JPH09216980A - 樹脂組成物 - Google Patents

樹脂組成物

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JPH09216980A
JPH09216980A JP4829296A JP4829296A JPH09216980A JP H09216980 A JPH09216980 A JP H09216980A JP 4829296 A JP4829296 A JP 4829296A JP 4829296 A JP4829296 A JP 4829296A JP H09216980 A JPH09216980 A JP H09216980A
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JP
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rubber polymer
mol
rubber
graft
acid
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JP4829296A
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English (en)
Inventor
Yasuhiro Mishima
育宏 三島
Norihito Doi
紀人 土井
Yoichi Matsumura
陽一 松村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特に表面光沢と面衝撃強度に優れるととも
に、剛性、加工性、耐熱性にも優れた樹脂組成物を提供
する。 【解決手段】 (I)酸基含有ラテックスで肥大された
中粒子系ゴムを用いたグラフト共重合体と、(II)小粒
子系ゴムを用いたグラフト共重合体と、(III)スチレン
−ニトリル系共重合体及び/又は(IV)スチレン−マレイ
ミド系樹脂とからなり、ゴムの含量が樹脂組成物中5〜
40重量%である樹脂組成物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に表面光沢と面
衝撃強度に優れ、かつ剛性、加工性、耐熱性(耐熱変形
性)に優れた樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】アクリロニトリル−スチレン−(α−メ
チルスチレン)−(フェニルマレイミド)共重合体及び
ポリブタジエンにアクリロニトリル、スチレンをグラフ
トさせたグラフト共重合体のアロイは、ABS樹脂と通
称され、優れた成形加工性等を示すことから、広く使用
されている。耐熱性が必要な用途では、近年α−メチル
スチレン共重合ABS樹脂やマレイミド共重合ABS樹
脂が使用されている。
【0003】ABS系樹脂の主要な分野である家電、雑
貨業界においては、商品価値を高めるため、従来より高
光沢の材料が望まれている。ABS樹脂の諸物性は、組
成、分子量及び使用するゴム分の組成、ゲル含有率、粒
径、粒径分布、ゴム量等の因子によって影響される。高
光沢とするためには、ゴム量の減少、ゴムの小粒径化が
有効であるが、これらは、ABS樹脂の特性である耐衝
撃性や機械的性質等の低下等の問題が生じる。更に、A
BS樹脂にα−メチルスチレンやマレイミドを共重合す
ると耐熱性は高くなるが、耐衝撃性が低下する。
【0004】そこで、ゴムの粒径分布に着目して、光沢
を改善し、かつ衝撃強度を発現させるために各種のゴム
状重合体を使用する方法が提案されている。例えば、
特開昭50−144747では、小粒子径ゴムと大粒子
径ゴムの併用、特開昭62−11713では、低ゲル
分の小粒子径ゴムと高ゲル分の中粒子径ゴムの併用、
特開昭63−264658では、小粒子ゴム主体の特定
粒径分布のゴム使用、特開昭59−232138で
は、中粒子径ゴムと数ミクロンの大粒子径ゴムの使用、
特開昭60−23438では、小粒子径ゴム、中粒子
径ゴム混合物へ同時グラフトしたグラフト重合体の使
用、特開昭62−199645では、低グラフト率の
小粒子径ゴムと中粒子径ゴムの併用等がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
、の方法では、面衝撃強度及び光沢の改良効果が充
分でなく、また、上記、、、の方法では、アイ
ゾット衝撃強度は高くなるが、その反面、実用的な面衝
撃強度が低いという問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らはかかるAB
S系樹脂の問題点を解決するために鋭意研究した結果、
特定のグラフト部を有する小粒子径ゴムと中粒子径ゴム
を特定比率で存在する際に、光沢と面衝撃強度が改良で
き、特に中粒子径ゴムが特定の肥大法で製造された肥大
ゴムである場合にその効果が著しいことを見出し、本発
明に到達したものである。
【0007】即ち、本発明は、下記の樹脂組成物を内容
とする。 (I)透過型電顕分析−画像解析法(TEM法)による
体積平均粒径が250〜800nm、標準偏差が50%以
下の粒径分布であるゴム重合体部(A)、及びゴム重合
体部(A)に対する体積比が(a)/(A)=0.10
〜0.80であるグラフト部(a)から構成されるグラ
フト共重合体、及び(II)TEM法による体積平均粒径
が60〜160nm、標準偏差が40%以下の粒径分布で
あるゴム重合体部(B)、及びゴム重合体部(B)に対
する体積比が(b)/(B)=0.30〜1.00であ
るグラフト部(b)から構成されるグラフト共重合体、
及び(III)シアン化ビニル化合物残基15〜60モル
%、芳香族ビニル化合物残基40〜85モル%及びこれ
らと共重合可能な単量体残基0〜30モル%(合計10
0モル%)の組成である共重合体、及び/又は、(IV)
シアン化ビニル化合物残基15〜60モル%、マレイミ
ド化合物残基45モル%以下、芳香族ビニル化合物残基
40〜80モル%及びこれらと共重合可能な単量体残基
0〜30モル%(合計100モル%)の組成である共重
合体からなり、前記ゴム重合体部(A)と前記ゴム重合
体部(B)の体積比が(A)/(A+B)=0.1〜
0.5であり、かつ前記ゴム重合体部(A)、(B)
が、ジエン系ゴム重合体、オレフィン系ゴム重合体、及
びアクリル系ゴム重合体からなる群から選ばれる少なく
とも1種の重合体であり、かつ前記ゴム重合体部(A)
が、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸及びクロト
ン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の不飽和酸
(c)5〜25重量%、アルキル基の炭素数が1〜12
の少なくとも1種のアルキルアクリレート(d)5〜3
0重量%、アルキル基の炭素数が1〜12の少なくとも
1種のアルキルメタクリレート(e)80〜20重量
%、上記(c)、(d)、(e)と共重合可能な、芳香
族ビニル化合物、分子中に2つ以上の重合性の官能基を
有する化合物、及びシアン化ビニル化合物からなる群か
ら選ばれる少なくとも1種の単量体(f)0〜40重量
%(合計100重量%)を重合させることにより調製し
た酸基含有ラテックス(C)を使用する凝集肥大法によ
り製造したゴム重合体であり、かつ前記グラフト部
(a)、(b)がシアン化ビニル化合物残基15〜60
モル%、芳香族ビニル化合物残基40〜85モル%、及
びこれらと共重合可能な単量体残基0〜30モル%(合
計100モル%)からなる組成の重合体であり、かつメ
チルエチルケトン可溶分の還元粘度(30℃、N,N−
ジメチルホルムアミド溶液中)が0.3〜1.2dl/g
であり、かつ前記ゴム重合体部(A)と(B)の含量が
樹脂組成物中5〜40重量%であることを特徴とする樹
脂組成物。
【0008】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明のグラフト共重合体(I)におけるゴム重合体部
(A)は、透過型電顕分析−画像解析法(TEM法)に
よる体積平均粒径が250〜800nmであり、好ましく
は、300〜700nm、標準偏差が50%以下、好まし
くは45%以下の粒径分布のものが良い。800nmを越
えると光沢の低下および面衝撃強度が充分に発現せず、
250nm未満では衝撃強度が発現しない。標準偏差が5
0%を越えると光沢と面衝撃強度が発現しない。
【0009】グラフト共重合体(II)におけるゴム重合
体部(B)は、透過型電顕分析−画像解析法(TEM
法)による体積平均粒径が60〜160nmであり、好ま
しくは70〜140nm、標準偏差が40%以下、好まし
くは35%以下の粒径分布のものが良い。60nm未満で
は衝撃強度が発現せず、160nmを越えると光沢と面衝
撃強度が充分に発現しない。標準偏差が40%を越える
と光沢と面衝撃強度が発現しない。
【0010】ゴム重合体部(A)、(B)の具体例とし
ては、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴ
ム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブタジエン−
アクリル酸エステルゴム、水素化スチレン−ブタジエン
ゴム等のジエン系ゴム重合体、エチレン−プロピレンゴ
ム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム等のオレフィン
系ゴム重合体、ポリアクリル酸エステルゴム、エチレン
−アクリル酸エステルゴム等のアクリル系ゴム重合体が
挙げられ、これらは単独又は2種以上組み合わせて用い
られる。本発明のゴム重合体部(A)は、アクリル酸、
メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸からなる群から
選ばれる少なくとも1種の不飽和酸(c)5〜25重量
%、アルキル基の炭素数が1〜12の少なくとも1種の
アルキルアクリレート(d)5〜30重量%、アルキル
基の炭素数が1〜12の少なくとも1種のアルキルメタ
クリレート(e)80〜20重量%、上記(c)、
(d)、(e)と共重合可能な芳香族ビニル単量体、分
子中に2つ以上の重合性の官能基を有する単量体、及び
シアン化ビニル化合物からなる群から選ばれる少なくと
も1種の単量体(f)0〜40%を重合させることによ
り調製した酸基含有ラテックス(C)を使用する凝集肥
大法により製造したゴム重合体である。ゴム重合体部
(A)は好ましくは、ゴムラテックス100重量部(固
形分)に対して酸基含有ラテックス(C)を0.1〜1
5重量部、好ましくは、0.5〜10重量部(固形分)
添加して凝集肥大したゴム重合体である。
【0011】酸基含有ラテックス(C)に用いられる不
飽和酸(c)としては、アクリル酸、メタクリル酸、イ
タコン酸、クロトン酸が単独又は2種以上組み合わせて
用いられるが、特にアクリル酸、メタクリル酸が好まし
い。アルキルアクリレート(d)としては、アクリル酸
と炭素数1〜12の直鎖或いは側鎖を有するアルコール
のエステルが使用され、アクリル酸メチル、アクリル酸
エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アク
リル酸2−エチルヘキシル等が例示でき、特にアルキル
基の炭素数1〜8のものが好ましい。これらは単独また
2種以上組み合わせて使用することができる。
【0012】アルキルメタクリレート(e)としては、
メタクリル酸と炭素数1〜12の直鎖或いは側鎖を有す
るアルコールのエステルが使用され、メタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタ
クリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等が
例示でき、特にアルキル基の炭素数1〜8のものが好ま
しい。これらは単独また2種以上組み合わせて使用でき
る。
【0013】上記(c)、(d)、(e)の単量体と共
重合可能な単量体(f)としては、スチレン、α−メチ
ルスチレン、p−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合
物、アクリロニトリル、メタクリロニトリルの様なシア
ン化ビニル化合物、更にはメタクリル酸アリル、ポリエ
チレングリコールジメタクリレート、トリアリルシアヌ
レート、トリアリルイソシアヌレート、トリメリット酸
トリアリルのような分子中に2つ以上の重合性の官能基
を有するような化合物が挙げられる。これらは単独また
2種以上組み合わせて使用できる。酸基含有ラテックス
(C)を重合させるに際し、先に、(C)の5〜40重
量%、好ましくは8〜35重量%で、かつ−95℃≦T
g≦40℃、好ましくは−80℃≦Tg≦30℃の低T
gの共重合体となる単量体部分(C1)を重合させた
後、(C)の残部95〜60重量%、好ましくは92〜
65重量%で、かつ−20℃≦Tg≦80℃、好ましく
は−10℃≦Tg≦70℃の高Tgの共重合体となる単
量体部分(C2)を重合させる方法が、酸基含有ラテッ
クス製造時の凝塊物量低下及び肥大能力の点から好まし
い。酸基含有ラテックス中に占める不飽和酸(c)の割
合は、5〜25重量%であり、特に好ましくは8〜23
重量%である。5%未満では実質的に肥大能がなく、2
5重量%を越えると酸基含有ラテックスの重合は不可能
ではないが、凝塊物の生成や重合途中でのラテックスの
増粘が起こり、工業的な生産に適さない。不飽和酸
(c)と共重合させる残りの化合物は、基本的にはアル
キルアクリレート(d)、アルキルメタクリレート
(e)である。アルキルアクリレート(d)は5〜30
重量%、好ましくは8〜28重量%である。5重量%未
満では肥大能力が低下し、30重量%を越えると、酸基
含有ラテックス製造時の凝塊物が多くなる。アルキルメ
タクリレート(e)は80〜20重量%、好ましくは7
5〜25重量%であり、この範囲外では、肥大能力が低
下する。アルキルアクリレート(d)、アルキルメタク
リレート(e)は、共重合可能な他の単量体(f)に置
き換えることが可能であるが、その量は0〜40重量
%、好ましくは0〜35重量%である。40重量%を越
えると肥大能が低下してしまうので好ましくない。ま
た、分子中に2つ以上の重合性の官能基を有するような
化合物の場合は、肥大能の点から0〜3重量%の範囲で
使用するのが好ましい。
【0014】本発明のグラフト共重合体(I)は、ゴム
重合体部(B)、及びゴム重合体部(A)に対する体積
比が(a)/(A)=0.10〜0.80、好ましくは
0.15〜0.75、更に好ましくは0.2〜0.7で
あるグラフト部(a)からなる。グラフト共重合体
(I)のゴム重合体部(A)とグラフト部(a)の比率
は、耐衝撃性と光沢の点から重要であり、体積比(a)
/(A)が0.10未満あるいは.0.80を越えると
耐衝撃性と光沢が低下する。
【0015】本発明のグラフト共重合体(II)は、ゴム
重合体部(b)、及びゴム重合体分子量(B)に対する
体積比が(b)/(B)=0.30〜1.00、好まし
くは0.35〜0.95、更に好ましくは0.35〜
0.90であるグラフト部(b)からなる。グラフト共
重合体(II)の、ゴム重合体部(B)とグラフト部
(b)の比率は、耐衝撃性と光沢の点から重要であり、
体積比(b)/(B)が0.30未満あるいは1.00
を越えると耐衝撃性と光沢が低下する。
【0016】本発明のグラフト部(a)、(b)は、シ
アン化ビニル化合物残基15〜60モル%、好ましくは
20〜55モル%、芳香族ビニル化合物残基40〜85
モル%、好ましくは45〜85モル%、及びこれらと共
重合可能な単量体残基0〜30モル%、好ましくは0〜
20モル%(合計100モル%)からなる組成の重合体
である。グラフト部(a)、(b)の組成が上記の範囲
外では、本発明の組成物の耐衝撃性、光沢あるいは加工
性が著しく低下する。
【0017】グラフト部(a)、(b)におけるシアン
化ビニル化合物残基としては、アクリロニトリル、メタ
クリロニトリル等の残基であり、芳香族ビニル化合物残
基としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチ
ルスチレン、クロルスチレン、ブロムスチレン、ビニル
ナフタレン等の残基である。これらは各々、1種又は2
種以上であってもよい。これらのうち、工業的見地か
ら、シアン化ビニル化合物残基としてアクリロニトリル
残基、芳香族ビニル残基としてスチレン残基が好まし
い。共重合可能な化合物残基としては、(メタ)アクリ
ル酸及びそのメチル、エチル、プロピル、ブチル、2−
ヒドロキシルエチル、2−エチルヘキシル、グリシジル
等の(メタ)アクリル酸エステル系化合物の残基、マレ
イミド、N−フェニルマレイミド等マレイミド系化合物
の残基である。
【0018】本発明の範囲の組成が得られれば、いかな
る重合法、開始剤、連鎖移動剤、界面活性剤を用いて製
造したものでもかまわない。例えば、グラフト共重合体
(I)、(II)は、公知の塊状重合法、溶液重合法、塊
状−懸濁重合法、懸濁重合法、乳化重合法、乳化−懸濁
重合法、乳化−塊状重合法等どの重合法によって製造し
たものでもよいが、グラフト部とゴム状重合体部の体積
比率を制御しやすい点から、乳化重合法が好ましい。ま
た、グラフト共重合体を重合する際の開始剤は、過硫酸
カリウム等の熱分解開始剤、Fe−還元剤−有機パーオ
キサイド等のレドックス系開始剤等公知の開始剤を使用
してもよい。t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシル
メルカプタン、α−メチルスチレンダイマー、テルピノ
レン等公知の連鎖移動剤も本発明のグラフト部とゴム状
重合体部の体積比率を制御できる範囲内で使用してもよ
い。
【0019】重合方法についても、本発明の範囲の組成
が得られればどのような方法でもよい。例えば、本発明
のグラフト共重合体(I)、(II)を得るために、同一
の重合機でゴム重合体(A)、(B)を同時に仕込ん
で、単量体混合物を重合させてもよいし、別々にグラフ
ト共重合体(I)、(II)を製造してもよい。好ましく
は、後者の方法が本発明の範囲内にグラフト率を制御す
る点からよい。また、同一の重合機で一貫してグラフト
共重合体(I)、(II)を重合する際には、ゴム重合体
(A)を仕込んで、単量体混合物をゴム重合体(A)、
(B)の比表面積に応じた一定量を重合させた後、ゴム
重合体(B)を仕込み、単量体混合物の残量を重合させ
る方法が好ましい。
【0020】本発明の共重合体(III)は、シアン化ビニ
ル化合物残基15〜60モル%、好ましくは20〜55
モル%、芳香族ビニル化合物残基40〜85モル%、好
ましくは45〜80モル%及びこれらと共重合可能な単
量体残基0〜30モル%、好ましくは0〜20モル%
(合計100モル%)よりなる組成の共重合体である。
【0021】本発明の共重合体(III)の組成は、シアン
化ビニル化合物残基が15モル%未満では耐衝撃性が低
下し、60モル%を越えると加工性が低下し、芳香族ビ
ニル化合物残基が40モル%未満では加工性が低下し、
85モル%を越えると耐衝撃性が低下する。これらと共
重合可能な単量体残基が30モル%を越えると耐衝撃性
が低下する。本発明の共重合体(III)のシアン化ビニル
化合物残基としては、アクリロニトリル、メタクリロニ
トリル等の残基が挙げられ、芳香族ビニル化合物残基と
しては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルス
チレン、p−イソプロピルスチレン、クロルスチレン、
ブロムスチレン、ビニルナフタレン等の残基が挙げられ
る。これらは各々1種又は2種あってもよい。共重合可
能な単量体残基としては、(メタ)アクリル酸及びその
メチル、エチル、プロピル、ブチル、2−ヒドロキシル
エチル、2−エチルヘキシル、グリシジル等の(メタ)
アクリル酸エステル系単量体等の残基が挙げられる。こ
れらは各々1種又は2種以上であってもよい。
【0022】本発明の共重合体(IV) は、シアン化ビニ
ル化合物残基15〜60モル%、好ましくは20〜55
モル%、マレイミド化合物残基45モル%以下、好まし
くは5〜40モル%、芳香族ビニル化合物残基40〜8
0モル%、好ましくは45〜75モル%及びこれらと共
重合可能な単量体残基0〜30モル%、好ましくは0〜
20モル%(合計100モル%)よりなる組成の共重合
体である。本発明の共重合体(IV) の組成は、シアン化
ビニル化合物残基が15モル%未満では耐衝撃性が低下
し、60モル%を越えると加工性が低下し、マレイミド
化合物残基が45モル%を越えると加工性が低下し、芳
香族ビニル化合物残基が40モル%未満では加工性が低
下し、80モル%を越えると耐衝撃性が低下する。共重
合可能な他の単量体残基が30モル%を越えると耐衝撃
性が低下する。本発明の共重合体(IV) のシアン化ビニ
ル化合物残基としては、アクリロニトリル、メタクリロ
ニトリル等の残基が挙げられ、芳香族ビニル化合物残基
としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチル
スチレン、p−イソプロピルスチレン、クロルスチレ
ン、ブロムスチレン、ビニルナフタレン等の残基が挙げ
られる。マレイミド化合物残基としては、マレイミド、
N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プ
ロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニ
ルマレイミド、N−(p−メチルフェニル)マレイミド
等の残基が挙げられる。共重合可能な化合物残基として
は、(メタ)アクリル酸及びそのメチル、エチル、プロ
ピル、ブチル、2−ヒドロキシルエチル、2−エチルヘ
キシル、グリシジル等の(メタ)アクリル酸エステル系
化合物等の残基が挙げられる。これらは各々1種又は2
種以上であってもよい。
【0023】共重合体(III)及び共重合体 (IV) は、公
知の塊状重合法、溶液重合法、塊状−懸濁重合法、懸濁
重合法、乳化重合法、乳化−懸濁重合法、乳化−塊状重
合法等によって製造することができる。
【0024】本発明の樹脂組成物は、メチルエチルケト
ン可溶分の還元粘度(30℃、N,N−ジメチルホルム
アミド溶液中)が0.3〜1.2dl/g、好ましくは
0.35〜1.0dl/g、特に好ましくは、0.40〜
0.9dl/gである。分子量の指標である還元粘度が
0.3dl/g未満では耐衝撃性が低下し、1.2dl/g
を越えると加工性が低下する。
【0025】本発明の樹脂組成物は、グラフト共重合体
(I)、グラフト共重合体(II)及び共重合体(III)及
び/又は共重合体(IV)よりなり、組成物中のゴム重合
体含量は5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%
である。この範囲外では、耐衝撃性あるいは加工性が低
下する。ゴム重合体におけるゴム重合体部(A)、
(B)の割合は、体積比(A)/〔(A)+(B)〕が
0.1〜0.5であり、好ましくは0.15〜0.45
である。この範囲外では、光沢と面衝撃強度が充分に発
現しない。
【0026】本発明の樹脂組成物は、グラフト共重合体
(I)、(II)及び共重合体(III)の製造方法によって
異なるが、例えば、これらをラテックス、サスペンジョ
ン、スラリー、溶液、粉末、ビーズ、ペレット等の状態
あるいはこれらの組合せにて混合して製造できる。重合
後のグラフト共重合体ラテックスからポリマー粉末を回
収する場合は通常の方法、例えばラテックスに塩化カル
シウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムのような
アルカリ土類金属の塩、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウ
ムのようなアルカリ金属の塩、塩酸、硫酸、リン酸、酢
酸のような無機酸及び有機酸を添加することによりラテ
ックスを凝固した後、脱水乾燥する方法で実施できる。
またスプレー乾燥法も使用できる。これらの混合物は、
バンバリミキサー、ロールミル、1軸押出し機、2軸押
出し機等公知の溶融混練機にて混練することができる。
【0027】本発明の樹脂組成物は、通常よく知られた
酸化防止剤、熱安定剤、UV吸収剤、顔料、帯電防止
剤、滑剤等を必要に応じて1種又は2種以上組み合わせ
て適宜使用できる。特に、スチレン系樹脂に用いられる
フェノール系、イオウ系の抗酸化剤、ホスファイト系、
ヒンダードアミン系の安定剤、ベンゾフェノン系、ベン
ゾトリアゾール系の紫外線吸収剤及びオルガノポリシロ
キサン、脂肪族炭化水素、高級脂肪酸と高級アルコール
のエステル、高級脂肪酸のアミド又はビスアミド及びそ
の変性体、オリゴアミド、高級脂肪酸の金属塩類等の内
外滑剤等は、本発明の樹脂組成物を成形用樹脂として、
より高性能なものとするために用いることができる。
【0028】フェノール系の安定剤としては、1,1,
3−トリス〔2−メチル−4−ヒドロキシ−5−ter
t−ブチルフェニル−ブタン、n−オクタデシル−3−
(3′,5′−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート〕、テトラキス〔メチレン−
3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート〕メタン、トリエチレングリコ
ール−ビス−〔3−(3−tert−ブチル−5−メチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ペン
タエリスリトール−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t
ert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート〕)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチル
フェノール、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6
−tert−ブチルフェノール)、2,2′−メチレン
ビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノー
ル)、トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−
ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート)などが例示
される。
【0029】イオウ系の安定剤としては、3,3′−チ
オジプロピオン酸、ジアルキル−3,3′−チオジプロ
ピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス(3−ア
ルキルチオプロピオネート)、テトラキス〔メチレン−
3−(アルキルチオ)プロピオネート〕メタン、ビス
〔2−メチル−4(3−アルキル−チオプロピオニルオ
キシ)−5−tert−ブチルフェニル〕スルフィドな
どが例示できる。
【0030】ホスファイト系の安定剤としては、ステア
リルフェニルホスファイト、トリス(モノ,ジ,ノニル
フェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリ
トールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert
−ブチルフェニル)ホスファイト、ジ(2,4−ジ−t
ert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホス
ファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチル
フェニル)4,4−ジフェニレンホスフォナイト、ビス
(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニ
ル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどが例示で
きる。
【0031】ヒンダードアミン系の安定剤としては、コ
ハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−
ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
重縮合物、ポリ〔〔6−(1,1,3,3−テトラメチ
ルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−
ジイル〕〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペ
リジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−
テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕〕、2−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−
ペンタメチル−4−ピペリジル)等が例示される。これ
らの安定剤は、単独でもまた2種以上混合して使用する
こともできる。
【0032】ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系
の紫外線吸収剤としては、2,4−ヒドロキシベンゾフ
ェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノ
ン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノ
ン、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベゾ
トリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2
−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾー
ル、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフ
ェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等が例示され
る。オルガノポリシロキサンとしては、ポリジメチルシ
ロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリメチルフェニ
ルシロキサンなどが例示できる。脂肪族炭化水素として
は、合成パラフィン、ポリエチレンワックス、ポリプロ
ピレンワックスが例示できる。高級脂肪酸と高級アルコ
ールのエステルとしては、モンタン酸のエステル、ステ
アリルステアレート、ベヘネルベヘネートなどが例示で
きる。高級脂肪酸のアミド、ビスアミド及びその変性体
としてはステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン
酸アミド、ステアリン酸のような高級脂肪酸とコハク酸
のようなジカルボン酸とエチレンジアミンのようなジア
ミンから脱水反応により合成されるビスアミドより高い
融点を有する化合物が例示できる。高級脂肪酸の金属塩
としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、
ステアリン酸、オレイン酸のような高級脂肪酸のカルシ
ウム、マグネシウム塩やアルミニウム、カドミウム塩な
どが例示できる。これらの滑剤は、単独でもまた2種以
上混合して使用することもできる。
【0033】また、本発明の樹脂組成物は、難燃性の必
要の度合いにより、ハロゲン系、ホスファイト系の難燃
剤、三酸化アンチモン等のアンチモン化合物、ポリジメ
チルシロキサン等のシリコン化合物やアルミナ等のアル
ミニウム化合物などを配合して使用することもできる。
更に、弾性率等の機械的特性や耐熱性を向上させるため
に、ガラスファイバー、カーボンファイバー等の補強繊
維や、マイカ、タルク、クレー、ガラスビーズ等の充填
剤を使用することもできる。
【0034】
【実施例】以下、本発明を具体的な実施例で示すが、こ
れら実施例は本発明を限定するものではない。以下の記
載において、「部」は重量部を、「%」は重量%を示
す。尚、以下の記載において、略号はそれぞれ下記の物
質を表す。 BMA:ブチルメタクリレート BA :ブチルアクリレート St :スチレン AN :アクリロニトリル MAA:メタクリル酸 tDM:ターシャリ・ドデシルメルカプタン CHP:キュメンハイドロパーオキサイド EDTA:エチレンジアミン四酢酸 αS :α−メチルスチレン PMI:フェニルマレイミド
【0035】実施例1〜15及び比較例1〜18 (1)ゴム重合体部(B)の製造 100L重合機に以下の物質を仕込んだ。 純水 280部(42Kg) 過硫酸カリウム 0.2部 tDM 0.2部 次に、重合機内の空気を真空ポンプで除いた後、以下の
物質を仕込んだ。 オレイン酸ナトリウム 1部 ロジン酸ナトリウム 2部 ブタジエン 100部(15Kg) 系の温度を60℃まで昇温し、重合を開始した。重合は
12時間で終了し、転化率は96%であった(B)。
【0036】(2)酸基含有ラテックス(C)の製造 攪拌機、還流冷却器、窒素導入口、モノマー導入口、温
度計の設置された反応器に、以下の物質を仕込んだ。 純水 200部 ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.3部(C−1) ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.6部(C−2) ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.4部(C−3) ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.3部(C−4) ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.3部(C−5) ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.6部(C−6) ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.5部 反応器を攪拌しながら窒素気流下に70℃まで昇温させ
た。70℃に到達後、表1に示す単量体を連続的に均等
に5時間かけて滴下した。滴下終了後、70℃で1時間
攪拌を続け重合を終了し酸基含有ラテックス(C−1〜
C−6)を得た。
【0037】
【表1】
【0038】(3)ゴム重合体部(A)の製造 上記(1)で得られたゴム重合体(B)のラテックス
に、上記(2)で得られた酸基含有ラテックス(C)を
60℃で、ゴム重合体100部(固形分)に対し3部
(固形分)一括して添加後、攪拌を1時間続けて粒径を
肥大化させ、表2に示すゴム重合体(A)の製造を行っ
た(A─1〜A−6)。
【0039】
【表2】
【0040】(4)グラフト共重合体(I)の製造 攪拌機、還流冷却器、窒素導入口、モノマー導入口、温
度計の設置された反応器に、以下の物質を仕込んだ。 純水 280部 肥大ゴム(固形分) 所定量(表2) ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.3部 EDTA 0.01部 硫酸第一鉄 0.0025部 反応器を攪拌しながら窒素気流下に60℃まで昇温させ
た。60℃に到達後、表3の単量体混合物を連続的に4
時間で滴下した。滴下終了後、60℃で1時間攪拌を続
け、重合を終了し表3に示すグラフト重合体(I−1〜
I−10)の製造を行った。
【0041】
【表3】
【0042】(5)グラフト共重合体(II)の製造 グラフト共重合体(I)と同様にして、表4の仕込み組
成にて製造した(II−1〜II−4)。
【0043】
【表4】
【0044】(6)共重合体(III)の重合 攪拌機、還流冷却器、窒素導入口、モノマー導入口、温
度計の設置された反応器に、以下の物質を仕込んだ。 純水 250部 ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 1.0部 ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.5部 EDTA 0.01部 硫酸第一鉄 0.0025部 反応器を攪拌しながら窒素気流下に65℃まで昇温させ
た。65℃に到達後、表5に示す単量体を連続的に6時
間で滴下した。ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを
重合時間1時間目に0.5部、3時間目に0.5部追加
した。滴下終了後、65℃で1時間攪拌を続け、重合を
終了し、共重合体(III-1〜III-3)を得た。
【0045】
【表5】
【0046】(7)共重合体(IV)の重合 攪拌機、還流冷却器、窒素導入口、モノマー導入口、温
度計の設置された反応器に、以下の物質を仕込んだ。 純水 250部 ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 1.0部 ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.5部 EDTA 0.01部 硫酸第一鉄 0.0025部 反応器を攪拌しながら窒素気流下に65℃まで昇温させ
た。65℃に到達後、表6に示す単量体を連続的に6時
間で滴下した。またジオクチルスルホコハク酸ナトリウ
ムを重合時間1時間目に0.5部、3時間目に0.5部
追加した。滴下終了後、65℃で1時間攪拌を続け、重
合を終了し、共重合体(IV−1〜IV−3)を得た。
【0047】
【表6】
【0048】(8)樹脂組成物の製造 (4)、(5)で製造したグラフト共重合体ラテックス
(I)(II) と、(6)、(7)で製造した共重合体ラ
テックス(III)、(IV)を表7、表8に示す割合で混合
後、フェノール系の安定剤0.5部を添加し、塩化カル
シウム2部を加えて凝固させた。凝固スラリーを脱水乾
燥して樹脂粉末を得た。尚、樹脂組成物中のゴム重合体
の含量は、共重合体(III)使用時は15重量%、共重合
体(IV)使用時は20重量%となるよう、組成比を混合
して調整した。ついで得られた樹脂組成物パウダー10
0部にエチレンビスステアリルアミド1部を配合し、株
式会社タバタ製201ブレンダーで均一にブレンドし
た。更に株式会社タバタ製40m/mの1軸押出機で、
240〜270℃の温度で溶融混練して、樹脂組成物の
ペレットを製造し、各種特性の測定に供した。結果を表
7、8に示す。表7及び8の結果から、実施例1〜15
に代表される本発明の樹脂組成物は、特に表面光沢と面
衝撃強度に優れ、剛性、耐熱性、加工性も良好なことが
明らかである。
【0049】
【表7】
【0050】
【表8】
【0051】尚、表中のTg、分析組成、樹脂組成物の
特性は、それぞれ下記の方法で測定した。 〔酸基含有ラテックス(C)の共重合体のTg〕共重合
体のTgは、「ポリマーハンドブック(POLYMER HANDBO
OK) 」記載のホモポリマーのTgをもとにフォックス
(Fox)式より算出した。 〔共重合体(III) と共重合体(IV)の組成〕製造したラテ
ックスのうち、一部を塩化カルシウムで凝固、脱水乾燥
してパウダー化し、仕込み組成比をそのまま得られた共
重合体の組成とした。この組成比はCHN分析、NMR
分析より得られた共重合体の組成比と一致した。
【0052】〔還元粘度の測定〕樹脂組成物のペレット
を、メチルエチルケトンに溶解して、遠心分離し、樹脂
組成物のメチルエチルケトン可溶分を得た。この可溶分
を取り出し、0.3g/dl濃度のN,N−ジメチルホル
ムアミド溶液として、30℃で還元粘度を測定した。
【0053】〔ゴム重合体部(A)とゴム重合体部
(B)の体積比率〕仕込み組成と重合転化率より(A)
/〔(A+B)〕を特定した。 〔ゴム重合体部の体積平均粒径、体積比率〕樹脂組成物
におけるゴム重合体部(A)、(B)各々の体積平均粒
径、グラフト部(a)、(b)とゴム重合体部(A)、
(B)との体積比率(a)/(A)、(b)/(B)
は、次の方法にて測定した。グラフト重合体(I)のラ
テックスのうち、一部を塩化カルシウムで凝固、脱水乾
燥してパウダー化した。このパウダーをアセトンに溶解
して、遠心分離によりグラフト共重合体以外の可溶分を
除去し、グラフト共重合体部分を得た。グラフト共重合
体部分をアセトン中に分散させ、エポキシ樹脂中にこの
分散液を少量添加し、充分に混合分散した。その後、グ
ラフト共重合体を分散させたエポキシ樹脂を加熱硬化
し、測定用サンプルとした。サンプルを公知の方法(四
酸化オスミニウム染色し、ミクロトームで切出片の透過
型電子顕微鏡観察)で写真撮影した。2万倍及び10万
倍観察の写真について、NIRECO株式会社製LUZ
EX IIDにより画像解析を行い、ゴム重合体部(A)
の体積平均粒径(ゴム重合体は黒く写る)を求めた。次
にゴム重合体(A)とグラフト部(a)(グラフト部は
白く写る)の体積比率(a)/(A)を求めた。グラフ
ト共重合体(I)と同様にして、グラフト共重合体(I
I) を使用し、ゴム重合体(B)の体積平均粒径、ゴム
重合体部(B)とグラフト部(b)の体積比率(b)/
(B)を求めた。
【0054】〔グラフト部(a)、(b)の組成〕グラ
フト部(a)、(b)の組成については、仕込み組成及
び重合転化率より組成を特定した。この特定法での組成
は、グラフト共重合体のメチルエチルケトン不溶分をI
R分析にて、確認した結果と一致した。 〔重合時の転化率〕重合時の転化率は、固形分濃度よ
り、計算した。 〔樹脂組成物の特性〕光沢は株式会社ファナック製10
0B射出成形機を使用し、シリンダー温度270℃、射
出速度25m/sで金型温度30℃、60℃の2種類の
条件で成形した100mm×150mm×厚み2mmの平板試
験片の60°×60°反射板で評価した。耐衝撃性は、
100mm×150mm×厚み3mmの平板試験片の23℃落
錘強度で評価した。評価値は、半数破壊高さ×落錘荷重
=半数破壊エネルギー(kgfm)で示した。耐熱性(HD
T)は、ASTM D−648の18.6kg/cm2 荷重
の熱変形温度で評価した(単位:℃)。
【0055】加工性は、株式会社ファナック製100B
射出成形機を使用し、シリンダー温度250℃、射出圧
力1350kg/cm2 にて、3mm厚みのスパイラル形状の
金型内における樹脂の流動長(単位:mm)で評価した。
これらは、いずれも数値が大きいほど優れていることを
示す。
【0056】
【発明の効果】叙上のとおり、本発明の樹脂組成物は、
特に表面光沢と面衝撃強度に優れ、剛性、耐熱性、加工
性も良好で、家電、雑貨等広汎な分野に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 51/00 LKS C08L 51/00 LKS 51/04 LLB 51/04 LLB 51/06 LLE 51/06 LLE // C08F 279/02 MQP C08F 279/02 MQP

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (I)透過型電顕分析−画像解析法(T
    EM法)による体積平均粒径が250〜800nm、標準
    偏差が50%以下の粒径分布であるゴム重合体部
    (A)、及びゴム重合体部(A)に対する体積比が
    (a)/(A)=0.10〜0.80であるグラフト部
    (a)から構成されるグラフト共重合体、及び(II)T
    EM法による体積平均粒径が60〜160nm、標準偏差
    が40%以下の粒径分布であるゴム重合体部(B)、及
    びゴム重合体部(B)に対する体積比が(b)/(B)
    =0.30〜1.00であるグラフト部(b)から構成
    されるグラフト共重合体、及び(III)シアン化ビニル化
    合物残基15〜60モル%、芳香族ビニル化合物残基4
    0〜85モル%及びこれらと共重合可能な単量体残基0
    〜30モル%(合計100モル%)の組成である共重合
    体、及び/又は、(IV) シアン化ビニル化合物残基15
    〜60モル%、マレイミド化合物残基45モル%以下、
    芳香族ビニル化合物残基40〜80モル%及びこれらと
    共重合可能な単量体残基0〜30モル%(合計100モ
    ル%)の組成である共重合体からなり、 前記ゴム重合体部(A)と前記ゴム重合体部(B)の体
    積比が(A)/(A+B)=0.1〜0.5であり、か
    つ前記ゴム重合体部(A)、(B)が、ジエン系ゴム重
    合体、オレフィン系ゴム重合体及びアクリル系ゴム重合
    体からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体であ
    り、かつ前記ゴム重合体部(A)が、アクリル酸、メタ
    クリル酸、イタコン酸及びクロトン酸からなる群から選
    ばれる少なくとも1種の不飽和酸(c)5〜25重量
    %、アルキル基の炭素数が1〜12の少なくとも1種の
    アルキルアクリレート(d)5〜30重量%、アルキル
    基の炭素数が1〜12の少なくとも1種のアルキルメタ
    クリレート(e)80〜20重量%、上記(c)、
    (d)、(e)と共重合可能な、芳香族ビニル化合物、
    分子中に2つ以上の重合性の官能基を有する化合物、及
    びシアン化ビニル化合物からなる群から選ばれる少なく
    とも1種の単量体(f)0〜40重量%(合計100重
    量%)を重合させることにより調製した酸基含有ラテッ
    クス(C)を使用する凝集肥大法により製造したゴム重
    合体であり、かつ前記グラフト部(a)、(b)がシア
    ン化ビニル化合物残基15〜60モル%、芳香族ビニル
    化合物残基40〜85モル%、及びこれらと共重合可能
    な単量体残基0〜30モル%(合計100モル%)から
    なる組成の重合体であり、かつメチルエチルケトン可溶
    分の還元粘度(30℃、N,N−ジメチルホルムアミド
    溶液中)が0.3〜1.2dl/gであり、かつ前記ゴム
    重合体部(A)と(B)の含量が樹脂組成物中5〜40
    重量%であることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ゴム重合体部(A)とゴム重合体部
    (B)の体積比がA/(A)+(B)=0.15〜0.
    45であり、かつゴム重合体部(A)、(B)とグラフ
    ト部(a)、(b)の体積比がそれぞれ(a)/(A)
    =0.2〜0.7、(b)/(B)=0.35〜0.9
    である請求項1記載の樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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