JP2014111751A - アクリル系共重合体、光学フィルム、偏光板および液晶表示装置 - Google Patents

アクリル系共重合体、光学フィルム、偏光板および液晶表示装置 Download PDF

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Yasuhiro Koike
池 康 博 小
Akihiro Takaya
明 広 多加谷
Sayako Uchisawa
澤 咲耶子 内
Akira Matsuo
尾 彰 松
Yasuo Matsumura
村 泰 男 松
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Abstract

【課題】フィルム状に成形した場合に配向複屈折および光弾性複屈折がともに小さく、且つ透明性および耐熱性に優れたアクリル系共重合体を提供する。また、本発明は、該アクリル系共重合体を含んでなる光学フィルム、および該光学フィルムを備える偏光板および液晶表示装置を提供する。
【解決手段】本発明によるアクリル系共重合体は、N−アルキルマレイミド単位を14質量%以上、26質量%以下と、(メタ)アクリル酸アルキル単位を64質量%以上、77質量%以下と、(メタ)アクリル酸4−tert−ブチルシクロヘキシル単位を1質量%以上、20質量%以下と、を構成単位として含んでなる。
【選択図】なし

Description

本発明は、アクリル系共重合体、光学フィルム、偏光板および液晶表示装置に関する。
各種の光学関連機器で用いられるフィルム状の光学部材(例えば、液晶表示装置で用いられるフィルムや、プリズムシートの基板等)は、一般的に「光学フィルム」と呼ばれている。この光学フィルムの重要な光学特性の一つに複屈折性がある。すなわち、光学フィルムが大きい複屈折性を有することは好ましくない場合がある。特に、IPSモードの液晶表示装置においては、複屈折性の大きなフィルムが存在することで像質に悪影響が生じるおそれがあるため、液晶表示装置に用いられる偏光板の保護フィルム等には、複屈折性の低い光学フィルムの使用が望まれる。
偏光板の保護フィルムに用いられる光学フィルムとして、例えば、特許文献1には、N−置換マレイミド単位および(メタ)アクリル酸エステル単位を構成単位として有する(メタ)アクリル重合体を含む、位相差が小さい光学フィルムが開示されている。
特開2011−242754号公報
ところで、光学フィルムが示す複屈折には、その主要因が光学フィルムを構成するポリマーの主鎖の配向にある配向複屈折とフィルムにかかる応力に起因する光弾性複屈折がある。
配向複屈折は、一般に鎖状のポリマーの主鎖が配向することによって発現する複屈折であり、この主鎖の配向は、例えばフィルム製造時の押し出し成形や延伸など材料の流動を伴うプロセスで生じ、それがフィルムに固定されて残る。
一方、光弾性複屈折は、フィルムの弾性的な変形に伴って引き起こされる複屈折である。例えば、ポリマーのガラス転移温度(Tg)付近からそれ以下の温度に冷却された際に生じる体積収縮により、弾性的な応力がフィルム内に残存して、それが光弾性複屈折の原因となる。また、光学フィルムが通常温度で機器に固定した状態で受ける外力によっても、フィルムに応力が発生して光弾性複屈折が発現する。
偏光板、特にIPS用偏光板に適用する光学フィルムには、透明性、耐熱性および可とう性が良好であることに加えて、この配向複屈折および光弾性複屈折の双方が十分に小さいことが望まれる。
特許文献1には、位相差が小さい、すなわち配向複屈折が小さい光学フィルムについての開示はあるものの、光弾性複屈折についての記載はなく、特許文献1では耐熱性、可とう性、配向複屈折および光弾性複屈折が全て良好な光学フィルムの実現はなされていない。
本発明は、フィルム状に成形した場合に配向複屈折および光弾性複屈折がともに小さく、且つ透明性および耐熱性に優れたアクリル系共重合体を提供することを目的とする。また、本発明は、該アクリル系共重合体を含んでなる光学フィルム、および該光学フィルムを備える偏光板および液晶表示装置を提供することを目的とする。
本発明によるアクリル系共重合体は、N−アルキルマレイミド単位を14質量%以上、26質量%以下と、(メタ)アクリル酸アルキル単位を64質量%以上、77質量%以下と、(メタ)アクリル酸4−tert−ブチルシクロヘキシル単位を1質量%以上、20質量%以下と、を構成単位として含んでなる。
本発明によるアクリル系共重合体は、フィルム状に成形した場合に配向複屈折および光弾性複屈折がともに小さく、且つ透明性および耐熱性等の特性に優れる。そのため、本発明によるアクリル系共重合体は、液晶表示装置等の光学関連機器に用いられる光学フィルムとして、特に偏光板用保護フィルムとして、好適に用いることができる。
本発明においては、前記アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)が、0.5×10以上、3.0×10以下であることが好ましい。前記アクリル系共重合体の重量平均分子量が、0.5×10以上であると、得られる光学フィルムが優れた可とう性を有するものとなる。また、前記アクリル系共重合体の重量平均分子量が、3.0×10以下であると、アクリル系共重合体の流動性が良好(例えば、メルトフローレート(以後、単に「MFR」ともいう。)が1.0g/10分以上)となり、溶融押出しによるフィルム成形が容易となり、フィルムの製造効率が向上する。
本発明においては、前記N−アルキルマレイミド単位が、N−シクロヘキシルマレイミド単位を含むことが好ましい。これにより、優れた光学特性(複屈折性)をより顕著に得ることができる。
本発明においては、前記(メタ)アクリル酸アルキル単位が、メタクリル酸メチル単位を含むことが好ましい。これにより、優れた光学特性(複屈折性)をより顕著に得ることができる。
本発明においては、前記(メタ)アクリル酸4−tert−ブチルシクロヘキシル単位が、メタクリル酸4−tert−ブチルシクロヘキシル単位を含むことが好ましい。これにより、優れた光学特性(低複屈折性)をより顕著に得ることができる。
本発明においては、前記アクリル系共重合体のガラス転移温度が、120℃以上であることが好ましい。このようなアクリル系共重合体を用いてフィルムを作製した場合、得られる光学フィルムの耐熱性が一層向上し、その結果、熱に対する光学フィルムの寸法安定性が一層向上する。このような寸法安定性に優れる光学フィルムは、偏光板用保護フィルムとして温度変化の激しい環境や高温環境で使用した場合でも、反りや偏光板からの剥離がより効果的に防止されるため、偏光板用保護フィルムとして一層好適なものとなる。
本発明においては、前記アクリル系共重合体のMFRが、1.0g/10分以上であることが好ましい。このようなアクリル系共重合体は流動性に優れるため、溶融押出しによるフィルム成形が容易となり、フィルムの製造効率が向上する。
本発明においては、前記アクリル系共重合体の残存モノマー量が、5質量%以下であることが好ましい。このようなアクリル系共重合体によれば、耐熱性、可とう性、配向複屈折および光弾性複屈折に関する要求特性を満たしつつ、色相が一層改善された光学フィルムを得ることができる。
本発明においては、前記アクリル系共重合体の1%質量減少温度が、260℃以上であることが好ましい。このようなアクリル系共重合体は耐熱性に優れるため、溶融押出しによるフィルム成形が容易となり、フィルムの製造効率が向上する。
本発明の別の態様による光学フィルムは、上記アクリル系共重合体を含んでなるものである。このような光学フィルムは、光学特性に優れることから、液晶表示装置等の光学関連機器に用いられる光学フィルムとして、特に偏光板用保護フィルムとして、好適に用いることができる。
本発明においては、前記アクリル系共重合体を含有する樹脂材料からなる未延伸フィルムを、二軸延伸して得られるフィルムであることが好ましい。このような光学フィルムは、可とう性に優れ、液晶表示装置等の光学関連機器に用いられる光学フィルムとして、特に偏光板用保護フィルムとして、一層好適である。
本発明においては、面内位相差Reの絶対値および厚み方向位相差Rthの絶対値が、いずれも3.0nm以下であることが好ましい。面内位相差Reの絶対値および厚み方向位相差Rthの絶対値が小さいことは、すなわち配向複屈折が小さいことを意味する。これらの絶対値が3.0nm以下である光学フィルムは、像質に悪影響を生じにくく、偏光板用保護フィルムとして一層好適に用いることができる。
本発明においては、光弾性係数Cの絶対値が3.0×10−12/Pa以下であることが好ましい。光弾性係数Cの絶対値が小さいと、光弾性複屈折が小さくなる。そのため、光弾性係数Cの絶対値が3.0×10−12/Pa以下である光学フィルムは、偏光板用保護フィルムとして一層好適に用いることができる。
本発明においては、JIS P8115に準拠して測定されるMIT耐折度回数が100以上であることが好ましい。このような光学フィルムは、偏光板用保護フィルムとして要求される可とう性を十分に満たすものであるため、偏光板用保護フィルムとして一層好適に用いることができる。
本発明においては、上記光学フィルムを備える、偏光板も提供される。また、本発明の別の態様においては、上記偏光板を備える、液晶表示装置も提供される。上記光学フィルムは、上記アクリル系共重合体の使用により、配向複屈折および光弾性複屈折がともに小さいため、液晶表示装置の像質に与える悪影響を十分に低減することができる。そのため、このような光学フィルムを備える偏光板および液晶表示装置によれば、良好な像質が実現される。
本発明によれば、フィルム状に成形した場合に配向複屈折および光弾性複屈折がともに小さく、且つ透明性および耐熱性に優れたアクリル系共重合体が提供される。また、本発明によれば、該アクリル系共重合体を含んでなる光学フィルム、並びに、該光学フィルムを備える偏光板および液晶表示装置が提供される。
本発明の実施形態を説明する。
<アクリル系共重合体>
本発明によるアクリル系共重合体は、N−アルキルマレイミド単位を14質量%以上、26質量%以下と、(メタ)アクリル酸アルキル単位を64質量%以上、77質量%以下と、(メタ)アクリル酸4−tert−ブチルシクロヘキシル単位を1質量%以上、20質量%以下と、を構成単位として含んでなる。まず、本発明によるアクリル系共重合体を構成する各モノマー単位について説明する。
(N−アルキルマレイミド単位)
N−アルキルマレイミド単位は、N−アルキルマレイミドモノマーから得られる構成単位である。N−アルキルマレイミド単位は、マレイミド単位の窒素原子上にアルキル基が置換した構成単位であり、当該アルキル基は、鎖状アルキル基であっても環状アルキル基であってもよく、環状アルキル基が好ましい。なお、鎖状アルキル基は、環状構造を有しないアルキル基を示し、環状アルキル基は、環状構造を有するアルキル基を示す。
N−アルキルマレイミド単位におけるアルキル基の炭素原子数は、好ましくは1以上、10以下であり、より好ましくは3以上、8以下である。
N−アルキルマレイミド単位におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−へキシル基、2−エチルへキシル基、ドデシル基、ラウリル基、シクロへキシル基等が挙げられ、これらのうちメチル基、エチル基、シクロヘキシル基が好ましく、シクロヘキシル基がより好ましい。
すなわち、N−アルキルマレイミド単位としては、N−メチルマレイミド単位、N−エチルマレイミド単位、N−n−プロピルマレイミド単位、N−イソプロピルマレイミド単位、N−nーブチルマレイミド単位、N−イソブチルマレイミド単位、N−t−ブチルマレイミド単位、N−n−へキシルマレイミド単位、N−2−エチルへキシルマレイミド単位、N−ドデシルマレイミド単位、N−ラウリルマレイミド単位、N−シクロヘキシルマレイミド単位等が挙げられ、これらのうちN−メチルマレイミド単位、N−エチルマレイミド単位、N−シクロヘキシルマレイミド単位が好ましく、N−シクロヘキシルマレイミド単位がより好ましい。なお、N−アルキルマレイミド単位はこれらのうちの1種であってもよく、2種以上を含んでいてよい。
アクリル系共重合体中のN−アルキルマレイミド単位の含有量は、14質量%以上であり、好ましくは15質量%以上であり、より好ましくは17質量%以上であり、さらに好ましくは19質量%以上である。N−アルキルマレイミド単位の含有量が14質量%以上であれば、厚み方向位相差Rthの絶対値および光弾性係数Cの絶対値が大きくなることを抑制でき、またアクリル系共重合体のガラス転移温度が低くなることを抑制することができる。ガラス転移温度が低下することを抑制することで、溶融押出しの際に熱分解しやすくなることを抑制することができる。
また、アクリル系共重合体中のN−アルキルマレイミド単位の含有量は、26質量%以下であり、好ましくは25質量%以下であり、より好ましくは23質量%以下である。N−アルキルマレイミド単位の含有量が26質量%以下であれば、厚み方向位相差Rthの絶対値および光弾性係数Cの絶対値が大きくなることを抑制することができ、また、フィルムが黄変し易くなることを抑制することができる。
((メタ)アクリル酸アルキル単位)
(メタ)アクリル酸アルキル単位は、(メタ)アクリル酸アルキルモノマーから得られる構成単位である。なお、本発明において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸またはメタクリル酸をいうものとする。(メタ)アクリル酸アルキル単位のアルキル基は、鎖状アルキル基であっても環状アルキル基であってもよく、好ましくは鎖状アルキル基である。
(メタ)アクリル酸アルキル単位におけるアルキル基の炭素原子数は、好ましくは1以上、6以下であり、より好ましくは1以上、4以下である。
(メタ)アクリル酸アルキル単位におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−へキシル基、2−エチルへキシル基等が挙げられ、これらのうちメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
すなわち、(メタ)アクリル酸アルキル単位としては、(メタ)アクリル酸メチル単位、(メタ)アクリル酸エチル単位、(メタ)アクリル酸n−プロピル単位、(メタ)アクリル酸イソプロピル単位、(メタ)アクリル酸n−ブチル単位、(メタ)アクリル酸イソブチル単位、(メタ)アクリル酸t−ブチル単位、(メタ)アクリル酸n−へキシル単位、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル単位等が挙げられ、これらのうち(メタ)アクリル酸メチル単位、(メタ)アクリル酸エチル単位、(メタ)アクリル酸n−プロピル単位、(メタ)アクリル酸イソプロピル単位が好ましく、(メタ)アクリル酸メチル単位がより好ましい。また、(メタ)アクリル酸アルキル単位としては、メタクリル酸メチル単位が特に好ましい。なお、(メタ)アクリル酸アルキル単位はこれらのうちの1種であってもよく、2種以上を含んでいてもよい。
アクリル系共重合体中の(メタ)アクリル酸アルキル単位の含有量は、64質量%以上であり、好ましくは65質量%以上であり、より好ましくは67質量%以上である。(メタ)アクリル酸アルキル単位の含有量が64質量%以上であれば、厚み方向位相差Rthの絶対値および光弾性係数Cの絶対値が大きくなることを抑制することができ、また、フィルムの黄変を抑制することができる。
また、アクリル系共重合体中の(メタ)アクリル酸アルキル単位の含有量は、77質量%以下であり、好ましくは75質量%以下であり、より好ましくは73質量%以下である。(メタ)アクリル酸アルキル単位の含有量が77質量%以下であれば、厚み方向位相差Rthの絶対値および光弾性係数Cの絶対値が大きくなることを抑制することができ、またアクリル系共重合体のガラス転移温度が低くなることを抑制することができる。
((メタ)アクリル酸4−tert−ブチルシクロヘキシル単位)
(メタ)アクリル酸4−tert−ブチルシクロヘキシル単位は、(メタ)アクリル酸4−tert−ブチルシクロヘキシルモノマーから得られる構造単位である。(メタ)アクリル酸4−tert−ブチルシクロヘキシル単位としては、アクリル酸4−tert−ブチルシクロヘキシル単位およびメタクリル酸4−tert−ブチルシクロヘキシル単位が挙げられ、これらのうちメタクリル酸4−tert−ブチルシクロヘキシル単位が好ましい。
本発明によるアクリル系共重合体中の(メタ)アクリル酸4−tert−ブチルシクロヘキシル単位の含有量は、1質量%以上であり、好ましくは2質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上であり、さらに好ましくは7質量%以上である。(メタ)アクリル酸4−tert−ブチルシクロヘキシル単位の含有量を1質量%以上とすることにより、重合後のアクリル系共重合体中の残存モノマー量を低減することができ、その結果、光学特性に一層優れる光学フィルムを得ることができる。
本発明によるアクリル系共重合体中の(メタ)アクリル酸4−tert−ブチルシクロヘキシル単位の含有量は、20質量%以下であり、好ましくは18質量%以下であり、より好ましくは16質量%以下であり、さらに好ましくは14質量%以下である。(メタ)アクリル酸4−tert−ブチルシクロヘキシル単位の含有量が20質量%以下であれば、厚み方向位相差Rthの絶対値および光弾性係数Cの絶対値が大きくなることを抑制することができ、またアクリル系共重合体のガラス転移温度が低くなることを抑制することができる。
アクリル系共重合体の重量平均分子量は、0.5×10以上、3.0×10以下であることが好ましく、0.9×10以上、2.6×10以下であることがより好ましく、1.0×10以上、2.5×10以下であることがさらに好ましい。アクリル系共重合体の重量平均分子量を0.5×10以上とすることにより、フィルム成形した場合の可とう性を向上させることができ、その結果、フィルムのMIT耐折度回数を向上させることができる。また、アクリル系共重合体の重量平均分子量を3.0×10以下とすることにより、アクリル系共重合体のMFRが低下することを抑制することができ、フィルムの成形性の低下を抑制して、製造効率を向上させることができる。よって、本発明によるアクリル系共重合体は、重量平均分子量が上記範囲内であれば、フィルム成形した場合の可とう性およびフィルム製造効率を向上させることができる。
なお、本明細書中、アクリル系共重合体の重量平均分子量は、東ソー株式会社製のHLC−8220 GPCにより測定される、標準ポリスチレン分子量換算の値を示す。なお、カラムは東ソー株式会社製のSuper−Multipore HZ−Mを使用し、測定条件は、溶媒HPLC用テトラヒドロフラン(THF)、流量0.35ml/min、カラム温度40℃とすることができる。
本発明によるアクリル系共重合体のガラス転移温度は、120℃以上であることが好ましい。これにより、フィルムの耐熱性が一層向上し、熱に対するフィルムの寸法安定性が向上するため、偏光板用保護フィルムとして一層好適なものとなる。また、ガラス転移温度の上限に特に制限はないが、光学フィルムとして用いた場合、光学フィルムとしての十分な耐熱性が達成される観点から、140℃以下であってよく、130℃以下であってもよい。
なお、本明細書中、ガラス転移温度は、SIIナノテクノロジー社製の示差走査熱量測定装置DSC7020を使用し、昇温速度10℃/分で昇温させたときのガラス転移点のオンセット温度から求めた値を示す。なお、試料の質量は5mg以上、10mg以下とする。
本発明によるアクリル系共重合体のMFRは、1.0g/10分以上であることが好ましい。このようなアクリル系共重合体は流動性に優れるため、溶融押出しによるフィルム成形が容易となり、フィルムの製造効率が向上する。また、MFRの上限に特に制限はないが、40g/10分以下であってよく、30g/10分以下であってもよい。
なお、本明細書中、MFRは、株式会社東洋精機製のメルトインデックサF−F01を用いて測定される値を示す。測定方法は、JIS K7210に準拠し、荷重3.8kgf、測定温度は260℃である。
本発明によるアクリル系共重合体の1%質量減少熱分解温度(以後、単に「熱分解温度」ともいう。)は、270℃以上であることが好ましく、280℃以上であることがより好ましく、285℃以上であることが更に好ましい。これにより、フィルムの耐熱性が一層向上し、偏光板用保護フィルムとして一層好適なものとなる。また、熱分解温度の上限に特に制限はないが、光学フィルムとしての十分な耐熱性が達成される観点から、400℃以下であってもよく、350℃以下であってもよい。
なお、本明細書中、熱分解温度は、SIIナノテクノロジー社製の示差熱熱質量同時測定装置TG/DTA7200を使用し、昇温温度10℃/分で180℃まで昇温させ、60分保持した後、昇温速度10℃/分で450℃まで昇温し、250℃における試料の質量を基準として1%質量減少したときの温度を示す。
本発明によるアクリル系共重合体の製造方法は、特に制限されず、例えば、塊状重合、懸濁重合、乳化重合、溶液重合などの方法により製造することができる。これらのうち、重合後の処理が容易あり、重合後の処理において有機溶媒の除去のための加熱等が不要である観点からは、懸濁重合が好適である。
本発明によるアクリル系共重合体においては、懸濁重合により製造することで特に色相に優れたものとなる。懸濁重合は、溶液重合とは異なり、重合系から高温で有機溶媒を除去する工程を必要としないため、より一層、色相に優れたアクリル系共重合体を得ることができる。
ところで、例えば、特許文献1に記載されたメタクリル酸メチルとN−シクロヘキシルマレイミドとを懸濁重合で製造した共重合体を製膜してフィルム化した場合、フィルムの色相が悪くなる傾向にある。本発明者らは、色相の悪化の原因が、重合後のアクリル系共重合体における残存モノマー量が多いことが一因であるとの知見を得た。そして、本発明者らは、本発明によるアクリル系共重合体を懸濁重合で製造する場合には、モノマー単位として、N−アルキルマレイミドモノマーと(メタ)アクリル酸アルキルモノマーとに加え、上記(メタ)アクリル酸4−tert−ブチルシクロヘキシル単位を採用し、特定のモノマー比率とすることで、懸濁重合におけるモノマー転化率が向上し、重合後のアクリル系共重合体における残存モノマー量が十分に低減されることがわかった。また、これらの特定のモノマーを特定の比率で含有させることにより、重合後の残存モノマー量がより一層低減されることが分かった。このため、本発明によるアクリル系共重合体は、溶融重合によって製造することで、色相に一層優れたアクリル系共重合体とすることができる。
このような効果が奏される理由は、必ずしも明らかではないが、以下のように考えられる。すなわち、N−アルキルマレイミドモノマーと(メタ)アクリル酸アルキルモノマーとの反応性が必ずしも高くないのに対して、(メタ)アクリル酸4−tert−ブチルシクロヘキシルモノマーと両モノマーとの反応性が高いことから、(メタ)アクリル酸4−tert−ブチルシクロヘキシルモノマーにより重合反応が促進され、高いモノマー転化率が達成されると考えられる。なお、残存モノマー量が多い場合でも、アクリル系共重合体自体に着色は認められない。本発明者らの知見によれば、残存モノマー量が多い場合には、アクリル系共重合体を含む樹脂材料をフィルム化する工程における加熱等によって黄変が生じる。
本発明においては、アクリル系共重合体の残存モノマー量は、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは4質量%以下であり、さらに好ましくは3質量%以下である。
懸濁重合の条件は特に制限されず、公知の懸濁重合の条件を適宜適用することができる。以下に、懸濁重合によるアクリル系共重合体の製造方法の一態様を示すが、本発明が下記の一例に限定されるものではない。
まず、所望の質量比率となるようにモノマー(N−アルキルマレイミド、(メタ)アクリル酸アルキルおよび(メタ)アクリル酸4−tert−ブチルシクロヘキシル)をそれぞれ計量し、その総量を100質量部とする。モノマー総量100質量部に対して、300質量部の脱イオン水および0.6質量部の分散剤としてのポリビニルアルコール(株式会社クラレ製のクラレパボール))を懸濁重合装置に投入し、撹拌を開始する。次いで、計量したモノマーと、重合開始剤として日本油脂株式会社製のパーロイルTCPを1質量部と、連鎖移動剤として1−オクタンチオールを0.22質量部とを、懸濁重合装置に投入する。
その後、懸濁重合装置に窒素を通じつつ、反応系を70℃まで昇温した後、70℃で3時間保持して反応させる。反応後、室温まで冷却し、必要に応じてろ過、洗浄および乾燥等の操作を行い、粒子状のアクリル系共重合体を得ることができる。このような方法によれば、残存モノマー量が5質量%以下であり、重量平均分子量が0.8×10以上、2.7×10以下の範囲にあるアクリル系共重合体を容易に得ることができる。
なお、上述の重合開始剤、連鎖移動剤および分散剤の種類、ならびに投入量は一例であって、懸濁重合の条件は上記に限定されるものではない。懸濁重合では、残存モノマー量が5質量%以下(必要に応じて、さらに重量平均分子量が、0.8×10以上、2.7×10以下)を達成できる範囲で、その条件を適宜変更することができる。例えば、アクリル系共重合体の重量平均分子量は、連鎖移動剤の投入量を変更することにより適宜調整することができる。
重合開始剤としては、例えば、日本油脂株式会社製のパーロイルTCP、パーオクタO、ナイパーBW等を用いることができる。また、重合開始剤の使用量は、例えば、モノマー総量100質量部に対して、0.05質量部以上、2.0質量部以下であってよく、0.1質量部以上、1.5質量部以下であってもよい。
連鎖移動剤としては、例えば、1−オクタンチオール、1−ドデカンチオール、tert−ドデカンチオール等のチオール類を用いることができる。また、連鎖移動剤の使用量は、所望の重量平均分子量に応じて適宜変更できるが、例えば、モノマー総量100質量部に対して、0.05質量部以上、0.6質量部以下とすることができ、0.07質量部以上、0.5質量部以下であってもよい。
分散剤としては、例えば、株式会社クラレ製のクラレパボール等のPVA、ポリアクリル酸ナトリウム等を用いることができる。また、分散剤の使用量は、例えば、モノマー総量100質量部に対して、0.01質量部以上、0.5質量部以下であってよく、0.02質量部以上、0.3質量部以下であってもよい。
懸濁重合の条件は、重合開始剤、連鎖移動剤および分散剤の種類、ならびに使用量等に応じて適宜調整することができる。例えば、反応温度は、50℃以上、95℃以下とすることができ、好ましくは60℃以上、85℃以下である。また、反応時間は、十分に反応が進行する時間が確保されていればよく、例えば、2時間以上、10時間以下とすることができ、好ましくは3時間以上、8時間以下である。なお、モノマー転化率は反応活性種の寿命、モノマーの反応性等によって決まるため、必ずしも反応時間を延長してもモノマー転化率は向上しない。
上記のような、本発明によるアクリル系共重合体は、光学フィルム用の樹脂材料として好適に用いることができる。本発明によるアクリル系共重合体によれば、配向複屈折および光弾性複屈折がともに小さく、且つ透明性および耐熱性に優れた光学フィルムを得ることができる。
<光学フィルム>
次に、本発明による光学フィルムについて説明する。本発明による光学フィルムは、上記アクリル系共重合体を含有する。本発明による光学フィルムは、好適には二軸延伸フィルムである。このようなフィルムは、上記のアクリル系共重合体を含む樹脂を製膜した未延伸フィルムを二軸延伸して得ることができる。本発明による二軸延伸フィルムは、配向複屈折および光弾性複屈折がともに小さく、且つ透明性および耐熱性などの特性に優れるため、特に、光学フィルムとして好適に用いることができる。以下、本発明による光学フィルムの諸特性について詳述する。
本発明による光学フィルムを構成する樹脂材料中のアクリル系共重合体の含有量は、樹脂材料の総量基準で、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であってもよい。
本発明による光学フィルムは、アクリル系共重合体以外の成分を含有していてもよい。本発明によるアクリル系共重合体以外の成分としては、酸化防止剤、滑剤、紫外線吸収剤、安定剤等、光学フィルムに用いられる添加剤を必要に応じて用いることができる。これらの成分の配合量は、本発明の効果が有効に奏される範囲であれば特に制限されないが、樹脂材料の総量基準で、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
本発明による光学フィルムの面内位相差Reの絶対値および厚み方向位相差Rthの絶対値は、いずれも3.0nm以下であることが好ましく、2.5nm以下がより好ましく、2.0nm以下がさらに好ましく、1.0nm以下が一層好ましい。面内位相差Reの絶対値および厚み方向位相差Rthの絶対値が小さいと、配向複屈折が小さくなるため、光学フィルム、特に偏光板用保護フィルムとして、一層好適に用いることができる。
光学フィルムの光弾性係数Cの絶対値は、3.0×10−12/Pa以下であることが好ましく、1.5×10−12/Pa以下がより好ましく、1.0×10−12/Pa以下がさらに好ましい。光弾性係数Cの絶対値が小さいと、光弾性複屈折が小さくなるため、光学フィルム、特に偏光板用保護フィルムとして、一層好適に用いることができる。
光学フィルムの配向複屈折性は、Axometrics社製Axoscan装置を用いてフィルムの面内位相差値であるレタデーション(Re)と厚み方向位相差値であるRthを測定して評価することができる。
Re(単位:nm)は、フィルム面内の1方向の屈折率をn、それと直行する方向の屈折率をn、フィルムの厚みをdnmとしたとき、次式(1)で表される。
Re=(n−n)×d …(1)
Rth(単位:nm)は、フィルム面内の1方向の屈折率をn、それと直行する方向の屈折率をn、フィルムの厚み方向の屈折率をn、フィルムの厚みをdnmとしたとき、次式(2)で表される。
Rth=((n+n)/2−n)×d …(2)
フィルムの位相差値の符号は、ポリマー主鎖の配向方向に屈折率が大きいものを正とし、延伸方向と直行する方向に屈折率が大きいものを負とする。
光学フィルムの光弾性複屈折は、配向複屈折性と同じくAxometrics社製Axoscan装置にてフィルムの位相差値であるレタデーション(Re)のフィルムにかけた応力による変化量を測定し、光弾性係数C(単位:10−12/Pa)として求められる。具体的な光弾性係数Cの算出方法は次式(3)のとおりである。
C=ΔRe/(Δσ×t) …(3)
Δσはフィルムにかかった応力の変化量で単位は[Pa]、tはフィルムの膜厚で単位は[m]、ΔReはΔσの応力の変化量に対応した面内位相差値の変化量で単位は[m]である。光弾性係数Cの符号は、応力をかけた方向に屈折率が大きくなるものを正とし、応力をかけた方向と直行する方向に屈折率が大きくなるものを負とする。
光学フィルムは、JIS P8115に準拠して測定されるMIT耐折度回数が、100回以上であることが好ましい。このような光学フィルムは、偏光板用保護フィルムとして要求される可とう性を十分に満たすものであるため、偏光板用保護フィルムとして一層好適に用いることができる。また、このような光学フィルムは、耐屈曲性に優れるため、大面積化が要求される用途に一層好適に使用できる。
なお、本明細書中、MIT耐折度試験は、テスター産業株式会社製のBE−201 MIT耐屈度試験機を使用して行うことができる。なお、テスター産業株式会社製のBE−201 MIT耐屈度試験機は、MIT耐折度試験機とも呼ばれている。測定条件は加重200g、折り曲げ点先端Rは0.38、屈曲速度は175回/分、屈曲角度は左右135°とし、フィルムサンプルの幅は15mmとする。そして、光学フィルムの搬送方向に繰り返し屈曲させたときに破断した屈曲回数と、幅方向に繰り返し屈曲させたときに破断した屈曲回数との平均値をMIT耐折度回数とする。
MIT耐折度回数が100回以上であれば、延伸工程後の光学フィルムを搬送して巻き取る工程で破断したり、偏光板等に張り合わせるなどの工程で破断するのを防ぐことができる。
また、偏光板用保護フィルムの耐ヒートショック性の試験方法として、ガラス基盤にのりを介しフィルムを張り合わせ、−20℃から60℃の範囲で昇温、降温を30分間隔で500サイクル繰り返すヒートショック試験が知られているが、上述のMIT耐折度回数が100回以上であれば、ヒートショック試験中にフィルムにクラックが入るのを防ぐことができる。
光学フィルムのMIT耐折度回数は、120回以上であることがより好ましく、150回以上であることがさらに好ましい。
光学フィルムの膜厚は、10μm以上150μm以下とすることができ、15μm以上、120μm以下とすることもできる。膜厚が10μm以上であると、フィルムの取り扱い性が良好となり、150μm以下であると、ヘイズの増加や、単位面積あたりの材料コストの増加等の問題が生じにくくなる。
本発明においては、本発明による光学フィルムは、本発明によるアクリル系共重合体を含有する樹脂材料からなる未延伸フィルムを二軸延伸して得られるフィルムであってよい。二軸延伸する場合、延伸倍率は、上述のMIT耐折度回数を達成できるように適宜調整することができる。例えば、延伸倍率は、面積比で1.3倍以上とすることができ、1.5倍以上とすることもできる。また、延伸倍率は、面積比で6.0倍以下であってよく、4.0倍以下であってもよい。
光学フィルムの黄色味の指標であるb値は、1.00以下であることが好ましく、0.50以下であることがより好ましく、0.30以下であることがさらに好ましい。なお、黄色味の指標であるb値は、光学フィルムの分光スペクトルを日本電色工業(株)製Spectrophotometer SD6000を用いて測定し、求めることができる。
本発明による光学フィルムは、優れた耐光性を有する。耐光性は、光照射前後でのフィルム物性値の変化量によって評価することができる。フィルム物性値としては、黄色味の指標であるb値、面内位相差Re、厚み方向位相差Rth、光弾性係数C、およびMIT耐折度回数などが用いられる。例えば、キセノンウェザーメーター〔東洋精機製作所 アトラスCi4000〕を用いて、光学フィルムに光を照射し、下記のようにして耐光性を評価することができる。
耐光性は、光照射後のb値を光照射前のb値(b*1)から差し引きした値Δb(=b*1−b)、光照射前後における面内位相差Reの差し引き値ΔRe(=光照射前Re−光照射後Re)、光照射前後における厚み方向位相差Rthの差し引き値ΔRth(=光照射前Rth−光照射後Rth)、光照射前後における光弾性係数Cの差し引き値ΔC(=光照射前C−光照射後C)、および光照射前後におけるMIT耐折度回数の差し引き値ΔMIT(=光照射前MIT−光照射後MIT)から評価できる。
(光学フィルムの製造方法)
次いで、本発明による光学フィルムの製造方法の一態様について詳述する。
本発明による光学フィルムの製造方法の一態様について詳述する。本発明による光学フィルムは、上述のように、アクリル系共重合体を含有する樹脂材料からなる未延伸フィルムを二軸延伸して得ることができる。すなわち、本発明による二軸延伸フィルムの製造方法は、上記アクリル系共重合体を含んでなる樹脂材料を溶融押出して未延伸フィルムを得る工程(溶融押出工程)と、前記未延伸フィルムを二軸延伸して光学フィルムを得る工程(延伸工程)と、を備える。
溶融押出工程は、例えば、ダイリップを備える押出製膜機により行うことができる。このとき、樹脂材料は、押出製膜機内で加熱溶融され、ダイリップから連続的に吐出されることでフィルム状の未延伸フィルムを得ることができる。
溶融押出の際の押し出し温度は、130℃以上300℃以下であることが好ましく、150℃以上280℃以下であることがさらに好ましい。押し出し温度が130℃以上であると、樹脂材料中のアクリル系共重合体が十分に溶融混錬されるため、未溶融物のフィルムへの残存が十分に防止される。また、300℃以下であると、熱分解によるフィルムの着色や、分解物のダイリップへの付着等の問題が生じることが十分に防止される。よって、溶融押出の押し出し温度が上記範囲内であれば、樹脂材料中のアクリル系共重合体が十分に溶融混錬されるため、未溶融物のフィルムへの残存を十分に防止することができると共に、熱分解によるフィルムの着色や、分解物のダイリップへの付着等が生じることを抑制することができる。
Tダイ押し出し装置を用いた溶融製膜法において、Tダイリップから吐出された溶融樹脂が最初に接触する第1ロールの温度T℃は、溶融樹脂のガラス転移温度をTg℃としたとき、(Tg−24)≦T≦(Tg+24)の範囲が好ましく(Tg−20)≦T≦(Tg+20)の範囲がさらに好ましい。Tの温度が(Tg−24)℃以上であれば、Tダイリップから吐出された溶融状態の樹脂フィルムが急冷されることを抑制できるため、収縮ムラにより製膜したフィルムの厚み精度が悪化することを抑制することができる。Tの温度が(Tg+24)℃以下であれば、Tダイリップから吐出された溶融状態の樹脂が第1ロールに貼りついてしまうことを抑制することができる。
なお、フィルム厚みムラ(単位:%)は、未延伸フィルム(原反フィルム)の両端の耳を各10mm切り落とした後のロールサンプルを幅方向等間隔に20箇所測定した厚みの最大値をtμm、最小値をtμm、平均値をtμmとしたとき、下記式(4):
厚みムラ(%)=100×(t―t)/t …(4)
から算出される値を意味するものとする。
延伸工程では、溶融押出工程で得られた未延伸フィルム(原反フィルム)を延伸して、光学フィルムを得る。延伸方法としては、従来公知の二軸延伸法を適宜選択することができる。二軸延伸装置としては、例えば、テンター延伸装置において、フィルム端部を把持するクリップ間隔がフィルムの搬送方向にも拡がる同時二軸延伸装置を用いることができる。また、延伸工程では、周速差を利用したロール間延伸、テンター装置による延伸等を組み合わせた逐次二軸延伸法も適用できる。
延伸装置は、押出製膜機と一貫ラインであってよい。また、延伸工程は、押出製膜機により巻き取った原反フィルムをオフラインで延伸装置に送り出して延伸する方法で行ってもよい。
延伸温度としては、原反フィルムのガラス転移温度をTg℃としたときに(Tg+2)℃以上、(Tg+20)℃以下が好ましく、(Tg+5)℃以上、(Tg+15)℃以下がさらに好ましい。延伸温度が(Tg+2)℃以上であると、延伸中のフィルムの破断や、フィルムのヘイズの上昇等の問題の発生を十分に防止することができる。また、(Tg+20)℃以下であると、ポリマー主鎖が配向しやすく、一層良好なポリマー主鎖配向度が得られる傾向にある。
溶融製膜法で製膜された原反フィルムを延伸することで、ポリマー主鎖が配向してフィルムの耐屈曲性を向上させることができる一方で、複屈折率が小さなポリマー材料からなるフィルムでなければ、フィルムの位相差値が上昇してしまい、液晶表示装置に組み込んだときに像質が悪化してしまう。本態様においては、上述の樹脂材料を用いることで、優れた光学特性と耐屈曲性とを両立した光学フィルムが得られる。
上記のように、本発明による光学フィルムの製造方法を用いれば、配向複屈折および光弾性複屈折がともに小さく、且つ透明性および耐熱性などの特性に優れた光学フィルムを得ることができる。
(偏光板)
本発明による偏光板は、偏光フィルムの少なくとも一方の面に上記光学フィルムを保護フィルムとして備えるものである。上記光学フィルムは、配向複屈折および光弾性複屈折がともに小さいため、保護フィルムとして、本発明による偏光板によれば、液晶表示装置への適用に際し、保護フィルムによる像質の悪化を十分に抑制することができる。
本発明による偏光板は、上記光学フィルム以外の構成要素は、特に制限されず、公知の偏光板と同様の構成とすることができる。例えば、本発明による偏光板は、公知の偏光板における保護フィルムの少なくとも一部を、上記光学フィルムに変更したものであってよい。偏光板は、例えば、上記光学フィルム、偏光層、偏光層保護フィルムおよび粘着層がこの順で積層した構成を備えるものであってよい。
(液晶表示装置)
本発明による液晶表示装置は、上記偏光板を備えるものである。上記したように、本発明による偏光板は、保護フィルムとして上記光学フィルムを備えるものであるため、保護フィルムの光学特性に起因する像質の悪化を十分に抑制することができる。そのため、本発明による液晶表示装置によれば、良好な像質が実現される。
本発明による液晶表示装置において、上記偏光板以外の構成要素は、特に制限されず、公知の液晶表示装置と同様の構成とすることができる。例えば、本発明による液晶表示装置は、公知の液晶表示装置における偏光板を、上記偏光板に変更したものであってよい。
液晶表示装置は、例えば、上記偏光板、バックライト、カラーフィルター、液晶層、透明電極およびガラス基板がこの順で積層した構成を備えるものであってよい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
<アクリル系共重合体の評価方法>
以下の実施例および比較例において、アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)、ガラス転移温度(Tg)、MFR、残存モノマー量、および1%質量減少温度は、以下のようにして測定した。
重量平均分子量は、東ソー株式会社製のHLC−8220 GPCを使用して測定した、標準ポリスチレン分子量換算の値を示す。また、カラムは東ソー株式会社製のSuper−Multipore HZ−Mを使用し、測定条件は、溶媒HPLC用テトラヒドロフラン(THF)、流量0.35ml/min、カラム温度40℃とした。
ガラス転移温度は、SIIナノテクノロジー社製の示差走査熱量測定装置DSC7020を使用し、昇温速度10℃/分で昇温させたときのガラス転移点のオンセット温度から求めた。なお、アクリル系共重合体の試料の質量は5mg以上、10mg以下とした。
MFRは、株式会社東洋精機製のメルトインデックサF−F01を使用して測定した。
アクリル系共重合体の残存モノマー量は、以下の装置および方法で測定した。
(装置)
ガスクロマトグラフィー装置:アジレントテクノロジー社製GC 6850
カラム:HP−5 30m
オーブン温度条件:50℃で5分保持した後10℃/分で250℃まで昇温し、10分保持した。
注入量:0.5μl
モード:スプリット法
スプリット比:80/1
キャリアー:純窒素
検出器:FID
(方法)
アクリル系共重合体の粒子約1gを精秤し、アセトン約10mlを加えて撹拌し、当該粒子を完全に溶解させてアセトン溶液とした。撹拌子を入れた100ml容器にメタノール約90mlを量り取り、上記アセトン溶液を滴下してポリマーを析出させて、スラリー液とした。次いで、内部標準物質としてクロロベンゼン約0.1mlを精秤し、上記スラリー液に添加し、激しく振ってよく混ぜた。この溶液を静置し、上澄み液約1.5mlを濾過したものを用いて、GC(ガスクロマトグラフィー)にて各モノマーの検出を行った。なお、各成分の保持時間、面積/質量換算係数は下記表1に記載のとおりであった。
Figure 2014111751
各モノマーのGC面積値に面積/質量換算係数を乗じ、以下の比例式により各モノマーの質量を算出した。
式:内部標準物質重量:各モノマー質量=(内部標準物質GC面積値×面積/質換算係数):(各モノマーGC面積値×面積/質換算係数)
以上の方法により、精秤したアクリル系共重合体粒子中の各モノマーの残存質量を求め、その総和を、精秤したアクリル系共重合体粒子の質量で除することで、残存モノマー量(%)を算出した。
1%質量減少温度は、SIIナノテクノロジー社製の示差熱熱質量同時測定装置TG/DTA7200を使用し、昇温温度10℃/分で180℃まで昇温させ、60分保持した後、昇温速度10℃/分で450℃まで昇温し、250℃におけるアクリル系共重合体を基準として1%質量減少したときの温度を求めた。
<アクリル系共重合体の合成>
以下の通り、アクリル系共重合体(a−1)〜(a−8)、(b−1)〜(b−6)を合成し、得られたアクリル系共重合体の重量平均分子量、ガラス転移温度、およびMFR、残存モノマー量、および1%質量減少温度を測定した。
[アクリル系共重合体(a−1)の合成]
撹拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入管を備えた反応釜に、脱イオン水300質量部と、分散剤としてポリビニルアルコール(株式会社クラレ社製クラレポバール)0.6質量部を合わせて投入し、撹拌を開始した。次に、N−シクロヘキシルマレイミド(以下、場合により「CHMI」と表す。)21質量部と、メタクリル酸メチル(以下、場合により「MMA」と表す。)68質量部と、メタクリル酸4−tert−ブチルシクロヘキシル(以下、場合により「TBCHMA」と表す。)11質量部と、重合開始剤として日本油脂株式会社製のパーロイルTCPを1質量部と、連鎖移動剤として0.22質量部の1−オクタンチオールとを仕込み、反応釜に窒素を通じつつ、70℃まで昇温させた。70℃に達した状態を3時間保持した後、冷却し、濾過、洗浄、乾燥によって粒子状のアクリル系共重合体(a−1)を得た。
[アクリル系共重合体(a−2)の合成]
モノマーの仕込量を、N−シクロヘキシルマレイミド(CHMI)25質量部、メタクリル酸メチル(MMA)65質量部、メタクリル酸4−tert−ブチルシクロヘキシル(TBCHMA)10質量部に変更したこと以外は、アクリル系共重合体(a−1)と同様にしてアクリル系共重合体の合成を行い、アクリル系共重合体(a−2)を得た。
[アクリル系共重合体(a−3)の合成]
モノマーの仕込量を、N−シクロヘキシルマレイミド(CHMI)22質量部、メタクリル酸メチル(MMA)75質量部、メタクリル酸4−tert−ブチルシクロヘキシル(TBCHMA)3質量部に変更したこと以外は、アクリル系共重合体(a−1)と同様にしてアクリル系共重合体の合成を行い、アクリル系共重合体(a−3)を得た。
[アクリル系共重合体(a−4)の合成]
モノマーの仕込量を、N−シクロヘキシルマレイミド(CHMI)15質量部、メタクリル酸メチル(MMA)70質量部、メタクリル酸4−tert−ブチルシクロヘキシル(TBCHMA)15質量部に変更したこと以外は、アクリル系共重合体(a−1)と同様にしてアクリル系共重合体の合成を行い、アクリル系共重合体(a−4)を得た。
[アクリル系共重合体(a−5)の合成]
連鎖移動剤(1−オクタンチオール)の仕込量を、0.45質量部に変更したこと以外は、アクリル系共重合体(a−1)と同様にしてアクリル系共重合体の合成を行い、アクリル系共重合体(a−5)を得た。
[アクリル系共重合体(a−6)の合成]
連鎖移動剤(1−オクタンチオール)の仕込量を、0.1質量部に変更したこと以外は、アクリル系共重合体(a−1)と同様にしてアクリル系共重合体の合成を行い、アクリル系共重合体(a−6)を得た。
[アクリル系共重合体(a−7)の合成]
連鎖移動剤(1−オクタンチオール)の仕込量を0.5質量部に変更したこと以外は、アクリル系共重合体(a−1)と同様にしてアクリル系共重合体の合成を行い、アクリル系共重合体(a−7)を得た。
[アクリル系共重合体(a−8)の合成]
連鎖移動剤(1−オクタンチオール)の仕込量を0.08質量部に変更したこと以外は、アクリル系共重合体(a−1)と同様にしてアクリル系共重合体の合成を行い、アクリル系共重合体(a−8)を得た。
[アクリル系共重合体(b−1)の合成]
モノマーの仕込量を、N−シクロヘキシルマレイミド(CHMI)10質量部、メタクリル酸メチル(MMA)90質量部、メタクリル酸4−tert−ブチルシクロヘキシル(TBCHMA)0質量部に変更したこと以外は、アクリル系共重合体(a−1)と同様にしてアクリル系共重合体の合成を行い、アクリル系共重合体(b−1)を得た。
[アクリル系共重合体(b−2)の合成]
モノマーの仕込量を、N−シクロヘキシルマレイミド(CHMI)20質量部、メタクリル酸メチル(MMA)80質量部、メタクリル酸4−tert−ブチルシクロヘキシル(TBCHMA)0質量部に変更したこと以外は、アクリル系共重合体(a−1)と同様にしてアクリル系共重合体の合成を行い、アクリル系共重合体(b−2)を得た。
[アクリル系共重合体(b−3)の合成]
モノマーの仕込量を、N−シクロヘキシルマレイミド(CHMI)27質量部、メタクリル酸メチル(MMA)63質量部、メタクリル酸4−tert−ブチルシクロヘキシル(TBCHMA)10質量部に変更したこと以外は、アクリル系共重合体(a−1)と同様にしてアクリル系共重合体の合成を行い、アクリル系共重合体(b−3)を得た。
[アクリル系共重合体(b−4)の合成]
モノマーの仕込量を、N−シクロヘキシルマレイミド(CHMI)13質量部、メタクリル酸メチル(MMA)78質量部、メタクリル酸4−tert−ブチルシクロヘキシル(TBCHMA)9質量部に変更したこと以外は、アクリル系共重合体(a−1)と同様にしてアクリル系共重合体の合成を行い、アクリル系共重合体(b−4)を得た。
[アクリル系共重合体(b−5)の合成]
モノマーの仕込量を、N−シクロヘキシルマレイミド(CHMI)10質量部、メタクリル酸メチル(MMA)70質量部、メタクリル酸4−tert−ブチルシクロヘキシル(TBCHMA)20質量部に変更したこと以外は、アクリル系共重合体(a−1)と同様にしてアクリル系共重合体の合成を行い、アクリル系共重合体(b−5)を得た。
[アクリル系共重合体(b−6)の合成]
モノマーの仕込量を、N−シクロヘキシルマレイミド(CHMI)12質量部、メタクリル酸メチル(MMA)87.6質量部、メタクリル酸4−tert−ブチルシクロヘキシル(TBCHMA)0.4質量部に変更したこと以外は、アクリル系共重合体(a−1)と同様にしてアクリル系共重合体の合成を行い、アクリル系共重合体(b−6)を得た。
得られたアクリル系共重合体(a−1)〜(a−8)、(b−1)〜(b−6)の重量平均分子量、ガラス転移温度、MFR、残存モノマー量、および1%質量減少温度の測定結果は、下記の表2に示される通りであった。
Figure 2014111751
<光学フィルムの評価方法>
次に、上記で得られたアクリル系共重合体(a−1)〜(a−8)、(b−1)〜(b−6)を用いて、以下の実施例および比較例の光学フィルムを製造した。得られた各実施例および比較例の光学フィルムの厚さ、面内位相差Re、厚み方向位相差Rth、光弾性係数C、MIT耐折度回数、黄色味の指標であるb値、および耐光性は、以下のようにして測定した。
光学フィルム(A−1)の厚さは、デジタル測長機(デジマイクロMF501、ニコン社製)を用いて測定した。また、フィルム厚みムラ(単位:%)は、フィルム原反の両端の耳を各10mm切り落とした後のロールサンプルを幅方向等間隔に20箇所測定した厚みの最大値をtμm、最小値をtμm、平均値をtμmとしたとき、厚みムラ=100×(t―t)/tとして計算される値とした。
面内位相差Re、および厚み方向位相差Rthは、Axometrics社製Axoscan装置を用いて測定した。
光弾性係数Cは、Axometrics社製Axoscan装置を用いてフィルムの位相差値であるレタデーション(Re)の二軸延伸フィルムにかけた応力による変化量を測定して求められる。具体的には、次式(3)のとおりである。
C=ΔRe/(Δσ×t) …(3)
Δσはフィルムにかかった応力の変化量(単位:Pa)であり、tはフィルムの膜厚(単位:m)、ΔReはΔσの応力の変化量に対応した面内位相差値の変化量(単位:m)である。
MIT耐折度回数の測定は、JIS P8115に準拠し、テスター産業株式会社製のBE−201 MIT耐折度試験機を使用して行った。測定条件は、加重200g、折り曲げ点先端Rは0.38、屈曲速度は175回/分、屈曲角度は左右135°とし、フィルムサンプルの幅は15mmとした。そして、二軸延伸フィルムの搬送方向(MD方向)に繰り返し屈曲させたときに破断した屈曲回数と、幅方向(TD方向)に繰り返し屈曲させたときに破断した屈曲回数との平均値をMIT耐屈度試験回数とした。
黄色味の指標であるb値の測定は、光学フィルムの分光スペクトルを日本電色工業(株)製Spectrophotometer SD6000を用いて測定して求めた。測定条件は、キセノンウェザーメーター〔東洋精機製作所 アトラスCi4000〕を用いて、光学フィルムに、放射照度60W/m、ブラックパネル温度63±3℃、湿度50%RH、600時間光照射として行なった。
また、耐光性の評価には、キセノンウェザーメーター〔東洋精機製作所 アトラスCi4000〕を用いて、二軸延伸フィルムに、放射照度60W/m、ブラックパネル温度63±3℃、湿度50%RH、600時間光照射して行った。光照射後のb値を光照射前のb値(b*1)から差し引きした値Δb(=b*1−b)、光照射前後における面内位相差Reの差し引き値ΔRe(=光照射前Re−光照射後Re)、光照射前後における厚み方向位相差Rthの差し引き値ΔRth(=光照射前Rth−光照射後Rth)、光照射前後における光弾性係数Cの差し引き値ΔC(=光照射前C−光照射後C)、および光照射前後におけるMIT耐折度回数の差し引き値ΔMIT(=光照射前MIT−光照射後MIT)を求め、耐光性を評価した。
<光学フィルムの製造>
[実施例1]
(光学フィルム(A−1)の製造)
粒子状のアクリル系共重合体(a−1)を、2軸スクリュー式押し出し機(KZW−30MG、テクノベル社製)を用いてフィルムとした。2軸スクリュー式押し出し機のスクリュー径は15mm、スクリュー有効長(L/D)は30であり、2軸スクリュー式押し出し機にはアダプタを介してハンガーコートタイプのTダイが設置されている。また、2軸スクリュー式押し出し機の溶融ゾーンからTダイまでの間には、ポリマーフィルター(長瀬産業社製、リーフディスクフィルター、目開き:10μm、7インチ、31枚ユニット)が備えられている。押し出し温度Tp(℃)は、ガラス転移温度がTg(℃)である非結晶性ポリマーの場合、式(5)が最適となることから、258℃とした。
Tp=5(Tg+70)/4 …(5)
また、2軸スクリュー式押し出し機中のポリマーフィルターの前後での圧力差(Mpa)をモニターし、ポリマーフィルターにかかる圧力を調べた。結果は、下記の表3に示されるとおりであった。
また、Tダイリップから吐出された溶融樹脂が最初に接触する第1ロールの温度Tは、溶融樹脂のガラス転移温度をTgとしたとき、(Tg−24)≦T≦(Tg+24)の範囲が好ましいことから、第1ロールの温度Tは141℃とした。
得られたフィルム原反(未延伸フィルム)を井元製作所製二軸延伸機にて延伸し(延伸温度:Tg+9℃、延伸倍率:1.5×1.5倍、同時二軸延伸)、光学フィルム(A−1)を得た。
[実施例2]
(光学フィルム(A−2)の製造)
アクリル系共重合体(a−1)をアクリル系共重合体(a−2)に変更し、第1ロールの温度Tを143℃としたこと以外は、実施例1と同様にして光学フィルムの製造を行い、光学フィルム(A−2)を得た。
[実施例3]
(光学フィルム(A−3)の製造)
アクリル系共重合体(a−1)をアクリル系共重合体(a−3)に変更し、第1ロールの温度Tを134℃としたこと以外は、実施例1と同様にして光学フィルムの製造を行い、光学フィルム(A−3)を得た。
[実施例4]
(光学フィルム(A−4)の製造)
アクリル系共重合体(a−1)をアクリル系共重合体(a−4)に変更し、第1ロールの温度Tを126℃としたこと以外は、実施例1と同様にして光学フィルムの製造を行い、光学フィルム(A−4)を得た。
[実施例5]
(光学フィルム(A−5)の製造)
アクリル系共重合体(a−1)をアクリル系共重合体(a−5)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして光学フィルムの製造を行い、光学フィルム(A−5)を得た。
[実施例6]
(光学フィルム(A−6)の製造)
アクリル系共重合体(a−1)をアクリル系共重合体(a−6)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして光学フィルムの製造を行い、光学フィルム(A−6)を得た。
[実施例7]
(光学フィルム(A−7)の製造)
アクリル系共重合体(a−1)をアクリル系共重合体(a−7)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして光学フィルムの製造を行い、光学フィルム(A−7)を得た。
[実施例8]
(光学フィルム(A−8)の製造)
アクリル系共重合体(a−1)をアクリル系共重合体(a−8)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして光学フィルムの製造を行い、光学フィルム(A−8)を得た。
[実施例9]
(光学フィルム(A−9)の製造)
第1ロールの温度を156℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして光学フィルムの製造を行い、光学フィルム(A−9)を得た。
[実施例10]
(光学フィルム(A−10)の製造)
第1ロールの温度を116℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして光学フィルムの製造を行い、光学フィルム(A−10)を得た。
[比較例1]
(光学フィルム(B−1)の製造)
アクリル系共重合体(a−1)をアクリル系共重合体(b−1)に変更し、第1ロールの温度Tを122℃としたこと以外は、実施例1と同様にして光学フィルムの製造を行い、光学フィルム(B−1)を得た。
[比較例2]
(光学フィルム(B−2)の製造)
アクリル系共重合体(a−1)をアクリル系共重合体(b−2)に変更し、第1ロールの温度Tを134℃としたこと以外は、実施例1と同様にして光学フィルムの製造を行い、光学フィルム(B−2)を得た。
[比較例3]
(光学フィルム(B−3)の製造)
アクリル系共重合体(a−1)をアクリル系共重合体(b−3)に変更し、第1ロールの温度Tを145℃としたこと以外は、実施例1と同様にして光学フィルムの製造を行い、光学フィルム(B−3)を得た。
[比較例4]
(光学フィルム(B−4)の製造)
アクリル系共重合体(a−1)をアクリル系共重合体(b−4)に変更し、第1ロールの温度Tを121℃としたこと以外は、実施例1と同様にして光学フィルムの製造を行い、厚み40μmの光学フィルム(B−4)を得た。
[比較例5]
アクリル系共重合体(a−1)をアクリル系共重合体(b−5)に変更し、第1ロールの温度Tを149℃としたこと以外は、実施例1と同様にして光学フィルムの製造を行ったが、第1ロールにフィルムが貼りついて製膜できなかった。
[比較例6]
(光学フィルム(B−5)の製造)
アクリル系共重合体(a−1)をアクリル系共重合体(b−5)に変更し、第1ロールの温度Tを99℃としたこと以外は、実施例1と同様にして光学フィルムの製造を行い、光学フィルム(B−5)を得た。
[比較例7]
(光学フィルム(B−6)の製造)
アクリル系共重合体(a−1)をアクリル系共重合体(b−6)に変更し、第1ロールの温度Tを124℃としたこと以外は、実施例1と同様にして光学フィルムの製造を行い、光学フィルム(B−6)を得た。
上記のようにして得られた光学フィルム(A−1)〜(A−10)、(B−1)〜(B−6)の厚さ、厚みムラ、面内位相差Re、厚み方向位相差Rth、光弾性係数C、MIT耐折度回数、黄色味の指標であるb値、および耐光性を測定した。測定結果は、下記の表3に示されるとおりであった。
Figure 2014111751

Claims (16)

  1. N−アルキルマレイミド単位を14質量%以上、26質量%以下と、
    (メタ)アクリル酸アルキル単位を64質量%以上、77質量%以下と、
    (メタ)アクリル酸4−tert−ブチルシクロヘキシル単位を1質量%以上、20質量%以下と、
    を構成単位として含んでなる、アクリル系共重合体。
  2. 前記アクリル系共重合体の重量平均分子量が、0.5×10以上、3.0×10以下である、請求項1に記載のアクリル系共重合体。
  3. 前記N−アルキルマレイミド単位のアルキル基が、炭素原子数1以上、10以下の鎖状または環状の基である、請求項1または2に記載のアクリル系共重合体。
  4. 前記(メタ)アクリル酸アルキル単位のアルキル基が、炭素原子数1以上、6以下の基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のアクリル系共重合体。
  5. 前記(メタ)アクリル酸4−tert−ブチルシクロヘキシル単位が、メタクリル酸4−tert−ブチルシクロヘキシル単位である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のアクリル系共重合体。
  6. 前記アクリル系共重合体のガラス転移温度が、120℃以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のアクリル系共重合体。
  7. 前記アクリル系共重合体のメルトフローレートが、1.0g/10分以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のアクリル系共重合体。
  8. 前記アクリル系共重合体の残存モノマー量が、5質量%以下である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のアクリル系共重合体。
  9. 前記アクリル系共重合体の1%質量減少温度が、260℃以上である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のアクリル系共重合体。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載のアクリル系共重合体を含んでなる、光学フィルム。
  11. 前記アクリル系共重合体を含有する樹脂材料からなる未延伸フィルムを、二軸延伸して得られるフィルムである、請求項10に記載の光学フィルム。
  12. 面内位相差Reの絶対値および厚み方向位相差Rthの絶対値が、3.0nm以下である、請求項10または11に記載の光学フィルム。
  13. 光弾性係数Cの絶対値が、3.0×10−12/Pa以下である、請求項10〜12のいずれか一項に記載の光学フィルム。
  14. JIS P8115に準拠して測定されるMIT耐折度回数が、100以上である、請求項10〜13のいずれか一項に記載の光学フィルム。
  15. 請求項10〜14のいずれか一項に記載の光学フィルムを備える、偏光板。
  16. 請求項15に記載の偏光板を備える、液晶表示装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018028043A (ja) * 2016-08-19 2018-02-22 旭化成株式会社 メタクリル系樹脂、及びメタクリル系樹脂組成物
JP2021050255A (ja) * 2019-09-20 2021-04-01 株式会社日本触媒 アクリル系ポリマー及びその製造方法

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