JP7243403B2 - ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体、これを含む樹脂組成物及びその成形体、並びにポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体の製造方法 - Google Patents
ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体、これを含む樹脂組成物及びその成形体、並びにポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体の製造方法 Download PDFInfo
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Description
本発明の目的は、成形体の強度と外観を改善できるポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体、及びこれを含む樹脂組成物を提供することにある。
Z-1)前記ビニル重合体(A2)が単一にポリオルガノシロキサン(A1)に包含される構造を有する粒子が個数平均で15%以上
Z-2)ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体のテトラヒドロフラン不溶分が50質量%以上
Z-3)ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体の粒子径が50~250nm
Z-4)ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体の屈折率が1.47~1.60
本発明のポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)は、乳化剤存在下水系媒体中で得られる「ゴム状重合体」(A)(ゴムラテックス)に対して「ビニル単量体」(b)がグラフト重合されたもの(グラフトラテックス)である。ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)を構成するグラフト重合に由来する成分を以下「グラフト成分」という。本発明のポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)は、Z-1からZ-4の要件を満たす。
本発明に用いることができるゴム状重合体(A)は、ビニル単量体(a2)から得られるビニル重合体(A2)が単一にポリオルガノシロキサン(A1)に包含される構造(以下「芯構造」という)を有する粒子を含み、その割合が個数平均で15%以上である(条件Z-1)。
「芯構造」の測定は、以下の手順に従い、ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)をエポキシ樹脂中に分散させ、その切片を透過型電子顕微鏡により観察した像からその割合(個数平均)を算出する。
1)ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)をポリエチレンカプセル先端に取り、未硬化エポキシ樹脂を注ぎ、室温で12時間放置し硬化させ、樹脂片を得る。
2)得られた樹脂片を、ミクロトームを用いて切り出して、その切り出した切片を支持膜付き銅グリッドの上に回収する。切片の厚みは50nmとする。
3)透過型電子顕微鏡により、切片の画像を取得する。画像の取得倍率は10万倍とする。
本発明に用いることができるゴム状重合体(A)は、ポリオルガノシロキサン(A1)が十分に架橋され、粒子内においてビニル重合体(A2)と共有結合していることが好ましく、すなわち、芯構造においては芯部(ビニル重合体(A2))と共有結合していることが好ましい。これらはテトラヒドロフラン(以下、「THF」という)に溶解する程度で計測できる。ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)のTHFに対する不溶分が50質量%以上(条件Z-2)であれば、ポリオルガノシロキサン(A1)が十分に架橋され、かつ芯構造の芯部と共有結合していると判断できる。さらに、ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)のTHFに対する不溶分は60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。
THF不溶分は、まず、ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)1質量%とTHF99質量%との混合溶液を調製して、以下(1)~(4)の操作を行うことによって測定される。
(1)試料0.5gをTHF50ml(44.5g)へ加えて混合溶液を調製し、室温で約8時間、THFで可溶分を抽出する。続いて、後に行う遠心分離前に室温で30分以上スターラーで撹拌する。
(2)前記混合溶液を遠心管に入れて遠心分離機に供して16000rpmで40分間、遠心分離する。
(3)上澄み液を除去した後、THFを加えて再度遠心分離を行って(これを2回繰り返す)、不溶分を洗う。
(4)上澄み液を除去した後、不溶分(遠心管を含む)を温度80℃で8時間乾燥して、さらに真空乾燥機で65℃にて6時間乾燥し、乾燥試料(THF不溶分)を得る。
得られた乾燥試料(THF不溶分)の質量(遠心管含む)を測定し、次式によりTHF不溶分の含有比率wais(%)を算出する。
wais=(wc1-was)/wt×100
wt:測定に供したポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)の質量(THF不溶分を含む)
was:遠心管の質量
wc1:THF不溶分の質量(遠心管を含む質量)
本発明によるポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)の平均粒子径は50~250nmの範囲にある(条件Z-3)。平均粒子径が50~250nmの範囲にあれば成形体の衝撃強度を向上することができ、70~220nmの範囲にあることが好ましく、70~200nmの範囲にあることがより好ましい。
本発明によるポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)の屈折率は1.47~1.60の範囲にある(条件Z-4)。
ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)を加熱プレスして縦横20mm×8mm、厚さ2mmの成形品を作製し、下記の測定条件にて屈折率を測定することができる。
アッベ式屈折率計:NAR-2(製品名、(株)アタゴ製)、
測定条件:測定温度23±1℃、測定湿度50±5%RH(相対湿度)
n=v1n1+v2n2+v3n3+・・・ 数式(1)
なお、式中の「n1、n2、n3、・・・」は各単量体の単独重合体の20~30℃における屈折率を表し、POLYMERHANDBOOK(Forth Edition Volume2、WILEY-INTERSCIENCE出版、VI/571 Refractive Indices of Polymers)の文献値(ポリメチルメタクリレートは1.49、ポリn-ブチルアクリレートは1.47、ポリスチレンは1.59)、各種製造メーカの報告値(ポリジメチルシロキサンならば1.40)、さらにはアクセルリス社のソフトウェア「シンシア」にて得られる値が使用できる。式中、「v1、v2、v3、・・・」は各単量体の体積分率を表す。
ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)の製造方法は、以下の工程を有することが好ましい。この製造方法によれば、ビニル重合体(A)が単一にポリオルガノシロキサン(A1)に包含される構造を形成することができる。
2)このラテックスへオルガノシロキサン(a1)を滴下し、重合させる(重合体(A)を形成)。
3)前の工程(2)と後の工程(4)の間に、ガラス転移温度が0℃以下のものを重合することもできる。
4)得られた重合体(A)をビニル単量体(b)でグラフト化する(重合体(B)を形成)。
ビニル単量体(a2)は、芯ラテックスを形成できるものであれば特に限定されないが、以下のビニル単量体(a2-1)とシロキサン系グラフト交叉剤(a2-2)を含むことが好ましい。
ビニル単量体(a2-1)としては、特に限定されないが、重合後の屈折率の値が高くかつガラス転移点が高くなるビニル単量体を含むことが好ましい。例えば、スチレン、αメチルスチレン、フェニルメタクリレート、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、p-クロロスチレン、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、イソボロニルアクリレート、イソボロニルメタクリレート、メチルメタクリレート、p-t-ブチルスチレン、n-ブチルアクリレート等が好ましい。このようなビニル単量体は1種を単独で又は2種以上を併用できる。またこのようなビニル単量体の含有量は、芯ラテックスを形成するビニル単量体の全体に対して80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、さらに、100質量%に設定することができる。
その他のビニル単量体として、必要により以下の多官能性単量体を配合することもできる。例えばアリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、1,4-ブチレングリコールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、トリアリルトリメリテート等が好ましい。このような多官能単量体は1種を単独で又は2種以上を併用できる。またこのようなビニル単量体の含有量は、芯ラテックスを形成するビニル単量体の全体に対して20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
シロキサン系グラフト交叉剤(a2-2)は、シロキシ基(-Si-O-)を有すると共にビニル単量体と重合可能な官能基を有するものである。シロキサン系グラフト交叉剤(a2-2)としては、式(I)で表されるシロキサンを挙げることができる。
R-Si(R1)n(OR2)(3-n) (I)
式(I)中、R1は、メチル基、エチル基、プロピル基、又はフェニル基を示す。R2は、アルコキシル基における有機基を示し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、又はフェニル基が好ましい。nは、0、1又は2を示す。Rは、式(I-1)~(I-4)で表されるいずれかの基を示す。
CH2=C(R3)-COO-(CH2)p- (I-1)
CH2=C(R4)-C6H4- (I-2)
CH2=CH- (I-3)
HS-(CH2)p- (I-4)
これらの式中、R3及びR4は、それぞれ、水素原子又はメチル基を示し、pは1~6の整数を示す。
ビニル単量体の重合に用いるラジカル重合開始剤としては、アゾ系開始剤、過酸化物、及び過酸化物と還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤を用いることができる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ビニル単量体(a2)を重合して得た芯ラテックス(ビニル重合体(A2))の存在下、オルガノシロキサン(a1)を重合してポリオルガノシロキサン(A1)を形成し、ゴムラテックス(重合体A1と重合体A2を含む重合体(A))を得る方法としては特に制限はなく、例えば、以下の製造方法を採用できる。
本発明のポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)を得るためのグラフト化(グラフト重合)に用いるビニル単量体(b)としては、特に限定されないが、例えばスチレン、α-メチルスチレン、フェニルメタクリレート、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、p-クロロスチレン、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、イソボロニルアクリレート、イソボロニルメタクリレート、メチルメタクリレート、p-t-ブチルスチレン等が挙げられる。
また、ゴム状重合体(A)中のポリオルガノシロキサン(A1)とビニル重合体(A2)の質量比率(A1/A2)は、重合体の屈折率や成形体の衝撃強度の観点から、70/30~30/70の範囲にあることが好ましく、60/40~40/60の範囲にあることがより好ましい。
上記製造方法で使用される乳化剤としては、特に制限されないが、アニオン系乳化剤またはノニオン系乳化剤が好ましい。
グラフト共重合体(B)のラテックスから、グラフト共重合体(B)の粉体を回収する場合には、噴霧乾燥法、凝固法のいずれかの方法を用いることができる。
本発明の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(C)と、ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)を含む。塩化ビニル樹脂、ポリエチレン等のオレフィン樹脂等を含め多くの熱可塑性樹脂は、メチルメタクリレートを主成分とする樹脂改質剤が多用されているため、本発明の実施形態によるメチルメタクリレート主成分のグラフト鎖を有するポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)を好適に使用できる。
本発明の樹脂組成物の成形方法としては、通常の熱可塑性樹脂組成物の成形に用いられる成形法、例えば、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、カレンダー成形法等が挙げられる。
冷却管、温度計及び撹拌装置を備えたセパラブルフラスコ内に表1に示す水、乳化剤からなる「成分1」を添加した。このセパラブルフラスコ内に窒素気流を通ずることによりフラスコ内雰囲気の窒素置換を行い、液温を80℃まで昇温した。液温が80℃になった時点で表1に示すシードモノマー「成分2」を混合し、5分撹拌した後、表1に示す重合開始剤「成分3」を添加し、重合を開始させた(重合発熱により最大値で10℃程度上昇することがある)。その後、液温が78℃を下回らないように固定したまま25分保持した。
ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムは、商品名「ペレックス OT-P」KAO社製(ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム80%のメタノール溶液)を使用した。
t-ブチルハイドロパーオキサイドは、商品名「パーブチルH-69」日本油脂製(t-ブチルハイドロパーオキサイド69%の水溶液)を使用した。
表1に示す通り、芯ラテックスの形成成分において3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランを配合しない以外は製造例1と同様にしてポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(ゴム含有グラフト重合体:P-2)の粉体を得た。ゴムラテックス並びにグラフトラテックスの重合率や粒子径はいずれも製造例1と大きな変化はなかった。
冷却管、温度計及び撹拌装置を備えたセパラブルフラスコ内に表2に示す水、乳化剤からなる「成分1」を添加した。このセパラブルフラスコ内に窒素気流を通ずることによりフラスコ内雰囲気の窒素置換を行い、液温を80℃まで昇温した。液温が80℃になった時点で表2に示すシードモノマー「成分2」を混合し、5分撹拌した後、表2に示す重合開始剤「成分3」を添加し、重合を開始させた(重合発熱により最大値で10℃程度上昇することがある)。その後、液温が78℃を下回らないように固定したまま25分保持した。
ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムは、商品名「ペレックス OT-P」KAO社製(ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム80%のメタノール溶液)を使用した。
t-ブチルハイドロパーオキサイドは、商品名「パーブチルH-69」日本油脂製(t-ブチルハイドロパーオキサイド69%の水溶液)を使用した。
以下の手順により、各ラテックスの重合率を測定した。
(i)アルミニウム皿の質量(x)を0.1mgの単位まで測定する。
(ii)アルミニウム皿に重合体(X)のラテックスを約1g取り、重合体(X)のラテックスの入ったアルミニウム皿の質量(y)を0.1mgの単位まで測定する。
(iii)重合体(X)のラテックスの入ったアルミニウム皿を180℃の乾燥機に入れ、45分間加熱する。
(iv)アルミニウム皿を乾燥機から取り出し、デシケーター内で室温まで冷却し、その質量(z)を0.1mgの単位まで測定する。
(v)以下の式に基づいて、重合体(X)のラテックスの固形分濃度(%)を算出する。
固形分濃度(%)={(z-x)/(y-x)}×100
(vi)重合体(X)を製造する際に仕込む全単量体が重合した際の固形分濃度に対する(v)により算出した固形分濃度の百分率(%)を、グラフトラテックス製造終了時の重合率とする。
ゴム含有グラフト重合体(P-1、P-2)中のポリオルガノシロキサンを蛍光X線バルク検量線法で測定した。結果を表4に記載した。なお、製造例3のゴム含有グラフト重合体(P-3)は、その製造時にオルガノシロキサン成分を用いていない。
熱分解GC(ガスクロマトグラフ)または、熱分解GC-MS(ガスクロマトグラフ質量分析計)を用い熱分解温度500℃でポリマー組成比を測定した。算出用の標準ポリマーとしてアンプル重合品を用いた。結果を表4に記載した。なお、表4中の「PMMA」はポリメチルメタクリレート、「PBA」はポリブチルアクリレート、「PSt」はポリスチレンを示す。
製造例1~3で得られたゴム含有グラフト重合体(P-1、P-2、P-3)について、以下の方法に従って、THF不溶分の測定を行った。結果を表4に示す。
ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)1質量%とTHF99質量%との混合溶液を調製して、以下の操作を行うことによって測定される。
(1)試料0.5gをTHF50mlへ加えて8時間以上室温抽出する。
(2)遠心分離作業当日、スターラーを用い30分以上撹拌抽出(室温)する。
(3)前記混合溶液を遠心管に入れて遠心分離機に供して16000rpmで40分間、遠心分離する。
(4)上澄み液を除去した後、THFを入れ、再度遠心分離を行い、不溶分を洗いこむ。(2回繰り返す)
(5)上澄み液を除去した後、不溶分(遠心管含む)を温度80℃で8時間乾燥して、さらに真空乾燥機で65℃にて6時間乾燥し、乾燥試料(THF不溶分)を得る。
得られた乾燥試料(遠心管含む)の質量を測定し、次式によりTHF不溶分の含有比率wais(%)を算出する。
wais=(wc1-was)/wt×100
wt:測定に供したポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)の質量(THF不溶分を含む)
was:遠心管の質量
wc1:THF不溶分の質量(遠心管含む質量)
前記の[ポリオルガノシロキサンの測定]及び[ポリオルガノシロキサン以外のビニル単量体由来の組成分析]で得られたポリジメチルシロキサン(屈折率:1.40、比重:0.97)、ポリメチルメタクリレート(屈折率1.49、比重:1.20)、ポリスチレン(屈折率1.59、比重:1.05)、ポリn-ブチルアクリレート(屈折率1.47、比重:1.09)の重量比率を、体積比率に変換し、各屈折率に掛けあわせて、ゴム含有グラフト重合体(P-1、P-2、P-3)の屈折率を算出した。得られた屈折率を表4に示す。
ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(ゴム含有グラフト重合体P-1、P-2)をポリエチレンカプセルに取り、エポキシ樹脂エピフォーム(ソマール(株)製)を注ぎ、撹拌した。室温で12時間放置し、上記エポキシ樹脂を硬化させた。得られた樹脂片を、ウルトラミクロトーム Leica EM UC7(ライカマイクロシステムズ(株)製)を用いて面出し及びトリミングした。続いて、凍結ミクロトーム法により、切削温度-100℃、切削速度0.4mm/sec、薄片厚さ50nmの条件で切片を切り出し、支持膜付き銅グリッドの上に回収した。
なお、製造例3のゴム含有グラフト重合体(P-3)は、その製造時に芯形成成分を使用していないため、表4中の芯構造比率を「0」とした。また、表3には、S構造の粒子の比率と併せてT構造、U構造、V構造、W構造の粒子の比率も示した。
製造例1~3で得られたゴム含有グラフト重合体(P-1、P-2、P-3)を5質量部、芳香族ポリカーボネート(「タフロンFN-1500」(商品名)、出光興産製、公称の芳香族ポリカーボネート樹脂のMv:15,000)を95質量部配合し、混合物を得た。この混合物を、バレル温度280℃に加熱した脱揮式二軸押出機(池貝鉄工社製、PCM-30(商品名))に供給して混練し、ゴム含有グラフト重合体が5質量%配合された樹脂組成物のペレットを作製した。
各ペレットを別個に、住友射出成形機SE100DU(商品名)(住友重機械工業(株)製)に供給し、シリンダー温度280℃、金型温度80℃にて、長さ80mm×幅10mm×厚さ4mmの成形体(試験片)を得た。シャルピー衝撃試験はISO-179-1に準拠し、ISO2818に準拠したTYPEAのノッチを刻んで、23℃及び-30℃において測定した。測定結果を表4に示す。
JIS K 7375に準拠して、日本電色工業(株)製HAZE Meter NDH4000(商品名)を用いて、試験片(長さ100mm、幅50mm、厚み2mm)について、D65光源における全光線透過率を測定した。全光線透過率が高いほど、顔料等を添加した際の発色性が高くなるため、良好と判断した。測定結果を表4に示す。なお、透過率測定用の試験片は、サイズが異なる以外はシャルピー衝撃試験用の試験片の成形方法と同様にして得た。
製造例1~2で得られたゴム含有グラフト重合体(P-1、P-2)を5質量部、芳香族ポリカーボネート(「ユーピロンS-2000」(商品名)、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、公称の芳香族ポリカーボネート樹脂のMv:23,000)を80質量部、スチレン-アクリロニトリル共重合体(「AP-H」(商品名)、テクノUMG(株)製)を15質量部配合し、混合物を得た。この混合物を、バレル温度260℃に加熱した脱揮式二軸押出機(池貝鉄工社製、PCM-30(商品名))に供給して混練し、ゴム含有グラフト重合体が5質量%配合された樹脂組成物のペレットを作製した。各ペレットを別個に、住友射出成形機SE100DU(商品名)(住友重機械工業(株)製)に供給し、シリンダー温度260℃、金型温度70℃にて、長さ80mm×幅10mm×厚さ4mmの成形体(試験片)を得た。
製造例1~2で得られたゴム含有グラフト重合体(P-1、P-2)を10質量部、ポリブチレンテレフタレート(「ノバデュラン5010R5」(商品名)、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)を90質量部配合し、混合物を得た。この混合物を、バレル温度270℃に加熱した脱揮式二軸押出機(池貝鉄工社製、PCM-30(商品名))に供給して混練し、ゴム含有グラフト重合体が10質量%配合された樹脂組成物のペレットを作製した。各ペレットを別個に、住友射出成形機SE100DU(商品名)(住友重機械工業(株)製)に供給し、シリンダー温度260℃、金型温度60℃にて、長さ80mm×幅10mm×厚さ4mmの成形体(試験片)を得た。また、同様にして、長さ100mm×幅50mm×厚み2mmの成形体(試験片)を得た。
ISO-179-1に準拠し、ISO2818に準拠したTYPEAのノッチを刻んで、23℃及び-30℃において、得られた成形体(長さ80mm、幅10mm、厚さ4mm)について測定した。測定結果を表5に示す。表中の「N.B.」は「非破壊」を意味する。
JIS K 7375に準拠して、日本電色工業(株)製HAZE Meter NDH4000(商品名)を用いて、試験片(長さ100mm、幅50mm、厚み2mm)について、D65光源における全光線透過率を測定した。全光線透過率が高いほど、顔料等を添加した際の発色性が高くなるため、良好と判断した。測定結果を表5に示す。
Claims (17)
- ポリオルガノシロキサン(A1)とビニル重合体(A2)を含有する重合体(A)からなるラテックス重合体粒子が、ビニル単量体(b)でグラフト化されたポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体であって、
前記ポリオルガノシロキサン(A1)が、オルガノシロキサン(a1)の単位を含む重合体であり、前記オルガノシロキサン(a1)が、環状ジメチルシロキサン及び/又は2官能性ジアルキルシラン化合物であり、
前記ビニル重合体(A2)が、スチレン、αメチルスチレン、フェニルメタクリレート、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、p-クロロスチレン、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、イソボロニルアクリレート、イソボロニルメタクリレート、メチルメタクリレート、p-t-ブチルスチレン、n-ブチルアクリレートからなる群から選ばれる少なくとも一種のビニル単量体(a2-1)を含む単量体の重合体であり、
前記ビニル単量体(b)がメチルメタクリレートを含み、
前記重合体(A)中の前記ポリオルガノシロキサン(A1)と前記ビニル重合体(A2)の質量比率(A1/A2)が、70/30~30/70の範囲にあり、
以下のZ-1からZ-4の要件を満たす、ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)。
Z-1)前記ビニル重合体(A2)が単一にポリオルガノシロキサン(A1)に包含される構造を有する粒子が個数平均で15%以上
Z-2)ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)のテトラヒドロフラン不溶分が50質量%以上
Z-3)ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)の粒子径が50~250nm
Z-4)ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)の屈折率が1.47~1.60 - 前記ビニル重合体(A2)が、スチレンを含む単量体の重合体である、請求項1に記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)。
- 前記ビニル重合体(A2)を構成するビニル単量体の全体に対するビニル単量体(a2-1)の含有率が80質量%以上である、請求項1又は2に記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)。
- 前記オルガノシロキサン(a1)としての前記環状ジメチルシロキサンが、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンから選ばれる一種又は二種以上の環状シロキサンであり、
前記オルガノシロキサン(a1)としての前記2官能性ジアルキルシラン化合物が、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエトキシジエチルシラン、ジプロポキシジメチルシランから選ばれる一種又は二種以上のシラン化合物である、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)。 - 前記ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)中の前記重合体(A)の含有率が、50~95質量%の範囲にある、請求項1から4のいずれか一項に記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)。
- 前記ビニル単量体(b)中のメチルメタクレート以外の他の成分の含有率が5質量%以下である、請求項1から5のいずれか一項に記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)。
- 前記ビニル単量体(b)からなる重合体のガラス転移温度が70℃以上である、請求項1から6のいずれか一項に記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)。
- 前記ビニル単量体(b)からなる重合体のガラス転移温度が90~105℃である、請求項1から6のいずれか一項に記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)。
- 前記重合体(A)は、ビニル単量体(a2-1)とシロキサン系グラフト交叉剤(a2-2)を含む単量体の重合体からなるラテックス存在下、オルガノシロキサン(a1)を含む単量体を重合して得られた重合体である、請求項1から8のいずれか一項に記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)。
- 前記ビニル重合体(A2)が、ビニル単量体(a2-1)とシロキサン系グラフト交叉剤(a2-2)を含む単量体の重合体である、請求項1から9のいずれか一項に記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)。
- 前記シロキサン系グラフト交叉剤(a2-2)が下記式(I)で示されるシロキサンである、請求項9又は10に記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)。
R-Si(R 1 ) n (OR 2 ) (3-n) (I)
式(I)中、R 1 は、メチル基、エチル基、プロピル基、又はフェニル基を示す。R 2 は、アルコキシル基における有機基を示し、メチル基、エチル基、プロピル基、又はフェニル基を示し、nは、0、1又は2を示し、Rは、メタクリロイルオキシアルキル基、ビニルフェニル基、ビニル基、又はメルカプトアルキル基を示す。 - 前記シロキサン系グラフト交叉剤(a2-2)が3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランである、請求項9から11のいずれか一項に記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)。
- 前記シロキサン系グラフト交叉剤(a2-2)の含有率が、前記ビニル単量体(a2-1)と前記シロキサン系グラフト交叉剤(a2-2)の合計100質量%に対して、0.05~20質量%の範囲にある、請求項9から12のいずれか一項に記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)。
- 請求項1から13のいずれか一項に記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)と熱可塑性樹脂(C)を含む樹脂組成物。
- 前記熱可塑性樹脂(C)が芳香族ポリカーボネートを含む、請求項14に記載の樹脂組成物。
- 請求項14又は15に記載の樹脂組成物を用いて形成された成形体。
- 請求項1から13のいずれか一項に記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)の製造方法であって、
乳化剤の存在下、溶媒中でビニル単量体(a2-1)を含む単量体を乳化重合して第1の重合体ラテックスを形成する工程と、
前記第1の重合体ラテックスへ、オルガノシロキサン(a1)又はそれを含む混合物を加えて乳化重合を行い、重合体(A)からなる第2の重合体ラテックスを形成する工程と、
前記第2の重合体ラテックスへビニル単量体(b)を加えて前記重合体(A)をグラフト化する工程を含む、ポリオルガノシロキサン含有グラフト重合体(B)の製造方法。
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