JP2015101707A - アクリル系共重合体、光学フィルム、偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

アクリル系共重合体、光学フィルム、偏光板及び液晶表示装置 Download PDF

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池 康 博 小
明 広 多加谷
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明 広 多加谷
尾 彰 松
Akira Matsuo
尾 彰 松
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Sayako Uchisawa
澤 咲耶子 内
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Abstract

【課題】フィルム状に成形した場合に配向複屈折及び光弾性複屈折がともに小さく、且つ、透明性、耐熱性及び可とう性に優れるアクリル系共重合体を提供すること。【解決手段】本発明によるアクリル系共重合体は、鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキル単位(a)を70〜95質量%と、ベンジル基を有する構成単位(b)を4〜15質量%と、N−置換マレイミド単位及び脂環式構造を有する(メタ)アクリル酸エステル単位からなる群より選択される構成単位(c)を1〜25質量%と、を含んでなる。【選択図】なし

Description

本発明は、アクリル系共重合体、光学フィルム、偏光板及び液晶表示装置に関する。
各種の光学関連機器で用いられるフィルム状の光学部材(例えば、液晶表示装置で用いられるフィルム、プリズムシートの基板等)は、一般的に「光学フィルム」と呼ばれている。この光学フィルムの重要な光学特性の一つに複屈折性がある。すなわち、光学フィルムが大きい複屈折性を有することは好ましくない場合がある。特に、IPSモードの液晶表示装置においては、複屈折性の大きなフィルムが存在することで像質に悪影響が生じるおそれがあるため、液晶表示装置に用いられる偏光板の保護フィルム等には、複屈折性の低い光学フィルムの使用が望まれる。
偏光板の保護フィルムに用いられる光学フィルムとして、例えば、特許文献1には、N−置換マレイミド単位及び(メタ)アクリル酸エステル単位を構成単位として有する(メタ)アクリル重合体を含む、位相差が小さい光学フィルムが開示されている。また、特許文献2には、N−ベンジルマレイミド単位及び(メタ)アクリル酸エステル単位を構成単位として含むアクリル系重合体を有する、面内位相差及び厚さ方向の位相差が小さい2軸延伸光学フィルムが開示されている。
特開2011−242754号公報 特開2012−203328号公報
ところで、光学フィルムが示す複屈折には、その主要因が光学フィルムを構成するポリマーの主鎖の配向にある配向複屈折と、フィルムにかかる応力に起因する光弾性複屈折とがある。
配向複屈折は、一般に鎖状のポリマーの主鎖が配向することによって発現する複屈折であり、この主鎖の配向は、例えばフィルム製造時の押し出し成形や延伸など材料の流動を伴うプロセスで生じ、それがフィルムに固定されて残る。
一方、光弾性複屈折は、フィルムの弾性的な変形に伴って引き起こされる複屈折である。例えば、ポリマーのガラス転移温度付近からそれ以下の温度に冷却された際に生じる体積収縮により、弾性的な応力がフィルム内に残存して、それが光弾性複屈折の原因となる。また、光学フィルムが通常温度で機器に固定した状態で受ける外力によっても、フィルムに応力が発生して光弾性複屈折が発現する。
偏光板、特にIPS用偏光板に適用する光学フィルムには、透明性、耐熱性及び可とう性が良好であることに加えて、この配向複屈折及び光弾性複屈折の双方が十分に小さいことが望まれる。
特許文献1には、位相差が小さい、すなわち配向複屈折が小さい光学フィルムについての開示はあるものの、光弾性複屈折についての記載はなく、特許文献1では耐熱性、可とう性、配向複屈折及び光弾性複屈折が全て良好な光学フィルムの実現はなされていない。
本発明は、フィルム状に成形した場合に配向複屈折及び光弾性複屈折がともに小さく、且つ、透明性、耐熱性及び可とう性に優れるアクリル系共重合体を提供することを目的とする。さらに、該アクリル系共重合体を含んでなる光学フィルム、並びに、該光学フィルムを備える偏光板及び液晶表示装置を提供することを目的とする。
本発明によるアクリル系共重合体は、鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキル単位(a)を70〜95質量%と、ベンジル基を有する構成単位(b)を4〜15質量%と、N−置換マレイミド単位及び脂環式構造を有する(メタ)アクリル酸エステル単位からなる群より選択される構成単位(c)を1〜25質量%と、を含んでなる。
このようなアクリル系共重合体によれば、配向複屈折及び光弾性複屈折がともに小さく、且つ、透明性、耐熱性及び可とう性等の特性に優れるフィルムを得ることができる。このようなフィルムは、液晶表示装置等の光学関連機器に用いられる光学フィルムとして、特に偏光板用保護フィルムとして、好適に用いることができる。
上記(メタ)アクリル酸アルキル単位(a)における鎖状アルキル基の炭素原子数は、1〜6であることが好ましい。
また、上記構成単位(b)は、N−ベンジルマレイミド単位及び(メタ)アクリル酸ベンジル単位からなる群より選択される構成単位であることが好ましい。
また、上記構成単位(c)は、N−シクロヘキシルマレイミド単位、N−フェニルマレイミド単位、(メタ)アクリル酸イソボルニル単位及び(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル単位からなる群より選択される構成単位であることが好ましい。
上記アクリル系共重合体のガラス転移温度は、125℃以上であることが好ましい。これにより、得られる光学フィルムの耐熱性が一層向上し、その結果、熱に対する光学フィルムの寸法安定性が一層向上する。このような寸法安定性に優れる光学フィルムは、偏光板用保護フィルムとして温度変化の激しい環境や高温環境で使用した場合でも、反りや偏光板からの剥離がより効果的に防止されるため、偏光板用保護フィルムとして一層好適なものとなる。
上記アクリル系共重合体の重量平均分子量は、0.8×10〜2.7×10であることが好ましい。このようなアクリル系共重合体は、得られる光学フィルムが優れた可とう性を有するものとなり、またフィルム成形が容易となり、フィルムの製造効率が向上する。
上記アクリル系共重合体のメルトフローレートは、1.0g/10分以上であることが好ましい。このようなアクリル系共重合体は流動性に優れるため、溶融押出しによるフィルム成形が容易となり、フィルムの製造効率が向上する。
上記アクリル系共重合体の残存モノマー量は、5質量%以下であることが好ましい。このようなアクリル系共重合体によれば、耐熱性、配向複屈折および光弾性複屈折に関する要求特性を満たしつつ、色相が一層改善された光学フィルムを得ることができる。
上記アクリル系共重合体の1%質量減少温度は、250℃以上であることが好ましい。このようなアクリル系共重合体は耐熱性に優れるため、溶融押出しによるフィルム成形が容易となり、フィルムの製造効率が向上する。
本発明による光学フィルムは、上記アクリル系共重合体を含んでなる。このような光学フィルムは、光学特性に優れることから、液晶表示装置等の光学関連機器に用いられる光学フィルムとして、特に偏光板用保護フィルムとして好適に用いることができる。
本発明の一態様において、光学フィルムは、上記アクリル系共重合体を含有する樹脂材料からなる未延伸フィルムを、二軸延伸して得られるフィルムである。このような光学フィルムは、可とう性に優れ、液晶表示装置等の光学機器に用いられる光学フィルムとして、特に偏光板用保護フィルムとして、一層好適である。
また、上記光学フィルムは、面内位相差Reの絶対値が3.0nm以下であり、且つ厚み方向位相差Rthの絶対値が3.0nm以下であることが好ましい。面内位相差Reの絶対値及び厚み方向位相差Rthの絶対値が小さいことは、すなわち配向複屈折が小さいことを意味する。これらの絶対値が3.0nm以下である光学フィルムは、像質に悪影響を生じにくく、偏光板用保護フィルムとして一層好適に用いることができる。
また、上記光学フィルムは、光弾性係数Cの絶対値が3.0×10−12/Pa以下であることが好ましい。光弾性係数Cの絶対値が小さいと、光弾性複屈折が小さくなる。そのため、光弾性係数Cの絶対値が3.0×10−12/Pa以下である光学フィルムは、偏光板用保護フィルムとして一層好適である。
また、上記光学フィルムは、JIS P8115に準拠して測定されるMIT耐折度回数が140以上であることが好ましい。このような二軸延伸フィルムは、偏光板用保護フィルムとして要求される可とう性を十分に満たすものであるため、偏光板用保護フィルムとして一層好適に用いることができる。
本発明の第三の側面は、上記光学フィルムを備える、偏光板に関する。また、本発明の第四の側面は、当該偏光板を備える、液晶表示装置に関する。上記光学フィルムによれば、上記アクリル系共重合体の使用により、配向複屈折及び光弾性複屈折を小さくして、像質に与える悪影響を十分に低減することができる。そのため、このような光学フィルムを備える偏光板及び液晶表示装置によれば、良好な像質が実現される。
本発明によれば、フィルム状に成形した場合に配向複屈折及び光弾性複屈折がともに小さく、且つ透明性、耐熱性及び可とう性に優れるアクリル系共重合体が提供される。さらに、該アクリル系共重合体を含んでなる光学フィルム、並びに、該光学フィルムを備える偏光板及び液晶表示装置が提供される。
本発明の好適な実施形態について以下に説明する。
<アクリル系共重合体>
本発明によるアクリル系共重合体は、鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキル単位(a)を70〜95質量%と、ベンジル基を有する構成単位(b)を4〜15質量%と、N−置換マレイミド単位及び脂環式構造を有する(メタ)アクリル酸エステル単位からなる群より選択される構成単位(c)を1〜25質量%と、を含んでなる。
本発明によるアクリル系共重合体によれば、配向複屈折及び光弾性複屈折がともに小さく、且つ透明性、耐熱性及び可とう性に優れる光学フィルムを得ることができる。
((メタ)アクリル酸アルキル単位(a))
鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキル単位(a)は、鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルモノマーから得られる構成単位である。ここで(メタ)アクリル酸アルキル単位(a)の鎖状アルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。
(メタ)アクリル酸アルキル単位(a)における鎖状アルキル基の炭素原子数は、好ましくは1〜6であり、より好ましくは1〜4である。
(メタ)アクリル酸アルキル単位(a)における鎖状アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−へキシル基、2−エチルへキシル基等が挙げられ、これらのうちメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
すなわち、(メタ)アクリル酸アルキル単位(a)としては、(メタ)アクリル酸メチル単位、(メタ)アクリル酸エチル単位、(メタ)アクリル酸n−プロピル単位、(メタ)アクリル酸イソプロピル単位、(メタ)アクリル酸n−ブチル単位、(メタ)アクリル酸イソブチル単位、(メタ)アクリル酸t−ブチル単位、(メタ)アクリル酸n−へキシル単位、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル単位等が挙げられ、これらのうち(メタ)アクリル酸メチル単位、(メタ)アクリル酸エチル単位、(メタ)アクリル酸プロピル単位、(メタ)アクリル酸イソプロピル単位が好ましく、(メタ)アクリル酸メチル単位がより好ましい。また、(メタ)アクリル酸アルキル単位(a)としては、メタクリル酸メチル単位が特に好ましい。なお、(メタ)アクリル酸アルキル単位(a)はこれらのうちの1種であってもよく、2種以上を含んでいてもよい。
アクリル系共重合体中の(メタ)アクリル酸アルキル単位(a)の含有量は、70質量%以上であり、好ましくは73質量%であり、より好ましくは77質量%以上であり、80質量%以上であってもよい。(メタ)アクリル酸アルキル単位(a)の含有量が70質量%以上であれば、厚み方向位相差Rthの絶対値および光弾性係数Cの絶対値が大きくなることを抑制することができる。
また、アクリル系共重合体中の(メタ)アクリル酸アルキル単位(a)の含有量は、95質量%以下であり、好ましくは93質量%以下であり、90質量%以下であってもよい。(メタ)アクリル酸アルキル単位(a)の含有量が95%質量以下であれば、厚み方向位相差Rthの絶対値および光弾性係数Cの絶対値が大きくなることを抑制することができ、またアクリル系共重合体のガラス転移温度が低くなることを抑制することができる。
(ベンジル基を有する構成単位(b))
ベンジル基を有する構成単位(b)は、例えばベンジル基を有するモノマーから得ることができる。
構成単位(b)は、ベンジル基を有するN−置換マレイミド単位及びベンジル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単位からなる群より選択される構成単位であることが好ましく、N−ベンジルマレイミド単位及び(メタ)アクリル酸ベンジル単位からなる群より選択される構成単位であることがより好ましい。また、構成単位(b)は、ベンジル基を有するN−置換マレイミド単位を少なくとも含むことが好ましく、N−ベンジルマレイミド単位を少なくとも含むことがより好ましい。なお、アクリル系共重合体中の構成単位(b)は1種であってもよく、2種以上であってもよい。
また、構成単位(b)としては、N−ベンジルアクリルアミド等も挙げられる。
アクリル系共重合体中の構成単位(b)の含有量は、4質量%以上であり、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは6質量%以上である。構成単位(b)の含有量が4質量%以上であれば、所望の光学特性(複屈折性)を発現し易くなる。
アクリル系共重合体中の構成単位(b)の含有量は、15質量%以下であり、好ましくは13質量%以下であり、より好ましくは11質量%以下であり、9質量%以下であってもよい。構成単位(b)の含有量が15質量%以下であれば、アクリル系共重合体のガラス転移温度が低くなることを抑制することができる。
(構成単位(c))
構成単位(c)は、N−置換マレイミド単位及び脂環式構造を有する(メタ)アクリル酸エステル単位からなる群より選択される構成単位である。このような構成単位(c)は、N−置換マレイミド及び脂環式構造を有する(メタ)アクリル酸エステルからなる群より選択されるモノマーから得ることができる。
N−置換マレイミド単位としては、例えば、N−芳香族置換マレイミド単位及びN−アルキル置換マレイミド単位が挙げられる。
N−芳香族置換マレイミド単位は、N−芳香族置換マレイミドモノマーから得られる構成単位であり、マレイミド単位の窒素原子上に芳香族基が置換した構成単位ということができる。ここで、芳香族基は、単環芳香族基であっても多環芳香族基であってもよい。
N−芳香族置換マレイミド単位における芳香族基の炭素原子数は、好ましくは6〜18であり、より好ましくは6〜14である。
N−芳香族置換マレイミド単位における芳香族基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられ、これらのうち好ましくはフェニル基及びナフチル基であり、より好ましくはフェニル基である。
すなわち、N−芳香族置換マレイミド単位としては、N−フェニルマレイミド単位、N−ナフチルマレイミド単位、N−アントリルマレイミド単位、N−フェナントリルマレイミド単位等が挙げられ、これらのうちN−フェニルマレイミド単位及びN−ナフチルマレイミド単位が好ましく、N−フェニルマレイミド単位がより好ましい。なお、アクリル系共重合体は、N−芳香族置換マレイミド単位を1種又は2種以上有していてよい。
N−アルキル置換マレイミド単位は、N−アルキル置換マレイミドモノマーから得られる構成単位であり、マレイミド単位の窒素原子上にアルキル基が置換した構成単位ということができる。ここで、アルキル基は、鎖状アルキル基であっても環状アルキル基であってもよく、環状アルキル基が好ましい。なお、鎖状アルキル基は、環構造を有しないアルキル基を示し、環状アルキル基は、脂環式構造を有するアルキル基を示す。
N−アルキル置換マレイミド単位におけるアルキル基の炭素原子数は、好ましくは1〜10であり、より好ましくは3〜8である。
N−アルキル置換マレイミド単位におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−へキシル基、2−エチルへキシル基、ドデシル基、ラウリル基、シクロへキシル基等が挙げられ、これらのうちメチル基、エチル基、シクロヘキシル基が好ましく、シクロヘキシル基がより好ましい。
すなわち、N−アルキル置換マレイミド単位としては、N−メチルマレイミド単位、N−エチルマレイミド単位、N−n−プロピルマレイミド単位、N−イソプロピルマレイミド単位、N−nーブチルマレイミド単位、N−イソブチルマレイミド単位、N−t−ブチルマレイミド単位、N−n−へキシルマレイミド単位、N−2−エチルへキシルマレイミド単位、N−ドデシルマレイミド単位、N−ラウリルマレイミド単位、N−シクロヘキシルマレイミド単位等が挙げられ、これらのうちN−メチルマレイミド単位、N−エチルマレイミド単位、N−シクロヘキシルマレイミド単位が好ましく、N−シクロヘキシルマレイミド単位がより好ましい。なお、N−アルキル置換マレイミド単位はこれらのうちの1種であってもよく、2種以上を含んでいてよい。
脂環式構造を有する(メタ)アクリル酸エステル単位は、脂環式構造を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーから得られる構成単位である。
脂環式構造を有する(メタ)アクリル酸エステル単位としては、環状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキル単位が好ましい。
また、脂環式構造を有する(メタ)アクリル酸エステル単位としては、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル等が挙げられ、これらのうち、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、が好ましい。
また、脂環式構造を有する(メタ)アクリル酸エステル単位は、ホモポリマーが正の固有複屈折を示すモノマーから得られる構成単位であることが好ましい。
アクリル系共重合体中の構成単位(c)の含有量は、1質量%以上であり、好ましくは1.5質量%以上である。構成単位(c)の含有量が1質量%以上であれば、機械的強度が低くなることを抑制することができる。
また、アクリル系共重合体中の構成単位(c)の含有量は、25質量%以下であり、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下であり、10質量%以下であってもよい。構成単位(c)の含有量が25質量%以下であれば、光弾性係数Cの絶対値が大きくなることを抑制することができる。
(アクリル系共重合体の物性)
アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)は、0.8×10〜2.7×10であることが好ましく、1.0×10〜2.5×10であることがより好ましい。重量平均分子量が0.8×10以上であれば、フィルム成形した場合に可とう性が低くなるのを抑制することができる。また、重量平均分子量が2.7×10以下であれば、アクリル系共重合体のメルトフローレートが低くなり成形性が低下するのを抑制し、その結果、フィルムの製造効率の低下を抑制することができる。
なお、本明細書中、アクリル系共重合体の重量平均分子量は、東ソー株式会社製のHLC−8220 GPCにより測定される、標準ポリスチレン分子量換算の値を示す。なお、カラムは東ソー株式会社製のSuper−Multipore HZ−Mを使用し、測定条件は、溶媒HPLC用テトラヒドロフラン(THF)、流量0.35ml/min、カラム温度40℃とすることができる。
アクリル系共重合体のガラス転移温度は、125℃以上であることが好ましい。これにより、フィルムの耐熱性が一層向上し、熱に対するフィルムの寸法安定性が向上するため、偏光板用保護フィルムとして一層好適なものとなる。また、ガラス転移温度の上限に特に制限はないが、光学フィルムとしての十分な耐熱性が達成される観点から、150℃以下であってよく、140℃以下であってもよく、130℃以下であってもよい。
なお、本明細書中、ガラス転移温度は、SIIナノテクノロジー社製の示差走査熱量測定装置DSC7020を使用し、昇温速度10℃/分で昇温させたときのガラス転移点のオンセット温度から求めた値を示す。なお、試料の質量は5mg〜10mgとする。
アクリル系共重合体の1%質量減少温度(熱分解温度)は、250℃以上であることが好ましく、260℃以上であることがより好ましく、270℃以上であることがさらに好ましい。このようなアクリル系共重合体によれば、耐熱分解性に優れ、温度変化の激しい環境や高温環境で使用される偏光板用保護フィルムとして特に好適な光学フィルムを得ることができる。また、1%質量減少温度の上限に特に制限はないが、光学フィルムとしての十分な耐熱性が達成される観点から、400℃以下であってもよく、350℃以下であってもよい。
なお、本明細書中、1%質量減少温度は、SIIナノテクノロジー社製の示差熱熱質量同時測定装置TG/DTA7200を使用し、昇温温度10℃/分で180℃まで昇温させ、60分保持した後、昇温速度10℃/分で450℃まで昇温し、250℃における試料の質量を基準として1%質量減少したときの温度を示す。
アクリル系共重合体のメルトフローレートは、1.0(g/10分)以上であることが好ましい。このようなアクリル系共重合体は流動性に優れるため、溶融押出しによるフィルム成形が容易となり、フィルムの製造効率が向上する。また、メルトフローレートの上限に特に制限はないが、40(g/10分)以下であってよく、30(g/10分)以下であってもよい。
なお、本明細書中、メルトフローレートは、株式会社東洋精機製のメルトインデックサF−F01を用いて測定される値を示す。測定方法は、JIS K7210に準拠し、荷重3.8kgf、測定温度は260℃である。
(アクリル系共重合体の製造方法)
アクリル系共重合体の製造方法は特に制限されず、例えば、塊状重合、懸濁重合、乳化重合、溶液重合等の方法により製造することができる。これらのうち、重合後の処理が容易あり、重合後の処理において有機溶媒の除去のための加熱等が不要である観点からは、懸濁重合が好適である
本発明による特定の組成のアクリル系共重合体においては、懸濁重合により製造することで特に色相に優れたものとなる。これに対して、例えば溶液重合では、重合後の処理において、例えば200℃程度の加熱により有機溶媒を除去する必要が生じ、この溶媒除去操作によってアクリル系共重合体の色相が悪くなる場合がある。
ここで、例えば、特許文献1に記載されたメタクリル酸メチルとN−シクロヘキシルマレイミドとの共重合体を懸濁重合で製造した場合には、本発明によるアクリル系共重合体を製造した場合とは異なり、色相が悪くなる傾向にある。本発明者らの知見によれば、この色相の悪化は、重合後の共重合体における残存モノマー量が多いことが一因と考えられる。
これに対して、本発明によるアクリル系共重合体を懸濁重合で製造する場合には、特定の組成を得るために特定のモノマー比率を採用することで、懸濁重合におけるモノマー転化率が向上し、重合後のアクリル系共重合体における残存モノマー量が十分に低減される。このため、本発明においては、色相に一層優れたアクリル系共重合体を得ることができる。
なお、残存モノマー量が多い場合でも、アクリル系共重合体自体に着色は認められない。本発明者らの知見によれば、残存モノマー量が多い場合には、アクリル系共重合体を含む樹脂材料をフィルム化する工程における加熱等によって黄変が生じる。
アクリル系共重合体の残存モノマー量は、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは4質量%以下であり、さらに好ましくは3質量%以下である。
懸濁重合の条件は特に制限されず、公知の懸濁重合の条件を適宜適用することができる。以下に、懸濁重合によるアクリル系共重合体の製造方法の一態様を示す。
本態様では、所望の質量比率となるように各モノマーを計量し、その総量を100質量部とする。モノマー総量100質量部に対して、300質量部の脱イオン水及び0.6質量部の分散剤としてのポリビニルアルコール(株式会社クラレ製のクラレパボール)を懸濁重合装置に投入し、撹拌を開始する。次いで、計量したモノマーと、重合開始剤として日本油脂株式会社製のパーロイルTCPを1質量部と、連鎖移動剤として1−オクタンチオールを0.22質量部とを、懸濁重合装置に投入する。
その後、懸濁重合装置に窒素を通じつつ、反応系を70℃まで昇温した後、70℃で3時間保持して反応させる。反応後、室温まで冷却し、必要に応じてろ過、洗浄及び乾燥等の操作を行い、粒子状のアクリル系共重合体を得ることができる。このような方法によれば、残存モノマー量が5質量%以下であり、重量平均分子量が上記の好適な範囲であるアクリル系共重合体を容易に得ることができる。
なお、上述の重合開始剤、連鎖移動剤及び分散剤の種類及び投入量は一例であって、懸濁重合の条件は上記に限定されるものではない。懸濁重合では、残存モノマー量5質量%以下(必要に応じて、さらに重量平均分子量0.8×10〜2.7×10、特に1.0×10〜2.5×10)を達成できる範囲で、その条件を適宜変更することができる。例えば、アクリル系共重合体の重量平均分子量は、連鎖移動剤の投入量を変更することにより適宜調整することができる。
重合開始剤としては、例えば、日本油脂株式会社製のパーロイルTCP、パーオクタO、ナイパーBW等を用いることができる。また、重合開始剤の使用量は、例えば、モノマー総量100質量部に対して、0.05〜2.0質量部であってよく、0.1〜1.5質量部であってもよい。
連鎖移動剤としては、例えば、1−オクタンチオール、1−ドデカンチオール、tert−ドデカンチオール等のチオール類を用いることができる。また、連鎖移動剤の使用量は、所望の重量平均分子量に応じて適宜変更できるが、例えば、モノマー総量100質量部に対して、0.05〜0.6質量部とすることができ、0.07〜0.5質量部であってもよい。
分散剤としては、例えば、株式会社クラレ製のクラレパボール等のPVA、ポリアクリル酸ナトリウム等を用いることができる。また、分散剤の使用量は、例えば、モノマー総量100質量部に対して、0.01〜0.5質量部であってよく、0.02〜0.3質量部であってもよい。
懸濁重合の条件は、重合開始剤、連鎖移動剤及び分散剤の種類及び使用量等に応じて適宜調整することができる。例えば、反応温度は、50〜95℃とすることができ、好ましくは60〜85℃である。また、反応時間は、十分に反応が進行する時間が確保されていればよく、例えば、2時間〜10時間とすることができ、好ましくは3時間〜8時間である。なお、モノマー転化率は反応活性種の寿命、モノマーの反応性等によって決まるため、必ずしも反応時間を延長してもモノマー転化率は向上しない。
<光学フィルム>
本発明による光学フィルムは、上記アクリル系共重合体を含んでなる。光学フィルムは、好適には二軸延伸フィルムであり、このようなフィルムは、例えば、アクリル系共重合体を含有する樹脂材料からなる未延伸フィルムを二軸延伸して得ることができる。
光学フィルムは、アクリル系共重合体以外の成分を含んでもよい。すなわち、光学フィルムが、アクリル系共重合体を含有する樹脂材料からなる未延伸フィルムを二軸延伸して得られるものであるとき、樹脂材料は、アクリル系共重合体以外の成分を含んでもよい。
光学フィルムを構成する樹脂材料中、アクリル系共重合体の含有量は、樹脂材料の総量基準で90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であってもよい。
アクリル系共重合体以外の成分としては、酸化防止剤、滑剤、紫外線吸収剤、安定剤等、光学フィルムに用いられる添加剤を必要に応じて用いることができる。これらの成分の配合量は、本発明の効果が有効に奏される範囲であれば特に制限されないが、樹脂材料の総量基準で、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
以下、本発明による光学フィルムの諸特性について詳述する。
光学フィルムの面内位相差Reの絶対値及び厚み方向位相差Rthの絶対値は、いずれも3.0nm以下であることが好ましく、2.5nm以下であることがより好ましく、2.0nm以下であることがさらに好ましく、1.0nm以下がさらにより好ましい。面内位相差Reの絶対値及び厚み方向位相差Rthの絶対値が小さいと、配向複屈折が小さくなるため、光学フィルム、特に偏光板用保護フィルムとして、一層好適に用いることができる。
光学フィルムの光弾性係数Cの絶対値は、3.0×10−12(/Pa)以下であることが好ましく、2.0×10−12(/Pa)以下であることがより好ましい。光弾性係数Cの絶対値が小さいと、光弾性複屈折が小さくなるため、光学フィルム、特に偏光板用保護フィルムとして、一層好適に用いることができる。
光学フィルムの配向複屈折性は、Axometrics社製Axoscan装置にてフィルムの面内位相差値であるレタデーション(Re)と厚み方向位相差値であるRthを測定して評価することができる。
Reは、フィルム面内の1方向の屈折率をnx、それと直交する方向の屈折率をny、フィルムの厚みをd(nm)としたとき、下記の数式(1)で表される。
Re=(nx−ny)×d (nm) ・・・(1)
Rthは、フィルム面内の1方向の屈折率をnx、それと直交する方向の屈折率をny、フィルムの厚み方向の屈折率をnz、フィルムの厚みをd(nm)としたとき、下記の数式(2)で表される。
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d (nm) ・・・(2)
フィルムの位相差値の符号は、ポリマー主鎖の配向方向に屈折率が大きいものを正とし、延伸方向と直交する方向に屈折率が大きいものを負とする。
光学フィルムの光弾性複屈折は、配向複屈折性と同じくAxometrics社製Axoscan装置にてフィルムの位相差値であるレタデーション(Re)のフィルムにかけた応力による変化量を測定し、光弾性係数C(/Pa)として求められる。具体的な光弾性係数Cの算出方法は下記の数式(3)のとおりである。
C=ΔRe/(Δσ×t) …(3)
Δσはフィルムにかかった応力の変化量で単位は[Pa]、tはフィルムの膜厚で単位は[m]、ΔReはΔσの応力の変化量に対応した面内位相差値の変化量で単位は[m]である。光弾性係数Cの符号は、応力をかけた方向に屈折率が大きくなるものを正とし、応力をかけた方向と直交する方向に屈折率が大きくなるものを負とする。
光学フィルムの膜厚は、10μm以上150μm以下とすることができ、15μm以上120μm以下とすることもできる。膜厚が10μm以上であると、フィルムの取り扱い性が良好となり、150μm以下であると、ヘイズの増加や、単位面積あたりの材料コストの増加等の問題が生じにくくなる。
光学フィルムは、JIS P8115に準拠して測定されるMIT耐折度回数が、140回以上であることが好ましく、150回以上であることがより好ましい。このような光学フィルムは、偏光板用保護フィルムとして要求される可とう性を十分に満たすものであるため、偏光板用保護フィルムとして一層好適に用いることができる。また、このような光学フィルムは、耐屈曲性に優れるため、大面積化が要求される用途に一層好適に使用できる。さらに、延伸工程後の光学フィルムを搬送して巻き取る工程で破断したり、偏光板等に張り合わせるなどの工程で破断するのを防ぐことができる。
なお、本明細書中、MIT耐折度試験は、テスター産業株式会社製のBE−201 MIT耐屈度試験機を使用して行うことができる。なお、テスター産業株式会社製のBE−201 MIT耐屈度試験機は、MIT耐折度試験機とも呼ばれている。測定条件は加重200g、折り曲げ点先端Rは0.38、屈曲速度は175回/分、屈曲角度は左右135°とし、フィルムサンプルの幅は15mmとする。そして、光学フィルムの搬送方向に繰り返し屈曲させたときに破断した屈曲回数と、幅方向に繰り返し屈曲させたときに破断した屈曲回数との平均値をMIT耐折度回数とする。
また、偏光板用保護フィルムの耐ヒートショック性の試験方法として、ガラス基盤にのりを介しフィルムを張り合わせ、−20℃から60℃の範囲で昇温、降温を30分間隔で500サイクル繰り返すヒートショック試験が知られているが、上述のMIT耐折度回数が140回以上であれば、ヒートショック試験中にフィルムにクラックが入るのを防ぐことができる。
光学フィルムの膜厚は、10μm以上、150μm以下とすることができ、15μm以上、120μm以下とすることもできる。膜厚が10μm以上であると、フィルムの取り扱い性が良好となり、150μm以下であると、ヘイズの増加や、単位面積あたりの材料コストの増加等の問題が生じにくくなる。
本発明による光学フィルムは、本発明によるアクリル系共重合体を含有する樹脂材料からなる未延伸フィルムを二軸延伸して得られるフィルムであってよい。二軸延伸する場合、延伸倍率は、上述のMIT耐折度回数を達成できるように適宜調整することができる。例えば、延伸倍率は、面積比で1.3倍以上とすることができ、1.5倍以上とすることもできる。また、延伸倍率は、面積比で6.0倍以下であってよく、4.0倍以下であってもよい。
上述のように、光学フィルムは、アクリル系共重合体を含有する樹脂材料からなる未延伸フィルムを二軸延伸して得られるフィルムであってよい。ここで、二軸延伸の延伸倍率は、所望の耐屈性等を達成できるように適宜調整することができる。例えば、延伸倍率は、面積比で1.3倍以上とすることができ、1.5倍以上とすることもできる。また、延伸倍率は、面積比で6.0倍以下であってよく、4.0倍以下であってもよい。
(光学フィルムの製造方法)
次いで、光学フィルムの製造方法の一態様について詳述する。
本態様において、光学フィルムは、上述のように、アクリル系共重合体を含有する樹脂材料からなる未延伸フィルムを二軸延伸して得ることができる。本態様の製造方法は、樹脂材料を溶融押出して未延伸フィルムを得る溶融押出工程と、未延伸フィルムを二軸延伸して光学フィルムを得る延伸工程と、を備える。
溶融押出工程は、例えば、ダイリップを備える押出製膜機により行うことができる。このとき、樹脂材料は、押出製膜機内で加熱溶融され、ダイリップから連続的に吐出されることでフィルム状を成す。
溶融押出の押し出し温度は、130℃以上300℃以下であることが好ましく、150℃以上280℃以下であることがさらに好ましい。押し出し温度が130℃以上であると、樹脂材料中のアクリル系共重合体が十分に溶融混錬されるため、未溶融物のフィルムへの残存が十分に防止される。また、300℃以下であると、熱分解によるフィルムの着色や、分解物のダイリップへの付着等の問題が生じることが十分に防止される。
延伸工程では、溶融押出工程で得られた未延伸フィルム(原反フィルム)を延伸して、光学フィルムを得る。延伸方法としては、従来公知の二軸延伸法を適宜選択することができる。二軸延伸装置としては、例えば、テンター延伸装置において、フィルム端部を把持するクリップ間隔がフィルムの搬送方向にも拡がる同時二軸延伸装置を用いることができる。また、延伸工程では、周速差を利用したロール間延伸、テンター装置による延伸等を組み合わせた逐次二軸延伸法も適用できる。
延伸装置は、押出製膜機と一貫ラインであってよい。また、延伸工程は、押出製膜機により巻き取った原反フィルムをオフラインで延伸装置に送り出して延伸する方法で行ってもよい。
延伸温度としては、原反フィルムのガラス転移温度をTg(℃)としたときにTg+2℃以上、Tg+20℃以下が好ましく、Tg+5℃以上、Tg+15℃以下がさらに好ましい。延伸温度がTg+2℃以上であると、延伸中のフィルムの破断や、フィルムのヘイズの上昇等の問題の発生を十分に防止することができる。また、Tg+20℃以下であると、ポリマー主鎖が配向しやすく、一層良好なポリマー主鎖配向度が得られる傾向にある。
溶融製膜法で製膜された原反フィルムを延伸することで、ポリマー主鎖が配向してフィルムの耐屈曲性を向上させることができる一方で、複屈折率が小さなポリマー材料からなるフィルムでなければ、フィルムの位相差値が上昇してしまい、液晶表示装置に組み込んだときに像質が悪化してしまう。本態様においては、上述の樹脂材料を用いることで、優れた光学特性と耐屈曲性とを両立した光学フィルムが得られる。
<偏光板>
本発明による偏光板は、上記光学フィルムを保護フィルムとして備えるものである。上記光学フィルムは、配向複屈折及び光弾性複屈折がともに小さいため、保護フィルムとして上記光学フィルムを備える偏光板によれば、液晶表示装置への適用に際し、保護フィルムによる像質の悪化を十分に抑制することができる。
本発明による偏光板において、上記光学フィルム以外の構成要素は、特に制限されず、公知の偏光板と同様の構成とすることができる。すなわち、本発明による偏光板は、公知の偏光板における保護フィルムの少なくとも一部を、上記光学フィルムに変更したものであってよい。偏光板は、例えば、上記光学フィルム、偏光層、偏光層保護フィルム及び粘着層がこの順で積層した構成を備えるものであってよい。
<液晶表示装置>
本発明による液晶表示装置は、上記偏光板を備えるものである。上記偏光板は、保護フィルムとして上記光学フィルムを備えるものであるため、保護フィルムの光学特性に起因する像質の悪化を十分に抑制することができる。そのため、本発明による液晶表示装置によれば、良好な像質が実現される。
本発明による液晶表示装置において、上記偏光板以外の構成要素は、特に制限されず、公知の液晶表示装置と同様の構成とすることができる。すなわち、本発明による液晶表示装置は、公知の液晶表示装置における偏光板を、上記偏光板に変更したものであってよい。
液晶表示装置は、例えば、上記偏光板、バックライト、カラーフィルター、液晶層、透明電極及びガラス基板がこの順で積層した構成を備えるものであってよい。
以上、本発明について具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例において、アクリル系共重合体の残存モノマー量は、以下の装置及び方法で測定した。
(装置)
ガスクロマトグラフィー装置:アジレントテクノロジー社製GC 6850
カラム:HP−5 30m
オーブン温度条件:50℃で5分保持した後10℃/分で250℃まで昇温し、10分保持した。
注入量:0.5μl
モード:スプリット法
スプリット比:80/1
キャリアー:純窒素
検出器:FID
(方法)
アクリル系共重合体の粒子約1gを精秤し、アセトン約10mlを加えて撹拌し、当該粒子を完全に溶解させてアセトン溶液とした。撹拌子を入れた100ml容器にメタノール約90mlを量り取り、上記アセトン溶液を滴下してポリマーを析出させて、スラリー液とした。次いで、内部標準物質としてクロロベンゼン約0.1mlを精秤し、上記スラリー液に添加し、激しく振ってよく混ぜた。この溶液を静置し、上澄み液約1.5mlを濾過したものを用いて、GC(ガスクロマトグラフィー)にて各モノマーの検出を行った。なお、各成分の保持時間、面積/質量換算係数は下記表1に記載のとおりであった。
Figure 2015101707
各モノマーのGC面積値に面積/質量換算係数を乗じ、以下の比例式により各モノマーの質量を算出した。
比例式:
内部標準物質質量:各モノマー質量=(内部標準物質GC面積値×面積/質量換算係数):(各モノマーGC面積値×面積/質量換算係数)
以上の方法により、精秤したアクリル系共重合体粒子中の各モノマーの残存質量を求め、その総和を、精秤したアクリル系共重合体粒子の質量で除することで、残存モノマー量(%)を算出した。
[実施例1]
(アクリル系共重合体(a−1)の合成)
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入管を備えた反応釜に、脱イオン水300質量部と、分散剤としてポリビニルアルコール(株式会社クラレ社製クラレポバール)0.6質量部を合わせて投入し、撹拌を開始した。次に、メタクリル酸メチル(以下、場合により「MMA」と表す。)90質量部と、N−ベンジルマレイミド(以下、場合により「BnMI」と表す。)8質量部と、N−フェニルマレイミド(以下、場合により「PhMI」と表す。)2質量部と、重合開始剤として日本油脂株式会社製のパーロイルTCPを1質量部と、連鎖移動剤として0.22質量部の1−オクタンチオールとを仕込み、反応釜に窒素を通じつつ、70℃まで昇温させた。70℃に達した状態を3時間保持した後、冷却し、濾過、洗浄、乾燥によって粒子状のアクリル系共重合体(a−1)を得た。アクリル系共重合体(a−1)の重量平均分子量(Mw)は1.3×10であり、Tg(ガラス転移温度)は126℃であった。また、アクリル系共重合体(a−1)における残存モノマー量は2.6質量%であった。また、株式会社東洋精機製のメルトインデックサF−F01で測定したメルトフローレート(以下、場合により「MFR」と表す。)は8(g/10分)であり、十分な流動性を示した。さらに、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製のTG/TDA装置で測定した1%質量減少温度は、298℃であり、優れた耐熱分解性を示した。
(光学フィルム(A−1)の製造)
粒子状のアクリル系共重合体(a−1)を、テクノベル社製の2軸スクリュー式押し出し機KZW−30MGにてフィルムとした。2軸押し出し機のスクリュー径は15mm、スクリュー有効長(L/D)は30であり、押し出し機にはアダプタを介してハンガーコートタイプのTダイが設置されている。押し出し温度Tp(℃)は、ガラス転移温度がTg(℃)である非結晶性ポリマーの場合、下記の数式(4)が最適となることから、245℃とした。
Tp=5(Tg+70)/4 ・・・(4)
得られたフィルム原反(未延伸フィルム)を井元製作所製二軸延伸機にて延伸し(延伸温度:Tg+9℃、延伸倍率:1.5×1.5倍、同時二軸延伸)、光学フィルム(A−1)を得た。
光学フィルム(A−1)の厚さは40μmであった。また、光学フィルム(A−1)の面内位相差Reは−0.1nmであり、厚み方向位相差Rthは−0.2nmであり、光弾性係数Cは0.0×10−12(1/Pa)であった。
また、光学フィルム(A−1)は、目視検査において、白濁なく透明性に優れるものであり、黄色み等の色相の悪化も見られなかった。
また、光学フィルム(A−1)は、MIT耐折度回数が176回であり、十分な可とう性を有したフィルムであった。なお、MIT耐折度回数の測定はJIS P8115に準拠し、テスター産業株式会社製のBE−201 MIT耐折度試験機を使用して行った。測定条件は、加重200g、折り曲げ点先端Rは0.38、屈曲速度は175回/分、屈曲角度は左右135°とし、フィルムサンプルの幅は15mmとした。そして、光学フィルムの搬送方向に繰り返し屈曲させたときに破断した屈曲回数と、幅方向に繰り返し屈曲させたときに破断した屈曲回数との平均値をMIT耐屈度試験回数とした。
[実施例2]
(アクリル系共重合体(a−2)の合成)
モノマーを、メタクリル酸メチル(MMA)87質量部、N−ベンジルマレイミド(BnMI)8質量部、及びN−シクロヘキシルマレイミド(以下、場合により「CHMI」と表す。)5質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてアクリル系共重合体の合成を行い、アクリル系共重合体(a−2)を得た。
アクリル系共重合体(a−2)の重量平均分子量(Mw)は1.6×10であり、Tgは127℃であった。また、アクリル系共重合体(a−2)における残存モノマー量は2.4質量%であった。また、株式会社東洋精機製のメルトインデックサF−F01で測定したMFRは5(g/10分)であり、十分な流動性を示した。さらに、アクリル系共重合体(a−2)の1%質量減少温度は301℃であり、優れた耐熱分解性を示した。
(光学フィルム(A−2)の製造)
アクリル系共重合体(a−1)をアクリル系共重合体(a−2)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして光学フィルムの製造を行い、光学フィルム(A−2)を得た。
光学フィルム(A−2)の厚みは40μm、面内位相差Reは0.7nm、厚み方向位相差Rthは1.3nm、光弾性係数Cは−0.1×10−12(1/Pa)、MIT耐折度回数は181回であった。また、光学フィルム(A−2)は、目視検査において、白濁なく透明性に優れるものであり、黄色み等の色相の悪化も見られなかった。
[実施例3]
(アクリル系共重合体(a−3)の合成)
モノマーを、メタクリル酸メチル(MMA)88質量部、N−ベンジルマレイミド(BnMI)7質量部、N−フェニルマレイミド(PhMI)3質量部、及びN−シクロヘキシルマレイミド(CHMI)2質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてアクリル系共重合体の合成を行い、アクリル系共重合体(a−3)を得た。
アクリル系共重合体(a−3)の重量平均分子量(Mw)は1.5×10であり、Tgは129℃であった。また、アクリル系共重合体(a−3)における残存モノマー量は2.1質量%であった。また、株式会社東洋精機製のメルトインデックサF−F01で測定したMFRは6(g/10分)であり、十分な流動性を示した。さらに、アクリル系共重合体(a−3)の1%質量減少温度は297℃であり、優れた耐熱分解性を示した。
(光学フィルム(A−3)の製造)
アクリル系共重合体(a−1)をアクリル系共重合体(a−3)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして光学フィルムの製造を行い、光学フィルム(A−3)を得た。
光学フィルム(A−3)の厚みは40μm、面内位相差Reは0.0nm、厚み方向位相差Rthは0.1nm、光弾性係数Cは−0.1×10−12(1/Pa)、MIT耐折度回数は166回であった。また、光学フィルム(A−3)は、目視検査において、白濁なく透明性に優れるものであり、黄色み等の色相の悪化も見られなかった。
[実施例4]
(アクリル系共重合体(a−4)の合成)
モノマーを、メタクリル酸メチル(MMA)80質量部、N−ベンジルマレイミド(BnMI)1質量部、メタクリル酸ベンジル(以下、場合により「BnMA」と表す。)6質量部、及びN−フェニルマレイミド(PhMI)13質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてアクリル系共重合体の合成を行い、アクリル系共重合体(a−4)を得た。
アクリル系共重合体(a−4)の重量平均分子量(Mw)は1.4×10であり、Tgは127℃であった。また、アクリル系共重合体(a−4)における残存モノマー量は2.3質量%であった。また、株式会社東洋精機製のメルトインデックサF−F01で測定したMFRは6(g/10分)であり、十分な流動性を示した。さらに、アクリル系共重合体(a−4)の1%質量減少温度は261℃であり、優れた耐熱分解性を示した。
(光学フィルム(A−4)の製造)
アクリル系共重合体(a−1)をアクリル系共重合体(a−4)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして光学フィルムの製造を行い、光学フィルム(A−4)を得た。
光学フィルム(A−4)の厚みは40μm、面内位相差Reは−0.1nm、厚み方向位相差Rthは−0.3nm、光弾性係数Cは0.0×10−12(1/Pa)、MIT耐折度回数は173回であった。また、光学フィルム(A−4)は、目視検査において、白濁なく透明性に優れるものであり、黄色み等の色相の悪化も見られなかった。
[実施例5]
(アクリル系共重合体(a−5)の合成)
モノマーを、メタクリル酸メチル(MMA)87質量部、N−ベンジルマレイミド(BnMI)10質量部、及びアクリル酸イソボルニル(以下、場合により「IBA」と表す。)3質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてアクリル系共重合体の合成を行い、アクリル系共重合体(a−5)を得た。
アクリル系共重合体(a−5)の重量平均分子量(Mw)は1.5×10であり、Tgは127℃であった。また、アクリル系共重合体(a−5)における残存モノマー量は1.9質量%であった。また、株式会社東洋精機製のメルトインデックサF−F01で測定したMFRは5(g/10分)であり、十分な流動性を示した。さらに、アクリル系共重合体(a−5)の1%質量減少温度は291℃であり、優れた耐熱分解性を示した。
(光学フィルム(A−5)の製造)
アクリル系共重合体(a−1)をアクリル系共重合体(a−5)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして光学フィルムの製造を行い、光学フィルム(A−5)を得た。
光学フィルム(A−5)の厚みは40μm、面内位相差Reは0.8nm、厚み方向位相差Rthは1.6nm、光弾性係数Cは0.43×10−12(1/Pa)、MIT耐折度回数は157回であった。また、光学フィルム(A−5)は、目視検査において、白濁なく透明性に優れるものであり、黄色み等の色相の悪化も見られなかった。
[実施例6]
(アクリル系共重合体(a−6)の合成)
モノマーを、メタクリル酸メチル(MMA)75質量部、N−ベンジルマレイミド(BnMI)10質量部、及びメタクリル酸ジシクロペンタニル(以下、場合により「DCPMA」と表す。)15質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてアクリル系共重合体の合成を行い、アクリル系共重合体(a−6)を得た。
アクリル系共重合体(a−6)の重量平均分子量(Mw)は1.4×10であり、Tgは134℃であった。また、アクリル系共重合体(a−6)における残存モノマー量は1.8質量%であった。また、株式会社東洋精機製のメルトインデックサF−F01で測定したMFRは6(g/10分)であり、十分な流動性を示した。さらに、アクリル系共重合体(a−6)の1%質量減少温度は288℃であり、優れた耐熱分解性を示した。
(光学フィルム(A−6)の製造)
アクリル系共重合体(a−1)をアクリル系共重合体(a−6)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして光学フィルムの製造を行い、光学フィルム(A−6)を得た。
光学フィルム(A−6)の厚みは40μm、面内位相差Reは−0.5nm、厚み方向位相差Rthは−1.2nm、光弾性係数Cは1.9×10−12(1/Pa)、MIT耐折度回数は153回であった。また、光学フィルム(A−6)は、目視検査において、白濁なく透明性に優れるものであり、黄色み等の色相の悪化も見られなかった。
[実施例7]
(アクリル系共重合体(a−7)の合成)
モノマーを、メタクリル酸メチル(MMA)71質量部、N−ベンジルマレイミド(BnMI)13質量部、及びメタクリル酸イソボルニル(以下、場合により「IBMA」と表す。)16質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてアクリル系共重合体の合成を行い、アクリル系共重合体(a−7)を得た。
アクリル系共重合体(a−7)の重量平均分子量(Mw)は1.4×10であり、Tgは144℃であった。また、アクリル系共重合体(a−7)における残存モノマー量は2.0質量%であった。また、株式会社東洋精機製のメルトインデックサF−F01で測定したMFRは7(g/10分)であり、十分な流動性を示した。さらに、アクリル系共重合体(a−7)の1%質量減少温度は294℃であり、優れた耐熱分解性を示した。
(光学フィルム(A−7)の製造)
アクリル系共重合体(a−1)をアクリル系共重合体(a−7)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして光学フィルムの製造を行い、光学フィルム(A−7)を得た。
光学フィルム(A−7)の厚みは40μm、面内位相差Reは0.5nm、厚み方向位相差Rthは1.0nm、光弾性係数Cは0.98×10−12(1/Pa)、MIT耐折度回数は151回であった。また、光学フィルム(A−7)は、目視検査において、白濁なく透明性に優れるものであり、黄色み等の色相の悪化も見られなかった。
[比較例1]
(アクリル系共重合体(b−1)の合成)
モノマーを、メタクリル酸メチル(MMA)74質量部、N−ベンジルマレイミド(BnMI)20質量部、及びスチレン(以下、場合により「St」と表す。)6質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてアクリル系共重合体の合成を行い、アクリル系共重合体(b−1)を得た。
アクリル系共重合体(b−1)の重量平均分子量(Mw)は1.4×10であり、Tgは123℃であった。また、アクリル系共重合体(b−1)における残存モノマー量は2.4質量%であった。また、株式会社東洋精機製のメルトインデックサF−F01で測定したMFRは4(g/10分)であった。さらに、アクリル系共重合体(b−1)の1%質量減少温度は267℃であった。
(光学フィルム(B−1)の製造)
アクリル系共重合体(a−1)をアクリル系共重合体(b−1)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして光学フィルムの製造を行い、光学フィルム(B−1)を得た。
光学フィルム(B−1)の厚みは40μm、面内位相差Reは7.4nm、厚み方向位相差Rthは13.2nm、光弾性係数Cは5.6×10−12(1/Pa)、MIT耐折度回数は125回であった。また、光学フィルム(B−1)は、目視検査において、白濁は認められなかったものの、やや黄色味を帯びているものであった。
[比較例2]
(アクリル系共重合体(b−2)の合成)
モノマーを、メタクリル酸メチル(MMA)61質量部、N−ベンジルマレイミド(BnMI)30質量部、及びスチレン(St)9質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてアクリル系共重合体の合成を行い、アクリル系共重合体(b−2)を得た。
アクリル系共重合体(b−2)の重量平均分子量(Mw)は1.3×10であり、Tgは126℃であった。また、アクリル系共重合体(b−2)における残存モノマー量は2.1質量%であった。また、株式会社東洋精機製のメルトインデックサF−F01で測定したMFRは5(g/10分)であった。さらに、アクリル系共重合体(b−2)の1%質量減少温度は283℃であった。
(光学フィルム(B−2)の製造)
アクリル系共重合体(a−1)をアクリル系共重合体(b−2)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして光学フィルムの製造を行い、光学フィルム(B−2)を得た。
光学フィルム(B−2)の厚みは40μm、面内位相差Reは17.3nm、厚み方向位相差Rthは31.3nm、光弾性係数Cは10.6×10−12(1/Pa)、MIT耐折度回数は102回であった。また、光学フィルム(B−2)は、目視検査において、白濁は認められなかったものの、やや黄色味を帯びているものであった。
実施例及び比較例の結果を表2及び表3に示す。なお、表中、「色相」は、目視による色相評価の結果を示し、黄色み等の色相の悪化が見られなかったものを「A」、黄色み等の色相の悪化が見られたものを「B」とした。
Figure 2015101707
Figure 2015101707

Claims (16)

  1. 鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキル単位(a)を70〜95質量%と、
    ベンジル基を有する構成単位(b)を4〜15質量%と、
    N−置換マレイミド単位及び脂環式構造を有する(メタ)アクリル酸エステル単位からなる群より選択される構成単位(c)1〜25質量%をと、
    を含んでなる、アクリル系共重合体。
  2. 前記(メタ)アクリル酸アルキル単位(a)における鎖状アルキル基の炭素原子数が、1〜6である、請求項1に記載のアクリル系共重合体。
  3. 前記構成単位(b)が、N−ベンジルマレイミド単位及び(メタ)アクリル酸ベンジル単位からなる群より選択される、請求項1又は2に記載のアクリル系共重合体。
  4. 前記構成単位(c)が、N−シクロヘキシルマレイミド単位、N−フェニルマレイミド単位、(メタ)アクリル酸イソボルニル単位及び(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル単位からなる群より選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のアクリル系共重合体。
  5. ガラス転移温度が125℃以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のアクリル系共重合体。
  6. 前記アクリル系共重合体の重量平均分子量が、0.8×10〜2.7×10である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のアクリル系共重合体。
  7. 前記アクリル系共重合体のメルトフローレートが、1.0g/10分以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のアクリル系共重合体。
  8. 前記アクリル系共重合体の残存モノマー量が、5質量%以下である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のアクリル系共重合体。
  9. 前記アクリル系共重合体の1%質量減少温度が、250℃以上である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のアクリル系共重合体。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載のアクリル系共重合体を含んでなる、光学フィルム。
  11. 前記アクリル系共重合体を含有する樹脂材料からなる未延伸フィルムを、二軸延伸して得られるフィルムである、請求項10に記載の光学フィルム。
  12. 面内位相差Reの絶対値が3.0nm以下であり、且つ厚み方向位相差Rthの絶対値が3.0nm以下である、請求項10又は11に記載の光学フィルム。
  13. 光弾性係数Cの絶対値が3.0×10−12/Pa以下である、請求項10〜12のいずれか一項に記載の光学フィルム。
  14. JIS P8115に準拠して測定されるMIT耐折度回数が140以上である、請求項10〜13のいずれか一項に記載の光学フィルム。
  15. 請求項10〜14のいずれか一項に記載の光学フィルムを備える、偏光板。
  16. 請求項15に記載の偏光板を備える、液晶表示装置。
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