JP3769758B2 - 難燃性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は難燃性熱可塑性樹脂組成物に関する。
さらに詳しくは、芳香族ポリカーボネート樹脂(以下、PC樹脂ということがある。)とグラフト共重合体樹脂(以下、ABS樹脂ということがある。)とをベース樹脂として、特定の芳香族ジホスフエートを難燃剤として、また場合によりポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEという。)を含有してなる、成形性と機械的物性に優れた難燃性熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、PC樹脂とABS樹脂との樹脂混合物は、PC樹脂の成形性が改良され、またABS樹脂の耐衝撃性と耐熱性が改良される等各樹脂それ自体が持っている欠点が改良される。従って、成形品に要求される物性に応じて、使用される樹脂材料が選択される。例えば自動車部品、家庭用電気機器部品、事務機器部品、機械部品などの製造に供する樹脂材料には、耐衝撃性と耐熱性が要求されるので、PC樹脂とABS樹脂との混合物は好適である。これらの樹脂材料として、さらに難燃性を付与することが要望されることがあり、この場合には難燃剤が配合されるが、ハロゲン系難燃剤を配合した樹脂組成物については、例えば本出願人は特願平4−138080号として既に出願している。しかし、ハロゲン系難燃剤は、樹脂組成物を目的物に成形する際に熱分解したり、成形品が廃棄物となった場合有害物質に転換することがあり、使用上の問題があった。
【0003】
このため、ハロゲン系難燃剤以外の難燃剤として、例えばリン酸エステル(ホスフエート)が使用されるようになった。しかしながら、例えばPC樹脂とABS樹脂との樹脂混合物に、トリフエニルホスフエートを配合したり(EP174493号公報)、縮合リン酸エステルであるホスフエート系オリゴマーを配合(NL8802346号公報)することが提案されているが、これらにおいて使用されるホスフエート類は融点が低くまた液状であったりして、配合加工性に劣り、耐熱性などの物性が劣る樹脂組成物しか得られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、PC樹脂とABS樹脂との樹脂混合物に、特定の芳香族ジホスフエート、また場合によりPTFEを含有させることにより、上記の問題を解決し、加工性、成形性に優れ、耐熱性および耐衝撃性などの物性に優れた難燃性熱可塑性樹脂組成物を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の要旨は、(A)粘度平均分子量が15,000〜40,000である芳香族ポリカーボネート樹脂40〜90重量部、(B)重量平均ゴム粒子径が0.15〜0.35μmである共役ジエン系ゴム重合体成分と、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体および必要に応じてこれらと共重合可能なビニル単量体よりなる単量体成分と、からなるグラフト共重合体樹脂5〜40重量部、および(C)下記(I)式で示される芳香族ジホスフェート1〜30重量部(但し、各成分の合計量は100重量部とする。)とを含有してなることを特徴とする難燃性熱可塑性樹脂組成物に存する。
【化2】
Figure 0003769758
【0006】
(A)芳香族ポリカーボネート樹脂
本発明において、芳香族ポリカーボネート樹脂としては、特に制限されず、各種のものを使用できる。
例えば、溶剤法、すなわち、塩化メチレンなどの溶剤中で公知の酸受容体、分子量調整剤の存在下に二価フエノールとホスゲンなどのカーボネート前駆体とを反応させる所謂ホスゲン法、二価フエノールとジフエニルカーボネートなどのカーボネート前駆体とを反応させるエステル交換法などによって得られる芳香族ポリカーボネート樹脂が代表的である。
好適に使用し得る二価フエノールとしては、ビスフエノール類が挙げられ、特に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフエニル)プロパン(以下、「ビス−フエノールA」と略記する)が好ましい。また、ビス−フエノールAの一部または全部を他の二価フエノールで置換したものであってもよい。
芳香族ポリカーボネート樹脂は、機械的強度および成形性の観点から、その粘度平均分子量が10,000〜100,000のものが好ましく、特に、15,000〜40,000のものが好適である。
【0007】
(B)グラフト共重合体樹脂
本発明において、グラフト共重合体樹脂とは、重量平均ゴム粒子径が0.15〜0.35μm である共役ジエン系ゴム重合体成分と、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体および必要に応じてこれらと共重合可能なビニル単量体よりなる単量体成分と、からなるグラフト共重合体樹脂をいう。
グラフト共重合体樹脂を構成する共役ジエン系ゴム重合体成分としては、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリイソプレン、ポリクロロプレンなどを挙げることができる。この共役ジエン系ゴム重合体成分は、一種または二種以上の混合物であってもよい。芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ジメチルスチレン、ビニルトルエンなどが挙げられる。シアン化ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどを挙げることができる。さらに、これらと共重合可能なビニル単量体としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、マレイミド、N−フエニルマレイミドなどを挙げることができる。これらの単量体は一種または二種以上の混合物であってもよい。
【0008】
本発明のグラフト共重合体樹脂の製造方法としては、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法、乳化−懸濁重合法、塊状−懸濁重合法などの公知の重合法が回分および/または連続方式と組み合せて用いられる。特に、これらの製造方法の中では乳化重合法が好ましく、共役ジエン系ゴム重合体としてゴムラテツクスを用い、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体および必要に応じてこれらと共重合可能なビニル単量体からなる単量体混合物を重合するグラフト乳化重合法を採るのが良い。このような方法によって、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体および必要に応じてこれらと共重合可能なビニル単量体よりなる単量体成分と、重量平均ゴム粒子径が0.15〜0.35μm である共役ジエン系ゴム重合体成分とからなる本発明のグラフト共重合体樹脂を得ることができる。そして、本発明においては、このグラフト共重合体樹脂中に分散している共役ジエン系ゴム重合体成分の重量平均ゴム粒子径が0.15〜0.35μm であることが必要である。
この重量平均ゴム粒子径が、0.15μm 以下では最終的に得られる樹脂組成物の耐衝撃性が著しく劣ったものとなり、0.35μm より大きいと最終的に得られる樹脂組成物のドリツプ性などの難燃性を満足することができないことがあるので好ましくない。
【0009】
また、このような0.15〜0.35μm の重量平均ゴム粒子径の共役ジエン系重合体のゴムラテツクスは、0.15μm 以下の小粒子径のゴムラテツクスから目的ゴム粒子を得るために粒径肥大という操作を行なって得たものでもよい。粒径肥大は、公知の方法、例えば、ゴムラテツクスを一度凍結させてから再溶解する方法、ゴムラテツクスに鉱酸、有機酸等を添加して、ゴムラテツクスのpHを一時的に低下させる方法、ゴムラテツクスに剪断力を加える方法等(特開昭54−133588号公報、特開昭59−202211号公報)によって、行なうことができる。特に、ゴムラテツクスに、燐酸または無水酢酸を添加する方法が、粒子径の調整が容易であるので好ましい。共役ジエン系ゴム重合体のゴム粒子径の分布は、必ずしも、単峰性である必要はなく、多峰性、即ち、異なるゴム粒子径のゴムの混合によって得られるものであってよい。
なお、本発明において共役ジエン系ゴム重合体成分の重量平均ゴム粒子径とは、米国コールター電子社(Coulter Electronics Ltd.)製「ナノサイザー」(Coulter Nano-SizerTM)により、グラフト重合前の原料ゴムのラテツクスを23℃の水中に分散した系で測定した重量平均ゴム粒子径で表わすことができる。
【0010】
グラフト共重合体樹脂における共役ジエン系ゴム重合体成分と単量体成分との組成比は、共役ジエン系ゴム重合体成分10〜70重量%、単量体成分90〜30重量%の範囲が好ましい。さらに好ましくは、共役ジエン系ゴム重合体成分45〜70重量%、単量体成分55〜30重量%の範囲であり、この範囲を採ることにより、難燃性が向上し易くなる。
さらに、単量体成分中の芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、およびこれらと共重合可能なビニル単量体との組成比としては、芳香族ビニル単量体40〜80重量%、シアン化ビニル単量体1〜40重量%、およびこれらと共重合可能なビニル単量体0〜59重量%の範囲、であることが好ましい。この範囲を外れると、グラフト共重合体樹脂の耐熱性や他の樹脂への混和性などの物性が変化して、得られる難燃性熱可塑性樹脂組成物の物性が劣ることがある。
【0011】
本発明のグラフト共重合体樹脂の具体的例としては、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、メチルメタクリレート・アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体などのABS樹脂を挙げることができる。このグラフト共重合体樹脂は、他の樹脂組成物原料と配合することにより、得られる樹脂組成物に優れた物性バランス、難燃性、成形性を発揮させることができる。
【0012】
(C)芳香族ジホスフエート
本発明に用いられる前記式(I)で示される芳香族ジホスフエートとは、ジアルキルフエノールとジヒドロキシ芳香族化合物とのオルトリン酸エステルである。この芳香族ジホスフエートを本発明の樹脂組成物に配合すると、良好な難燃効果が得られる難燃剤として作用するとともに、本発明の樹脂組成物に混和性、耐熱性、低揮発性、成形性、耐衝撃性などの優れた物性を与える。
この芳香族ジホスフエートは、例えば2,6−キシレノールとオキシ塩化リンとをルイス酸触媒下に反応させて得られる(2,6−キシリル)ホスホクロリデートに、さらにルイス酸触媒下でレジルシン、ヒドロキノンまたは4,4’−ビスフエノールなどのジヒドロキシ芳香族化合物を反応させて得ることができる。本発明における芳香族ジホスフエートとしては、式(I)において、R1 、R2 、R3 およびR4 がメチル基であり、Yがm−またはp−フエニレン基、もしくは3,3’−、3,4’−または4,4’−ビフエニレン基であるものが好ましい。さらに好ましくは、テトラ(2,6−キシリル)レゾルシンジホスフエート、テトラ(2,6−キシリル)ヒドロキノンジホスフエート、およびテトラ(2,6−キシリル)4,4’−ビスフエノールジホスフエートが挙げられる。これらは、一種または二種以上の混合物であってもよい。
芳香族ジホスフエートが本発明の構成範囲外のものであると耐熱性が低く、揮発性およびプレートアウト性が高く、本発明における樹脂組成物の物性を低下させるので好ましくない。
【0013】
(D)ポリテトラフルオロエチレン
本発明において、上記(A)〜(C)の成分に加えて、ポリテトラフルオロエチレンを含有させることができる。このポリテトラフルオロエチレンとは、テトラフルオロエチレンを主成分として重合して得られる弗化炭素系重合体であり、PTFEと略称される。PTFEを樹脂組成物に含有させることにより、樹脂組成物の難燃性、特にドリツプ性を向上させることができる。
【0014】
本発明の樹脂組成物を構成する各成分の含有割合は、(A)PC樹脂40〜90重量部、(B)ABS樹脂5〜40重量部、(C)芳香族ジホスフエート1〜30重量部、および場合により(D)PTFE0.1〜1.0重量部の範囲、(但し、各成分の合計は100重量部とする。)とするものである。上記範囲を外れると、得られる樹脂組成物の機械的強度、加工成形性などの物性が低下する。
【0015】
本発明の樹脂組成物の製法は、まず以上説明したようなPC樹脂、ABS樹脂、および芳香族ジホスフエート、また場合により、PTFEよりなる各成分を秤量し、混合する。得られた混合配合物は、ドライブレンドのままでもよいが、さらに溶融混練工程に付し溶融混合するのがより好ましい。本発明の樹脂組成物の各構成成分を配合し、混合混練するには、公知の混合、混練方法をとれば良い。例えば、粉末、ビーズ、フレークまたはペレツトとなったこれら本発明の構成成分の一種または二種以上の混合物を、1軸押出機、2軸押出機などの押出機、またはバンバリーミキサー、加圧ニーダー、2本ロールなどの混練機などの加工装置により、さらに溶融混合して、樹脂組成物とすることができる。
【0016】
さらに本発明に係わる樹脂組成物には、本発明樹脂組成物の性質を阻害しない種類および量のその他の樹脂および潤滑剤、離型剤、着色剤、帯電防止剤、その他の難燃剤、紫外線吸収剤、耐光性安定剤、耐熱性安定剤、充填剤などの各種樹脂添加剤を適宜組合せて添加することができる。
これらの添加することのできるその他の樹脂としては、AS樹脂、MBS樹脂、AAS樹脂、AES樹脂、ACS樹脂、PA樹脂、PBT樹脂、PET樹脂などが挙げられるが、特に好ましいのは、芳香族ビニル単量体成分60〜80重量%、シアン化ビニル単量体成分1〜40重量%およびこれらと共重合可能なビニル単量体成分0〜39重量%(但し、単量体成分は合計100重量%とする。)よりなる共重合体であるAS樹脂(E)であり、本発明樹脂組成物に0〜30重量部の範囲で上記ABS樹脂(B)の一部と代替して添加配合することが可能である。
また、充填剤としては、ガラス繊維、金属繊維、炭素繊維、チタン酸カリウムウイスカーなどの繊維状強化剤、タルク、クレー、炭酸カルシウム、マイカ、ガラスフレーク、ミルドフアイバー、金属フレーク、金属粉などを挙げることができ、これらは単独でも、二種以上を組合せて配合することもできる。
【0017】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したとおりであり、次のように特別に顕著な効果を奏し、その産業上の利用価値は極めて大である。
(1)本発明に係わる樹脂組成物は、PC樹脂、ABS樹脂と特定の芳香族ジホスフエートよりなる難燃剤、また場合により、PTFEを配合することにより、極めて優れた成形性と物性を兼ね備えた難燃性熱可塑性樹脂材料として利用することができる。
(2)本発明に係わる樹脂組成物は、各々の成分をそれぞれ最適化して配合しているので、各々の樹脂の特徴である優れた耐熱性、優れた流動性を発揮し、かつ、成形加工サイクルを短縮することが可能である。
(3)本発明に係わる樹脂組成物は、射出成形法、押出成形法、熱成形法などの各種加工方法によって、成形品とし、優れた難燃性、加工性、耐熱性および耐衝撃性が要求される用途、例えば事務機器、家庭用電気機器などの電気部品、および自動車、船舶などの工業部品として使用することができる。
【0018】
【実施例】
下記の実施例および比較例は、本発明をさらに具体的に説明するためのものである。本発明は、その要旨を超えない限り、以下の例に限定されるものではない。なお、「部」、「%」、比は重量基準である。
【0019】
以下の各実施例および比較例において、難燃性熱可塑性樹脂組成物の物性は、次の方法によって測定した。
(1)曲げ弾性率(kg/cm2
JIS K7113に準拠して測定した。
(2)アイゾツト衝撃強さ(ノツチ付)(kg・cm/cm)
JIS K7110に準拠して測定した。
(3)耐熱性(℃)
ASTM D3769に準拠して測定した。
(ヒートサグ試験法による1mm変形温度)
(2mmt、100mmオーバーハング)
(4)スパイラルフロー長さ(cm)
流動性については、2mm厚み、幅8mmの螺旋状の金型に、日精樹脂工業社製のFS80型射出成形機を用いて、樹脂温度240℃、射出圧力910kg/cm2 、金型温度60℃にて射出し、スパイラルフロー長さを測定した。
(5)プレートアウト性
プレートアウト性については、菱屋精工VP40型射出成形機を用いて、樹脂脂温度260℃、射出圧力900kg/cm2 、金型温度60℃にて1000シヨトト成形し、成形終了後金型表面を観察して、付着物の有無を確認した。
(6)難燃性
米国アンダーライターズ・ラボラトリーズ(UL)で規格化されたサブジエクト94号(UL94)に基づき、1.6mm厚みの燃焼試験を実施し、V−0、V−1の難燃性クラスに分類し、◎(V−0合格)、○(V−1合格)、X(V−0、V−1不合格)と判定表示した。
ドリツプ:燃焼試験において、有炎の滴下物により、試料の12インチ(305mm)下にある乾燥した外科用脱脂綿を着火させるか、否かを判定した。
【0020】
製造例
(B)グラフト共重合体樹脂の製造
【0021】
B−1
攪拌装置、加熱冷却装置、および各原料、助剤仕込装置を備えた容量5Lの反応器に、共役ジエン系ゴム重合体としてポリブタジエンゴムラテツクスを無水酢酸(AA)を用いて0.25μm に粒径肥大したものを固形分として100部、および脱イオン水を270部(ラテツクス中の水分を含む)仕込み、70℃に昇温した。60℃で、水45部に溶解したピロリン酸ナトリウム1.0部、デキストロース0.5部および硫酸第一鉄0.01部を添加した。70℃に達した時点から2時間30分かけて、70℃に保ちながら、スチレン70部、アクリロニトリル30部、t−ドデシルメルカプタン1.1部、およびクメンハイドロパーオキサイド0.5部、不均化ロジン酸カリウム石鹸1.8部、水酸化カリウム0.37部、脱イオン水35部を添加した。添加終了後、さらに30分間反応を続け、冷却して、反応を終了した。結果を表−1に示す。
このグラフト共重合体ラテツクスに老化防止剤5部を添加後、95℃に加熱した硫酸マグネシウム水溶液中に攪拌しながら加えて凝固させ、凝固物を水洗乾燥して白色粉末状のグラフト共重合体樹脂(B−1)を得た。
【0022】
B−2
(B−1)と同じ反応器に、共役ジエン系ゴム重合体としてポリブタジエンゴムラテツクスを無水酢酸を用いて0.30μm に粒径肥大したものを固形分として100部、および脱イオン水を270部(ラテツクス中の水分を含む)を仕込み、70℃に昇温した。60℃で、水45部に溶解したピロリン酸ナトリウム0.82部、デキストロース0.4部および硫酸第一鉄0.008部を添加した。70℃に達した時点から2時間15分かけて、70℃に保ちながら、スチレン57.3部、アクリロニトリル24.5部、t−ドデシルメルカプタン0.9部、およびクメンハイドロパーオキサイド0.4部、不均化ロジン酸カリウム石鹸1.5部、水酸化カリウム0.3部、脱イオン水30部を添加した。添加終了後、さらに15分間反応を続け、冷却して、反応を終了した。
このグラフト共重合体ラテツクスに老化防止剤5部を添加後、95℃に加熱した硫酸マグネシウム水溶液中に攪拌しながら加えて凝固させ、凝固物を水洗乾燥して白色粉末状のグラフト共重合体樹脂(B−2)を得た。
【0023】
B−3
共役ジエン系ゴム重合体としてポリブタジエンゴムラテツクスの粒径肥大を燐酸(PA)を用いた他は、(B−1)と同様にして行い、グラフト共重合体樹脂(B−3)を得た。
【0024】
B−4
(B−1)と同じ反応器に、共役ジエン系ゴム重合体としてポリブタジエンゴムラテツクスを無水酢酸を用いて0.25μm に粒径肥大したものを固形分として100部、および脱イオン水を300部(ラテツクス中の水分を含む)を仕込み、80℃に昇温した。80℃に達した時点で、脱イオン水6部に溶解した過硫酸カリウム0.2部、不均化ロジン酸カリウム石鹸0.45部を添加し、この時点から2時間45分かけて、80℃に保ちながら、スチレン70部、アクリロニトリル30部、t−ドデシルメルカプタン0.3部を添加した。さらに添加開始後30分より、過硫酸カリウム0.6部、不均化ロジン酸カリウム石鹸1.35部、水酸化カリウム0.25部、脱イオン水40部を2時間15分かけて添加した。添加終了後、さらに30分間反応を続け、冷却して、反応を終了した。
このグラフト共重合体ラテツクスに老化防止剤5部を添加後、95℃に加熱した硫酸マグネシウム水溶液中に攪拌しながら加えて凝固させ、凝固物を水洗乾燥して白色粉末状のグラフト共重合体樹脂(B−4)を得た。
【0025】
B−5
共役ジエン系ゴム重合体としてポリブタジエンゴムラテツクスを無水酢酸を用いて0.30と0.65μm に粒径肥大し固形分としてそれぞれ70部と30部を併用して、重量平均ゴム粒子径が0.40μm となるように調整したゴムラテツクスを仕込んだ他は(B−1)と同様にして行い、白色粉末状のグラフト共重合体樹脂(B−5)を得た。
【0026】
B−6
(B−1)と同じ反応器に、共役ジエン系ゴム重合体としてポリブタジエンゴムラテツクスを無水酢酸を用いて0.30と0.65μm に粒径肥大し固形分としてそれぞれ70部と30部を併用して、重量平均ゴム粒子径が0.40μm となるように調整したゴムラテツクス、および脱イオン水を300部(ラテツクス中の水分を含む)を仕込み、80℃に昇温した。80℃に達した時点で、脱イオン水6部に溶解した過硫酸カリウム0.3部、不均化ロジン酸カリウム石鹸0.65部を添加し、この時点から4時間かけてスチレン105部、アクリロニトリル45部、t−ドデシルメルカプタン0.45部を、重合反応器の温度を80℃に保ちながら添加した。さらに添加開始後45分より、過硫酸カリウム0.9部、不均化ロジン酸カリウム石鹸2.0部、水酸化カリウム0.35部、脱イオン水40部を3時間15分かけて添加した。添加終了後、さらに30分間反応を続け、冷却して、反応を終了した。結果を表−1に示す。
このグラフト共重合体ラテツクスに老化防止剤5部を添加後、95℃に加熱した硫酸マグネシウム水溶液中に攪拌しながら加えて凝固させ、凝固物を水洗乾燥して白色粉末状のグラフト共重合体樹脂(B−6)を得た。
【0027】
【表1】
表−1
────────────────────────────────────
グラフト共重合体樹脂(B) B−1 B−2 B−3
────────────────────────────────────
重量平均ゴム粒子径(μm ) 0.25 0.30 0.25
ポリブタジエン含有率% 50 55 50
重合開始剤 レドツクス系 レドツクス系 レドツクス系
粒径肥大調整剤 AA AA PA
────────────────────────────────────
【表2】
表−1(つづき)
────────────────────────────────────
グラフト共重合体樹脂(B) B−4 B−5 B−6
────────────────────────────────────
重量平均ゴム粒子径(μm ) 0.25 0.40 0.40
ポリブタジエン含有率% 50 50 40
重合開始剤 KSO系 レドツクス系 KSO系
粒径肥大調整剤 AA AA AA
────────────────────────────────────
【0028】
(C)芳香族ホスフエート
C−1
テトラ(2,6−キシリル)レゾルシンジホスフエート
(式(II)で示す。PX200、ガラス転移温度96℃、大八化学(株)製)
【化3】
Figure 0003769758
【0029】
C−2
テトラ(2,6−キシリル)ヒドロキノンジホスフエート
(式(III)で示す。PX201、ガラス転移温度169℃、大八化学(株)製)
【化4】
Figure 0003769758
【0030】
C−3
テトラ(2,6−キシリル)4,4’−ビスフエノールジホスフエート
(式(IV)で示す。PX202、ガラス転移温度182℃、大八化学(株)製)
【化5】
Figure 0003769758
【0031】
C−4
トリフエニルホスフエート
(式(V)で示す。TPP、融点49℃)
【化6】
Figure 0003769758
【0032】
C−5
芳香族ホスフエート系オリゴマー
(式(VI)で示す。CR733S、融点不明:23℃で液体、大八化学(株)製)
【化7】
Figure 0003769758
(但し、nは1以上の整数)
【0033】
実施例1〜9、比較例1〜6
PC樹脂(A)(NOVAREXTM7022A、粘度平均分子量21,000、三菱化成(株)製)、上記製造例に記載の方法で得られたグラフト共重合体樹脂(ABS樹脂)(B)、芳香族ホスフエート(上記式(II)〜(VI))(C)、および必要に応じて、PTFE(D)(ポリフロンTMF201、ダイキン(株)製)、AS樹脂(E)(組成比:スチレン/アクリロニトリル=70/30、分子量120,000)を、表−2に記載した配合割合(部)で各成分を秤量し、タンブラーで混合し、得られた混合物をベント付2軸押出機を用いて揮発分を除去しながら溶融混練し、樹脂組成物のペレツトを作成した。
得られた樹脂組成物のペレツトから、射出成形機により各種物性試験片を作成し、試験に供した。結果を表−2−1〜表−2−5に示す。
【0034】
【表3】
Figure 0003769758
【0035】
【表4】
Figure 0003769758
【0036】
【表5】
Figure 0003769758
【0037】
【表6】
Figure 0003769758
【0038】
【表7】
Figure 0003769758
【0039】
(表−2)より、次のことが明らかになる。
(1)本発明に係わる樹脂組成物は、他の混合樹脂組成分に適合するよう調製されたグラフト共重合体樹脂(B)を使用しているので、極めて優れた成形性と物性を兼ね備えた難燃性熱可塑性樹脂材料として利用することができる。
(2)本発明に係わる樹脂組成物は、各々の樹脂をそれぞれ最適化して配合しているので、各々の樹脂の特徴である優れた耐熱性、優れた流動性を発揮し、かつ、成形加工サイクルを短縮することが可能である。(実施例1〜9参照)。
他方、この範囲から外れると難燃性の規格を満足できないもの(比較例1、4〜6)、連続成形性の悪い(プレートアウト)のあるもの(比較例2)、耐熱性が低く成形加工サイクル短縮困難なもの(比較例3)しか得られない。

Claims (2)

  1. (A)粘度平均分子量が15,000〜40,000である芳香族ポリカーボネート樹脂40〜90重量部、
    (B)重量平均ゴム粒子径が0.15〜0.35μmである共役ジエン系ゴム重合体成分と、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体および必要に応じてこれらと共重合可能なビニル単量体よりなる単量体成分と、からなるグラフト共重合体樹脂5〜40重量部、および
    (C)下記(I)式で示される芳香族ジホスフェート1〜30重量部(但し、各成分の合計量は100重量部とする。)とを含有してなることを特徴とする難燃性熱可塑性樹脂組成物。
    Figure 0003769758
  2. (A)粘度平均分子量が15,000〜40,000である芳香族ポリカーボネート樹脂40〜90重量部、
    (B)重量平均ゴム粒子径が0.15〜0.35μmである共役ジエン系ゴム重合体成分と、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体および必要に応じてこれらと共重合可能なビニル単量体よりなる単量体成分と、からなるグラフト共重合体樹脂5〜40重量部、
    (C)請求項1に記載の式(I)で示される芳香族ジホスフェート1〜30重量部、および
    (D)ポリテトラフルオロエチレン0.1〜1.0重量部(但し、各成分の合計量は100重量部とする。)とを含有してなることを特徴とする難燃性熱可塑性樹脂組成物。
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