JP3615320B2 - 耐熱変色性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱変色性樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、とくに耐熱変色性にきわめてすぐれるうえ、耐熱性、加工性、耐衝撃性、剛性などにもすぐれ、たとえば自動車内装材、電子ジャー炊飯器、電子レンジなどの家電製品のハウジング、電話器、ファクシミリなどのOA機器のハウジングなどに好適に使用しうる耐熱変色性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ABS樹脂の耐熱性および加工性を改良することを目的として、ABS樹脂にマレイミド系単量体を共重合させたマレイミド系ABS樹脂の開発が進められてきている。
【0003】
前記マレイミド系ABS樹脂は、高い熱変形温度および良好な加工性を有することから、たとえば自動車内装材、家電製品のハウジング、OA機器のハウジングなどに用いることが試みられている。
【0004】
しかしながら、前記したような自動車内装材や家電製品、OA機器などのハウジングの分野においては、樹脂の成形時の熱変色が問題となっており、前記マレイミド系ABS樹脂についても例外ではない。該熱変色とは、樹脂に熱が加えられることによって、具体的には、成形時に高温下の成形機のシリンダー内で樹脂が滞留することによって、かかる樹脂からなる成形品が黄色ないし茶色に変色する現象である。このような熱変色が起こったばあい、成形品の製品としての価値は、いちじるしく低下する。とくに、前記分野のなかでも、淡色系に着色された成形品が必要とされる分野では、かかる樹脂の熱変色は大きな問題となっている。
【0005】
そこで、従来、前記マレイミド系ABS樹脂の耐熱変色性を改良するために、該マレイミド系ABS樹脂にヒンダードフェノール系化合物およびホスファイト系化合物を添加する方法が提案されている(特開昭62−236844号公報)。
【0006】
しかしながら、前記方法においては、マレイミド系ABS樹脂自身の熱安定性の低下、すなわち、ABS樹脂を構成するアクリロニトリルとマレイミド系単量体とを重合させた際の、アルカリ性であることに基づくポリマー連鎖の熱分解の促進に関する考慮がなされていないため、単に前記ヒンダードフェノール系化合物およびホスファイト系化合物を添加したとしても、該マレイミド系ABS樹脂の耐熱変色性は充分に改良されない。
【0007】
このように、耐熱性および加工性にすぐれるうえ、耐熱変色性にもすぐれた樹脂が未だ見出されていないのが現状であり、このような特性を有する樹脂の開発が待ち望まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、とくに耐熱変色性にきわめてすぐれるうえ、耐熱性、加工性などにもすぐれた樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ジエン系ゴム、オレフィン系ゴムおよびアクリル系ゴムの少なくとも1種のゴム(A)に、シアン化ビニル化合物(b−1)15〜45重量%、芳香族ビニル化合物(b−2)55〜85重量%ならびに前記シアン化ビニル化合物(b−1)および前記芳香族ビニル化合物(b−2)と共重合可能な単量体(b−3)0〜30重量%からなるグラフト成分(B)がグラフト共重合されてなり、グラフト化率10〜70重量%を有するグラフト共重合体(I−1)と、
シアン化ビニル化合物(c−1)10〜40重量%、マレイミド系単量体(c−2)1〜50重量%、芳香族ビニル化合物(c−3)10〜89重量%ならびに前記シアン化ビニル化合物(c−1)、前記マレイミド系単量体(c−2)および前記芳香族ビニル化合物(c−3)と共重合可能な単量体(c−4)0〜30重量%からなり、前記芳香族ビニル化合物(c−3)を49モル%以上含有した単量体混合物(C)を重合させてなるマレイミド系共重合体(I−2)とを含有してなり、
グラフト共重合体(I−1)とマレイミド系共重合体(I−2)との割合[グラフト共重合体(I−1)/マレイミド系共重合体(I−2)(重量比)]が5/95〜90/10であり、メチルエチルケトン可溶分の還元粘度が0.3〜1.2dl/gであるマレイミド系樹脂組成物(I)がpH2〜6.5に調整されてなる耐熱変色性樹脂組成物に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の耐熱変色性樹脂組成物は、前記したように、ジエン系ゴム、オレフィン系ゴムおよびアクリル系ゴムの少なくとも1種のゴム(A)に、シアン化ビニル化合物(b−1)15〜45重量%、芳香族ビニル化合物(b−2)55〜85重量%ならびに前記シアン化ビニル化合物(b−1)および前記芳香族ビニル化合物(b−2)と共重合可能な単量体(b−3)0〜30重量%からなるグラフト成分(B)がグラフト共重合されてなり、グラフト化率10〜70重量%を有するグラフト共重合体(I−1)と、シアン化ビニル化合物(c−1)10〜40重量%、マレイミド系単量体(c−2)1〜50重量%、芳香族ビニル化合物(c−3)10〜89重量%ならびに前記シアン化ビニル化合物(c−1)、前記マレイミド系単量体(c−2)および前記芳香族ビニル化合物(c−3)と共重合可能な単量体(c−4)0〜30重量%からなり、前記芳香族ビニル化合物(c−3)を49モル%以上含有した単量体混合物(C)を重合させてなるマレイミド系共重合体(I−2)とを含有してなり、グラフト共重合体(I−1)とマレイミド系共重合体(I−2)との割合[グラフト共重合体(I−1)/マレイミド系共重合体(I−2)(重量比)]が5/95〜90/10であり、メチルエチルケトン可溶分の還元粘度が0.3〜1.2dl/gであるマレイミド系樹脂組成物(I)がpH2〜6.5に調整されたものである。
【0011】
本発明における大きな特徴の1つは、特定のマレイミド系樹脂組成物が特定のpHを有するように調整されていることにある。
【0012】
本発明者らは、従来問題となっているマレイミド系樹脂の耐熱変色性は、樹脂の構成モノマーの種類、副原料および添加する安定剤を調整するだけでは、所望する程度にまで向上させることが困難であり、その原因は、マレイミド系樹脂自身の酸性度(pH)にあると考え、従来考慮されていなかったマレイミド系樹脂の調製時のpHに着目した。その結果、特定の組成を有するマレイミド系樹脂のpHを、特定範囲内にあるように調整したばあいには、きわめてすぐれた耐熱変色性の向上効果が発現されることが見出されたのである。
【0013】
本発明に用いられるグラフト共重合体(I−1)は、ゴム(A)にグラフト成分(B)がグラフト共重合されたものである。
【0014】
前記ゴム(A)は、最終的にえられる耐熱変色性樹脂組成物に耐衝撃性を付与する成分であり、ジエン系ゴム、オレフィン系ゴムおよびアクリル系ゴムの少なくとも1種のゴムである。
【0015】
前記ジエン系ゴムとしては、たとえばポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブタジエン−アクリル酸エステルゴム、水素化スチレン−ブタジエンゴムなどがあげられる。
【0016】
前記オレフィン系ゴムとしては、たとえばエチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴムなどがあげられる。
【0017】
前記アクリル系ゴムとしては、たとえばポリアクリル酸エステルゴム、エチレン−アクリル酸エステルゴムなどがあげられる。
【0018】
ゴム(A)は、単独でまたは2種以上を混合して用いることができるが、これらのなかでは、耐衝撃性の向上という点から、ジエン系ゴムおよびアクリル系ゴムがとくに好ましい。
【0019】
前記ゴム(A)としては、
アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸およびクロトン酸から選ばれた少なくとも1種の不飽和酸5〜50重量%、
炭素数1〜12のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート50〜95重量%ならびに前記不飽和酸および前記アルキル(メタ)アクリレートと共重合可能な単量体0〜40重量%からなる重合成分を重合させてえられた酸基含有ラテックスを用いて未肥大ゴムを肥大化させてなるゴムであることが、耐衝撃性の向上の点から好ましい。
【0020】
前記未肥大ゴムとしては、たとえば肥大化されていない前記ゴムがあげられる。
【0021】
前記未肥大ゴムを肥大化させるために用いられる酸基含有ラテックスを構成している不飽和酸としては、前記したように、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸およびクロトン酸から選ばれた少なくとも1種が用いられるが、これらのなかでは、とくにメタクリル酸が肥大特性および耐衝撃性の向上の点から好ましい。なお、前記肥大特性とは、肥大時の粒径調整の容易性および肥大時の凝塊物量を示す。
【0022】
前記酸基含有ラテックスの構成成分中における不飽和酸の量は、肥大特性、とくに肥大時の粒経調整の容易性の向上の点から5重量%以上、好ましくは7重量%以上とされることが望ましく、また肥大特性の向上、とくに肥大時の凝塊物量の点から50重量%以下、好ましくは40重量%以下とされることが望ましい。
【0023】
前記酸基含有ラテックスを構成している炭素数1〜12のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、たとえばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどがあげられる。
【0024】
前記酸基含有ラテックスの構成成分における前記アルキル(メタ)アクリレートの量は、肥大特性の向上の点から50重量%以上、好ましくは60重量%以上とされることが望ましく、また同じく肥大特性の向上の点から95重量%以下、好ましくは93重量%以下とされることが望ましい。
【0025】
また、前記不飽和酸および前記アルキル(メタ)アクリレートと共重合可能な単量体としては、たとえばスチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル単量体;ジビニルベンゼン、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレートなどの分子中に2以上の重合性の官能基を有する単量体などがあげられる。
【0026】
前記不飽和酸および前記アルキル(メタ)アクリレートと共重合可能な単量体の量は、肥大特性の向上の点から40重量%以下、好ましくは20重量%以下とされることが望ましい。
【0027】
また、前記未肥大ゴムを酸基含有ラテックスを用いて肥大化させたゴムとして、耐衝撃性、とくに面衝撃強度の向上の点から、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸およびクロトン酸から選ばれた少なくとも1種の不飽和酸5〜25重量%、
炭素数1〜12のアルキル基を有するアルキルアクリレート5〜30重量%、
炭素数1〜12のアルキル基を有するアルキルメタクリレート20〜90重量%ならびに
前記不飽和酸、前記アルキルアクリレートおよび前記アルキルメタクリレートと共重合可能な芳香族ビニル単量体、分子中に2以上の重合性官能基を有する単量体ならびにシアン化ビニル単量体から選ばれた少なくとも1種の単量体0〜40重量%
からなる重合成分を重合させてえられた酸基含有ラテックスを用いて未肥大ゴムを肥大化させてなるゴムは、本発明において好適に使用しうるものである。
【0028】
前記未肥大ゴムとしては、たとえば肥大化されていない前記ゴムがあげられる。
【0029】
前記未肥大ゴムを肥大化させるために用いられる酸基含有ラテックスを構成している不飽和酸としては、前記したように、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸およびクロトン酸から選ばれた少なくとも1種が用いられるが、これらのなかでは、とくにメタクリル酸が肥大特性および耐衝撃性の向上の点から好ましい。
【0030】
前記酸基含有ラテックスの構成成分中における不飽和酸の量は、肥大特性の向上の点から5重量%以上、好ましくは7重量%以上とされることが望ましく、また同じく肥大特性の向上の点から25重量%以下、好ましくは23重量%以下とされることが望ましい。
【0031】
前記酸基含有ラテックスを構成している炭素数1〜12のアルキル基を有するアルキルアクリレートとしては、たとえばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどがあげられる。
【0032】
前記酸基含有ラテックスの構成成分中におけるアルキルアクリレートの量は、肥大特性、とくに肥大時の粒径調整の容易性の向上の点から5重量%以上、好ましくは8重量%以上とされることが望ましく、また肥大特性の向上、とくに肥大時の凝塊物量の点から30重量%以下、好ましくは28重量%以下とされることが望ましい。
【0033】
前記炭素数1〜12のアルキル基を有するアルキルメタクリレートとしては、たとえばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシルなどがあげられる。
【0034】
前記酸基含有ラテックスの構成成分中におけるアルキルメタクリレートの量は、肥大特性の向上の点から20重量%以上、好ましくは45重量%以上とされることが望ましく、また同じく肥大特性の向上の点から90重量%以下、好ましくは85重量%以下とされることが望ましい。
【0035】
前記不飽和酸、前記アルキルアクリレートおよび前記アルキルメタクリレートと共重合可能な芳香族ビニル単量体、分子中に2以上の重合性官能基を有する単量体ならびにシアン化ビニル単量体から選ばれた少なくとも1種の単量体が、前記したように、前記酸基含有ラテックスの構成成分として用いられる。
【0036】
前記芳香族ビニル単量体としては、たとえばスチレン、α−メチルスチレンなどがあげられ、これらの芳香族ビニル単量体は、単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
【0037】
前記分子中に2以上の重合性官能基を有する単量体としては、たとえばジビニルベンゼン、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレートなどがあげられ、これらの単量体は、単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
【0038】
また、前記シアン化ビニル単量体としては、たとえばアクリロニトリル、メタクリロニトリルなどがあげられ、かかるシアン化ビニル単量体は、単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
【0039】
前記不飽和酸、前記アルキルアクリレートおよび前記アルキルメタクリレートと共重合可能な芳香族ビニル単量体、分子中に2以上の重合性官能基を有する単量体ならびにシアン化ビニル単量体から選ばれた少なくとも1種の単量体の前記酸基含有ラテックスの構成成分における量は、肥大特性の向上の点から40重量%以下、好ましくは20重量%以下とされることが望ましい。
【0040】
なお、前記酸基含有ラテックスを用いて前記未肥大ゴムを肥大化させる際には、前記未肥大ゴムとしては、未肥大ゴムラテックスを用いることが好ましい。
【0041】
前記酸基含有ラテックスの使用量(固形分量)は、前記未肥大ゴム(固形分量)100部(重量部、以下同様)に対して0.1〜15部であることが、耐衝撃性および製造安定性の点から好ましい。
【0042】
前記酸基含有ラテックスを用いて前記未肥大ゴムを肥大化させる方法(凝集肥大法)としては、たとえば前記未肥大ゴムラテックスと、前記酸基含有ラテックスとを所定量で混合したのち、40〜80℃程度で1時間程度以上撹拌することにより、えられるゴム(A)を所定の体積平均粒径に肥大化させる方法などがあげられる。
【0043】
前記ゴム(A)の体積平均粒径は、耐衝撃性を充分に付与するためには、100nm以上、好ましくは200nm以上、さらに好ましくは250nm以上であることが望ましく、また充分な光沢を付与し、かつ充分な耐衝撃性を付与するためには、1000nm以下、好ましくは900nm以下、さらに好ましくは800nm以下であることが望ましい。
【0044】
なお、本明細書にいう体積平均粒径とは、ラテックス粒径測定用光学機器(粒径測定機)によってゴムラテックス粒径を測定した値、または固体状態としたゴムを電子顕微鏡で観察し、画像解析処理を行なうことによって測定した値をいう。
【0045】
本発明に用いられるグラフト共重合体(I−1)は、前記ゴム(A)にグラフト成分(B)がグラフト共重合された共重合体である。
【0046】
前記グラフト成分(B)は、シアン化ビニル化合物(b−1)15〜45重量%、芳香族ビニル化合物(b−2)55〜85重量%ならびに該シアン化ビニル化合物(b−1)および芳香族ビニル化合物(b−2)と共重合可能な単量体(b−3)0〜30重量%からなる。
【0047】
前記シアン化ビニル化合物(b−1)としては、たとえばアクリロニトリル、メタクリロニトリルなどがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。これらのなかでは、工業的見地からアクリロニトリルが好ましい。
【0048】
前記シアン化ビニル化合物(b−1)のグラフト成分(B)中における量は、耐熱性を向上させるためには、15重量%以上、好ましくは20重量%以上とされ、また加工性を向上させるためには、45重量%以下、好ましくは40重量%以下とされる。
【0049】
前記芳香族ビニル化合物(b−2)としては、たとえばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ビニルナフタレンなどがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。これらのなかでは、工業的見地からスチレンが好ましい。
【0050】
前記芳香族ビニル化合物(b−2)のグラフト成分(B)中における量は、加工性を向上させるためには、55重量%以上、好ましくは60重量%以上とされ、また耐熱性を向上させるためには、85重量%以下、好ましくは80重量%以下とされる。
【0051】
前記シアン化ビニル化合物(b−1)および前記芳香族ビニル化合物(b−2)と共重合可能な単量体(b−3)としては、たとえば(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸グリシジルなどの(メタ)アクリル酸エステル;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(p−メチルフェニル)マレイミドなどマレイミド系単量体などがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0052】
前記共重合可能な単量体(b−3)のグラフト成分(B)中における量は、耐衝撃性を向上させるためには、30重量%以下、好ましくは20重量%以下とされる。
【0053】
前記ゴム(A)に前記グラフト成分(B)をグラフト共重合させる方法にはとくに限定がなく、たとえば乳化重合法、懸濁重合法、乳化−懸濁重合法、乳化−塊状重合法などの一般的な重合法により、通常の重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤などを用いて行なう方法などを採用することができる。
【0054】
前記重合法のなかでは、ゴム(A)とグラフト成分(B)との体積比率を制御しやすいという点から、乳化重合法が好ましい。
【0055】
また、前記重合開始剤としては、たとえば過硫酸カリウムなどの熱分解開始剤、Fe−還元剤−有機パーオキサイドなどのレドックス系開始剤などを用いることができる。
【0056】
前記連鎖移動剤としては、たとえばt−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、α−メチルスチレンダイマー、テルピノレンなどを、後述するグラフト共重合体(I−1)のグラフト化率が目的とする範囲内となるかぎり、用いることができる。
【0057】
さらに、前記乳化剤としては、たとえばロジン酸カリウム、ロジン酸ソーダなどのロジン酸金属塩、パルミチン酸ソーダ、オレイン酸ソーダなどの高級脂肪酸金属塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、パルミチンスルホン酸ソーダ、ジオクチルスルホコハク酸ソーダなどのスルホン酸金属塩などを用いることができる。
【0058】
グラフト共重合体(I−1)を調製する際には、ゴム(A)にグラフト成分(B)を一括して仕込むかまたは連続的に添加して仕込み、ラジカルを発生させてグラフト共重合を行なえばよい。
【0059】
なお、本発明において、最終的にえられる耐熱変色性樹脂組成物の耐熱変色性の向上効果がとくに大きいという点から、前記グラフト共重合体(I−1)として、グラフト共重合体ラテックスを凝固させてなるスラリーを用いることが好ましく、またかかるグラフト共重合体ラテックスを凝固させてなるスラリーからえられたポリマー粉末を用いることが好ましい。
【0060】
前記ポリマー粉末をうる方法にはとくに限定がなく、たとえばグラフト共重合体ラテックスに、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムなどのアルカリ金属塩、塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸、酢酸などの有機酸を添加し、ラテックスを凝固させてスラリーとしたのち、熱処理したり、脱水乾燥する方法、スプレー乾燥する方法などを採用することができる。
【0061】
かくしてえられるグラフト共重合体(I−1)のグラフト化率は、式:
【0062】
【数1】
Figure 0003615320
【0063】
によって求められる。
【0064】
前記グラフト共重合体(I−1)のグラフト化率は、耐衝撃性の向上の点から、10重量%以上、好ましくは15重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上であり、また加工性の向上の点から、70重量%以下、好ましくは65重量%以下、さらに好ましくは60重量%以下である。
【0065】
なお、前記グラフト共重合体(I−1)を調製する際には、グラフト成分(B)の全量がゴム(A)にグラフト共重合するのではなく、グラフト成分(B)からなる共重合体(B)が副生することがある。このように共重合体(B)が副生したばあいには、該共重合体(B)は、本発明の目的を阻害しない範囲で、グラフト共重合体(I−1)および後述するマレイミド系共重合体(I−2)とともに、マレイミド系樹脂組成物(I)に含有されていてよい。
【0066】
本発明に用いられるマレイミド系共重合体(I−2)は、単量体混合物(C)を重合させたものである。
【0067】
前記単量体混合物(C)は、シアン化ビニル化合物(c−1)10〜40重量%、マレイミド系単量体(c−2)1〜50重量%、芳香族ビニル化合物(c−3)10〜89重量%ならびに該シアン化ビニル化合物(c−1)、マレイミド系単量体(c−2)および芳香族ビニル化合物(c−3)と共重合可能な単量体(c−4)0〜30重量%からなる。
【0068】
前記シアン化ビニル化合物(c−1)としては、たとえばアクリロニトリル、メタクリロニトリルなどがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。これらのなかでは、工業的見地からアクリロニトリルが好ましい。
【0069】
前記シアン化ビニル化合物(c−1)の単量体混合物(C)中における量は、耐衝撃性を向上させるためには、10重量%以上、好ましくは12重量%以上とされ、また加工性を向上させるためには、40重量%以下、好ましくは35重量%以下とされる。
【0070】
前記マレイミド系単量体(c−2)としては、たとえばマレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(p−メチルフェニル)マレイミドなどがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。これらのなかでは、工業的見地からN−フェニルマレイミドが好ましい。
【0071】
前記マレイミド系単量体(c−2)の単量体混合物(C)中における量は、耐熱性を向上させるためには、1重量%以上、好ましくは3重量%以上とされ、また耐衝撃性を向上させるためには、50重量%以下、好ましくは45重量%以下とされる。
【0072】
前記芳香族ビニル化合物(c−3)としては、たとえばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−イソプロピルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ビニルナフタレンなどがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。これらのなかでは、工業的見地からスチレンが好ましい。
【0073】
前記芳香族ビニル化合物(c−3)の単量体混合物(C)中における量は、加工性を向上させるためには、10重量%以上、好ましくは20重量%以上とされ、また耐衝撃性を向上させるためには、89重量%以下、好ましくは75重量%以下とされる。
【0074】
前記シアン化ビニル化合物(c−1)、前記マレイミド系単量体(c−2)および前記芳香族ビニル化合物(c−3)と共重合可能な単量体(c−4)としては、たとえば(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸グリシジルなどの(メタ)アクリル酸エステルなどがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0075】
前記共重合可能な単量体(c−4)の単量体混合物(C)中における量は、耐衝撃性を向上させるためには、30重量%以下、好ましくは20重量%以下とされる。
【0076】
なお、本発明において、マレイミド系共重合体(I−2)を構成する単量体混合物(C)のなかでも、芳香族ビニル化合物(c−3)の量は、耐熱変色性および耐衝撃性を所望の程度まで向上させることを考慮すると、とくに重要であり、かかる芳香族ビニル化合物(c−3)の単量体混合物(C)中における量は、49モル%以上、好ましくは50モル%以上とされる。
【0077】
前記単量体混合物(C)を重合させる方法にはとくに限定がなく、たとえば前記ゴム(A)にグラフト成分(B)をグラフト共重合させてグラフト共重合体(I−1)をうるばあいと同様に、乳化重合法、懸濁重合法、乳化−懸濁重合法、乳化−塊状重合法などの一般的な重合法により、通常の重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤などを用いて行なう方法などを採用することができる。
【0078】
前記重合法のなかでは、単量体混合物(C)中の組成を制御しやすいという点から、乳化重合法が好ましい。
【0079】
また、前記乳化剤としては、たとえばドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキル基の炭素数が12〜20のアルキルスルホン酸ソーダ、ジオクチルスルホコハク酸ソーダなどのスルホン酸塩系乳化剤や、該スルホン酸塩系乳化剤以外のアニオン系乳化剤、ノニオン系乳化剤などを用いることができる。
【0080】
なお、本発明においては、耐金型汚染性がより向上するという点から、前記スルホン酸塩系乳化剤を用いた乳化重合法によってマレイミド系共重合体(I−2)をうることが好ましい。
【0081】
また、前記重合開始剤としては、たとえば過硫酸カリウムなどの熱分解開始剤、Fe−還元剤−有機パーオキサイドなどのレドックス系開始剤などを、後述するマレイミド系樹脂組成物(I)が目的とする酸性度に調整されるかぎり、用いることができる。
【0082】
前記連鎖移動剤としては、たとえばt−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、α−メチルスチレンダイマー、テルピノレンなどを、後述するマレイミド系共重合体(I−2)の還元粘度が所望の範囲内となるかぎり、用いることができる。
【0083】
マレイミド系共重合体(I−2)を調整する際には、単量体混合物(C)を一括して仕込むかまたは連続的に添加して仕込み、ラジカルを発生させて重合を行なえばよい。
【0084】
なお、本発明において、最終的にえられる耐熱変色性樹脂組成物の耐熱変色性の向上効果がとくに大きいという点から、前記マレイミド系共重合体(I−2)として、マレイミド系共重合体ラテックスを凝固させてなるスラリーを用いることが好ましく、またかかるマレイミド系共重合体ラテックスを凝固させてなるスラリーからえられたポリマー粉末を用いることが好ましい。
【0085】
前記ポリマー粉末をうる方法にはとくに限定がなく、たとえば前記グラフト共重合体ラテックスからポリマー粉末をうる際に用いられる方法などを採用することができる。
【0086】
かくしてえられるマレイミド系共重合体(I−2)のメチルエチルケトン可溶分の還元粘度(30℃、N,N−ジメチルホルムアミド溶液中)は、耐衝撃性の向上の点から、0.3dl/g以上、好ましくは0.35dl/g以上、さらに好ましくは0.4dl/g以上であることが望ましく、また加工性の向上の点から、1.2dl/g以下、好ましくは1dl/g以下、さらに好ましくは0.9dl/g以下であることが望ましい。
【0087】
なお、前記マレイミド系共重合体(I−2)の還元粘度は、該マレイミド系共重合体(I−2)の粉末をメチルエチルケトンに溶解させて遠心分離したのち、その可溶分を取出し、0.3g/dl濃度のN,N−ジメチルホルムアミド溶液を調製して30℃にて測定した値をいう。
【0088】
本発明に用いられるマレイミド系樹脂組成物(I)は、前記グラフト共重合体(I−1)と前記マレイミド系共重合体(I−2)とを含有したものである。
【0089】
前記グラフト共重合体(I−1)と前記マレイミド系共重合体(I−2)との割合[グラフト共重合体(I−1)/マレイミド系共重合体(I−2)(重量比)]は、耐衝撃性を向上させるためには、5/95以上、好ましくは10/90以上であり、また加工性を向上させるためには、90/10以下、好ましくは80/20以下である。
【0090】
マレイミド系樹脂組成物(I)をうる方法にはとくに限定がなく、たとえば所望量のグラフト共重合体(I−1)およびマレイミド系共重合体(I−2)を、たとえばバンバリーミキサー、ロールミル、一軸押出機、二軸押出機などの溶融混練機に供給し、撹拌混合する方法などを採用することができる。
【0091】
なお、マレイミド系樹脂組成物(I)をうるには、別々に調製した、たとえばラテックス、ポリマー粉末などのグラフト共重合体(I−1)およびマレイミド系共重合体(I−2)を前記のようにして撹拌混合すればよいが、かかるグラフト共重合体(I−1)およびマレイミド系共重合体(I−2)を同一の系内で同時に調製することも可能である。
【0092】
かくしてえられるマレイミド系樹脂組成物(I)のメチルエチルケトン可溶分の還元粘度(30℃、N,N−ジメチルホルムアミド溶液中)は、耐衝撃性の向上の点から、0.3dl/g以上、好ましくは0.35dl/g以上、さらに好ましくは0.4dl/g以上であり、また加工性の向上から、1.2dl/g以下、好ましくは1dl/g以下、さらに好ましくは0.9dl/g以下である。
【0093】
なお、前記マレイミド系樹脂組成物(I)の還元粘度は、該マレイミド系樹脂組成物(I)をメチルエチルケトンに溶解させて遠心分離したのち、その可溶分を取出し、0.3g/dl濃度のN,N−ジメチルホルムアミド溶液を調製して30℃にて測定した値をいう。
【0094】
また、前記マレイミド系樹脂組成物(I)は、アルカリ性または中性であるが、たとえばグラフト共重合体(I−1)およびマレイミド系共重合体(I−2)のラテックスやスラリーの機械的安定性、スケール発生の抑制などの製造安定性を考慮すると、pH7以上、好ましくはpH7.5以上であることが望ましく、また取扱い性を考慮すると、pH12以下であることが望ましい。
【0095】
なお、本明細書において、pHは、ガラス電極式水素イオン濃度計(pHメーター、(株)堀場製作所製、M−8)にて23℃で測定した値をいう。また、被測定物が粉末のばあいは、純水100gに粉末50gを浸漬させたもののpHを測定した。
【0096】
本発明の耐熱変色性樹脂組成物は、前記マレイミド系樹脂組成物(I)のpHを2〜6.5に調整してえられるものである。
【0097】
前記マレイミド系樹脂組成物(I)のpHを調整する方法にはとくに限定がないが、たとえば該マレイミド系樹脂組成物(I)に酸性物質(II)を配合する方法などを採用することができる。
【0098】
前記酸性物質(II)の代表例としては、たとえば塩酸、硫酸、硝酸、炭酸、リン酸、亜リン酸などの無機酸;酢酸、安息香酸などの式:RCOOH(式中、Rはアルキル基または芳香族基を示す)で表わされる化合物、シュウ酸、酒石酸などのカルボン酸、式:RSOH(式中、Rは前記と同じ)で表わされる化合物などのスルホン酸、式:RSOH(式中、Rは前記と同じ)で表わされる化合物などのスルフィン酸、フェノールなどの式:ArOH(式中、Arは芳香族基を示す)で表わされる化合物などのフェノール類などの有機酸などがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0099】
たとえば前記例示した酸性物質(II)は、いずれもマレイミド系樹脂組成物(I)のpHを所望の値に調整することができ、えられる耐熱変色性樹脂組成物にすぐれた耐熱変色性が付与されるが、これらのなかでも、とくに無機酸を用いたばあいには、耐熱変色性の向上効果がより大きいので、好ましい。
【0100】
前記酸性物質(II)の使用量は、前記マレイミド系樹脂組成物(I)が所望のpHに調整されるかぎりとくに限定がなく、用いる酸性物質(II)の種類(電離定数)によっても異なるが、耐熱変色性の向上効果および耐熱性、耐衝撃性などの低下の抑制を考慮すると、マレイミド系樹脂組成物(I)100部に対して0.001〜5部程度、好ましくは0.005〜2.5部程度、さらに好ましくは0.01〜2部程度となるように調整することが望ましい。
【0101】
マレイミド系樹脂組成物(I)に酸性物質(II)を配合する方法にはとくに限定がない。たとえばマレイミド系樹脂組成物(I)を構成するグラフト共重合体(I−1)およびマレイミド系共重合体(I−2)がそれぞれラテックスであるばあい、かかるラテックスの混合物に酸性物質(II)を配合してもよく、該グラフト共重合体(I−1)およびマレイミド系共重合体(I−2)がそれぞれ前記ラテックスを凝固させてなるスラリーであるばあい、かかるスラリーの混合物に酸性物質(II)を配合してもよく、また該グラフト共重合体(I−1)およびマレイミド系共重合体(I−2)がそれぞれ前記スラリーからえられたポリマー粉末であるばあい、かかるポリマー粉末の混合物に酸性物質(II)を配合してもよい。なお、これらのなかでは、えられる耐熱変色性樹脂組成物に付与される耐熱変色性の向上効果がとくに大きいという点から、ラテックスまたはスラリーの混合物に酸性物質(II)を配合することがとくに好ましい。
【0102】
なお、前記マレイミド系樹脂組成物(I)に酸性物質(II)を配合してpHを調整し、耐熱変色性樹脂組成物をうるには、たとえばバンバリーミキサー、ロールミル、一軸押出機、二軸押出機などの溶融混練機などを用い、適宜温度、時間などを調整して各成分を混練するなどすればよい。
【0103】
かくしてえられる本発明の耐熱変色性樹脂組成物は、そのpHが2〜6.5であるが、耐衝撃性の低下防止および取扱いやすさ(安全性)を考慮すると、そのpHが2.5以上であることが好ましく、また耐熱変色性の向上効果を考慮すると、そのpHが6以下であることが好ましい。
【0104】
なお、本発明の耐熱変色性樹脂組成物には、必要に応じて、かかる耐熱変色性樹脂組成物の成形用樹脂組成物としての性能をより高めるために、本発明の目的を阻害しないかぎり、種々の添加剤を、適宜その使用量を調整して配合することができる。
【0105】
前記添加剤の代表例としては、たとえば抗酸化剤、安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、難燃剤、補強剤、充填剤、顔料、帯電防止剤などがあげられる。
【0106】
前記抗酸化剤の代表例としては、たとえば1,1,3−トリス[2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニルブタン、n−オクタデシル−3−(3´−5´−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3(3´,5´−ジ−t−ブチル−4´−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2´−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレートなどのフェノール系抗酸化剤;3,3´−チオジプロピオン酸、ジアルキル−3,3´−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス(3−アルキルチオプロピオネート)、テトラキス[メチレン−3−(アルキルチオ)プロピオネート]メタン、ビス[2−メチル−4(3−アルキル−チオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル]スルフィドなどのイオウ系抗酸化剤などがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0107】
前記安定剤の代表例としては、たとえばコハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル]、[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルイミノ)ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]]2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)などのヒンダードアミン系安定剤;ステアリルフェニルホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4−ジフェニレンホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイトなどのホスファイト系安定剤などがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0108】
前記紫外線吸収剤の代表例としては、たとえば2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系紫外線吸収剤;2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤などがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0109】
前記滑剤の代表例としては、たとえばポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンなどのオルガノポリシロキサン;合成パラフィン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどの脂肪族炭化水素;モンタン酸のエステル、ステアリルステアレート、ベヘネルベヘネートなどの高級脂肪酸と高級アルコールとのエステル;ステアリルアミド、エチレンビスステアリルアミドなどの、コハク酸などのジカルボン酸とエチレンジアミンなどのジアミンとステアリン酸などの高級カルボン酸から脱水反応によってえられる高級脂肪酸のアミドやビスアミドなどの高融点アミド系滑剤;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などの高級脂肪酸のカルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、カドミウム塩などの金属塩などがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0110】
なお、前記滑剤の量は、えられる耐熱変色性樹脂組成物の耐衝撃性および耐熱性を考慮すると、前記マレイミド系樹脂組成物(I)100部に対して5部程度以下であることが好ましい。
【0111】
前記難燃剤の代表例としては、たとえばハロゲン系難燃剤;ホスファイト系難燃剤;三酸化アンチモンなどのアンチモン化合物;ポリジメチルシロキサンなどのシリコン含有化合物;アルミナなどのアルミニウム化合物などがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0112】
前記補強剤の代表例としては、たとえばガラスファイバー、カーボンファイバーなどの補強繊維などがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0113】
前記充填剤の代表例としては、たとえばマイカ、タルク、クレー、ガラスビーズなどがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0114】
さらに、本発明の耐熱変色性樹脂組成物には、前記添加剤のほかにも、たとえば加工性、耐熱性、剛性などの物性を所望の程度に調整することを目的として、たとえばポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−α−メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル−α−メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル−メチルメタクリレート−α−メチルスチレン共重合体、スチレン−マレイミド共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−メチルメタクリレート共重合体などのスチレン系樹脂を配合することができる。
【0115】
本発明の耐熱変色性樹脂組成物は、とくに耐熱変色性にきわめてすぐれるうえ、耐熱性、加工性、耐衝撃性、剛性などにもすぐれたものであり、たとえば射出成形法、押出成形法、圧縮成形法などの通常の成形法により、所定形状に成形することができ、えられた成形品は、たとえば自動車用内装材、家電製品やOA機器などのハウジングなどに好適に用いられる。
【0116】
【実施例】
つぎに、本発明の耐熱変色性樹脂組成物を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0117】
調製例1(ゴム(A)(ジエン系ゴム)の調製)
第一段階として、未肥大ジエン系ゴムをつぎのようにして調製した。
【0118】
100リットル容の重合機に純水34500g、過硫酸カリウム30gおよびt−ドデシルメルカプタン30gを仕込んだ。
【0119】
つぎに重合機内の空気を真空ポンプで100mmHg以下になるまで除いたのち、オレイン酸ナトリウム75g、ロジン酸ナトリウム300gおよびブタジエン15000gを仕込み、系の温度を60℃にまで昇温し、重合を開始させた。重合は、25時間で終了し、そのときの重合転化率は96重量%であった。
【0120】
えられた未肥大ジエン系ゴムラテックス中の未肥大ジエン系ゴム粒子の体積平均粒径は85nmであった。
【0121】
なお、本明細書において、重合転化率は、ガスクロマトグラフィによって求め、また体積平均粒径は、パシフィックサイエンス社製のナイコンプ粒径測定機(品番:370)を用いて測定した。
【0122】
つぎに、第二段階として、えられた未肥大ジエン系ゴムからジエン系ゴムを凝集肥大化させるために必要な酸基含有ラテックスをつぎのようにして製造した。
【0123】
撹拌機、還流冷却器、チッ素ガス導入口、モノマー導入口および温度計が設置された8リットル容の反応器内に、純水4000g、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム12g、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート10g、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.2gおよび硫酸第一鉄0.05gを仕込んだ。
【0124】
反応器内を撹拌しながらチッ素ガス気流下で70℃にまで昇温させたのち、メタクリル酸ブチル500g、アクリル酸ブチル100g、t−ドデシルメルカプタン2gおよびクメンハイドロパーオキサイド3gの単量体混合物を2時間かけて滴下させ、さらにメタクリル酸ブチル1000g、アクリル酸ブチル80g、メタクリル酸320g、t−ドデシルメルカプタン10gおよびクメンハイドロパーオキサイド3gを4時間かけて滴下させた。滴下終了後、70℃で1時間撹拌を続け、重合を終了し、酸基含有ラテックスをえた。その重合転化率は99重量%であった。
【0125】
つぎに、第三段階として、前記未肥大ジエン系ゴムラテックス2000g(固形分量)に前記酸基含有ラテックス70g(固形分量)を60℃で添加したのち、撹拌を1時間続けて前記未肥大化ジエン系ゴムを肥大化させ、ジエン系ゴム(A−I)をえた。
【0126】
えられたジエン系ゴム(A−I)に含まれた粒子の体積平均粒径は、450nmであった。
【0127】
調製例2(ゴム(A)(ジエン系ゴム)の調製)
調製例1でえられた未肥大ジエン系ゴムラテックス2000g(固形分量)に調製例1でえられた酸基含有ラテックス40g(固形分量)を60℃で添加したのち、撹拌を1時間続けて前記未肥大ジエン系ゴムを肥大化させ、ジエン系ゴム(A−II)をえた。ジエン系ゴム(A−II)に含まれた粒子の体積平均粒径は、620nmであった。
【0128】
製造例1(グラフト共重合体(I−1)の製造)
撹拌機、還流冷却器、チッ素ガス導入口、モノマー導入口および温度計が設置された8リットル容の反応器内に、表1に示すように、純水5600g、ジエン系ゴム(A−I)(固形分量)1300g、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート6g、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩2gおよび硫酸第一鉄0.05gを仕込んだ。
【0129】
反応器内を撹拌しながらチッ素ガス気流下で60℃にまで昇温させたのち、アクリロニトリル220g、スチレン480gおよびクメンハイドロパーオキサイド4gの混合物を連続的に5時間で滴下させた。
【0130】
滴下終了後、60℃で2時間撹拌を続け、重合を終了し、グラフト共重合体(I−1−I)のラテックスをえた。
【0131】
えられたグラフト共重合体(I−1−I)の重合転化率およびグラフト化率を以下の方法にしたがって調べた。その結果、重合転化率は98重量%、グラフト化率は35重量%であった。
【0132】
(重合転化率)
えられたグラフト共重合体(I−1)の重合転化率は、ガスクロマトグラフィーにより求めた。
【0133】
(グラフト化率)
グラフト共重合体(I−1)のパウダー1gをメチルエチルケトン100mlに溶解させたのち、えられた溶液を遠心分離機でメチルエチルケトンの可溶分(共重合体(B))とその不溶分(グラフト共重合体(I−1))とに分離した。
【0134】
つぎに、メチルエチルケトンの可溶分にメタノールを添加し、共重合体(B)を沈殿させて取り出した。
【0135】
つぎに、不溶分(グラフト共重合体(I−1))量および共重合体(B)量にもとづいて、前記式にしたがってグラフト化率を求めた。
【0136】
なお、製造例1で副生した共重合体(B)を、以下、共重合体(B−I)という。
【0137】
また、グラフト化率を求める際に分離されたグラフト共重合体(I−1−I)と共重合体(B−I)との重量比[(グラフト共重合体(I−1−I)/共重合体(B−I)]を調べたところ、88/12であった。
【0138】
製造例2(グラフト共重合体(I−1)の製造)
製造例1において、ジエン系ゴム(A−I)(固形分量)1300gのかわりにジエン系ゴム(A−II)(固形分量)1300gを用いたほかは、製造例1と同様にしてグラフト共重合体(I−1−II)のラテックスをえた。
【0139】
えられたグラフト共重合体(I−1−II)の重合転化率、グラフト化率およびグラフト共重合体(I−1−II)と副生した共重合体(B−II)との重量比を製造例1と同様にして調べた。その結果、重合転化率は98重量%、グラフト化率は32重量%、重量比は86/14であった。
【0140】
製造例3(グラフト共重合体(I−1)の製造)
製造例1において、ジエン系ゴム(A−I)(固形分量)1300gのかわりにジエン系ゴム(日本ゼオン(株)製、Nipol LX111NF、体積平均粒径350nm)(固形分量)1300gを用いたほかは、製造例1と同様にしてグラフト共重合体(I−1−III)のラテックスをえた。
【0141】
えられたグラフト共重合体(I−1−III)の重合転化率、グラフト化率およびグラフト共重合体(I−1−III)と副生した共重合体(B−III)との重量比を製造例1と同様にして調べた。その結果、重合転化率は98重量%、グラフト化率は29重量%、重量比は84/16であった。
【0142】
製造例4(マレイミド系共重合体(I−2)の製造)
撹拌機、還流冷却器、チッ素ガス導入口、モノマー導入口および温度計が設置された8リットル容の反応器内に、純水5000g、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム20g、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート10g、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.2gおよび硫酸第一鉄0.05gを仕込んだ。
【0143】
反応器内を撹拌しながらチッ素ガス気流下で65℃にまで昇温させたのち、N−フェニルマレイミド300g、アクリロニトリル480g、スチレン1220g(単量体混合物中、52モル%)、t−ドデシルメルカプタン7gおよびクメンハイドロパーオキサイド6gの混合物を連続的に7時間で滴下させた。またジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを重合から1時間後に10g、3時間後に10g添加した。滴下終了後、65℃で1時間撹拌を続け、重合を終了し、マレイミド系共重合体(I−2−I)のラテックスをえた。
【0144】
つぎに、えられたマレイミド系共重合体(I−2−I)の重合転化率を製造例1と同様にして調べた。その結果、99重量%であった。
【0145】
また、マレイミド系共重合体(I−2−I)のメチルエチルケトン可溶分の還元粘度(30℃、N,N−ジメチルホルムアミド溶液中)を以下の方法にしたがって調べた。その結果、0.61dl/gであった。
【0146】
(還元粘度)
マレイミド系共重合体(I−2)の粉末1gをメチルエチルケトン100mlに溶解させ、えられた溶液を遠心分離機で遠心分離させたのち、メチルエチルケトンの可溶分を取出し、これをN,N−ジメチルホルムアミドに加えて0.3g/dl濃度のN,N−ジメチルホルムアミド溶液を調製した。
【0147】
つぎに、前記N,N−ジメチルホルムアミド溶液を用い、30℃で毛細管粘度自動計測装置((株)柴山科学器械製作所製、SS−300−LC)にてその還元粘度を測定した。
【0148】
製造例5(マレイミド系共重合体(I−2)の製造)
製造例4において、N−フェニルマレイミドの量を300gから600gに、アクリロニトリルの量を480gから300gに、およびスチレンの量を1220gから1110g(単量体混合物中、54モル%)にそれぞれ変更したほかは、製造例4と同様にしてマレイミド系共重合体(I−2−II)のラテックスをえた。
【0149】
えられたマレイミド系共重合体(I−2−II)の重合転化率および還元粘度を製造例4と同様にして調べた。その結果、重合転化率は99重量%、還元粘度は0.63dl/gであった。
【0150】
製造例6(マレイミド系共重合体(I−2)の製造)
製造例4において、N−フェニルマレイミドの量を300gから100gに、アクリロニトリルの量を480gから500gに、スチレンの量を1220gから1400g(単量体混合物中、57モル%)に、およびt−ドデシルメルカプタンの量を7gから10gにそれぞれ変更したほかは、製造例4と同様にしてマレイミド系共重合体(I−2−III)のラテックスをえた。
【0151】
えられたマレイミド系共重合体(I−2−III)の重合転化率および還元粘度を製造例4と同様にして調べた。その結果、重合転化率は98重量%、還元粘度は0.45dl/gであった。
【0152】
製造例7(マレイミド系共重合体(I−2)の製造)
製造例4において、アクリロニトリルの量を480gから560gに、およびスチレンの量を1220gから1140g(単量体混合物中、47モル%)にそれぞれ変更したほかは、製造例4と同様にしてマレイミド系共重合体(I−2−IV)のラテックスをえた。
【0153】
えられたマレイミド系共重合体(I−2−IV)の重合転化率および還元粘度を製造例4と同様にして調べた。その結果、重合転化率は99重量%、還元粘度は0.62dl/gであった。
【0154】
実施例1〜7および比較例1〜8
製造例1〜3でえられたグラフト共重合体(I−1−I)〜(I−1−III)のラテックスと、製造例4〜7でえられたマレイミド系共重合体(I−2−I)〜(I−2−IV)のラテックスとを表1および表2に示す割合で撹拌混合したのち、n−オクタデシル−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(フェノール系抗酸化剤、旭電化(株)製、AO−50)0.5部を添加し、充分に撹拌混合して混合ラテックスをえた。
【0155】
えられた混合ラテックス(マレイミド系樹脂組成物(I)のラテックス)のメチルエチルケトン可溶分の還元粘度(30℃、N,N−ジメチルホルムアミド溶液中)およびpHを以下の方法にしたがって調べた。その結果を表1および表2に示す。
【0156】
(還元粘度)
混合ラテックス1gをメチルエチルケトン100mlに溶解させ、えられた溶液を遠心分離機で遠心分離させたのち、メチルエチルケトンの可溶分を取出し、これをN,N−ジメチルホルムアミドに加えて0.3g/dl濃度のN,N−ジメチルホルムアミド溶液を調製した。
【0157】
つぎに、前記N,N−ジメチルホルムアミド溶液を用い、30℃で前記マレイミド系共重合体と同様にしてその還元粘度を測定した。
【0158】
(pH)
ガラス電極式水素イオン濃度計(pHメーター、(株)堀場製作所製、M−8)を用い、23℃でのpHを測定した。
【0159】
つぎに、前記混合ラテックスに塩化カルシウム2部を添加して凝固させ、凝固スラリーをえた。
【0160】
前記凝固スラリーに表1および表2に示す酸性物質(II)を添加したのち、110℃で熱処理し、脱水乾燥させて耐熱変色性樹脂組成物の粉末をえた。
【0161】
えられた耐熱変色性樹脂組成物の粉末50gを純水100gに浸漬させたのち、前記混合ラテックスのpHの測定に用いたものと同じガラス電極式水素イオン濃度計にて23℃でのpHを測定した。その結果を表1および表2に示す。
【0162】
つぎに、えられた耐熱変色性樹脂組成物の粉末100部にエチレンビスステアリルアミド1部を添加し、ブレンダー(田端機械工業(株)製、201)にて室温で均一な組成となるように混合して混合物をえた。
【0163】
さらに、40m/mの一軸押出機(田端機械工業(株)製、40M/M VENT TYPE)に前記混合物を入れて270℃で溶融混練したのち、押出して耐熱変色性樹脂組成物のペレット(2mmφ×5mm(平均))をえた。
【0164】
また、えられた耐熱変色性樹脂組成物を射出成形機((株)ファナック製、FAS100B)に供給し、シリンダー温度を270℃に設定して加熱したのち、テストピース(ASTM規格サイズ)を成形した。
【0165】
つぎに、えられたペレットまたはテストピースを用い、耐熱変色性樹脂組成物の物性として耐熱変色性、耐衝撃性、引張強度、曲げ弾性率、耐熱性および流動性を調べた。その結果を表1および表2に示す。
【0166】
(耐熱変色性)
射出成形機((株)ファナック製、FAS100B)に、えられた耐熱変色性樹脂組成物のペレットを供給し、シリンダー温度を290℃に設定してダンベル成形品(ASTM規格1号ダンベル)を射出成形したのち、10分間滞留後のダンベル成形品の変色の度合いを変色差(ΔE値)にて評価した。なお、かかるΔE値(単位なし)は、色差計(日本電色工業(株)製、Σ80)にて測定した。
【0167】
(耐衝撃性)
テストピースのアイゾット衝撃強度(kg・cm/cm)をASTM D−256(ノッチ有、1/4インチ厚さ)に準じて23℃で測定した。
【0168】
(引張強度)
ASTM D638に準じて1号ダンベルを用いて23℃におけるテストピースの引張強度(kg/cm)を測定した。
【0169】
(曲げ弾性率)
ASTM D790に準じて23℃でテストピースの曲げ弾性率(kg/cm)を測定した。
【0170】
(耐熱性)
ASTM D648に準じて18.6kg/cm荷重におけるテストピースの熱変形温度(℃)を測定した。
【0171】
(流動性)
射出成形機((株)ファナック製、FAS100B)に、えられた耐熱変色性樹脂組成物のペレットを供給し、シリンダー温度を250℃に設定し、射出圧力1350kg/cmにて、3mm厚さのスパイラル形状の金型内における樹脂の流動長(mm)を測定した。
【0172】
なお、前記物性のなかで、耐熱変色性については、ΔE値が小さいほど耐熱変色性にすぐれていることを示し、それ以外の物性については、いずれも測定値が大きいほど各物性にすぐれていることを示す。
【0173】
実施例8〜9および比較例9
製造例1でえられたグラフト共重合体(I−1−I)のラテックスと、製造例4でえられたマレイミド系共重合体(I−2−I)のラテックスとを表1および表2に示す割合で撹拌混合したのち、n−オクタデシル−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(フェノール系抗酸化剤、旭電化(株)製、AO−50)0.5部を添加し、充分に撹拌混合して混合ラテックスをえた。
【0174】
えられた混合ラテックス(マレイミド系樹脂組成物(I)のラテックス)のメチルエチルケトン可溶分の還元粘度(30℃、N,N−ジメチルホルムアミド溶液中)およびpHを実施例1〜7と同様にして調べた。その結果を表1および表2に示す。
【0175】
つぎに、前記混合ラテックスに塩化カルシウム2部を添加して凝固させ、凝固スラリーをえた。この凝固スラリーを110℃で熱処理し、脱水乾燥させてマレイミド系樹脂組成物(I)の粉末をえた。
【0176】
前記マレイミド系樹脂組成物(I)の粉末100部に、表1および表2に示す酸性物質(II)およびエチレンビスステアリルアミド1部を添加し、ブレンダー(田端機械工業(株)製、201)にて室温で均一な組成となるように混合して耐熱変色性樹脂組成物をえた。
【0177】
えられた耐熱変色性樹脂組成物のpHを実施例1〜7と同様にして調べた。その結果を表1および表2に示す。
【0178】
つぎに、40m/mの一軸押出機(田端機械工業(株)製、40M/M VENT TYPE)に前記耐熱変色性樹脂組成物を入れて270℃で溶融混練したのち、押出して耐熱変色性樹脂組成物のペレット(2mmφ×5mm(平均))をえた。
【0179】
また、えられた耐熱変色性樹脂組成物から、実施例1〜7と同様にしてテストピース(ASTM規格サイズ)を成形した。
【0180】
つぎに、えられたペレットまたはテストピースを用い、実施例1〜7と同様にして耐熱変色性樹脂組成物の物性を調べた。その結果を表1および表2に示す。
【0181】
なお、表1および表2に示すグラフト共重合体(I−1−I)、(I−1−II)、(I−1−III)の量は、それぞれ副生した共重合体(B−I)、(B−II)、(B−III)の量を含んだ値である。
【0182】
【表1】
Figure 0003615320
【0183】
【表2】
Figure 0003615320
【0184】
表1および表2に示された結果から、実施例1〜9でえられた本発明の耐熱変色性樹脂組成物は、比較例1〜9でえられた樹脂組成物と比べて、いずれもとくに耐熱変色性にすぐれたものであることがわかる。さらに、実施例1〜9でえられた耐熱変色性樹脂組成物は、前記耐熱変色性のほかにも、耐衝撃性、剛性、耐熱性および加工性にも同時にすぐれたものであることがわかる。
【0185】
【発明の効果】
本発明の耐熱変色性樹脂組成物は、とくに耐熱変色性にきわめてすぐれるうえ、耐熱性、加工性、耐衝撃性、剛性などにも同時にすぐれるので、たとえば自動車内装材、家電製品、OA機器などのハウジングなどに好適に使用することができる。

Claims (8)

  1. ジエン系ゴム、オレフィン系ゴムおよびアクリル系ゴムの少なくとも1種のゴム(A)に、シアン化ビニル化合物(b−1)15〜45重量%、芳香族ビニル化合物(b−2)55〜85重量%ならびに前記シアン化ビニル化合物(b−1)および前記芳香族ビニル化合物(b−2)と共重合可能な単量体(b−3)0〜30重量%からなるグラフト成分(B)がグラフト共重合されてなり、グラフト化率10〜70重量%を有するグラフト共重合体(I−1)と、
    シアン化ビニル化合物(c−1)10〜40重量%、マレイミド系単量体(c−2)1〜50重量%、芳香族ビニル化合物(c−3)10〜89重量%ならびに前記シアン化ビニル化合物(c−1)、前記マレイミド系単量体(c−2)および前記芳香族ビニル化合物(c−3)と共重合可能な単量体(c−4)0〜30重量%からなり、前記芳香族ビニル化合物(c−3)を49モル%以上含有した単量体混合物(C)を重合させてなるマレイミド系共重合体(I−2)とを含有してなり、
    グラフト共重合体(I−1)とマレイミド系共重合体(I−2)との割合[グラフト共重合体(I−1)/マレイミド系共重合体(I−2)(重量比)]が5/95〜90/10であり、メチルエチルケトン可溶分の還元粘度が0.3〜1.2dl/gであるマレイミド系樹脂組成物(I)が
    pH2〜6.5に調整されてなる耐熱変色性樹脂組成物。
  2. ゴム(A)が
    アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸およびクロトン酸から選ばれた少なくとも1種の不飽和酸5〜50重量%、
    炭酸数1〜12のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート50〜95重量%ならびに
    前記不飽和酸および前記アルキル(メタ)アクリレートと共重合可能な単量体0〜40重量%
    からなる重合成分を重合させてえられた酸基含有ラテックスを用いて未肥大ゴムを肥大化させてなり、体積平均粒径100〜1000nmを有するゴムである請求項1記載の耐熱変色性樹脂組成物。
  3. ゴム(A)が
    アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸およびクロトン酸から選ばれた少なくとも1種の不飽和酸5〜25重量%、
    炭素数1〜12のアルキル基を有するアルキルアクリレート5〜30重量%、
    炭素数1〜12のアルキル基を有するアルキルメタクリレート20〜90重量%ならびに
    前記不飽和酸、前記アルキルアクリレートおよび前記アルキルメタクリレートと共重合可能な芳香族ビニル単量体、分子中に2以上の重合性官能基を有する単量体ならびにシアン化ビニル単量体から選ばれた少なくとも1種の単量体0〜40重量%
    からなる重合成分を重合させてえられた酸基含有ラテックスを用いて未肥大ゴムを肥大化させてなり、体積平均粒径100〜1000nmを有するゴムである請求項1記載の耐熱変色性樹脂組成物。
  4. グラフト共重合体(I−1)がグラフト共重合体ラテックスを凝固させてなるスラリーである請求項1、2または3記載の耐熱変色性樹脂組成物。
  5. グラフト共重合体(I−1)がグラフト共重合体ラテックスを凝固させてなるスラリーからえられたポリマー粉末である請求項4記載の耐熱変色性樹脂組成物。
  6. マレイミド系共重合体(I−2)がスルホン酸塩系乳化剤を用いた乳化重合法によってえられたものである請求項1、2、3、4または5記載の耐熱変色性樹脂組成物。
  7. マレイミド系共重合体(I−2)がマレイミド系共重合体ラテックスを凝固させてなるスラリーである請求項1、2、3、4、5または6記載の耐熱変色性樹脂組成物。
  8. マレイミド系共重合体(I−2)がマレイミド系共重合体ラテックスを凝固させてなるスラリーからえられたポリマー粉末である請求項7記載の耐熱変色性樹脂組成物。
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