JP2007277435A - 難燃性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐熱性、滞留熱安定性に優れた難燃性熱可塑性樹脂組成物の提供。
【解決手段】ゴム質重合体の存在下に芳香族ビニル単量体およびこれと共重合可能な他の単量体を重合して得られるグラフト共重合体(a−1)または該グラフト共重合体(a−1)と芳香族ビニル単量体およびこれと共重合可能な他の単量体を重合して得られる共重合体(a−2)からなる樹脂組成物(A)100重量部、リン酸エステル系難燃剤(B)3〜12重量部および樹脂組成物(A)におけるマトリックス部分のガラス転移温度を実質的に変化させない滑剤(C)0.1〜1重量部を配合してなる難燃性熱可塑性樹脂組成物であって、かつ樹脂組成物(A)中に占めるアルカリ金属の含有量が0.01重量%以下である難燃性熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は耐熱性、滞留熱安定性に優れた難燃性熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、ABS樹脂などの名称にて製造・販売されているゴム強化スチレン系樹脂は、外観、機械的特性ならびに成形加工性に優れ、車両部品、電気製品など種々の分野にて利用されている。しかしながら、このようなゴム強化スチレン系樹脂は、可燃性材料であるため、難燃性、例えば米国アンダーライターズ ラボラトリーズ(UL)規格94に基づく自己消火性(V−O、V−1、V−2クラス)を必要とする電気・電子機器への使用にあたっては制約を受けている。
難燃性付与のために使用される、テトラブロモビスフェノールA(TBA)、デカブロムジフェニルエーテル(DBDE)などの有機ハロゲン化合物は、樹脂成形時に熱分解してハロゲン化水素を発生するため金型を腐食させたり、樹脂自身を劣化させて着色の原因となる、さらには燃焼時に有害なガスを発生し、人体に悪影響を及ぼすなどの問題がある。
このため、ハロゲンを含まない難燃剤として、例えばトリフェニルホスフェート(TPP)等のリン酸エステル系難燃剤を使用することが知られている。しかし、難燃剤としてこれらリン酸エステル系難燃剤を配合した樹脂組成物は、押出機や成形機中における滞留時の熱安定性に劣るため、滞留後の成形品の変色が著しく、このため得られた製品の商品価値を著しく低下させてしまうという問題が発生する。更には、リン酸エステルを添加することでベース樹脂本来の耐熱性を大幅に低下させることも知られている。
特開平10−279775号公報
本発明は、該課題を解決すべくなされたもので、耐熱性、滞留熱安定性に優れた難燃性熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明は、ゴム質重合体の存在下に芳香族ビニル単量体およびこれと共重合可能な他の単量体を重合して得られるグラフト共重合体(a−1)または該グラフト共重合体(a−1)と芳香族ビニル単量体およびこれと共重合可能な他の単量体を重合して得られる共重合体(a−2)からなる樹脂組成物(A)100重量部、リン酸エステル系難燃剤(B)3〜12重量部および樹脂組成物(A)におけるマトリックス部分のガラス転移温度を実質的に変化させない滑剤(C)0.1〜1重量部を配合してなる難燃性熱可塑性樹脂組成物であって、かつ樹脂組成物(A)中に占めるアルカリ金属の含有量が0.01重量%以下であることを特徴とする難燃性熱可塑性樹脂組成物を提供するものである。
本発明は、耐熱性、滞留熱安定性に優れた難燃性熱可塑性樹脂組成物が得られるという効果を奏する。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明における樹脂組成物(A)は、ゴム質重合体の存在下に芳香族ビニル単量体およびこれと共重合可能な他の単量体を重合して得られるグラフト共重合体(a−1)または該グラフト共重合体(a−1)と芳香族ビニル単量体およびこれと共重合可能な他の単量体を重合して得られる共重合体(a−2)からなるものである。
グラフト共重合体(a−1)を構成するゴム質重合体としては、ゴム質を示す重合体であれば特に限定はないが、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、イソブチレン−イソプレン共重合体等のジエン系(共)重合体、さらにはこれらジエン系(共)重合体の水素添加ゴム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−ブテン−1−非共役ジエン共重合体、アクリルゴム等が挙げられ、一種又は二種以上用いることができるが、中でも特にポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、アクリルゴムが好ましい。
グラフト共重合体(a−1)を構成する芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、メチル−α−メチルスチレン、臭素化スチレン等が挙げられるが、特に、スチレンが好ましい。また、共重合可能な他の単量体としては、シアン化ビニル単量体、(メタ)アクリル酸エステル単量体、不飽和酸単量体、不飽和酸無水物単量体、マレイミド単量体の群から選ばれた少なくとも1種の単量体等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記のシアン化ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等が挙げられるが、特にアクリロニトリルが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等が挙げられるが、特にメタクリル酸メチル、アクリル酸ブチルが好ましい。不飽和酸単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。不飽和酸無水物単量体としては、無水マレイン酸が好ましい。マレイミド単量体としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられるが、特にN−フェニルマレイミドが好ましい。
グラフト共重合体(a−1)を構成する各成分の組成割合については特に制限はないが、ゴム質重合体1〜80重量%、芳香族ビニル単量体10〜89重量%およびこれと共重合可能な他の単量体10〜89重量%(合計100重量部)であることが好ましく、特に共重合可能な他の単量体として、シアン化ビニル単量体および/または(メタ)アクリル酸エステル単量体を使用することが好ましい。
また、共重合体(a−2)を構成する芳香族ビニル単量体およびこれと共重合可能な他の単量体としては、グラフト共重合体(a−1)の項で述べたものと同様のものを例示することができる。また、共重合体(a−2)を構成する各成分の組成割合については特に制限はないが、芳香族ビニル単量体30〜90重量%およびこれと共重合可能な他の単量体70〜10重量%であることが好ましく、特に共重合可能な他の単量体として、シアン化ビニル単量体および/または(メタ)アクリル酸エステル単量体を使用することが好ましい。
本発明において、上記のグラフト共重合体(a−1)または該グラフト共重合体(a−1)と共重合体(a−2)からなる樹脂組成物(A)中に占めるアルカリ金属の含有量は0.01重量%以下であることが必要であり、該含有量が0.01重量%を超えると、滞留時の熱安定性が低下し、また難燃性も低下するため好ましくない。好ましくは0.005重量%以下である。
グラフト共重合体(a−1)および共重合体(a−2)の製造方法については特に制限はなく、塊状重合、溶液重合、塊状懸濁重合、懸濁重合、乳化重合など通常の公知の方法が用いられるが、特に塊状重合、溶液重合、塊状懸濁重合が好ましい。
これらのうち、乳化重合法では、重合工程において乳化剤を相当量使用する必要があるが、これには高級脂肪酸のアルカリ金属塩やスルホン酸のアルカリ金属塩などが使用されることが多い。また、乳化重合法で使用する重合開始剤のうち、有機過酸化物を用いたレドックス系開始剤が使用されることもあり、この場合には鉄塩などが使用されることが多い。さらに乳化重合後に得られたグラフト共重合体粒子を凝固させる際に、高濃度のアルカリ金属やアルカリ土類金属を添加して塩析させる場合も多い。
従って、本発明で使用するグラフト共重合体(a−1)および/または共重合体(a−2)が乳化重合法により製造される場合には、最終製品中に残存するアルカリ金属含有量を低下させるために、乳化重合後の凝固工程において、酸を使用して凝固させることが望ましい。その際に使用できる酸としては、塩酸、硫酸等が例示される。これにより、凝固工程における金属塩の混入を避けることができる。また、凝固後の洗浄条件を強化するために、洗浄水の量を増加させたり、洗浄回数を増加させたりすることによってもアルカリ金属塩含有量を低下させることができる。特に洗浄水を、洗浄に供するグラフト共重合体粒子の見掛け体積に対して同体積以上、好ましくは2倍以上、より好ましくは3倍以上の体積使用し、また洗浄−脱水の工程を2回以上、好ましくは3回以上繰り返して行うことが好ましい。これにより、通常の乳化重合法により得られるグラフト共重合体粒子に比べ、最終製品中に残存するアルカリ金属塩の含有量を大幅に低減することができる。
また、他の重合方法においても、例えば塊状重合、溶液重合で用いる原料のブタジエンゴム等には、その重合工程において使用したアルカリ金属及びアルカリ金属塩が少量残留しているが、その凝固工程において酸、例えば炭酸、クエン酸等による中和処理を強化し、水に難溶な塩として沈殿・分離させることより、アルカリ金属の含有量を低減することが好ましい。
本発明で用いられるリン酸エステル系難燃剤(B)とは、下記一般式化1にて例示される化合物を1種または2種以上混合して用いることができる。
Figure 2007277435
(R 、R 、R及びRは、それぞれ互いに独立して、水素原子または1価の有機基を表わすが、R 、R 、R及びRの中の少なくとも1つは1価の有機基である。Xは2価の有機基であり、k、l、m及びnはそれぞれ互いに独立して0又は1であり、Nは0〜10の整数である)。
上記一般式化1において一価の有機基とは、置換されていてもよいアルキル基、アリール基、シクロアルキル基が挙げられ、置換されている場合の置換基としては例えばアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基等が挙げられ、またこれら置換基を組み合わせた基(アリールアルコキシアルキル基等)、またはこれらの置換基を酸素、硫黄、窒素原子等により結合して組み合わせた基(アリールスルホニルアリール基等)が置換基であってもよい。また2価の有機基とは、例えばアルキレン基、置換基を有していてもよいフェニレン基、多価フェノール類、多核フェノール類(ビスフェノール類等)から誘導される基が挙げられる。特に2価の有機基として好ましいものはヒドロキノン、レゾルシノール、ジフェニロールメタン、ジフェニロールジメチルメタン、ジヒドロキシジフェニル、p,p’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。これらはぞれぞれ1種または2種以上使用することができる。
これらリン酸エステル系難燃剤(B)の具体例としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、さらには、各種の縮合リン酸エステルが挙げられる。
該リン酸エステル系難燃剤(B)は、上記の樹脂組成物(A)100重量部に対して3〜12重量部使用される。該リン酸エステル系難燃剤(B)が3重量部未満では十分な難燃性が得られない、また12重量部を超えると耐熱性および耐衝撃性が劣るため好ましくない。
本発明にて用いられる上記の樹脂組成物(A)におけるマトリックス部分のガラス転移温度を実質的に変化させない滑剤(C)としては、エチレンビスステアリン酸アミド、ポリエチレンワックスに代表される炭化水素系ワックス、グリセリンモノステアレートに代表されるグリセリン脂肪酸エステル、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛に代表される脂肪酸金属塩等が挙げられ、それぞれ1種または2種以上混合して使用することができる。
本発明においては、これら特定の滑剤、すなわち、上記樹脂組成物(A)のマトリックス部分のガラス転移温度(Tg)を実質的に変化させることのない滑剤を使用する必要があり、これにより、耐熱性を損なわずに成形加工性と耐衝撃性のバランスに優れた樹脂組成物が得られるものである。ここで、上記樹脂組成物は、分散相であるゴム成分と連続相であるマトリックス成分とからなるものであり、通常、ゴム成分とマトリックス成分の2つのTgを有しているものであるが、本発明においては、このマトリックス部分のTgを実質的に変化させることのない滑剤を使用すること必要である。この時の実質的にTgを変化させないとは、樹脂組成物(A)100重量部に対して3重量部添加した際にTgを5℃以上変化させないことをいうものとする。また、このようなTgは、一般に示差走査熱分析装置にて容易に測定することができる。
上記滑剤(C)は、樹脂組成物(A)100重量部に対して0.1〜1重量部配合される。滑剤(C)の配合量が0.1重量部未満では、成形加工性および耐衝撃性が劣る。また1重量部を超えると射出成形では金型汚染、押出成形ではロール汚染の要因となる上、耐熱性が損なわれるため好ましくない。
なお、本発明においては、その目的を妨げない範囲内で必要に応じて他の滑剤(例えば、ステアリン酸、流動パラフィン等)を使用することも可能であるが、その使用量は、滑剤の全使用量の50重量%以下であることが好ましい。
本発明における難燃性熱可塑性樹脂組成物には、上記各成分の他に、その物性を損なわない限りにおいて、その目的に応じて樹脂の混合時、成形時等に安定剤、顔料、染料、補強剤(タルク、マイカ、クレー、ガラス繊維等)、着色剤(カーボンブラック、酸化チタン等)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、離型剤、可塑剤、帯電防止剤、無機および有機系抗菌剤等の公知の添加剤を配合することができる。
さらに、本発明においてはポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリオキシメチレン樹脂等の他の熱可塑性樹脂を必要に応じて混合することができる。
但し、これらの添加剤を使用する際にも、アルカリ金属の含有量が少ないものを選択して使用することが望ましい。
本発明におけるグラフト共重合体(a−1)、共重合体(a−2)、リン酸エステル系難燃剤(B)、滑剤(C)の混合方法としては、バンバリーミキサー、押出機等公知の混練機を用いる方法が挙げられる。又混合順序にも何ら制限はなく、三成分の一括混練はもちろんのこと、予め任意の二成分を混合した後に残る一成分を混合することも可能である。
[実施例]
以下に実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。
グラフト共重合体(a−1)
グラフト共重合体a−1−1〜a−1−4を、それぞれ以下の方法により製造した。なお、得られたグラフト共重合体中のアルカリ金属含有量は、試料を灰化後、純水に溶解してICP法および原子吸光法により定量した。
a−1−1:容積が15リットルのプラグフロー塔型反応槽(「新ポリマー製造プロセス」(工業調査会、佐伯康治/尾見信三著)185頁、図7.5(b)記載の三井東圧タイプ(現三井化学)と同種の反応槽で、10段に仕切られたC1/C0=0.955を示すもの)に10リットルの完全混合槽1基を直列に接続した連続的重合装置を用いてグラフト共重合体a−1−1を製造した。
スチレン65重量部、アクリロニトリル22重量部、トルエン25重量部、ブタジエンゴム13重量部、t−ドデシルメルカプタン0.2重量部、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.05重量部からなる原料を前記連続的重合装置に連続的に供給して単量体の重合を行った。なお、第1のプラグフロー塔型反応槽は100℃、第2の完全混合槽は130℃に設定した。第2の反応槽より重合液を予熱器(180〜270℃)と減圧室(5kPaabs)よりなる脱揮発分装置に供給した後、押出機を経てグラフト共重合体B−1を得た。得られたグラフト共重合体a−1−1中のアルカリ金属含有量は、0.003重量%であった。
a−1−2:a−1−1において原料として用いたブタジエンゴムが、あらかじめ高度のアルカリ金属除去処理を施したものである点であること以外は、a−1−1と同様にしてグラフト共重合体a−1−2を得た。得られたグラフト共重合体a−1−2中のアルカリ金属含有量は、0.0005重量%であった。
a−1−3:窒素置換した重合反応容器にポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径0.3μ、ゲル含有量85%)50重量部、水150重量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.1重量部、硫酸第2鉄0.001重量部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3重量部を入れ、60℃に加熱後、アクリロニトリル14重量部、スチレン41重量部及びキュメンハイドロパーオキサイド0.2重量部からなる混合物を3時間に亘り連続的に添加し、更に60℃で2時間重合し、グラフト共重合体ラテックスを得た。その後、該ラテックス100重量部(固形分)に対し塩析剤として硫酸マグネシウム3.0重量部を使用して塩析した後、グラフト共重合体粒子の1.5倍体積の水を加えて攪拌してから脱水して洗浄した後、乾燥し、グラフト共重合体a−1−3を得た。得られたグラフト共重合体a−1−3中のアルカリ金属含有量は、0.07重量%であった。
a−1−4:a−1−3において、重合後に水蒸気蒸留を施した点と、凝固及び洗浄工程を以下のように変更した以外は、a−1−3と同様にしてグラフト共重合体a−1−4を得た。すなわち、重合後に得られたグラフト共重合体ラテックスに水蒸気を吹き込んで1時間水蒸気蒸留した。この時のラテックスの温度は80℃であった。また水蒸気蒸留後、凝固剤として硫酸1.0重量部を使用して凝固させ、さらにグラフト共重合体粒子の2.5倍体積の水を加えて攪拌してから脱水する洗浄操作を3回繰り返した。得られたグラフト共重合体a−1−4中のアルカリ金属含有量は、0.008重量%であった。
共重合体(a−2)
共重合体a−2−1〜a−2−2を、それぞれ以下の方法により調整した。
a−2−1:窒素置換した重合反応器に、純水130重量部及びロジン酸カリウム0.3重量部を仕込んだ後、攪拌下に65℃に昇温した。その後スチレン75重量部、アクリロニトリル25重量部及びt−ドデシルメルカプタン0.35重量部からなる混合モノマー溶液及び不均化ロジン酸カリウム2重量部を含む乳化剤水溶液30重量部を各々4時間に亘って連続添加した。その後重合系を70℃に昇温し、2時間熟成を行い共重合体ラテックスを得た。その後、該ラテックス100重量部(固形分)に対し塩析剤として硫酸マグネシウム2.5重量部を使用して塩析した後、共重合体粒子の1.5倍体積の水を加えて攪拌してから脱水して洗浄した後、乾燥し、共重合体a−2−1を得た。得られた共重合体a−2−1中のアルカリ金属含有量は、0.06重量%であった。
a−2−2:a−2−1において、重合後に水蒸気蒸留を施した点と、凝固及び洗浄工程を以下のように変更した以外は、a−2−1と同様にして共重合体a−2−2を得た。すなわち、重合後に得られた共重合体ラテックスに水蒸気を吹き込んで1時間水蒸気蒸留した。この時のラテックスの温度は80℃であった。また水蒸気蒸留後、凝固剤として硫酸1.0重量部を使用して凝固させ、さらに共重合体粒子の2.5倍体積の水を加えて攪拌してから脱水する洗浄操作を3回繰り返した。得られた共重合体a−2−2のアルカリ金属含有量は、0.005重量%であった。
リン酸エステル系難燃剤(B)
B−1:トリフェニルホスフェート(大八化学工業株式会社製、TPP)
B−2:縮合リン酸エステル(大八化学工業株式会社製、PX−200)
滑剤(C)
C−1:エチレンビスステアリン酸アミド(花王株式会社製、EB−FF)
C−2:ステアリン酸(花王株式会社製、S−30)
〔実施例1〜4、比較例1〜6〕
上記、グラフト共重合体(a−1)、共重合体(a−2)、リン酸エステル系難燃剤(B)、滑剤(C)を表1に示す配合割合で混合し、30mmニ軸押出機を用いて200℃で溶融混合し、ペレット化した後、射出成形機にて各種試験片を作成し、物性を評価した結果を表1に示す。なお、それぞれの評価方法を以下に示す。
難燃性:
UL94規格に準じ、厚み1.6mmの試験片を用い評価した。
耐熱性(HDT):
ASTM D−648に準拠し、1/4インチ厚みで18.6kg荷重下で測定した。
耐衝撃性(ノッチ付き衝撃強度):
ASTM D−256に準拠し、1/4インチ厚みで、ノッチ付きのアイゾッド衝撃値を測定した。
滞留熱安定性:
日本製鋼所製(J−150E−P)の射出成形機を用いて、シリンダー内で30分間滞留させた成形品および未滞留の成形品を成形し、滞留させた成形品の変色度(ΔE)を色差計で測定した。
○:ΔE=3.0以下、×:ΔE=3.0以上
Figure 2007277435
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、耐熱性、滞留時の熱安定性に優れ、かつ耐衝撃性にも優れるものであり、難燃性を必要とする各種工業部品材料としての利用価値が高い。

Claims (2)

  1. ゴム質重合体の存在下に芳香族ビニル単量体およびこれと共重合可能な他の単量体を重合して得られるグラフト共重合体(a−1)または該グラフト共重合体(a−1)と芳香族ビニル単量体およびこれと共重合可能な他の単量体を重合して得られる共重合体(a−2)からなる樹脂組成物(A)100重量部、リン酸エステル系難燃剤(B)3〜12重量部および樹脂組成物(A)におけるマトリックス部分のガラス転移温度を実質的に変化させない滑剤(C)0.1〜1重量部を配合してなる難燃性熱可塑性樹脂組成物であって、かつ樹脂組成物(A)中に占めるアルカリ金属の含有量が0.01重量%以下であることを特徴とする難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  2. (A)中に占めるアルカリ金属の含有量が0.005重量%以下である請求項1記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
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