JPH05117487A - ゴム強化スチレン系樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

ゴム強化スチレン系樹脂組成物およびその製造方法

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JPH05117487A
JPH05117487A JP4081443A JP8144392A JPH05117487A JP H05117487 A JPH05117487 A JP H05117487A JP 4081443 A JP4081443 A JP 4081443A JP 8144392 A JP8144392 A JP 8144392A JP H05117487 A JPH05117487 A JP H05117487A
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Japan
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weight
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rubber
polymer
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JP4081443A
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English (en)
Inventor
Masahiko Noro
雅彦 野呂
Noriaki Ijiyuuin
乗明 伊集院
Akio Matsuda
昭生 松田
Kenju Furuyama
建樹 古山
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JSR Corp
Original Assignee
Japan Synthetic Rubber Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 (イ)グラフト率30重量%未満のグラフト
化されたゴム状重合体成分2〜30重量%、(ロ)グラ
フト率30重量%以上のグラフト化されたゴム状重合体
成分5〜40重量%、および(ハ)スチレン系重合体4
0〜93重量%を主成分とするゴム強化スチレン系樹脂
組成物。 【効果】 艶消しが均一で、かつ耐衝撃性、成形加工
性、耐熱性などの物性バランスが高い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐熱性、耐衝撃性、加
工性に優れたゴム強化スチレン系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ゴム強化熱可塑性樹脂は、優れた耐衝撃
性、加工性および表面光沢を有することから、種々の用
途に使用されている。しかしながら、車両内装などの用
途によっては、成形品の表面の艶消しが必要となる場合
がある。また、用途によっては、さらに耐熱性も必要で
ある。従来、成形品の艶消し方法としては、マグネシウ
ム、カルシウムなどの酸化物を添加する方法が知られて
いるが、この方法では、衝撃強度を大きく低下させ、ま
た成形品の艶が均一に消えないという欠点がある。ま
た、艶消し方法として、ゴム質弾性体を添加する方法も
知られているが、この方法では、樹脂の機械的性質、特
に硬度、剛性を低下させることになる。さらに、艶消し
方法として、架橋性単量体を用いて三次元化した樹脂成
分を添加する方法も知られているが、この方法では、成
形品の艶が均一に消えず、また加工性も低下する。一
方、耐熱性の向上に関しては、α−メチルスチレンの共
重合やマレイミド系共重合体の混合が従来より知られて
いる。しかしながら、加工性、衝撃性の低下が大きい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の課題を背景になされたもので、艶消し性に優れ、か
つ耐熱性、加工性、耐衝撃性の物性バランスが高度にと
れたゴム強化スチレン系樹脂組成物を提供することにあ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記の(イ)
成分2〜30重量%、(ロ)成分5〜40重量%、およ
び(ハ)成分40〜93重量%〔ただし、(イ)+
(ロ)+(ハ)=100重量%〕を主成分とするゴム強
化スチレン系樹脂組成物を提供するものである。 (イ)ゴム状重合体(I)100重量部に(a)芳香族
ビニル化合物10〜95重量%、(b)シアン化ビニル
化合物1〜60重量%、および(c)共重合可能な他の
単量体0〜89重量%〔ただし、(a)+(b)+
(c)=100重量%〕からなる重合体が30重量部未
満グラフトしているグラフト化されたゴム状重合体。 (ロ)ゴム状重合体(II) 100重量部に(a)芳香族
ビニル化合物10〜95重量%、(b)シアン化ビニル
化合物1〜60重量%、および(c)共重合可能な他の
単量体0〜89重量%〔ただし、(a)+(b)+
(c)=100重量%〕からなる重合体が30重量部以
上グラフトしているグラフト化されたゴム状重合体。 (ハ)(a)芳香族ビニル化合物10〜95重量%、
(b)シアン化ビニル化合物1〜60重量%、および
(c)共重合可能な他の単量体0〜89重量%〔ただ
し、(a)+(b)+(c)=100重量%〕からなる
スチレン系重合体。
【0005】本発明のゴム強化スチレン系樹脂組成物に
使用されるゴム状重合体(I)および(II) は、同一で
も異なっていてもよいが、同一の方が好ましい。ゴム状
重合体(I)、(II) としては、例えばポリブタジエ
ン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンランダム共
重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチ
レン−ブタジエンブロック共重合体などのジエン系ゴム
状重合体、該ジエン系ゴム状重合体の水素添加物、エチ
レン−プロピレン−(ジエン)ゴム、アクリルゴムなど
が挙げられ、好ましくはポリブタジエン、スチレン−ブ
タジエン共重合体、ポリブタジエンの水素添加物、スチ
レン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物、エチ
レン−プロピレン−(ジエン)ゴムである。これらのゴ
ム状重合体(I)および(II) は、1種または2種以上
で使用される。
【0006】次に、単量体成分を構成する(a)芳香族
ビニル化合物としては、スチレン、t−ブチルスチレ
ン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニ
ルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジ
エチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル
−p−アミノエチルスチレン、ビニルピリジン、ビニル
キシレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、モ
ノブロムスチレン、フルオロスチレン、エチルスチレ
ン、ビニルナフタレンなどが挙げられ、特にスチレン、
α−メチルスチレンが好ましい。これらの(a)芳香族
ビニル化合物は、単独であるいは2種以上混合して用い
られる。また、単量体成分に使用される(b)シアン化
ビニル化合物としては、例えばアクリロニトリル、メタ
クリロニトリルなどが挙げられ、これらは1種または2
種以上で使用される。この(b)シアン化ビニル化合物
としては、特にアクリロニトリルが好ましい。
【0007】さらに、単量体成分を構成する(c)共重
合可能な他の単量体としては、メチルアクリレート、エ
チルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアク
リレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレー
ト、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリ
レート、シクロヘキシルアクリレート、ドデシルアクリ
レート、オクタデシルアクリレート、フェニルアクリレ
ート、ベンジルアクリレートなどのアクリル酸エステ
ル;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プ
ロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミル
メタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメ
タクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シ
クロヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレー
ト、オクタデシルメタクリレート、フェニルメタクリレ
ート、ベンジルメタクリレートなどのメタクリル酸エス
テル;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコ
ン酸などの不飽和酸無水物;アクリル酸、メタクリル酸
などの不飽和酸;マレイミド、N−メチルマレイミド、
N−ブチルマレイミド、N−(p−メチルフェニル)マ
レイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシ
ルマレイミドなどのマレイミド化合物;グリシジルメタ
クリレートなどのエポキシ化合物などが挙げられる。な
お、本発明でいうマレイミド化合物の成分としては、上
記マレイミド単量体を共重合した共重合体成分中の成分
のみならず、例えば無水マレイン酸をスチレンなどの単
量体と共重合させ、これをアンモニア、アミン、アニリ
ンなどでイミド化した重合体中の成分も含まれる。これ
らの(c)成分は、1種単独であるいは2種以上を併用
することができる。これらの(c)共重合可能な他の単
量体のうち、好ましくはメタクリル酸メチル、マレイミ
ド化合物である。特に、マレイミド化合物を用いると、
耐熱性と成形加工性の物性バランスが高度であり、好ま
しい。
【0008】前記(イ)〜(ハ)成分に使用される
(a)芳香族ビニル化合物の割合は、いずれも10〜9
5重量%、好ましくは20〜90重量%であり、10重
量%未満では成形加工性が劣り、一方95重量%を超え
ると耐熱性、耐薬品性、耐衝撃性が劣るものとなる。ま
た、(イ)〜(ハ)成分に使用される(b)シアン化ビ
ニル化合物の割合は、いずれも1〜60重量%、好まし
くは5〜55重量%であり、1重量%未満では耐薬品性
に劣り、一方60重量%を超えると成形加工性、成形時
の熱安定性が劣る。さらに、(イ)〜(ハ)成分に使用
されることのある(c)共重合可能な他の単量体の割合
は、0〜89重量%、好ましくは0〜75重量%であ
り、89重量%を超えると、成形加工性、耐衝撃性、耐
薬品性が劣るものとなる。(イ)成分は、ゴム状重合体
(I)に、(a)〜(c)成分が直接グラフト重合して
いるグラフト化されたゴム状重合体である。該グラフト
化されたゴム状重合体のグラフト率〔ゴム状重合体
(I)に対するグラフト化されている成分の割合〕は、
30重量%未満、好ましくは3〜28重量%、さらに好
ましくは5〜25重量%であり、30重量%以上では、
目的とする艶消し性が得られない。一方、(ロ)成分
は、ゴム状重合体(II) に(a)〜(c)成分直接グラ
フト重合しているグラフト化されたゴム状重合体であ
る。該グラフト化されたゴム状重合体のグラフト率〔ゴ
ム状重合体(II) に対するグラフト化されている成分の
割合〕は、30重量%以上、好ましくは35〜250重
量%、さらに好ましくは40〜120重量%であり、3
0重量%未満では、耐衝撃性が劣る。また、(ハ)成分
は、上記グラフト化されたゴム状重合体(イ)〜(ロ)
以外のスチレン系重合体であり、(イ)〜(ロ)成分の
製造時に副生する共重合体(ゴム状重合体を含まない)
や、別に製造した重合体からなる。なお、(イ)成分と
(ロ)成分のグラフト率の差は、好ましくは5重量%以
上、さらに好ましくは15重量%以上、特に好ましくは
20重量%以上である。(イ)成分と(ロ)成分のグラ
フト率の差がこの範囲にあると、一段と優れた艶消し性
が得られ、さらに耐衝撃性、耐薬品性、熱安定性、成形
加工性などの物性バランスが良好となる。
【0009】本発明のゴム強化スチレン系樹脂組成物中
の(イ)成分の割合は、2〜30重量%、好ましくは3
〜25重量%、さらに好ましくは5〜23重量%、特に
好ましくは8〜21重量%である。(イ)成分が2重量
%未満では充分な艶消し性が得られず、一方30重量%
を超えると成形加工性が低下する。また、本発明のゴム
強化スチレン系樹脂組成物中の(ロ)成分の割合は、5
〜40重量%、好ましくは7〜35重量%、さらに好ま
しくは8〜30重量%、特に好ましくは10〜25重量
%である。(ロ)成分が5重量%未満では充分な耐衝撃
性が得られず、一方40重量%を超えると成形加工性が
劣る。さらに、本発明のゴム強化スチレン系樹脂組成物
中の(ハ)成分の割合は、40〜93重量%、好ましく
は50〜90重量%である。(ハ)成分が40重量%未
満では成形加工性が劣り、一方93重量%を超えると耐
衝撃性が劣る。
【0010】本発明の(イ)〜(ハ)成分よりなるゴム
強化スチレン系樹脂組成物の代表的な製造方法は、例え
ば以下に示す(イ)′〜(ロ)′、あるいは(イ)′〜
(ハ)′を配合することにより製造される。なお、
(イ)′〜(ハ)′におけるグラフト率、ゴム状重合体
含有率、単量体組成割合、配合割合などは、前記(イ)
〜(ハ)成分の範囲に入るように調整すればよい。 (イ)′ゴム状重合体(I)の存在下に(a)〜(c)
成分を重合して得たグラフト率が30重量%未満のグラ
フト化されたゴム状重合体を含有するグラフト共重合
体。 (ロ)′ゴム状重合体(II) の存在下に(a)〜(c)
成分を重合して得たグラフト率が30重量%以上のグラ
フト化されたゴム状重合体を含有するグラフト共重合
体。 (ハ)′ゴム状重合体を含まないスチレン系重合体。 なお、前記のグラフト率およびグラフト化されたゴム状
重合体の含有率は、次の方法で求めた値である。 すなわち、グラフト共重合体を20重量倍のアセトンに
投入し、25℃×48時間攪拌し、次いで遠心分離機を
用いて不溶分(乾燥重量=W)および可溶分(乾燥重量
=X)を採取し、下記式より求めた。 グラフト率(%)=〔(W−R)/R〕×100 (式中、Rは重合処方より求めたグラフト前のゴム状重
合体の重量である。)グラフト化されたゴム状重合体の
含有率(%)=〔W/(W+X)〕×100なお、グラ
フト化されたゴム状重合体とは、前記の採取された不溶
分をいう。
【0011】本発明のゴム強化スチレン系樹脂組成物
は、以上の(イ)〜(ハ)成分を主成分とする。しかし
ながら、本発明のゴム強化スチレン系樹脂組成物として
は、(ハ)スチレン系重合体として、(a)芳香族ビニ
ル化合物10〜95重量%、好ましくは20〜90重量
%、(b)シアン化ビニル化合物1〜60重量%、好ま
しくは5〜55重量%、(c)′マレイミド化合物0.
5〜50重量%、好ましくは1〜40重量%、(c)共
重合可能な他の単量体0〜88.5重量%、好ましくは
0〜74.5重量%〔ただし、(a)+(b)+
(c)′+(c)=100重量%で、かつ(c)′+
(c)=0〜89重量%〕を単量体成分とする共重合体
を用いるものは、耐熱性、成形加工性、耐衝撃性の物性
バランスが高水準にあるものが得られる。ここで、
(c)′マレイミド化合物は、例えば前記(イ)′〜
(ハ)′のいずれか一つあるいは二つ以上の重合時に、
単量体成分として用いることができる。また、マレイミ
ド化合物の成分としては、前述したように無水マレイン
酸共重合体をイミド化した共重合体中のマレイミド化合
物成分を用いることもできる。
【0012】本発明のゴム強化スチレン系樹脂組成物
は、例えば下記の(ニ)成分5〜40重量%、好ましく
は7〜35重量%、(ホ)成分5〜80重量%、好まし
くは10〜70重量%、(ヘ)成分0〜60重量%、好
ましくは5〜55重量%、さらに好ましくは10〜50
重量%、(ト)成分0〜60重量%、好ましくは0〜5
0重量%〔ただし、(ニ)+(ホ)+(ヘ)+(ト)=
100重量%〕を配合することによって得られる。 (ニ)ゴム状重合体(I)5〜80重量部、好ましくは
10〜65重量部の存在下に、(a)芳香族ビニル化合
物10〜95重量%、好ましくは20〜80重量%、
(b)シアン化ビニル化合物1〜60重量%、好ましく
は5〜50重量%、および(c)共重合可能な他の単量
体0〜89重量%、好ましくは0〜75重量%〔ただ
し、(a)+(b)+(c)=100重量%〕からなる
単量体成分(III)95〜20重量部、好ましくは90〜
35重量部〔ただし、(I)+(III)=100重量部〕
をグラフト重合して得られ、かつグラフト率が30重量
%未満であるグラフト共重合体。 (ホ)ゴム状重合体(II) 5〜80重量部、好ましくは
10〜65重量部の存在下に、(a)芳香族ビニル化合
物10〜95重量%、(b)シアン化ビニル化合物1〜
60重量%、および(c)共重合可能な他の単量体0〜
89重量%〔ただし、(a)+(b)+(c)=100
重量%〕からなる単量体成分(III)95〜20重量部、
好ましくは90〜35重量部〔ただし、(II) +(III)
=100重量部〕をグラフト重合して得られ、かつグラ
フト率が30重量%以上であるグラフト共重合体。 (ヘ)(a)芳香族ビニル化合物10〜95重量%、好
ましくは20〜80重量%、(c)′マレイミド化合物
0.5〜80重量%、好ましくは10〜70重量%、さ
らに好ましくは15〜60重量%、および(c)共重合
可能な他の単量体0〜80重量%、好ましくは0〜75
重量%〔ただし、(a)+(c)′+(c)=100重
量%〕からなるスチレン系重合体。 (ト)(a)芳香族ビニル化合物10〜95重量%、
(b)シアン化ビニル化合物1〜60重量%、および
(c)共重合可能な他の単量体0〜89重量%〔ただ
し、(a)+(b)+(c)=100重量%〕からなる
単量体成分(III)を共重合してなるスチレン系重合体。 ここで、(ニ)〜(ホ)成分で使用されるゴム状重合体
(I)および(II)は、前記(イ)〜(ロ)成分で使用
されるゴム状重合体と同様のものが使用できる。また、
(ニ)〜(ト)成分で使用される単量体成分(III)を構
成する各種の単量体も、前記(イ)〜(ハ)成分で使用
される単量体と同様のものが使用できる。(ニ)〜
(ト)の各組成は異なっていてもよいが、(ニ)、
(ホ)、(ト)および/または(ホ)、(ト)は、類似
ものが好ましく、特に(ニ)、(ホ)は類似のものが好
ましい。
【0013】なお、ゴム強化スチレン系樹脂組成物に使
用される(ハ)スチレン系重合体、前記(ヘ)および
(ト)のスチレン系重合体は、分子量分布〔ゲルパーミ
エーションクロマトグラフィーによる標準ポリスチレン
の検量線から求めた重量平均分子量/数平均分子量の
比〕が好ましくは3.5以下、さらに好ましくは3.2
〜1.1、かつ数平均分子量が3×104 〜15×10
4 さらに好ましくは5×104 〜12×104 である
と、耐衝撃性と成形加工性の物性バランスが一段と優れ
たものが得られる。また、(ハ)成分、(へ)成分のマ
レイミド共重合体の数平均分子量は、好ましくは3×1
4 〜15×104 、さらに好ましくは5×104 〜1
0×104 である。さらに、(ハ)、(ニ)、(ホ)成
分のメチルエチルケトン可溶分の固有粘度〔η〕は、好
ましくは0.2〜0.8dl/g、さらに好ましくは
0.3〜0.6dl/gである。この範囲であると、耐
衝撃性と成形加工性の物性バランスが一段と優れたもの
が得られる。
【0014】本発明のゴム強化スチレン系樹脂組成物
は、射出成形、押し出し成形、真空成形、異形成形、発
泡成形などによって自動車部品、電気用部品、家庭用
品、各種工業用品などの成形することができる。その
際、通常の添加剤、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、
滑剤、難燃剤、帯電防止剤、発泡剤、ガラス繊維、本発
明で特定する重合体以外の重合体、例えばポリアミド、
ポリカーボネート、熱可塑性ポリエステル、ポリフェニ
レンエーテル、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ジエン系ゴ
ム、エチレン−プロピレン系ゴム、アクリル系ゴムなど
を配合することができる。
【0015】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。なお、実施例中、部および%は、特に断ら
ない限り重量基準である。また、実施例中の各種評価
は、次のようにして測定した値である。アイゾット衝撃強度 ASTM D256(6mm厚、ノッチ付き)に準拠、単
位はkgf/cm2 である。メルトフローレート(成形加工性の指標 ) ASTM D1238(220℃、10kg)に準拠し
た。単位は、g/10分である。熱変形温度 ASTM D648(12mm厚、18.6kgf/cm)に
準拠、単位は℃である。表面光沢(グロス価、艶消し性の指標 ) グロスメーターにより測定した(入射光60°、反射光
60°)。単位は、%である。
【0016】参考例1(ゴム強化樹脂の調製) 混合物(I)配合処方 (部) ポリブタジエンラテックス(固形分) 60 スチレン 11 アクリロニトリル 2 t−ドデシルメルカプタン 0.3 ロジン酸カリウム 0.25 水酸化カリウム 0.005 イオン交換水 100 上記混合物(I)を、ジャケットおよび攪拌機付きの反
応器に仕込み、チッ素ガスで内部の空気を置換したの
ち、ジャケットを70℃にコントロールしながら内温を
50℃に昇温し、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム二
水塩0.3部、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシ
ラート二水塩0.35部および硫酸第1鉄0.01部を
水10部に溶解した溶液とクメンハイドロパーオキサイ
ド0.1部を添加し反応させた。
【0017】反応を開始してから1時間後に、下記混合
物(II) を2時間にわたって連続的に添加し反応を続け
た。 混合物(II) 配合処方 (部) スチレン 19 アクリロニトリル 8 t−ドデシルメルカプタン 0.5 ロジン酸カリウム 1.0 水酸化カリウム 0.02 クメンハイドロパーオキサイド 0.15 イオン交換水 50
【0018】以上の重合により、ゴム強化樹脂(グラフ
ト共重合体、以下同様に「ゴム強化樹脂」という)を
得た。 ゴム強化樹脂100部の構成成分; (イ)成分(ゴム状重合体、グラフト率=13%) 67.8部 (ハ)成分(スチレン−アクリロニトリル共重合体) 32.2部 参考例2(ゴム強化樹脂の調製) ポリブタジエンゴム55部に、スチレン30部、アクリ
ロニトリル15部を、ゴム強化樹脂と同様にしてグラ
フト重合することにより、ゴム強化樹脂を得た。 ゴム強化樹脂100部の構成成分; (イ)成分(ゴム状重合体、グラフト率=22%) 67.1部 (ハ)成分(スチレン−アクリロニトリル共重合体) 32.9部
【0019】参考例3(ゴム強化樹脂の調製) 混合物(I)配合処方 (部) ポリブタジエンラテックス(固形分) 40 スチレン 14 アクリロニトリル 4 t−ドデシルメルカプタン 0.1 ロジン酸カリウム 0.25 水酸化カリウム 0.005 イオン交換水 100 上記混合物(I)を、ジャケットおよび攪拌機付きの反
応器に仕込み、チッ素ガスで内部の空気を置換したの
ち、ジャケットを70℃にコントロールしながら内温を
50℃に昇温して水10部に溶解したピロリン酸ナトリ
ウム0.3部、デキストローズ0.35部、硫酸第1鉄
0.01部、とクメンハイドロパーオキサイド0.1部
を添加し反応させた。
【0020】反応を開始してから1時間後に、下記混合
物(II) を5時間にわたって連続的に添加しさらに攪拌
しながら1時間反応を続けた。 混合物(II) 配合処方 (部) スチレン 28 アクリロニトリル 12 t−ドデシルメルカプタン 0.2 ロジン酸カリウム 1.0 水酸化カリウム 0.02 クメンハイドロパーオキサイド 0.15 イオン交換水 50 以上の重合により、ゴム強化樹脂を得た。 ゴム強化樹脂100部の構成成分; (ロ)成分(ゴム状重合体、グラフト率=43%) 57.2部 (ハ)成分(スチレン−アクリロニトリル共重合体) 42.8部
【0021】参考例4(ゴム強化樹脂の調製) ポリブタジエンゴム40部に、スチレン45部、アクリ
ロニトリル15部を、上記ゴム強化樹脂と同様にして
グラフト重合することにより、ゴム強化樹脂を得た。 ゴム強化樹脂100部の構成成分; (ロ)成分(ゴム状重合体、グラフト率=75%) 70.0部 (ハ)成分(スチレン−アクリロニトリル共重合体) 30.0部
【0022】参考例5(共重合体の調製) トルエン50部、スチレン70部、アクリロニトリル3
0部、およびt−ドデシルメルカプタン0.1部を、ジ
ャケットおよび攪拌機付きの反応器に仕込み、チッ素ガ
スで内部の空気を置換したのち、内温を140℃に昇温
し、4時間反応させた。スチームストリッピングによ
り、トルエンと未反応単量体を除去し共重合体を回収し
た。(ハ)成分として、上記のようにしてスチレン70
部とアクリロニトリル30部との共重合体(スチレン系
重合体、以下同様に「共重合体」という)を調製した。 分子量分布=3.1 数平均分子量=8.5×104
【0023】参考例6(共重合体の調製) トルエン/メチルエチルケトン(重量比)=50/50
の混合溶媒100部、スチレン50部、N−フェニルマ
レイミド50部、ベンゾイルパーオキサイド0.1部、
およびt−ドデシルメルカプタン0.1部をジャケット
および攪拌機付きの反応機に仕込み、チッ素ガスで内部
の空気を置換したのち、内温を85℃に昇温し、3時間
反応させた。次いで、スチームストリッピングにより、
トルエンと未反応単量体を除去し共重合体を回収した。
(ハ)成分として、上記のようにしてスチレン50部と
N−フェニルマレイミド50部との共重合体を調製し
た。 分子量分布=2.9 数平均分子量=6.8×104 参考例7(共重合体の調製) トルエン/メチルエチルケトン(重量比)=50/50
の混合溶媒100部、スチレン40部、N−フェニルマ
レイミド50部、アクリロニトリル10部、およびベン
ゾイルパーオキサイド0.1部を、参考例6と同様に重
合し、共重合体を得た。(ハ)成分として、上記のよう
にスチレン40部、N−フェニルマレイミド50部およ
びアクリロニトリル10部の共重合体を調製した。 分子量分布=2.7 数平均分子量=8.2×104
【0024】実施例1〜9、比較例1〜8 参考例で調製したゴム強化樹脂、共重合体などを表1〜
4に示す配合処方で、ヘンシェルミキサーで混合し、ベ
ント付き押し出し機で樹脂温度230〜250℃で溶融
混合し、押し出しすることによりペレットを製造し、9
0℃で乾燥した。このペレットを用い、230℃で射出
成形を行い、物性の評価を行った。結果を表1〜4に示
す。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】
【表4】
【0029】表1〜2から明らかなように、本発明のゴ
ム強化スチレン系樹脂組成物である実施例1〜9は、艶
消し性が良好で耐熱性、成形加工性、衝撃強度に優れて
いる。これに対し、表3〜4から明らかなように、比較
例1および比較例8は、ゴム強化スチレン系樹脂組成物
中の(イ)成分の含有量が本発明の範囲未満の例であ
り、艶消し性が著しく劣る。比較例2は、ゴム強化スチ
レン系樹脂組成物中の(ロ)成分の含有量が本発明の範
囲未満の場合であり、耐衝撃性に劣る。比較例3は、ゴ
ム強化スチレン系樹脂組成物中の(イ)成分の含有量が
本発明の範囲を超える場合であり、成形加工性に劣る。
比較例4は、ゴム強化スチレン系樹脂組成物中の(ハ)
成分の含有量が本発明の範囲を超えた例であり、耐衝撃
性、艶消し性に劣る。比較例5は、ゴム強化スチレン系
樹脂組成物中の(ロ)成分の含有量が本発明の範囲を超
えた例であり、成形加工性が悪い。比較例6は、ゴム強
化スチレン系樹脂組成物中の(ハ)成分の含有量が本発
明の範囲を超えた例であり、成形加工性が悪い。比較例
7は、ゴム強化スチレン系樹脂組成物中の(イ)成分の
代わりにポリブタジエンラテックス(非グラフトゴム)
を用いた例であり、アイゾット衝撃強度が劣る。
【0030】
【発明の効果】従来のゴム強化スチレン系樹脂組成物
は、艶消し性が不均一であり、かつ耐衝撃性、成形加工
性、耐熱性などの物性バランスが低いという問題があっ
たが、本発明のゴム強化スチレン系樹脂組成物は、艶消
し性が均一であり、かつ耐衝撃性、成形加工性、耐熱性
などの物性バランスが高く、従ってその工業的価値は極
めて高いものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古山 建樹 東京都中央区築地二丁目11番24号 日本合 成ゴム株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の(イ)成分2〜30重量%、
    (ロ)成分5〜40重量%、および(ハ)成分40〜9
    3重量%〔ただし、(イ)+(ロ)+(ハ)=100重
    量%〕を主成分とするゴム強化スチレン系樹脂組成物。 (イ)ゴム状重合体(I)100重量部に(a)芳香族
    ビニル化合物10〜95重量%、(b)シアン化ビニル
    化合物1〜60重量%、および(c)共重合可能な他の
    単量体0〜89重量%〔ただし、(a)+(b)+
    (c)=100重量%〕からなる重合体が30重量部未
    満グラフトしているグラフト化されたゴム状重合体。 (ロ)ゴム状重合体(II) 100重量部に(a)芳香族
    ビニル化合物10〜95重量%、(b)シアン化ビニル
    化合物1〜60重量%、および(c)共重合可能な他の
    単量体0〜89重量%〔ただし、(a)+(b)+
    (c)=100重量%〕からなる重合体が30重量部以
    上グラフトしているグラフト化されたゴム状重合体。 (ハ)(a)芳香族ビニル化合物10〜95重量%、
    (b)シアン化ビニル化合物1〜60重量%、および
    (c)共重合可能な他の単量体0〜89重量%〔ただ
    し、(a)+(b)+(c)=100重量%〕からなる
    スチレン系重合体。
  2. 【請求項2】 (ハ)成分中の(c)成分が、マレイミ
    ド化合物0.5〜50重量%、その他の単量体0〜8
    8.5重量%からなる請求項1記載のゴム強化スチレン
    系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 下記の(ニ)成分5〜40重量%、
    (ホ)成分5〜80重量%、(ヘ)成分0〜60重量
    %、(ト)成分0〜60重量%〔ただし、(ニ)+
    (ホ)+(ヘ)+(ト)=100重量%〕を配合する請
    求項1記載のゴム強化スチレン系樹脂組成物の製造方
    法。 (ニ)ゴム状重合体(I)5〜80重量部の存在下に、
    (a)芳香族ビニル化合物10〜95重量%、(b)シ
    アン化ビニル化合物1〜60重量%、および(c)共重
    合可能な他の単量体0〜89重量%〔ただし、(a)+
    (b)+(c)=100重量%〕からなる単量体成分
    (III)95〜20重量部〔ただし、(I)+(III)=1
    00重量部〕をグラフト重合して得られ、かつグラフト
    率が30重量%未満であるグラフト共重合体。 (ホ)ゴム状重合体(II) 5〜80重量部の存在下に、
    (a)芳香族ビニル化合物10〜95重量%、(b)シ
    アン化ビニル化合物1〜60重量%、および(c)共重
    合可能な他の単量体0〜89重量%〔ただし、(a)+
    (b)+(c)=100重量%〕からなる単量体成分
    (III)95〜20重量部〔ただし、(II)+(III)=1
    00重量部〕をグラフト重合して得られ、かつグラフト
    率が30重量%以上であるグラフト共重合体。 (ヘ)(a)芳香族ビニル化合物10〜95重量%、
    (c)′マレイミド化合物10〜80重量%、および
    (c)共重合可能な他の単量体0〜80重量%〔ただ
    し、(a)+(c)′+(c)=100重量%〕からな
    るスチレン系重合体。 (ト)(a)芳香族ビニル化合物10〜95重量%、
    (b)シアン化ビニル化合物1〜60重量%、および
    (c)共重合可能な他の単量体0〜89重量%〔ただ
    し、(a)+(b)+(c)=100重量%〕からなる
    単量体成分(III)を共重合してなるスチレン系重合体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011508045A (ja) * 2007-12-31 2011-03-10 チェイル インダストリーズ インコーポレイテッド 柔らかな表面質感を有する低光沢熱可塑性樹脂組成物及びその成形品
JP4727831B2 (ja) * 2001-02-28 2011-07-20 日本エイアンドエル株式会社 車両外装用樹脂組成物および車両外装用部品

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