JP4424636B2 - 透明耐熱性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
透明耐熱性熱可塑性樹脂組成物 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴム変性熱可塑性樹脂、2種類のマレイミド類単量体単位を含んでなるマレイミド系共重合体、必要に応じて添加される、これ以外の熱可塑性樹脂からなる組成物で、各樹脂の組成と配合を調整する事により、屈折率と相溶性が調整された透明性に優れ、さらに耐熱性、耐衝撃性、成形加工性のバランスに優れた熱可塑性樹脂組成物に関するものである。さらに本発明は、透明なゴム変性熱可塑性樹脂、耐熱性を有する熱可塑性樹脂とその他の熱可塑性樹脂とからなり、互いに相溶する熱可塑性樹脂で混合後の組成物のゴム部とマトリックス部の屈折率の差が0.01以内になる、透明性に優れ、さらに耐熱性、耐衝撃性、成形加工性のバランスに優れた熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、マレイミド/メタクリル酸メチル系共重合体とゴム変性グラフト重合体との樹脂組成物としては、特開昭61−91239にはメチルメタクリレート/N−フェニルマレイミドの共重合体とスチレン/アクリロニトリル共重合体の相溶系アロイが、特開昭61−179252にはジエン系グラフト共重合体とメタクリル酸メチル/N−アリールマレイミドの重合体からなる樹脂組成物が開示されており、いずれも耐熱性と機械強度又は流動加工性のバランスに優れた物性を有する耐熱マレイミド系樹脂組成物が得られている。
【0003】
また、特開昭63−243156には、該ゴム変性グラフト重合体のグラフト部の屈折率とマレイミド/メタクリル酸エステル/芳香族ビニル系共重合体との屈折率の差をある範囲に設定した透明耐熱樹脂が示されている。
【0004】
ところが、特開昭61−91239や特開昭61−179252に記載された熱可塑性樹脂組成物では、耐熱性や機械強度、または流動加工性等のバランスに優れた物性は備えてはいるが、最終の熱可塑性樹脂組成物は、透明性に優れた熱可塑性樹脂組成物が得られていないという問題を生じている。
【0005】
また、特開昭63−243156では、特定のマレイミド系単量体であるN−シクロヘキシルマレイミドやN−o−クロルフェニルマレイミドに芳香族ビニルを16重量%以上共重合したマレイミド系共重合体を用い、その屈折率をゴム変性グラフト重合体のゴムがグラフトされた部分の屈折率に近づける様各樹脂の共重合組成を設定している為、マレイミド類単量体単位の含有量を多くできなかったり、芳香族ビニルを多く共重合していることから、耐熱性が低下する問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の課題は、ゴム変性熱可塑性樹脂、2種類のマレイミド類単量体単位を含んでなるマレイミド系共重合体、必要に応じて添加される、これ以外の熱可塑性樹脂からなる組成物で、屈折率と相溶性が調整された透明性に優れ、さらに耐熱性、耐衝撃性、成形加工性のバランスに優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することを課題とする。また、その課題のために、組成物で、屈折率と相溶性が調整を具体的に調整する手法を提案する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、以上の課題を解決するために、以下の構成を提案する。
【0008】
(A)ゴム変性熱可塑性樹脂並びに(B)メタクリル酸エステル単量体単位、アリールマレイミド単量体単位及びアルキルマレイミド単量体単位を必須構造単位として持つ、ガラス転移温度が120℃以上の耐熱性熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物であって、該熱可塑性樹脂組成物を用いて3mm厚の平板を成形した時の成形品の全光線透過率が、75%以上である事を特徴とする熱可塑性樹脂組成物である。特定のマレイミド系の共重合体である耐熱性樹脂を用いているので、ゴム変性熱可塑性樹脂のマトリックス樹脂部分と非常に相溶性が良好であり、配合しても上記の様に成形して得られた成形品の全光線透過率が高くなり、透明性が良好な成形品となる。合せて樹脂組成物に耐熱性を付与でき、耐熱性の高い成形品となる。また、特定のマレイミド系共重合体である耐熱性熱可塑性樹脂を用いているので、屈折率も合せやすい。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物の別の形態では、(A)ゴム変性熱可塑性樹脂並びに(B)メタクリル酸エステル単量体単位、アリールマレイミド単量体単位及びアルキルマレイミド単量体単位を必須構造単位としてもつガラス転移温度が120℃以上の耐熱性熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物であって、該熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度が、30℃以上の測定温度領域において、1つ観察されることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物である構成である。
これは本発明の熱可塑性樹脂組成物が、そのゴム成分以外のマトリクス樹脂成分同志が相溶状態である事を示す重要な物性である。本発明の特定のマレイミド系共重合体である耐熱性熱可塑性樹脂は、ゴム変性熱可塑性樹脂と配合しても、上記で定義される様な熱力学的な分析データで示される様に相溶している事がわかる。相溶する事により、得られた樹脂組成物の成形品が良好な透明性を保有したり、また良好な機械的強度、具体的には衝撃強度の向上が見られる。
【0009】
さらに好ましくは、上記の(B)成分の、マレイミド系共重合体である耐熱性熱可塑性樹脂が、メタクリル酸エステル単量体単位98〜50重量%、アリールマレイミド単量体単位1〜20重量%、アルキルマレイミド単量体単位1〜30重量%及び、これ以外単量体と共重合可能な単量体単位0〜15重量%からなる事である。具体的には、各単量体を含む単量体成分を用いて重合して得られた共重合体である。
【0010】
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(A)ゴム変性熱可塑性樹脂並びに(B)メタクリル酸エステル単量体単位、アリールマレイミド単量体単位及びアルキルマレイミド単量体単位を必須構造単位として持つガラス転移温度が120℃以上の耐熱性熱可塑性樹脂を含んでなる熱可塑性樹脂組成物であって、
(A)のゴム部分、(A)のマトリックス部分及び(B)の屈折率をそれぞれnDA1、nDA2、nDB、とし、熱可塑性樹脂組成物中のそれぞれの重量比をwA1、wA2及びwBとした時、下記の計算式(I)を満たすことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物である。この場合必須的に配合される樹脂としては、2成分系の熱可塑性樹脂組成物となる。
(I)|nDA1−nDm|≦0.01
但し、nDm=( wA2× nDA2 +wB×nDB )/(wA2+wB)
また、本発明の実施形態においては、上記の計算式に従って、各成分を配合し、本発明の熱可塑性樹脂組成物を得る製造方法は好ましい実施形態の1つである。
上記熱可塑性樹脂組成物が、さらに、前記ゴム変性熱可塑性樹脂(A)並びに耐熱性熱可塑性樹脂(B)及びこれ以外の熱可塑性樹脂(C)を含み、
(A)のゴム部分、(A)のマトリックス部分、(B)及び(C)の屈折率をそれぞれnDA1、nDA2、nDB及びnDCとし、熱可塑性樹脂組成物中のそれぞれの重量比をwA1、wA2、wB及びwCとした時、下記の計算式(II)を満たすことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物である。この場合必須的に配合される樹脂としては、3成分系の熱可塑性樹脂組成物となる。
(II)|nDA1−nDm|≦0.01
但し、nDm=( wA2× nDA2 +wB×nDB+ wC×nDC)/(wA2+wB+wC)
同様に、本発明の熱可塑性樹脂組成物にあっては、(C)成分を含んでいても、上記の計算式に従って、各成分を配合し、本発明の熱可塑性樹脂組成物を得る製造方法は好ましい実施形態の1つである。まとめると、本発明の熱可塑性樹脂は、特定の耐熱性熱可塑性樹脂を含んでいるので、他の熱可塑性樹脂が含有されても、相溶状態を保ちやすく、その成形品は良好な透明性を有している。また好ましくは相溶状態であるので、機械的強度、例えば衝撃強度等が優れた成形品を得る事ができる。
【0011】
更に好ましくは、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、3mm厚の平板成形品の全光線透過率が75%以上である耐熱性に優れた熱可塑性樹脂組成物である。上記条件式(I)式や(II)式は、最終組成物におけるゴム部分とマトリックス部分の屈折率の差が、0.01以内に入る事を意味する。さら好ましくは、前記ゴム変性熱可塑性樹脂(A)が、樹脂(A)のゴム部分の屈折率nDA1、マトリックス部分の屈折率nDA2の差が0.01以内で、nDA1が1.51〜1.53の範囲であるゴム変性熱可塑性樹脂を使用する事が好ましい。
【0012】
また、本発明における、(A)、(B)及び(C)成分からなる耐熱性熱可塑性樹脂組成物が熱力学的に相溶している状態としては、(A)、(B)及び(C)成分からなる耐熱性熱可塑性樹脂組成物が示すマトリックス部のガラス転移温度がチャート上で、1点観測されることである。より具体的には、30℃以上の温度領域で観測されるそのガラス転移温度が1点である事である。上記温度領域であるが、より好ましくは、40℃以上の温度領域であって、さらに好ましくは、50℃以上の温度領域である。最も好ましくは、60℃以上の温度領域である。なお(C)成分は必要に応じて配合されるその他の熱可塑性樹脂である。
【0013】
また、上記条件を満たす組み合わせの中で(A)のマトリックス部と(B)、(B)と(C)、(C)と(A)のマトリックス部がお互いに相溶する方がより好ましい。また、ゴム変性熱可塑性樹脂(A)の全光線透過率が75%以上である場合は、より透明性に優れた熱可塑性樹脂組成物が得られる。さらに好ましくは、80%以上である。より好ましくは85%以上である。また、本発明の(A)、(B)及び(C)から主としてなる熱可塑性組成物は耐熱性にも優れており、さらに好ましくは、そのガラス転移温度は110℃以上である。より好ましくは115℃以上、さらに好ましくは120℃以上である。
【0014】
上記構成の(B)マレイミド系耐熱性樹脂を用いることで、効果的に耐熱性を向上することができ、更に(A)ゴム変性熱可塑性樹脂の中で透明ABS樹脂として、一般に用いられるマトリックス樹脂である、メタクリル酸メチル−スチレン系樹脂と、完全相溶し、屈折率もその差が0.01以内に調整することが可能となる。また、本発明で得られる透明耐熱性樹脂を具体的に得る手法として、上記計算式(I)や(II)に従って、各成分を調整するし配合することは非常に有効な手法である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態についてよく詳しく説明すれば、以下の通りである。なお、以下は、本発明の熱可塑性樹脂組成物として、必要に応じて配合されてもよいその他の熱可塑性樹脂(C)が配合されてもいい3成分系の場合について例示して説明するが3成分系に限定されるものではない。
【0016】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(A)ゴム変性熱可塑性樹脂並びに(B)メタクリル酸エステル類単量体単位98〜50重量%、アリールマレイミド類単量体単位1〜20重量%、アルキルマレイミド類単量体単位1〜30重量%及び、これら単量体と共重合可能な、その他の単量体から由来する単量体単位0〜15重量%からなるガラス転移温度が120℃以上の耐熱性熱可塑性樹脂及び、必要に応じて添加される(C)その他の熱可塑性樹脂を含んでなり、
(A)のゴム部分、(A)のマトリックス部分、(B)及び(C)の屈折率をそれぞれnDA1、nDA2、nDB及びnDCとし、熱可塑性樹脂組成物中のそれぞれの重量比をwA1、wA2、wB及びwCとした時、下記の計算式(II)を満たす事が好ましい。より好ましくは、さらに(A)のマトリックス部分と(B)及び(C)とからなる混合物が熱力学的に相溶であることを特徴とする、外観と耐熱性に優れた熱可塑性樹脂組成物である。
(II)|nDA1−nDm|≦0.01
但し、nDm=( wA2× nDA2 +wB×nDB+ wC×nDC)/(wA2+wB+wC)
すなわち、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記で規定された樹脂(A)並びに(B)及び(C)を用い、各樹脂の屈折率と重量比から求められる最終組成物のマトリックス部分の屈折率と、(A)のゴム部分の屈折率との差が0.01以下となる熱可塑性樹脂組成物である。
また、本発明の実施形態においては、上記の計算式に従って、各成分を配合し、本発明の熱可塑性樹脂組成物を得る製造方法は好ましい実施形態の1つである。
なお、上記の計算式(II)で、 wC が0の場合、その式は必然、また別で上述した本発明の2成分系の熱可塑性樹脂組成物を配合する時の式である計算式(I)となる。
【0017】
更に好ましくは、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、成形して得られた3mm厚の平板成形品の全光線透過率が75%以上である様な耐熱性に優れた熱可塑性樹脂組成物である。本発明の耐熱性に優れた熱可塑性樹脂組成物において、より好ましくは、(A)及び(B)を含む熱可塑性樹脂組成物の成形品の全光線透過率は75%以上、好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは85%以上である。さらに好ましくは88%以上である。なお(C)成分は、必要に応じて添加することもできる成分である。よって(A)、(B)及び(C)を含む熱可塑性樹脂組成物においても、より好ましい成形品の全光線透過率は75%以上、好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは85%以上である。さらに好ましくは88%以上である。
【0018】
本発明に用いる樹脂組成物の各樹脂について、(A)ゴム変性熱可塑性樹脂としては、ゴム部分としては、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムの様なポリブタジエン系ゴムや、エチレン−プロピレン共重合体ゴム又は、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴムの様な、エチレン−α−オレフィン系ゴム質重合体等が分散した相からなり、ポリブタジエンやエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴムを用いることが経済面や耐衝撃性の高い樹脂組成物が得られる点で好ましい。又、エチレン−α−オレフィン系ゴム質重合体を用いた場合は、耐候性に優れた樹脂組成物が得られる。
【0019】
マトリックス部分としては、スチレンに代表される芳香族ビニルとメタクリル酸エステル、不飽和ニトリル等の単量体単位の樹脂の連続した相からなる合成樹脂等が上げられる。これらの中で、1種または2種以上の組み合わせが使用可能である。具体的には、ゴム変性熱可塑性樹脂として、マトリックス部分がメタクリル酸メチルに代表されるメタクリル酸エステル単量体単位及びスチレンに代表される芳香族ビニル単量体単位が含有されるゴム変性スチレン系樹脂が好ましい。
【0020】
上記のマトリックス部分の好ましい組成としては、メタクリル酸エステル単量体単位95〜50重量%、芳香族ビニル単量体単位5〜50重量%、シアン化ビニル単量体単位0〜20重量%であり、更に好ましくはメタクリル酸エステル単量体単位90〜60重量%、芳香族ビニル単量体単位10〜40重量%、シアン化ビニル単量体単位0〜15重量%である。具体的には、本発明における(A)成分としてはのゴム変性熱可塑性樹脂は、上記で示した単位の単量体を単量体成分として用いて、例えば、下記で示した公知の製造方法を採用し、その単量体成分を重合することによって得る事ができる。勿論この製造方法に限定されるものではない。ゴム成分で変性した熱可塑性を示す樹脂であれば、本発明の(A)成分の樹脂として好ましく採用できる。
【0021】
このゴム変性熱可塑性樹脂は、例えば、グラフト重合、ブレンド法、もしくはグラフト重合−ブレンド法によって製造することができるが、ゴム部分にマトリックス部分の一部がグラフトしたゴム変性熱可塑性樹脂を用いることで耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂組成物を得ることが出来る。本発明に係わるゴム変性熱可塑性樹脂は、熱可塑性樹脂組成物に合わせて、適当な分子量と組成を持つ熱可塑性樹脂を選択すれば良い。
【0022】
本発明に用いる上記の(A)並びに(B)及び(C)の樹脂成分としては、これらを混合した時に熱力学的に相溶状態となって、上記定義の一般式(I)を満たす屈折率を持つ耐熱性熱可塑性樹脂であれば特に限定はしない。
【0023】
本発明における、(B)成分のマレイミド系共重合体の耐熱性熱可塑性樹脂としては、(B)成分の樹脂の総量を100重量%として、メタクリル酸エステル類単量体単位98〜50重量%、アリールマレイミド類単量体単位1〜20重量%、アルキルマレイミド類単量体単位1〜30重量%及び、これら単量体と共重合可能な、その他の単量体単位0〜15重量%からなるガラス転移温度が120℃以上のマレイミド系共重合体の耐熱性熱可塑性樹脂であれば特に限定されない。更に好ましい(B)の組成範囲は、アリールマレイミド類単量体単位5〜17重量%、アルキルマレイミド単量体単位5〜20重量%、メタクリル酸エステル単量体単位90〜63重量%及び、これら単量体と共重合可能な、その他の単量体単位0〜12重量%からなっている事が好ましい。
【0024】
本発明における、(B)成分の樹脂のマレイミド系共重合体の耐熱性熱可塑性のより好ましいガラス転移温度は、125℃以上であり、さらに好ましくは130℃以上である。さらに好ましくは135℃以上である。最も好ましくは140℃以上である。
【0025】
本発明における(B)成分の樹脂はより好ましくは、(B)メタクリル酸エステル類単量体98〜50重量%、アリールマレイミド類単量体1〜20重量%、アルキルマレイミド類単量体1〜30重量%及び、これら単量体と共重合可能な、その他の単量体0〜15重量%からなるモノマー成分を重合することによって得られる樹脂である事が好ましい。更に好ましくは、アリールマレイミド類単量体単位5〜17重量%、アルキルマレイミド単量体単位5〜20重量%、メタクリル酸エステル単量体単位90〜63重量%及び、これら単量体と共重合可能なその他単量体単位0〜12重量%からなるモノマー成分を重合することによって得られる樹脂である事である。
【0026】
なお、このモノマー成分の重合方法は、特に限定されるものではなく、例えば、溶液重合、乳化重合、塊状重合等が採用する事ができる。また必要に応じて各種重合工程後、生成した重合体を脱揮、水洗浄、乾燥等行う事もできる。
【0027】
アリールマレイミド単量体単位を20重量%より多く含有すると、(A)ゴム変性熱可塑性樹脂と相溶性が悪くなったり、着色が大きくなったりする場合があり好ましくない。
【0028】
又、マレイミド類単量体単位(アリールマレイミドとアルキルマレイミドの合計量)として15重量%よりすくなければ、耐熱向上効果が低く、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物の耐熱性が低くなる場合があり好ましくない。
【0029】
共重合可能なその他成分として特に芳香族ビニル系単量体単位を含有する場合は、12重量%より少なくすることが好ましい。12重量%より多く含有する場合は、耐熱性が低下したり、屈折率が高くなりすぎる為、マレイミド類単量体単位を多く含有することが難しくなる問題があった。
屈折率調整用に必要な場合に用いる(C)としては、(A)のマトリックス部及び(B)とブレンドした際、熱力学的に相溶して本発明で規定した屈折率を調整する式である、一般式(I)の範囲に入るものであれば特に限定はしないが、例えば芳香族ビニル類単量体単位60〜85重量%、不飽和ニトリル類単量体単位15〜40重量%と共重合可能なその他の単量体単位0〜20重量%が含まれる熱可塑性樹脂(2)であるAS樹脂やα−メチルスチレン−アクリロニトリル系共重合体、マレイミド−スチレン系共重合体、マレイミド−スチレン−アクリロニトリル系共重合体等が上げられる。
【0030】
本願発明の熱可塑性樹脂組成物が、高い透明性を発揮するためには、最終組成物におけるマトリックス部分の屈折率をゴム部分の屈折率に近づけることが必要であり、更に透明性を向上するためには屈折率の差を0.01以下に調整することが必要である。
【0031】
最終組成物のマトリックス部分の屈折率と、そのゴム部分の屈折率の差が0.01よりも大きくなるような場合は、ゴム部分のマトリックス部分の境界領域において光の散乱が多くなり、成形物の透明性は低下するため好ましくない。本発明において屈折率の差が0.01以下であれば、非常に透明性に優れた成形品が得られ、更に0.005以下であればより好ましい。また、0であれば非常に透明性に優れた成形品が得られる。
【0032】
ゴム変性熱可塑性樹脂(A)の全光線透過率が80%以上であるゴム変性熱可塑性透明樹脂を用いた場合、最終組成物におけるマトリックス部分の屈折率とゴム部分の屈折率の差を0.01以下に調整することや、0に合せることが容易になり、高い透明性と耐熱性に優れた熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。また得られる耐熱性に優れた熱可塑性樹脂組成物が熱力学的に相溶状態になりやすく、優れた透明性を有することができる。さらに好ましくは、ゴム変性熱可塑性樹脂(A)の全光線透過率が85%以上であるゴム変性熱可塑性透明樹脂を用いる事である。この場合に得られた、(A)及び(B)を含む本発明の熱可塑性樹脂組成物の、好ましい全光線透過率は75%以上、好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは85%以上である。さらに好ましくは88%以上である。
【0033】
また、(C)成分は必要に応じて添加することのできる成分である。よって、(A)成分として全光線透過率が85%以上であるゴム変性熱可塑性透明樹脂を用いる事で得た本発明の熱可塑性樹脂組成物において、(A)、(B)及び(C)を含む本発明の熱可塑性樹脂組成物の、好ましい全光線透過率は75%以上、好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは85%以上である。さらに好ましくは88%以上である。
【0034】
なお、本発明において、(A)及び(B)を主として含む熱可塑性樹脂組成物であるが、主として、あるいは、主成分という意味は、本発明の熱可塑性樹脂組成物が持つ、透明性や耐熱性等に支障がなければ、他の樹脂や添加剤が所定量であれば、配合されていてもよいという事である。この配合量は特に限定されるものではないが、例えば、本発明の(A)及び(B)樹脂成分の総和を100重量%として、他の成分は、0−20重量%まで含有することができる。より好ましくは、0−15重量%である。さらに好ましくは、0−10重量%であり、最も好ましくは、0−5重量%である。この他の成分の量が上記の範囲以上に配合されると、著しく透明性が低下したり耐熱性が満足しなくなる場合がある。また、相溶性も低下し、衝撃強度が低下する場合がある。また、上述の様に、本発明における(C)成分は必要に応じて添加することのできる成分である。
【0035】
よって、本発明において、(A)、(B)及び(C)を主として含む熱可塑性樹脂組成物であるが、この<主として>あるいは<主成分として>という意味は、本発明の熱可塑性樹脂組成物が持つ、透明性や耐熱性等に支障がなければ、他の樹脂や添加剤が所定量であれば、配合されていてもよいという事である。この配合量は特に限定されるものではないが、例えば、この場合、本発明の(A)、(B)および(C)樹脂成分の総和を100重量%として、他の成分は、0−20重量%まで含有することができる。より好ましくは、0−15重量%である。さらに好ましくは、0−10重量%であり、最も好ましくは、0−5重量%である。この他の成分の量が上記の範囲以上に配合されると、著しく透明性が低下したり耐熱性が満足しなくなる場合がある。また、相溶性も低下し、衝撃強度が低下する場合がある。
【0036】
また、樹脂(A)のゴム部分の屈折率nDA1、マトリックス部分の屈折率nDA2の差が0.01以内でnDA1が1.51〜1.53の範囲であるゴム変性熱可塑性樹脂を使用すれば、透明性に優れた熱可塑性樹脂が得られやすく好ましい。具体的には、透明なポリ(メタクリル酸メチル/スチレン/ブタジエン)系樹脂が好ましい。
【0037】
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、透明性を保有するために、ゴム成分部分とマトリクス樹脂部分が好ましく相溶する様な配合を行っているために、得られた熱可塑性樹脂組成物の機械的強度の一例である衝撃強度が優れている。この場合、JIS-K7110に従って測定したノッチ入りアイゾット衝撃強度として好ましくは、5kg・cm/cm以上であり、より好ましくは8kg・cm/cm以上である。さらに好ましくは10kg・cm/cm以上である。
【0038】
本願発明の熱可塑性樹脂組成物が、高い透明性とともに耐熱性や耐衝撃性、成形加工性のバランスを有するためには(A)のマトリックス部分と(B)、(C)とからなる混合物が熱力学的に相溶であることが必要である。
【0039】
本発明において、上記樹脂(A)並びに(B)及び(C)の混合物が熱力学的に相溶状態であることの確認は、得られた熱可塑性樹脂組成物のガラス転移点(Tg)を測定することによって確認することができる。具体的には、樹脂の各混合物において、測定示差走査熱量測定機によって、常温より220℃まで昇温速度10℃/分の条件で測定されるガラス転移点であって、特に30℃以上の温度領域において、そのガラス転移温度が1点に観測されることによって、互いに熱力学的に相溶していることが確認される。より好ましくは、30℃以上の温度領域において、ガラス転移温度が1点のみ観測されることである。
【0040】
また、混合物から成形したフィルムや成形品が透明性を有することを目視にて判別するか、全光線透過率等の光学的性質を所定の方法にて測定することにより、相溶している組成物が好ましくは透明性を有する事が確認できる。
【0041】
本発明で、採用できる特定のゴム樹脂成分と特定の重合体成分等を、それぞれのゴム部分とマトリックスとの屈折率を一定の式に合う様に配合するという方法を採用することにより、透明性があり、ビカット軟化温度が特定値以上で耐熱性がある組成物を得ることができる。また、さらに好ましくは、ゴム部分とマトリックス部分が良好に相溶状態となっているので、衝撃強度等の機械的物性もすぐれた樹脂組成物を得ることができる。
【0042】
(B)マレイミド系共重合体は、その重量平均分子量が50,000〜300,000の範囲内であることが好ましい。上記重量平均分子量が上記範囲を越える場合、成形加工性が悪くなることがあり、また、上記範囲を下回るときには、耐熱性、機械的性質が悪くなる等の欠点を生じる。
【0043】
また、上記マレイミド系共重合体の耐熱性を表す成形品のビカット軟化点は120℃以上であることが好ましく、更に好ましくは125℃以上である。120℃以下であればブレンド後の熱可塑性樹脂組成物に十分な耐熱性を付与することができにくい。上記マレイミド系共重合体による成形品の黄変度は、10以下、更に好ましくは5以下であることが望ましい。
【0044】
このようなマレイミド系共重合体は、任意の重合法にて重合して得られるが、マレイミド類単量体の単量体単位での含有量が、各単量体成分の全量に対し、5重量%を越える場合、上記重合法として、例えば懸濁重合法を用いると、上記マレイミド系共重合体中にマレイミド類単量体の残存量が多くなることがあり、得られたマレイミド系共重合体が着色して透明度が低下するおそれがある。
【0045】
また、乳化重合法を用いた場合では、乳化剤等が残存して、得られた樹脂組成物においてにごりが生じたり、熱着色が生じたりして、透明度が低下するおそれがある。一方、上記重合法として溶液重合法を用いると、マレイミド類単量体の残存量を低減でき、上記問題点を回避できるので、黄変度が10以下の共重合体の製造方法としては、溶液重合法を用いることが望ましい。
【0046】
このような溶液重合法に用いられる有機溶媒としては、一般に用いられている有機溶媒、例えばトルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、メチルイソブチルケトン、ブチルセロソルブ、ジメチルホルムアルデヒド、2−メチルピロリドン、メチルエチルケトン等の有機溶媒を適宜用いればよい。
【0047】
重合後の重合液からマレイミド系共重合体を反応溶液と分離する方法としては種々提案されている。例えば、ベント付き2軸押し出し機で脱揮することで、反応溶液と共に、残存したマレイミド類単量体を効果的に低減させることができ、上記の黄変度の少ないマレイミド系共重合体を得ることができる。この残存マレイミド単量体の少ないマレイミド系共重合体を使用することは本発明の好ましい形態である。
【0048】
なお、本明細書では、重量%の表示は、その配合量の合計が常に100重量%となるように各単量体成分が配合されることを意味し、例えば、各単量体成分において、メタクリル酸エステル類単量体が80重量%配合されると、マレイミド類単量体20重量%と一義的に設定され、例えば、メタクリル酸エステル類単量体が70重量%配合されると、マレイミド類単量体20重量%、その他の単量体10重量%というように一義的に設定されることを意味する。
【0049】
本発明で規定した屈折率を調整する式である、一般式(I)に従って、(B)を(A)に適宜混合することにより、耐熱性があり、かつ透明性に優れた熱可塑性樹脂組成物が得られる。また、(C)その他の熱可塑性樹脂は、必要に応じ、(B)とともに(A)と混合することにより、耐熱性や屈折率の微調整が可能となり、任意にコントロールされた耐熱性や透明性を有する熱可塑性樹脂組成物が得られる。上記各熱可塑性樹脂組成物における(A)、(B)の配合比(重量比)は、各熱可塑性樹脂が1重量%以上で、必要な耐熱性や透明性に応じ、耐衝撃性や成形加工性等の他の物性を損なわない程度で、自由に配合比を代えて添加することができるが、特に、耐熱性に優れた熱可塑性樹脂組成物を得る為には、最終組成物のガラス転移点が、110℃以上になる様に配合することが好ましい。又、耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂組成物を得る為には、最終組成物中のゴム含有量が5%以上であることが好ましく、更に好ましくは10%以上である。
【0050】
本発明における、 (A)、(B)、(C)成分の、具体的な好ましい配合比は、(A)、(B)、(C)成分の総量を100重量%として、(A)20〜99重量%、(B)1〜80重量%、(C)0〜30重量%であり、更に好ましくは、(A)50〜95重量%、(B)5〜50重量%、(C)0〜20重量%である。またより好ましくは、(C)成分は、0−10重量%である。さらに好ましくは、(C)成分は、0−5重量%である。
【0051】
また、より具体的には、(B)成分として、マレイミド系耐熱性樹脂を用いる事が好ましい。また、この(B)成分は、メタクリル酸エステル類単量体98〜50重量%、アリールマレイミド類単量体1〜20重量%、アルキルマレイミド類単量体1〜30重量%及び必要に応じ、これら単量体と共重合可能な、その他の単量体重量%からなる単量体成分を用いて重合することによって得る事ができる。より好ましいこの単量体成分の範囲は、アリールマレイミド類単量体5〜17重量%、アルキルマレイミド単量体5〜20重量%、メタクリル酸エステル単量体90〜63重量%、共重合可能なその他単量体0〜12重量%である。また、より好ましくは、これら単量体成分を用いて重合してなる重合体であって、さらにビカット軟化点が120℃以上の熱可塑性樹脂であれば特に限定されることはない。
【0052】
上記のメタクリル酸エステル類単量体としては、シクロヘキシル基、ベンジル基を含むアルキル基の炭素数1〜18を有するメタクリル酸エステル類であり、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ターシャリブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−フェノキシエチル、メタクリル酸3−フェニルプロピル等を挙げることができ、これらのうち1種または2種以上の混合物を用いることができ、これらの中ではメタクリル酸メチルが好ましい。
【0053】
上記のアリールマレイミド類単量体としては、 N−フェニルマレイミド、N−クロルフェニルマレイミド、N−メチルフェニルマレイミド、N−ナフチルマレイミド、N−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−メトキシフェニルマレイミド、N−カルボキシフェニルマレイミド、N−ニトロフェニルマレイミド、N−トリブロモフェニルマレイミド等を挙げることができる。
【0054】
上記のアルキルマレイミド類単量体としては、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−イソブチルマレイミド、N−ターシャリブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、 N−ラウリルマレイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)マレイミド等を挙げることができる。
【0055】
本願発明の、マレイミド系耐熱性熱可塑性樹脂としては、上記のアリールマレイミド類単量体及び、アルキルマレイミド類単量体れぞれから、1種又は2種以上選択し、マレイミド類単量体単位として、2種以上の混合物で用いることが好ましい。
【0056】
具体的には、マレイミド系単量体として、アリールマレイミド類単量体とアルキルマレイミド類単量体の2種のマレイミド系単量体を合せて用いる事が好ましい。この2種のマレイミド系単量体を併用して単量体成分として用いて重合する事で、本発明の(A)成分や、(C)成分と良好に相溶する事のできる(B)成分を得ることができる。その結果、耐熱性、相溶性、屈折率のバランスの点で好ましい樹脂組成物を得ることができるのである。その結果透明性の良好な樹脂組成物を得ることができるのである。
【0057】
上記の、アリールマレイミド類単量体単位としては、N−フェニルマレイミドが、アルキルマレイミド類単量体単位としては、N−シクロヘキシルマレイミドが、耐熱性、相溶性、屈折率のバランスの点で最も好ましい。
【0058】
共重合可能なその他の単量体としては、芳香族ビニル類;不飽和ニトリル類;シクロヘキシル基、ベンジル基を含むアルキル基の炭素数1〜18を有するアクリル酸エステル類;オレフィン類;ジエン類;ビニルエーテル類;ビニルエステル類;フッ化ビニル類;プロピオン酸アリル等の飽和脂肪酸モノカルボン酸のアリルエステル類またはメタクリルエステル類;多価(メタ)アクリレート類;多価アリレート類;グリシジル化合物;不飽和カルボン酸類等を挙げることができ、これらのうち1種または2種以上の混合物を用いるとができる。
【0059】
芳香族ビニル類単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、イソプロペニルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン等を挙げることができ、これらのうち1種または2種以上の混合物を用いることができ、これらの中では、特にスチレンが好ましい。
【0060】
ただし、芳香族ビニル類単量体を多く用いた場合には、(B)マレイミド系共重合体の屈折率が高くなり、マレイミド類単量体単位の含有量を高く設定することができにくくなる為、耐熱性が不足しやすくなる。この様な高い屈折率のマレイミド系共重合体を用いると、本発明の透明な樹脂組成物を得る為の一般式(I)を満たすことが困難になるため好ましくない。この為、必要に応じて芳香族ビニル類単量体を共重合する場合は、15重量%以下が好ましく、更に好ましくは12重量%以下、最も好ましくは10重量%以下である。
【0061】
不飽和ニトリル類単量体としてはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、フェニルアクリロニトリル等を挙げることができる。
【0062】
前記アクリル酸エステル類としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ターシャリブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル等を挙げることができる。
【0063】
前記のオレフィン類としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ジイソブチレン等を挙げることができる。前記ジエン類としては、ブタジエン、イソプレン等を挙げることができる。前記ビニルエーテル類としては、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等を挙げることができる。前記ビニルエステル類としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等を挙げることができる。前記フッ化ビニル類としては、フッ化ビニリデン等を挙げることができる。
【0064】
前記多価(メタ)アクリレート類としては、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールトリ、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ハロゲン化ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド付加物のジもしくはトリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0065】
前記の多価アリレート類としては、トリアリルイソシアヌレート等を挙げることができる。前記のグリシジル化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等を挙げることができる。前記の不飽和カルボン酸類としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、あるいはそれらの半エステル化物や無水物を挙げることができる。
【0066】
本発明の(A)ゴム変性熱可塑性樹脂並びに(B)メタクリル酸エステル類単量体単位98〜50重量%、アリールマレイミド類単量体単位1〜20重量%、アルキルマレイミド類単量体単位1〜30重量%及び共重合可能な単量体単位0〜15重量%からなるビカット軟化点が120℃以上の耐熱性樹脂、(C)その他の熱可塑性樹脂、から主としてなる耐熱性に優れた熱可塑性樹脂組成物は、上述の様に、優れた透明性と共に、耐熱性も有している。
【0067】
特定の耐熱性熱可塑性樹脂(B)を好ましく組成に配合させることで、ガラス転移温度が十分高く、かつ透明性にも優れる熱可塑性樹脂組成物が得られる。屈折率を調整するために、本発明の樹脂組成物が満足する一般式(I)を満たせば、本発明の耐熱性に優れた熱可塑性樹脂組成物が有するガラス転移温度には特に限定はないが、例えば、その好ましいガラス転移温度は、110℃以上である、さらに好ましくは115℃以上、最も好ましくは120℃以上とする事ができる。
【0068】
次に、本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法の一例について説明すると、メタクリル酸エステル類単量体とアリールマレイミド類単量体、アルキルマレイミド類単量体とを少なくとも含む各単量体成分を、好ましくは溶液重合によって共重合してなるマレイミド系共重合体と、(A)ゴム変性熱可塑性樹脂、 (C)その他の熱可塑性樹脂とを混合して熱可塑性樹脂組成物を得る方法が好ましい。上記の方法によれば、マレイミド系共重合体において用いるアリールマレイミド類単量体とアルキルマレイミド類単量体を、15重量%を越えて用いても、溶液重合を用いたことによって、上記マレイミド系共重合体におけるマレイミド類単量体の残存量を軽減でき、残存マレイミド類単量体による光学的性質の低下や加熱加工時に揮散するマレイミド類単量体を抑制することができるので好ましい。
【0069】
上記(A)、(B)、(C)の各成分の混合の順序に対しては、例えばすべてを同時に混合する方法、二種をあらかじめ混合しておいた後、他の一成分と混合する方法等が挙げられる。こうした混合は、従来公知の方法で実施可能である。
【0070】
すべてを同時に混合する方法としては、単軸あるいは二軸の溶融押し出し機を用いて、(A)、(B)、(C)、及び必要に応じて後述する各種の添加剤を添加して溶融混合することができる。二成分をあらかじめ混合しておいた後、他の一成分と混合する方法としては、(B)及び(C)を単軸あるいは二軸の溶融押し出し機を用いてあらかじめ混合しておいた後、再び単軸あるいは二軸の溶融押し出し機を用いて(A)と溶融混合することができる。必要に応じて後述する各種の添加剤を添加できるが、この添加剤の混合は、一段階目または二段階目のいずれの混合時に行っても差し支えない。
【0071】
本発明における熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて各種の添加剤を添加してもよい。かかる各種の添加剤として、ガラス繊維、金属繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、チタン酸カリウィスカー、炭素繊維、アスベストのような繊維状強化剤、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、クレー、酸化チタン、酸化アルミニウム、ガラスフレーク、ミルドファイバー、金属フレーク、金属粉末のような各種充填剤、リン酸エステル、亜リン酸エステルに代表されるような熱安定剤あるいは触媒失活剤、酸化安定剤、光安定剤、滑剤、顔料、難燃化剤、難燃助剤、可塑剤等の添加剤を適宜配合しても差し支えない。
【0072】
また、ガラス繊維等は、その成分やその添加量や、その長さ等を、本発明の効果に支障がない様に調整することも可能である。例えば、ミルドファイバー等を用いることが好ましい。またガラス粉等も用いる事ができる。充填剤等も、同様にその量、その種類を選択して使用することができる。
【0073】
本発明の樹脂組成物は、たとえば、射出成形、押出成形、真空成形などの成形法や延伸成形により得られる成形品、シート・フィルムは高い耐熱性と透明性、その他の耐衝撃性や成形性のバランスに優れたものである。
【0074】
【実施例】
以下に、この発明の具体的な実施例及び比較例を示すが、この発明は下記実施例に限定されない。なお、特に断らない限り「部」は「重量部」、「%」は「重量%」である。まず、実施参考例として、本発明のB成分として用いるマレイミド系共重合体の重合例とその物性を示す。
【0075】
(実施参考例1)
N−フェニルマレイミド7.5部、N−シクロヘキシルマレイミド5.0部、メタクリル酸メチル34.0部、スチレン3.5部、トルエン50.0部からなる単量体成分を用い、さらに、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート0.05部を用いて溶液重合を行った後、得られた反応液を二軸押出機に導入し揮発分を除去し、重量平均分子量23万、メタクリル酸メチル単位68.3%、N−フェニルマレイミド単位15.2%、N−シクロヘキシルマレイミド単位9.5%、スチレン単位7.0%のマレイミド系共重合体(B−1)を得た。その共重合体(B−1)のガラス転移温度は144℃、なおビカット軟化温度は141℃、屈折率は1.517、黄変度は1.9であった。
【0076】
(実施参考例2)
原料組成をN−フェニルマレイミド5.0部、N−シクロヘキシルマレイミド10.0部、メタクリル酸メチル30.0部、スチレン5.0部、トルエン50.0部、および、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート0.05部に変更した以外は上記と同様の操作を行い重量平均分子量24万、メタクリル酸メチル単位59.9%、N−フェニルマレイミド単位10.5%、N−シクロヘキシルマレイミド単位19.7%、スチレン単位9.9%のマレイミド系共重合体(B−2)を得た。その共重合体(B−2)のガラス転移温度は143℃、ビカット軟化温度は141℃、屈折率は1.518、黄変度は2.2であった。
【0077】
(比較参考例3)
原料組成をN−フェニルマレイミド12.5部、メタクリル酸メチル31.5部、スチレン6.0部、トルエン50.0部および、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート0.05部に変更した以外は上記と同様の操作を行い重量平均分子量22.3万、メタクリル酸メチル単位62.0%、N−フェニルマレイミド単位25.3%、スチレン単位12.7%のマレイミド系共重合体(B−3)を得た。その共重合体(B−3)のガラス転移温度は144℃、ビカット軟化温度は141℃、屈折率は1.534、黄変度は4.2であった。
【0078】
(比較参考例4)
原料組成をN−シクロヘキシルマレイミド12.5部、メタクリル酸メチル28.5部、スチレン9.0部、トルエン50.0部および、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート0.05部に変更した以外は上記と同様の操作を行い重量平均分子量18.5万、メタクリル酸メチル単位57.5%、N−シクロヘキシルマレイミド単位26.0%、スチレン単位16.5%のマレイミド系共重合体(B−4)を得た。その共重合体(B−4)のガラス転移温度は127℃、ビカット軟化温度は123℃、屈折率は1.518、黄変度は2.0であった。
【0079】
透明なゴム変性熱可塑性樹脂(A−1)としては、ブタジエン含有量20%、メタクリル酸メチル含有量55%、スチレン含有量20%、アクリロニトリル含有量5%でマトリックスの重量平均分子量13万の物を、透明なゴム変性熱可塑性樹脂(A−2)としては、エチレン−α−オレフィン系ゴム質重合体としてEPDMゴム含有量20%、メタクリル酸メチル含有量55%、スチレン含有量20%、アクリロニトリル含有量5%でマトリックスの重量平均分子量15万の物を、ゴム変性熱可塑性樹脂(A−3)としてはブタジエン含有量26%、メタクリル酸メチル73%、スチレン含有量27%でマトリックスの重量平均分子量12万の物を、その他の熱可塑性樹脂として用いたAS樹脂(C)としてはスチレン含有量81%、アクリロニトリル含有量19%、重量平均分子量12万の物を、使用した。
【0080】
(A−1)のマトリックス部のガラス転移温度の実測値は107℃、屈折率は1.520、ゴム部の屈折率は1.517、成形品の全光線透過率は87%であった。(A−2)のマトリックス部のガラス転移温度は106℃、屈折率は1.520、ゴム部の屈折率は1.518、成形品の全光線透過率は88%であった。 同様に、(A−3)のマトリックス部のガラス転移温度の実測値は100℃、屈折率は1.518、ゴム部の屈折率は1.517、成形品の全光線透過率は89%であった。同様に、(C−3)のガラス転移温度は105℃、屈折率は1.580であった。また、(B−5)としてガラス転移温度は145℃、ビカット軟化温度は141℃、屈折率は1.585のポリカーボネート樹脂を用いた。
【0081】
なお、以下に本発明における各種物性に測定方法等について説明する。
【0082】
▲1▼ガラス転移温度(Tg)
上記共重合体及び、下記実施例組成物のガラス転移温度は、示差走査熱量測定器(理学電気(株)製、商品名:DSC−8230)を用い、窒素ガス雰囲気下、α−アルミナをリファレンスとして用いて、常温より220℃まで昇温速度10℃/分で測定したDSC(Differential Scanning Calorimeter)曲線から中点法にて算出した。
【0083】
▲2▼重量平均分子量(Mw)
上記共重合体の重量平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatography)により、分子量測定用の標準ポリスチレン換算にて、測定した重量平均分子量として算出した。
【0084】
▲3▼屈折率
上記共重合体屈折率をアッベ屈折率計(株式会社アタゴ製2T)を用いて測定した。
【0085】
▲4▼樹脂の黄変度(YI)
樹脂をクロロホルムに溶かし、15重量%クロロホルム溶液とし、JIS−K−7103によって、透過法で測定した。
▲5▼光学的性質
上記試験片の全光線透過率は、ASTM D1003によって測定され、上記試験片の黄変度(YI)は、JIS K7103によって測定された。
【0086】
▲6▼熱可塑性樹脂構造の分析
本発明の、(B)成分の熱可塑性樹脂構造中のアリールマレイミド類単量体(A)成分由来の単量体構造単位としての含有量(重量%)およびアルキルマレイミド類単量体(B)成分由来の単量体構造単位としての含有量は、所定の単量体成分を重合する事によって得られた重合体について、元素分析による窒素含有量(重量%)の測定と、1H−NMRを測定をする事により分析した。
【0087】
▲7▼ビカット軟化点(VST)
上記共重合体のビカット軟化点は、ASTM D1525によって、荷重1kgの条件で測定した。
▲8▼耐衝撃性
耐衝撃性は、JIS K7110によって、ノッチ入り1/4インチの試験片で行ったアイゾッド衝撃強度(Izod)で示した。
【0088】
(実施例1)(A−1)60部、参考例1で得られたマレイミド系共重合体(B−1)40重量部、をオムニミキサーにて混合した後、シリンダー温度を240℃にコントロールした30mmφの2軸押出機を用いて溶融混練し、本実施例1の熱可塑性樹脂組成物を得た。この熱可塑性樹脂組成物のマトリックス部のガラス転移温度、即ちゴム領域以外のガラス転移温度は123℃で、ガラス転移温度が1点である観測ができ、相溶していることを示していた。このゴム領域以外のガラス転移温度とは、本文で記載した様に、具体的には30℃以上の温度領域の事を示す。この実施例は、ゴム変性熱可塑性樹脂と本願の特定のマレイミド共重合体とが容易に相溶状態になる事を示した。
【0089】
この熱可塑性樹脂組成物をシリンダー温度240℃、金型温度60℃にてコントロールした射出成形機を用いて成形し、光線透過率測定用の試験片(50×50×3mm)及び各種物性測定用試験片を得た。この試験片の各物性を、上記の各評価方法にてそれぞれ測定した。それらの結果を表1に合わせて示した。また、各樹脂の屈折率と配合比よりマトリックスの屈折率を計算し、結果を表1に示した。
(実施例2〜6)次に、本発明の他の各実施例を、実施例2〜6として説明すれば、以下の通りである。各実施例2〜6では、表1に記載した配合量にて、実施例1と同様に調製して各実施例2〜6の各熱可塑性樹脂組成物をそれぞれ得た。上記の各熱可塑性樹脂組成物の各物性値を実施例1と同様に測定し、それらの結果を表1に合わせて示した。
【0090】
次に、本発明の特徴点を示すための各比較例を、各比較例1〜3として説明すると、以下の通りである。
【0091】
(比較例1〜3)比較例1〜3では、表1に記載した配合量にて、実施例1と同様に調製して比較例1〜3の各熱可塑性樹脂組成物をそれぞれ得た。上記の各熱可塑性樹脂組成物の各物性値を実施例1と同様に測定し、それらの結果を表1に合わせて示した。なお、比較組成物3では、そのマトリックス部とゴム部との屈折率の差が0.01より大きくなっており、透明性が著しく劣っていることが判る。
【0092】
また、比較組成物1では、特に(B)成分として、N−フェニルマレイミド系重合体を用いているので、マトリックス部の樹脂間の相溶性が悪く、Tgが2点観測され、非相溶となっているため透明性及び耐衝撃性が著しく低下している。相溶性が悪いために、アイゾット衝撃強度も低い値となっている。また比較組成物2では、透明性及び耐衝撃性は、いくらか維持しているものの、(B)成分として、N−シクロヘキシルマレイミド系重合体を用いているので、相溶性は良好であるが、ガラス転移温度やビカット軟化温度が低く、耐熱性が低い組成物しか得られていない。
【0093】
上記、実施例と比較例に使用した各重合体とその組成、及び各種物性データを表1にまとめた。表中の(A−1)から(A−3)はゴム変性熱可塑性樹脂を、(B−1)から(B−5)まではビカット軟化点が120℃以上の熱可塑性樹脂を、(C)はその他の熱可塑性樹脂を表している。
【0094】
以下に表1を示す。
【0095】
【表1】
【0096】
【発明の効果】
本発明の耐熱性に優れた熱可塑性樹脂組成物は、以下のように、(A)ゴム変性熱可塑性樹脂並びに(B)メタクリル酸エステル類単量体単位98〜50重量%、アリールマレイミド類単量体単位1〜20重量%、アルキルマレイミド類単量体単位1〜30重量%及び共重合可能な単量体単位0〜15重量%からなるガラス転移温度が120℃以上の耐熱性熱可塑性樹脂、
及び必要に応じて添加される(C)その他の熱可塑性樹脂から主としてなり、(A)のゴム部分、(A)のマトリックス部分、(B)及び(C)の屈折率をそれぞれnD A1、nDA2、nDB及びnDCとし、熱可塑性樹脂組成物中のそれぞれの重量比をwA1、wA2、wB及びwCとした時、下記の計算式(II)を満たし、好ましくは、さらに(A)のマトリックス部分と(B)及び(C)とからなる混合物が熱力学的に相溶であることを特徴とする、外観と耐熱性に優れた熱可塑性樹脂組成物であることを特徴とする構成である。
(II)|nDA1−nDm|≦0.01
但し、nDm=( wA2× nDA2 +wB×nDB+ wC×nDC)/(wA2+wB+wC)
なお、上記式(II)で、 wCが0の場合、上記式(II)は、別途上述した、本発明の2成分系の熱可塑性樹脂組成物に対応する計算式である計算式(I)の事を示す。
また、本発明の実施形態においては、上記の計算式に従って、各成分を配合し、本発明の熱可塑性樹脂組成物を得る製造方法は好ましい実施形態の1つである。
上記構成の(B)として、例えば、マレイミド系耐熱性樹脂を用いることで、効果的に耐熱性を向上することができ、更に透明性、相溶性に優れた熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
すなわち、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、
(A)ゴム変性熱可塑性樹脂並びに(B)メタクリル酸エステル単量体単位、アリールマレイミド単量体単位及びアルキルマレイミド単量体単位を必須構造単位として持つ、ガラス転移温度が120℃以上の耐熱性熱可塑性樹脂及び、必要に応じて添加される(C)その他の熱可塑性樹脂をを含む熱可塑性樹脂組成物であって、該熱可塑性樹脂組成物を用いて3mm厚の平板を成形した時の成形品の全光線透過率が、75%以上である事を特徴とする熱可塑性樹脂組成物である。この熱可塑性樹脂組成物を成形する事によって、透明性の良好な成形品を得る。
【0097】
より具体的には、(A)ゴム変性熱可塑性樹脂並びに(B)メタクリル酸エステル類単量体単位98〜50重量%、アリールマレイミド類単量体単位1〜20重量%、アルキルマレイミド類単量体単位1〜30重量%及び共重合可能な単量体単位0〜15重量%からなるガラス転移温度が120℃以上の耐熱性熱可塑性樹脂、及び必要に応じて添加される(C)その他の熱可塑性樹脂を含んでなる熱可塑性樹脂組成物であり、該熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度が、30℃以上の測定温度領域において、1つ観察されることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物である。この状態は、本発明の熱可塑性樹脂組成物のマトリクス樹脂部分が熱力学的に相溶になる状態を示す。衝撃強度等の機械的強度の安定な成形品を得る熱可塑性樹脂組成物となる。
Claims (3)
- 下記(A)(B)成分を必須成分として含む熱可塑性樹脂組成物であって、
(A)成分が、
ゴム部分として、
ポリブタジエン系ゴムまたはエチレン−α−オレフィン系ゴム質重合体、
マトリックス部分として、
メタクリル酸エステル単量体単位90〜60重量%、
芳香族ビニル単量体単位10〜40重量%、
シアン化ビニル単量体単位0〜15重量%からなる(A)ゴム変性熱可塑性樹脂であり、
(B)成分が、
メタクリル酸エステル単量体単位98〜50重量%、
アリールマレイミド単量体単位1〜20重量%、
アルキルマレイミド単量体単位1〜30重量%及び、
これら単量体と共重合可能な、その他の単量体単位0〜15重量%(ただし総量は100重量%である)からなる、
重量平均分子量が50,000〜300,000、
ガラス転移温度が120℃以上の(B)熱可塑性樹脂であり、
(A)(B)成分の配合比が
(A)が50〜95重量%、
(B)が5〜50重量%(ただし(A)(B)成分の合計は100重量%である)
であり、
(A)及び(B)樹脂成分の総和を100重量%とした場合、
他の成分を、0−20重量%含有し、
(A)のゴム部分、(A)のマトリックス部分及び(B)の屈折率をそれぞれnDA1、nDA2、nDB、とし、熱可塑性樹脂組成物中のそれぞれの重量比をwA1、wA2及びwBとした時、下記の計算式(I)を満たし、
3mm厚の平板を成形した時の成形品の全光線透過率が、75%以上であり、かつ
熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度が、30℃以上の測定温度領域において、1つ観察される
ことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物、
または
熱可塑性樹脂組成物が、(A)(B)成分以外の熱可塑性樹脂(C)成分を含み、
前記(C)成分が
芳香族ビニル類単量体単位60〜85重量%、
不飽和ニトリル類単量体単位15〜40重量%、
共重合可能なその他の単量体単位0〜20重量%(ただし総量は100重量%である)からなる(C)熱可塑性樹脂であり、
(A)(B)(C)成分の配合比が
(A)が50〜95重量%(ただし95重量%を除く)、
(B)が5〜50重量%(ただし50重量%を除く)、
(C)が0〜10重量%(ただし0重量%を除く)
(ただし(A)(B)(C)成分の合計は100重量%である)であり、
(A)、(B)および(C)樹脂成分の総和を100重量%とした場合、
他の成分を、0−20重量%含有し、
(A)のゴム部分、(A)のマトリックス部分、(B)及び(C)の屈折率をそれぞれnDA1、nDA2、nDB及びnDCとし、熱可塑性樹脂組成物中のそれぞれの重量比をwA1、wA2、wB及びwCとした時、下記の計算式(II)を満たし、
3mm厚の平板を成形した時の成形品の全光線透過率が、75%以上であり、かつ
熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度が、30℃以上の測定温度領域において、1つ観察される
ことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
(I)|nDA1−nDm|≦0.01
但し、nDm=(wA2×nDA2+wB×nDB)/(wA2+wB)
(II)|nDA1−nDm|≦0.01
但し、nDm=(wA2×nDA2+wB×nDB+wC×nDC)/(wA2+wB+wC) - 請求項1記載の(A)(B)(C)成分が下記の何れかの特徴を有する熱可塑性樹脂組成物。
(A)成分の
ゴム部分がポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴム、
マトリックス部分を構成する単量体単位が、メタクリル酸メチルおよびスチレン、またはメタクリル酸メチル、スチレンおよびアクリロニトリル
である(A)ゴム変性熱可塑性樹脂、
(B)成分の
メタクリル酸エステル単量体が、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ターシャリブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−フェノキシエチル、メタクリル酸3−フェニルプロピルから選ばれる少なくとも1種の単量体、
アリールマレイミド単量体がN−フェニルマレイミド、N−クロルフェニルマレイミド、N−メチルフェニルマレイミド、N−ナフチルマレイミド、N−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−メトキシフェニルマレイミド、N−カルボキシフェニルマレイミド、N−ニトロフェニルマレイミド、N−トリブロモフェニルマレイミドから選ばれる少なくとも1種の単量体、
アルキルマレイミド単量体がN−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−イソブチルマレイミド、N−ターシャリブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、 N−ラウリルマレイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)マレイミドから選ばれる少なくとも1種の単量体、
これら単量体と共重合可能な、その他の単量体がスチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、イソプロペニルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、フェニルアクリロニトリル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ターシャリブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジルから選ばれる少なくとも1種の単量体
である(B)熱可塑性樹脂
(C)成分が
AS樹脂、α−メチルスチレン−アクリロニトリル系共重合体、マレイミド−スチレン系共重合体、マレイミド−スチレン−アクリロニトリル系共重合体から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂 - 熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、
(A)(B)を二軸押出機を用いて溶融混合、
(A)(B)(C)成分を同時に単軸または二軸の溶融押し出し機を用いて溶融混合、
または
(B)(C)成分を単軸または二軸の溶融押し出し機で溶融混合したあと(A)成分を再び単軸あるいは二軸の溶融押し出し機を用いて溶融混合することを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
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