JP3007336B1 - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

難燃性樹脂組成物

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Abstract

【要約】 【課題】 成形性および難燃性に優れかつ熱劣化しにく
い難燃性スチレン系樹脂組成物の提供。 【解決手段】 少なくともスチレン系及び不飽和ニトリ
ル系単量体より成る重合体を海相成分(S)として、更
にこれらの単量体をグラフト及び上記単量体の共重合体
をオクルードしたゴム状重合体成分よりなる島相成分を
5〜35重量部含み、(S)中の不飽和ニトリル系単量
体(A)の2重連鎖であるAA連鎖成分が15%以上の
割合で、(S)のηsp/cが0.2〜0.65dl/gで
あるスチレン系重合体100重量部に対して燐酸エステ
ル系化合物1〜30重量部を混合してなる難燃性樹脂組
成物またはこれとポリカーボネートよりなる樹脂組成物
の提供。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は成形性および難燃性
に優れた難燃性樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、
成形性の優れた、熱劣化しにくい、難燃性樹脂組成物に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来からスチレン系樹脂は優れた成形性
と耐衝撃性を有する樹脂として知られ、成形加工材料と
して用いられている。従って、成形品に要求される物性
に応じて使用される樹脂材料が選択される。例えば、自
動車部品、家庭用電気部品、事務機器部品、機械部品な
どがあり、これらの樹脂材料として難燃性が要求される
場合がある。一般にスチレン系重合体、特にABS系樹
脂のアロイとして用いられる樹脂材料としては、ポリカ
ーボネート、塩化ビニル、PBT等があり、これら自身
は燃焼時、自己消火性を示すがスチレン系重合体とのア
ロイにより難燃性を低下させるという欠点がある。
【0003】この場合、一般にABSとポリカーボネー
トをアロイ化する場合にはハロゲン系難燃剤、リン系難
燃剤等の難燃剤を使用することにより難燃性の低下を防
止している。(特願平4−138080号、EP174
493号公報、EP174493号公報)しかしなが
ら、ハロゲン系難燃剤を配合した樹脂組成については成
形の際に熱分解したりするので、使用上問題がある場合
がある。このため、難燃剤として燐酸エステル系が使用
されることとなったが、通常のABS系樹脂を用いた場
合には、ホスフェート類は融点が低くまた液状であった
りして、配合加工性に劣り、耐熱性等の物性が劣るとい
う問題がある。
【0004】この問題を解決する為に、ポリテトラフル
オロエチレン、ポリシロキサン系化合物等を含有させ、
耐熱性、燃焼性を改良する方法等も提案されている。
(特開平7−196871、特開平7−11118)し
かしながら、これらの添加剤は非常に高価であり、ま
た、分散不良による外観不良等を引き起こしかねない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】スチレン系樹脂単独の
場合も物性が良好で、特にアロイ化した場合においても
難燃性の低下が少なく、しかも、成形性を大幅に改善
し、耐熱性が良好でさらに衝撃強度の改善された樹脂組
成物を安価に提供する方法の開発が望まれていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者は、こ
れらの欠点を改良すべく種々の検討をおこなった結果ス
チレン系重合体(I)の海相成分(S)の熱分解ガスク
ロマトグラフィーで測定したときに観察される海相成分
中の不飽和ニトリル系単量体(A)の連鎖分布のうち、
AA連鎖成分量が燃焼性に影響していることを見いだ
し、本発明を完成させた。
【0007】すなわち、本発明は、 少なくともスチレン系単量体及び不飽和ニトリル系
単量体、必要であれば前記単量体と共重合可能な他の単
量体より成る重合体を海相成分として、更に少なくとも
これらの単量体をグラフト及び上記単量体の共重合体を
オクルードしたゴム状重合体成分よりなる島相成分を5
ないし35重量部含み、かつ海相成分(S)の熱分解ガ
スクロマトグラフィーで測定したときに観察される海相
成分(S)中の不飽和ニトリル系単量体(A)の連鎖分
布のうち2重連鎖であるAA連鎖成分が15%以上の割
合で観測され、かつ海相成分(S)の還元粘度
(ηsp/c)が0.2〜0.65dl/gであるスチレン
系重合体(I)100重量部に対して燐酸エステル系化
合物1ないし30重量部の割合で混合してなる難燃性樹
脂組成物を提供することである。
【0008】 記載のスチレン系重合体(I)10
〜500重量部、および(II)熱可塑性ポリカーボネ
ート100重量部よりなる樹脂成分100重量部、に対
して燐酸エステル系化合物1ないし30重量部の割合で
混合してなる難燃性樹脂組成物を提供することである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、スチレン系重合体中(I)の海相成分
(S)に含まれる不飽和ニトリル系単量体成分の連鎖分
布が特に重要である。ここでスチレン系重合体の海相成
分(S)とはスチレン系重合体から、メチルエチルケト
ンとメタノール7:3(容量)の混合液不溶解成分を除
いた成分であり、不飽和ニトリル系単量体成分の連鎖成
分は海相成分(S)を加熱炉型熱分解ガスクロマトグラ
フィーを用い、580°Cでの分解成分のうち、それぞ
れの2連鎖についてモル濃度を求め、それぞれの連鎖成
分割合を求めた。
【0010】本発明では不飽和ニトリル系単量体成分
(A)の連鎖分布のうち2重連鎖であるAA成分が、観
測される全てのA成分のうちの15%以上であることが
必要である。海相成分中の不飽和ニトリル系単量体成分
のAA連鎖が観測されるA成分の15%以下の割合のも
のでは、難燃性が低下したり、衝撃強度が低下する為、
好ましくない。
【0011】本発明で用いるスチレン系重合体(I)か
ら、メチルエチルケトンとメタノール7:3(容量)の
混合液不溶解成分を除いた海相成分(S)の還元粘度の
範囲が、0.2〜0.65dl/gであり、好ましくは
0.25〜0.55dl/g、更に好ましくは0.3〜
0.5dl/gである。還元粘度が0.2dl/g、よ
り小さいと衝撃強度が著しく低下するので好ましくな
く、また、0.65dl/gを越えると流動性が低下
し、耐衝撃性が低下するため好ましくない。
【0012】ここで、還元粘度とは海相成分(S)の
0.25gを精秤し、ジメチルホルムアミド50mlに
2時間かけて溶解させた溶液を、溶媒の流下時間が20
〜100秒のウベローデ粘度系を用いて30°Cの環境
で測定して得られる値で、還元粘度は溶媒の流下秒数
(t0)と溶液の流下秒数(t)から次式によって求め
る。
【0013】 還元粘度(ηSP/C)={(t/t0)−1}/0.5
【0014】本願発明のスチレン系重合体としては乳化
重合、溶液重合または、塊状重合法で製造された、周期
律表第1または第2属金属の含有率が100wt.pp
m以下ものが用いられる。好ましくは溶液重合または、
塊状重合法で製造されたものである。
【0015】また本願発明のスチレン系重合体(I)は
単量体及び単量体の共重合体をグラフト及びオクルード
したゴム状成分、すなわち島相成分を5ないし35重量
部含むことが必要である。島相成分が5重量部以下では
衝撃強度が十分でなく、35重量部以上では成形性が低
下したり耐熱性が劣るので好ましくない。
【0016】本発明において、熱可塑性ポリカーボネー
ト(II)とABS系重合体(I)の混合物として特に
好ましく使用される。その配合比は(II)を100重
量部に対して(I)が10から500重量部、好ましく
は30から400重量部、更に好ましくは50から30
0重量部である。
【0017】(II)100重量部に対して、(I)が
10重量部未満であれば衝撃強度の厚み依存性が大きく
なり、また、500重量部より多いとポリカーボネート
が本来有する性質が損なわれる。
【0018】また、(I)または(I)と(II)の他
に必要に応じて他のABS系重合体やその他のポリマ
ー、または添加剤等を混合することも本発明の構成に含
まれる。例えば、他のポリマーとして、スチレン−アク
リロニトリル樹脂、ブタジエンゴム、SBR、エチレン
−プロピレンゴム、アクリル酸エステル−ブタジエン共
重合体等のアクリル系エラストマー等が好ましい。この
場合の他のポリマーの添加量は(I)または(I)と
(II)に対して0〜20重量%であり、20重量%以
下であれば難燃性が良好である。
【0019】本発明でいうスチレン系重合体とは、共役
ジエン系重合体存在下に芳香族ビニル単量体、不飽和ニ
トリル系単量体、及び必要に応じてこれらと共重合可能
なビニル単量体からなる単量体混合物を重合して得られ
るグラフト共重合体樹脂をいう。グラフト共重合体樹脂
を構成する共役ジエン系重合体としては、ポリブタジエ
ン、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アク
リロニトリル共重合体、ポリイソプレン、ポリクロロプ
レン等が挙げられる。この共役ジエン系重合体は一種、
または二種以上の混合物であってもよい。
【0020】芳香族ビニル単量体としては、スチレンα
−メチルスチレン、ジメチルスチレン、ビニルトルエン
等が挙げられる。
【0021】不飽和ニトリル系単量体としては、アクリ
ロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。本発
明では不飽和ニトリル系単量体含有率が少ない場合には
AA二重連鎖が少なくなるため15〜40重量%が樹脂
中に含まれるように用いられる。
【0022】更にこれらと共重合可能なビニル単量体と
しては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブ
チルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタ
クリレート、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチル
アクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒド
ロキシプロピルメタクリレート、マレイミド、N−フェ
ニルマレイミド等が挙げられる。これらの単量体は一種
または二種以上の混合物であってもよい。
【0023】本発明におけるABS系重合体の製造方法
の内、溶液重合または塊状重合法とが特に好ましく、具
体的な製造方法は、AA連鎖成分を15%以上にするた
めに重合時に用いる不飽和ニトリル単量体成分の50重
量%が重合するまで、不飽和ニトリル単量体成分モノマ
ーの重合液中での他成分モノマーに対する比率を常に2
5モル%以上に保ったまま重合する必要がある。
【0024】一例を挙げると上記モノマー成分を含む単
量体、及び必要であればエチルベンゼントルエン、メチ
ルエチルケトン等の溶剤に溶液重合で合成されたゴム状
重合体を溶解し、分子量調節剤、重合開始剤等添加する
か、あるいは添加しないで該ゴム状重合体の単量体溶液
を撹拌式反応器に連続的に供給し、該単量体の一部また
は全量を共重合させゴム状重合体成分の粒子を形成す
る。この際にゴム状重合体成分が0.1μmないし3μ
mの粒子として分散相を形成するよう。これはゴム状重
合体の溶解量、分子量調節剤、重合開始剤の使用量や重
合温度と撹拌速度を調整することによりゴム状重合体成
分の粒子を0.1μmないし3μmにコントロールしさ
らにゴム状重合体成分を5から35重量部含む様に重合
率を合わせた上で得られた重合体混合液を脱揮発分槽に
導入し、未反応単量体及び溶剤を含んでいる場合は溶剤
を重合体成分から分離する。その後造粒工程を経てペレ
ット状の樹脂成分(I)が得られる。
【0025】本発明においてスチレン系重合体(I)と
共に用いる場合のポリカーボネート(II)は、芳香族
ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、脂肪族−
芳香族ポリカーボネート等を挙げることができる。
【0026】一般には、該ポリカーボネートは溶剤法、
すなわち塩化メチレンなどの溶剤中で公知の酸受容体、
分子量調整剤の存在下に二価フェノールとホスゲンなど
のカーボネート前駆体とを反応させる所謂ホスゲン法、
二価フェノールとジフェニルカーボネートなどのカーボ
ネート前駆体とを反応させるエステル交換法などによっ
て得られる芳香族ポリカーボネート樹脂が代表的であ
る。好適に使用し得る二価フェノールとしては、ビスフ
ェノール類が挙げられ、特に、2、2−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)が好ま
しい。また、目的に応じてビスフェノールAの一部また
は全部を他の二価フェノールで置換したもの、ハロゲン
で置換されたビスフェノール類を用いた重合体であって
もよい。芳香族ポリカーボネート樹脂は、機械的強度及
び成形性の観点から、その粘度平均分子量が10,00
0〜100,000のものが好ましく、特に、15,0
00〜40,000のものが好適である。
【0027】本発明において使用する難燃剤は燐酸エス
テル系化合物であり、特に制限されず各種のものを用い
ることができる。具体的な燐酸エステル系化合物の例と
しては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェ
ート トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェ
ート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニル
ホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルフ
ェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェー
ト、ジイソプロピルフェニルホスフェート、トリス(ク
ロロエチル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピ
ル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェ
ート、ビス(2,3−ジブロモプロピル)−2,3−ジ
クロロプロピルホスフェート、トリス(2,3−ジブロ
モプロピル)ホスフェート及びビス(クロロプロピル)
モノオクチルホスフェート、ビスフェノールAテトラフ
ェニルジホスフェート、ビスフェノールAテトラクレジ
ルジホスフェート、ビスフェノールAテトラキシリルジ
ホスフェート、ヒドロキノンテトラフェニルジホスフェ
ート、ヒドロキノンテトラクレジルジホスフェート、ヒ
ドロキノンテトラキシリルジホスフェートなどが挙げら
れるが、好ましくはトリフェニルホスフェート及び各種
ビスホスフェートである。
【0028】上記の成分は、成分(I)、または(I)
及び(II)の合計100重量部に対して1〜30重量
部、好ましくは3〜20重量部、更に好ましくは5〜1
5重量部添加する。該成分の添加量が上記の範囲より少
ないと本発明の効果が十分発揮されず、上記の範囲より
多いと耐熱性が損なわれる。
【0029】尚、本発明にかかる難燃性樹脂組成物には
上記の各成分の他にその物性を損なわない限りにおい
て、その目的に応じて樹脂の混合時、成形時等に慣用の
他の添加剤、例えば顔料、染料、補強材(ガラス繊維、
炭素繊維等)、充填剤(カーボンブラック、シリカ、酸
化チタン等)、酸化防止剤、耐候剤、滑剤、離型剤、可
塑剤、帯電防止剤等周知の添加剤を配合する事ができ
る。
【0030】本発明の樹脂組成物を製造する為の方法に
特に制限はなく、公知の方法が使用できるが、一般に溶
融混合法が望ましい。装置としては押出機、バンバリー
ミキサー、ローラー、ニーダー等を例として挙げる事が
できる。これら装置は回分的または連続的に運転する事
ができる。また、成分の混合順序は特に限定されない。
【0031】
【実施例】以下、実施例に本発明につき更に詳細に説明
する。本発明はその要旨を越えない限り、以下の例に限
定されるものではない。尚、「部」、「%」比は重量基
準である。
【0032】以下の各実施例及び比較例において、難燃
性樹脂組成物の物性は次の方法によって測定した。 1.曲げ弾性率(MPa) 成形物を切り出し試験片とし、曲げ試験法(JIS K
7203)に準拠して測定した。 2.アイゾッド衝撃強さ(ノッチ付き)(KJ/m2 ) 成形物を切り出し試験片とし、アイゾッド衝撃試験法
(JIS K7110)に準拠して測定した。 3.耐熱温度の測定(゜C) ビカット軟化点はJIS K7206に準拠して、成形
物から試験片を切り出したサンプルを用いて測定した。 4.燃焼性 米国アンダーライターズ・ラボラトリーズ(UL)で規
格化されたサブジェクト94号(UL94)に基づき、
1.6mm厚みの燃焼試験を実施し、V−0,V−1,
V−2の難燃性クラスに分類、表示した。また、燃焼試
験において、有炎の滴下物により、試料の12インチ
(305mm)下にある乾燥した外科用脱脂綿を着火さ
せるか否かを判定した。 5.金型付着物質の観察 成形機のシリンダー温度260°C、金型温度60°
C、250ショット後の金型のガス抜け口の内部の付着
物を目視により観察し、付着物が無ければ○、有るとX
の判断を行なった。
【0033】
【実施例】実施例1 (II)熱可塑性ポリカーボネート 市販のポリカーボネート系重合体を用いた。下表にその
特徴を示す。
【0034】
【表1】
【0035】(I)ABS系重合体の製造 スチレン60重量部、アクリロニトリル20重量部、エ
チルベンゼン15重量部、ブタジエン共重合体10重量
部、有機過酸化物0.05重量部、ターシャリードデシ
ルメルカプタン0.08重量部よりなる原料溶液を調整
し、この原料を4段の撹拌式重合槽列反応器に連続的に
供給して重合を行なった。1段目の槽の平均反応温度1
05°C、2段目の槽では105°C、3段目の槽では
120°C、4段目の槽では125°Cとした。4段目
の槽より重合液を予熱器と減圧室より成る分離回収工程
に導いた。
【0036】回収工程から出た樹脂は押出工程を経て粒
状のペレットとしてABS系重合体(スチレン系重合体
(I))を得た。得られたABS系重合体の重合体成分
(P)の還元粘度は0.45dl/g、アクリロニトリ
ル含有量は25%、グラフト率は62%、ゴム状重合体
含有量は19.2%であった。ゴム状重合体成分の粒径
は1.1μmであった。また重合体(P)からメチルエ
チルケトンとメタノール7:3(容量)の混合液不溶解
成分を除いた成分である不飽和ニトリル系単量体成分の
連鎖成分は海相成分(S)を加熱炉型熱分解ガスクロマ
トグラフィーを用い、580°Cでの分解成分のうち、
それぞれのトライマー成分についてモル濃度を求め、そ
れぞれの連鎖成分割合を求めたところアクリロニトリル
単量体成分(A)の連鎖分布のうち2重連鎖であるAA
連鎖成分が観測されるA成分の17.9%であった。
(ABS−1) 〔ポリカーボネート/ABS難燃性樹脂組成物〕上記
(II)のポリカーボネート100重量部と上記(I)
で得られたABS重合体100重量部、及び燐酸エステ
ル系難燃剤(芳香族ホスフェート系オリゴマー:大八化
学(株)CR−733S)10重量部、抗酸化防止剤
0.2重量部を押出機により220°Cで混合した。得
られたペレットから試験片を作成して評価した結果を表
2に示す。尚、押出操作前にABS系重合体・ポリカー
ボネートとも100°Cにて12時間の乾燥を施した。
【0037】実施例2 実施例1で得られたABS重合体のみの評価結果を表2
に示す。
【0038】実施例3 スチレン46重量部、アクリロニトリル23重量部、エ
チルベンゼン15、スチレン−ブタジエンブロック共重
合体12重量部、有機過酸化物0.05重量部、ターシ
ャリードデシルメルカプタン0.15重量部よりなる原
料溶液を調整し、実施例1と同じように重合した。
【0039】得られたABS系重合体の重合体成分
(P)の還元粘度は0.37dl/g、アクリロニトリ
ル化合物含有量は28%、グラフト率は98%、ゴム状
重合体成分の粒径は1.3μmであり、その含有率は2
5%であった。また、重合体(P)からメチルエチルケ
トンとメタノール7:3(容量)の混合液不溶解成分を
除いた成分の熱分解クロマトグラフィーを測定してそれ
ぞれの連鎖分布割合を求めたところアクリロニトリル単
量体成分(A)の連鎖分布のうち2重連鎖であるAA連
鎖成分が観測されるA成分の15.8%であった。(A
BS−2)ポリカーボネートとABS重合体及び難燃剤
の混合は実施例1と同じとした。結果を表2に示す。
【0040】実施例4 スチレン56重量部、アクリロニトリル20重量部、エ
チルベンゼン14重量部ゴム状重合体(実施例1で用い
たもの)10重量部、有機過酸化物(実施例1で用いた
もの)0.05重量部、ターシャリードデシルメルカプ
タン0.18重量部とする以外は実施例1と同じとし
た。得られたABS系重合体の重合体成分(A)の還元
粘度は0.4dl/g、アクリロニトリル含有量は24
%、グラフト率は72%、ゴム状重合体成分の粒径は
0.8μmであり、その含有量は22.0%であった。
また、重合体(P)からメチルエチルケトンとメタノー
ル7:3(容量)の混合液不溶解成分を除いた成分の熱
分解ガスクロマトグラフィーを測定してそれぞれの連鎖
分布割合を求めたところアクリロニトリル単量体成分
(A)の連鎖分布のうち2重連鎖であるAA連鎖成分が
観測されるA成分の17.1%であった。(ABS−
3)ポリカーボネート100重量部に対して得られたス
チレン系重合体67重量部及び難燃剤を実施例1と同じ
で混合した結果を表2に示す。
【0041】実施例5 スチレン62重量部、アクリロニトリル23重量部、エ
チルベンゼン15重量部ゴム状重合体(実施例1で用い
たもの)9重量部、有機過酸化物(実施例1で用いたも
の)0.045重量部、ターシャリードデシルメルカプ
タン0.26重量部、1段目の槽の平均反応温度97°
C、2段目の槽では100°C、3段目の槽では120
°Cとして、4段目の槽では130°CとしてABS重
合体を得た。得られたABS系重合体の重合体成分
(A)の還元粘度は0.35dl/g。アクリロニトリ
ル含有量は25%、グラフト率は120%、ゴム状重合
体成分の粒径は2.2μmであり、その含有量19.8
%であった。また重合体(P)からメチルエチルケトン
とメタノール7:3(容量)の混合液不溶解成分を除い
た成分の熱分解ガスクロマトグラフィーを測定してそれ
ぞれの連鎖分布割合を求めたところアクリロニトリル単
量体成分(A)の連鎖分布のうち2重連鎖であるAA連
鎖成分が観測されるA成分の17.5%であった。(A
BS−4)ポリカーボネート100重量部に対して得ら
れたスチレン系重合体300重量部及び難燃剤を実施例
1と同じで混合した結果を表2に示す。
【0042】実施例6 実施例1のポリカーボネート100重量部と実施例1で
使用の燐酸エステル系難燃剤20重量部を混合する以外
は実施例1と同じとした。結果を表2に示す。
【0043】比較例1 スチレン60重量部、アクリロニトリル20重量部、エ
チルベンゼン15重量部ゴム状重合体(実施例1で用い
たもの)10重量部、有機過酸化物(実施例1で用いた
もの)0.05重量部、ターシャリードデシルメルカプ
タン0.18重量部、1段目の槽の反応温度105°
C、2段目の槽では120°C、3段目の槽では130
°Cとする以外は実施例1と同じとした。得られたAB
S系重合体の重合体成分(A)の還元粘度は0.68d
l/g、アクリロニトリル化合物含有量は23%、グラ
フト率70%、ゴム状重合体成分の粒径は1.0μmで
あり、その含有量は18重量部であった。また、重合体
(P)から、メチルエチルケトンとメタノール7:3
(容量)の混合液不溶成分を除いた成分の熱分解ガスク
ロマトグラフィーを測定してそれぞれの連鎖分布割合を
求めたところアクリロニトリル単量体成分(A)の連鎖
分布のうち2重連鎖であるAA連鎖成分が観測されるA
成分の17.5%であった。(ABS−5)ポリカーボ
ネート100重量部に対して得られたスチレン系重合体
300重量部及び難燃剤を実施例1と同じで混合した結
果を表3に示す。
【0044】比較例2 スチレン62重量部、アクリロニトリル15重量部、エ
チルベンゼン20、スチレン−ブタジエンブロック共重
合体12重量部、有機過酸化物0.05重量部、ターシ
ャリードデシルメルカプタン0.20重量部よりなる原
料溶液を調整し、実施例1と同じように重合した。
【0045】得られたABS系重合体の重合体成分
(P)の還元粘度は0.37dl/g、アクリロニトリ
ル含有量は16%、グラフト率は98%、ゴム状重合体
成分の粒径は1.3μmであり、その含有率は25%で
あった。また、重合体(P)からメチルエチルケトンと
メタノール7:3(容量)の混合液不溶解成分を除いた
成分の熱分解ガスクロマトグラフィーを測定してそれぞ
れの連鎖分布割合を求めたところアクリロニトリル単量
体成分(A)の連鎖分布のうち2重連鎖であるAA連鎖
成分が観測されるA成分の12.8%であった。また、
周期律表第1または第2属金属は100wt.ppm以
下であった。(ABS−6)。ポリカーボネートとAB
S重合体及び難燃剤の混合は実施例1と同じとした。結
果を表3に示す。
【0046】比較例3 実施例1のポリカーボネート100重量部と実施例1で
使用の燐酸エステル系難燃剤35重量部を混合する以外
は実施例1と同じとした。結果を表3に示す。
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
【発明の効果】本発明を実施することにより難燃性と耐
熱性、衝撃強度に優れたスチレン系樹脂組成物またはポ
リカーボネート/スチレン系樹脂組成物を提供でき、工
業上非常に有意義である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08F 291/02 C08F 291/02 (72)発明者 高久 真人 大阪府高石市高砂1丁目6番地 三井化 学株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 55/02,51/04,69/00 C08K 5/521

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともスチレン系単量体及び不飽和
    ニトリル系単量体、必要であれば前記単量体と共重合可
    能な他の単量体より成る重合体を海相成分として、更に
    少なくともこれらの単量体をグラフト及び上記単量体の
    共重合体をオクルードしたゴム状重合体成分よりなる島
    相成分を5ないし35重量部含み、かつ海相成分(S)
    の熱分解ガスクロマトグラフィーで測定したときに観察
    される海相成分(S)中の不飽和ニトリル系単量体
    (A)の連鎖分布のうち、2重連鎖であるAA連鎖成分
    が15%以上の割合で観測され、かつ海相成分(S)の
    還元粘度(ηsp/c)が0.2〜0.65dl/gである
    スチレン系重合体(I)100重量部に対して燐酸エス
    テル系化合物1ないし30重量部の割合で混合されてな
    る難燃性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 スチレン系重合体(I)が周期律表第1
    または第2属金属を100ppm以下しか含有しないこ
    とを特徴とする請求項1記載難燃性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のスチレン系重合
    体(I)10〜500重量部及び熱可塑性ポリカーボネ
    ート(II)100重量部よりなる樹脂成分100重量
    部に対して燐酸エステル系化合物1ないし30重量部の
    割合で混合してなる難燃性樹脂組成物。
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