JP2001342336A - ポリカーボネート系樹脂組成物 - Google Patents

ポリカーボネート系樹脂組成物

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JP2001342336A
JP2001342336A JP2000164175A JP2000164175A JP2001342336A JP 2001342336 A JP2001342336 A JP 2001342336A JP 2000164175 A JP2000164175 A JP 2000164175A JP 2000164175 A JP2000164175 A JP 2000164175A JP 2001342336 A JP2001342336 A JP 2001342336A
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graft
acrylate
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Hiroshi Sakabe
宏 坂部
Katsu Momose
克 百瀬
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Kureha Corp
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Kureha Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 加工性を損なうことなく、耐衝撃性を改善し
たポリカーボネート系樹脂組成物を与える。 【解決手段】 ポリカーボネート樹脂(A)と、ポリカ
ーボネート樹脂以外である第二重合体成分(B)と、グ
ラフト共重合体(C)とを含有するポリカーボネート系
樹脂組成物において、 [I]該グラフト共重合体(C)が、メタクリル酸メチ
ル,(メタ)アクリル酸アルキル,ビニル系単量体から
なる単量体混合物をグラフト重合してなるグラフト共重
合体であり、 [II]該第二重合体成分(B)が、ポリエステル系樹
脂および芳香族ビニル系樹脂からなる群より選ばれる一
種以上の樹脂であり、 [III]該グラフト共重合体(C)1〜60重量部
と、該第二重合体成分(B)0〜59重量部と、ポリカ
ーボネート樹脂(A)40〜99重量部((A)、
(B)、(C)の合計100重量部)とを含有するポリ
カーボネート系樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐衝撃性、加工性
および耐熱性に優れたポリカーボネート系樹脂組成物に
関する。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネート樹脂を主成分とし、更
にポリエステル樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタ
ジエン−スチレン)樹脂あるいはHIPS(高衝撃性ポ
リスチレン)樹脂を配合したポリカーボネート系樹脂組
成物は、耐衝撃性、加工性、耐熱性に優れることから、
家庭用電化製品、事務機器、自動車部品等、広範な用途
に使用されている。これらの用途のうち、難燃性が要求
される用途では難燃剤を配合することで難燃性を付与し
ている。
【0003】多くの場合、優れた耐衝撃性はジエン系ゴ
ム成分の添加によってもたらされており、とりわけジエ
ン系重合体をコア成分とするジエン系グラフト共重合体
による耐衝撃性改良効果が大きい。このため、以前より
主としてグラフト単量体成分の組成を各種変更したジエ
ン系グラフト共重合体の添加が提案されている。しかし
ながら、本発明者等の研究によれば、これら提案は、製
品組成物の主成分となるポリカーボネート樹脂との関係
でグラフト単量体成分の改良が不充分であり、またジエ
ン系グラフト共重合体の粒径制御が不充分であり、所望
の特性を有するポリカーボネート系樹脂組成物が得られ
ていなかった。
【0004】例えば、特公平6−70177号公報で
は、スチレン、α−メチルスチレン、核置換スチレンお
よびメタクリル酸メチルから選ばれた単量体と、(メ
タ)アクリロニトリル、メタクリル酸メチル、アクリル
酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルから選ば
れた単量体とを含む単量体混合物をジエン系ゴムにグラ
フト重合させたグラフト共重合体の使用を、また特開平
11−92649号公報では、メタクリル酸エチルとア
クリル酸エチルとの単量体混合物をジエン系ゴムにグラ
フト重合させたグラフト共重合体の使用を、それぞれ提
案している。しかし、これら公報には、グラフト共重合
体の粒子径分布についての記載が無く、粒子径分布を制
御していないために、グラフト成分による被覆が不十分
となり、グラフト共重合体とポリカーボネート樹脂ある
いは芳香族ビニル系(共)重合体との相溶性を低下さ
せ、耐衝撃強度の改善が十分ではなかったと解される。
【0005】他方、特開平6−299059号公報に
は、ジエン系ゴムに、スチレン、アクリロニトリルおよ
びメチルメタクリレートから選ばれた少なくとも一種の
ビニル単量体をグラフトしてなるグラフト共重合体に関
して、該グラフト共重合体の粒度分布を狭めることによ
る改良効果について述べられているが、該公報記載のグ
ラフト共重合体は、いわゆるABS樹脂であり、本発明
者らの研究によれば、グラフト成分にスチレンが用いら
れているために、ポリカーボネート樹脂との相溶性に劣
り、結果として、耐衝撃強度の改良効果が小さかったと
解される。
【0006】なお特公平6−70177号公報や特開平
11−92649号公報に記載されているメタクリル酸
メチルにアクリル酸ブチルやアクリル酸エチルを共重合
させることは、加工時の熱によるメタクリル酸メチルの
解重合を防ぐとともに、グラフト共重合体シェル部のガ
ラス転移温度(Tg)を下げて優れた加工性を与えるこ
とを目的としていると考えられる。しかしながら、優れ
た加工性を得るためにはこれらの単量体成分をグラフト
単量体混合物の数十%添加する必要があり、後述するよ
うにグラフト共重合体とポリカーボネート樹脂との、あ
るいは、グラフト共重合体とポリエステル樹脂または芳
香族ビニル(共)重合体との相溶性を低下させ、耐衝撃
強度の改善が十分ではなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これら従来
のポリカーボネート系樹脂組成物が有していた欠点を解
決し、耐衝撃性および加工性に優れたポリカーボネート
樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らが、前記目的
を達成するために鋭意研究した結果、ポリカーボネート
系樹脂組成物に配合するグラフト共重合体について、
(i)グラフト共重合体の粒子径分布を狭くし、(i
i)グラフト単量体成分に実質的にスチレンを用いず、
代りに限定的な量のメタクリル酸メチル以外の(メタ)
アクリル酸アルキルを、メタクリル酸メチルとともに用
いることにより、前記目的を達成できることを見出し
た。
【0009】すなわち、本発明によれば、ポリカーボネ
ート樹脂(A)と、ポリカーボネート樹脂以外である第
二重合体成分(B)と、グラフト共重合体(C)とを含
有するポリカーボネート系樹脂組成物において、[I]
該グラフト共重合体(C)が、(1)ゴム状重合体50
〜95重量%の存在下に、(2)メタクリル酸メチル7
0〜99重量%(c1)、メタクリル酸メチル以外の
(メタ)アクリル酸アルキル1〜30重量%(c2)お
よび共重合可能な他のビニル系単量体0〜29重量%
(c3)からなる単量体混合物((c1)、(c2)、
(c3)の合計100重量%)50〜5重量%をグラフ
ト重合してなるグラフト共重合体であり、(3)該グラ
フト共重合体(C)の体積平均粒子径(Dv)と数平均
粒子径(Dn)の比(Dv/Dn)が1.0〜1.7で
あり、かつ、[II]該第二重合体成分(B)が、ポリ
エステル系樹脂および芳香族ビニル系樹脂からなる群よ
り選ばれる一種以上の樹脂であり、[III]該グラフ
ト共重合体(C)1〜60重量部と、該第二重合体成分
(B)0〜59重量部と、ポリカーボネート樹脂(A)
40〜99重量部((A)、(B)、(C)の合計10
0重量部)とを含有することを特徴とするポリカーボネ
ート系樹脂組成物が提供される。
【0010】グラフト共重合体の体積平均粒子径(D
v)と数平均粒子径(Dn)の比(Dv/Dn)が1.
0〜1.7とすることは、グラフト共重合体の粒子径分
布を狭くすることであり、グラフト成分によるジエン系
ゴムの被覆が良好となり、この結果、グラフト共重合体
とポリカーボネート樹脂あるいは芳香族ビニル系(共)
重合体との相溶性を高めることが可能となり、耐衝撃性
を改良することができる。
【0011】グラフト共重合体のグラフト部にスチレン
が含有されると、グラフト共重合体とポリカーボネート
樹脂との相溶性を低下させ、耐衝撃強度を損なうので、
スチレンを使用せずに相溶性に優れるメタクリル酸に基
づく成分を多く使用することで相溶性を向上できる。
【0012】また、メタクリル酸メチル以外の(メタ)
アクリル酸アルキル(c2)をグラフト部の共重合成分
としてメタクリル酸メチルと併用すると、グラフト共重
合体のシェル部のTgを低下させる効果が得られる。こ
の効果は、(メタ)アクリル酸アルキル(c2)として
アルキル基の炭素数が、6以上であるものを用いる場合
に特に大きい。他方、(メタ)アクリル酸アルキル以外
の(メタ)アクリル酸アルキル(c2)は、一般に、ポ
リカーボネート系樹脂との相溶性を低下させ、多量に用
いることは耐衝撃性を発現させる上で好ましくなく、単
量体混合物の30重量%以下で用いられる。特にTg低
下効果の大なアルキル基の炭素原子数が6個以上である
(メタ)アクリル酸アルキルをグラフト部の共重合成分
(c2)として用いると、使用量を低減できるので、そ
の分ポリカーボネート樹脂との相溶性に優れる成分であ
るメタクリル酸メチルをグラフト単量体成分の95%以
上使用しても加工性が阻害されない。この結果、グラフ
ト共重合体とポリカーボネート樹脂あるいは第二重合体
成分との相溶性を高めることが可能となり、耐衝撃性を
改良することができる。
【0013】なお、本発明のグラフト共重合体を含むポ
リカーボネート樹脂組成物に、難燃剤を配合すれば耐衝
撃性と加工性に優れる難燃性ポリカーボネート樹脂組成
物としても用いることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】(1)グラフト共重合体(C) 本発明のグラフト共重合体(C)に用いられるゴム状重
合体としては、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン
ゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブタジエン
−アクリル酸エステル共重合体などのジエン系重合体、
ポリアクリル酸ブチル、アクリル酸ブチル−アクリル酸
2−エチルヘキシル共重合体などのアクリル系ゴム重合
体等が挙げられ、ゴム状重合体のガラス転移温度(T
g)が−50℃以下であることが好ましく、ジエン系重
合体が好ましい。ジエン系単量体と共重合されるビニル
系単量体の種類や量は特に制限されないが、1,3−ブ
タジエン50〜100重量%とビニル系単量体0〜50
重量%との(共)重合体であることが好ましく、1,3
−ブタジエンホモポリマーであることが特に好ましい。
ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレ
ンなどの芳香族ビニル系単量体;アクリル酸、メタクリ
ル酸、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル
酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリ
ル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−ヒ
ドロキシエチル、メタクリル酸グリシジルなどの(メ
タ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸アルキルエス
テル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの
不飽和ニトリル系単量体;などを挙げることができる。
【0015】ジエン系ゴムの重合に際し、ジビニルベン
ゼン、メタクリル酸アリル、ジメタクリル酸エチレング
リコール、1,3−ブチレンジメタクリレートなどの多
官能性単量体を適宜使用することができる。また、t−
ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタンなど
の連鎖移動剤を用いることもできる。ゴム状重合体のゲ
ル分や有機溶剤での膨潤度等については、特に制限され
ない。
【0016】ゴム状重合体は、公知の重合法によって得
ることができるが、特に乳化重合によって容易に得るこ
とができる。後述するグラフト共重合体の体積平均粒子
径(Dv)と数平均粒子(Dn)の比(Dv/Dn)が
満足される限りにおいて、ゴム状重合体を得る方法は制
限されず、酸、塩、高分子凝集剤、凝集用ラテックス等
を添加することによって肥大化粒子を得る方法、シード
重合法等を採用できる。また、ゴム状重合体が組成の異
なる多層やサラミなどの構造を持っていても良い。
【0017】ゴム状重合体の重合に用いられる界面活性
剤は、特に制限されないが、カルボン酸系界面活性剤、
スルホン酸系界面活性剤、硫酸エステル系界面活性剤等
のアニオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン界面
活性剤、ノニオン界面活性剤などを挙げることができ、
これらから選ばれる一種または二種以上を用いることが
できる。重合開始剤も特に制限されず、熱分解型重合開
始剤、レドックス系重合開始剤などを挙げることができ
る。
【0018】ゴム状重合体の粒子径も特に制限されない
が、80〜1000nmであることが好ましく、120
〜800nmであることが特に好ましい。
【0019】グラフト重合においては、前記ゴム状重合
体50〜95重量%の存在下に、メタクリル酸メチル7
0〜99重量%(c1)、メタクリル酸メチル以外の
(メタ)アクリル酸アルキル1〜30重量%(c2)お
よび共重合可能な他のビニル系単量体0〜29重量%
(c3)からなる単量体混合物((c1)、(c2)、
(c3)の合計100重量%)50〜5重量%がグラフ
ト重合される。特にグラフト単量体混合物の組成として
は、メタクリル酸メチル80〜99重量%(c1)、ア
ルキル基の炭素原子数が6個以上である(メタ)アクリ
ル酸アルキル1〜20重量%(c2)および共重合可能
な他のビニル系単量体0〜19重量%(c3)からなる
単量体混合物((c1)、(c2)、(c3)の合計1
00重量%)であることが好ましく、メタクリル酸メチ
ル90〜99重量%(c1)、アルキル基の炭素原子数
が6個以上である(メタ)アクリル酸アルキル1〜10
重量%(c2)および共重合可能な他のビニル系単量体
0〜9重量%(c3)からなる単量体混合物((c
1)、(c2)、(c3)の合計100重量%)である
ことが更に好ましい。また、グラフト重合成分のFox
の式等によって計算される見掛けのガラス転移温度(T
g)が30〜100℃であることが好ましい。
【0020】メタクリル酸メチル以外の(メタ)アクリ
ル酸アルキル(c2)としては、アクリル酸メチル、
(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチ
ル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸
シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシ
ル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸
ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)ア
クリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベンジルなど
を挙げることができる。
【0021】アルキル基の炭素原子数が6個以上である
(メタ)アクリル酸アルキルとしては、(メタ)アクリ
ル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、
(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アク
リル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メ
タ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステア
リル、(メタ)アクリル酸ベンジルなどを挙げることが
でき、これらのうちアクリル酸2−エチルヘキシルが特
に好ましい。
【0022】共重合可能な他のビニル系単量体(c3)
としては、前述のジエン系ゴムの重合に使用される共重
合可能な他のビニル系単量体から(メタ)アクリル酸ア
ルキルを除いた群より選ばれる単量体を一種または二種
以上使用することができるが、スチレンを使用しないこ
とが好ましい。
【0023】グラフト重合においても、ジビニルベンゼ
ン、メタクリル酸アリル、ジメタクリル酸エチレングリ
コール、1,3−ブチレンジメタクリレートなどの多官
能性単量体を適宜使用することができる。また、t−ド
デシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタンなどの
連鎖移動剤を用いることもできる。グラフト共重合体か
らの有機溶媒等による抽出成分やその量、抽出成分の分
子量や分子量分布等については、特に制限されない。
【0024】グラフト重合においては、乳化重合法を用
いるのが好ましく、前述のジエン系ゴムの重合において
挙げた界面活性剤の群、重合開始剤の群からそれぞれ選
ばれるものを使用できる。
【0025】グラフト重合は、一段または二段以上で行
われ、各段の単量体組成が同一であっても異なっていて
もよく、また、単量体を一括添加しても、連続的に添加
しても、あるいはこれらを組み合わせてもよい。
【0026】グラフト共重合体の体積平均粒子径(D
v)と数平均粒子径(Dn)の比(Dv/Dn)が1.
0〜1.7であることが必要であり、1.0〜1.5、
更には1.0〜1.3であることが好ましい。またグラ
フト共重合体の体積平均粒子径(Dv)は、85〜10
00nm、更に130〜800nm、特に170〜60
0nmの範囲内であることが好ましい。
【0027】一般に、グラフト共重合体の粒径分布は、
グラフト重合に供されるラテックス中のゴム状重合体の
粒径分布によって支配されることが多い。このため、グ
ラフト重合に供されるゴム状重合体粒子自体が、Dv/
Dn=1.0〜1.7、更に1.0〜1.5、特に1.
0〜1.3であることが好ましく、また上述したよう
に、望ましい耐衝撃性付与効果を与えるために、ゴム状
重合体粒子の体積平均粒子径(Dv)が80〜1000
nm、更に120〜800nm、特に160〜600n
mであることが好ましい。
【0028】一般に、このような粒径(特に160nm
を超えるような粒径)のゴム状重合体ラテックスを、通
常の一段重合で得ることは困難であり、一般に一段目の
乳化重合で、例えば40〜120nmというような目標
とするゴム粒子径より小粒径のゴム状重合体を含むラテ
ックスを得たのち、更にモノマーを追加してシード重合
を進めることにより、あるいは凝析によりゴム状重合体
の粒径肥大化をして、上記範囲の平均粒径ならびに粒径
分布を有するゴム状重合体を含むラテックスを得てか
ら、グラフト重合を行う方法が採られる。
【0029】狭い粒径分布(小なるDv/Dn比)を有
するゴム状重合体ラテックスを得るという目的のために
は、シード重合が特に好ましく、また凝析による粒径肥
大化としては、塩酸等の強酸による凝集は好ましくな
く、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酒石酸等の有機酸や、
炭酸、リン酸等の強酸でない(比較的小さな酸解離定数
を持つ)無機酸による凝集を行うことが好ましい。
【0030】上述したように、比較的大なるDvと、小
さなるDv/Dn比を有するゴム状重合体のラテックス
を用いて、グラフト重合を行うことにより、ゴム状重合
体粒子上に、均質で比較的厚いメタクリル酸メチルを主
成分とするポリカーボネート樹脂との相溶性の良いグラ
フト重合体層が形成されて、最終的に加工性と耐衝撃性
の改善されたポリカーボネート系樹脂組成物が得られる
ことになる。
【0031】これに対し、通常行われる方法によって得
られるグラフト共重合体、すなわち、一段重合により得
た比較的小さな粒径のゴム状重合体を含むラテックスを
用いて、強酸による凝集を行い粒子径を肥大化させた
後、グラフト重合を行って得られたグラフト共重合体
(例えば特開平11−92649号公報)においては、
広い粒径分布を持つために、厚いグラフト重合体層を形
成することが困難である。このために、ポリカーボネー
ト樹脂との相溶性が劣り、耐衝撃性改善効果が劣ってし
まう。
【0032】(2)ポリカーボネート樹脂(A) 本発明に用いられるポリカーボネート樹脂は、種々のジ
ヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させる
ホスゲン法、またはジヒドロキシジアリール化合物とジ
フェニルカーボネートなどの炭酸エステルとを反応させ
るエステル交換法によって得られる重合体であり、代表
的なものとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン;「ビスフェノールA」から製造された
ポリカーボネート樹脂が挙げられる。
【0033】ビスフェノールA以外のジヒドロキシジア
リール化合物としては、ビス(ヒドロキシアリール)ア
ルカン類、ビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン
類、ジヒドロキシジアリールエーテル類、ジヒドロキシ
ジアリールスルフィド類、ジヒドロキシジアリールスル
ホキシド類、ジヒドロキシジアリールスルホン類等を挙
げることができる。
【0034】これから選ばれる一種または二種以上を使
用でき、さらにこれらの他に、ビペラジン、ジビペリジ
ルハイドロキノン、レゾルシン、4,4′−ジヒドロキ
シジフェニル等を混合してもよい。
【0035】これらポリカーボネート樹脂の製造に際し
ては、適宜、分子量調整剤、架橋剤、触媒等を使用する
ことができる。ポリカーボネート樹脂の分子量、分子量
分布、溶液粘度、溶融粘度等については、特に制限はな
い。
【0036】(3)第二重合体成分(B) 本発明に用いられる第二重合体成分は、ポリエステル系
樹脂および芳香族ビニル系樹脂からなる群より選ばれる
一種以上の樹脂である。
【0037】ポリエステル系樹脂については、特に制限
はなく、ポリエステル系樹脂の分子量、分子量分布、溶
液粘度、溶融粘度等についても、特に制限はない。
【0038】ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ
1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート等の
ポリアルキレンテレフタレートや、ポリエチレン−2,
6−ナフタレート等のポリアルキレンナフタリンジカル
ボン酸など、およびこれらのコポリエステルやこれらを
イソフタル酸等で変成した共重合ポリエステル樹脂など
を挙げることができ、一種または二種以上を用いること
ができる。これらのうち、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレートが好ましい。
【0039】芳香族ビニル系(共)重合体については、
特に制限はなく、芳香族ビニル系単量体または芳香族ビ
ニル単量体と共重合可能な他のビニル系単量体との単量
体混合物を重合してなる(共)重合体であればよい。芳
香族ビニル系(共)重合体の分子量、分子量分布、溶液
粘度、溶融粘度等についても、特に制限はない。
【0040】芳香族ビニル系単量体としては、スチレ
ン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、クロロ
スチレン、ブロモスチレンなどを挙げることができ、一
種または二種以上を用いることができる。これらのう
ち、特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。こ
れら芳香族ビニル系単量体と共重合可能な他の単量体と
しては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの
不飽和ニトリル系単量体;アクリル酸、メタクリル酸、
アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−
エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エ
チル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキ
シエチル、メタクリル酸グリシジルなどの(メタ)アク
リル酸および(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;
マレイン酸、マレイン酸無水物などの不飽和ジカルボン
酸および不飽和ジカルボン酸無水物;マレイミド、メチ
ルマレイミド、エチルマレイミド、N−フェニルマレイ
ミドなどのマレイミド系単量体;などを挙げることがで
き、一種または二種以上を用いることができる。これら
の芳香族ビニル系単量体と共重合可能な他のビニル系単
量体のうち、不飽和ニトリル系単量体が好ましい。
【0041】本発明のポリカーボネート系樹脂組成物
は、上述したポリカーボネート樹脂(A)40〜99重
量部に、第二重合体成分(B)0〜59重量部およびグ
ラフト共重合体(C)1〜60重量部((A)、(B)
および(C)の合計100重量部)を配合することによ
り得られる。グラフト共重合体(C)が1重量部未満で
は、その配合による耐衝撃性改善効果が充分でなく、他
方60重量部を超えると、加工性の悪化や組成物の剛性
の低下を引き起こすので好ましくない。
【0042】また第二重合体成分(B)は、本発明のポ
リカーボネート系樹脂組成物の流動性に代表される加工
性や耐熱性等の性質を改善するために必要に応じて、添
加されるものであるが、59重量部を超えて添加する
と、ポリカーボネート樹脂が本来有する耐衝撃性が損な
われ、グラフト共重合体(C)の添加によっても補えな
くなるので好ましくない。
【0043】(4)難燃剤 本発明のポリカーボネート系樹脂組成物には、その10
0重量部(上記成分(A)、(B)および(C)の合計
量)に対して0.1〜20重量部程度の難燃剤を添加す
ることも好ましい。
【0044】難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤、リン
系難燃剤、シリコーン系難燃剤からなる群より選ばれる
少なくとも1種が配合される。
【0045】ハロゲン系難燃剤としては、デカブロモジ
フェニルオキサイド、TBAエポキシオリゴマー・ポリ
マー、TBAカーボネートオリゴマー、TBA−ビス
(2−ヒドロキシエチルエーテル)、TBA−ビス
(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、TBA−ビス
(アリルエーテル)、トリブロモフェニルアリルエーテ
ル、トリブロモネオペンチルアルコール、ビス(2,
4,6−トリブロモフェノキシ)エタン、ポリジブロモ
フェニレンエーテル、テトラブロモシクロオクタン、臭
素化ポリスチレン、エチレンビステトラブロモフタルイ
ミド、エチレンビスペンタブロモジフェニル、ヘキサブ
ロモシクロドデカン、ヘキサブロモベンゼン、オクタブ
ロモジフェニルエーテル/オクタブロモジフェニルオキ
サイド、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシア
ヌレート、テトラブロモビスフェノールS、ペンタブロ
モトルエン、塩素化パラフィン、塩素化ポリエチレン、
デクロランプラス(パークロロシクロペンタデカノ
ン)、テトラブロモビスフェノールA、ジブロモフェノ
ールグリシジルエーテル、臭素化芳香族トリアジン、ト
リブロモフェノール、テトラブロモフタレート、テトラ
クロロ無水フタル酸、ジブロモネオペンチルグリコー
ル、ポリ(ペンタブロモベンジルポリアクリレート)、
臭素化フェノールグリシジルエーテル、ジブロモクレジ
ルグリシジルエーテル、ポリテトラフルオロエチレン、
テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共
重合体等を挙げることができ、これらから選ばれる1種
あるいは2種以上を使用することができる。
【0046】リン系難燃剤としては、赤リン、ホスフィ
ン、次亜リン酸、亜リン酸、メタリン酸、ピロリン酸、
無水リン酸等の無機リン系化合物、またはリン酸トリフ
ェニル、リン酸トリブチル、リン酸トリクレシル、リン
酸ジフェニルオクチル、リン酸ジフェニル−2−エチル
クレシル、リン酸トリ−(イソプロピルフェニル)、メ
チルホスホン酸ジフェニルエステル、リン酸ジフェニル
クレシル等の有機リン酸エステル類、リン酸トリス−
(2−クロロエチル)、リン酸トリス−(2,3−ジブ
ロモプロピル)、リン酸ハロゲン置換アリールエステル
等の含ハロゲン有機リン酸エステル類等を挙げることが
でき、これらから選ばれる1種あるいは2種以上を使用
することができる。
【0047】シリコーン系難燃剤としては、各種シリコ
ーン化合物を使用でき、これらから選ばれる1種あるい
は2種以上を使用することができる。
【0048】本発明のポリカーボネート系樹脂組成物
は、上述した成分(A)、(B)、および(C)、任意
成分としての難燃剤(D)、更には、滑剤、着色剤、充
填剤、帯電防止剤、酸化防止剤等の任意添加剤を混合す
ることにより得られるものであり、必要に応じて、ヘン
シェルミキサー、リボンブレンダー等の粉体混合装置に
より混合した後、ニーダー、一軸押出機、二軸押出機、
ニーダー等により溶融混練して、例えばペレット状にし
て流通あるいは加工用途に供される。得られた本発明の
ポリカーボネート系樹脂組成物は、射出成形をはじめポ
リカーボネート樹脂について公知の成形法に使用可能で
ある。
【0049】
【実施例】以下、合成例、実施例、および比較例を挙げ
て、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら
の実施例のみに制限されるものではない。なお、以下の
実施例および比較例において、「部」および「%」は、
特に断りに断りのない限り、それぞれ「重量部」および
「重量%」を表す。物性および性能の測定法は以下の通
りである。
【0050】(1)体積平均粒子径と粒子径分布 体積平均粒子径(Dv)、あるいは単に平均粒子径と記
載した場合は、グラフト共重合体を透過型電子顕微鏡で
観察し、得られた電子顕微鏡写真を画像解析装置(旭エ
ンジニアリング製「IP−500PC」)によって画像
解析して測定した。また、粒子径分布(Dv/Dn)
は、体積平均粒子径(Dv)と前記と同様に画像解析し
て得られた数平均粒子径(Dn)との比を算出したもの
である。なお、測定対象粒子径下限は、10nmであ
る。
【0051】(2)衝撃強度 ラボ押出機(東洋精機製)を用いてペレットを作成した
後、射出成型機(東芝機械製「IS−80」)を用いて
6mm厚の試料片を作成し、JIS K7110に準じ
て、試験片の耐衝撃強度(ノッチ付アイゾット衝撃強
度)を−20℃あるいは−40℃で測定した。
【0052】(3)加工性 加工性の指標として、ASTM D−256に準じて、
220℃、荷重10kgでメルトフローレートを測定し
た。
【0053】[合成例1] 1.ジエン系ゴム重合体の重合 撹拌機付耐圧容器に ピロリン酸四ナトリウム塩 0.15 部 硫酸第一鉄 0.005部 エチレンジアミンテトラ酢酸ジナトリウム塩 0.008部 ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.1 部 ドデシルフェニルエーテルジスルホン酸ジナトリウム 0.8 部 蒸留水 200 部 を仕込み、窒素置換した後で、 ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド 0.2 部 ブタジエン 100 部 を添加し、50℃で20時間保持し、転化率98重量%
で、体積平均粒子径100nmのジエン系ゴムラテック
ス(1a)を得た。
【0054】このゴムラテックス(1a)を種粒子とし
て用い、以下のごとくシード重合を行った。すなわち、
撹拌機付耐圧容器に、 ピロリン酸四ナトリウム塩 0.15 部 硫酸第一鉄 0.005部 エチレンジアミンテトラ酢酸ジナトリウム塩 0.008部 上記ゴムラテックス(1a)(固形分として) 10 部 蒸留水 200 部 を仕込み、60℃まで昇温し、窒素置換した後、 ブタジエン 70 部 ドデシルフェニルエーテルジスルホン酸ジナトリウム 1 部 を12時間にわたって添加し、ブタジエンの添加と同時に、 t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.2 部 ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.2 部 の添加を開始し24時間にわたって添加し、さらに12
時間保持して、転化率97%、体積平均粒子径190n
mのジエン系ゴムラテックス(1b)を得た。
【0055】2.グラフト重合 上記で得られたゴムラテックス(1b)(固形分約80
部)を50℃に保持しながら、単量体 メタクリル酸メチル 15 部 アクリル酸ブチル 5 部 を1時間にわたって添加した。
【0056】 t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.05 部 ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.05 部 を単量体と同時に添加を開始し、3時間にわたって添加
した。さらに、3時間保持して、体積平均粒子径200
nm、Dv/Dn=1.08のグラフト共重合体ラテッ
クス(1c)を得た。
【0057】このグラフト共重合体ラテックスにブチル
化ヒドロキシトルエン(BHT)0.5部を添加した
後、1%塩化カルシウム水溶液で凝析を行い、水洗、脱
水、乾燥して、粉体状のグラフト共重合体(1d)を得
た。
【0058】[合成例2、3および4]グラフト重合に
おいて、下表1に記載の単量体組成を用いた以外は、合
成例1と同様にして、グラフト共重合体ラテックス(2
c)、(3c)および(4c)を合成した。該ラテック
スは、すべて、体積平均粒子径200nm、Dv/Dn
=1.08であった。合成例1と同様にして、該ラテッ
クスから粉体状のグラフト共重合体(2d)、(3d)
および(4d)を分離・回収した。
【0059】
【表1】
【0060】[合成例5] 1.ジエン系ゴム重合体の重合 撹拌機付耐圧容器に ピロリン酸四ナトリウム塩 0.15 部 硫酸第一鉄 0.005部 エチレンジアミンテトラ酢酸ジナトリウム塩 0.008部 ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.1 部 オレイン酸カリウム 1.0 部 蒸留水 160 部 を仕込み、窒素置換した後で、 ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド 0.2 部 ブタジエン 80 部 を添加し、50℃で20時間保持し、転化率98重量%
で、体積平均粒子径90nmのジエン系ゴムラテックス
(5a)を得た。
【0061】このゴムラテックス(5a)に、 ドデシルフェニルエーテルジスルホン酸ジナトリウム 0.05 部 を添加した後、 5%酢酸水溶液 10 部 を添加して、凝集肥大化をした後、1%水酸化カリウム
水溶液を系のpHが9.5に達するまで添加し、体積平
均粒子径200nmのジエン系ゴムラテックス(5b)
を得た。
【0062】2.グラフト重合 上記で得られたジエン系ゴムラテックス(5b)に、合
成例3と同様にして、グラフト重合を行い、体積平均粒
子径205nm、Dv/Dn=1.35のグラフト共重
合体ラテックス(5c)を合成し、該ラテックスから粉
体状のグラフト共重合体(5d)を分離・回収した。
【0063】[合成例6]5%酢酸水溶液10部を添加
する代わりに、0.2%塩酸水40部を添加して体積平
均粒子径200nmのジエン系ゴムラテックス(6b)
を得た以外、合成例5と同様にして、体積平均粒子径2
00nm、Dv/Dn=1.90のグラフト共重合体ラ
テックス(6c)を合成し、該ラテックスから粉体状の
グラフト共重合体(6d)を分離・回収した。
【0064】[実施例1〜5、比較例1および2]下表
2に記載された配合で各成分を混合し、得られた各ポリ
カーボネート系樹脂組成物からラボ押出機(東洋精機
製)を用いてペレットを作成した後、射出成型機を用い
て該ペレットから6mm厚の試料片を作成し、JIS
K7110に準じて、試験片の耐衝撃強度を−20℃あ
るいは−40℃で測定した。なお、使用したポリカーボ
ネート樹脂は、帝人化成製、「パンライト L−125
0WP」;芳香族ビニル系重合体は、アクリロニトリル
−スチレン樹脂(旭化成製、「スタイラック T870
5」)、ポリエステル系樹脂は、ポリエチレンテレフタ
レート(三井化学製、「三井 PET SE03
0」)、難燃剤は、リン酸トリフェニル(大八化学製、
「TPP」)である。
【0065】下表2に結果を示す。
【0066】
【表2】
【0067】表2に示した通り、第二重合体成分(B)
として芳香族ビニル系重合体を配合した実施例1〜4お
よび比較例1〜2において、本発明によって粒子径分布
を狭くし、グラフト成分中にメタクリル酸メチルに加え
て少量のメタアクリル酸メチル以外の(メタ)アクリル
酸アルキル量を加えて得られたグラフト共重合体1d〜
3dおよび5dを使用して得られた実施例1〜4では、
衝撃強度が優れ、特にグラフト成分(c2)中に炭素原
子数が8個のアクリル酸2−エチルヘキシルを使用した
グラフト共重合体3dおよび5dを使用する実施例3、
4では、衝撃強度の改良効果が大きい。
【0068】これに対して、グラフト成分中にスチレン
を含み、メタクリル酸メチル含有量(c1)が本発明の
範囲より少ない50重量%であるグラフト共重合体4d
(合成例4)を含む比較例1では、グラフト共重合体と
ポリカーボネート樹脂あるいは芳香族ビニル共重合体と
の相溶性に劣るために衝撃強度の改良効果に劣る。比較
例2は、実施例3、4に使用しているグラフト共重合体
3dと同一の組成を有するが、Dv/Dn=1.90と
粒子径分布が広いグラフト共重合体6dを用いた組成物
の例であり、グラフト成分によるジエン系ゴムの被覆が
不十分で、グラフト共重合体とポリカーボネート樹脂あ
るいは芳香族ビニル共重合体との相溶性に劣るためと考
えられるが、衝撃強度の改良効果に劣る。
【0069】また、実施例5は、実施例3で使用してい
る芳香族ビニル系樹脂に代えてポリエステル系樹脂を用
いた例であり、衝撃強度が一層改善されている。
【0070】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明のポリカー
ボネート系樹脂組成物は、加工性を損なうことなく耐衝
撃性を改良しうるものである。したがって、本発明のポ
リカーボネート系樹脂組成物は、家庭用電化製品、事務
機器、自動車部品等、広範な用途に使用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 67/00 C08L 67/00 101/00 101/00 Fターム(参考) 4J002 AA01X BC00X BN12Y BN14Y CF04X CG00W FD136 GN00 GQ00 4J026 AA45 AA67 BA27 DA04 DA12 DA13 DB04 DB12 DB13 GA09

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリカーボネート樹脂(A)と、ポリカ
    ーボネート樹脂以外である第二重合体成分(B)と、グ
    ラフト共重合体(C)とを含有するポリカーボネート系
    樹脂組成物において、[I]該グラフト共重合体(C)
    が、 (1)ゴム状重合体50〜95重量%の存在下に、 (2)メタクリル酸メチル70〜99重量%(c1)、
    メタクリル酸メチル以外の(メタ)アクリル酸アルキル
    1〜30重量%(c2)および共重合可能な他のビニル
    系単量体0〜29重量%(c3)からなる単量体混合物
    ((c1)、(c2)、(c3)の合計100重量%)
    50〜5重量%をグラフト重合してなるグラフト共重合
    体であり、 (3)該グラフト共重合体(C)の体積平均粒子径(D
    v)と数平均粒子径(Dn)の比(Dv/Dn)が1.
    0〜1.7であり、かつ、[II]該第二重合体成分
    (B)が、ポリエステル系樹脂および芳香族ビニル系樹
    脂からなる群より選ばれる一種以上の樹脂であり、[I
    II]該グラフト共重合体(C)1〜60重量部と、該
    第二重合体成分(B)0〜59重量部と、ポリカーボネ
    ート樹脂(A)40〜99重量部((A)、(B)、
    (C)の合計100重量部)とを含有することを特徴と
    するポリカーボネート系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 グラフト共重合体(C)のグラフト単量
    体成分(2)にスチレンが含まれないことを特徴とする
    請求項1記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 グラフト共重合体(C)のゴム状重合体
    (1)がジエン系ゴムであることを特徴とする請求項1
    または2記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 (メタ)アクリル酸アルキル(c2)の
    アルキル基の炭素原子数が6個以上であることを特徴と
    する請求項1〜3記載のポリカーボネート系樹脂組成
    物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4記載のポリカーボネート系
    樹脂組成物に、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、シリ
    コーン系難燃剤からなる群より選ばれる少なくとも1種
    を配合してなることを特徴とする難燃性ポリカーボネー
    ト系樹脂組成物。
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