JP7243403B2 - ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体、これを含む樹脂組成物及びその成形体、並びにポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体の製造方法 - Google Patents

ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体、これを含む樹脂組成物及びその成形体、並びにポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体、これを含む樹脂組成物及びその成形体に関する。
ゴム含有グラフト重合体は、ゴム状重合体に対してビニル単量体がグラフト重合されたものである。ゴム含有グラフト重合体は、乳化重合で製造され、所定のゴム粒子径、ゴム構造を維持したまま多種多様な樹脂に分散させることができる。そのため、衝撃強度が求められる樹脂に好適に用いられる。
ゴムの粒子径としては、高外観を目指すならば光の可視波長より小さい400nm以下が好ましい。また衝撃強度を改良するには、一般的にゴムの弾性率が低いこと、ポアソン比が高いことが求められる。そのため、アクリル系ゴムよりブタジエンゴム及びシリコーン系ゴムが好適に用いられている。ブタジエンゴムと、ポリジメチルシロキサンに代表されるシリコーン系ゴムは、ポアソン比が0.5と高く、かつ弾性率も低い。
ブタジエンゴムは、熱、紫外線により硬化し、着色を帯びる等の課題があり、耐久性の点も踏まえるとシリコーン系ゴムの方が望ましい。しかしながら、シリコーン系ゴムは、ブタジエンゴムより高価であることや、塩化ビニル、ポリカーボネート樹脂等の屈折率の高い樹脂組成物に配合する場合において成形品の透明性が低下し、着色外観、特に深みのある黒色を発現するのが困難になる等の課題があった。
特許文献1には、ポリカーボネート樹脂と、他の熱可塑性樹脂(AS樹脂、ABS樹脂)と、ゴム含有グラフト共重合体(ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体)とを含む樹脂組成物が記載されている。そのゴム含有グラフト共重合体の形成において、シリコーンゴムにスチレン系樹脂を複合化させることで、屈折率を上げ、また粒子径が400nm以下でも、得られる成形体の強度を改良している。
特許文献2には、スチレンとアクリロニトリルの共重合体(コア材料)の存在下、シリコーンモノマーを滴下してラテックス(ゴム粒子)を形成し、このラテックスにさらにスチレンとアクリロニトリルモノマ-の混合物を滴下し重合し、グラフトポリマーを製造する製法が記載されている。そして、得られたグラフトポリマーは、その粒子径が200nm程度であり、コア/シェル粒子のグラフト化構造を有し、このグラフトポリマーとポリカーボネートとを配合した組成物の成形品は、高い低温靭性を示すことが記載されている。
特開2016-117866号公報 特開平1-161049号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、他の熱可塑性樹脂を加えずにポリカーボネートを単独で含む場合は、得られる成形体の衝撃強度は十分ではない。また、特許文献2の技術で得られる成形体の衝撃強度および外観も十分ではない。
本発明の目的は、成形体の強度と外観を改善できるポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体、及びこれを含む樹脂組成物を提供することにある。
本発明の一態様によれば、ポリオルガノシロキサン(A1)とビニル重合体(A2)を含有する重合体(A)が、ビニル単量体(b)でグラフト化されたポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体であって、以下のZ-1からZ-4の要件を満たすポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)。
Z-1)前記ビニル重合体(A2)が単一にポリオルガノシロキサン(A1)に包含される構造を有する粒子が個数平均で15%以上
Z-2)ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体のテトラヒドロフラン不溶分が50質量%以上
Z-3)ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体の粒子径が50~250nm
Z-4)ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体の屈折率が1.47~1.60
本発明の他の態様によれば、前記ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)と熱可塑性樹脂(C)を含む樹脂組成物が提供される。
本発明の他の態様によれば、前記樹脂組成物を用いて形成された成形体が提供される。
本発明によれば、成形体の強度と外観を改善できるポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体、及びこれを含む樹脂組成物を提供することができる。
本発明のポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)を構成する重合体(A)の構造を説明するための断面模式図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
[ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)]
本発明のポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)は、乳化剤存在下水系媒体中で得られる「ゴム状重合体」(A)(ゴムラテックス)に対して「ビニル単量体」(b)がグラフト重合されたもの(グラフトラテックス)である。ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)を構成するグラフト重合に由来する成分を以下「グラフト成分」という。本発明のポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)は、Z-1からZ-4の要件を満たす。
(芯構造:条件Z-1)
本発明に用いることができるゴム状重合体(A)は、ビニル単量体(a2)から得られるビニル重合体(A2)が単一にポリオルガノシロキサン(A1)に包含される構造(以下「芯構造」という)を有する粒子を含み、その割合が個数平均で15%以上である(条件Z-1)。
ここでいう、「単一」とは、ポリオルガノシロキサン(A1)に包含されたビニル重合体(A2)が、そのビニル重合体(A2)の全体をポリオルガノシロキサン(A1)に包含され海島構造となり、かつ包含されたビニル重合体(A2)が一つの島を形成する状態を指す。
(芯構造の測定)
「芯構造」の測定は、以下の手順に従い、ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)をエポキシ樹脂中に分散させ、その切片を透過型電子顕微鏡により観察した像からその割合(個数平均)を算出する。
1)ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)をポリエチレンカプセル先端に取り、未硬化エポキシ樹脂を注ぎ、室温で12時間放置し硬化させ、樹脂片を得る。
2)得られた樹脂片を、ミクロトームを用いて切り出して、その切り出した切片を支持膜付き銅グリッドの上に回収する。切片の厚みは50nmとする。
3)透過型電子顕微鏡により、切片の画像を取得する。画像の取得倍率は10万倍とする。
画像に確認された粒子の内、断面積が大きい方から粒子を30%選び、計100個以上を対象に評価する(この選んだ粒子の比率は、画像に確認された粒子の全個数に対する選んだ粒子の個数の割合をいう)。評価した粒子は図1に示す5種類(S、T、U、V、W)に分類した。この内、図1のSに示す様な芯部の全体が被覆された芯構造を有する粒子の数をカウントし、評価の対象とした粒子の数に対する比率を算出した。なお、図1は、本発明によるポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)を構成する重合体(A)の構造を説明するための断面模式図である。図中のS、T、U、V、Wにおいて、濃色部はポリオルガノシロキサン(A1)相に相当し、淡色部はビニル重合体(A2)相に相当する。Sは、芯構造を示し、すなわち、重合体(ポリオルガノシロキサン)A1の1相と重合体(ビニル重合体)A2の1相からなり、重合体A2の1相の全体を重合体A1が包含している構造(以下「S構造」ともいう)である。Tは、重合体A1の1相と重合体A2の1相からなり、いずれの相も他方の相で包含されていない構造(以下「T構造」という)である。Uは、重合体A1の1相と重合体A2の2相からなり、いずれの相も他の相で包含されていない構造(以下「U構造」という)である。Vは、重合体A1の1相からなる構造(以下「V構造」という)であり、Wは、重合体A2の1相からなる構造(以下「W構造」という)である。
本発明に用いることができるゴム状重合体(A)は、芯構造(S構造)の粒子の割合が個数平均で15%以上であるが、T構造やU構造のように、重合体A1の相と重合体A2の相を含み、いずれの相も他方の相で包含されていない構造を有する粒子の割合が個数平均で40%以下であることが好ましく、35%以下であることがより好ましい。また、U構造のように、重合体A1の単一相と重合体A2の複数相を含み、いずれの相も他方の相で包含されていない構造を有する粒子の割合が個数平均で10%以下であることが好ましく、5%以下がより好ましい。また、W構造の粒子が個数平均で5%以下がより好ましく、1%以下がさらに好ましい。
(THF溶解性:条件Z-2)
本発明に用いることができるゴム状重合体(A)は、ポリオルガノシロキサン(A1)が十分に架橋され、粒子内においてビニル重合体(A2)と共有結合していることが好ましく、すなわち、芯構造においては芯部(ビニル重合体(A2))と共有結合していることが好ましい。これらはテトラヒドロフラン(以下、「THF」という)に溶解する程度で計測できる。ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)のTHFに対する不溶分が50質量%以上(条件Z-2)であれば、ポリオルガノシロキサン(A1)が十分に架橋され、かつ芯構造の芯部と共有結合していると判断できる。さらに、ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)のTHFに対する不溶分は60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。
(THF不溶分の測定方法)
THF不溶分は、まず、ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)1質量%とTHF99質量%との混合溶液を調製して、以下(1)~(4)の操作を行うことによって測定される。
(1)試料0.5gをTHF50ml(44.5g)へ加えて混合溶液を調製し、室温で約8時間、THFで可溶分を抽出する。続いて、後に行う遠心分離前に室温で30分以上スターラーで撹拌する。
(2)前記混合溶液を遠心管に入れて遠心分離機に供して16000rpmで40分間、遠心分離する。
(3)上澄み液を除去した後、THFを加えて再度遠心分離を行って(これを2回繰り返す)、不溶分を洗う。
(4)上澄み液を除去した後、不溶分(遠心管を含む)を温度80℃で8時間乾燥して、さらに真空乾燥機で65℃にて6時間乾燥し、乾燥試料(THF不溶分)を得る。
得られた乾燥試料(THF不溶分)の質量(遠心管含む)を測定し、次式によりTHF不溶分の含有比率wais(%)を算出する。
ais=(wc1-was)/wt×100
wt:測定に供したポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)の質量(THF不溶分を含む)
as:遠心管の質量
c1:THF不溶分の質量(遠心管を含む質量)
(粒子径:条件Z-3)
本発明によるポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)の平均粒子径は50~250nmの範囲にある(条件Z-3)。平均粒子径が50~250nmの範囲にあれば成形体の衝撃強度を向上することができ、70~220nmの範囲にあることが好ましく、70~200nmの範囲にあることがより好ましい。
ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)の平均粒子径は、上記の芯構造の測定にて得られた画像に確認された粒子の内、断面積が大きい方から粒子を30%(個数基準)選び、計100個以上を対象に、画像解析ソフト(日本ローパー社製、製品名:Image Pro Plus)を用いて、平均粒子径を算出する。また、ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)の平均粒子径は、光散乱法やキャピラリー粒度分布計により測定できる。
平均粒子径を250nm以下にする方法として、乳化重合によるポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体の製造が好ましく、乳化剤の量を調整することで平均粒子径50~250nmのゴム状重合体を得ることができる。
(屈折率:条件Z-4)
本発明によるポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)の屈折率は1.47~1.60の範囲にある(条件Z-4)。
(屈折率の測定)
ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)を加熱プレスして縦横20mm×8mm、厚さ2mmの成形品を作製し、下記の測定条件にて屈折率を測定することができる。
アッベ式屈折率計:NAR-2(製品名、(株)アタゴ製)、
測定条件:測定温度23±1℃、測定湿度50±5%RH(相対湿度)
しかしながら、前記の加熱プレスにて得られる試料が不透明で、精度が十分でない場合は、ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)を構成する重合体(ポリオルガノシロキサン(A1)、ビニル重合体(A2)等)の比率を定量し、それらの重合体の屈折率それぞれの体積換算割合で加算し算出することもできる。
他の重合体と共有結合を形成するビニル単位を単一分子中に2つ以上もつ単量体を除いたビニル単量体の重合体として計測することで屈折率を算出することもできる。
例えば、POLYMER HANDBOOK4th Edition (WileyInterscience)に記載の以下の数式(1)を用いて算出される。
n=v1n1+v2n2+v3n3+・・・ 数式(1)
なお、式中の「n1、n2、n3、・・・」は各単量体の単独重合体の20~30℃における屈折率を表し、POLYMERHANDBOOK(Forth Edition Volume2、WILEY-INTERSCIENCE出版、VI/571 Refractive Indices of Polymers)の文献値(ポリメチルメタクリレートは1.49、ポリn-ブチルアクリレートは1.47、ポリスチレンは1.59)、各種製造メーカの報告値(ポリジメチルシロキサンならば1.40)、さらにはアクセルリス社のソフトウェア「シンシア」にて得られる値が使用できる。式中、「v1、v2、v3、・・・」は各単量体の体積分率を表す。
他の重合体と共有結合を形成するビニル単位を単一分子中に2つ以上もつ単量体としては、例えばアリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、1,4-ブチレングリコールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、トリアリルトリメリテート等の多官能単量体やシロキサン系グラフト交叉剤(a2-2)が挙げられる。
他の重合体と共有結合を形成するビニル単位を単一分子中に2つ以上もつ単量体のそれぞれがポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)に占める割合が1質量%以下であれば、架橋もしくは他の重合体と共有結合を形成するビニル単量体成分、架橋剤は除いたビニル単量体の重合体として算出することで得られる屈折率の精度は十分に高い。また、すべての他の重合体と共有結合を形成するビニル単位を単一分子中に2つ以上もつ単量体がポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)に占める割合が3質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがさらに好ましい。
(ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)の製造方法)
ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)の製造方法は、以下の工程を有することが好ましい。この製造方法によれば、ビニル重合体(A)が単一にポリオルガノシロキサン(A1)に包含される構造を形成することができる。
1)乳化剤の存在下で水媒体中、ビニル単量体(a2)を重合したラテックス(芯ラテックス)を製造する。ビニル単量体(a2)は、ビニル単量体(a2-1)とシロキサン系グラフト交叉剤(a2-2)からなることが好ましい。
2)このラテックスへオルガノシロキサン(a1)を滴下し、重合させる(重合体(A)を形成)。
3)前の工程(2)と後の工程(4)の間に、ガラス転移温度が0℃以下のものを重合することもできる。
4)得られた重合体(A)をビニル単量体(b)でグラフト化する(重合体(B)を形成)。
以下、適宜、上記の工程(1)で得られたラテックスを「芯ラテックス」、工程(2)~(3)で得られたラテックス(すなわち工程(4)を行う前のラテックス)を「ゴムラテックス」、工程(4)で得られたラテックスを「グラフトラテックス」という。
(ビニル単量体(a2))
ビニル単量体(a2)は、芯ラテックスを形成できるものであれば特に限定されないが、以下のビニル単量体(a2-1)とシロキサン系グラフト交叉剤(a2-2)を含むことが好ましい。
(ビニル単量体(a2-1))
ビニル単量体(a2-1)としては、特に限定されないが、重合後の屈折率の値が高くかつガラス転移点が高くなるビニル単量体を含むことが好ましい。例えば、スチレン、αメチルスチレン、フェニルメタクリレート、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、p-クロロスチレン、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、イソボロニルアクリレート、イソボロニルメタクリレート、メチルメタクリレート、p-t-ブチルスチレン、n-ブチルアクリレート等が好ましい。このようなビニル単量体は1種を単独で又は2種以上を併用できる。またこのようなビニル単量体の含有量は、芯ラテックスを形成するビニル単量体の全体に対して80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、さらに、100質量%に設定することができる。
(その他のビニル単量体)
その他のビニル単量体として、必要により以下の多官能性単量体を配合することもできる。例えばアリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、1,4-ブチレングリコールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、トリアリルトリメリテート等が好ましい。このような多官能単量体は1種を単独で又は2種以上を併用できる。またこのようなビニル単量体の含有量は、芯ラテックスを形成するビニル単量体の全体に対して20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
(シロキサン系グラフト交叉剤(a2-2))
シロキサン系グラフト交叉剤(a2-2)は、シロキシ基(-Si-O-)を有すると共にビニル単量体と重合可能な官能基を有するものである。シロキサン系グラフト交叉剤(a2-2)としては、式(I)で表されるシロキサンを挙げることができる。
R-Si(R(OR(3-n) (I)
式(I)中、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、又はフェニル基を示す。Rは、アルコキシル基における有機基を示し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、又はフェニル基が好ましい。nは、0、1又は2を示す。Rは、式(I-1)~(I-4)で表されるいずれかの基を示す。
CH=C(R)-COO-(CH- (I-1)
CH=C(R)-C- (I-2)
CH=CH- (I-3)
HS-(CH- (I-4)
これらの式中、R及びRは、それぞれ、水素原子又はメチル基を示し、pは1~6の整数を示す。
式(I-1)で表される官能基としては、メタクリロイルオキシアルキル基を挙げることができる。この基を有するシロキサンとしては、例えば以下のものが挙げられる。β-メタクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、γ-メタクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ-メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン(3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン)、γ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、γ-メタクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシラン、δ-メタクリロイルオキシブチルジエトキシメチルシラン等。
式(I-2)で表される官能基としては、ビニルフェニル基等を挙げることができる。この基を有するシロキサンとしては、例えば、ビニルフェニルエチルジメトキシシランを挙げることができる。
式(I-3)で表される官能基を有するシロキサンとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランを挙げることができる。
式(I-4)で表される官能基としては、メルカプトアルキル基を挙げることができる。この基を有するシロキサンとして、例えば以下のものが挙げられる。γ-メルカプトプロピルジメトキメチルシラン、γ-メルカプトプロピルメトキシジメチルシラン、γ-メルカプトプロピルジエトキシメチルシラン、γ-メルカプトプロピルエトキシジメチルシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等。
これらシロキサン系グラフト交叉剤(a2-2)は、1種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。特に3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランが単一にポリオルガノシロキサン(A1)に包含される構造を有する粒子を形成する点から好ましい。
シロキサン系グラフト交叉剤(a2-2)の含有率は、ビニル単量体(a2-1)とシロキサン系グラフト交叉剤(a2-2)の合計100質量%に対して、0.05~20質量%の範囲にあることが好ましく、0.1~10質量%の範囲にあることがより好ましく、0.5~5質量%の範囲にあることがさらに好ましい。シロキサン系グラフト交叉剤(a2-2)の含有率が0.05~20質量%の範囲にあれば、芯構造の芯部とポリオルガノシロキサンとの共有結合を十分に形成でき、耐衝撃性が良好なポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体(B)を得ることができる。
(ラジカル重合開始剤)
ビニル単量体の重合に用いるラジカル重合開始剤としては、アゾ系開始剤、過酸化物、及び過酸化物と還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤を用いることができる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
アゾ系開始剤としては、例えば以下のものが挙げられる。2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-ブチロニトリル)等の油溶性アゾ系開始剤、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリックアシッド)、2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシメチル)-2-メチルプロピオナミジン]ハイドレート、2,2’-アゾビス-(N,N’-ジメチレンイソブチルアミジン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩等の水溶性アゾ系開始剤等。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
過酸化物としては、例えば以下のものが挙げられる。過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、p-メンタンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、サクシニックアシッドパーオキサイド、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t-ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート等の有機過酸化物等。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
過酸化物を還元剤と組み合わせてレドックス系開始剤とする場合、上記の過酸化物と、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、L-アスコルビン酸、フルクトース、デキストロース、ソルボース、イノシトール等の還元剤と、硫酸第一鉄・エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩を組み合わせて用いることが好ましい。これらの還元剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ラジカル重合開始剤の使用量は、アゾ系開始剤を用いる場合は単量体の合計100質量部に対して0.01~1質量部であることが好ましい。過酸化物の使用量は、単量体の合計100質量部に対して0.01~1質量部であることが好ましい。
(ゴム化)
ビニル単量体(a2)を重合して得た芯ラテックス(ビニル重合体(A2))の存在下、オルガノシロキサン(a1)を重合してポリオルガノシロキサン(A1)を形成し、ゴムラテックス(重合体A1と重合体A2を含む重合体(A))を得る方法としては特に制限はなく、例えば、以下の製造方法を採用できる。
まず、酸触媒を芯ラテックスに投入する。オルガノシロキサン(a1)又はそれを含む混合物(必要に応じて混合する成分として、シロキサン系架橋剤、シロキサン系グラフト交叉剤、及び末端封鎖基を有するシロキサンオリゴマーから選ばれる少なくとも1種を含む)を、乳化剤と水によって乳化させてエマルションを調製する。その後、オルガノシロキサン(a1)又はそれを含む混合物を、前記の芯ラテックスに滴下しながら高温で重合させる。次いでアルカリ性物質により酸を中和してゴムラテックスを得る。
ポリオルガノシロキサン(A1)は、オルガノシロキサン(a1)の単位を含む重合体である。ポリオルガノシロキサン(A1)は、オルガノシロキサン、又はオルガノシロキサンと必要に応じて使用される成分を1種以上含む「オルガノシロキサン混合物」を重合することにより得ることができる。必要に応じて使用される成分としては、シロキサン系架橋剤、シロキサン系グラフト交叉剤、及び末端封鎖基を有するシロキサンオリゴマーから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
オルガノシロキサン(a1)としては、鎖状オルガノシロキサン、アルコキシシラン化合物、環状オルガノシロキサンのいずれも用いることができる。その中でも、アルコキシシラン化合物、環状オルガノシロキサンが好ましく、特に、重合安定性が高く、重合速度が大きいことから、環状オルガノシロキサンが好ましい。
アルコキシシラン化合物としては、2官能性アルコキシシラン化合物が好ましく、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエトキシジエチルシラン、ジプロポキシジメチルシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン等を挙げることができる。
環状オルガノシロキサンとしては、3~7員環のものが好ましく、例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサンを挙げることができる。これらは1種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、粒子径分布を制御しやすいことから、オクタメチルシクロテトラシロキサンが好ましい。
オルガノシロキサン(a1)としては、成形体の耐衝撃性をより高くできるグラフト重合体(B)を得る点から、環状ジメチルシロキサン及び/又は2官能性ジアルキルシラン化合物が好ましい。
環状ジメチルシロキサンとは、ケイ素原子にメチル基を2つ有する環状シロキサンであり、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンを挙げることができる。これらは1種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
2官能性ジアルキルシラン化合物とは、ケイ素原子にアルコキシ基とアルキル基をそれぞれ2つ有するシラン化合物であり、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエトキシジエチルシラン、ジプロポキシジメチルシランを挙げることができる。これらは1種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
また、成形体の耐衝撃性をより高くできるグラフト重合体(B)を得る点から、ポリオルガノシロキサン(A1)の形成においては、オルガノシロキサン(a1)とシロキサン系架橋剤を含む混合物を用いることが好ましい。シロキサン系架橋剤を用いることによって、架橋構造を有するポリオルガノシロキサン(A1)を得ることができる。
シロキサン系架橋剤としては、シロキシ基を有するものが好ましい。シロキサン系架橋剤としては、例えば、トリメトキシメチルシラン、トリエトキシフェニルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ-n-プロポキシシラン、テトラブトキシシラン等の3官能性又は4官能性のシラン系架橋剤を挙げることができる。中でも、4官能性の架橋剤が好ましく、テトラエトキシシランがより好ましい。シロキサン系架橋剤の含有率は、オルガノシロキサン混合物100質量%中、0.5~10質量%であることが好ましく、1.0~5質量%であることがより好ましい。シロキサン系架橋剤の含有率を0.5~10質量%とすることによって、成形体の耐衝撃性を良好にできるグラフト共重合体(B)を得ることができる。
ゴムラテックス(重合体A1と重合体A2を含む重合体(A))の形成において、オルガノシロキサン又はその混合物の重合反応は、得られたゴムラテックスを、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水溶液等のアルカリ性物質でpH6~8に中和して、終了させることができる。
オルガノシロキサン又はその混合物の重合に用いられる酸触媒としては、脂肪族スルホン酸、脂肪族置換ベンゼンスルホン酸、脂肪族置換ナフタレンスルホン酸などのスルホン酸類及び硫酸、塩酸、硝酸、リン酸などの鉱酸類が挙げられる。これらの酸触媒は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸を使用すると、ポリオルガノシロキサンラテックスの粒子径分布を狭くすることができ、さらに、ポリオルガノシロキサンラテックス中の乳化剤成分に起因する成形体の耐熱分解性の低下ならびに外観不良を低減できる。
酸触媒の使用量は、オルガノシロキサン100質量部に対して0.005~5質量部であることが好ましい。酸触媒の使用量が0.005質量部以上であれば、ポリオルガノシロキサンを短時間で重合することができる。また酸触媒の使用量が5質量部以下であれば、耐熱分解性ならびに外観が良好な成形体を得ることができる。
また、酸触媒の使用量がポリオルガノシロキサンの粒子径を決定する因子となるため、後述する粒子径のポリオルガノシロキサンを得るためには、酸触媒の使用量を0.005~1.5質量部とすることがより好ましい。
(グラフト化)
本発明のポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)を得るためのグラフト化(グラフト重合)に用いるビニル単量体(b)としては、特に限定されないが、例えばスチレン、α-メチルスチレン、フェニルメタクリレート、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、p-クロロスチレン、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、イソボロニルアクリレート、イソボロニルメタクリレート、メチルメタクリレート、p-t-ブチルスチレン等が挙げられる。
ビニル単量体(b)は、メチルメタクリレートを主成分とすることが好ましく、他の成分は5質量%以下であることが好ましい。他の成分としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;メチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアルキルアクリレート;エチルメタクリレート等のアルキルメタクリレート等が挙げられる。ビニル単量体(b)を重合(単独重合もしくは2種以上を組み合わせて共重合)して得られる重合体もしくは共重合体のガラス転移温度が70℃以上となるようにビニル単量体を選択することが好ましい。ガラス転移温度を70℃以上にすることは、その後の凝析工程から得られる粉体の特性(粉体の流動性や粒子径)の点から好ましい。
ビニル単量体(b)のグラフト重合を行う前に、ガラス転移温度が0℃以下の重合体を形成することもできる。具体的には以下のものが挙げられる。ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴム、ポリブチルアクリレート等のアクリル系ゴム、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合ゴム、スチレン・ブタジエンブロック共重合ゴム、スチレン・イソプレンブロック共重合ゴム等のブロック共重合体、およびそれらの水素添加物等が挙げられる。
グラフト重合を行う前に、ガラス転移温度が0℃以下の重合体を形成しない場合は、ゴムラテックス中のシロキサン系グラフト交叉剤(a2-2)由来の不飽和成分(ビニル成分)と、グラフト重合に用いるビニル単量体(b)が化学結合することでゴム状重合体(A)とのグラフト重合物を形成できる。このグラフト効率を上げるため、グラフト重合に用いるビニル単量体(b)の添加前に、例えばアリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、1,4-ブチレングリコールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、トリアリルトリメリテート等の多官能単量体をあらかじめ前添加して重合することがゴム状重合体とのグラフト重合の効率の点で好ましい。
ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)中のゴム状重合体(A)の含有率は、グラフト重合に用いたビニル単量体(b)の重合体成分を除いた残りの重合体の割合である。ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)中のゴム状重合体(A)の含有率は、成形体の衝撃強度の点から、50~95質量%の範囲にあることが好ましく、70~94質量%の範囲にあることがより好ましく、70~90質量%の範囲にあることがさらに好ましく、75~90質量%の範囲にあることが最も好ましい。
また、ゴム状重合体(A)中のポリオルガノシロキサン(A1)とビニル重合体(A2)の質量比率(A1/A2)は、重合体の屈折率や成形体の衝撃強度の観点から、70/30~30/70の範囲にあることが好ましく、60/40~40/60の範囲にあることがより好ましい。
ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)は、ゴムラテックスの存在下、ビニル単量体(b)を添加してグラフト重合させて得ることができる。
ゴム状重合体(A)に対してグラフト重合されるビニル単量体(b)からなる重合体のガラス転移温度は70°以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、90~105℃の範囲にあることがさらに好ましい。例えばメチルメタクリレートとブチルアクリレートとの共重合体は、ガラス転移温度が90~105℃の範囲となりやすく、ビニル単量体(b)としてこれらの単量体を好適に用いることができる。
(乳化剤)
上記製造方法で使用される乳化剤としては、特に制限されないが、アニオン系乳化剤またはノニオン系乳化剤が好ましい。
アニオン系乳化剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウムを挙げることができる。
ノニオン系乳化剤としては、例えば以下のものが挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等。
その他に、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩が挙げられ、好ましくはポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、さらに好ましくはポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩等を挙げることができる。また、これらの乳化剤は、1種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
乳化剤の使用量は、ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)を形成する単量体100質量部に対して、0.05~10質量部の範囲にあることが好ましく、0.1~5質量部の範囲にあることがより好ましい。乳化剤の使用量によって、ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)のラテックスの粒子径を所望の値に調整することが可能である。乳化剤の使用量が0.05質量部以上であれば、芯ラテックス、ゴムラテックス、グラフトラテックスの各種のエマルションの安定性を十分に高めることができる。乳化剤量が10質量部以下であれば、グラフト共重合体(B)の粉体中に残存する乳化剤の量を十分に低減できるため、グラフト共重合体(B)と熱可塑性樹脂(C)を含む樹脂組成物を用いた成形体の耐熱分解性及び表面外観の低下を抑制できる。
(粉体回収工程)
グラフト共重合体(B)のラテックスから、グラフト共重合体(B)の粉体を回収する場合には、噴霧乾燥法、凝固法のいずれかの方法を用いることができる。
噴霧乾燥法は、グラフト共重合体のラテックスを乾燥機中に微小液滴状に噴霧し、これに乾燥用の加熱ガスを当てて乾燥する方法である。微小液滴を発生する方法としては、例えば、回転円盤型式、圧力ノズル式、二流体ノズル式、加圧二流体ノズル式が挙げられる。乾燥機の容量は、実験室で使用するような小規模な容量から、工業的に使用するような大規模な容量のいずれであってもよい。乾燥用の加熱ガスの温度は200℃以下が好ましく、120~180℃がより好ましい。別々に製造された2種以上のグラフト共重合体のラテックスを、一緒に噴霧乾燥することもできる。更には、噴霧乾燥時のブロッキング、嵩比重等の粉末特性を向上させるために、グラフト共重合体のラテックスに、シリカ等の任意成分を添加して噴霧乾燥することもできる。
凝固法は、グラフト共重合体(B)のラテックスを凝析して、グラフト共重合体(B)を分離し、回収し、乾燥する方法である。先ず、凝固剤を溶解した熱水中にグラフト共重合体のラテックスを投入し、塩析し、凝固することによりグラフト共重合体を分離する。次いで、分離した湿潤状のグラフト共重合体を脱水等によって水分量が低下したグラフト共重合体を回収する。回収されたグラフト共重合体は圧搾脱水機や熱風乾燥機を用いて乾燥される。
凝固剤としては、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硝酸ナトリウム、酢酸カルシウムなどの無機塩や、硫酸等の酸などが挙げられ、酢酸カルシウムが特に好ましい。これらの凝固剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができるが、2種以上を用いる場合は水に不溶性の塩を形成しない組み合わせを選択することが必要である。例えば、酢酸カルシウムと、硫酸、若しくはそのナトリウム塩とを併用すると、水に不溶性のカルシウム塩を形成するので好ましくない。
上記の凝固剤は、通常、水溶液として用いられる。凝固剤水溶液の濃度は、グラフト共重合体を安定的に凝固し、回収する観点から、0.1質量%以上、特に1質量%以上であることが好ましい。また、回収されたグラフト共重合体中に残存する凝固剤の量を少なくして成形体の成形外観の低下を防止する観点から、凝固剤水溶液の濃度は、20質量%以下、特に15質量%以下であることが好ましい。凝固剤水溶液の量は特に限定されないが、ラテックス100質量部に対して10質量部以上、500質量部以下であることが好ましい。
ラテックスを凝固剤水溶液に接触させる方法は特に限定されないが、通常、下記の方法が挙げられる。(1)凝固剤水溶液を攪拌しながら、その中にラテックスを連続的に添加して一定時間保持する方法、(2)凝固剤水溶液とラテックスとを、一定の比率で攪拌機付きの容器内に連続的に注入しながら接触させ、凝析された重合体と水とを含む混合物を容器から連続的に抜き出す方法。ラテックスを凝固剤水溶液に接触させるときの温度は特に限定されないが、30℃以上、100℃以下であることが好ましい。接触時間は特に限定されない。
凝析したグラフト共重合体は、1~100質量倍程度の水で洗浄され、ろ別した湿潤状のグラフト共重合体は流動乾燥機や圧搾脱水機等を用いて乾燥される。乾燥温度、乾燥時間は得られるグラフト共重合体によって適宜決めればよい。なお、圧搾脱水機や押出機から排出されたグラフト共重合体を回収せず、直接、樹脂組成物を製造する押出機や成形機に送り、熱可塑性樹脂と混合して成形体を得ることも可能である。
(樹脂組成物)
本発明の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(C)と、ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)を含む。塩化ビニル樹脂、ポリエチレン等のオレフィン樹脂等を含め多くの熱可塑性樹脂は、メチルメタクリレートを主成分とする樹脂改質剤が多用されているため、本発明の実施形態によるメチルメタクリレート主成分のグラフト鎖を有するポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)を好適に使用できる。
本発明の樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂(C)は、特に限定されず、例えば芳香族ポリカーボネート等のエンジニアリングプラスチック、スチレン系樹脂、ポリエステル、ポリエチレン等のオレフィン系樹脂、熱可塑性エラストマー、生分解性ポリマー、塩化ビニル樹脂等のハロゲン系重合体、アクリル系樹脂等を適用できる。
エンジニアリングプラスチックとしては、公知の各種熱可塑性エンジニアリングプラスチックであれば特に制限はなく、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系重合体、シンジオタクチックポリスチレン、6-ナイロン、6,6-ナイロン等のナイロン系重合体、ポリアリレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリアセタール等を例示することができる。
また、高度に耐熱性に優れ、溶融流動性が必要とされる耐熱ABS等の特殊なスチレン系樹脂や耐熱アクリル系樹脂なども本発明におけるエンジニアリングプラスチックとして例示することができる。これらの中でも、強度発現性がより求められる芳香族ポリカーボネートやポリブチレンテレフタレートがより好ましい。上記芳香族ポリカーボネートとしては、4,4’-ジヒドロキシジフェニル-2,2-プロパン(すなわちビスフェノールA)系ポリカーボネート等の4,4’-ジオキシジアリールアルカン系ポリカーボネートが挙げられる。
オレフィン系樹脂としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレンとその他のα-オレフィンとの共重合体;ポリプロピレン、プロピレンとその他のα-オレフィンとの共重合体;ポリブテン、ポリ-4-メチルペンテン-1などが挙げられる。
熱可塑性エラストマーとしては、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体(SIS)、スチレン-エチレン・ブテン共重合体(SEB)、スチレン-エチレン・プロピレン共重合体(SEP)、スチレン-エチレン・ブテン-スチレン共重合体(SEBS)、スチレン-エチレン・プロピレン-スチレン共重合体(SEPS)、スチレン-エチレン・エチレン・プロピレン-スチレン共重合体(SEEPS)、スチレン-ブタジエン・ブチレン-スチレン共重合体(スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体の部分水添物:SBBS)、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体の部分水添物、スチレン-イソプレン・ブタジエン-スチレン共重合体の部分水添物等のスチレン系エラストマー、高分子ジオール(ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルエーテルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリエステルポリカーボネートジオール等)、有機ジイソシアネート(有機ジイソシアネートとしては、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、水素化4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどを挙げることができ、これらの有機ジイソシアネートのうちでも4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート)及び鎖伸張剤(エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,9-ノナンジオール、シクロヘキサンジオール、1,4-ビス(β-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等)を反応させることにより製造されるウレタン系エラストマー、エチレン-プロピレンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ブチルゴム、ブタジエンゴム、プロピレン-ブテン共重合体、エチレン-アクリレート共重合体などのポリオレフィン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、フッ素系エラストマー、塩素化PE系エラストマー、アクリル系エラストマー等が挙げられる。
スチレン系樹脂としては、ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン共重合体、アクリロニトリル-スチレン-α-メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル-メチルメタクリレート-スチレン-α-メチルスチレン共重合体、ABS樹脂、AS樹脂、MABS樹脂、MBS樹脂、AAS樹脂、AES樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン-α-メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル-メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン-α-メチルスチレン共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、スチレン-マレイミド共重合体、スチレン-N-置換マレイミド共重合体、アクリロニトリル-スチレン-N-置換マレイミド共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン-β-イソプロペニルナフタレン共重合体、およびアクリロニトリル-メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン-α-メチルスチレン-マレイミド共重合体などが挙げられる。これらは、それぞれ単独で含有されてもよく、または2種以上が含有されてもよい。
ポリエステルは、多塩基酸と多価アルコールからなる重合体であって、熱可塑性を有することを条件として特に限定されない。多塩基酸としては、例えばテレフタル酸、ナフタルジカルボン酸、シクロヘキシルジカルボン酸又はそのエステル類等が挙げられ、多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ハイドロキノン、ビスフェノールA、2,2-ビス(4-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、1,4-ジメチロールテトラブロモベンゼン、TBA-EO等が挙げられる。ポリエステル系樹脂は単独重合体、共重合体あるいはこれら2種以上のブレンド物であってもよい。また、イーストマンケミカル製の商品名「PETG」等も好適に用いられる。
生分解性ポリマーとしては、バイオポリエステル(PHB/Vなど)、バクテリアセルロース、微生物多糖(プルラン、カードランなど)等の微生物系ポリマーや、脂肪族ポリエステル(ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリグリコール酸、ポリ乳酸など)、ポリビニルアルコール、ポリアミノ酸類(PMLGなど)等の化学合成系ポリマーや、キトサン/セルロース、澱粉、酢酸セルロースなどの天然物系ポリマー等が挙げられる。
ハロゲン化重合体としては、塩化ビニルの単独重合体、塩化ビニルが80重量%以上の割合で含有される共重合体、高塩素化ポリ塩化ビニル等の塩化ビニル樹脂が挙げられる。共重合体の成分としては、塩化ビニル以外に、エチレン、酢酸ビニル、メチルメタクリレート、およびブチルアクリレートなどのモノビニリデン化合物がある。共重合体中にはこれらの化合物がその合計量で20重量%以下の割合で含有されてもよい。上記単独重合体、および共重合体は、それぞれ単独で含有されてもよく、または2種以上が含有されてもよい。また、フッ素化重合体、臭素化重合体、ヨウ素化重合体等も挙げられる。
アクリル系樹脂として、メチルメタクリレートと共重合可能なビニル単量体を重合して得られる共重合体などを挙げることができる。上記の共重合可能なビニル単量体としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、i-プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート等のアルキルメタクリレート、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物等を挙げることができる。
ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、シンジオタクチックポリスチレン、6-ナイロン及び6,6-ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリアリレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリアセタール等のエンジニアリングプラスチックと、上記した熱可塑性樹脂とのポリマーアロイも本発明の範囲に含まれる。
本発明の樹脂組成物は、上記の材料の他、本発明の目的を損なわない範囲で、周知の種々の添加剤、例えば、安定剤、難燃剤、難燃助剤、加水分解抑制剤、帯電防止剤、発泡剤、染料、顔料等を含有することができる。
本発明の樹脂組成物の調製する際の各材料の配合方法としては、公知のブレンド方法が挙げられ、特に限定されない。例えばタンブラー、V型ブレンダー、スーパーミキサー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等で混合、混練する方法が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と、ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)と、必要により添加剤を混合することにより製造することができる。具体的には、例えばペレット状の熱可塑性樹脂と、ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)と、必要により添加剤とを押出機を用いて混合し、ストランド状に押出し、回転式カッター等でペレット状にカットすることにより樹脂組成物を得ることができる。
本発明の樹脂組成物中のポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)の含有量は、熱可塑性樹脂とポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)の合計100質量%中、0.5~30質量の範囲にあることが好ましく、1~20質量%の範囲にあることがより好ましく、2~15質量%の範囲にあることがさらに好ましい。この含有量が0.5質量%以上であると、得られる成形体は耐衝撃性と外観に優れる。また、この含有量が30質量%以下であると、十分な樹脂組成物の流動性や成形体の機械的特性が得られる。
(成形体)
本発明の樹脂組成物の成形方法としては、通常の熱可塑性樹脂組成物の成形に用いられる成形法、例えば、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、カレンダー成形法等が挙げられる。
本発明の成形体は、自動車分野、OA機器分野、家電、電気・電子分野等の種々の材料として、工業的に広く利用することができる。より具体的には電子機器などの筐体、各種部品、自動車構造部材、自動車内装部品、及び光反射板として使用することができる。更に具体的には、パソコン筐体、携帯電話筐体、携帯情報端末筐体、携帯ゲーム機筐体、プリンタ、複写機等の内装・外装部材として使用することができる。
以下、製造例及び実施例により本発明を更に詳細に説明する。製造例1~3は、ゴム状重合体(A)及びポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)等の製造例である。なお、「部」は「質量部」を意味し、「%」は「質量%」を意味する。
<製造例1>(ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体の製造)
冷却管、温度計及び撹拌装置を備えたセパラブルフラスコ内に表1に示す水、乳化剤からなる「成分1」を添加した。このセパラブルフラスコ内に窒素気流を通ずることによりフラスコ内雰囲気の窒素置換を行い、液温を80℃まで昇温した。液温が80℃になった時点で表1に示すシードモノマー「成分2」を混合し、5分撹拌した後、表1に示す重合開始剤「成分3」を添加し、重合を開始させた(重合発熱により最大値で10℃程度上昇することがある)。その後、液温が78℃を下回らないように固定したまま25分保持した。
次に、表1に示す芯形成モノマー「成分4」を強制乳化させ、240分間かけて液温を80±2℃で制御しながらセパラブルフラスコ内に滴下した。その後、液温を80℃±2℃に固定したまま60分保持した。このようにして芯ラテックスを得た。このときの芯ラテックスの粒子径は光散乱法で測定した結果で90nmであった。重合率は99%であった。
引き続き表1に示す「成分5」、「成分6」、更に「成分7」を順に添加した。重合系内のpHが20℃条件下で1.5~2.5であることを確認し、その後液温を85℃に昇温した。
次に、表1に示すオルガノシロキサン重合体形成モノマー「成分8」を強制乳化させ、240分間かけて液温を85±2℃で制御しながらセパラブルフラスコ内に滴下した。次いで、液温を85℃±2℃に固定したまま120分保持した。その後、10%水酸化ナトリウム水溶液を1.5~4質量部程度加え、重合系内のpHが20℃条件下で7.0~8.0であることを確認した。このときのゴムラテックス中のゴム状重合体の粒子径は光散乱法で測定した結果で105nmであった。重合率は93%であった。
その後、液温を80℃に調整し、表1に示す「成分9」を添加し、80℃±2℃に固定したまま5分保持した。その後、「成分10」を添加し、80℃±2℃に固定したまま25分保持した。硫酸第一鉄やエチレンジアミン四酢酸・二ナトリウムは配合量が少ないため、成分10は10倍量配合し、その1/10量を計量し、ラテックスに投入した。グラフト形成モノマー「成分11」を強制乳化させ、60分間かけて液温を80±2℃で制御しながらセパラブルフラスコ内に滴下した。その後、液温を80℃±2℃に固定したまま60分保持した。このときのグラフトラテックスの粒子径は光散乱法で測定した結果で110nmであった。重合率はグラフトモノマー成分の残存率をガスクロマトグラフで測定し、仕込みのモノマーに対して98%の転化率であった。
脱イオン水500部と酢酸カルシウム5部を配合した水溶液を温度40℃±5℃に設定し、その水溶液中にグラフトラテックスを投入してスラリーを形成した。液温を70℃±5に昇温し5分保持することでスラリーを凝集させた。凝集物を回収し、脱イオン水1500部に浸し、脱水する工程を2度繰り返し、温度65℃±5で12時間乾燥して、ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(ゴム含有グラフト重合体:P-1)の粉体を得た。
Figure 0007243403000001
なお、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムは、商品名「ネオペレックス G-15」KAO社製(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム16%の水溶液)を使用した。
ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムは、商品名「ペレックス OT-P」KAO社製(ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム80%のメタノール溶液)を使用した。
t-ブチルハイドロパーオキサイドは、商品名「パーブチルH-69」日本油脂製(t-ブチルハイドロパーオキサイド69%の水溶液)を使用した。
<製造例2>(ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体の製造)
表1に示す通り、芯ラテックスの形成成分において3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランを配合しない以外は製造例1と同様にしてポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(ゴム含有グラフト重合体:P-2)の粉体を得た。ゴムラテックス並びにグラフトラテックスの重合率や粒子径はいずれも製造例1と大きな変化はなかった。
<製造例3>(アクリルゴム含有グラフト重合体の製造)
冷却管、温度計及び撹拌装置を備えたセパラブルフラスコ内に表2に示す水、乳化剤からなる「成分1」を添加した。このセパラブルフラスコ内に窒素気流を通ずることによりフラスコ内雰囲気の窒素置換を行い、液温を80℃まで昇温した。液温が80℃になった時点で表2に示すシードモノマー「成分2」を混合し、5分撹拌した後、表2に示す重合開始剤「成分3」を添加し、重合を開始させた(重合発熱により最大値で10℃程度上昇することがある)。その後、液温が78℃を下回らないように固定したまま25分保持した。
次に、表2に示すゴム形成モノマー「成分4」を強制乳化させ、180分間かけて液温を80±2℃で制御しながらセパラブルフラスコ内に滴下した。その後、液温を80℃±2℃に固定したまま60分保持した。このようにしてゴム状重合体のラテックスを得た。このときのゴム状重合体ラテックスの粒子径は光散乱法で測定した結果で200nmであった。重合率は99%であった。
引き続き表2に示すレドックス系材料の「成分5」を配合した。硫酸第一鉄やエチレンジアミン四酢酸・二ナトリウムは配合量が少ないため、成分5は10倍量配合し、その1/10量を計量し、ゴムラテックスに投入した。その後、液温を80℃±2℃に固定したまま5分保持した。グラフト形成モノマー「成分6」の液温を80±2℃で制御しながら30分間かけて滴下した。その後、液温を80℃±2℃に固定したまま60分保持した。このようにしてアクリルゴム系グラフトラテックスを得た。このときのアクリルゴム系グラフトラテックスの粒子径は光散乱法で測定した結果で205nmであった。重合率は99.5%であった。
脱イオン水500部と酢酸カルシウム5部を配合した水溶液を温度40℃±5℃に設定し、その水溶液中にアクリルゴム系グラフトラテックスを投入してスラリーを形成した。液温を70℃±5に昇温し5分保持することでスラリーを凝集させた。凝集物を回収し、脱イオン水1500部に浸し、脱水する工程を2度繰り返し、温度65℃±5で12時間乾燥して、アクリルゴム含有グラフト重合体(ゴム含有グラフト重合体:P-3)の粉体を得た。
Figure 0007243403000002
なお、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムは、商品名「ネオペレックス G-15」KAO社製(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム16%の水溶液)を使用した。
ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムは、商品名「ペレックス OT-P」KAO社製(ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム80%のメタノール溶液)を使用した。
t-ブチルハイドロパーオキサイドは、商品名「パーブチルH-69」日本油脂製(t-ブチルハイドロパーオキサイド69%の水溶液)を使用した。
[重合率の測定]
以下の手順により、各ラテックスの重合率を測定した。
(i)アルミニウム皿の質量(x)を0.1mgの単位まで測定する。
(ii)アルミニウム皿に重合体(X)のラテックスを約1g取り、重合体(X)のラテックスの入ったアルミニウム皿の質量(y)を0.1mgの単位まで測定する。
(iii)重合体(X)のラテックスの入ったアルミニウム皿を180℃の乾燥機に入れ、45分間加熱する。
(iv)アルミニウム皿を乾燥機から取り出し、デシケーター内で室温まで冷却し、その質量(z)を0.1mgの単位まで測定する。
(v)以下の式に基づいて、重合体(X)のラテックスの固形分濃度(%)を算出する。
固形分濃度(%)={(z-x)/(y-x)}×100
(vi)重合体(X)を製造する際に仕込む全単量体が重合した際の固形分濃度に対する(v)により算出した固形分濃度の百分率(%)を、グラフトラテックス製造終了時の重合率とする。
[ポリオルガノシロキサンの測定]
ゴム含有グラフト重合体(P-1、P-2)中のポリオルガノシロキサンを蛍光X線バルク検量線法で測定した。結果を表4に記載した。なお、製造例3のゴム含有グラフト重合体(P-3)は、その製造時にオルガノシロキサン成分を用いていない。
[ポリオルガノシロキサン以外のビニル単量体由来の組成分析]
熱分解GC(ガスクロマトグラフ)または、熱分解GC-MS(ガスクロマトグラフ質量分析計)を用い熱分解温度500℃でポリマー組成比を測定した。算出用の標準ポリマーとしてアンプル重合品を用いた。結果を表4に記載した。なお、表4中の「PMMA」はポリメチルメタクリレート、「PBA」はポリブチルアクリレート、「PSt」はポリスチレンを示す。
[THF不溶分の測定]
製造例1~3で得られたゴム含有グラフト重合体(P-1、P-2、P-3)について、以下の方法に従って、THF不溶分の測定を行った。結果を表4に示す。
ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)1質量%とTHF99質量%との混合溶液を調製して、以下の操作を行うことによって測定される。
(1)試料0.5gをTHF50mlへ加えて8時間以上室温抽出する。
(2)遠心分離作業当日、スターラーを用い30分以上撹拌抽出(室温)する。
(3)前記混合溶液を遠心管に入れて遠心分離機に供して16000rpmで40分間、遠心分離する。
(4)上澄み液を除去した後、THFを入れ、再度遠心分離を行い、不溶分を洗いこむ。(2回繰り返す)
(5)上澄み液を除去した後、不溶分(遠心管含む)を温度80℃で8時間乾燥して、さらに真空乾燥機で65℃にて6時間乾燥し、乾燥試料(THF不溶分)を得る。
得られた乾燥試料(遠心管含む)の質量を測定し、次式によりTHF不溶分の含有比率wais(%)を算出する。
ais=(wc1-was)/wt×100
wt:測定に供したポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)の質量(THF不溶分を含む)
as:遠心管の質量
c1:THF不溶分の質量(遠心管含む質量)
[屈折率の測定]
前記の[ポリオルガノシロキサンの測定]及び[ポリオルガノシロキサン以外のビニル単量体由来の組成分析]で得られたポリジメチルシロキサン(屈折率:1.40、比重:0.97)、ポリメチルメタクリレート(屈折率1.49、比重:1.20)、ポリスチレン(屈折率1.59、比重:1.05)、ポリn-ブチルアクリレート(屈折率1.47、比重:1.09)の重量比率を、体積比率に変換し、各屈折率に掛けあわせて、ゴム含有グラフト重合体(P-1、P-2、P-3)の屈折率を算出した。得られた屈折率を表4に示す。
[芯構造比率]
ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(ゴム含有グラフト重合体P-1、P-2)をポリエチレンカプセルに取り、エポキシ樹脂エピフォーム(ソマール(株)製)を注ぎ、撹拌した。室温で12時間放置し、上記エポキシ樹脂を硬化させた。得られた樹脂片を、ウルトラミクロトーム Leica EM UC7(ライカマイクロシステムズ(株)製)を用いて面出し及びトリミングした。続いて、凍結ミクロトーム法により、切削温度-100℃、切削速度0.4mm/sec、薄片厚さ50nmの条件で切片を切り出し、支持膜付き銅グリッドの上に回収した。
透過型電子顕微鏡H-7600(日立(株)製)により、加速電圧80kV、倍率10万倍とし、画像を取得した。画像に確認された粒子の内、断面積が大きい方から30%の粒子を選び、計100個以上を評価の対象とした。染色なしでもポリオルガノシロキサン(A1)は暗コントラスト、ビニル重合体(A2)は明コントラストで確認される。粒子は図1に示す5種類に分類され、この内、図1のSに示す様な芯構造(S構造)を有する粒子の数をカウントし、評価の対象とした粒子の数に対する比率を算出した。その結果を表3及び表4にまとめた。図1中の濃色部はポリオルガノシロキサン(A1)由来の相領域を示し、淡色部は、ビニル重合体(A2)(製造例1及び2ではスチレン)由来の相領域を示す。
なお、製造例3のゴム含有グラフト重合体(P-3)は、その製造時に芯形成成分を使用していないため、表4中の芯構造比率を「0」とした。また、表3には、S構造の粒子の比率と併せてT構造、U構造、V構造、W構造の粒子の比率も示した。
上記の測定にて得られた画像に確認された粒子の内、断面積が大きい方から粒子を30%(個数基準)選び、計100個以上を対象に、画像解析ソフト(日本ローパー社製、製品名:Image Pro Plus)を用いて、平均粒子径を算出した。表4にポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(ゴム含有グラフト重合体P-1、P-2)のそれぞれの値を記載した。
[実施例1、比較例1~2]
製造例1~3で得られたゴム含有グラフト重合体(P-1、P-2、P-3)を5質量部、芳香族ポリカーボネート(「タフロンFN-1500」(商品名)、出光興産製、公称の芳香族ポリカーボネート樹脂のMv:15,000)を95質量部配合し、混合物を得た。この混合物を、バレル温度280℃に加熱した脱揮式二軸押出機(池貝鉄工社製、PCM-30(商品名))に供給して混練し、ゴム含有グラフト重合体が5質量%配合された樹脂組成物のペレットを作製した。
[シャルピー衝撃試験]
各ペレットを別個に、住友射出成形機SE100DU(商品名)(住友重機械工業(株)製)に供給し、シリンダー温度280℃、金型温度80℃にて、長さ80mm×幅10mm×厚さ4mmの成形体(試験片)を得た。シャルピー衝撃試験はISO-179-1に準拠し、ISO2818に準拠したTYPEAのノッチを刻んで、23℃及び-30℃において測定した。測定結果を表4に示す。
[透過率]
JIS K 7375に準拠して、日本電色工業(株)製HAZE Meter NDH4000(商品名)を用いて、試験片(長さ100mm、幅50mm、厚み2mm)について、D65光源における全光線透過率を測定した。全光線透過率が高いほど、顔料等を添加した際の発色性が高くなるため、良好と判断した。測定結果を表4に示す。なお、透過率測定用の試験片は、サイズが異なる以外はシャルピー衝撃試験用の試験片の成形方法と同様にして得た。
Figure 0007243403000003
Figure 0007243403000004
実施例1で得られた樹脂組成物は、ゴム含有グラフト重合体として、芯構造を有するポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体を十分に含み、この重合体においてポリオルガノシロキサンが十分に架橋され、かつ芯構造の芯部との共有結合が十分である。そのため、実施例1は、比較例1に比べて衝撃強度並びに透過率が優れる結果となった。
実施例1で用いたポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(P-1)は、比較例2で用いたポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(P-3)(いわゆるアクリルゴムグラフト重合体)とほぼ同じ屈折率であるが、その樹脂組成物の透過率は実施例1の方が優れる。
また、比較例2のアクリルゴムグラフト重合体を含む樹脂組成物は、その成形体の低温での衝撃強度が低い。これに対して、実施例1の芯構造を有するポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体を含む樹脂組成物は、その成形体の定温での衝撃強度が改善されている。
[実施例2、比較例3]
製造例1~2で得られたゴム含有グラフト重合体(P-1、P-2)を5質量部、芳香族ポリカーボネート(「ユーピロンS-2000」(商品名)、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、公称の芳香族ポリカーボネート樹脂のMv:23,000)を80質量部、スチレン-アクリロニトリル共重合体(「AP-H」(商品名)、テクノUMG(株)製)を15質量部配合し、混合物を得た。この混合物を、バレル温度260℃に加熱した脱揮式二軸押出機(池貝鉄工社製、PCM-30(商品名))に供給して混練し、ゴム含有グラフト重合体が5質量%配合された樹脂組成物のペレットを作製した。各ペレットを別個に、住友射出成形機SE100DU(商品名)(住友重機械工業(株)製)に供給し、シリンダー温度260℃、金型温度70℃にて、長さ80mm×幅10mm×厚さ4mmの成形体(試験片)を得た。
[実施例3、比較例4]
製造例1~2で得られたゴム含有グラフト重合体(P-1、P-2)を10質量部、ポリブチレンテレフタレート(「ノバデュラン5010R5」(商品名)、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)を90質量部配合し、混合物を得た。この混合物を、バレル温度270℃に加熱した脱揮式二軸押出機(池貝鉄工社製、PCM-30(商品名))に供給して混練し、ゴム含有グラフト重合体が10質量%配合された樹脂組成物のペレットを作製した。各ペレットを別個に、住友射出成形機SE100DU(商品名)(住友重機械工業(株)製)に供給し、シリンダー温度260℃、金型温度60℃にて、長さ80mm×幅10mm×厚さ4mmの成形体(試験片)を得た。また、同様にして、長さ100mm×幅50mm×厚み2mmの成形体(試験片)を得た。
[シャルピー衝撃試験]
ISO-179-1に準拠し、ISO2818に準拠したTYPEAのノッチを刻んで、23℃及び-30℃において、得られた成形体(長さ80mm、幅10mm、厚さ4mm)について測定した。測定結果を表5に示す。表中の「N.B.」は「非破壊」を意味する。
[透過率]
JIS K 7375に準拠して、日本電色工業(株)製HAZE Meter NDH4000(商品名)を用いて、試験片(長さ100mm、幅50mm、厚み2mm)について、D65光源における全光線透過率を測定した。全光線透過率が高いほど、顔料等を添加した際の発色性が高くなるため、良好と判断した。測定結果を表5に示す。
Figure 0007243403000005
実施例2で得られた樹脂組成物は、ゴム含有グラフト重合体として、芯構造を有するポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体を十分に含み、この重合体においてポリオルガノシロキサンが十分に架橋され、かつ芯構造の芯部との共有結合が十分である。そのため、実施例2は、比較例3に比べて衝撃強度並びに透過率が優れる結果となった。
実施例3で得られた樹脂組成物は、ゴム含有グラフト重合体として、芯構造を有するポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体を十分に含み、この重合体においてポリオルガノシロキサンが十分に架橋され、かつ芯構造の芯部との共有結合が十分である。そのため、実施例3は、比較例4に比べて衝撃強度並びに透過率が優れる結果となった。
このように本発明によれば、ゴム含有グラフト重合体として、粒径50~250nmの芯構造を有するポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体を熱可塑性樹脂に均一に分散させることができ、成形体の強度と外観を改善することができる。

Claims (17)

  1. ポリオルガノシロキサン(A1)とビニル重合体(A2)を含有する重合体(A)からなるラテックス重合体粒子が、ビニル単量体(b)でグラフト化されたポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体であって、
    前記ポリオルガノシロキサン(A1)が、オルガノシロキサン(a1)の単位を含む重合体であり、前記オルガノシロキサン(a1)が、環状ジメチルシロキサン及び/又は2官能性ジアルキルシラン化合物であり、
    前記ビニル重合体(A2)が、スチレン、αメチルスチレン、フェニルメタクリレート、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、p-クロロスチレン、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、イソボロニルアクリレート、イソボロニルメタクリレート、メチルメタクリレート、p-t-ブチルスチレン、n-ブチルアクリレートからなる群から選ばれる少なくとも一種のビニル単量体(a2-1)を含む単量体の重合体であり、
    前記ビニル単量体(b)がメチルメタクリレートを含み、
    前記重合体(A)中の前記ポリオルガノシロキサン(A1)と前記ビニル重合体(A2)の質量比率(A1/A2)が、70/30~30/70の範囲にあり、
    以下のZ-1からZ-4の要件を満たすポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)。
    Z-1)前記ビニル重合体(A2)が単一にポリオルガノシロキサン(A1)に包含される構造を有する粒子が個数平均で15%以上
    Z-2)ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)のテトラヒドロフラン不溶分が50質量%以上
    Z-3)ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)の粒子径が50~250nm
    Z-4)ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)の屈折率が1.47~1.60
  2. 前記ビニル重合体(A2)が、スチレンを含む単量体の重合体である、請求項1に記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)。
  3. 前記ビニル重合体(A2)を構成するビニル単量体の全体に対するビニル単量体(a2-1)の含有率が80質量%以上である、請求項1又は2に記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)。
  4. 前記オルガノシロキサン(a1)としての前記環状ジメチルシロキサンが、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンから選ばれる一種又は二種以上の環状シロキサンであり、
    前記オルガノシロキサン(a1)としての前記2官能性ジアルキルシラン化合物が、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエトキシジエチルシラン、ジプロポキシジメチルシランから選ばれる一種又は二種以上のシラン化合物である、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)。
  5. 前記ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)中の前記重合体(A)の含有率が、50~95質量%の範囲にある、請求項1からのいずれか一項に記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)。
  6. 前記ビニル単量体(b)中のメチルメタクレート以外の他の成分の含有率が5質量%以下である、請求項1から5のいずれか一項に記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)。
  7. 前記ビニル単量体(b)からなる重合体のガラス転移温度が70℃以上である、請求項1から6のいずれか一項に記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)。
  8. 前記ビニル単量体(b)からなる重合体のガラス転移温度が90~105℃である、請求項1から6のいずれか一項に記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)。
  9. 前記重合体(A)は、ビニル単量体(a2-1)とシロキサン系グラフト交叉剤(a2-2)を含む単量体の重合体からなるラテックス存在下、オルガノシロキサン(a1)を含む単量体を重合して得られた重合体である、請求項1から8のいずれか一項に記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)。
  10. 前記ビニル重合体(A2)が、ビニル単量体(a2-1)とシロキサン系グラフト交叉剤(a2-2)を含む単量体の重合体である、請求項1から9のいずれか一項に記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)。
  11. 前記シロキサン系グラフト交叉剤(a2-2)が下記式(I)で示されるシロキサンである、請求項9又は10に記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)。
    R-Si(R (OR (3-n) (I)
    式(I)中、R は、メチル基、エチル基、プロピル基、又はフェニル基を示す。R は、アルコキシル基における有機基を示し、メチル基、エチル基、プロピル基、又はフェニル基を示し、nは、0、1又は2を示し、Rは、メタクリロイルオキシアルキル基、ビニルフェニル基、ビニル基、又はメルカプトアルキル基を示す。
  12. 前記シロキサン系グラフト交叉剤(a2-2)が3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランである、請求項9から11のいずれか一項に記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)。
  13. 前記シロキサン系グラフト交叉剤(a2-2)の含有率が、前記ビニル単量体(a2-1)と前記シロキサン系グラフト交叉剤(a2-2)の合計100質量%に対して、0.05~20質量%の範囲にある、請求項9から12のいずれか一項に記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)。
  14. 請求項1から13のいずれか一項に記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)と熱可塑性樹脂(C)を含む樹脂組成物。
  15. 前記熱可塑性樹脂(C)が芳香族ポリカーボネートを含む、請求項14に記載の樹脂組成物。
  16. 請求項14又は15に記載の樹脂組成物を用いて形成された成形体。
  17. 請求項1から13のいずれか一項に記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)の製造方法であって、
    乳化剤の存在下、溶媒中でビニル単量体(a2-1)を含む単量体を乳化重合して第1の重合体ラテックスを形成する工程と、
    前記第1の重合体ラテックスへ、オルガノシロキサン(a1)又はそれを含む混合物を加えて乳化重合を行い、重合体(A)からなる第2の重合体ラテックスを形成する工程と
    前記第2の重合体ラテックスへビニル単量体(b)を加えて前記重合体(A)をグラフト化する工程を含む、ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)の製造方法。
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