらに前記混合物を30m/m二軸ベント付き押出機を用い
て230℃の温度で造粒し、90℃で乾燥させた後、230℃で
射出成形を行なって、表−3に示す各種物性を測定し
た。
なお、物性測定の条件は以下に示すごとき方法によって
測定した。
アイゾット衝撃強度:ASTM D256(ノッチ付き) メルトフローインデックス:ASTM D1238(240℃) 加熱変形温度:ASTM D648(荷重18.6kg/cm2、アニール
なし) 光沢度:ASTM D523(3mm厚さ) 定歪ソルベントクラック:試験片(1/8″×1/5″×
5″)に歪率0.5%の定歪を加え、たわみ部分にブレー
キオイル(BOと略す)を塗布し、23℃にて放置したとき
の破断に至るまでの時間を測定した。また歪率1.0%の
条件でジオクチルフタレート(DOPと略す)を用い同様
の測定を行った。時間が長い程、耐薬品性は良好であ
る。BOの場合、5Hr以上(通常のABSで数分)、DOPの
場合10Hr以上(通常のABSで数時間)を目標値とした。
実施例1〜9に示す様に、本発明の熱可塑製樹脂組成物
はアイゾット衝撃強度で示される耐衝撃性、メルトフロ
ーインデックスで示される流動特性、加熱変形温度で示
される耐熱性および光沢度で示される成形品の表面外観
などの、通常ゴム変性スチレン系熱可塑性樹脂に要求さ
れる各物性を満足しており、かつ定歪ソルベントクラッ
クで例示される耐薬品性が極めて良好なものであった。
また、実施例7〜9では耐衝撃性が特に優れ、一般的な
ABS樹脂(比較例1)のアイゾット衝撃強度を大幅に改
善している。
比較例1において本発明の熱可塑性樹脂組成物の範囲外
である一般的なABS樹脂の物性値を示すが、耐薬品性が
十分でない。
また、比較例2では水酸基含有ビニル単量体を共重合し
ない通常のABS樹脂成分とポリアミド樹脂成分の単純ブ
レンド物を示すが、耐薬品性は良好であるが、耐衝撃性
が著しく低下する。
さらに、比較例3,4は本発明の水酸基含有ビニル単量
体を共重合したゴム変性スチレン系熱可塑性樹脂成分と
ポリアミド樹脂成分との混合割合に関する範囲外の例を
説明したものである。ポリアミド樹脂成分が2重量%未
満で該ゴム変性スチレン系熱可塑性樹脂成分が98重量%
を越える場合は耐薬品性が十分でないことを示している
(比較例3)。またポリアミド樹脂成分が40重量%を越
え、該ゴム変性スチレン系熱可塑性樹脂成分が60重量%
未満の場合は、耐薬品性は良好であるが、熱変形温度と
耐衝撃性が低下し好ましくないことを示している(比較
例4)。
さらに、比較例5、6はゴム変性スチレン系熱可塑性樹
脂成分中の水酸基含有ビニル単量体の含有量に関して範
囲外の例を説明したものであるが、水酸基含有ビニル単
量体の含有量が0.5重量%未満の場合は耐衝撃性が低下
し好ましくないことを示している(比較例5)。また、
その含有量が15重量%を越える場合には耐衝撃性および
流動性が低下して光沢度が低下するので好ましくないこ
とを示している(比較例6)。
そして比較例7は水酸基含有ビニル単量体を用いずにア
クリルアミドを共重合した例であるが、耐衝撃性が十分
でなく、また成形品が黄色に着色するという欠点を有し
ていることを示している。
実施例10、11 実施例1、2と同様の実験をポリアミドとしてナイロン
6,6(東レ製アミランCM3001N)を用いて行った。た
だし、押出、射出成形の温度は275℃とした。得られた
結果を表−4に示す。耐薬品性および一般物性が共に良
好な熱可塑性樹脂が得られた。
摺動特性および塗装性の評価 耐薬品性以外の実用物性として摺動特性および塗装性の
評価を、実施例1、2および比較例1で得られた成形品
について行った。結果を表−5に示す。
測定方法は以下に示す方法により行なった。
摺動特性および塗装性ともに、本発明の熱可塑性樹脂組
成物は通常のゴム変性スチレン系熱可塑性樹脂と比較し
良好である。
摺動特性 回転円板上に円柱形の試料(5mmφ×30mm)を3本取り
つけ、金属円板に一定圧力で押付け、定速で回転させた
とき発生するトルクを測定し、動摩擦係数を次式により
算出する。f=F/P(F:摩擦力、P:垂直力、f:
動摩擦係数) 動摩擦係数が低い程、摺動特性は良好である。
塗装性 外観 成形品(板状)に日本油脂工業(株)製ウレタン塗料ハ
イウレタン#5000を塗膜厚み2μでウレタン塗装を行っ
た。70℃×20分乾燥後の塗膜表面のクラック、クレー
ズ、吸い込みの発生状態および外観を以下の評価基準に
従って目視評価した。
◎;非常に良好、〇;良好、△;若干劣る、×;悪い 密着性 上記外観状態を観察した不塗り品に上記ウレタン塗料を
40μ厚さに再塗装した。
密着性は再塗装後の塗膜の状態を観察し、以下の評価基
準に従って評価した。
◎;非常に良好、〇;良好、△;やや塗膜がふくれてい
る、×;塗膜のふくれが大きい 実施例12、13および比較例8、9 製造例3で得られたグラフト重合体G-3、製造例2で得
られたスチレン系重合体M-4を用い、実施例1〜6、比
較例1〜7と同様の実験を行った。表−6にその結果を
示す様にAES樹脂を使用した場合においても本発明の効
果が得られ、一般物性が良好でかつ耐薬品性が良好なも
のであった。
g.発明の効果 本発明の熱可塑性樹脂組成物は前記実施例などで述べた
ごとく、耐薬品性、耐衝撃性が優れ、かつ成形品などの
他の一般的物性にも良好な熱可塑性樹脂組成物である。
また、摺動特性および塗装性に優れ、しかもソルベント
ストレスクラッキングに優れているので工業的に極めて
有用な樹脂組成物である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)ゴム変性スチレン系重合体またはゴム
    変性スチレン系重合体とスチレン系重合体とからなり、
    該重合体の少なくとも1つに水酸基含有ビニル単量体を
    共重合成分として含有するゴム変性スチレン系熱可塑性
    樹脂成分60〜98%と(B)ポリアミド樹脂成分2〜40重量
    %とからなる組成物中に前記水酸基含有ビニル単量体を
    共重合成分として0.5〜15重量%含有していることを特
    徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】水酸基含有ビニル単量体がメタクリル酸2
    −ヒドロキシエチルである特許請求の範囲第(1)項に記
    載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】ゴム変性スチレン系熱可塑性樹脂がABS樹
    脂である特許請求の範囲第(1)項に記載の熱可塑性樹脂
    組成物。
  4. 【請求項4】ポリアミド樹脂がナイロン6である特許請
    求の範囲第(1)項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】水酸基含有ビニル単量体がメタクリル酸2
    −ヒドロキシエチルで、ゴム変性スチレン系熱可塑性樹
    脂成分がABS樹脂であり、かつポリアミド樹脂成分がナ
    イロン6である特許請求の範囲第(1)項に記載の熱可塑
    性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】水酸基含有ビニル単量体を共重合成分とし
    て含有するゴム変性スチレン系熱可塑性樹脂成分が、ゴ
    ム変性スチレン系重合体と水酸基含有ビニル単量体を共
    重合したスチレン系重合体とからなるゴム変性スチレン
    系熱可塑性樹脂である特許請求の範囲第(1)項に記載の
    熱可塑性重組成物。
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