JP5965593B2 - 光学等方性支持板及びインナータッチパネル - Google Patents

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Description

本発明は、光学等方性に優れる光学等方性支持板及びインナータッチパネルに関する。
抵抗膜方式タッチパネルは、フィルム状の上部絶縁基板の下面にITO(インジウム・スズ酸化物)等の透明導電膜からなる上部電極が形成された上部電極板と、板状又はフィルム状の下部絶縁基板の上面に透明導電膜からなる下部電極が形成された下部電極板とを備え、上部電極板と下部電極板とが電極間に空気層を介して対向配置された構造を有する。抵抗膜方式タッチパネルは、コードレス電話機、携帯電話機、電卓、サブノートパソコン、ペンパソコン、PDA(パーソナル・デジタル・アシスタント)、デジタルカメラ、ビデオカメラ、業務用通信機器、オートテラーマシーン等においてディスプレイと組み合わせた入力装置として広く利用されている。具体的には、CRT(Cathod Ray Tube)、LCD(Liquid Crystal Display)、有機ELD(Electro Luminescence Display)等のディスプレイの表面に透明タッチパネルを実装した後、ディスプレイの表示面を透視しながら、タッチパネルの表面をペンや指等で押圧することによって、各種の入力、操作を行なう。
このような抵抗膜方式タッチパネルにおいて、上部電極の透明導電層と下部電極の透明導電層とが接触と非接触とを繰り返すこととなる。一般に透明導電層の形成材料であるITO等の透明導電性材料は、耐擦傷性が低く、タッチパネルの入力時に受ける繰り返し変形により亀裂が入り易い。特に変形の大きい上部電極では繰り返される透明導電層同士の接触、非接触により基材である高分子フィルムから剥離、脱落し易い傾向にある。
近年、外光の影響を受けやすいカーナビゲーションシステム等に多用されているタッチパネルとして、視認性やコントラストに優れる偏光板一体型インナータッチパネルが用いられている(特許文献1参照)。車載用途に用いられるタッチパネルにおいては、通常の室内で使用される各種タッチパネルよりも厳しい耐熱性や耐湿性が求められる。このことから、今以上に、透明導電層の耐久性が求められている。
一般に、偏光板一体型タッチパネルには、偏光板の一方の面に偏光板保護膜、他方の面に光学等方性支持板が設けられ、該光学等方性支持板の偏光板側とは反対の面に透明導電層が設けられた構造を有している。
光学等方性支持板としてトリアセチルセルロース(TAC)板を用いた場合、厳しい湿熱条件下で長期間使用するとTAC中のアセチル基が加水分解し、ポリマー構造が変化、複屈折が発生すると同時に、酢酸を生じることとなる。この酢酸は、光学等方性支持板上の透明導電層に損傷を与え、タッチパネルを故障させることがある。
そこで、偏光板一体型インナータッチパネルにおける光学等方性支持板に環状オレフィンポリマー(COP)を使用するという方法がある(特許文献2)。COPは湿熱条件下において安定であるが、光学等方性支持板用途に用いる樹脂としては、複屈折が大きく、近年ますます高精彩化が進む同用途においては、加工後に成形ひずみをとるためアニーリング等を必要としている。また、COPは透明導電層との密着性が十分ではなく、透明導電層を積層する前に一般的なプラズマ処理や、表面をポリシロキサンのアンダーコートを施す等密着性を向上するための表面処理が必要である(特許文献3)。
また、このようなタッチパネル用途に使用が考えられる光学等方性支持板を得る方法としては、光学特性が異なる複数の樹脂を溶融積層化する方法が挙げられる(特許文献4)。この方法ではガラス転移温度の高い樹脂を積層することで、熱変形温度の向上がはかられる。しかしながら、光学特性として複屈折の大きい、複数の樹脂を積層化するため、夫々の層の厚み精度や歪の加わり方、特に、夫々の樹脂の線膨張係数が異なることによる、温度変化時の歪の加わり方までを均一に保つのは困難であり、結果、支持板面内での複屈折のばらつきが大きい傾向にある。
特開平11−053118号公報 特開2008−292982号公報 特開2009−029108号公報 特開2002−069210号公報
上述のように、近年要求される高度な精細度を求められる偏光板一体型インナータッチパネルに使用される光学等方性支持体には、湿熱安定性、低複屈折性及び無機密着性の全てを満足することが望まれている。
そこで本発明は、耐熱性、無機密着性、湿熱安定性を有し、かつ、高度な光学等方性(低複屈折性)を有する光学等方性支持板及びこれを用いたインナータッチパネルを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、板状実装材料として、特定のアクリル系熱可塑性樹脂を熱成形することで、耐熱性、無機密着性、湿熱安定性を有する高度な光学等方性(低複屈折性)を持った光学等方性支持板が得られること、及びそれからなるインナータッチパネル用途向けの偏光板一体型光学等方性支持板が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下に関する。
[1] 下記式(1)で表される第一の構造単位、下記式(2)で表される第二の構造単位及び下記式(3)で表される第三の構造単位を有するアクリル系熱可塑性樹脂から形成され、アクリル系熱可塑性樹脂が、その総量基準で、50〜95質量%の第一の構造単位と、0.1〜20質量%の第二の構造単位と、0.1〜49.9質量%の第三の構造単位とを有する、光学等方性支持板。
Figure 0005965593

[式中、Rは、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、炭素数7〜14のアリールアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、又は、下記A群より選ばれる少なくとも一種の置換基を有する炭素数6〜14のアリール基、を示す。
A群:ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルコキシ基及び炭素数1〜12のアルキル基。]
Figure 0005965593

[式中、Rは、炭素数7〜14のアリールアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、又は、下記B群より選ばれる少なくとも一種の置換基を有する炭素数6〜14のアリール基、を示し、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基を示す。
B群:ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルキル基及び炭素数7〜14のアリールアルキル基。]
Figure 0005965593

[式中、Rは、水素原子、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数1〜12のアルキル基、又は、下記C群より選ばれる少なくとも一種の置換基を有する炭素数1〜12のアルキル基、を示し、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基を示す。
C群:ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基及び炭素数1〜12のアルコキシ基。]
[2]アクリル系熱可塑性樹脂の光弾性係数の絶対値が、3.0×10−12Pa−1以下である[1]に記載の光学等方性支持板。
[3]アクリル系熱可塑性樹脂のハロゲン原子含有率が、アクリル系熱可塑性樹脂の総量基準で0.47質量%未満である[1]又は[2]に記載の光学等方性支持板。
[4]第二の構造単位の含有量の、第三の構造単位の含有量に対するモル比が0より大きく15以下である[1]〜[3]のいずれか1つに記載の光学等方性支持板。
[5] 上記Rが、メチル基又はベンジル基であり、上記Rが、フェニル基又は上記B群より選ばれる少なくとも一種の置換基を有するフェニル基であり、上記Rが、シクロヘキシル基である[1]〜[4]のいずれか1つに記載の光学等方性支持板。
[6]アクリル系熱可塑性樹脂は、フィルム成形した場合の面内方向の位相差Reの絶対値が、100μm厚み換算で30nm以下となる樹脂である[1]〜[5]のいずれか1つに記載の光学等方性支持板。
[7]アクリル系熱可塑性樹脂は、フィルム成形した場合の厚み方向の位相差Rthの絶対値が100μm厚み換算で、30nm以下となる樹脂である[1]〜[6]のいずれか1つに記載の光学等方性支持板。
[8]アクリル系熱可塑性樹脂は、フィルム成形した場合の延伸倍率(S)と、該延伸倍率での100μm厚み換算複屈折(Δn(S))との最小二乗法近似直線関係式(a)における傾きαの値が、下記式(b)を満たす樹脂である[1]〜[7]のいずれか1つに記載の光学等方性支持板。
Δn(S)=α×S+β ・・・(a)
−0.30×10−5≦α≦0.30×10−5 ・・・(b)
[式中、βは定数であり、無延伸時の複屈折を示す。]
[9]アクリル系熱可塑性樹脂のガラス転移温度が130℃以上である[1]〜[8]のいずれか1つに記載の光学等方性支持板。
[10]表面の鉛筆硬度が3H以上である[1]〜[9]のいずれか1つに記載の光学等方性支持板。
[11]厚みが25〜3500μmである[1]〜[10]のいずれか1つに記載の光学等方性支持板。
[12][1]〜[11]のいずれか1つに記載の光学等方性支持板からなる、インナータッチパネル用光学等方性支持板。
[13][12]に記載のインナータッチパネル用光学等方性支持板を備える、静電投影方式インナータッチパネル。
[14][12]に記載のインナータッチパネル用光学等方性支持板を備える、抵抗膜方式インナータッチパネル。
[15][12]に記載のインナータッチパネル用光学等方性支持板と、該光学等方性支持板の少なくとも一方の面に積層された偏光板とを有する、偏光板一体型インナータッチパネル用光学等方性支持板。
[16][15]に記載の偏光板一体型インナータッチパネル用光学等方性支持板を備える、静電投影方式インナータッチパネル。
[17][15]に記載の偏光板一体型インナータッチパネル用光学等方性支持板を備える、抵抗膜方式インナータッチパネル。
本発明によれば、耐熱性、無機密着性及び湿熱安定性を有する高度な光学等方性(低複屈折性)をもった光学等方性支持板を提供することができ、それを用いることで良好な視認性と信頼性を有するインナータッチパネルを提供することができる。
抵抗膜方式偏光板一体型インナータッチパネルの模式断面図である。 静電投影式偏光板一体型インナータッチパネルの模式断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
[アクリル系熱可塑性樹脂]
本実施形態の光学等方性支持板は、アクリル系熱可塑性樹脂からなる。アクリル系熱可塑性樹脂は、第一の構造単位、第二の構造単位及び第三の構造単位を有する。以下、各構造単位について説明する。
(第一の構造単位)
第一の構造単位は、下記式(1)で表される構造単位である。
Figure 0005965593

式中、Rは、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、炭素数7〜14のアリールアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、又は、下記A群より選ばれる少なくとも一種の置換基を有する炭素数6〜14のアリール基、を示す。ここで、A群は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルコキシ基及び炭素数1〜12のアルキル基からなる群である。
なお、本明細書中、アルキル基は直鎖状であっても分岐状であってもよい。また、アリールアルキル基中のアルキル基及びアルコキシ基中のアルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。
における炭素数1〜12のアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。また、Rにおける炭素数1〜12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デカニル基、ラウリル基等が挙げられ、これらのうち、アクリル系熱可塑性樹脂の透明性及び耐候性が一層向上する点において、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基が好適であり、メチル基がより好適である。
また、Rにおける炭素数5〜12のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、トリシクロデシル基、ビシクロオクチル基、トリシクロドデシル基、イソボルニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられ、これらのうち、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、トリシクロデシル基、ビシクロオクチル基、トリシクロドデシル基、イソボルニル基が好適である。
また、Rにおける炭素数7〜14のアリールアルキル基としては、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、6−フェニルヘキシル基、8−フェニルオクチル基が挙げられ、これらのうち、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基が好適である。
また、Rにおける炭素数6〜14のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられ、これらのうち、フェニル基が好適である。
また、Rは置換基を有する炭素数6〜14のアリール基であってもよく、ここで置換基は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルコキシ基及び炭素数1〜12のアルキル基からなる群(A群)より選ばれる基である。
において、置換基を有する炭素数6〜14のアリール基としては、置換基を有するフェニル基が好ましい。また、置換基を有する炭素数6〜14のアリール基としては、2,4,6−トリブロモフェニル基、2−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−エチルフェニル基、4−エチルフェニル基、2−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−ニトロフェニル基、4−ニトロフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基等が挙げられ、これらのうち難燃性が付与される点において、2,4,6−トリブロモフェニル基が好適である。
第一の構造単位の含有量は、アクリル系熱可塑性樹脂の総量基準で50〜95質量%であり、好ましくは60〜92質量%、より好ましくは70〜90質量%である。第一の構造単位の含有量が、50質量%以上であれば高い全光線透過率及び耐環境性が発現する。
アクリル系熱可塑性樹脂は、第一の構造単位を一種のみ含有していてもよく、第一の構造単位を二種以上含有していてもよい。
例えば、アクリル系熱可塑性樹脂は、Rがアルキル基である構造単位と、Rがアリールアルキル基又はアリール基である構造単位と、を有するものとすることができる。このとき後者の構造単位の含有量は、アクリル系熱可塑性樹脂の総量基準で0.1〜10質量%であることが好ましく、0.1〜8質量%であることがより好ましく、0.1〜6質量%であることがさらに好ましい。この範囲にあるアクリル系熱可塑性樹脂によれば、大きな耐熱性低下を伴わずに、複屈折等の光学特性の改良効果が得られる。
第一の構造単位は、例えば、メタクリル酸単量体及びメタクリル酸エステル類から選ばれる第一の単量体から形成される。第一の単量体は、下記式(1−a)で表すことができる。
Figure 0005965593

式中、Rは式(1)におけるRと同義である。
メタクリル酸エステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル;メタクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロオクチル、メタクリル酸トリシクロデシル、メタクリル酸微シクロオクチル、メタクリル酸トリシクロドデシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸1−フェニルエチル、メタクリル酸2−フェノキシエチル、メタクリル酸3−フェニルプロピル、メタクリル酸2,4,6−トリブロモフェニル等が挙げられる。これらの第一の単量体は、単独で用いる場合も2種以上を併用して用いる場合もある。メタクリル酸エステルのうち、得られるアクリル系熱可塑性樹脂の透明性や耐候性が優れる点でメタクリル酸メチル及びメタクリル酸ベンジルが好ましい。
(第二の構造単位)
第二の構造単位は、下記式(2)で表される構造単位である。
Figure 0005965593

式中、Rは、炭素数7〜14のアリールアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、又は、下記B群より選ばれる少なくとも一種の置換基を有する炭素数6〜14のアリール基、を示し、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基を示す。B群は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルキル基及び炭素数7〜14のアリールアルキル基からなる群である。
における炭素数7〜14のアリールアルキル基としては、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、6−フェニルヘキシル基、8−フェニルオクチル基が挙げられ、これらのうち、耐熱性及び低複屈折性などの光学的特性が一層向上する点において、ベンジル基が好適である。
また、Rにおける炭素数6〜14のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられ、これらのうち、耐熱性及び低複屈折性等の光学的特性が一層向上する点において、フェニル基が好適である。
また、Rは置換基を有する炭素数6〜14のアリール基であってもよく、ここで置換基は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルキル基及び炭素数7〜14のアリールアルキル基からなる群(B群)より選ばれる基である。
置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
置換基としての炭素数1〜12のアルコキシ基としては、炭素数1〜10のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜8のアルコキシ基がより好ましい。また、置換基としての炭素数1〜12のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、1−デシルオキシ基、1−ドデシルオキシ基等が挙げられる。
置換基としての炭素数1〜12のアルキル基及び炭素数7〜14のアリールアルキル基としては、Rにおける炭素数1〜12のアルキル基及び炭素数7〜14のアリールアルキル基として例示された基が同様に例示される。
において、置換基を有する炭素数6〜14のアリール基としては、置換基を有するフェニル基、置換基を有するナフチル基が好ましい。また、置換基を有する炭素数6〜14のアリール基としては、2,4,6−トリブロモフェニル基、2−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−エチルフェニル基、4−エチルフェニル基、2−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−ニトロフェニル基、4−ニトロフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基等が挙げられ、これらのうち、難燃性が付与される点において、2,4,6−トリブロモフェニル基が好適である。
及びRにおける炭素数1〜12のアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。また、R及びRにおける炭素数1〜12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デカニル基、ラウリル基等が挙げられ、これらのうち、アクリル系熱可塑性樹脂の透明性及び耐候性が一層向上する点において、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基が好適であり、メチル基がより好適である。
及びRにおける炭素数6〜14のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられ、これらのうち、耐熱性及び低複屈折性等の光学的特性が一層向上する点において、フェニル基が好適である。
及びRは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
第二の構造単位の含有量としては、アクリル系熱可塑性樹脂の総量基準で0.1〜49.9質量%であり、好ましくは0.1〜35質量%、より好ましくは0.1質量%〜20質量%である。第二の単量体の含有量がこの範囲であればアクリル系熱可塑性樹脂の透明性を維持し、黄変を伴わず、また耐環境性を損なうことなく耐熱性が向上する。
アクリル系熱可塑性樹脂は、第二の構造単位を一種のみ含有していてもよく、第二の構造単位を二種以上含有していてもよい。
第二の構造単位は、例えば、下記式(2−a)で表されるN−置換マレイミド化合物から選ばれる第二の単量体から形成される。
Figure 0005965593
式中、R、R及びRは、それぞれ式(2)におけるR、R及びRと同義である。
第二の単量体としては、N−フェニルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−(4−クロロフェニル)マレイミド、N−(4−ブロモフェニル)マレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(2−エチルフェニル)マレイミド、N−(2−メトキシフェニル)マレイミド、N−(2−ニトロフェニル)マレイミド、N−(2、4、6−トリメチルフェニル)マレイミド、N−(4−ベンジルフェニル)マレイミド、N−(2、4、6−トリブロモフェニル)マレイミド、N−ナフチルマレイミド、N−アントラセニルマレイミド、3−メチル−1−フェニル−1H−ピロール−2,5−ジオン、3,4−ジメチル−1−フェニル−1H−ピロール−2,5−ジオン、1,3−ジフェニル−1H−ピロール−2,5−ジオン、1,3,4−トリフェニル−1H−ピロール−2,5−ジオン等が挙げられる。これらの第二の単量体のうち、アクリル系熱可塑性樹脂の耐熱性、及び複屈折等の光学的特性が優れることからが優れる点で、N−フェニルマレイミド及びN−ベンジルマレイミドが好ましい。これらの第二の単量体は、単独で用いる場合も2種以上を併用して用いる場合もある。
(第三の構造単位)
第三の構造単位は、下記式(3)で表される構造単位である。
Figure 0005965593

式中、Rは、水素原子、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数1〜12のアルキル基、又は、下記C群より選ばれる少なくとも一種の置換基を有する炭素数1〜12のアルキル基、を示し、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基を示す。C群は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基及び炭素数1〜12のアルコキシ基からなる群である。
における炭素数3〜12のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、トリシクロデシル基、ビシクロオクチル基、トリシクロドデシル基、イソボルニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられ、これらのうち、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基が好適であり、アクリル系熱可塑性樹脂の耐候性及び透明性などの光学特性が一層向上するとともに、低吸水性を付与できる点からは、シクロヘキシル基がより好適である。
また、Rにおける炭素数1〜12のアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましい。また、Rにおける炭素数1〜12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基、2−エチルヘキシル基、1−デシル基、1−ドデシル基等が挙げられ、これらのうち、アクリル系熱可塑性樹脂の耐候性及び透明性等の光学特性が一層向上することから、メチル基、エチル基、イソプロピル基が好適である。
また、Rは置換基を有する炭素数1〜12のアルキル基であってもよく、ここで置換基は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基及び炭素数1〜12のアルコキシ基からなる群(C群)より選ばれる基である。
置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
置換基としての炭素数1〜12のアルコキシ基としては、炭素数1〜10のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜8のアルコキシ基がより好ましい。また、置換基としての炭素数1〜12のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、1−デシルオキシ基、1−ドデシルオキシ基等が挙げられる。
において、置換基を有する炭素数1〜12のアルキル基としては、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロエチル基、ヒドロキシエチル基等が挙げられ、これらのうち、トリフルオロエチル基が好適である。
及びRにおける炭素数1〜12のアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。また、R及びRにおける炭素数1〜12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デカニル基、ラウリル基等が挙げられ、これらのうち、アクリル系熱可塑性樹脂の透明性及び耐候性が一層向上する点において、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基が好適であり、メチル基がより好適である。
及びRにおける炭素数6〜14のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられ、これらのうち、耐熱性及び低複屈折性などの光学的特性が一層向上する点において、フェニル基が好適である。
及びRは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
第三の構造単位の含有量としては、アクリル系熱可塑性樹脂の総量基準で0.1〜49.9質量%であり、好ましくは0.1質量〜35質量%、より好ましくは0.1〜30質量%である。第三の構造単位の含有量がこの範囲であれば、透明性を維持し、低吸湿性が発揮される。
アクリル系熱可塑性樹脂は、第三の構造単位を一種のみ含有していてもよく、第三の構造単位を二種以上含有していてもよい。
第三の構造単位は、例えば、下記式(3−a)で表されるN−置換マレイミド化合物から選ばれる第三の単量体から形成される。
Figure 0005965593
式中、R、R及びRは、それぞれ式(3)におけるR、R及びRと同義である。
第三の単量体としては、例えば、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−イソブチルマレイミド、N−s−ブチルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−n−ペンチルマレイミド、N−n−ヘキシルマレイミド、N−n−ヘプチルマレイミド、N−n−オクチルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−ステアリルマレイミド、N−シクロプロピルマレイミド、N−シクロブチルマレイミド、N−シクロペンチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−シクロヘプチルマレイミド、N−シクロオクチルマレイミド、1−シクロヘキシル−3−メチル−1−フェニル−1H−ピロール−2,5−ジオン、1−シクロヘキシル−3,4−ジメチル−1−フェニル−1H−ピロール−2,5−ジオン、1−シクロヘキシル−3−フェニル−1H−ピロール−2,5−ジオン、1−シクロヘキシル−3,4−ジフェニル−1H−ピロール−2,5−ジオン等が挙げられる。これらの第三の単量体は、単独で用いる場合も2種以上を併用して用いる場合もある。アクリル系熱可塑性樹脂の耐候性が優れる点から、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドが好ましく、近年光学材料に求められている低吸湿性に優れることからN−シクロヘキシルマレイミドが特に好ましい。
アクリル系熱可塑性樹脂において、第二の構造単位及び第三の構造単位の総含有量は、アクリル系熱可塑性樹脂の総量基準で5〜50質量%であることが好ましい。より好ましくは5〜40質量%、更に好ましくは10〜35質量%、より一層好ましくは10〜30質量%、特に好ましくは15〜30質量%である。この範囲内にあるとき、アクリル系熱可塑性樹脂はより十分な耐熱性改良効果が得られ、また、耐候性、低吸水性、光学特性についてより好ましい改良効果が得られる。なお、第二の構造単位の含有量及び第三の構造単位の含有量が50質量%を超えると、重合反応時に単量体成分の反応性が低下して、未反応で残存する単量体量が多くなり、アクリル系熱可塑性樹脂の物性が低下してしまう場合がある。
アクリル系熱可塑性樹脂において、第二の構造単位の含有量Cと第三の構造単位の含有量Cのモル比C/Cは、望ましくは0より大きく15以下である。後述する光学特性(低い複屈折、低い光弾性係数)の観点から、モル比C/Cは、より好ましくは10以下である。モル比C/Cがこの範囲にあるとき、本発明のアクリル系熱可塑性樹脂はより一層良好な光学特性を発現する。
アクリル系熱可塑性樹脂において、第一の構造単位、第二の構造単位及び第三の構造単位の合計の含有量は、アクリル系熱可塑性樹脂の総量基準で、80質量%以上であってもよい。これにより、アクリル系熱可塑性樹脂は一層良好な光学特性を発現する。
(第四の構造単位)
アクリル系熱可塑性樹脂は、上記以外の構造単位をさらに含有していてもよい。例えば、アクリル系熱可塑性樹脂は、発明の目的を損なわない範囲で、上記第一、第二及び第三の単量体と共重合可能なその他の単量体に由来する構造単位を、さらに有していてもよい。以下、アクリル系熱可塑性樹脂中の第一、第二及び第三の構造単位以外の構造単位を、第四の構造単位と称する。
共重合可能なその他の単量体としては、芳香族ビニル;不飽和ニトリル;シクロヘキシル基、ベンジル基又は炭素数1〜18のアルキル基を有するアクリル酸エステル;オレフィン;ジエン;ビニルエーテル;ビニルエステル;フッ化ビニル;プロピオン酸アリル等の飽和脂肪酸モノカルボン酸のアリルエステル又はメタリルエステル;多価(メタ)アクリレート;多価アリレート;グリシジル化合物;不飽和カルボン酸類等を挙げることができる。その他の単量体は、これらの群より選ばれる1種又は2種以上の組み合わせであり得る。
上記芳香族ビニルとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。上記不飽和ニトリルとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、フェニルアクリロニトリル等が挙げられる。また、上記アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−t−ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル等が挙げられる。
また、上記オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ジイソブチレン等が挙げられる。また、上記ジエンとしては、ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。また、上記ビニルエーテルとしては、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等が挙げられる。また、上記ビニルエステルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられる。また、上記フッ化ビニルとしては、フッ化ビニリデン等が挙げられる。
上記多価(メタ)アクリレートとしては、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ハロゲン化ビスフェノールAのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物のジ、又はトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
多価アリレート単量体としては、ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。グリシジル化合物単量体としては、グリシジル(メタ)アクリレート、及びアリルグリシジルエーテル等が挙げられる。不飽和カルボン酸単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、及びこれらの半エステル化物又は無水物が挙げられる。
アクリル系熱可塑性樹脂中の第四の構造単位の含有量は、アクリル系熱可塑性樹脂の総量基準で、0.1〜20質量%であることが好ましく、0.1〜15質量%であることがより好ましく、0.1〜10質量%であることがさらに好ましい。含有量が上記範囲であると、アクリル系熱可塑性樹脂の吸湿性が一層改善される。耐候性の観点からは、10質量%未満であることが好ましく、7質量%未満であることがより好ましい。
アクリル系熱可塑性樹脂は、第四の構造単位を一種のみ有していてもよく、二種以上を有していてもよい。
第四の構造単位の一例として、下記式(4)で表される構造単位が挙げられる。
Figure 0005965593
式中、Rは水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基を示し、Rはハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を示し、aは1〜3の整数を示す。
における炭素数1〜12のアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましい。また、Rにおける炭素数1〜12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、1−デシル基、1−ドデシル基等が挙げられ、これらのうちメチル基が好適である。
におけるハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
また、Rにおける炭素数1〜12のアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましい。また、Rにおける炭素数1〜12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、1−デシル基、1−ドデシル基等が挙げられ、これらのうち、アクリル系熱可塑性樹脂の透明性及び耐候性が一層向上する点において、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基が好適であり、メチル基がより好適である。
また、Rにおける炭素数1〜12のアルコキシ基としては、炭素数1〜10のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜8のアルコキシ基がより好ましい。また、置換基としての炭素数1〜12のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、1−デシルオキシ基、1−ドデシルオキシ基等が挙げられ、これらのうち、メトキシ基が好適である。
式(4)で表される構造単位は、例えば、下記式(4−a)で表される単量体から形成することができる。
Figure 0005965593

式中、R、R及びaはそれぞれ式(4)におけるR、R及びaと同義である。
第四の単量体としては、例えば、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、2−メチル−4−クロロスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、α―メチルスチレン、cis−β−メチルスチレン、trans−β−メチルスチレン、4−メチル−α−メチルスチレン、4−フルオロ−α−メチルスチレン、4−クロロ−α−メチルスチレン、4−ブロモ−α−メチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、2−フルオロスチレン、3−フルオロスチレン、4−フルオロスチレン、2,4−ジフルオロスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、2−ブロモスチレン、3−ブロモスチレン、4−ブロモスチレン、2,4−ジブロモスチレン、α−ブロモスチレン、β−ブロモスチレン、2−ヒドロキシスチレン、4−ヒドロキシスチレン等が挙げられる。アクリル系熱可塑性樹脂を構成する第一の単量体、第二の単量体及び第三の単量体との共重合性に優れ、その光学特性の調整が少量の使用で可能な点からスチレン、α−メチルスチレンが特に好ましい。これらの第四の単量体は、単独で用いる場合も2種以上を併用して用いる場合もある。
本実施形態に係るアクリル系熱可塑性樹脂は、1種の共重合体から構成されていてもよいし、第一の構造単位、第二の構造単位及び第三の構造単位のうち1種以上の構造単位を有する2種以上の共重合体のブレンド物であってもよい。例えば、アクリル系熱可塑性樹脂は、第一の構造単位、第二の構造単位、及び第三の構造単位を有する1種の共重合体から構成される樹脂であり得る。あるいは、アクリル系熱可塑性樹脂は、第一の構造単位と、第二の構造単位、及び/又は第三の構造単位とを有する2種類以上の共重合体から構成されるブレンド物であってもよいし、第一の構造単位を有する重合体と、第二の構造単位を有する重合体と、第三の構造単位を有する重合体とから構成されるブレンド物であってもよい。透明性や均一性の観点から、アクリル系熱可塑性樹脂は、第一の構造単位、第二の構造単位、及び第三の構造単位を有する共重合体であるか、第一の構造単位と、第二の構造単位、及び/又は第三の構造単位とを有する2種類以上の共重合体から構成されるブレンド物であることが好ましく、第一の構造単位、第二の構造単位、及び第三の構造単位を有する共重合体であることが特に好ましい。
アクリル系熱可塑性樹脂中のハロゲン原子の含有量は、アクリル系熱可塑性樹脂の総量基準で0.47質量%未満であることが好ましく、0.45質量%以下であることがより好ましい。アクリル系熱可塑性樹脂がハロゲン原子を0.47質量%未満とすることで、溶融成形等に際して高温でアクリル系熱可塑性樹脂を取り扱った場合でも、ハロゲン系ガスが発生し難く、ハロゲン系ガスに起因する装置の腐食や作業環境の悪化が防止される。また、アクリル系熱可塑性樹脂(又はその成形体等)を廃棄する際にも、環境負荷が比較的大きいハロゲン系ガスが発生し難いという利点がある。
アクリル系熱可塑性樹脂のGPC測定法によるポリメチルメタクリレート換算の重量平均分子量(Mw)は、3000〜1000000であることが好ましい。Mwが3000以上であれば成形によって必要な強度を有する光学等方性偏光膜保護フィルムを得ることができる。また、Mwが1000000以下であれば各種溶融成形時に必要十分な熱流動性を得ることができる。Mwは、より好ましくは30000〜800000であり、更に好ましくは60000〜600000である。特に好ましくは100000〜400000である。
アクリル系熱可塑性樹脂のGPC測定法によるポリメチルメタクリレート換算の分子量分布(Mw/Mn)は、1〜10であることが好ましい。アクリル系熱可塑性樹脂は、リビングラジカル重合法で重合することも可能であり、必要に応じて分子量分布を調整可能である。成形加工に適した樹脂粘度に調整する観点からは、分子量分布(Mw/Mn)は1.1〜7.0であることがより好ましく、1.2〜5.0であることがさらに好ましく、1.5〜4.0とすることもできる。
アクリル系熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、120℃以上であることが好ましい。Tgが120℃以上であれば、近年の液晶ディスプレイ用フィルム成形体として必要十分な耐熱性を有している。Tgは、好ましくは130℃以上であり、より好ましくは135℃以上である。一方、Tgの上限としては、180℃以下であることが好ましい。
(アクリル系熱可塑性樹脂の光学特性)
(i)光弾性係数Cの絶対値
アクリル系熱可塑性樹脂の光弾性係数Cの絶対値は、3.0×10−12Pa−1以下であることが好ましく、より好ましくは、2.0×10−12Pa−1以下であり、さらに好ましくは1.0×10−12Pa−1以下である。
ここで、光弾性係数に関しては種々の文献に記載があり(例えば、化学総説,No.39,1998(学会出版センター発行)参照)、下記式(i−a)及び(i−b)により定義されるものである。光弾性係数Cの値がゼロに近いほど、外力による複屈折変化が小さいことが判る。
=|Δn|/σ …(i−1)
|Δn|=nx−ny …(i−2)
式中、Cは光弾性係数、σは伸張応力、|Δn|は複屈折の絶対値、nxは伸張方向の屈折率、nyは面内で伸張方向と垂直な方向の屈折率、をそれぞれ示す。
アクリル系熱可塑性樹脂の光弾性係数Cは、既存樹脂(例えば、PMMA、PC、トリアセチルセルロース樹脂、環状オレフィン樹脂等)と比較して、十分に小さい。従って、外力に起因した(光弾性)複屈折を生じさせないために複屈折変化を受けにくい。また、成形時の残存応力に起因する(光弾性)複屈折を生じにくいために成形体内での複屈折分布も小さい。
(ii)面内方向の位相差Re
アクリル系熱可塑性樹脂は、フィルム成形した場合の面内方向の位相差Reの絶対値が、30nm以下であることが好ましい。ここで位相差Reは、フィルムとして測定した値を100μm厚に換算して求めた値である。
位相差Reの絶対値は、20nm以下であることがより好ましく、15nm以下であることがさらに好ましく、11nm以下であることが特に好ましい。
一般に、位相差Reの絶対値は、複屈折の大小を表す指標である。アクリル系熱可塑性樹脂の複屈折は、既存樹脂(例えば、PMMA、PC、トリアセチルセルロース樹脂、環状オレフィン樹脂など)を用いた場合の複屈折に対して十分に小さく、光学材料として低複屈折やゼロ複屈折を要求される用途に好適である。
一方、面内方向の位相差Reの絶対値が30nmを超える場合、屈折率異方性が高いことを意味し、光学材料として低複屈折やゼロ複屈折を要求される用途には使用できないことがある。また、光学材料(例えば、フィルム、シートなど)の機械的強度を向上させるために延伸加工をする場合があるが、延伸加工後の面内方向の位相差の絶対値が30nmを超える場合は、光学材料として低複屈折やゼロ複屈折材料が得られたことにはならない。
(iii)厚み方向の位相差Rth
アクリル系熱可塑性樹脂は、フィルム成形した場合の厚み方向の位相差Rthの絶対値が、30nm以下であることが好ましい。ここで位相差Rthは、フィルムとして測定した値を100μm厚に換算して求めた値である。
位相差Rthの絶対値は、20nm以下であることがより好ましく、15nm以下であることがさらに好ましく、11nm以下であることが特に好ましい。
この厚み方向の位相差Rthは、光学材料、特に光学フィルムとしたとき、該光学フィルムを組み込んだ表示装置の視野角特性と相関する指標である。具体的には、厚み方向の位相差Rthの絶対値が小さいほど視野角特性は良好であり、見る角度による表示色の色調変化、コントラストの低下が小さい。
アクリル系熱可塑性樹脂は、既存樹脂(例えば、PMMA、PC、トリアセチルセルロース樹脂、環状オレフィン樹脂など)を用いた場合と比較して、光学フィルムとしたときの厚み方向の位相差Rthの絶対値が非常に小さいという特徴を有する。
(iv)全光線透過率
アクリル系熱可塑性樹脂は、フィルム成形した場合の全光線透過率が85%以上であることが好ましく、88%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。ここで全光線透過率は、100μm厚に換算して求めた値である。全光線透過率が85%未満であると、透明性が低下し、高い透明性を要求される用途に使用できないことがある。
以上のとおり、アクリル系熱可塑性樹脂は、光弾性係数Cが十分に小さく(近似的にはゼロ)、また延伸加工の有無に関わらず、光学フィルムとして面内方向の位相差Re及び厚み方向の位相差Rthの絶対値がいずれも小さい(近似的にはゼロ)ことで特徴付けられ、従来公知の樹脂では達成できない光学的に完全な等方性を実現することができる。さらに、アクリル系熱可塑性樹脂は、高い耐熱性をも同時に達成することができる。
[アクリル系熱可塑性樹脂の製造方法]
本実施形態のアクリル系熱可塑性樹脂は、第一の単量体、第二の単量体及び第三の単量体を含む単量体群を重合することにより得ることができる。アクリル系熱可塑性樹脂を得る手法として、例えば、キャスト重合、塊状重合、懸濁重合、溶液重合、乳化重合、リビングラジカル重合、アニオン重合等の一般に行われている重合方法を用いることができるが、通常、触媒の脱灰がないラジカル重合が選択される。
アクリル系熱可塑性樹脂を光学材料用途として用いるには、微小な異物や不純物の混入をできるだけ避けることが好ましく、この観点からアクリル系熱可塑性樹脂の重合方法には懸濁剤や乳化剤を用いないラジカルキャスト重合やラジカル溶液重合を用いることが望ましい。
また、重合形式として、例えば、バッチ重合法、連続重合法のいずれも用いることができる。重合操作が簡単という観点からは、バッチ重合法が望ましく、より均一組成の重合物を得るという観点では、連続重合法を用いることが望ましい。
重合反応時の温度や重合時間は、使用する単量体の種類や割合等に応じて適宜調整できるが、例えば、重合温度が0〜160℃、重合時間が0.5〜24時間であり、好ましくは、重合温度が80〜160℃、重合時間が1〜8時間である。
ラジカル重合反応時には、必要に応じて重合開始剤を添加する。重合開始剤としては、重合温度に応じて一般的なラジカル重合開始剤を使用することができ、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物;2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート等のアゾ化合物を挙げることができる。これらの重合開始剤は、単独で用いても2種以上を併用して用いてもよい。
重合開始剤の使用量は、単量体の組合せや反応条件などに応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではないが、好ましくは0.005〜5質量%の範囲で用いられる。
重合反応に必要に応じて用いられる分子量調節剤は、一般的なラジカル重合において用いる任意のものが使用され、例えば、ブチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸2−エチルヘキシル等のメルカプタン化合物が挙げられる。これらの分子量調節剤は、重合度が所望の範囲内に制御されるように添加される。
ラジカル溶液重合の場合の重合溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。重合温度、取扱いの容易さ、及び、樹脂と溶媒との分離除去の容易性より、沸点が50〜200℃である溶媒が好ましい。
ラジカル溶液重合では、重合液濃度(樹脂分の濃度)として10〜95質量%で実施することが望ましい。10質量%以上であれば、分子量と分子量分布の調整が容易である。95質量%以下であれば、高分子量の重合体を得ることができる。また、重合中の除熱の観点から、反応液の粘度を適切にするために75質量%以下とすることがより好ましく、60質量%以下とすることが更に好ましい。
また、重合反応液の粘度を適切に保つという観点からは、重合中に重合溶媒を適宜添加することができる。反応液の粘度を適切に保つことで、除熱を制御し、反応液中の副反応を抑制することが容易となる。特に、粘度が上昇する重合反応後半においては重合溶媒を適宜添加して50質量%以下となるように制御することが更に好ましい。
溶液重合で得られたアクリル系熱可塑性樹脂は、溶液をそのまま用いて溶液キャスト法で光学等方性偏光膜保護フィルムとする場合以外では、溶媒や残存単量体と分離する必要がある。分離する方法は、溶液を加熱したり減圧したりして溶媒や残存単量体を揮発させる脱揮処理や、樹脂の貧溶媒中に入れて溶媒や残存単量体を抽出除去する方法等、公知の方法を用いることができる。
本実施形態において、アクリル系熱可塑性樹脂は、光学材料として精密な光学用途である偏光板に供されるものであることから混入する異物数は、少ないほど好ましい。異物数を減少させる方法としては、重合反応工程、脱揮処理工程、及び成形工程において、重合溶液又は溶融液を、例えば、濾過精度1.5〜15μmのリーフディスク型ポリマーフィルター等で濾過する方法等が挙げられる。
本実施形態においては、最終的な光学等方性偏光膜保護フィルムへの影響が出ない範囲内で、アクリル系熱可塑性樹脂に熱安定剤、紫外線吸収剤、光学等方性樹脂以外の樹脂を加えることができる。加える方法は公知の方法であれば特段の制限はない。例えば、重合時に添加する方法、重合後の溶液に添加する方法、樹脂に溶融混練等をして添加する方法、また、これらを組み合わせによる方法等によって添加することができる。
[アクリル系熱可塑性樹脂の成形]
本実施形態のアクリル系熱可塑性樹脂をフィルム状又はシート状に成形することで、光学等方性支持板に加工することができる。成形方法としては、溶融熱プレス法、溶融熱プレス法と熱溶融延伸法との組み合わせ、溶融押出法、溶融押出法と熱溶融延伸法との組み合わせ、射出成形法、射出成形法と熱溶融延伸法との組み合わせ、溶媒キャスト法、溶媒キャスト法と熱溶融延伸法との組み合わせ等を用いることができる。生産性の観点からは、溶融押出成形法が、光学性能の点からは溶融熱プレス成形法が好ましい。
一般的に溶融押出成形法では、アクリル系熱可塑性樹脂は供給装置を用いて押出機に供給、加熱下にあるスクリューの回転により溶融され、押出機から送り出され、加熱された流路を通して、口金、所謂、T台等のダイより押出される。このときアクリル系熱可塑性樹脂を押出す際のダイ温度は、組成物の熱分解を抑制するために、溶融物が固化しない範囲で低く設定することが望ましく、概ね200〜300℃であることが好ましく、この範囲でできるだけ低く設定することが好ましい。
ダイより溶融状態で押出されたアクリル系熱可塑性樹脂は、ダイ直下、又はダイ側方に設置された鏡面状の冷却ロール、鏡面状の冷却ベルト等の各種冷却支持体にキャストされることで冷却固化、その後に巻き取りロールで巻きとられる。この際、Tダイより溶融押出された樹脂が自然放熱で固化する前に転写することが好ましく、ダイと冷却ロール又は冷却ベルト等の支持体の距離を1〜300mm程度にすることが一般的である。この範囲であれば、押出歪を少なくして製品間の光学的、機械的なムラの原因である歪のバラツキを減少させることが容易になる。
冷却ロール、冷却ベルト等の支持体の構成や温度は、厚みによって好ましい構成、範囲が異なる。300μm以上の厚みの板状に製造する場合は、製品の厚みに応じた間隔をもつ二本一対の冷却ロールや冷却ベルトに挟んで、押し出されたアクリル系熱可塑性樹脂の両面から表面を同時に転写、固化することが好ましい。こうすることにより表面が平坦、且つ、平滑な光学等方性支持板を得ることが容易となり、厚み精度の高い板状成形を容易に製造することができる。また二本一組の冷却ロールや冷却ベルトに挟む直前に溶融樹脂の液溜り、所謂、バンクを設けることも必要においてできる。また、この厚み範囲の厚みにおいては冷却ロールや冷却ベルトの温度は120〜200℃が好ましい。
一方、50μm以下の厚みのシートを製造する場合は、一本の冷却ロールや冷却ベルト上に転写して冷却固化することが好まし。この構成で、厚みムラが少なく、表面が平坦かつ平滑な光学等方性支持板を得ることが容易となる。この際の冷却ロールや冷却ベルトの温度は30〜200℃が好ましい。
[光学等方性支持板]
本実施形態における光学等方性支持板は、上記アクリル系熱可塑性樹脂を成形してなる板状の形態を有した成形物である。光学等方性支持板は、偏光板と一体化して、インナータッチパネル用途に供することができる。
本実施形態の光学等方性支持板は、光弾性係数(C)が−3.0×10−12〜+3.0×10−12Pa−1以下であるアクリル系熱可塑性樹脂からなることが望ましい。本発明における光弾性係数(C)とは外力σを加えると歪Sの大きさと向きが変化する物体に偏光を加えた際に観察される位相差をRとしたとき、R=(C)×σで記される物理係数である。光弾性係数(C)は個々の透明物質に固有の値である。光弾性係数Cは、その絶対値が、より好ましくは、2.0×10−12Pa−1以下であり、さらに好ましくは1.0×10−12Pa−1以下である。この範囲内であれば、新たな外力による歪の発生が少なく、偏光板一体型インナータッチパネル用途において、ペンタッチ等の外力を受けた場合での画像の色ずれ等が発生しない。
本実施形態の光学等方性支持板における面内方向の位相差(Re)、厚み方向の位相差(Rth)とは、光学等方性支持板の面内及び厚み方向に生じる、成形時の残留応力による歪み、成形後に加えられる外部応力による生じる歪みのいずれか、又は両方を原因とする位相差である。面内方向の位相差(Re)の絶対値が30nm以下であり、かつ厚み方向の位相差(Rth)の絶対値が30nm以下であれば、偏光板に挟まれた光学等方性支持板で偏光が乱れることなくコントラストが良好な画像を得ることができる。より好ましくはRe、Rthともに25nm以下、更に好ましくは20nm以下が望ましい。
本発明の光学等方性支持板は、フィルム成形した場合の延伸倍率(S)と、その延伸倍率での100μm厚み換算複屈折(Δn(S))との最小二乗法近似直線関係式(a)における傾きαが、−0.30×10−5≦α≦+0.30×10−5の範囲にあるアクリル系熱可塑性樹脂からなることが望ましい。この範囲内にあるとき、光学特方性支持板の強度を上げる目的で、光学等方性支持板を延伸加工処理を施しても、延伸後の光学等方性支持板の発現する複屈折を小さいままに保つことが可能となる。
本発明の光学等方性支持板は、ガラス転移温度が130℃以上であるアクリル系熱可塑性樹脂からなることが望ましい。130℃以上であれば、近年の液晶ディスプレイ用フィルム成形体として必要十分な耐熱性を有しているばかりか、車載用等の高度な耐久性が要求される用途においても、好適に用いることができる。Tgは、好ましくは135℃以上であり、より好ましくは140℃以上である。一方、Tgの上限としては、180℃であることが好ましい。
また、本発明の光学等方性支持板の表面硬度は、鉛筆硬度で3H以上の表面硬度を有することが望ましい。鉛筆硬度が3H以上あれば、タッチパネルとして使用する際の傷つき特性として十分である。より好ましくは4H以上である。一方、鉛筆硬度の上限としては、6H程度である。
本発明の光学等方性支持板の厚みは、25〜3500μmであることが好ましく、25〜2000μmがより好ましく、25〜1000μmが更に好ましく、25〜800μmが特に好ましい。光学等方性支持板の厚みが25μ以上であれば、取り扱い上の十分な剛性を有し手やペンの接触に耐えることができ、3500μm以下であればディスプレイとしての十分な透明性が確保できる。
(光学等方性支持板の後加工)
光学等方性支持板は、必要に応じて、帯電防止処理、反射防止処理、ハードコート処理、アンカーコート処理、透明導電処理、電磁波遮蔽処理、ガスバリア処理等の処理を行って、最終的な用途に用いることができる。このような表面処理を行う場合は、必要に応じて、コロナ放電やプラズマ放電による処理や、エポキシ基、イソシアナート基等を持ったプライマー剤塗布による表面処理により、密着性を高めることもできる。
(光学等方性支持板への透明導電層付与)
本実施形態の光学等方性支持板には、可視光領域において透過度を有し、かつ、導電性を有する透明導電層を施すことができる。透明導電層の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の従来公知の技術をいずれも使用できるが、膜の均一性やアンカーコート層への薄膜の密着性の観点から、スパッタリング法での薄膜形成が好ましい。また、用いる薄膜材料も特に制限されるものではなく、例えば、酸化錫を含有する酸化インジウム、アンチモンを含有する酸化錫等の金属酸化物のほか、金、銀、白金、パラジウム、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、チタン、コバルト、錫、亜鉛又はこれらの合金等が好ましく用いられる。中でも好ましいものとしては、酸化錫を含有する酸化インジウム(ITO)が挙げられる。
透明導電層の厚さは、300〜1000nmである。300nm以上であれば表面抵抗が、1000Ω/□以下となる良好な導電性を有する連続被膜となる。また10000nm以下であれば全光線透過率の著しい低下をきたすことなく透明性を維持できる。より好ましい範囲としては400〜900nmであり、更に好ましくは500〜800nmである。
[偏光板一体型インナータッチパネル用光学等方性支持板]
本実施形態の偏光板一体型インナータッチパネル用光学等方性支持板は、インナータッチパネル用光学等方性支持板と、該光学等方性支持板の少なくとも一方の面に積層された偏光板とを有する。偏光板一体型光学等方性支持板は、例えば、偏光板と光学等方性支持板とを偏光板用接着剤で貼り合わせることで作製することができる。
(偏光板)
本実施形態における偏光板とは、偏光膜と偏光膜を保護する偏光膜保護フィルムとを偏光板用接着剤で貼り合わせたものである。
光学等方性支持板に偏光板を貼り合わせる方法、すなわち、光学等方性支持板と、偏光膜及び偏光膜保護フィルムとの積層方法は特に制限されず、例えば、光学等方性支持板の一表面又は偏光膜の一表面に接着剤を均一に塗布し、塗布面に他方を重ね合わせ、ロール等により貼り合わせ後、必要に応じて加熱又は露光する方法等が挙げられる
偏光膜は、入射する光を互いに直行する2つの偏光成分に分け、その一方のみを通過させ、他の成分を吸収又は分散させる働きを有する膜のことであり、その機能を有する膜であれば特に限定されず、いずれの偏光膜も用いることができる。また、その製造方法は特に限定されず、従来公知の方法を適用することができる。例えば、一軸延伸状態を保持したままのポリビニルアルコールフィルムをヨウ素をヨウ化カリウム溶液に溶解して製造した高次のヨウ素イオンを含む溶液に浸漬し、ヨウ素を吸着後延伸したあと、1〜5質量%のホウ酸水溶液に浴温度20〜70℃の温度下で浸漬して偏光膜を製造する方法や、ポリビニルアルコールフィルムを1〜5質量%のホウ酸水溶液に浴温度20〜40℃の温度下で浸漬し、一軸方向に3〜7倍程度延伸した後、0.05〜5質量%の二色性染料水溶液に温度20〜40℃で浸漬して染料を吸着してから、80〜100℃で乾燥し熱固定することで偏光膜を製造する方法が挙げられる。
偏光膜の厚みは、特に限定されるものではないが、好ましくは10〜50μmであり、より好ましくは15〜45μmである。偏光膜の厚みが10μm以上であれば、延伸や浸漬時に破断することなしに製造が可能であり、50μm以下であれば最終乾燥が容易であり、ばらつきの少ない偏光膜を得ることが可能である。
偏光膜は、そのまま本実施形態の偏光板の製造に用いてもよいが、本発明の光学等方性支持板や偏光膜保護フィルムとの接着を増すために接着剤層と接する面に、コロナ放電処理、プラズマ処理を施して用いることもできる。
(偏光板用接着剤)
偏光板用接着剤とはポリビニルアルコール水溶液や、ポリビニルアルコール、ポリウレタン系樹脂及びエポキシ硬化剤の水溶液等の水系接着剤等が用いられ、偏光膜と偏光膜保護フィルムとを接着可能であり、かつ、光学等方性支持板と偏光膜とを接着させることができるものであれば特に限定されない。
偏光板用接着剤は、乾燥後の厚さが好ましくは0.01〜50μmであり、より好ましくは0.01〜30μm以下であり、更に好ましくは0.01〜3μm以下となるように塗布する。偏光板用接着剤の乾燥後の厚さが0.01μm以上であれば必要十分な接着強度が得られ層間剥離が生じ難く、50μm以下であれば必要十分な全光線透過率が得られる。
偏光板用接着剤の塗布時の温度と貼り合わせ温度は、15〜40℃が好ましく、15℃以上であれば必要十分な粘度を確保でき、40℃以下であれば、貼り合わせる時間的な余裕が確保できる。接着剤として紫外線硬化性接着剤を用いた場合には、貼り合わせ後は露光処理を行い、接着剤を硬化させる。この際の露光光源は特に限定されないが、好ましくは紫外線であり、露光量は、好ましくは1〜2000mJである。
(偏光膜用保護フィルム)
偏光膜保護フィルムとは、トリアセチルセルロース重合体、ポリカーボネート重合体、環状オレフィン系重合体、ポリエチレンテレフタレート系重合体、アクリル系重合体、又は本発明の光学等方性材料を成形してなるフィルムが一般的である。中でも、アクリル系重合体や、光学等方性材料を成形してなるフィルム又は本発明の光学等方性支持板が、耐光性と透明導電層の長期耐久性の面から好ましい。
偏光膜保護フィルムの厚みは、特に限定されるものではないが、好ましくは10〜100μmであり、より好ましくは20〜80μmであり、更に好ましくは25〜40μmである。偏光膜保護フィルムの厚みが10μm以上であれば、偏光膜の傷つき強度を十分に発現でき、100μm以下であれば、必要十分な全光線透過率が維持できる。
[インナータッチパネル]
本実施形態におけるタッチパネルとは、表示と入力の二つ以上の機能を備えた機器であり、機器外部から受けた画像情報を液晶や有機EL等のディスプレイ等で表示すると共に、操作者がその表示された画面情報である絵やピクトグラム等の点又は領域に手やペンで触れることで、触れられた画面情報位置を感知し、操作者の意思を情報信号として機器外部へ出力するものをいう。特に偏光板一体型インナータッチパネルとは、液晶セルと偏光板が一体化された特殊なタッチパネルであり、液晶セルの上部に配置される偏光板の外面側に偏光板保護膜、そして、液晶セル面側に偏光板保護膜ではなく光学等方性支持板が設けられたものであり、場合によっては、光学等方性支持板のセル面側に透明導電層が設けられた構造のものをいう。
タッチパネル用途において、静電投影方式とは、指先と導電膜との間での静電容量の変化を捉えて位置を検出する方式であり、電極層として透明電極によって縦横2層からなる多数のダイヤモンドモザイク状の電極パターンが基板上に配置され、指が触れると電極の静電容量の変化を縦横2つの電極列から知ることで位置を精密に判別、多点検出が可能であるものをいう。
タッチパネル用途において、抵抗膜方式とは、対向する2枚の抵抗膜のうち1枚に対して電圧をかけておき、指やペン等で触れた位置に応じた電圧の変化を検知する事によりアナログ量として操作した場所を検知するものをいう。
なお、本発明の偏光板一体型光学等方性支持板を含む、液晶表示セル上の層構造例としては、下記のとおりである。左端が指やペンで入力する空気側であり、右端が液晶表示セルとなる。
[1] 偏光膜保護フィルム/偏光膜/光学等方性支持板
[2] 偏光膜保護フィルム/偏光膜/光学等方性支持板/アンカーコート層/透明導電層
[3] 偏光膜保護フィルム/偏光膜/光学等方性支持板/ハードコート層/アンカーコート層/透明導電層
[4] 光学等方性支持板/偏光膜/光学等方性支持板
[5] 光学等方性支持板/偏光膜/光学等方性支持板/アンカーコート層/透明導電層
[6] 光学等方性支持板/偏光膜/光学等方性支持板/ハードコート層/アンカーコート層/透明導電層
[7] ハードコート層/偏光膜保護フィルム/偏光膜/光学等方性支持板
[8] ハードコート層/偏光膜保護フィルム/偏光膜/光学等方性支持板/アンカーコート層/透明導電層
[9] ハードコート層/偏光膜保護フィルム/偏光膜/光学等方性支持板/ハードコート層/アンカーコート層/透明導電層
[10] ハードコート層/光学等方性支持板/偏光膜/光学等方性支持板
[11] ハードコート層/光学等方性支持板/偏光膜/光学等方性支持板/アンカーコート層/透明導電層
[12] ハードコート層/光学等方性支持板/偏光膜/光学等方性支持板/ハードコート層/アンカーコート層/透明導電層
本発明の偏光板一体型光学等方性支持板は、光学等方性支持板と偏光板とを一体化することで良好な偏光機能を有し、耐熱性、表面硬度等の特性にも優れており、長期使用においても剥離、変形、偏光度変化等が生じにくく、高い信頼性を有し、耐久性に優れている。また、偏光板に形成された透明導電層は、長期にわたって亀裂を発生せず、かつ低抵抗値を保ち、高強度で機械的耐久性に優れる。
本発明の偏光板一体型光学等方性支持板を用いてなる偏光板一体型タッチパネルは、車載用等の高度な耐久性が要求される用途においても、好適に用いることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[アクリル系熱可塑性樹脂の組成解析]
重合により得られたアクリル系熱可塑性樹脂をCDClに溶解し、ブルーカー株式会社製 DPX−400装置を用い、H−NMR、13C−NMR(測定温度:40℃)測定を実施し、(i)第一の構造単位、(ii)第二の構造単位、(iii)第三の構造単位、及び(iv)第四の構造単位の量をそれぞれ同定し、その比率から組成を確認した。
[アクリル系熱可塑性樹脂のガラス転移温度測定]
重合により得られたアクリル系熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(パーキンエルマージャパン(株)製 Diamond DSC)を用いて、窒素ガス雰囲気下、α−アルミナをリファレンスとし、JIS−K−7121に準拠して、試料約10mgを常温から200℃まで昇温速度10℃/minで昇温して得られたDSC曲線から中点法で算出した。
[アクリル系熱可塑性樹脂の重量平均分子量測定]
重合により得られたアクリル系熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフ(東ソー(株)製 HLC−8220)を用いて、溶媒はテトラヒドロフラン、設定温度40℃で、市販の標準PMMA換算により求めた。
[アクリル系熱可塑性樹脂の光学特性評価]
<アクリル系熱可塑性樹脂の光学評価用サンプルの調製>
重合により得られたアクリル系熱可塑性樹脂を溶融真空プレス成形でフィルムとした。鉄板の上にカプトンシートを配置し、その上に15cm正方にくり貫いた厚み150μmの金枠を置き、そこにアクリル系熱可塑性樹脂をおいた。更に、カプトンシートを重ね置きし、鉄板を配置した。二枚の金板に挟んだまま、真空圧縮成形機((株)神藤金属工業所製 SFV−30型)にいれ、減圧を開始し10kPaに到達した段階で、260℃まで20分をかけて昇温した、その後、260℃で5分保持したあと、プレス圧10MPaで5分間圧縮、その後、冷却を開始、50℃に到達した段階で真空乾燥器内を大気圧に戻し、サンプルを取り出した。次いで、サンプルを一度、カプトンシートから剥離し、再度新しいカプトンシートで挟み、窒素で満たされ、ガラス転移温度(Tg)より10℃高い温度に保たれた乾燥器の中で8時間、保持した。
<アクリル系熱可塑性樹脂の光弾性係数測定>
Polymer Engineering and Science 1999, 39, 2349−2357に詳細について記載のある複屈折測定装置を用いた。23℃、湿度60%に調整した恒温恒湿室内で24時間以上養生を行ったアクリル系熱可塑性樹脂からなるフィルム(厚み約150μm、幅6mm)を用い、同様に恒温恒湿室に設置したフィルムの引張り装置(井元製作所製)にチャック間50mmになるようにフィルムを配置した。次いで、後述する複屈折測定装置(大塚電子製RETS−100)のレーザー光経路がフィルムの中心部になるようにし、歪速度50%/分(チャック間:50mm、チャック移動速度:5mm/分)で伸張応力をかけながら複屈折を測定した。複屈折の絶対値(|Δn|)と伸張応力(σ)の関係から、最小二乗近似によりその直線の傾きを求め光弾性係数(C)を計算した。計算には伸張応力が2.5MPa≦σR≦10MPaの間のデータを用いた。
=|Δn|/σ
|Δn|=|nx−ny|
(C:光弾性係数、σ:伸張応力、|Δn|:複屈折の絶対値、nx:伸張方向の屈折率、ny:伸張方向の垂直な屈折率)
[光学等方性支持板の位相差測定]
<光学等方性支持板の押出成形と測定サンプルの調製>
二軸押出器を用い260℃にて溶融混練したアクリル系熱可塑性樹脂を押出速度180kg/hrで、255℃に調整した幅45cm、スリット間隔2mmのT台より押出し、150℃に調整された鏡面冷却ロールで表面転写、巻き取りロールの速度を調節し1mm厚みのロール状板サンプルとして製造した。その後、ロールをほぐし、MD方向に24cm、TD方向に20cmの長方形状になるようトムソン刃で打ち抜きサンプルを得た。更にサンプルを4cm正方形に切り取り、30枚の測定サンプルに分割し、それぞれの4隅、都合120点の厚みを測定、平均することで光学等方性支持板の全体厚みを求めた。
<複屈折の測定と厚み換算複屈折の算出>
大塚電子製RETS−100を用いて、光学等方性支持板の複屈折を回転検光子法により測定した。複屈折の値は、波長550nm光の値である。複屈折(Δn)は、以下の式により計算した。得られた値をシートの厚さ100μmに換算して測定値とした。
Δn=nx−ny
(Δn:複屈折、nx:伸張方向の屈折率、ny:伸張方向と垂直な屈折率)
複屈折(Δn)の絶対値(|Δn|)は、以下のように求めた。
|Δn|=|nx−ny|
<面内方向の位相差Re測定>
23℃、湿度60%に調整した恒温恒湿室に設置した大塚電子(株)製RETS−100を用いて、回転検光子法により波長400nmから上800nmまでの範囲で光学等方性支持板の複屈折測定を実施した。上記の4cm角のサンプル30枚に関し、サンプル中心部で面内位相差Re測定を行い、次いでサンプル中心部の厚みの測定を実施、厚み100μmに換算された面内方向の位相差Reを求めた。次いで、絶対値に変換した後、平均をとり、更に上記で求めた全体厚みに換算しなおすことで、光学等方性支持板の面内方向の位相差Reの絶対値を求めた。
なお、各厚みから、100μm厚みへの換算は下記の数式に基づいて行った。
複屈折の絶対値(|Δn|)と位相差Reは以下の関係にある。
Re=|Δn|×d
(|Δn|:複屈折の絶対値、Re:位相差、d:サンプルの厚み)
また、複屈折の絶対値(|Δn|)は以下に示す値である。
|Δn|=|nx−ny|
(nx:延伸方向の屈折率、ny:面内で延伸方向と垂直な屈折率)
<厚み方向の位相差Rth測定>
23℃、湿度60%に調整した恒温恒湿室に設置した王子計測機器(株)製位相差測定装置(KOBRA−21ADH)を用い、波長589nmにおいて光学等方性支持板の複屈折測定を実施した。測定は4cm角のサンプル30枚に関し、サンプル中心で厚み方向の位相差Rth測定を行い、次いで中心部のサンプル厚みの測定を行うことで、厚み100μmに換算された厚み方向の位相差Rthを求めた。次いで、絶対値に変換した後、平均をとり、更に上記で求めた全体厚みに換算しなおすことで、光学等方性支持板の厚み方向の位相差Rthの絶対値を求めた。
なお、各厚みから、100μm厚みへの換算は下記の数式に基づいて行った。複屈折の絶対値(|Δn|)と位相差Rthは以下の関係にある。
Rth=|Δn|×d
(|Δn|:複屈折の絶対値、Rth:位相差、d:サンプルの厚み)
また、複屈折の絶対値(|Δn|)は以下に示す値である。
|Δn|=|(nx+ny)/2−nz|
(nx:延伸方向の屈折率、ny:面内で延伸方向と垂直な屈折率、nz:面外で延伸方向と垂直な厚み方向の屈折率)
[光学等方性支持板における、歪みと複屈折の関係式の傾きαの測定]
光学等方性支持板(厚み約800μm、幅40mm)をインストロン社製10t引張り試験機を用いて、延伸温度(Tg+20)℃、延伸速度(500mm/分)で一軸フリー延伸して延伸光学等方性支持板を成形した。延伸倍率は、100%、200%、及び300%で延伸した。次いで、得られた延伸光学等方性支持板の複屈折を前述の方法で測定し、一軸延伸したときに発現する複屈折(Δn(S))を求めた。
求めた延伸光学等方性支持板の発現している複屈折(Δn(S))の値を、その延伸倍率(S)に対してプロットして得られる最小二乗法近似直線関係式(A)より傾きαの値を求めた。傾きαの値が小さいほど複屈折(Δn(S))、その変化が小さいことを意味する。
Δn(S)=α×S+β (βは定数:無延伸時の複屈折値)・・・(A)
但し、ここで複屈折とは、測定した値を100μm厚に換算して求めた値である。
また、延伸倍率(S)とは、延伸前のチャック間距離をL、延伸後のチャック間距離をLとすると、以下の式で表される値である。
Figure 0005965593
完全に光学等方性を満足する光学等方性支持板では、面内位相差Re、厚み方向位相差Rthともに「ゼロ」となり、大面積サンプルにおいてもその位相差にばらつきはない。
[光学等方性支持板の表面硬度測定]
JIS K5600−5−4に準じて、電動鉛筆引っかき硬度試験機(株式会社安田精機製作所製)を使用し、荷重500gで光学等方性支持板の鉛筆硬度を測定した。
[光学等方性支持板のコントラスト評価]
バックライト上に市販の偏光板を二枚用意し、直交状態に、空間をあけて設置した。次いで、その間に光学等方性支持板を挟み込み、光学等方性支持板を回転させ、明暗の変化を目視で評価した。回転中の全面的な明暗の変化が全くないものを「◎」、僅かに、面全体が平均的に明暗変化を生じるものを「○」、成形による残留応力由来の歪によると考えられる特異的な部分的明暗のあるものを「△」、成形による残留応力由来の歪によると考えられる特異的な部分的明暗があり、かつ、トムソン刃の打ち抜きによる残留外力が原因をみられる板周辺の明暗変化(白抜け)がみられるものを「×」とした。
[偏光膜の作製]
湯浴に浸した、5Lの攪拌機ガラスセパラブルフラスコに蒸留水1Lを加えた。次いで、セパラブルフラスコを冷却し、内部の蒸留水を4℃にした。その後、攪拌機を回転数150rpmで廻しながら、平均重合度1800、ケン化度99.9%のポリビニルアルコール(和光純薬性特級)粉体を加えた。この状態で30分保持したあと、攪拌を続けながらセパレブルフラスコの内部温度2℃/分の速度で加熱し、内部温度が95℃に到達した段階で攪拌機の回転数を80prmに落とし、3時間攪拌を続けた。餅状の未溶解のポリビニルアルコールがないことを確認したあと、95℃に保ったまま攪拌を停止、攪拌で巻き込んだ空気の泡が抜けるのをまった。概ね泡が抜けた段階で、セパラブルフラスコにアスピレーターを接続し、僅かに減圧にすることで完全に脱泡した。
平滑なガラス板(縦45cm、横45cm、厚み3mm)とガラス丸棒(直径2.5cm、長さ60cm)、スコッチテープ(3M社製)を用意した。次いで、アセトンを浸したキムワイプでガラス板を良く拭きあげたあと、ガラス板の両端にスコッチテープを重ね貼りし、高さ1.3mmの高さのスペーサーを設けた。スペーサーを左右にしたガラス板上の上方部分に、完全に脱泡したポリビニルアルコール溶液をゆっくりと滴下したあと、左右のスペーサーに対し垂直にガラス棒を置き、ゆっくりとガラス板下方まで引いた。次いで、ガラス板を水平台の上に置き、水平台との間に僅かに隙間ができる覆いをかぶせた上で、水分を乾燥させた。一週間後、厚さ、約80μmのポリビニルアルコールのフィルムを得た。
次いで、上記のポリビニルアルコールのフィルムを、室温下、引伸ばし治具で一軸3倍延伸をに延伸したあと、ヨウ素及びヨウ化カリウムを含む水溶液(ヨウ素/ヨウ化カリウム/水=0.05/5/100(質量比))に60秒間浸漬した。次にヨウ化カリウム及びほう酸を含む65℃の水溶液(ヨウ化カリウム/ほう酸/水=2.5/7.5/100(質量比))に300秒浸漬した。30℃の純水で20秒水洗した後、50℃で乾燥し、ポリビニルアルコール系偏光フィルムを得た。
[偏光板用接着剤の調製]
ポリビニルアルコール系樹脂である和光純薬工業(株)製の163−03045(分子量:22,000、ケン化度:88モル%)に、水を加えて固形分濃度が7質量%の水溶液を調製した。一方、ポリウレタン系樹脂である大日本インキ化学工業(株)製のWLS−201(固形分濃度35質量%)100部に、ポリエポキシ系硬化剤である大日本インキ工業(株)製のCR−5L(有効成分100%品)5部を配合し、水で希釈して固形分濃度が20質量%の水溶液を調製した。得られたポリウレタン系樹脂水溶液とポリビニルアルコール系樹脂水溶液とを、質量比で1:1(固形分質量比で80:20)の割合で混合し、固形分濃度が15質量%の混合接着剤を調製した。
[偏光板の作製]
上記により得られた偏光膜の片面に富士フィルム社製トリアセチルセルロースフィルム(F−TAC、厚み80μm)を、調整した偏光板用接着剤を用いて接着し偏光板を作製した。
[アンカーコート層形成剤の調製]
攪拌機及び還流冷却器を備えた反応器に、Mw=20,000のアルコキシ末端ポリシロキサン(GE東芝シリコーン(株)製、商品名:XR31−B2733)60質量部と、Mw=4,000のヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン(GE東芝シリコーン(株)製、商品名:YF−3800)40質量部と、トルエン42質量部と、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウムのイソプロピルアルコール75%希釈液0.2質量部とを入れて混合し、攪拌しながら80℃で3時間脱アルコール反応を行なった。
次いで、メチルイソブチルケトン288質量部、メタノール70質量部、水80質量部及びトリエチルアミン12質量部を添加して、60℃で3時間加水分解・縮合反応を行なった。その後、得られた反応液をシュウ酸で中和し、水相(下層)を除去した後に、水洗と水相除去を3回実施後、溶媒を留去してMw=30,000の多官能ポリシロキサンを得た。この多官能ポリシロキサンにメチルイソブチルケトン100質量部を添加し、固形分濃度50質量%のポリシロキサン溶液(I)を得た。
粉体状の酸化ジルコニウム微粒子(一次平均粒径:20nm)120質量部と、ポリシロキサン成分として上記ポリシロキサン溶液(I)160質量部(固形分換算で80質量部)と、トリエチルアミン0.1質量部と、ジイソブチルケトン720質量部とを容器に入れ、この混合物に0.1mm径のジルコニアビーズ2000質量部を添加して、ペイントシェーカーを用いて6時間微粒子を分散させ、固形分濃度20質量%の金属酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物からなる塗布液(1)を得た。
[光学等方性支持板への透明導電膜付与方法]
大気中で50W・min/mのエネルギーでコロナ放電処理を行い、表面を親水化処理したあと、アンカーコート層形成剤をワイヤーバーで膜厚6μmの条件で塗工した。塗工後、110℃で3分間乾燥させてアンカーコート層を形成した。次いで、アンカーコート層の表面に、アルゴンガス及び酸素ガス流入下でインジウムと錫を含んだターゲットを用いて、透明導電膜をスパッタリング法により形成させた。
[光学等方性支持板の湿熱安定性試験方法]
光学等方性支持板上にアンカーコート層を形成、次いで、スパッタ法で酸化インジウムスズの透明導電膜(以下ITO膜)を積層・形成後、初期表面抵抗値Rを測定した。温度85℃、湿度85%に調整した恒温恒室装置に1000時間保存した後、試験後表面抵抗値Rtを測定した。初期Rの値は膜の厚み等でばらつくため、評価においてはRt/Rを指標とした。即ち、Rt/Rが1に近いほど劣化が少なく良好である。実際の表面抵抗測定は三菱化学株式会社製、低抵抗率計「ロレスタ−GP」を用いた。
[実施例1]
アクリル系熱可塑性樹脂を以下の方法で製造した。メチルメタクリレート(和光純薬特級、以下MMA)を減圧度0.01MPa、40℃で蒸留し、禁止剤を除いた。次いで、蒸留メチルメタクリレート24.30kg、N−フェニルマレイミド2.40kg(和光純薬特級、以下phMI)、N−シクロヘキシルマレイミド(和光純薬特級、以下chMI)3.30kg、メタキシレン20kg(和光純薬特級、以下mXy)を計量し、50Lタンクに加え、混合モノマー溶液を得た。次いで100mL/分の速度で窒素によるバブリングを12時間実施し、溶存酸素を除去した。混合モノマー溶液を、窒素置換した60L反応器に加え、温度を130℃に上昇させた。次いで、パーブチルO(日本油脂)0.06kgをmXy6kgに溶解させた開始剤溶液を、1kg/時間の速度で追添することで重合を実施し、8時間後おり反応器を50℃まで冷却した。
次いで、1mの反応器に500Lのメタノールを加え、上記の重合溶液を5時間かけて注ぎ、ポリマーを析出させた。その後、更に2時間攪拌を実施し、減圧濾過を行った。減圧濾過後のメタノール含有重合粉体に300Lのメタノールを更に注ぎ、再攪拌した。その後、減圧濾過を実施し、メタノール含有粉体を採取、0.3mのコニカル真空乾燥器にて減圧度0.03MPa、温度80℃条件で乾燥を実施した。乾燥後の粉体を、250℃条件の二軸押出機にてペレタイジングを実施し、ペレット状のアクリル系熱可塑性樹脂を得た。
このアクリル系熱可塑性樹脂の組成を確認したところ、MMA、phMI、chMI各単量体由来の構造単位は、それぞれ、81.3質量%、7.9質量%、10.8質量%であった。また、Tgを測定したところ、135℃、Mwは22.5万であった。光弾性係数は+0.4×10−12Pa−1であった。
光学等方性支持板は二軸押出器を用い260℃にて溶融混練したアクリル系熱可塑性樹脂を押出速度180kg/hrで、255℃に調整した幅45cm、スリット間隔2mmのTダイより押出し、150℃に調整された鏡面冷却ロールで表面転写、巻き取りロールの速度を調節し1,000μm厚みのロール状板サンプルとして製造した。次いでトムソン刃でMD方向に24cm、TD方向に20cmの長方形状になるように打ち抜きサンプルを得た。
光学等方性支持板の面内方向の位相差(Re)の絶対値は9nm、厚み方向の位相差(Rth)の絶対値は26nmであった。歪と複屈折の関係式の傾きαは+0.03×10−5であった。
次に、光学等方性板のコントラスト評価を実施した。結果は○であった。
更に、得られた光学等方性支持板に透明導電膜を形成させ、初期表面抵抗値Rを測定した。結果は、500Ω/□であった。その後、湿熱安定性試験を実施し、試験後表面抵抗値Rtは510Ω/□であった。Rt/Rの値は1.02であった。
抵抗膜方式偏光板一体型インナータッチパネルを作製した。図1は、抵抗膜方式偏光板一体型インナータッチパネルを示す。まず、透明導電膜11を付与した光学等方性支持板12の、透明導電膜11との反対面に、事前に調整した偏光板用接着剤を塗布し、事前に作製しておいた片面に偏光膜保護フィルム14を貼り付けた偏光膜13からなる偏光板の、偏光膜保護フィルム14がある側との反対側の面を接着した。次に、偏光板保護フィルム/偏光子/偏光板保護フィルムの三層からなる市販の偏光板5を用意し、その上にインプレーンスイッチング型液晶表示素子6を重ねた。更に、ITO透明導電膜8を付与したうえで抵抗膜方式タッチパネル用電極としてパターンを作製した光学ガラス7をITO透明導電膜膜8が上になるように重ね合わせ、次いで、その上に、適切なスペーサー9を介在させ、前述の光学等方性支持板と一体化された偏光板を透明導電膜11側が下になるように重ね合わせ、エポキシ接着剤15で四隅を封止した。抵抗膜方式偏光板一体型インナータッチパネル1を、85℃、85%RHに保たれた湿熱オーブンに入れ、1000時間後の抵抗値(以下Rpと記す)を測定したところ、554Ω/□の測定値を得た。
図2は、静電投影方式偏光板一体型インナータッチパネルを示す。別途、上記で作製した、偏光膜21に偏光膜保護フィルム22を貼り合わせ、更に、光学等方性支持板20を貼り合わせたものに、光学等方性支持板面に偏光板接着剤を塗布した後、静電容量投影方式のITOパターン19を作製した光学ガラス18の上に貼り付けた。更に、ガラス板に偏光板接着剤を塗布しインプレーンスイッチング型液晶表示素子17(反対面には偏光板保護フィルム/偏光子/偏光板保護フィルムの三層からなる市販の偏光板16を貼合した)上に貼り付けた後、エポキシ接着剤23で封止して、静電投影方式偏光板一体型インナータッチパネル2を作製した。また、一組2つ、作製した。本来、液晶セルのカラーフィルター側ガラスの上部に静電投影方式の電極を作製すれば、ガラスは一枚で済むが、今回は試験の都合上、前記の方法を取った。得られた静電投影方式偏光板一体型インナータッチパネル2を、85℃、85%RHに保たれた湿熱オーブンに入れ、1000時間後の表示品位に変化が見られるかをみたところ、特段の品位低下は見られなかった。
[実施例2]
スチレン(和光純薬特級、以下St)を減圧度0.01MPa、52℃で蒸留し、禁止剤を除いた。次いで、蒸留MMA21.0kg、phMI2.18kg(和光純薬特級)、chMI5.0kg(和光純薬特級)、蒸留St1.72kg(和光純薬特級)、mXy20kg(和光純薬特級)を混合モノマー溶液とした以外は実施例1同様に重合を実施し、ペレット状のアクリル系熱可塑性樹脂を得た。
このアクリル系熱可塑性樹脂の組成を確認したところ、MMA、phMI、chMI、Stの各単量体由来の構造単位は、それぞれ、70.2質量%、5.2質量%、19.8質量%、4.8質量%であった。また、ガラス転移温度を測定したところ、141℃、重量平均分子量は15.6万であった。光弾性係数は+0.1×10−12Pa−1であった。
次いで、得られたペレット状のアクリル系熱可塑性樹脂を溶融プレス成形でフィルムとした。まず、鉄板の上にカプトンシートを配置し、その上に幅30cm、長さ40cmの長方形にくり貫いた厚み100μmの金枠を置き、そこに光学等方性材料をおいた、更にカプトンシートを置き鉄板を配置した。二枚の金板に挟んだまま、真空圧縮成形機((株)神藤金属工業所製 SFV−30型)にいれ、減圧を開始し10kPaに到達した段階で、260℃まで20分をかけて昇温した、その後、260℃で5分保ったあと、プレス圧10MPaで5分間圧縮、その後、冷却を開始し50℃に到達した段階で、真空乾燥器内を大気圧にもどし、サンプルを取り出した。次いでサンプルを一度、カプトンシートから剥離し、再度カプトンシートで挟み、窒素で満たされ、ガラス転移温度より10℃高い温度に保たれた乾燥器の中で8時間、熱を加えた。冷却後、トムソン刃で20cm×24cmの長方形状になるように打ち抜き、厚み94μmの光学等方性支持板を得た。
得られた光学等方性支持板の面内方向の位相差(Re)の絶対値は24nm、厚み方向の位相差(Rth)の絶対値は16nmであった。歪と複屈折の関係式の傾きαは−0.2×10−5であった。
コントラスト評価を実施した。結果は◎であった。初期表面抵抗値Rを測定した。結果は、480Ω/□であった。その後、湿熱安定性試験を実施し、試験後表面抵抗値Rtは505Ω/□であった。Rt/Rの値は1.05であった。実施例1同様に抵抗膜方式インナータッチパネルをくみ上げ、湿熱安定性試験を実施、表面抵抗値を測定したところ、Rpは598Ω/□であった。また静電容量方式インナータッチパネルを一組2つ組上げ、耐湿熱試験後の表示品位を確認したところ、耐熱試験前後の低下はなかった。
[実施例3]
ベンジルメタクリレート(和光純薬特級、以下BzMAと記す)を減圧度0.01MPa、52℃で蒸留し、禁止剤を除いた。蒸留MMA24.0kg、phMI2.40kg(和光純薬特級)、chMI3.30kg(和光純薬特級)、蒸留BzMA0.30kg(和光純薬特級)、mXy20kg(和光純薬特級)を混合モノマー溶液とした以外は実施例1同様に重合を実施し、ペレット状のアクリル系熱可塑性樹脂を得た。このアクリル系熱可塑性樹脂の組成を確認したところ、MMA、phMI、chMI、BzMAの各単量体由来の構造単位は、それぞれ、80.3質量%、7.9質量%、10.8質量%、1.0質量%であった。また、ガラス転移温度を測定したところ、142℃、重量平均分子量は22.0万であった。光弾性係数は+0.7×10−12Pa−1であった。
光学等方性支持板は実施例2同様に作製した。得られた光学等方性支持板の厚みは98μmであった。得られた光学等方性支持板の面内方向の位相差(Re)の絶対値は2nm、厚み方向の位相差(Rth)の絶対値は2nmであった。歪と複屈折の関係式の傾きαは−0.02×10−5であった。コントラスト評価を実施した。結果は◎であった。
次いで、透明導電膜形成を実施し、初期表面抵抗値Rを測定した。結果は、490Ω/□であった。その後、湿熱安定性試験を実施し、試験後表面抵抗値Rtは515Ω/□であった。Rt/Rの値は1.05であった。実施例1同様に抵抗膜方式インナータッチパネルを組上げ、湿熱安定性試験を実施、表面抵抗値を測定したところ、Rpは581Ω/□であった。また静電容量方式インナータッチパネルを一組2つ組上げ、耐湿熱試験前後の表示品位を確認したところ、低下はなかった。
[実施例4]
実施例1で得られた、厚み1、000μmの光学等方性板を、縦26cm×横26cmにカッターで切断したあと、試験二軸延伸装置(東洋精機製作所)にて溶融延伸成形を実施した。延伸温度は150度、余熱時間5分、初期チャック間距離(縦25cm、横25cm)、延伸速度は縦横ともに25cm/分にて200%延伸を実施した。延伸後サンプルの厚みを測定したところ247μm厚みであった。実施例1同様にトムソン刃で打ち抜き光学等方性板を得た。
光学等方性支持板の面内方向の位相差(Re)の絶対値は3nm、厚み方向の位相差(Rth)の絶対値は6nmであった。
次に、光学等方性板のコントラスト評価を実施した。結果は◎であった。更に、得られた光学等方性支持板に透明導電膜を形成させ、初期表面抵抗値Rを測定した。結果は、501Ω/□であった。その後、湿熱安定性試験を実施し、試験後表面抵抗値Rtは511Ω/□であった。Rt/Rの値は1.02であった。実施例1同様に抵抗膜方式インナータッチパネルを組上げ、湿熱安定性試験を実施、表面抵抗値を測定したところ、Rpは562Ω/□であった。また静電投影方式インナータッチパネルを一組2つ組上げ、耐湿熱試験前後の表示品位を確認したところ、低下はなかった。
[比較例1]
ゼオノア480R(日本ゼオン社)に関して光弾性係数を測定した、+5.0×10−12Pa−1であった。またガラス転移温度は130℃であった。
成形に関しては実施例1同様に実施し、1,000μmの板を作製した。この板の面内方向の位相差(Re)の絶対値は50nm、厚み方向の位相差(Rth)の絶対値は55nmであった。歪と複屈折の関係式の傾きαは+0.60×10−5であった。
コントラスト評価を実施した結果は、中心部から両端に向け歪がのこり、部分的な明暗の変化が見られた。また周辺部に関してはトムソン刃による切断時の残留応力由来の明暗が観察されたことから×とした。
次いで、透明導電膜形成を実施し、初期表面抵抗値Rを測定した。結果は、523Ω/□であった。その後、湿熱安定性試験を実施し、試験後表面抵抗値Rtは552Ω/□であった。Rt/Rの値は1.06であった。実施例1同様に抵抗膜方式インナータッチパネルを組上げ、湿熱安定性試験を実施、表面抵抗値を測定したところ、Rpは576Ω/□であった。また静電容量方式インナータッチパネルを一組2つ組上げ、耐湿熱試験前後の表示品位を確認したところ、低下はなかった。
[比較例2]
市販のトリアセチルセルロースフィルム(富士フィルム製、F−TAC、80μm厚み)を用意し、光弾性係数を測定した。ガラス転移温度は145℃。分子量の測定はサンプルが溶解せずできなかった。光弾性係数は+15×10−12Pa−1であった。この板の面内方向の位相差(Re)の絶対値は2nm、厚み方向の位相差(Rth)の絶対値は66nmであった。コントラスト評価を実施した結果◎であった。
次いで、アンカーコートを付与し、透明導電膜形成 Rが2010Ω/□ 、耐湿熱試験後に部分的な剥離がみられたが、比較的良好な部位で測定低したところRtが3978であった。その後、抵抗膜方式インナータッチパネルをくみあげ、耐湿熱試験を実施したところ透明導電膜の剥離は進行し、Rpは5150となった。また静電容量投影式タッチパネルを一組2つ組上げ、耐熱試験を実施したところ、試験前後で透明導電膜の剥離による位相差ずれを原因とする光り漏れが観察された。
[比較例3]
モノマー溶液としてMMA単独を用い実施例1同様の方法で、重合、ポリマーを回収した。光弾性係数を測定した結果−4.7×10−12Pa−1であった。また分子量は10.2万であった。ガラス転移温度は121℃であった。
成形に関しては実施例1同様に実施し、1000μmの板を作製した。この板の面内方向の位相差(Re)の絶対値は10nm、厚み方向の位相差(Rth)の絶対値は7nmであった。歪と複屈折の関係式の傾きαは−0.3×10−5であった。この板のコントラスト評価を実施した結果は△であった。
次いで、アンカーコートを付与し、乾燥工程に移行した段階で板が変形し、その後の透明導電膜形成ができなかったことから、初期表面抵抗値やタッチパネルの組上げ等は実施しなかった。
実施例1、2、3、4、比較例1、2、3に関して、下記表1に特性をまとめた。
Figure 0005965593
実施例1、2、3、4と比較例3とを比べることで耐熱性が十分にあり、透明導電膜を形成可能であることが判る。
実施例1、2、3、4と比較例2とを比べることで無機密着性と湿熱時の安定性に優れることが判る。
また、実施例1、2、3、4と比較例1、2、3とを比べることで光学特性(低複屈折性)が優れることが判る。特に光学等方性支持板としては、MMA、phMI、chMIの三元系組成が優れることが判る。
本発明の光学等方性支持板は、耐熱性、無機密着性、湿熱安定性を有し、かつ高度な光学等方性(低複屈折性)を有しているため、インナータッチパネル用途向けの板状実装材料として好適である。また、少なくともその片面に偏光板を積層して得られる偏光板一体型インナータッチパネルは、インナータッチパネルの表示特性のさらなる改善や、薄型化・軽量化等の要求に対し有効である。本発明のインナータッチパネルは、インナープレーンスイッチング(IPS)液晶やフリンジフィールドスイッチング(FFS)液晶等の縦電界型ではない液晶表示素子を用いるインナー型タッチパネル用途に対し特に好適である。
1…抵抗膜方式偏光板一体型インナータッチパネル、2…静電投影方式偏光板一体型インナータッチパネル、5,16…偏光板、6,17…インプレーンスイッチング型液晶表示素子、7,18…光学ガラス、8…ITO透明導電膜、9…スペーサー、11…透明導電膜、12,20…光学等方性支持板、13,21…偏光膜、14,22…偏光膜保護フィルム、15,23…エポキシ接着剤、19…ITOパターン。

Claims (13)

  1. 下記式(1)で表される第一の構造単位、下記式(2)で表される第二の構造単位及び下記式(3)で表される第三の構造単位を有するアクリル系熱可塑性樹脂を含んで形成され、
    前記アクリル系熱可塑性樹脂が、その総量基準で、50〜95質量%の前記第一の構造単位と、0.1〜20質量%の前記第二の構造単位と、0.1〜49.9質量%の前記第三の構造単位とを有し、
    前記アクリル系熱可塑性樹脂の光弾性係数の絶対値が、3.0×10−12Pa−1以下であり、
    前記アクリル系熱可塑性樹脂のハロゲン原子含有率が、アクリル系熱可塑性樹脂の総量基準で0.47質量%未満であり、
    前記アクリル系熱可塑性樹脂は、フィルム成形した場合の面内方向の位相差Reの絶対値が、100μm厚み換算で30nm以下となる樹脂であり、
    前記アクリル系熱可塑性樹脂は、フィルム成形した場合の厚み方向の位相差Rthの絶対値が100μm厚み換算で、30nm以下となる樹脂である、光学等方性支持板。
    Figure 0005965593

    [式中、Rは、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、炭素数7〜14のアリールアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、又は、下記A群より選ばれる少なくとも一種の置換基を有する炭素数6〜14のアリール基、を示す。
    A群:ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルコキシ基及び炭素数1〜12のアルキル基。]
    Figure 0005965593

    [式中、Rは、炭素数7〜14のアリールアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、又は、下記B群より選ばれる少なくとも一種の置換基を有する炭素数6〜14のアリール基、を示し、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基を示す。
    B群:ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルキル基及び炭素数7〜14のアリールアルキル基。]
    Figure 0005965593

    [式中、Rは、水素原子、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数1〜12のアルキル基、又は、下記C群より選ばれる少なくとも一種の置換基を有する炭素数1〜12のアルキル基、を示し、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基を示す。
    C群:ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基及び炭素数1〜12のアルコキシ基。]
  2. 前記第二の構造単位の含有量の、前記第三の構造単位の含有量に対するモル比が0より大きく15以下である、請求項1に記載の光学等方性支持板。
  3. 前記Rが、メチル基又はベンジル基であり、
    前記Rが、フェニル基又は前記B群より選ばれる少なくとも一種の置換基を有するフェニル基であり、
    前記Rが、シクロヘキシル基である、請求項1又は2に記載の光学等方性支持板。
  4. 前記アクリル系熱可塑性樹脂は、フィルム成形した場合の延伸倍率(S)と、該延伸倍率での100μm厚み換算複屈折(Δn(S))との最小二乗法近似直線関係式(a)における傾きαの値が、下記式(b)を満たす樹脂である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学等方性支持板。
    Δn(S)=α×S+β (a)
    −0.30×10−5≦α≦0.30×10−5 (b)
    [式中、βは定数であり、無延伸時の複屈折を示す。]
  5. 前記アクリル系熱可塑性樹脂のガラス転移温度が130℃以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学等方性支持板。
  6. 表面の鉛筆硬度が3H以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学等方性支持板。
  7. 厚みが25〜3500μmである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学等方性支持板。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学等方性支持板からなる、インナータッチパネル用光学等方性支持板。
  9. 請求項8記載のインナータッチパネル用光学等方性支持板を備える、静電投影方式インナータッチパネル。
  10. 請求項8記載のインナータッチパネル用光学等方性支持板を備える、抵抗膜方式インナータッチパネル。
  11. 請求項8記載のインナータッチパネル用光学等方性支持板と、
    該光学等方性支持板の少なくとも一方の面に積層された偏光板と、
    を有する、偏光板一体型インナータッチパネル用光学等方性支持板。
  12. 請求項11記載の偏光板一体型インナータッチパネル用光学等方性支持板を備える、静電投影方式インナータッチパネル。
  13. 請求項11記載の偏光板一体型インナータッチパネル用光学等方性支持板を備える、抵抗膜方式インナータッチパネル。
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