JPH10251477A - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

難燃性樹脂組成物

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JPH10251477A
JPH10251477A JP4693997A JP4693997A JPH10251477A JP H10251477 A JPH10251477 A JP H10251477A JP 4693997 A JP4693997 A JP 4693997A JP 4693997 A JP4693997 A JP 4693997A JP H10251477 A JPH10251477 A JP H10251477A
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政明 馬渡
Masanori Suzuki
昌則 鈴木
Norifumi Sumimoto
典史 住本
Masahiko Noro
雅彦 野呂
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 難燃性、耐衝撃性および成形品表面外観に優
れ、広範囲の用途に使用し得る難燃性樹脂組成物を提供
すること。 【解決手段】 (A)ゴム質重合体の存在下に、芳香族
ビニル化合物、または芳香族ビニル化合物およびこれと
共重合可能な他のビニル系単量体からなる単量体成分を
グラフト重合してなるメチルエチルケトン可溶分の極限
粘度〔η〕が0.1〜1.0dl/gであるゴム強化熱
可塑性樹脂50〜98.9重量%、(B)上記単量体成
分を(共)重合してなるメチルエチルケトン可溶分の極
限粘度〔η〕が2.0dl/g以上である芳香族ビニル
化合物系樹脂0.1〜20重量%、ならびに(C)難燃
剤1〜30重量%を主成分とする難燃性樹脂組成物、あ
るいは、上記の、(A)成分8.9〜93.9重量%、
(B)成分0.1〜20重量%、(C)成分1〜30重
量%、および(D)芳香族ポリカーボネート5〜90重
量%を主成分とする難燃性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、難燃性、耐衝撃性
および成形品表面外観に優れた難燃性樹脂組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ABS樹脂などのスチレン系樹脂は、成
形品表面外観、成形加工性、耐衝撃性、寸法安定性など
に優れているため、電気・電子分野、OA・家電分野、
車両分野などの幅広い分野に使用されている。しかしな
がら、スチレン系樹脂は、燃えやすいという欠点を有し
ており、難燃性が要求される分野では、難燃剤としてハ
ロゲン系化合物、難燃助剤として三酸化アンチモンを配
合した難燃性樹脂組成物が一般に使用されている。とこ
ろが、スチレン系樹脂に難燃剤、難燃助剤を配合する
と、耐衝撃性、成形品表面外観が劣るという欠点を有し
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の課題を背景になされたもので、難燃性、耐衝撃性お
よび成形品表面外観に優れ、広範囲の用途に使用し得る
難燃性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、(A)ゴム質
重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物、または芳香族
ビニル化合物およびこれと共重合可能な他のビニル系単
量体からなる単量体成分をグラフト重合してなるメチル
エチルケトン可溶分の極限粘度〔η〕(30℃、ジメチ
ルホルムアミド中で測定〕が0.1〜1.0dl/gで
あるゴム強化熱可塑性樹脂50〜98.9重量%、
(B)芳香族ビニル化合物、または芳香族ビニル化合物
およびこれと共重合可能な他のビニル系単量体からなる
単量体成分を(共)重合してなるメチルエチルケトン可
溶分の極限粘度〔η〕(30℃、ジメチルホルムアミド
中で測定〕が2.0dl/g以上である芳香族ビニル化
合物系樹脂0.1〜20重量%、ならびに(C)難燃剤
1〜30重量%〔ただし、(A)+(B)+(C)=1
00重量%〕を主成分とする難燃性樹脂組成物(以下
「第1組成物」ともいう)を提供するものである。ま
た、本発明は、上記の、(A)成分8.9〜93.9重
量%、(B)成分0.1〜20重量%、(C)成分1〜
30重量%、および(D)芳香族ポリカーボネート5〜
90重量%〔ただし、(A)+(B)+(C)+(D)
=100重量%〕を主成分とする難燃性樹脂組成物(以
下「第2組成物」ともいい、第1組成物と第2組成物を
総称して、「難燃性樹脂組成物」ともいう)を提供する
ものである。
【0005】
【発明の実施の形態】第1組成物 本発明の第1組成物に用いられる(A)ゴム強化熱可塑
性樹脂は、ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合
物、または芳香族ビニル化合物およびこれと共重合可能
な他のビニル系単量体からなる単量体成分をグラフト重
合して得られるが、別途、上記単量体成分のみを(共)
重合して得られる(共)重合体を配合してもよい。
【0006】本発明の(A)ゴム強化熱可塑性樹脂に使
用されるゴム質重合体としては、例えばポリブタジエ
ン、ポリイソプレン、ブチルゴム、スチレン−ブタジエ
ン共重合体(スチレン含量5〜60重量%が好まし
い)、スチレン−イソプレン共重合体、アクリロニトリ
ル−ブタジエン共重合体、エチレン−α−オレフィン系
共重合体、エチレン−α−オレフィン−ポリエン共重合
体、シリコーンゴム、アクリルゴム、ブタジエン−(メ
タ)アクリル酸エステル共重合体、ポリイソプレン、ス
チレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソ
プレンブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジエン
ブロック共重合体、水素化ブタジエン系重合体、エチレ
ン系アイオノマーなどが挙げられる。
【0007】なお、 上記スチレン−ブタジエンブロッ
ク共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体に
は、AB型、ABA型、テーパー型、ラジアルテレブロ
ック型の構造を有するものなどが含まれる。また、上記
水素化ブタジエン系重合体には、上記ブロック共重合体
の水素化物のほかに、スチレンブロックとスチレン−ブ
タジエンランダム共重合体のブロック体の水素化物、ポ
リブタジエン中の1,2−ビニル結合含量が20重量%
以下のブロックと、1,2−ビニル結合含量が20重量
%を超えるポリブタジエンブロックからなる重合体の水
素化物などが含まれる。これらのゴム質重合体は、1種
単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用
いることもできる。
【0008】一方、(A)ゴム強化熱可塑性樹脂に用い
られる芳香族ビニル化合物としては、スチレン、t−ブ
チルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレ
ン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、
N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、N,N
−ジエチル−p−アミノメチルスチレン、ビニルピリジ
ン、ビニルキシレン、モノクロロスチレン、ジクロロス
チレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、フル
オロスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレンなど
が挙げられ、特にスチレン、α−メチルスチレンが好ま
しい。これらの芳香族ビニル化合物は、単独であるいは
2種以上混合して用いられる。芳香族ビニル化合物の使
用量は、単量体成分中に好ましくは20〜100重量
%、さらに好ましくは30〜90重量%、特に好ましく
は40〜80重量%であり、20重量%未満では充分な
成形加工性が得られない。
【0009】上記グラフト重合の際に、必要に応じて用
いられる、芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニ
ル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニ
トリルなどのシアン化ビニル化合物;メチルアクリレー
ト、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチ
ルアクリレート、アミノアクリレート、ヘキシルアクリ
レート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルア
クリレート、シクロヘキシルアクリレート、ドデシルア
クリレート、オクタデシルアクリレート、フェニルアク
リレート、ベンジルアクリレートなどのアクリル酸エス
テル;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、
プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミ
ルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチル
メタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、
シクロヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレー
ト、オクタデシルメタクリレート、フェニルメタクリレ
ート、ベンジルメタクリレートなどのメタクリル酸エス
テル;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコ
ン酸などの不飽和酸無水物;アクリル酸、メタクリル酸
などの不飽和酸;マレイミド、N−メチルマレイミド、
N−ブチルマレイミド、N−(p−メチルフェニル)マ
レイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシ
ルマレイミドなどのα,β−不飽和ジカルボン酸のイミ
ド化合物;グリシジルメタクリレート、アリルグリシジ
ルエーテルなどのエポキシ基含有不飽和化合物;アクリ
ルアミド、メタクリルアミドなどの不飽和カルボン酸ア
ミド;アクリルアミン、メタクリル酸アミノメチル、メ
タクリル酸アミノエーテル、メタクリル酸アミノプロピ
ル、アミノスチレンなどのアミノ基含有不飽和化合物;
3−ヒドロキシ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−
ブテン、シス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス
−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−
メチル−1−プロペン、2−ヒドロキシエチルアクリレ
ート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキ
シスチレンなどの水酸基含有不飽和化合物;ビニルオキ
サゾリンなどのオキサゾリン基含有不飽和化合物などが
挙げられる。
【0010】なお、(A)ゴム強化熱可塑性樹脂中のゴ
ム質重合体の量は、溶融粘度および耐衝撃性の面から、
好ましくは5〜60重量%、さらに好ましくは5〜40
重量%、特に好ましくは5〜20重量%である。また、
(A)ゴム強化熱可塑性樹脂中のゴム質重合体の分散粒
子の平均粒径は、溶融粘度および耐衝撃性の面から、好
ましくは0.05〜2μm、さらに好ましくは0.1〜
1μm、特に好ましくは0.2〜0.5μmである。
【0011】本発明の(A)ゴム強化熱可塑性樹脂の分
子量は、マトリックス成分であるメチルエチルケトン可
溶分の極限粘度〔η〕(30℃、ジメチルホルムアミド
中で測定)が、0.1〜1.0dl/g、好ましくは
0.2〜0.8dl/g、さらに好ましくは0.3〜
0.8dl/gである。この極限粘度〔η〕が0.1d
l/g未満であると、耐衝撃性および難燃性が劣り、一
方1.0dl/gを超えると、成形品表面外観が劣る。
上記極限粘度〔η〕は、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化
剤、溶剤などの種類や量、さらに重合時間、重合温度な
どを変えることにより、容易に制御することができる。
【0012】なお、(A)ゴム強化熱可塑性樹脂のグラ
フト率は、好ましくは5〜200重量%、さらに好まし
くは10〜150重量%である。グラフト率が5重量%
未満では、ゴム成分の添加効果が充分発揮されず、充分
な耐衝撃強度が得られない。一方、200重量%を超え
ると、成形加工性が低下する。ここで、グラフト率(重
量%)は、ゴム強化熱可塑性樹脂1g中のゴム成分重量
をx、メチルエチルケトン不溶分重量をyとすると、次
式により求められた値である。 グラフト率(重量%)=〔(y−x)/x〕×100
【0013】本発明の第1組成物中のおける(A)ゴム
強化熱可塑性樹脂の使用量は、50〜98.9重量%、
好ましくは60〜95重量%、さらに好ましくは70〜
95重量%である。50重量%未満では、耐衝撃性が劣
り、一方98.9重量%を超えると、難燃性が劣る。
【0014】本発明の(A)ゴム強化熱可塑性樹脂は、
ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物を主成分
とする単量体成分を乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊
状重合などでラジカルグラフト重合を行い、製造するこ
とができる。好ましくは、乳化重合である。この際、乳
化重合には、重合開始剤、連鎖移動剤(分子量調節
剤)、乳化剤、水などが用いられる。なお、(A)ゴム
強化熱可塑性樹脂を製造するのに用いるゴム質重合体お
よび単量体成分は、ゴム質重合体全量の存在下に、単量
体成分を一括添加して重合してもよく、分割もしくは連
続添加して重合してもよい。また、これらを組み合わせ
た方法で、重合してもよい。さらに、ゴム質重合体の全
量または一部を、重合途中で添加して重合してもよい。
【0015】重合開始剤としては、クメンヒドロキシパ
ーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオ
キサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイドなどで
代表される有機ハイドロパーオキサイド類と含糖ピロリ
ン酸処方、スルホキシレート処方などで代表される還元
剤との組み合わせによるレドックス系、あるいは過硫酸
塩、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキ
サイドなどの過酸化物が使用される。好ましくは、油溶
性開始剤であり、クメンハイドロパーオキサイド、ジイ
ソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメン
タンハイドロパーオキサイドと含糖ピロリン酸処方、ス
ルホキシレート処方などで代表される還元剤との組み合
わせによるレドックス系がよい。また、上記油溶性開始
剤と水溶性開始剤とを組み合わせてもよい。組み合わせ
る場合の水溶性開始剤の添加比率は、全添加量の好まし
く50重量%以下、さらに好ましく25重量%以下であ
る。さらに、重合開始剤は、重合系に一括または連続的
に添加することができる。重合開始剤の使用量は、単量
体成分に対し、通常、0.1〜1.5重量%、好ましく
は0.2〜0.7重量%である。
【0016】また、連鎖移動剤としては、オクチルメル
カプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメ
ルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テト
ラデシルメルカプタン、t−テトラデシルメルカプタン
などのメルカプタン類、テトラエチルチウラムスルフィ
ド、四塩化炭素、臭化エチレンおよびペンタフェニルエ
タンなどの炭化水素類、またはアクロレイン、メタクロ
レイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグ
リコレート、α−メチルスチレンのダイマーなどが挙げ
られる。これらの連鎖移動剤は、単独でまたは2種以上
を組み合わせて使用することができる。連鎖移動剤の使
用方法は、一括添加、分割添加、または連続添加のいず
れの方法でも差し支えない。連鎖移動剤の使用量は、単
量体成分に対し、通常、0.05〜2.0重量%程度で
ある。
【0017】乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、
ノニオン性界面活性剤、および両性界面活性剤が挙げら
れる。このうち、アニオン性界面活性剤としては、例え
ば高級アルコールの硫酸エステル、アルキルベンゼンス
ルホン酸塩、脂肪酸スルホン酸塩、リン酸系、脂肪酸塩
などが挙げられる。また、ノニオン性界面活性剤として
は、通常のポリエチレングリコールのアルキルエステル
型、アルキルエーテル型、アルキルフェニルエーテル型
などが用いられる。さらに、両性界面活性剤としては、
アニオン部分としてカルボン酸塩、硫酸エステル塩、ス
ルホン酸塩、リン酸エステル塩を、カチオン部分として
アミン塩、第4級アンモニウム塩などを持つものが挙げ
られる。乳化剤の使用量は、単量体成分に対し、通常、
0.3〜5.0重量%程度である。
【0018】なお、(A)ゴム強化熱可塑性樹脂は、重
合温度10〜120℃、好ましくは30〜110℃の条
件下で乳化重合することが望ましい。また、本発明の
(A)ゴム強化熱可塑性樹脂を、ブタジエン系のゴム質
重合体を用い、乳化重合で得る場合、使用されるブタジ
エン系ゴム質重合体ラテックスの平均ゴム粒径は、耐衝
撃性と成形品表面外観から、好ましくは500〜10,
000オングストロームの範囲である。また、このブタ
ジエン系ゴム質重合体のトルエン不溶分は、特に限定さ
れないが、0〜95重量%の範囲のものが一般に使用さ
れる。トルエン不溶分が5重量%以下のものを使用する
と、難燃性が向上し、50重量%以上のものを使用する
と、耐衝撃性が向上する。上記平均ゴム粒子径や、トル
エン不溶分の異なるブタジエン系ゴム質重合体ラテック
スを、任意の割合で混合して用いることもできる。
【0019】次に、本発明の第1組成物に用いられる
(B)芳香族ビニル化合物系樹脂は、芳香族ビニル化合
物、または芳香族ビニル化合物およびこれと共重合可能
な他のビニル系単量体からなる単量体成分を(共)重合
して得られる。ここで、(B)芳香族ビニル化合物系樹
脂に用いられる単量体成分(芳香族ビニル化合物、これ
と共重合可能な他のビニル系単量体)は、(A)ゴム強
化熱可塑性樹脂に用いられる単量体成分と同様である。
【0020】(B)芳香族ビニル化合物系樹脂のメチル
エチルケトン可溶分の極限粘度〔η〕(30℃、ジメチ
ルホルムアミド中で測定〕は、2.0dl/g以上、好
ましくは2.0〜10.0dl/g、さらに好ましくは
2.0〜7.0dl/g、特に好ましくは3.0〜6.
0dl/gである。2.0dl/g未満では、難燃性、
耐衝撃性および成形品表面外観が劣る。上記極限粘度
〔η〕も、(A)成分と同様、重合開始剤、連鎖移動
剤、乳化剤、溶剤などの種類や量、さらに重合時間、重
合温度などを変えることにより、容易に制御することが
できる。また、単量体成分の添加方法によっても、極限
粘度〔η〕を変えることができる。例えば、この添加方
法としては、一括添加、分割添加、連続添加、あるいは
これを組み合わせた方法が挙げられる。
【0021】本発明の第1組成物における(B)成分の
使用量は、0.1〜20重量%、好ましくは0.3〜1
5重量%、さらに好ましくは0.5〜10重量%であ
る。0.1重量%未満では、難燃性、耐衝撃性および成
形品表面外観が劣り、一方20重量%を超えると、成形
品表面外観が劣る。
【0022】(B)芳香族ビニル化合物系樹脂の製造方
法は、(A)成分と同様である。しかしながら、本発明
の(B)成分は、通常使用されるスチレン系樹脂よりも
かなり分子量の高いものであり、このような高分子量の
ものを得る好ましい重合法は、乳化重合法である。さら
に好ましい重合法は、乳化重合を用い、単量体成分を一
括または分割添加し重合する方法である。特に好ましい
重合法は、重合開始剤として水溶性の開始剤、好ましく
は過硫酸カリウムを用いる方法である。さらに、最も好
ましい方法は、上記特に好ましい方法において、使用す
る乳化剤として、臨界ミセル濃度の低いものを用いる方
法である。ここで、臨界ミセル濃度としては、30mm
ol/L以下の乳化剤が好ましく、さらに好ましくは1
5mmol/L以下のものである。
【0023】なお、(B)芳香族ビニル化合物系樹脂
は、5重量%未満の上記ゴム質重合体の存在下に、上記
単量体成分を(共)重合して得られる樹脂であってもよ
い。この際使用されるゴム質重合体は、難燃性、耐衝撃
性、成形品表面外観のバランスの面から、トルエン不溶
分が5重量%以下のものを用いることが好ましい。ま
た、(b)芳香族ビニル化合物系樹脂を構成する単量体
成分の使用割合は、芳香族ビニル化合物が20重量%以
上が好ましく、さらに好ましくは、芳香族ビニル化合物
/シアン化ビニル化合物=97〜40/3〜60重量%
の範囲である。
【0024】次に、本発明の第1組成物に用いられる
(C)難燃剤としては、公知の難燃剤が全て使用できる
が、好ましくはハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、分子
中にリンとハロゲンを同時に含有する難燃剤、メラミン
系難燃剤などが挙げられる。これらのうち、ハロゲン系
難燃剤としては、ハロゲン化エポキシオリゴマー、ハロ
ゲン化エポキシポリマー、ハロゲン化ポリスチレン(重
量平均分子量=1,500〜15,000)、芳香族ハ
ロゲン化合物、ハロゲン化ポリカーボネート、ハロゲン
化ポリカーボネートオリゴマー、ハロゲン化シアヌレー
ト樹脂、ハロゲン化ポリフェニレンエーテル、含ハロゲ
ンリン酸エステルなどが挙げられ、好ましくはハロゲン
化エポキシオリゴマーおよび/またはハロゲンエポキシ
ポリマーである。上記ハロゲン化エポキシオリゴマーお
よび/またはハロゲン化エポキシポリマーは、例えば下
記化1で表される両末端にエポキシ基を有するハロゲン
含有化合物である。
【0025】
【化1】
【0026】(化1中、Xは臭素原子または塩素原子、
a〜dは1〜4の自然数、pは0または自然数であ
る。) 上記化1で表される両末端にエポキシ基を有するハロゲ
ン含有化合物は、含ハロゲンビスフェノールAと含ハロ
ゲンビスフェノールA型エポキシ樹脂の反応生成物とし
て得られる。また、含ハロゲンビスフェノールAとエピ
クロルヒドリンとの反応生成物として得られる。
【0027】ここで、含ハロゲンビスフェノールAとし
ては、例えばテトラブロモビスフェノールA、ジクロロ
ビスフェノールA、テトラクロロビスフェノールA、ジ
ブロモビスフェノールAなどが挙げられる。また、含ハ
ロゲンビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、例え
ばテトラブロモビスフェノールAのジグリシジルエーテ
ル、テトラクロロビスフェノールAのジグリシジルエー
テル、ジクロロビスフェノールAのジグリシジルエーテ
ル、ジブロモビスフェノールAのジグリシジルエーテル
などが挙げられる。特に好ましくは、テトラブロモビス
フェノールAとテトラブロモビスフェノールAのジグリ
シジルエーテルとの反応生成物、あるいはテトラブロモ
ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応生成物
などがある。
【0028】また、ハロゲン系難燃剤として、下記化2
で表されるハロゲン含有化合物を挙げることができる。
【0029】
【化2】
【0030】(化2中、X、a〜d、pは化1に同
じ。) 化2の難燃剤は、化1の難燃剤を構成する、ハロゲン化
ビスフェノールA型エポキシ樹脂とトリブロモフェノー
ル、ジブロモフェノール、トリクロロフェノール、ジク
ロロクレゾールなどのハロゲン化フェノール類とを、塩
素性触媒の存在下に加熱反応させることによって得られ
る。
【0031】上記化1および化2で表される難燃剤のブ
ロムなどのハロゲン含有率は、好ましくは30〜70重
量%、さらに好ましくは40〜60重量%である。ま
た、化1および化2で表される難燃剤の軟化点あるいは
融点は、好ましくは70〜350℃、さらに好ましくは
80〜300℃である。さらに、化1および化2の中間
的な化合物である、分子片末端がエポキシ基を有する化
合物も使用できる。また、化1および/または化2の化
合物と、上記分子片末端エポキシ基を有する化合物の混
合物も使用することができる。この場合、本発明の目的
を達成するうえで好ましいものは、分子片末端エポキシ
基含有化合物を20〜70重量%含有する化合物であ
る。
【0032】リン系難燃剤としては、ポリリン酸アンモ
ニウムなどの無機系リン酸塩、トリフェニルホスフェー
トなどの芳香族系リン酸エステル、トリエチルホスフェ
ートなどのアルキルリン酸エステル、酸性リン酸エステ
ル、塩化ホスホニトリル誘導体などの含チッ素リン化合
物、ビニルホスフェート、アリルホスホネートなどの重
合性リン化合物、縮合リン酸エステルタイプ、および赤
リン系難燃剤が挙げられる。リン系難燃剤の融点は、好
ましくは30〜200℃である。また、そのリン含有率
は、好ましくは5〜30重量%、さらに好ましくは8〜
15重量%である。
【0033】分子中にリンとハロゲンを同時に含有する
難燃剤としては、トリスクロロエチルフォスフェート、
トリスクロロプロピルフォスフェート、トリスジクロロ
プロピルフォスフェート、トリス(トリブロモネオペン
チル)フォスフェート、トリス(トリブロモフェニル)
フォスフェート、トリス(ジブロモフェニル)フォスフ
ェートなどが挙げられる。メラミン系難燃剤としては、
リン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ピロリン酸メラ
ミン、メラミンシアヌレートなどが挙げられる。これら
の(C)難燃剤は、1種単独で使用することも、あるい
は2種以上を混合して用いることもできる。
【0034】本発明の第1組成物中における(C)難燃
剤の使用量は、1〜30重量%、好ましくは5〜30重
量%、さらに好ましくは5〜25重量%である。1重量
%未満では、難燃性の改良効果がなく、一方30重量%
を超えると、耐衝撃性、成形品表面外観が劣る。
【0035】第2組成物 本発明の上記(A)〜(C)成分を主成分とする第1組
成物は、さらに(D)ポリカルボネートを配合し、第2
組成物となすことにより、耐衝撃性、耐熱性、耐候性を
向上させることができる。第2組成物で使用される
(A)〜(C)成分は、上記の第1組成物と同様であ
る。ここで、第2組成物中における(A)成分の使用量
は、8.9〜93.9重量%、好ましくは10〜90重
量%、さらに好ましくは10〜70重量%、特に好まし
くは10〜50重量%である。8.9重量%未満では、
耐衝撃性が劣り、一方93.9重量%を超えると、難燃
性が劣る。また、第2組成物中における(B)成分の使
用量は、0.1〜20重量%、好ましくは0.3〜15
重量%、さらに好ましくは0.5〜10重量%である。
0.1重量%未満では、難燃性、耐衝撃性、成形品表面
外観が劣り、一方20重量%を超えると、成形品表面外
観が劣る。さらに、第2組成物中における(C)成分の
使用量は、1〜30重量%、好ましくは5〜30重量
%、さらに好ましくは5〜25重量%である。1重量%
未満では、難燃性の改良効果がなく、一方30重量%を
超えると、耐衝撃性、成形品表面外観が劣る。
【0036】次に、本発明の第2組成物に用いられる
(D)芳香族ポリカーボネートとしては、種々のジヒド
ロキシアリール化合物とホスゲンとの反応によって得ら
れるもの(ホスゲン法)、あるいはジヒドロキシアリー
ル化合物とジフェニルカーボネートとのエステル交換反
応によって得られるもの(エステル交換法)が挙げられ
る。代表的な芳香族ポリカーボネートとしては、2,
2′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとホス
ゲンとの反応によって得られるポリカーボネートであ
る。
【0037】ここで、芳香族ポリカーボネートの原料と
なるジヒドロキシアリール化合物としては、ビス(4−
ヒドロキシフェニル)メタン、1,1′−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)エタン、2,2′−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン、2,2′−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)ブタン、2,2′−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)フェニルメタン、2,2′−ビス(4−ヒドロキシ
−3−メチルフェニル)プロパン、2,2′−ビス(4
−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、
2,2′−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニ
ル)プロパン、2,2′−ビス(4−ヒドロキシ−3,
5−ジクロロフェニル)プロパン、1,1′−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1′−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,
4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジ
ヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルエーテル、
4,4′−ジヒドロキシフェニルスルフィド、4,4′
−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルフェニルスルフィ
ド、4,4′−ジヒドロキシフェニルスルフィド、4,
4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルフェニルスル
フィド、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシ
ド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルフェ
ニルスルフィド、4,4′−ジヒドロキシフェニルスル
ホキシド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチ
ルジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシジ
フェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′
−ジメチルジフェニルスルホン、ヒドロキノン、レゾル
シンなどが挙げられ、これらは、1種または2種以上で
用いられる。特に好ましいものは、2,2′−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン、すなわちビスフェノ
ールAである。
【0038】さらに、下記化3で表されるジヒドロキシ
アリール化合物を共重合した芳香族ポリカーボネート
も、好ましく使用される。
【0039】
【化3】
【0040】式中 A;単結合、炭素数1〜5のアルキレン、炭素数2〜5
のアルキリデン、炭素数5〜6のシクロアルキリデン、
−S−、−SO2 −の群から選ばれたものである。 X;塩素原子または臭素原子である。 n′;0、1または2である。 n;1または0である。 R;同一または異なり、直鎖の炭素数1〜20のアルキ
ル、枝分かれの炭素数3〜20のアルキルまたは炭素数
6〜20のアリールであり、好ましくはCH3である。 m;5〜100、好ましくは20〜80の整数である。
【0041】(D)芳香族ポリカーボネートの粘度平均
分子量は、好ましくは15,000〜40,000〜さ
らに好ましくは17,000〜35,000、特に好ま
しくは18,000〜30,000である。
【0042】第2組成物中における(D)成分の使用量
は、5〜90重量%、好ましくは10〜90重量%、さ
らに好ましくは30〜90重量%、特に好ましくは50
〜90重量%である。5重量%未満では、難燃性が劣
り、一方90重量%を超えると、耐衝撃性、難燃性、成
形品表面外観が劣る。
【0043】なお、本発明の難燃性樹脂組成物には、難
燃助剤を併用することができる。この難燃助剤として
は、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アン
チモン、酸化鉄、塩素化ポリエチレン、ポリオルガノシ
ロキサン系重合体、テトラフルオロエチレン重合体など
が挙げられ、1種単独で使用することも、あるいは2種
以上を混合して用いることもできる。ここで、テトラフ
ルオロエチレン重合体としては、0.05〜1,000
μmの平均粒子サイズ、1.2〜2.3g/cm3 の密
度および65〜76重量%のフッ素含有量を有するもの
が好ましい。また、乳化重合、懸濁重合で得られるもの
が好ましく使用される。テトラフルオロエチレン重合体
以外の上記難燃助剤の使用量は、本発明の難燃性樹脂組
成物100重量部に対し、通常、0.05〜10重量部
である。また、難燃助剤として、テトラフルオロエチレ
ン重合体を用いる場合、このテトラフルオロエチレン重
合体の使用量は、本発明の(A)+(B)成分、または
(A)+(B)+(D)成分100重量部に対し、好ま
しくは1.0重量部以下、さらに好ましくは0.05重
量部未満、特に好ましくは0.04重量部以下である。
【0044】また、本発明の難燃性樹脂組成物には、機
械的性質を向上させる目的で、ガラス繊維、炭素繊維、
金属繊維、金属フレーク、ガラスビーズ、ワラストナイ
ト、ガラスのミルドファイバー、ロックフィラー、ガラ
スフレーク、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、カオリ
ン、硫酸バリウム、黒鉛、二硫化モリブデン、酸化マグ
ネシウム、酸化亜鉛、酸化亜鉛ウィスカー、チタン酸カ
リウムウィスカー、ガラスバルーン、セラミックバルー
ンなどの充填材を、1種単独で使用することも、あるい
は2種以上を混合して用いることもできる。これらの充
填材のうち、ガラス繊維、炭素繊維の形状としては、6
〜60μmの繊維径と30μm以上の繊維長を有するも
のが好ましい。これらの充填材は、本発明の樹脂組成物
100重量部に対し、通常、1〜200重量部の範囲で
用いられる。
【0045】また、本発明の難燃性樹脂組成物には、公
知のカップリング剤、抗菌剤、防カビ剤、酸化防止剤、
耐候(耐光)剤、可塑剤、着色剤(顔料、染料など)、
滑剤、金属粉、シリコーンオイルなどの添加物を配合す
ることができる。さらに、本発明の難燃性樹脂組成物に
は、要求される性能に応じて、他の熱可塑性重合体、例
えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド樹脂、
ポリアミドエラストマー、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性ポリエ
ステル、ポリエステルエラストマー、LCP、PPS、
ポリスルホン、ポリフェニレンエーテルなどを適宜ブレ
ンドすることもできる。
【0046】本発明の難燃性樹脂組成物は、各種押し出
し機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、フィー
ダールーダーなどを用い、各成分を混練りすることによ
り得られる。好ましい製造方法は、押し出し機、バンバ
リーミキサーを用いる方法である。混練り温度は、好ま
しくは100〜350℃、さらに好ましくは150〜3
00℃である。また、各成分を混練りするに際しては、
各成分を一括して混練りしてもよく、数回に分けて添加
混練りしてもよい。混練りは、押し出し機で多段添加式
で混練りしてもよく、またバンバリーミキサー、ニーダ
ーなどで混練りし、その後、押し出し機でペレット化す
ることもできる。
【0047】このようにして得られる本発明の難燃性樹
脂組成物は、射出成形、シート押し出し、真空成形、異
形成形、発泡成形、インジェクションプレス、プレス成
形、ブロー成形などによって、各種成形品に成形するこ
とができる。上記成形法によって得られる各種成形品
は、その優れた性質を利用して、OA・家電分野、電気
・電子分野、雑貨分野、サニタリー分野、自動車分野な
どの各種パーツ、ハウジング、シャーシー、トレーなど
に使用することができる。
【0048】
【実施例】以下、実施例を挙げ本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の
実施例に何等制約されるものではない。なお、実施例
中、部および%は特に断らない限り重量基準である。ま
た、実施例中の各種評価は、次のようにして測定したも
のである。
【0049】平均粒径 大塚電子(株)製、レーザー粒径解析システムLPA−
3100を用いて、平均粒径を測定した。トルエン不溶分 ゴム質重合体ラテックスから得たゴム質重合体フィルム
約0.15gを精秤(Ag)し、100mlのトルエン
に浸漬したのち、50℃にて2時間攪拌した。120メ
ッシュ金網を用いてろ過し、ろ液から一部を採取(Cm
l)して、蒸発乾固させ、得られた残存固形分(トルエ
ン可溶分;Bg)を測定し、下記式からトルエン不溶分
を算出した。 トルエン不溶分(%)={〔A−B×(100/C)〕
/A}×100極限粘度〔η 〕 重合体をメチルエチルケトンに投入し、振とう機で6時
間振とうする。これを、遠心分離機(回転数23,00
0rpm)で60分間遠心分離し、不溶分と可溶分とを
分離する。この可溶分を真空乾燥機で充分乾燥する。こ
の可溶分をジメチルホルムアミドに溶解させ、濃度の異
なるものを5点作る。ウベローデ粘度管を用い、30℃
で各濃度の還元粘度を測定した結果から、極限粘度
〔η〕を求めた。
【0050】難燃性 UL94規格に基づいて、肉厚1/16″の垂直燃焼試
験を行った。耐衝撃性 ASTM D256に準じて、厚み1/4″、ノッチ付
きで、アイゾットインパクト(IZ)を測定した。単位
は、kgf・cm/cmである。成形品表面外観 ダイレクトゲートの平板成形品の表面を目視観察し、下
記基準で評価した。 ○;良好な外観を有する。 △;若干凹凸またはフローマークがある。 ×;表面凹凸、フローマークなどの外観不良が大であ
る。
【0051】参考例1〔(A)成分の調製〕 乳化剤としてロジン酸カリウム、重合開始剤としてクメ
ンハイドロパーオキサイド、重合開始助剤としてピロリ
ン酸ソーダ/ぶどう糖/硫酸第一鉄、分子量調整剤とし
てt−ドデシルメルカプタンを用い、乳化重合で、重合
体A−1〜A−12を得た。なお、分子量調整剤である
t−ドデシルメルカプタンの使用量を変えて、所望の極
限粘度〔η〕のものを得た。重合体の製造に用いたゴム
質重合体の種類/量、単量体成分の種類/量、および極
限粘度〔η〕を、表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】参考例2〔(B)成分の調製〕 乳化剤としてステアリン酸カリウム、重合開始剤として
過硫酸カリウムを用い、単量体成分としてスチレンとア
クリロニトリルを用い、乳化重合で、表2の組成、
〔η〕の重合体B−1〜B−7を得た。なお、〔η〕
は、乳化剤と重合開始剤の使用量を変えて、所望のもの
を得た。
【0054】
【表2】
【0055】参考例3〔(C)成分の調製〕 C−1;テトラブロモビスフェノールAとエピクロルヒ
ドリンとからなる、分子両末端エポキシ基で、平均分子
量1,600のものを用いた。 C−2;テトラブロモビスフェノールA、エピクロルヒ
ドリンおよびトリブロモフェノールからなる、分子両末
端がトリブロモフェノール化された平均分子量2,00
0のものを用いた。 C−3;テトラブロモビスフェノールAを用いた。 C−4;トリフェニルホスフェートを用いた。 C−5;縮合タイプのリン系難燃剤として、大八化学工
業(株)製、PX200を用いた。
【0056】参考例4〔(D)成分の調製〕 本発明の(D)成分として、ビスフェノールAとホスゲ
ンの重合によって得た粘度平均分子量22,000のポ
リカーボネートを用いた。 参考例5〔その他の成分の調製〕 難燃助剤として、下記のものを用いた。 E−1;三酸化アンチモン E−2;テトラフルオロエチレン重合体として、三井デ
ュポン社製、6CJを用いた。
【0057】実施例1〜21、比較例1〜8 上記各成分を、表3〜6に示す配合割合で混合し、ベン
ト付き二軸押し出し機を用い、シリンダー設定温度21
0℃で混練り押し出しし、ペレット化した。得られたペ
レットを充分に乾燥し、射出成形により、難燃性、耐衝
撃性および成形品表面外観評価用試験片を得た。これら
の試験片を用い、上記評価法で評価した。結果を表3〜
6に示す。
【0058】実施例1〜21は、本発明の難燃性樹脂組
成物であり、いずれも、難燃性、耐衝撃性および成形品
表面外観に優れている。これに対し、比較例1は、本発
明の(B)成分の使用量が発明の範囲外で少ない例であ
り、燃焼性、耐衝撃性および成形品表面外観が劣る。比
較例2は、本発明の(B)成分の使用量が発明の範囲外
で多いものであり、成形品表面外観が劣る。比較例3
は、本発明の(A)成分の〔η〕が発明の範囲外で低い
ものを用いた例であり、難燃性および耐衝撃性が劣る。
比較例4は、本発明の(A)成分の〔η〕が発明の範囲
外で高いものを用いた例であり、成形品表面外観が劣
る。比較例5は、本発明の(B)成分の〔η〕が発明の
範囲外で低いものを用いた例であり、難燃性、耐衝撃性
および成形品表面外観が劣る。比較例6は、本発明の
(C)成分の使用量が発明の範囲外で少ない例であり、
難燃性が劣る。比較例7は、本発明の(C)成分の使用
量が発明の範囲外で多い例であり、耐衝撃性および成形
品表面外観が劣る。比較例8は、本発明の(D)成分の
使用量が発明の範囲外で多く、また(A)成分の使用量
が発明の範囲外で少ない例であり、難燃性、成形品表面
外観が劣り、また実施例10〜11、および実施例13
に比較して、耐衝撃性が劣る。
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】
【表5】
【0062】
【表6】
【0063】
【発明の効果】本発明の難燃性樹脂組成物は、難燃性、
耐衝撃性、および成形品表面外観に優れており、広範囲
の用途、例えばOA・家電機器分野、電気・電子分野、
通信機器分野、サニタリー分野、自動車分野、雑貨分野
などの各パーツ、ハウジング、シャーシーなどに有用で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 101:04 69:00) (72)発明者 野呂 雅彦 東京都中央区京橋一丁目18番1号 テクノ ポリマー株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ゴム質重合体の存在下に、芳香族
    ビニル化合物、または芳香族ビニル化合物およびこれと
    共重合可能な他のビニル系単量体からなる単量体成分を
    グラフト重合してなるメチルエチルケトン可溶分の極限
    粘度〔η〕(30℃、ジメチルホルムアミド中で測定〕
    が0.1〜1.0dl/gであるゴム強化熱可塑性樹脂
    50〜98.9重量%、(B)芳香族ビニル化合物、ま
    たは芳香族ビニル化合物およびこれと共重合可能な他の
    ビニル系単量体からなる単量体成分を(共)重合してな
    るメチルエチルケトン可溶分の極限粘度〔η〕(30
    ℃、ジメチルホルムアミド中で測定〕が2.0dl/g
    以上である芳香族ビニル化合物系樹脂0.1〜20重量
    %、ならびに(C)難燃剤1〜30重量%〔ただし、
    (A)+(B)+(C)=100重量%〕を主成分とす
    る難燃性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の、(A)成分8.9〜9
    3.9重量%、(B)成分0.1〜20重量%、(C)
    成分1〜30重量%、および(D)芳香族ポリカーボネ
    ート5〜90重量%〔ただし、(A)+(B)+(C)
    +(D)=100重量%〕を主成分とする難燃性樹脂組
    成物。
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JP2014074141A (ja) * 2012-10-05 2014-04-24 Techno Polymer Co Ltd 熱可塑性樹脂組成物及び成形品
WO2019059664A1 (ko) * 2017-09-25 2019-03-28 주식회사 엘지화학 그라프트 공중합체의 제조방법, 그라프트 공중합체 및 열가소성 수지 성형품

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