JP7120301B2 - ゴム含有グラフト重合体及び樹脂組成物 - Google Patents

ゴム含有グラフト重合体及び樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、ゴム含有グラフト重合体及び樹脂組成物に関する。
本願は、2018年3月28日に、日本に出願された特願2018-061724号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
ゴム含有グラフト重合体は、ゴム状重合体にビニル単量体をグラフト重合したものである。ゴム含有グラフト重合体は、乳化重合で製造され、所定のゴム粒径及びゴム構造を維持したまま、多種多様な樹脂に分散させることができる。そのため、ゴム含有グラフト重合体を樹脂に配合して、成形体の耐衝撃性を改良できる。
耐衝撃性を改良するには、通常、150~250nmの粒径のゴム含有グラフト重合体が用いられる。このような粒径のゴム含有グラフト重合体としては、凝集肥大化ゴム含有グラフト重合体も用いられる。凝集肥大化ゴム含有グラフト重合体は、小粒径のゴム状重合体を凝集して肥大化した凝集肥大化ゴム状重合体に、ビニル単量体をグラフト重合して得られる。ゴム状重合体の凝集肥大化技術として、電解質、高分子有機酸ラテックス又は酸を用いた凝集肥大化技術が知られている。
酸を用いた凝集肥大化技術に関する研究は以前から数多く行われてきた。ゴム状重合体ラテックスに酸を添加して、ラテックスのpHを低下させ、ラテックス粒子を凝集肥大化し、その後、塩基性物質を添加して、系のpHをアルカリ性にしてラテックスを安定化する方法がよく知られている。しかし、凝集肥大化後のゴムの粒度分布をいかにして制御するかが問題であった。
特許文献1には、ポリカーボネート、ポリエステルベース樹脂、又はそれらの混合物に配合して耐衝撃性を改善するための、コア・シェルグラフト重合体が記載されている。
特許文献2には、ポリカーボネート樹脂組成物に配合して耐衝撃性及び加工性を改善するための、グラフト重合体が記載されている。
特許文献3には、制振性熱可塑性樹脂組成物に配合して耐衝撃性を改善するための、グラフト重合体が記載されている。
特許文献4には、熱可塑性樹脂組成物に配合して耐衝撃性を改善するための、グラフト重合体が記載されている。
特表2008-520805号公報 特開2001-342336号公報 特開平11-140268号公報 特開2014-122255号公報
しかし、本発明者らの検討によれば、特許文献1~4に記載されたグラフト重合体を配合した樹脂組成物の成形体は、耐衝撃性が十分ではない。
そこで、本発明は、優れた耐衝撃性を有する成形体を得られ、かつ、生産性に優れるブタジエンゴム含有グラフト重合体及び樹脂組成物を提供することを課題とする。
上記課題は、以下の構成によって解決される。
[1] 以下の条件(1)、(2)及び(3)を満たすブタジエンゴム含有グラフト重合体。
(1)円換算直径が100nm以上の粒子の個数に対する円換算直径が400nm以上の粒子の個数の割合が5%以下である。
(2)円換算直径が100nm以下の粒子を除外して算出した体積平均粒径が150~250nmである。
(3)円換算直径が150nm以上の粒子の個数に対する、円換算直径が150nm以上かつ円形度が0.75以下の粒子の個数の割合が70%以上である。
[2] リン元素を200質量ppm以上含む、[1]に記載のブタジエンゴム含有グラフト重合体。
[3] ナトリウム元素を100質量ppm以下含む、[1]又は[2]に記載のブタジエンゴム含有グラフト重合体。
[4] 脂肪酸及びその塩からなる群から選択される1種以上を合計で1質量%以上含む、[1]~[3]のいずれか1項に記載のブタジエンゴム含有グラフト重合体。
[5] 前記ブタジエンゴム含有グラフト重合体のグラフト鎖のビニル単量体に由来する単位の合計質量の95質量%以上がメチルメタクリレートに由来する単位である、[1]~[4]のいずれか1項に記載のブタジエンゴム含有グラフト重合体。
[6] 前記ブタジエンゴム含有グラフト重合体を有機溶剤と混合して有機溶剤不溶分と有機溶剤可溶分とに分離したとき、前記有機溶剤不溶分が前記ブタジエンゴム含有グラフト重合体のグラフト鎖を含み、前記グラフト鎖がカプロラクトン単位を含む、[1]~[5]のいずれか1項に記載のブタジエンゴム含有グラフト重合体。
[7] ブタジエンゴムを含むゴムラテックスとビニル単量体とを、前記ブタジエンゴム/前記ビニル単量体=45/55~90/10の質量比で混合し、前記ブタジエンゴムに前記ビニル単量体をグラフト重合して得られる、[1]~[6]のいずれか1項に記載のブタジエンゴム含有グラフト重合体。
[8] 前記ブタジエンゴムに前記ビニル単量体をグラフト重合した後に、酢酸カルシウムで凝析して得られる、[7]に記載のブタジエンゴム含有グラフト重合体。
[9] ブタジエンゴムを含むゴムラテックスの固形分100質量部に対してリン酸水溶液を固形分換算で0.1~10質量部添加して前記ブタジエンゴムを凝集肥大化し、
得られた凝集肥大化ブタジエンゴムを含む凝集肥大化ゴム状重合体ラテックスとビニル単量体とを、前記凝集肥大化ゴム状重合体ラテックスの固形分/前記ビニル単量体=45/55~90/10の質量比で混合し、
前記凝集肥大化ブタジエンゴムに前記ビニル単量体をグラフト重合して得られる、
体積平均粒径が150~220nmであり、かつ、円換算直径が400nm以上の粒子を2.5質量%以下含む、ブタジエンゴム含有グラフト重合体。
[10] 円換算直径が100nm以下の粒子を8質量%以下含む、[9]に記載のブタジエンゴム含有グラフト重合体。
[11] 前記凝集肥大化ゴム状重合体ラテックスの固形分/前記ビニル単量体=45/55~85/15の質量比で混合する、[9]又は[10]に記載のブタジエンゴム含有グラフト重合体。
[12] 前記ビニル単量体がメチルメタクリレートを95質量%以上含む、[9]~[11]のいずれか1項に記載のブタジエンゴム含有グラフト重合体。
[13] 前記ビニル単量体がカプロラクトンを含む、[9]~[12]のいずれか1項に記載のブタジエンゴム含有グラフト重合体。
[14] 前記ブタジエンゴム含有グラフト重合体100質量部に対して、脂肪酸系乳化剤を1質量部以上含む、[9]~[13]のいずれか1項に記載のブタジエンゴム含有グラフト重合体。
[15] [1]~[14]のいずれか1項に記載のブタジエンゴム含有グラフト重合体と熱可塑性樹脂とを含む樹脂組成物。
[16] 前記熱可塑性樹脂が芳香族ポリカーボネート樹脂を含む、[15]に記載の樹脂組成物。
[17] 前記熱可塑性樹脂がポリエステル樹脂を含む、[15]又は[16]に記載の樹脂組成物。
本発明によれば、優れた耐衝撃性を有する成形体を得られ、かつ、生産性に優れるブタジエンゴム含有グラフト重合体及び樹脂組成物を提供できる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。本発明は、以下に説明する実施形態に限定されず、本発明の要旨を変更しない限り、種々の変形が可能である。
[ブタジエンゴム含有グラフト重合体]
本発明のブタジエンゴム含有グラフト重合体は、以下の条件(1)、(2)及び(3)を満たす。
(1)円換算直径が100nm以上の粒子の個数に対する円換算直径が400nm以上の粒子の個数の割合が5%以下である。
(2)円換算直径が100nm以下の粒子を除外して算出した体積平均粒径が150~250nmである。
(3)円換算直径が150nm以上の粒子の個数に対する、円換算直径が150nm以上かつ円形度が0.75以下の粒子の個数の割合が70%以上である。
上記円換算直径、体積平均粒径、円形度及び個数の割合は、以下の方法によって求める。
ブタジエンゴム含有グラフト重合体のラテックスを乾燥して得た粉体を、ポリカーボネート樹脂に3質量%添加し、溶融混錬して、3mm径のストランドを成形する。ストランドを四酸化オスミウム(OsO)にて染色し、ミクロトームを用いて超薄切片を作製する。透過型電子顕微鏡(H-7600、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて超薄切片を観察し、撮像して、画像を得る。
得た画像を画像解析処理装置(Image Pro Plus、日本ローパー社製)を用いて画像処理を行う。画像処理は、JIS Z 8827-1:2008に準拠して行う。
円換算直径が100nm以上の粒子の個数に対する円換算直径が400nm以上の粒子の個数の割合(%)は、円換算直径が100nm以上の粒子の個数と円換算直径が400nm以上の粒子の個数を測定し、算出する。
体積平均粒径(Dv)は、円換算直径が100nm以下の粒子を除外した残りの粒子について、体積平均粒径を算出する。ここで、Dvは、50%体積径である。
円換算直径が150nm以上の粒子の個数に対する、円換算直径が150nm以上かつ円形度が0.75以下の粒子の個数の割合(%)は、上述したTEM及びImage Pro Plusを用いて、円換算直径が150nm以上の粒子の個数と、円換算直径が150nm以上の粒子のうち円形度が0.75以下の粒子の個数を測定して、算出する。
円形度は画像の複雑さを表す数値であり、下記式(1)で定義される。
凝集肥大化処理をしていないゴム含有グラフト重合体の場合、円形度は真円からのひずみもあるため、0.8~1となる。
凝集肥大化処理をしたゴム含有グラフト重合体の場合、粒子同士の凝集で形状が未肥大のものに比べて凹凸があるため円形度が小さくなり、0.8未満となる。
円形度を透過型電子顕微鏡より測定する際にはサンプル片の切削の際に肥大粒子端部を切削すると未肥大粒子断面となる場合があるため十分大きな粒子から測定をすることが好ましい。
円形度=4×π×円の面積/(周囲長)・・・・(1)
本発明のブタジエンゴム含有グラフト重合体は、以上の条件(1)、(2)及び(3)を満たすので、優れた耐衝撃性を有する成形体を得られ、かつ、生産性に優れる。
本発明のブタジエンゴム含有グラフト重合体を熱可塑性樹脂用耐衝撃性改質剤として用いる場合は、体積平均粒径が150~250nmで、400nm以上の粒子が2.5質量%以下含まれ、100nm以下の粒径を有する粒子が8質量%以下含まれるのが好ましい。この範囲内では、成形体の相分離構造が崩れず、耐衝撃性がより優れる。
円換算直径が150nm以上の粒子の個数に対する、円換算直径が150nm以上かつ円形度が0.75以下の粒子の個数の割合は、70%以上が好ましく、70~100%がより好ましく、80~100%がさらに好ましく、90~100%がいっそう好ましい。この割合が大きいほど、未肥大粒子がなく粒子が十分に肥大化しているため生産性が向上する。また粒子同士が融着して凝集状態を保持できるため耐衝撃性が向上する。
また、本発明のブタジエンゴム含有グラフト重合体は、リン元素を200質量ppm以上含むことが好ましい。
ブタジエンゴム含有グラフト重合体のリン元素の含有量(リン含有量)は、ブタジエンゴム含有グラフト重合体を湿式分解して検液を調製し、調製した検液をICP発光分析装置によってリンを定量して求める。
本発明のブタジエンゴム含有グラフト重合体のリン含有量は、200質量ppm以上が好ましく、500質量ppm以上がより好ましく、1000質量ppm以上がさらに好ましい。リン含有量の上限は、特に限定されないが、通常、5000質量ppm以下である。リン含有量がこの範囲であると、ブタジエンゴム含有グラフト重合体の体積平均粒径が適度な範囲内となり、得られる成形体の耐衝撃性がより優れる。
また、本発明のブタジエンゴム含有グラフト重合体は、ナトリウム元素を100質量ppm以下含むことが好ましい。
ブタジエンゴム含有グラフト重合体のナトリウム元素の含有量(ナトリウム含有量)は、ブタジエンゴム含有グラフト重合体を湿式分解して検液を調製し、調製した検液をICP発光分析装置によってナトリウムを定量して求める。
本発明のブタジエンゴム含有グラフト重合体のナトリウム含有量は、100質量ppm以下が好ましく、50質量ppm以下がより好ましく、30質量ppm以下がさらに好ましい。ナトリウム含有量の下限は、特に限定されないが、通常、0質量ppmである。ナトリウム含有量がこの範囲であると、得られる樹脂組成物の成形加工性がより優れる。
また、本発明のブタジエンゴム含有グラフト重合体は、脂肪酸及びその塩からなる群から選択される1種以上を合計で1質量%以上含むことが好ましい。
上記脂肪酸は、特に限定されないが、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、アルケニルコハク酸ジカリウム及びロジン酸からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。また、上記脂肪酸の塩は、特に限定されないが、これらの脂肪酸の塩が好ましい。塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム等のアルカリ土類金属塩が挙げられるが、これらに限定されない。
ブタジエンゴム含有グラフト重合体の脂肪酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の含有量(脂肪酸含有量)は、ゴム含有グラフト重合体をメチルエステル化処理後、ガスクロマトグラフを用いて、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、アルケニルコハク酸ジカリウム及びロジン酸の質量を測定して求める。
本発明のブタジエンゴム含有グラフト重合体の脂肪酸含有量は、1質量%以上が好ましく、1.2質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上がさらに好ましい。脂肪酸含有量の上限は、特に限定されないが、通常、5.0質量%である。
また、本発明のブタジエンゴム含有グラフト重合体のグラフト鎖のビニル単量体に由来する単位の合計質量の95質量%以上がメチルメタクリレート(MMA)に由来する単位であることが好ましい。
本発明のブタジエンゴム含有グラフト重合体のグラフト鎖のビニル単量体に由来する単位の合計質量に対するMMAに由来する単位の合計質量の割合(MMA含有量、単位:質量%)は、以下の方法により測定する。
(乾燥試料の調製)
(1)ブタジエンゴム含有グラフト重合体1質量%、テトラヒドロフラン99質量%からなる溶液を調製する。
(2)(1)で調整した溶液を、1時間撹拌する。
(3)(2)で撹拌した溶液を、14,000rpm、60分間、遠心分離操作する。
(4)上澄みを抽出し、フラスコ内に入れる。
(5)沈殿物(テトラヒドロフラン不溶分)に再度有機溶剤を(1)と同量添加する。
(6)(3)~(5)の操作を3回繰り返す。
(7)フラスコを温度70℃の恒温槽中にセットして、エバポレータによって揮発分を留去する。
(8)フラスコ内の残存物を蒸気乾燥機にて80℃で8時間乾燥し、さらに真空乾燥機を用いて、65℃で6時間乾燥し、テトラヒドロフラン可溶分の乾燥試料を得る。
(9)沈殿物が入った容器を60℃の恒温槽中にセットして、有機溶剤を揮発させた後、真空乾燥機にて65℃で6時間乾燥し、ブタジエンゴム含有グラフト重合体のテトラヒドロフラン不溶分の乾燥試料を得る。
(グラフト鎖中のメチルメタクリレート単位(MMA)の定量)
得られたテトラヒドロフラン不溶分の乾燥試料を、熱分解GC-MS(ガスクロマトグラフィー質量分析計)を用い、下記条件でグラフト鎖のモノマー単位を定性及び定量分析して、メチルメタクリレート単位の含有割合(質量%)を算出する。
1)強極性カラム: DP-FFAR(アジレント・テクノロジー社製) 30m×0.25mm×0.25μm
2)カラム流量: 1.0mL/min
3)注入口、インターフェース温度: 230℃
4)熱分解温度: 500℃
また、本発明のブタジエンゴム含有グラフト重合体を有機溶剤と混合して有機溶剤不溶分と有機溶剤可溶分とに分離したとき、上記有機溶剤不溶分が本発明のブタジエンゴム含有グラフト重合体のグラフト鎖を含み、上記グラフト鎖がカプロラクトン単位を含むことが好ましい。
グラフト鎖のカプロラクトン単位の測定は、以下の方法により行う。
(乾燥試料の調製)
MMAの定量の場合と同様にして、テトラヒドロフラン不溶分の乾燥試料を得る。
(グラフト鎖中のカプロラクトン単位(CL)の定量)
・グラフト鎖乾燥試料の調製
(1)ブタジエンゴム含有グラフト重合体のテトラヒドロフラン(THF)不溶分を6質量%、クロロホルムと塩化メチレンとの1:1混合液94質量%を調製し分散溶液とする。
(2)分散溶液をオゾン吸収ビンに入れ、-60℃以下に調製したドライアイス-メタノール溶液に漬ける。
(3)オゾン発生装置より発生したオゾンガスを吸収ビンに吹き込みオゾン付加を行う。
(4)オゾン付加後(吸収液が青色になる)、エアーを吹き込み過剰なオゾンを取り除く。
(5)ビーカーに還元剤(水素化ほう素ナトリウム)10質量%、メタノール90質量%溶液に調整し、マグネチックスターラーで撹拌する。溶解後、(4)の吸収液を入れ3時間以上撹拌する。
(6)撹拌後、(5)の溶液に、(5)の溶液の質量の1/5に相当する質量の塩酸水溶液(1:1=塩酸:水)を加えて、3時間以上撹拌する。
(7)撹拌後、分液ロートに移し2層分離させる。この下層をナスフラスコに抜液する。
(8)ナスフラスコを65℃の恒温槽中にセットして、エバポレータによって揮発分を留去する。
(9)ナスフラスコ内の残存物を65℃で8時間以上、真空乾燥して、グラフト鎖乾燥試料を得る。
・カプロラクトン単位(CL)の定量
得られたグラフト鎖乾燥試料を、熱分解GC-MS(ガスクロマトグラフィー質量分析計)を用い、下記条件でグラフト鎖のモノマー単位を定性及び定量分析して、カプロラクトン単位の含有割合(質量%)を算出する。
1)強極性カラム: DP-FFAR(アジレント・テクノロジー社製) 30m×0.25mm×0.25μm
2)カラム流量: 1.0mL/min
3)注入口、インターフェース温度: 230℃
4)熱分解温度: 500℃
本発明のブタジエンゴム含有グラフト重合体は、凝集肥大化処理を施したブタジエンゴムにビニル単量体をグラフト重合して製造できる。ブタジエンゴムの粒径によっては、凝集肥大化処理を省略してもよい。
ブタジエンゴムは、ブタジエン単位を含むものであれば特に限定されないが、例えば、ポリブタジエン、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム等が挙げられる。ブタジエンゴム中の1,3-ブタジエンに由来する単位の含有量は、特に限定されないが、熱可塑性樹脂に配合した際の衝撃強度の点から、50質量%以上が好ましく、75質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。
1,3-ブタジエンと共重合可能な単量体としては、例えば、スチレン、エチレン、アクリロニトリル、アルキル(メタ)アクリレート等の単官能性単量体;ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の多官能性単量体が挙げられる。これらの単量体は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて、使用できる。
上記ブタジエンゴムの体積平均粒径は、特に限定されないが、150nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましい。ブタジエンゴムの体積平均粒径が150nmを超えても、凝集肥大化処理に支障をきたすことはない。乳化重合で体積平均粒径150nmを超えるブタジエンゴムを得ようとすると、長時間の重合が必要となり、乳化重合の生産性を低下させることとなる。そうすると、凝集肥大化処理の生産性を向上させた効果が低くなる。
本発明においては、ブタジエンゴムを含むゴムラテックスが、乳化剤として脂肪酸のアルカリ金属塩を用いて乳化重合されたもので、かつ凝集肥大化工程において、酸性で良好な界面活性能を有する乳化剤を添加した後、凝集剤としてリン酸水溶液を添加し、次いで塩基性物質で中和し、ブタジエンゴムを含むゴムラテックスの凝集肥大化を行うことが好ましい。
上記脂肪酸は、カルボン酸を含む炭化水素化合物である。乳化剤として脂肪酸のアルカリ金属塩を使用して重合をした場合、得られるグラフト重合体のラテックス中に強酸凝析剤として硫酸等を加えると、乳化剤である脂肪酸のアルカリ金属塩が水溶性の低い脂肪酸へと変わる。その結果、グラフト重合体と水が分離するので、グラフト重合体を容易に回収できる。この場合、製造したグラフト重合体中に脂肪酸が含まれる。本発明のグラフト重合体は、脂肪酸を含むことが好ましい。本発明のグラフト重合体における脂肪酸の含有量は、特に限定されないが、1質量%以上が好ましく、1.2質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上がさらに好ましい。脂肪酸の測定の際に、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、アルケニルコハク酸及びロジン酸からなる群から選択される1種以上が検出されることが特に好ましい。
乳化剤として用いる脂肪酸のアルカリ金属塩としては、特に限定はされないが、例えば混合脂肪酸ナトリウム、混合脂肪酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、不均化ロジン酸カリウム等が挙げられる。これらの脂肪酸のアルカリ金属塩は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて、使用できる。
脂肪酸のアルカリ金属塩の添加量は、乳化重合を行う際にラテックスの安定性を保つために必要な量でよく、特に限定されないが、通常ブタジエンゴムの単量体の合計100質量部に対して、0.5~5質量部が好ましい。
凝集肥大化の際に用いる、酸性で良好な界面活性能を有する乳化剤は、特に限定はされないが、スルホン酸基とアルカリ金属の塩を有する乳化剤が好ましい。このような乳化剤として、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルフェート、アルキルジフェニルエ-テルジスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム及びジアルキルスルホコハク酸ナトリウムが挙げられる。これらの乳化剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて、使用できる。
酸性で良好な界面活性能を有する乳化剤の添加量は、ゴムラテックスの固形分100質量部に対して、0.01~0.5質量部が好ましく、0.1~0.3質量部がより好ましい。
乳化剤の添加量がこの範囲内であると、凝集剤の添加により大量のゴム塊が生じる可能性が低く、ゴム粒子の肥大化効果も良好である。
酸性で界面活性能が低下しない乳化剤の添加時期は、肥大化を行う前であれば、特に限定はされない。
凝集肥大化の際に使用する凝集剤は、リン酸水溶液が好ましい。凝集剤の添加量は、特に限定されないが、ブタジエンゴム100質量部に対して、リン酸固形分換算で、0.1~10質量部が好ましい。硫酸等の京三又は酢酸等の弱酸も使用できる。凝集肥大化したゴムラテックスの安定性の点から、リン酸水溶液が特に好ましい。
リン酸水溶液の濃度は、添加時にゴム塊を生じない範囲内で、生産性の面からできるだけ高いことが望ましい。具体的には、リン酸水溶液の濃度は、0.3~40質量%が好ましく、0.5~20質量%がより好ましい。
酸を添加した後の中和に用いる塩基性物質は、特に限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムが好ましく、水酸化カリウムの水溶液がより好ましい。塩基性物質の水溶液の濃度は高くても、ゴム塊が生じるような問題は生じない。塩基性物質の水溶液の濃度は、特に限定されないが、5~60質量%が好ましい。
凝集肥大化の際の系の温度は、特に限定されないが、10~60℃が好ましい。ブタジエンゴムの凝集肥大化の進行が遅くならず、粒径の制御もしやすい。
凝集肥大化したブタジエンゴムの平均体積粒径は、酸量及び酸性で良好な界面活性能を有する乳化剤の添加量等を変えて、任意にコントロールすることができる。本発明のブタジエンゴム含有グラフト重合体を、熱可塑性樹脂用耐衝撃性改質剤として用いる場合は、体積平均粒径が150~250nmで、円換算直径が400nm以上の粒子が2.5質量%以下含まれることが好ましい。さらに、円換算直径が100nm以下の粒子が8質量%以下含まれことがより好ましい。円換算直径が400nm以上の粒子の含有量がこの範囲内であると、成形体の相分離構造が崩れず、得られる成形体の耐衝撃性がより良好である。また、円換算直径が100nm以下の粒子の含有量がこの範囲内であると、得られる成形体の耐衝撃性がより良好である。
本発明のブタジエンゴム含有グラフト重合体の平均体積粒径及び粒度分布は、上述したとおり、JIS Z 8827-1:2008に準拠して、画像処理により求める。
ゴム含有グラフト重合体の円形度は、上述したとおり、画像処理により求める。
グラフト重合の際に用いるビニル単量体は、特に限定されないが、メチルメタクリレートを主成分とすることが好ましい。メチルメタクリレート以外のビニル単量体としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステルが挙げられる。メチルメタクリレート以外のビニル単量体の含有量は、グラフト重合するビニル単量体の合計質量に対して、5質量%以内が好ましい。メチルメタクリレート以外のビニル単量体としては、下記式(2)で示される、末端に脂肪酸エステルを有するアクリル酸エステルが好ましい。
CH=CRCOO(CHO[CO(CHO]H (2)
式(2)中:Rは水素原子又はメチル基を表す。mは3~10の整数である。nは1~10の整数である。
上記末端に脂肪酸エステルを有するアクリル酸エステルとして、熱可塑性樹脂との反応性からカプロラクトンが好ましく、特に開環ラクトン部位を有するカプロラクトン変性(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。カプロラクトン変性(メタ)アクリル酸エステルは水酸基含有重合性不飽和モノマーとε-カプロラクトンとの付加反応によって得られ、下記式(3)で示されるものが好適に用いられる。
CH=CRCOO(CHO[CO(CHO]H (3)
式(3)中:Rは水素原子又はメチル基を表す。nは1~5の整数である。
本発明のブタジエンゴム含有グラフト重合体中のブタジエンゴムの含有率は、特に限定されないが、成形体の衝撃強度の点から、45~90質量%が好ましく、50~90質量%がより好ましく、75~90質量%がさらに好ましく、77~90質量%がいっそう好ましく、80~90質量%が特に好ましい。
グラフト鎖を構成するビニル単量体からなる重合体のガラス転移温度は、特に限定されないが、80℃以上が好ましく、90~105℃がより好ましい。例えば、メチルメタクリレートとブチルアクリレートとの共重合体は、ガラス転移温度が90~105℃の範囲となりやすく、好適に用いられる。
グラフト重合の際に使用される乳化剤としては、脂肪酸、スルホン酸、硫酸、リン酸等の酸のアルカリ金属塩等が挙げられる。
グラフト重合によって得られたラテックス状態のブタジエンゴム含有グラフト重合体は、凝析し洗浄した後に乾燥することにより、又は、噴霧回収することにより、粉体として得ることができる。凝析によって回収する場合、凝析剤としては、各種の無機又は有機酸、及びそれらの塩類、例えば、硫酸、硝酸、塩酸、リン酸、亜リン酸、酢酸、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、塩化アルミニウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、酢酸カルシウム、酢酸ナトリウムが挙げられる。これらの凝析剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて、使用できる。これらの凝析剤のなかでもゴム含有グラフト重合体(A)中に残存するアルカリ土類金属を低減できることから酢酸カルシウムが好ましい。
本発明のブタジエンゴム含有グラフト重合体のナトリウム含有量は、上述したとおり、成形加工性の点から、100質量ppm以下が好ましく、50質量ppm以下がより好ましく、30質量ppm以下がさらに好ましい。
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、本発明のブタジエンゴム含有グラフト重合体と、熱可塑性樹脂とを含む。上記熱可塑性樹脂は、特に限定されないが、例えば、芳香族ポリカーボネート樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂は、例えば、エンジニアリングプラスチック、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、オレフィン樹脂、熱可塑性エラストマー、生分解性ポリマー、ハロゲン系重合体、アクリル樹脂等多種多用な樹脂に応用できる。
エンジニアリングプラスチックとしては、公知の各種熱可塑性エンジニアリングプラスチックであれば特に制限はなく、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系重合体、シンジオタクチックポリスチレン、6-ナイロン、6,6-ナイロン等のナイロン系重合体、ポリアリレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリアセタール等を例示することができる。
また、高度に耐熱性に優れ、溶融流動性が必要とされる耐熱ABS等の特殊なスチレン樹脂や耐熱アクリル樹脂なども本発明におけるエンジニアリングプラスチックとして例示することができる。これらの中でも、強度発現性がより求められる芳香族ポリカーボネートやポリブチレンテレフタレートがより好ましい。上記芳香族ポリカーボネートとしては、4,4’-ジヒドロキシジフェニル-2,2-プロパン(すなわちビスフェノールA)系ポリカーボネート等の4,4’-ジオキシジアリールアルカン系ポリカーボネートが挙げられる。
オレフィン樹脂としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレンとその他のα-オレフィンとの共重合体;ポリプロピレン、プロピレンとその他のα-オレフィンとの共重合体;ポリブテン、ポリ-4-メチルペンテン-1などが挙げられる。
熱可塑性エラストマーとして、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体(SIS)、スチレン-エチレン・ブテン共重合体(SEB)、スチレン-エチレン・プロピレン共重合体(SEP)、スチレン-エチレン・ブテン-スチレン共重合体(SEBS)、スチレン-エチレン・プロピレン-スチレン共重合体(SEPS)、スチレン-エチレン・エチレン・プロピレン-スチレン共重合体(SEEPS)、スチレン-ブタジエン・ブチレン-スチレン共重合体(スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体の部分水添物:SBBS)、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体の部分水添物、スチレン-イソプレン・ブタジエン-スチレン共重合体の部分水添物等のスチレン系エラストマー、高分子ジオール(ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルエーテルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリエステルポリカーボネートジオール等)、有機ジイソシアネート(有機ジイソシアネートとしては、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、水素化4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどを挙げることができ、これらの有機ジイソシアネートのうちでも4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート)及び鎖伸張剤(エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,9-ノナンジオール、シクロヘキサンジオール、1,4-ビス(β-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等)を反応させることにより製造されるウレタン系エラストマー、エチレン-プロピレンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ブチルゴム、ブタジエンゴム、プロピレン-ブテン共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体などのポリオレフィン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、フッ素系エラストマー、塩素化PE系エラストマー、アクリル系エラストマー等が挙げられる。
スチレン樹脂としては、ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン共重合体、アクリロニトリル-スチレン-α-メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル-メチルメタクリレート-スチレン-α-メチルスチレン共重合体、ABS樹脂、AS樹脂、MABS樹脂、MBS樹脂、AAS樹脂、AES樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン-α-メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル-メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン-α-メチルスチレン共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、スチレン-マレイミド共重合体、スチレン-N-置換マレイミド共重合体、アクリロニトリル-スチレン-N-置換マレイミド共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン-β-イソプロペニルナフタレン共重合体、及びアクリロニトリル-メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン-α-メチルスチレン-マレイミド共重合体などが挙げられる。これらのスチレン樹脂は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて、使用できる。
ポリエステル樹脂は、多塩基酸と多価アルコールからなる重合体であって、熱可塑性を有することを条件として特に限定されない。多塩基酸としては、例えばテレフタル酸、ナフタルジカルボン酸、シクロヘキシルジカルボン酸又はそのエステル類等が挙げられ、多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ハイドロキノン、ビスフェノールA、2,2-ビス(4-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、1,4-ジメチロールテトラブロモベンゼン、TBA-EO等が挙げられる。これらのポリエステル樹脂は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて、使用できる。また、イーストマンケミカル製の商品名「PETG」等も好適に用いられる。
本発明の樹脂組成物は、上記の材料の他、本発明の目的を損なわない範囲で、周知の種々の添加剤、例えば、安定剤、難燃剤、難燃助剤、加水分解抑制剤、帯電防止剤、発泡剤、染料、顔料等を含有することができる。
本発明の樹脂組成物の調製する際の各材料の配合方法としては、公知のブレンド方法が挙げられ、特に限定されない。例えばタンブラー、V型ブレンダー、スーパーミキサー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等で混合、混練する方法が挙げられる。
以下では実施例によって本発明をより具体的に説明する。本発明の範囲は以下の実施例に限定されず、本発明の要旨を変更しない限り、種々の変形が可能である。
[測定方法、算出方法]
<体積平均粒径、粒度分布>
(キャピラリー式粒径測定器を用いる方法)
キャピラリー式粒径測定器(キャピラリー式サブミクロン粒度分布測定装置 CHDF2000、Matec Applied Sciences社製)を用いて、ラテックス中の粒子の円換算直径及び体積を測定した。
・粒径100nm以下の粒子(%)
測定した全粒子の個数と円換算直径が100nm以下の粒子の個数を測定し、全粒子の個数に対する円換算直径が100nm以下の粒子の個数の割合(%)を算出した。
・粒径400nm以上の粒子
円換算直径が100nm以上の粒子の個数と円換算直径が400nm以上の粒子の個数を測定し、円換算直径が100nm以上の粒子の個数に対する円換算直径が400nm以上の粒子の個数の割合(%)を算出した。
・体積平均粒径(Dv)
円換算直径が100nm以下の粒子を除外して、体積平均粒径(Dv)を測定した。ここで、Dvは、50%体積径である。
以下、キャピラリー式粒径計測器を用いて得られたDv及び粒度分布を「粒度分布(キャピラリー)」という場合がある。
(透過型電子顕微鏡(TEM)を用いる方法)
ラテックスを乾燥して得た粉体を、ポリカーボネート樹脂(ユーピロン(登録商標) S-2000F、三菱エンジニアリングプラスチックス社製)に3質量%添加し、溶融混錬して、3mm径のストランドを成形した。
ストランドを四酸化オスミウム(OsO)にて染色し、ミクロトームを用いて超薄切片を作製した。
透過型電子顕微鏡(H-7600、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて超薄切片を観察し、撮像して、画像を得た。
得られた画像を画像解析処理装置(Image Pro Plus、日本ローパー社製)を用いて画像処理を行った。
・粒径400nm以上の粒子
円換算直径が100nm以上の粒子の個数と円換算直径が400nm以上の粒子の個数を測定し、円換算直径が100nm以上の粒子の個数に対する円換算直径が400nm以上の粒子の個数の割合(%)を算出した。
・体積平均粒径(Dv)
円換算直径が100nm以下の粒子を除外して、体積平均粒径(Dv)を測定した。ここで、Dvは、50%体積径である。
以下、TEMを用いて得られたDv及び粒度分布を「粒度分布(TEM)」という場合がある。
<円形度>
ゴム含有グラフト重合体ラテックスを乾燥して得た粉体を、アセトン中で超音波洗浄して、粒子どうしを凝集させるフリーPMMAを溶解した。アセトン洗浄後にゴム含有グラフト重合体を乾燥して得られた粉体を、エポキシ樹脂に包埋し、四酸化オスミウム(OsO)にて染色して、ミクロトームを用いて超薄切片を作製した。
透過型電子顕微鏡(H-7600、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて超薄切片を観察し、撮像して、画像を得た。
得られた画像を画像解析処理装置(Image Pro Plus、日本ローパー社製)を用いて画像処理を行った。
・円形度0.75以下の粒子
粒子の円換算直径を測定し、円換算直径が150nm以上の粒子について、個数を測定し、円形度を算出した。円換算直径が150nm以上の粒子の個数に対する、円換算直径が150nm以上かつ円形度が0.75以下の粒子の個数の割合(%)を算出した。
<リン含有量、ナトリウム含有量>
ゴム含有グラフト重合体ラテックスを凝析し、洗浄した後に乾燥して得られた粉体0.25gを分解容器内に量り取った。
分解容器内に硝酸8mLを加え、マイクロウェーブ(MARS5、アステック社製)にて湿式分解した。
冷却後、分解容器内にフッ化水素酸2mLを加え、再度マイクロウェーブで処理した。処理後、蒸留水で50mLにメスアップして検液とした。
この検液について、ICP発光分析装置(IRIS Intrepid 2 XSP、Thermo社製)を用いて定量分析し、リンの含有量(単位:質量ppm)及びナトリウムの含有量(単位:質量ppm)を求めた。なお、リン及びナトリウムの含有量は、いずれも、元素としての含有量である。
<脂肪酸含有量>
ゴム含有グラフト重合体ラテックスを凝析し、洗浄した後に乾燥して得られた粉体をメチルエステル化処理した。
メチルエステル化処理後、ガスクロマトグラフ(HP7890、Agilent社製)を用いて、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、アルケニルコハク酸ジカリウム及びロジン酸の質量を測定した。測定した質量と試料の質量から、脂肪酸含有量を質量百分率で求めた。
<グラフト鎖のビニル単量体組成>
1.乾燥試料の調製
以下の(1)~(9)の操作を行い、ゴム含有グラフト重合体をテトラヒドロフラン可溶分とテトラヒドロフラン不溶分とに分離した。
(1)ゴム含有グラフト重合体1質量%と、テトラヒドロフラン99質量%からなる溶液を調製した。
(2)(1)で調整した溶液を、1時間撹拌した。
(3)(2)で撹拌した溶液を、14,000rpm、60分間、遠心分離操作した。
(4)上澄みを抽出し、フラスコ内に入れた。
(5)沈殿物(テトラヒドロフラン不溶分)に再度有機溶剤を(1)と同量添加した。
(6)(3)~(5)の操作を3回繰り返した。
(7)フラスコを温度70℃の恒温槽中にセットして、エバポレータによって揮発分を留去した。
(8)フラスコ内の残存物を蒸気乾燥機にて80℃で8時間乾燥し、さらに真空乾燥機を用いて、65℃で6時間乾燥し、テトラヒドロフラン可溶分の乾燥試料を得た。
(9)沈殿物が入った容器を60℃の恒温槽中にセットして、有機溶剤を揮発させた後、真空乾燥機にて65℃で6時間乾燥し、テトラヒドロフラン不溶分の乾燥試料を得た。
2.グラフト鎖中のビニル単量体の定量
テトラヒドロフラン可溶分中のビニル単量体を定量し、グラフト鎖の組成分析を行った。ビニル単量体の定量は、熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析(GC-MS)によって行った。
ただし、カプロラクトン単位(CL)についてのみ、次に示す方法で抽出して定量した。
(グラフト鎖中のカプロラクトン単位の定量)
グラフト鎖乾燥試料の調製、組成分析を行った。
・グラフト鎖乾燥試料の調製
下記(1)~(9)の操作に従い行った。
(1)ゴム含有グラフト重合体のテトラヒドロフラン(THF)不溶分を6質量%、クロロホルムと塩化メチレンとの1:1混合液94質量%を調製し分散溶液とした。
(2)前記溶液をオゾン吸収ビンに入れ、-60℃以下に調製したドライアイス-メタノール溶液に漬けた。
(3)オゾン発生装置より発生したオゾンガスを吸収ビンに吹き込みオゾン付加を行った。
(4)オゾン付加後(吸収液が青色になる)、エアーを吹き込み過剰なオゾンを取り除いた。
(5)ビーカーに還元剤(水素化ほう素ナトリウム)を10質量%、メタノール90質量%溶液に調整し、マグネチックスターラーで撹拌する。溶解後、(4)吸収液を入れ3時間以上撹拌した。
(6)撹拌後、(5)の溶液に、(5)溶液の質量の1/5に相当する質量の塩酸水溶液(1:1=塩酸:水)を加えて、3時間以上撹拌した。
(7)撹拌後、分液ロートに移し2層分離させる。この下層をナスフラスコに抜液した。
(8)ナスフラスコを65℃の恒温槽中にセットして、エバポレータによって揮発分を留去した。
(9)ナスフラスコ内の残存物を65℃で8時間以上、真空乾燥して「グラフト鎖乾燥試料」を得た。
・組成分析
下記(1)及び(2)の操作に従い分析した。
(1)グラフト鎖乾燥試料を、熱分解GC-MS(ガスクロマトグラフィー質量分析計)を用い、下記1)~4)に示す条件で、500℃で熱分解して、グラフト鎖のモノマー組成比を測定した。
1)カラム:強極性カラム DP-FFAR(アジレント・テクノロジー社製)、30m×0.25mm×0.25μm
2)カラム流量:1.0mL/min
3)注入口、インターフェース温度:230℃
4)熱分解温度:500℃
(2)組成分析:熱分解GC-MSを用い500℃熱分解により、不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエステル修飾ε-カプロラクトンの分解物としてメタクリル酸2-ヒドロキシエチルとε-カプロラクトンが検出されることを確認した。
カプロラクトン単位(CL)は、ε-カプロラクトンとして検出されるため、ε-カプロラクトン由来のピークがCLに該当するとみなした。
組成比既知の、メチルメタクリレート(MMA)と不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエステル修飾ε-カプロラクトンの共重合体をCL量算出用の標準ポリマーとした。標準ポリマーは乳化重合により作製し、重合率は99%以上であった。また、不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエステル修飾ε-カプロラクトンのモル質量(244.3g/mol)とε-カプロラクトンのモル質量(114.1g/mol)から、標準ポリマーにおけるCLの質量割合を計算し、MMAとCLの割合を示す検量線を作成した。検量線の相関係数は0.99であった。
[凝集肥大化ゴム状重合体の製造]
<ゴム状重合体ラテックスの製造>
以下に記載するとおり、ゴム状重合体ラテックスを製造した。
・ゴム状重合体ラテックス(a-1)
1,3-ブタジエンの100質量部、tert-ドデシルメルカプタンの0.4質量部、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシドの0.3質量部、ピロリン酸テトラナトリウム塩の0.3質量部、硫酸第一鉄の0.004質量部、硫酸ナトリウムの0.39質量部、グルコースの0.4質量部、ロジン酸カリウムの1.2質量部及び牛脂酸カリウムの1.2質量部を、耐圧オートクレーブ中に仕込み、撹拌しながら55℃で8時間反応させて、転化率95質量%で、ゴム状重合体ラテックス(a-1)を得た。
得られたゴム状重合体ラテックス(a-1)の体積平均粒径は93nmであった。
・ゴム状重合体ラテックス(a-2)
1,3-ブタジエンの100質量部、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシドの0.3質量部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートの0.05質量部、硫酸第一鉄の0.0012質量部、エチレンジアミンテトラ酢酸ジナトリウム塩の0.008質量部及びオレイン酸カリウムの1質量部を耐圧オートクレーブ中に仕込み、撹拌しながら65℃で10時間反応させて、転化率95質量%で、ゴム状重合体ラテックス(a-2)を得た。
得られたゴム状重合体ラテックス(a-2)の体積平均粒径は90nmであった。
・ゴム状重合体ラテックス(a-3)
1,3-ブタジエンの95質量部、スチレンの5質量部、tert-ドデシルメルカプタンの0.5質量部、イソプロピルベンゼンヒドロペルオキシドの1質量部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートの0.4質量部、硫酸第一鉄の0.0005質量部、エチレンジアミンテトラ酢酸ジナトリウム塩の0.0015質量部、水酸化カリウムの0.01質量部及びアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸の1.4質量部を耐圧オートクレーブ中に仕込み、撹拌しながら65℃で16時間反応させて、転化率95質量%で、ゴム状重合体ラテックス(a-3)を得た。
得られたゴム状重合体ラテックス(a-3)の体積平均粒径は170nmであった。
<ゴム状重合体ラテックスの凝集肥大化>
以下に記載するとおり、ゴム状重合体ラテックスの凝集肥大化処理を行い、凝集肥大化ゴム状重合体ラテックスを製造した。
(製造例1)凝集肥大化ゴム状重合体ラテックス(A-1)
ゴム状重合体ラテックス(a-1)に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(DBSNa)を、ゴム状重合体ラテックス(a-1)の固形分100質量部に対して、0.2質量部添加し、十分に撹拌した(DBSNa-ラテックス混合液)。次に、DBSNa-ラテックス混合液に、5質量%リン酸水溶液を、ゴム状重合体ラテックス(a-1)の固形分100質量部に対して、4.8質量部添加し、10分間撹拌を続けながら保持した(リン酸-ラテックス混合液)。撹拌後にリン酸-ラテックス混合液のpH(肥大化処理後のpH)を測定したところ、pH4.7であった。5質量%水酸化カリウム水溶液を用いて、リン酸-ラテックス混合液を中和した(凝集肥大化ゴム状重合体ラテックス(A-1))。
得られた凝集肥大化ゴム状重合体ラテックス(A-1)の体積平均粒径(Dv)及び粒度分布(円換算粒径100nm以下の粒子の個数割合(粒径100nm以下の粒子)、円換算粒径400nm以上の粒子の個数割合(粒径400nm以上の粒子))をキャピラリー式粒径測定器によって算出し、表1の「粒度分布(キャピラリー)」の欄に示した。
(製造例2)凝集肥大化ゴム状重合体ラテックス(A-2)
ゴム状重合体ラテックス(a-1)の固形分100質量部に対する、5質量%リン酸水溶液の添加量を、4.8質量部から5.3質量部に変更した点を除いて、凝集肥大化ゴム状重合体ラテックス(A-1)と同様にして、凝集肥大化ゴム状重合体ラテックスを製造した(凝集肥大化ゴム状重合体ラテックス(A-2))。肥大化処理後のpHを測定したところ、pH3.7であった。
得られた凝集肥大化ゴム状重合体ラテックス(A-2)の体積平均粒径(Dv)及び粒度分布(円換算粒径100nm以下の粒子の個数割合(粒径100nm以下の粒子)、円換算粒径400nm以上の粒子の個数割合(粒径400nm以上の粒子))をキャピラリー式粒径測定器によって算出し、表1の「粒度分布(キャピラリー)」の欄に示した。
(製造例3)凝集肥大化ゴム状重合体ラテックス(A-3)
ゴム状重合体ラテックス(a-1)の固形分100質量部に対する、5質量%リン酸水溶液の添加量を、4.8質量部から4.6質量部に変更した点を除いて、凝集肥大化ゴム状重合体ラテックス(A-1)と同様にして、凝集肥大化ゴム状重合体ラテックスを製造した(凝集肥大化ゴム状重合体ラテックス(A-3))。肥大化処理後のpHを測定したところ、pH5.2であった。
得られた凝集肥大化ゴム状重合体ラテックス(A-3)の体積平均粒径(Dv)及び粒度分布(円換算粒径100nm以下の粒子の個数割合(粒径100nm以下の粒子)、円換算粒径400nm以上の粒子の個数割合(粒径400nm以上の粒子))をキャピラリー式粒径測定器によって算出し、表1の「粒度分布(キャピラリー)」の欄に示した。
(製造例4)凝集肥大化ゴム状重合体ラテックス(A-4)
ゴム状重合体ラテックス(a-2)に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(DBSNa)を、ゴム状重合体ラテックス(a-2)の固形分100質量部に対して、0.2質量部添加し、十分に撹拌した(DBSNa-ラテックス混合液)。次に、DBSNa-ラテックス混合液に、5質量%リン酸水溶液を、ゴム状重合体ラテックス(a-2)の固形分100質量部に対して、5.0質量部添加し、10分間撹拌を続けながら保持した(リン酸-ラテックス混合液)。撹拌後にリン酸-ラテックス混合液のpH(肥大化処理後のpH)を測定したところ、pH4.5であった。5質量%水酸化ナトリウム水溶液を用いて、リン酸-ラテックス混合液を中和した(凝集肥大化ゴム状重合体ラテックス(A-4))。
得られた凝集肥大化ゴム状重合体ラテックス(A-4)の体積平均粒径(Dv)及び粒度分布(円換算粒径100nm以下の粒子の個数割合(粒径100nm以下の粒子)、円換算粒径400nm以上の粒子の個数割合(粒径400nm以上の粒子))をキャピラリー式粒径測定器によって算出し、表1の「粒度分布(キャピラリー)」の欄に示した。
(製造例5)凝集肥大化ゴム状重合体ラテックス(A-5)
ゴム状重合体ラテックス(a-3)をそのまま用いた。凝集肥大化処理を行っておらず、凝集肥大化ゴム状重合体ラテックスには該当しないが、便宜上、凝集肥大化ゴム状重合体ラテックス(A-5)と称する。
凝集肥大化ゴム状重合体ラテックス(A-5)の体積平均粒径(Dv)及び粒度分布(円換算粒径100nm以下の粒子の個数割合(粒径100nm以下の粒子)、円換算粒径400nm以上の粒子の個数割合(粒径400nm以上の粒子))をキャピラリー式粒径測定器によって算出し、表1の「粒度分布(キャピラリー)」の欄に示した。
Figure 0007120301000001
表1中の「粒度分布(キャピラリー)」の欄の用語の意味は以下のとおりである。
Dv: 円換算直径が100nm以下の粒子を除外して算出した体積平均粒径(nm)
粒径100nm以下の粒子: 円換算直径が100nm以下の粒子の個数の割合(%)
粒径400nm以上の粒子: 円換算直径が100nm以上の粒子の個数に対する円換算直径が400nm以上の粒子の個数の割合(%)
[実施例1]
<ゴム含有グラフト重合体ラテックス>
(ゴム含有グラフト重合体ラテックスの製造)
凝集肥大化ゴム状重合体(A-1)の80質量部をフラスコに仕込み、窒素置換の後、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(二水和物)の0.05質量部を添加した(混合液)。混合液を60℃(重合温度)に保ちながら、メチルメタクリレート(MMA)の20質量部を1時間かけて滴下した。滴下後、重合温度で1時間保持して、ゴム含有グラフト重合体ラテックス(B-1)を得た。
(体積平均粒径、粒度分布、円形度)
ゴム含有グラフト重合体ラテックス(B-1)の体積平均粒径、粒度分布及び円形度を上述した方法によって算出し、表2の「粒度分布(キャピラリー)」の欄、「粒度分布(TEM)」の欄及び「円形度」の欄に示した。
(リン含有量、ナトリウム含有量、脂肪酸含有量、グラフト鎖のビニル単量体組成、生産性)
ゴム含有グラフト重合体ラテックス(B-1)のリン含有量、ナトリウム含有量、脂肪酸含有量及びグラフト鎖のビニル単量体組成を上述した方法によって算出し、表3の「リン含有量」の欄、「ナトリウム含有量」の欄、「脂肪酸含有量」の欄及び「グラフト鎖のビニル単量体組成」の欄に示した。
生産性の評価は、凝集肥大化ゴム状重合体ラテックスの製造時に凝集肥大化処理を行った場合には、Aと評価し、行わなかった場合には、Bと評価した。評価結果を表3の「生産性」の欄に示した。
<樹脂組成物>
(樹脂組成物の製造)
ゴム含有グラフト重合体ラテックス(B-1)を酢酸カルシウムで凝析し、洗浄した後に乾燥して、ゴム含有グラフト重合体(B-1)を粉体として得た。
得られたゴム含有グラフト重合体(B-1)と、芳香族ポリカーボネート樹脂(PC)と、スチレンアクリロニトリル樹脂(SAN)とを、表4に示す配合量で混合し、溶融混錬して樹脂組成物のペレットを得た。
(衝撃試験)
製造した樹脂組成物のペレットを、射出成型機(SE100DU、住友重機械工業社製)に供給し、シリンダー温度260℃、金型温度60℃にて、長さ80mm×幅10mm×厚さ4mmの成形体を得た。この成形体に対し、ISO 179-1:2010に準拠し、ISO 2818:2018に準拠したTYPE Aのノッチを刻んで、試験片を作製した。この試験片を用いて、-30℃及び23℃の測定温度で、シャルピー衝撃強度(単位:kJ/m)を測定した。
測定したシャルピー衝撃強度を、表4の「衝撃強度」の欄に示す。
[実施例2]
<ゴム含有グラフト重合体ラテックス>
(ゴム含有グラフト重合体ラテックスの製造)
メチルメタクリレート(MMA)の20質量部をメチルメタクリレート(MMA)の19質量部と下記式(4)で表される不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエステル修飾ε-カプロラクトン(プラクセルFM1、ダイセル社製)(CL)の1質量部との混合物(MMA/CL)の20質量部に変更した点を除いて、実施例1と同様にしてグラフト重合を行い、ゴム含有グラフト重合体ラテックス(B-2)を得た。
CH=C(CH)COO(CHOCO(CHOH (4)
(体積平均粒径、粒度分布、円形度)
ゴム含有グラフト重合体ラテックス(B-2)の体積平均粒径、粒度分布及び円形度を上述した方法によって算出し、表2の「粒度分布(キャピラリー)」の欄、「粒度分布(TEM)」の欄及び「円形度」の欄に示した。
(リン含有量、ナトリウム含有量、脂肪酸含有量、グラフト鎖のビニル単量体組成、生産性)
ゴム含有グラフト重合体ラテックス(B-2)のリン含有量、ナトリウム含有量、脂肪酸含有量及びグラフト鎖のビニル単量体組成を上述した方法によって算出し、表3の「リン含有量」の欄、「ナトリウム含有量」の欄、「脂肪酸含有量」の欄及び「グラフト鎖のビニル単量体組成」の欄に示した。
実施例1と同様にして生産性を評価し、評価結果を表3の「生産性」の欄に示した。
<樹脂組成物>
(樹脂組成物の製造)
ゴム含有グラフト重合体ラテックス(B-1)をゴム含有グラフト重合体ラテックス(B-2)に変更した点及びゴム含有グラフト重合体(B-1)をゴム含有グラフト重合体(B-2)に変更した点を除いて、実施例1と同様にして、樹脂組成物のペレットを製造した。
(衝撃試験)
製造した樹脂組成物のペレットを用いて、実施例1と同様にしてシャルピー衝撃強度(単位:kJ/m)を測定した。
測定したシャルピー衝撃強度を、表4の「衝撃強度」の欄に示す。
[実施例3]
<ゴム含有グラフト重合体ラテックス>
(ゴム含有グラフト重合体ラテックスの製造)
凝集肥大化ゴム状重合体(A-1)を凝集肥大化ゴム状重合体(A-2)に変更した点を除いて、実施例1と同様にしてグラフト重合を行い、ゴム含有グラフト重合体ラテックス(B-3)を得た。
(体積平均粒径、粒度分布、円形度)
ゴム含有グラフト重合体ラテックス(B-3)の体積平均粒径、粒度分布及び円形度を上述した方法によって算出し、表2の「粒度分布(キャピラリー)」の欄、「粒度分布(TEM)」の欄及び「円形度」の欄に示した。
(リン含有量、ナトリウム含有量、脂肪酸含有量、グラフト鎖のビニル単量体組成、生産性)
ゴム含有グラフト重合体ラテックス(B-3)のリン含有量、ナトリウム含有量、脂肪酸含有量及びグラフト鎖のビニル単量体組成を上述した方法によって算出し、表3の「リン含有量」の欄、「ナトリウム含有量」の欄、「脂肪酸含有量」の欄及び「グラフト鎖のビニル単量体組成」の欄に示した。
実施例1と同様にして生産性を評価し、評価結果を表3の「生産性」の欄に示した。
<樹脂組成物>
(樹脂組成物の製造)
ゴム含有グラフト重合体ラテックス(B-1)をゴム含有グラフト重合体ラテックス(B-3)に変更した点及びゴム含有グラフト重合体(B-1)をゴム含有グラフト重合体(B-3)に変更した点を除いて、実施例1と同様にして、樹脂組成物のペレットを製造した。
(衝撃試験)
製造した樹脂組成物のペレットを用いて、実施例1と同様にしてシャルピー衝撃強度(単位:kJ/m)を測定した。
測定したシャルピー衝撃強度を、表4の「衝撃強度」の欄に示す。
[比較例1]
<ゴム含有グラフト重合体ラテックス>
(ゴム含有グラフト重合体ラテックスの製造)
凝集肥大化ゴム状重合体(A-1)を凝集肥大化ゴム状重合体(A-3)に変更した点を除いて、実施例1と同様にしてグラフト重合を行い、ゴム含有グラフト重合体ラテックス(B-4)を得た。
(体積平均粒径、粒度分布、円形度)
ゴム含有グラフト重合体ラテックス(B-4)の体積平均粒径、粒度分布及び円形度を上述した方法によって算出し、表2の「粒度分布(キャピラリー)」の欄、「粒度分布(TEM)」の欄及び「円形度」の欄に示した。
(リン含有量、ナトリウム含有量、脂肪酸含有量、グラフト鎖のビニル単量体組成、生産性)
ゴム含有グラフト重合体ラテックス(B-4)のリン含有量、ナトリウム含有量、脂肪酸含有量及びグラフト鎖のビニル単量体組成を上述した方法によって算出し、表3の「リン含有量」の欄、「ナトリウム含有量」の欄、「脂肪酸含有量」の欄及び「グラフト鎖のビニル単量体組成」の欄に示した。
実施例1と同様にして生産性を評価し、評価結果を表3の「生産性」の欄に示した。
<樹脂組成物>
(樹脂組成物の製造)
ゴム含有グラフト重合体ラテックス(B-1)をゴム含有グラフト重合体ラテックス(B-4)に変更した点及びゴム含有グラフト重合体(B-1)をゴム含有グラフト重合体(B-4)に変更した点を除いて、実施例1と同様にして、樹脂組成物のペレットを製造した。
(衝撃試験)
製造した樹脂組成物のペレットを用いて、実施例1と同様にしてシャルピー衝撃強度(単位:kJ/m)を測定した。
測定したシャルピー衝撃強度を、表4の「衝撃強度」の欄に示す。
[実施例4]
<ゴム含有グラフト重合体ラテックス>
(ゴム含有グラフト重合体ラテックスの製造)
凝集肥大化ゴム状重合体(A-1)を凝集肥大化ゴム状重合体(A-4)に変更した点を除いて、実施例1と同様にしてグラフト重合を行い、ゴム含有グラフト重合体ラテックス(B-5)を得た。
(体積平均粒径、粒度分布、円形度)
ゴム含有グラフト重合体ラテックス(B-5)の体積平均粒径、粒度分布及び円形度を上述した方法によって算出し、表2の「粒度分布(キャピラリー)」の欄、「粒度分布(TEM)」の欄及び「円形度」の欄に示した。
(リン含有量、ナトリウム含有量、脂肪酸含有量、グラフト鎖のビニル単量体組成、生産性)
ゴム含有グラフト重合体ラテックス(B-5)のリン含有量、ナトリウム含有量、脂肪酸含有量及びグラフト鎖のビニル単量体組成を上述した方法によって算出し、表3の「リン含有量」の欄、「ナトリウム含有量」の欄、「脂肪酸含有量」の欄及び「グラフト鎖のビニル単量体組成」の欄に示した。
実施例1と同様にして生産性を評価し、評価結果を表3の「生産性」の欄に示した。
<樹脂組成物>
(樹脂組成物の製造)
ゴム含有グラフト重合体ラテックス(B-1)をゴム含有グラフト重合体ラテックス(B-5)に変更した点及びゴム含有グラフト重合体(B-1)をゴム含有グラフト重合体(B-5)に変更した点と硫酸を用いて凝析後に水酸化ナトリウムでpH=7まで中和を行った点を除いて、実施例1と同様にして、樹脂組成物のペレットを製造した。
(衝撃試験)
製造した樹脂組成物のペレットを用いて、実施例1と同様にしてシャルピー衝撃強度(単位:kJ/m)を測定した。
測定したシャルピー衝撃強度を、表4の「衝撃強度」の欄に示す。
[比較例2]
<ゴム含有グラフト重合体ラテックス>
(ゴム含有グラフト重合体ラテックスの製造)
凝集肥大化ゴム状重合体(A-1)を凝集肥大化ゴム状重合体(A-5)に変更した点、及びメチルメタクリレート(MMA)の20質量部をメチルメタクリレート(MMA)の18質量部とブチルアクリレート(BA)の2質量部との混合物(MMA/BA)の20質量部に変更した点を除いて、実施例1と同様にしてグラフト重合を行い、ゴム含有グラフト重合体ラテックス(B-6)を得た。
(体積平均粒径、粒度分布、円形度)
ゴム含有グラフト重合体ラテックス(B-6)の体積平均粒径、粒度分布及び円形度を上述した方法によって算出し、表2の「粒度分布(キャピラリー)」の欄、「粒度分布(TEM)」の欄及び「円形度」の欄に示した。
(リン含有量、ナトリウム含有量、脂肪酸含有量、グラフト鎖のビニル単量体組成、生産性)
ゴム含有グラフト重合体ラテックス(B-6)のリン含有量、ナトリウム含有量、脂肪酸含有量及びグラフト鎖のビニル単量体組成を上述した方法によって算出し、表3の「リン含有量」の欄、「ナトリウム含有量」の欄、「脂肪酸含有量」の欄及び「グラフト鎖のビニル単量体組成」の欄に示した。
実施例1と同様にして生産性を評価し、評価結果を表3の「生産性」の欄に示した。
<樹脂組成物>
(樹脂組成物の製造)
ゴム含有グラフト重合体ラテックス(B-1)をゴム含有グラフト重合体ラテックス(B-6)に変更した点及びゴム含有グラフト重合体(B-1)をゴム含有グラフト重合体(B-6)に変更した点を除いて、実施例1と同様にして、樹脂組成物のペレットを製造した。
(衝撃試験)
製造した樹脂組成物のペレットを用いて、実施例1と同様にしてシャルピー衝撃強度(単位:kJ/m)を測定した。
測定したシャルピー衝撃強度を、表4の「衝撃強度」の欄に示す。
Figure 0007120301000002
表2中の「粒度分布(キャピラリー)」の欄、「粒度分布(TEM)」の欄及び「円形度」の欄の用語の意味は以下のとおりである。
Dv[nm]: 円換算直径が100nm以下の粒子を除外して算出した体積平均粒径(nm)
粒径100nm以下の粒子[%]: 円換算直径が100nm以下の粒子の個数の割合(%)
粒径400nm以上の粒子[%]: 円換算直径が100nm以上の粒子の個数に対する円換算直径が400nm以上の粒子の個数の割合(%)
円形度0.75以下の粒子[%]: 円換算直径が150nm以上の粒子の個数に対する円形度が0.75以下の粒子の個数の割合(%)
Figure 0007120301000003
表3中の「グラフト鎖のビニル単量体組成」の欄の記号の意味は以下のとおりである。
MMA: メチルメタクリレート(アクリエステルM、三菱ケミカル社製)
CL: 不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエステル修飾ε-カプロラクトン(プラクセルFM1、ダイセル社製)
BA: ブチルアクリレート(アクリエステルB、三菱ケミカル社製)
Figure 0007120301000004
表4中、ゴム含有グラフト重合体は、ゴム含有グラフト重合体ラテックスを凝析し、洗浄した後に乾燥して得たゴム含有グラフト重合体を示す。
表4中の略号は以下の意味である。
PC: 芳香族ポリカーボネート樹脂(ユーピロン(登録商標) S-2000F、三菱エンジニアリングプラスチックス社製) 粘度平均分子量(公称値)=22000
SAN: スチレンアクリロニトリル樹脂(AP-H、テクノUMG社製) アクリロニトリル(AN)比率(公称値)=26%前後、質量平均分子量(公称値)=110000程度
[試験例1~4]
(樹脂組成物の製造)
ゴム含有グラフト重合体ラテックス(B-1)又はゴム含有グラフト重合体ラテックス(B-5)を酢酸カルシウムで凝析し、洗浄した後に乾燥して、ゴム含有グラフト重合体(B-1)又はゴム含有グラフト重合体(B-5)を粉体として得た。
得られたゴム含有グラフト重合体(B-1)又はゴム含有グラフト重合体(B-5)と、ポリカーボネート樹脂(PC)と、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)又はポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)とを、表5に示す配合量で混合し、溶融混錬して、各試験例の樹脂組成物のペレットを得た。
(引張試験)
各試験例において、製造した熱可塑性樹脂のペレットを射出成型機(SE100DU、住友重機械工業社製)に供給し、シリンダー温度260℃、金型温度60℃にて試験片を作成した。この試験片を用いて、ISO 527-1:2012に準拠し、引張速度50mm/minで引張試験を行い、破断点伸度(単位:%)を測定した。3個の試験片の破断点伸度の平均(平均破断点伸度)及び標準偏差を算出した。
算出した破断点伸度を、表5の「平均破断点伸度」の欄に、算出した標準偏差を表5の「標準偏差」の欄に、それぞれ示す。
Figure 0007120301000005
表5中、ゴム含有グラフト重合体は、ゴム含有グラフト重合体ラテックスを凝析し、洗浄した後に乾燥して得たゴム含有グラフト重合体を示す。
表5中の略号は以下の意味である。
PC: 芳香族ポリカーボネート樹脂(ユーピロン(登録商標) S-2000F、三菱エンジニアリングプラスチックス社製) 粘度平均分子量(公称値)=22000
PET: ポリエチレンテレフタレート樹脂(TRN-8550FF、帝人社製)
PBT: ポリブチレンテレフタレート樹脂(ノバデュラン(登録商標) 5010R5、三菱エンジニアリングプラスチックス社製)
[結果の説明]
表2に示すとおり、実施例1~5のゴム含有グラフト重合体は、円換算直径が100nm以上の粒子の個数に対する円換算直径が400nm以上の粒子の個数の割合が5%以下であり(「粒度分布(TEM)」の欄の「粒径400nm以上の粒子」)、円換算直径が100nm以下の粒子を除外して算出した体積平均粒径が150~250nmの範囲内である(「粒度分布(TEM)」の欄の「Dv」)。
これに対して、比較例1のゴム状グラフト重合体は、円換算直径が100nm以上の粒子の個数に対する円換算直径が400nm以上の粒子の個数の割合が5%を超え(「粒度分布(TEM)」の欄の「粒径400nm以上の粒子」)、さらに、円換算直径が100nm以下の粒子を除外して算出した体積平均粒径が150~250nmの範囲外(300nm)であった(「粒度分布(TEM)」の欄の「Dv」)。
表4に示すとおり、実施例1~5のゴム含有グラフト重合体を用いて製造した樹脂組成物の成形体の衝撃強度は23℃及び-30℃のいずれにおいても優れていた(「衝撃試験」欄)。これに対し、比較例1のゴム含有グラフト重合体を用いて製造した樹脂組成物の成形体の衝撃強度は23℃及び-30℃のいずれにおいても劣っていた。
比較例2は、凝集肥大化を行わず、乳化重合によってゴム状重合体の粒径を大きくしたものである。凝集肥大化処理によってゴム状重合体の粒径を大きくした実施例1~4に比べると、ゴム含有グラフト重合体の生産性が劣る。
表5に示すとおり、ゴム含有グラフト重合体中のナトリウムの含有量を抑えることによって引張試験時の破断点伸度及びその標準偏差が小さくなり成形加工性が改善されていることが分かる。このことから、ナトリウムの含有量を少なくすることでポリエチレンテレフタレート樹脂と芳香族ポリカーボネート樹脂の分解反応又はエステル交換反応が抑制され、成形加工性が向上することが分かる。

Claims (17)

  1. ブタジエンゴムを含むゴムラテックスとビニル単量体とを、前記ブタジエンゴム/前記ビニル単量体=45/55~90/10の質量比で混合し、前記ブタジエンゴムに前記ビニル単量体をグラフト重合して得られ、前記ブタジエンゴム中の1,3-ブタジエンに由来する単位の含有量が50質量%以上であるブタジエンゴム含有グラフト重合体であって、以下の条件(1)、(2)及び(3)を満たすブタジエンゴム含有グラフト重合体。
    (1)円換算直径が100nm以上の粒子の個数に対する円換算直径が400nm以上の粒子の個数の割合が5%以下である。
    (2)円換算直径が100nm以下の粒子を除外して算出した体積平均粒径が150~250nmである。
    (3)円換算直径が150nm以上の粒子の個数に対する、円換算直径が150nm以上かつ円形度が0.75以下の粒子の個数の割合が70%以上である。
  2. リン元素を200質量ppm以上含む、請求項1に記載のブタジエンゴム含有グラフト重合体。
  3. ナトリウム元素を100質量ppm以下含む、請求項1又は2に記載のブタジエンゴム含有グラフト重合体。
  4. 脂肪酸及びその塩からなる群から選択される1種以上を合計で1質量%以上含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のブタジエンゴム含有グラフト重合体。
  5. 前記ブタジエンゴム含有グラフト重合体のグラフト鎖のビニル単量体に由来する単位の合計質量の95質量%以上がメチルメタクリレートに由来する単位である、請求項1~4のいずれか1項に記載のブタジエンゴム含有グラフト重合体。
  6. 前記ブタジエンゴム含有グラフト重合体を有機溶剤と混合して有機溶剤不溶分と有機溶剤可溶分とに分離したとき、前記有機溶剤不溶分が前記ブタジエンゴム含有グラフト重合体のグラフト鎖を含み、前記グラフト鎖がカプロラクトン単位を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のブタジエンゴム含有グラフト重合体。
  7. 前記ブタジエンゴム中の1,3-ブタジエンに由来する単位の含有量が50質量%以上である、請求項1~6のいずれか1項に記載のブタジエンゴム含有グラフト重合体。
  8. 前記ブタジエンゴムに前記ビニル単量体をグラフト重合した後に、酢酸カルシウムで凝析して得られる、請求項7に記載のブタジエンゴム含有グラフト重合体。
  9. ブタジエンゴムを含むゴムラテックスの固形分100質量部に対してリン酸水溶液を固形分換算で0.1~10質量部添加して前記ブタジエンゴムを凝集肥大化し、
    得られた凝集肥大化ブタジエンゴムを含む凝集肥大化ゴム状重合体ラテックスとビニル単量体とを、前記凝集肥大化ゴム状重合体ラテックスの固形分/前記ビニル単量体=45/55~90/10の質量比で混合し、
    前記凝集肥大化ブタジエンゴムに前記ビニル単量体をグラフト重合して得られる、
    体積平均粒径が150~220nmであり、かつ、円換算直径が400nm以上の粒子を2.5質量%以下含む、ブタジエンゴム含有グラフト重合体。
  10. 円換算直径が100nm以下の粒子を8質量%以下含む、請求項9に記載のブタジエンゴム含有グラフト重合体。
  11. 前記凝集肥大化ゴム状重合体ラテックスの固形分/前記ビニル単量体=45/55~85/15の質量比で混合する、請求項9又は10に記載のブタジエンゴム含有グラフト重合体。
  12. 前記ビニル単量体がメチルメタクリレートを95質量%以上含む、請求項9~11のいずれか1項に記載のブタジエンゴム含有グラフト重合体。
  13. 前記ビニル単量体がカプロラクトンを含む、請求項9~12のいずれか1項に記載のブタジエンゴム含有グラフト重合体。
  14. 前記ブタジエンゴム含有グラフト重合体100質量部に対して、脂肪酸系乳化剤を1質量部以上含む、請求項9~13のいずれか1項に記載のブタジエンゴム含有グラフト重合体。
  15. 請求項1~14のいずれか1項に記載のブタジエンゴム含有グラフト重合体と熱可塑性樹脂とを含む樹脂組成物。
  16. 前記熱可塑性樹脂が芳香族ポリカーボネート樹脂を含む、請求項15に記載の樹脂組成物。
  17. 前記熱可塑性樹脂がポリエステル樹脂を含む、請求項15又は16に記載の樹脂組成物。
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