JP6954119B2 - ポリカーボネート樹脂組成物およびその成形体 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物およびその成形体 Download PDF

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Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物およびその成形体に関する。
ポリカーボネート樹脂は、汎用エンジニアリングプラスチックとして、耐衝撃性および耐熱性などに優れることから、自動車用部材、OA機器部材および電気電子部材などに用いられている。ポリカーボネート樹脂は、これらの特性に優れる一方で、表面硬度や耐候性に劣る性質を有している。耐衝撃性および耐熱性を維持しつつ、表面硬度や流動性、耐候性を向上させる手法として、特許文献1、2に(メタ)アクリル系樹脂および複合ゴム系グラフト共重合体をポリカーボネート樹脂に複合させる手法が開示されている。
特開平8−269314号公報 特表2010−529248号公報
特許文献1に記載されたポリカーボネート樹脂組成物は、耐衝撃性や耐候性に関して改善がみられるものの、流動性および表面硬度に劣る。また、特許文献2に記載されたポリカーボネート樹脂組成物は、耐衝撃性や流動性に優れるものの、表面硬度に劣る。そこで、本発明は、良好な耐衝撃性を備え流動性および表面硬度にも優れたポリカーボネート樹脂組成物を提供することを主な目的とする。
上記課題解決のため、本発明は、以下の[1]〜[16]を提供する。
[1] ポリカーボネート樹脂(A)、ポリメチルメタクリレート(B)、およびゴム質重合体にビニル単量体をグラフトしたゴム含有グラフト重合体(C)を含むポリカーボネート樹脂組成物であって、
ポリメチルメタクリレート(B)が、メチルメタクリレート単位を85〜100質量%含み、
次式で定義される値B/Cが、2.0〜15.0であるポリカーボネート樹脂組成物。
B/C=ポリメチルメタクリレート(B)の質量部÷ゴム含有グラフト重合体(C)の質量部
[2] ゴム含有グラフト重合体(C)が、ゴム質重合体をゴム含有グラフト重合体(C)の総質量に対して50〜99質量%含む、[1]のポリカーボネート樹脂組成物。
[3] ゴム含有グラフト重合体(C)に含まれるゴム質重合体が、ジエン系ゴム、ジエン−アクリル複合ゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、及びアクリル−シリコーン複合ゴムからなる群より選ばれる1つ以上である、[1]または[2]のポリカーボネート樹脂組成物。
[4] ゴム含有グラフト重合体(C)に含まれるゴム質重合体が、アクリルゴム、シリコーンゴム、及びアクリル−シリコーン複合ゴムからなる群から選ばれる1つ以上である、[3]のポリカーボネート樹脂組成物。
[5] ゴム含有グラフト重合体(C)のグラフト部分に、メチルメタクリレート単位をグラフト部分の総質量に対して50〜100質量%含む、[1]〜[4]のいずれかのポリカーボネート樹脂組成物。
[6] ポリメチルメタクリレート(B)の質量平均分子量が1,000〜50,000である、[1]〜[5]のいずれかのポリカーボネート樹脂組成物。
[7] ポリメチルメタクリレート(B)の質量平均分子量が15,000〜40,000である、[6]のポリカーボネート樹脂組成物。
[8] ポリカーボネート樹脂(A)とポリメチルメタクリレート(B)との合計100質量%のうち、ポリメチルメタクリレート(B)の含有率が10〜40質量%である、[1]〜[7]のポリカーボネート樹脂組成物。
[9] ポリカーボネート樹脂(A)とポリメチルメタクリレート(B)との合計100質量%のうち、ポリメチルメタクリレート(B)の含有率が15〜30質量%である、[8]のポリカーボネート樹脂組成物。
[10] ポリカーボネート樹脂(A)とポリメチルメタクリレート(B)の合計100質量部に対し、ゴム含有グラフト重合体(C)の含有量が3〜14質量部である、[1]〜[9]のいずれかのポリカーボネート樹脂組成物。
[11] ポリカーボネート樹脂(A)とポリメチルメタクリレート(B)の合計100質量部に対し、ゴム含有グラフト重合体(C)の含有量が3〜7質量部である、[10]のポリカーボネート樹脂組成物。
[12] 前記B/Cが2.5〜10.0である、[1]〜[11]のいずれかのポリカーボネート樹脂組成物。
[13] ポリカーボネート樹脂(A)が、芳香族ポリカーボネート樹脂である、[1]〜[12]のいずれかのポリカーボネート樹脂組成物。
[14] [1]〜[13]のいずれかのポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形体。
[15] 車両内装または筐体である、[14]の成形体。
[16] ポリカーボネート樹脂(A)、ビニル重合体およびゴム質重合体にビニル単量体をグラフト重合したゴム含有グラフト重合体(C)を含むポリカーボネート樹脂組成物であって、
ビニル重合体が、シアン化ビニル単量体単位、芳香族ビニル単量体単位、及び(メタ)アクリレート単位からなる群より選択される1つ以上を合計85〜100質量%含み、
該樹脂組成物が、下記条件1〜4を満足するポリカーボネート樹脂組成物。
条件1:
厚さ2mmの成形体を、JIS K7361−1に準じて測定した全光線透過率が10〜40%。
条件2:
厚さ2mmの成形体を、JIS K5600−5−4に準じて測定した鉛筆硬度がHB以上。
条件3:
JIS K7111に準じて、厚さ4mmの成形体を23℃で測定したノッチ付シャルピー衝撃強度が20〜90kJ/m
条件4:
ISO1133に準じて、温度280℃、荷重5kgfで測定したメルトマスフローレートが30〜90g/10分。
本発明により、良好な耐衝撃性を備え流動性および表面硬度にも優れたポリカーボネート樹脂組成物が提供される。
以下、本発明を実施するための好適な形態について説明する。
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「質量平均分子量」は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって測定される、ポリスチレン換算の質量平均分子量である。
「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートの総称である。
本発明に係るポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)、ポリメチルメタクリレート(B)、およびゴム質重合体にビニル単量体をグラフトしたゴム含有グラフト重合体(C)を含む。
また、本発明に係るポリカーボネート樹脂組成物は、他の一側面において、ポリカーボネート樹脂(A)、ビニル重合体およびゴム質重合体にビニル単量体をグラフト重合したゴム含有グラフト重合体(C)を含むポリカーボネート樹脂組成物である。
以下、順に説明する。
(ポリカーボネート樹脂(A))
ポリカーボネート樹脂(A)は、主鎖に炭酸エステル結合(−O−C(=O)−O−)を有する高分子化合物であればよく、特に制限はない。
ポリカーボネート樹脂(A)としては、通常、2価フェノールとカーボネート前駆体との反応によって製造される芳香族ポリカーボネートが挙げられる。具体的には、2価フェノールとカーボネート前駆体とを溶液法または溶融法によって反応させて製造されたものが挙げられる。より具体的には、2価フェノールとホスゲンとを反応させて製造されたもの、2価フェノールとジフェニルカーボネート等とをエステル交換法によって反応させて製造されたものが挙げられる。
2価フェノールとしては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,3−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、またはこれらのハロゲン置換体等が挙げられる。これらの他に、2価フェノールとしては、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール等が挙げられる。
2価フェノールとしては、コストの点から、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系が好ましく、ビスフェノールAが特に好ましい。
2価フェノールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カルボニルエステル、ハロホーメート等が挙げられる。具体的には、ホスゲン、2価フェノールのジハロホーメート、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等が挙げられる。
カーボネート前駆体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリカーボネート樹脂(A)は、分岐構造を有していてもよい。ポリカーボネート樹脂(A)に分岐構造を導入するための分岐剤としては、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、α,α’,α”−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、フロログリシン、トリメリット酸、イサチンビス(o−クレゾール)等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂(A)は、ポリカーボネート部とポリオルガノシロキサン部とを有する共重合体であってもよく、この共重合体を含むポリカーボネート樹脂であってもよい。
ポリカーボネート樹脂(A)は、エステル前駆体(2官能性カルボン酸(テレフタル酸等)またはそのエステル形成誘導体等)の存在下で、2価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られるポリエステル−ポリカーボネート樹脂であってもよい。
ポリカーボネート樹脂(A)は、種々のポリカーボネート樹脂の混合物であってもよい。
ポリカーボネート樹脂(A)の製造の際には、分子量の調節のために、フェノール、p−t−ブチルフェノール、p−t−オクチルフェノール、p−クミルフェノール等を用いてもよい。
ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量は、粘度法により算出することができ、15,000〜30,000が好ましく、17,000〜25,000がより好ましい。粘度平均分子量が前記範囲内であれば、ポリカーボネート樹脂組成物の成形性が優れる傾向にある。なお、粘度法はメチレンクロライドを溶媒とし、ウベローデ型粘度計を用い、25.0℃で測定する。
ポリカーボネート樹脂(A)は成形体の透明性に優れることから芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。
(ポリメチルメタクリレート(B))
ポリメチルメタクリレート(B)は、メチルメタクリレートに由来する構成単位(b1)を85〜100質量%含む。ポリカーボネート樹脂組成物の耐衝撃性および耐熱性が向上する傾向にあることから、ポリメチルメタクリレート(B)の構成単位の合計100質量%中、メチルメタクリレートに由来する構成単位(b1)を90〜100質量%含むことが好ましく、95〜99質量%含むことがさらに好ましい。
ポリメチルメタクリレート(B)は、他の単量体に由来する構成単位(b2)を有してもよい。
他の単量体に由来する構成単位(b2)を構成する他の単量体としては、例えば、メチルアクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート単量体;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、o−エチルスチレン、p−クロロスチレン、o−クロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、p−メトキシスチレン、o−メトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体;無水マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸;N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体;グリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル系単量体;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル系単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン系単量体;ブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジエン等のジエン系単量体を挙げることができる。これらの他の単量体の中では、成形体の耐熱性に優れる観点から、アクリレートが好ましく、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレートがより好ましい。これらの他の単量体は、単独であるいは2種以上混合して用いることができる。
成形体の耐熱性が向上する傾向にあることから、ポリメチルメタクリレート(B)の構成単位の合計100質量%中、他の単量体に由来する構成単位(b2)を0〜20質量%含むことが好ましく、0〜10質量%含むことがより好ましく、1〜5質量%含むことがさらに好ましい。
ポリメチルメタクリレート(B)の質量平均分子量は1,000〜50,000であり、10,000〜50,000が好ましく、15,000〜40,000であることがより好ましく、20,000〜35,000であることがさらに好ましい。質量平均分子量が1,000以上であると、ポリカーボネート樹脂組成物の耐衝撃性が向上する傾向にある。質量平均分子量が50,000以下であると、ポリカーボネート樹脂組成物の流動性および透明性が向上する傾向にある。
メチルメタクリレート系樹脂(B)の製造方法として、公知の懸濁重合、溶液重合、乳化重合、塊状重合などを挙げることができる。回収方法が容易であること、および回収によって得られる形態が粉状となり他樹脂との溶融混練がしやすいことから、懸濁重合および乳化重合が好ましい。
(ゴム含有グラフト重合体(C))
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ゴム含有グラフト重合体(C)を含有することにより、ポリカーボネート樹脂組成物の耐衝撃性が向上する傾向にある。
ゴム含有グラフト重合体(C)は、ゴム質重合体(C1)にビニル単量体(c2)をグラフトして得られる。
(ゴム質重合体(C1))
前記ゴム質重合体(C1)としては、例えばジエン系ゴム、ジエン−アクリル複合ゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、及びアクリル−シリコーン複合ゴムからなる群より選ばれる1つ以上が挙げられる。ゴム質重合体(C1)は、耐候性に優れることから、アクリルゴム、シリコーンゴム、アクリル−シリコーン複合ゴムからなる群より選ばれる1つ以上であることが好ましい。
ゴム質重合体(C1)は、ゴム含有グラフト重合体(C)の総質量に対して50〜99質量%含まれることが好ましい。
前記ゴム質重合体(C1)には、特に限定されないが、以下に説明するポリジエン系ゴム質重合体(C1−1)、ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム質重合体(C1−2)、ポリオルガノシロキサン系ゴム質重合体(C1−3)等を用いることができる。
(ポリジエン系ゴム質重合体(C1−1))
ポリジエン系ゴム質重合体(C1−1)はジエン系単量体に由来する構成単位を含む。また、必要に応じて他の単量体に由来する構成単位を有していてもよい。特に、ガラス転移温度が−20℃以下の構成単位を有する重合体であることが好ましい。構成単位は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ジエン系単量体に由来する構成単位を構成するジエン系単量体としては、特に限定されないが、ブタジエン、イソプレンなどのジエン系モノマー、例えば1,3−ブタジエンが挙げられる。
他の単量体に由来する構成単位を構成する他の単量体としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリルアクリレート、t−ブチルアクリレート、スチレン、アクリロニトリル等の単官能性単量体;ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の多官能性単量体が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、乳化重合の重合安定性の観点から、アルキル基の炭素数が2〜8のアルキルアクリレートおよび/またはスチレンが好ましく、アルキル基の炭素数が3〜6のアルキルアクリレートおよび/またはスチレンがより好ましく、ブチルアクリレートおよび/またはスチレンが特に好ましい。
ポリジエン系ゴム質重合体(C1−1)は、ポリジエン系ゴム質重合体(C1−1)を構成する全単量体単位を100質量%としたときに、ジエン系単量体に由来する構成単位を70質量%以上含むことが好ましく、80質量%以上含むことがより好ましく、90質量%以上含むことがさらに好ましい。ジエン系単量体に由来する構成単位を70質量%以上含むと、ポリカーボネート樹脂組成物の耐衝撃性が向上する傾向にある。
(ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム質重合体(C1−2))
ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム質重合体(C1−2)はアルキル(メタ)アクリレート単量体に由来する構成単位を含む。また、必要に応じて他の単量体に由来する構成単位を有していてもよい。特に、ガラス転移温度が−20℃以下の構成単位を有する重合体であることが好ましい。構成単位は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
アルキル(メタ)アクリレート単量体に由来する構成単位を構成するアルキル(メタ)アクリレート単量体としては、特に限定されないが、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリルアクリレート、t−ブチルアクリレートが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、乳化重合の重合安定性の観点から、アルキル基の炭素数が2〜8のアルキルアクリレートが好ましく、ブチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレートが特に好ましい。
他の単量体に由来する構成単位を構成する他の単量体としては、例えばスチレン、アクリロニトリル等の単官能性単量体;アリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の多官能性単量体が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム質重合体(C1−2)は、ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム質重合体(C1−2)を構成する全単量体単位を100質量%としたときに、アルキル(メタ)アクリレート単量体に由来する構成単位を70質量%以上含むことが好ましく、80質量%以上含むことがより好ましく、90質量%以上含むことがさらに好ましい。アルキル(メタ)アクリレート単量体に由来する構成単位を70質量%以上含むと、ポリカーボネート樹脂組成物の耐衝撃性が向上する傾向にある。
(ポリオルガノシロキサン系ゴム質重合体(C1−3))
ポリオルガノシロキサン系ゴム質重合体(C1−3)は、ポリオルガノシロキサン(C1−3−1)を含む。
(ポリオルガノシロキサン(C1−3−1))
ポリオルガノシロキサン(C1−3−1)は、オルガノシロキサン、ポリオルガノシロキサン用グラフト交叉剤(以下、「シロキサン交叉剤」という。)、必要に応じてポリオルガノシロキサン用架橋剤(以下、「シロキサン架橋剤」という。)および末端封鎖基を有するシロキサンオリゴマー等から成るオルガノシロキサン混合物を乳化重合して得られる。
オルガノシロキサンとしては、鎖状オルガノシロキサン、環状オルガノシロキサンのいずれも用いることができるが、環状オルガノシロキサンは、重合安定性が高く、重合速度が大きいので好ましい。環状オルガノシロキサンとしては、3員環以上の環状オルガノシロキサンが好ましく、3〜6員環のものがより好ましい。環状オルガノシロキサンとしては、例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサンが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シロキサン交叉剤としては、前記オルガノシロキサンとシロキサン結合を介して結合し、ポリ(メタ)アクリル酸エステルを構成する単量体やビニル単量体等のビニル単量体と結合を形成し得るものが好ましい。オルガノシロキサンとの反応性を考慮すると、ビニル基を有するアルコキシシラン化合物が好ましい。シロキサン交叉剤を用いることによって、任意のビニル共重合体と重合可能な官能基を有するポリオルガノシロキサンを得ることができる。ポリオルガノシロキサンが任意のビニル単量体と重合可能な官能基を有することにより、ポリオルガノシロキサンと、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステルやビニル単量体を化学的に結合させることができる。
シロキサン交叉剤としては、式(I)で表されるシロキサンを挙げることができる。
RSiR (OR(3−n) 式(I)
式(I)中、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、またはフェニル基を示す。R2は、アルコキシ基における有機基を示し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、またはフェニル基を挙げることができる。nは、0、1または2を示す。Rは、式(I−1)〜(I−4)で表されるいずれかの基を示す。
CH2=C(R)−COO−(CH− 式(I−1)
CH2=C(R)−C− 式(I−2)
CH2=CH− 式(I−3)
HS−(CH2− 式(I−4)
これらの式中、RおよびRは、それぞれ、水素またはメチル基を示し、pは1〜6の整数を示す。
式(I−1)で表される官能基としては、メタクリロイルオキシアルキル基を挙げることができる。この基を有するシロキサンとしては、例えば、β−メタクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシラン、δ−メタクリロイルオキシブチルジエトキシメチルシランを挙げることができる。
式(I−2)で表される官能基としては、ビニルフェニル基等を挙げることができる。この基を有するシロキサンとしては、例えば、ビニルフェニルエチルジメトキシシランを挙げることができる。
式(I−3)で表される官能基を有するシロキサンとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランを挙げることができる。
式(I−4)で表される官能基としては、メルカプトアルキル基を挙げることができる。この基を有するシロキサンとして、γ−メルカプトプロピルジメトキメチルシラン、γ−メルカプトプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メルカプトプロピルジエトキシメチルシラン、γ−メルカプトプロピルエトキシジメチルシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。これらシロキサン交叉剤は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
シロキサン架橋剤としては、前記オルガノシロキサンと結合し得る官能基を3つまたは4つ有するものが好ましい。シロキサン架橋剤としては、例えば、トリメトキシメチルシラン等のトリアルコキシアルキルシラン;トリエトキシフェニルシラン等のトリアルコキシアリールシラン;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシランが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中では、テトラアルコキシシランが好ましく、テトラエトキシシランがさらに好ましい。
末端封鎖基を有するシロキサンオリゴマーとは、オルガノシロキサンオリゴマーの末端にアルキル基等を有し、ポリオルガノシロキサンの重合を停止させるシロキサンオリゴマーをいう。
末端封鎖基を有するシロキサンオリゴマーとしては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−グリシドキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、メトキシトリメチルシランを挙げることができる。
オルガノシロキサン混合物(100質量%)中のオルガノシロキサンの含有率は、60〜99.9質量%の範囲であることが好ましく、70〜99.9質量%の範囲であることがより好ましい。オルガノシロキサン混合物(100質量%)中のシロキサン交叉剤の含有率は、0.1〜10質量%の範囲であることが好ましい。オルガノシロキサン混合物(100質量%)中のシロキサン架橋剤の含有率は、0〜30質量%の範囲であることが好ましい。
(ポリオルガノシロキサン複合ゴム(C1−3−2))
本発明において、ポリオルガノシロキサン系ゴム質重合体(C1−3)は、ポリオルガノシロキサン(C1−3−1)と複合ゴム用ビニル重合体とを含む、ポリオルガノシロキサン複合ゴム(C1−3−2)であってもよい。
複合ゴム用ビニル重合体は、複合ゴム用ビニル単量体と、必要に応じて架橋性単量体またはアクリル交叉剤とを重合して得られる。
複合ゴム用ビニル単量体としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート等のアルキルアクリレート;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート等のアルキルメタクリレート;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体が挙げられる。複合ゴム用ビニル単量体としては、成形体の耐衝撃性が優れることから、n−ブチルアクリレートが好ましい。
架橋性単量体は、重合性不飽和結合を2つ以上有する多官能性単量体である。例えば、メタクリル酸アリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、ジビニルベンゼン、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸プロピレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジメタクリル酸1,4−ブチレングリコール、ジアクリル酸1,6−ヘキサンジオール、トリメリット酸トリアリルが挙げられ、これらを単独でまたは2種以上併用できる。
アクリル交叉剤は、反応性の異なる重合性不飽和結合を2つ以上有する多官能性単量体である。反応性が異なる基を有することにより、他の成分と共に重合される際に不飽和基を温存した状態で複合ゴム内に組み込まれ、グラフト共重合体の形成を可能とする。例えば、メタクリル酸アリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリルが挙げられ、これらを単独でまたは2種以上併用できる。アクリル交叉剤は、架橋性単量体と同様に重合性不飽和結合を2つ以上有するため、架橋剤としての機能も有する。
複合ゴム用ビニル単量体100質量部に対し、架橋性単量体は0〜15部が好ましく、0.1〜10部がより好ましい。架橋性単量体が15部以下であると成形体の耐衝撃性に優れる傾向にある。
複合ゴム用ビニル単量体100質量部に対し、アクリル交叉剤は0〜15部が好ましく、0.1〜10部がより好ましい。架橋性単量体が15部以下であると成形体の耐衝撃性に優れる傾向にある。
ポリオルガノシロキサン複合ゴム(C1−3−2)100質量%中の、ポリオルガノシロキサン(C1−3−1)の含有率は、0.1〜99.9質量%であることが好ましく、5質量%以上がより好ましく、7質量%以上が特に好ましい。ポリオルガノシロキサンの含有率が0.1質量%以上であれば、耐衝撃性に優れる傾向にある。ポリオルガノシロキサンの含有率が99.9質量%以下であれば耐熱性に優れる傾向にある。
(ビニル単量体(c2))
ビニル単量体(c2)としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリカーボネート樹脂組成物の耐熱性に優れる傾向にあることから、ビニル単量体(c2)としては、アクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレートおよびスチレンが好ましい。また、ポリカーボネート樹脂(A)との相溶性に優れ、その結果得られるポリカーボネート樹脂組成物の耐衝撃性に優れる傾向にあることから、ビニル単量体(c2)はメチルメタクリレートを50〜100質量%含むことが好ましく、70〜100質量%含むことがより好ましく、90〜100質量%含むことがさらに好ましい。
<ゴム含有グラフト重合体(C)の製造方法>
ゴム含有グラフト重合体(C)は、ゴム質重合体(C1)にビニル単量体(c2)をグラフトして得られる。
グラフト重合の方法は特に限定されないが、ゴム含有グラフト重合体(C)の粒子径の制御がしやすく、コア・シェル構造を容易に形成できるという理由から、乳化重合が好ましい。乳化重合法としては、単量体の一括添加重合、単量体の連続添加重合、多段階重合などの一般に知られている乳化重合法を採用することができる。乳化剤の添加も単量体の添加と同様の方法を採用することができる。グラフト層は1層であっても2層以上であってもかまわない。
ゴム含有グラフト重合体(C)は、重合後のゴム含有グラフト重合体(C)のラテックスから、噴霧乾燥、または凝析により回収される。
ゴム含有グラフト重合体(C)のラテックスの凝析方法は、例えば、ゴム含有グラフト重合体(C)のラテックスを、凝析剤を溶解させた熱水と接触させ、攪拌しながら重合体を凝析させてスラリーとし、生成した析出物を脱水、洗浄、乾燥する方法が挙げられる。
<ゴム質重合体(C1)の製造方法>
ゴム質重合体(C1)の重合方法は特に限定されないが、水系では乳化重合や懸濁重合、溶液系では溶液重合などが挙げられる。ゴム質重合体(C1)の粒子径の制御がしやすく、コア・シェル構造のゴム粒子が得られやすい点で、乳化重合が好ましい。
乳化重合に用いる乳化剤としては、公知のアニオン系乳化剤、カチオン系乳化剤、非イオン性乳化剤などを用いることができる。
重合に用いる重合開始剤は特に限定されず、例えば公知のアゾ系開始剤、過酸化物系開始剤を使用することができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。重合開始剤の使用量は、単量体の合計100質量部に対して0.05〜1.0質量部が好ましく、0.1〜0.3質量部がより好ましい。
本発明において、ゴム含有グラフト重合体(C)中のゴム質重合体(C1)の割合は任意に設定することができるが、ゴム含有グラフト重合体(C)100質量%中、ゴム質重合体(C1)が50〜90質量%であることが好ましい。この値が50質量%以上であれば、ポリカーボネート樹脂組成物の耐衝撃性が向上する傾向にある。
本発明において、ゴム含有グラフト重合体(C)のグラフト部分に、グラフト部分の総質量に対してメチルメタクリレート単位を50〜100質量%含むことが好ましく、70〜100質量%含むことがより好ましく、90〜100質量%含むことがさらに好ましい。この値が50〜100質量%であれば、ポリカーボネート樹脂(A)との相溶性が優れ、その結果得られるポリカーボネート樹脂組成物の耐衝撃性に優れる傾向にあるので好ましい。
ゴム含有グラフト重合体(C)として、例えば三菱ケミカル(株)製のメタブレンS−2001、メタブレンS−2100、メタブレンSRK−200、メタブレンS−2030、メタブレンE−870、メタブレンE−875等を好適に用いることができる。
(ポリカーボネート樹脂組成物)
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)とポリメチルメタクリレート(B)とゴム含有グラフト重合体(C)を含む。本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、必要に応じてポリカーボネート樹脂(A)とポリメチルメタクリレート(B)とゴム含有グラフト重合体(C)以外の他の成分を含んでいてもよい。
(他の成分)
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、必要に応じて各種添加剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、求核剤、滑剤、難燃化剤等)、各種フィラー(ガラス、マイカ、ゴム粒子等)等を含んでいてもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリメチルメタクリレート(B)が、メチルメタクリレート単位を85〜100質量%含み、次式で定義される値B/Cが、2.0〜15.0である。
B/C=ポリメチルメタクリレート(B)の質量部÷ゴム含有グラフト重合体(C)の質量部
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に含まれるポリメチルメタクリレート(B)の質量部と、ゴム含有グラフト重合体(C)の質量部の比である値B/Cは、2.0〜15.0の範囲が好ましく、2.5〜10.0の範囲がより好ましく、3.0〜10.0の範囲がさらに好ましい。B/Cがこの範囲であると、ポリカーボネート樹脂組成物の表面硬度が高くなる傾向にあり好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)、ビニル重合体およびゴム質重合体にビニル単量体をグラフト重合したゴム含有グラフト重合体(C)を含むポリカーボネート樹脂組成物であって、
ビニル重合体が、シアン化ビニル単量体単位、芳香族ビニル単量体単位、(メタ)アクリレート単位から選択される1つ以上を合計85〜100質量%含み、
該樹脂組成物が下記条件1〜4を満足し得る。
条件1:
厚さ2mmの成形体を、JIS K7361−1に準じて測定した全光線透過率が10〜40%。
条件2:
厚さ2mmの成形体を、JIS K5600−5−4に準じて測定した鉛筆硬度がHB以上。
条件3:
JIS K7111に準じて、厚さ4mmの成形体を23℃で測定したノッチ付シャルピー衝撃強度が20〜90kJ/m
条件4:
ISO1133に準じて、温度280℃、荷重5kgfで測定したメルトマスフローレートが30〜90g/10分。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ビニル重合体が、シアン化ビニル単量体単位、芳香族ビニル単量体単位、及び(メタ)アクリレート単位から選択される1つ以上を合計85〜100質量%含むことが耐衝撃性の点で好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、該樹脂組成物を成形し、厚さ2mmの成形体としたのち、JIS K7361−1に準じて測定した際の全光線透過率が10〜40%となる。この値がこの範囲であると、発色性が良好であり、好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、該樹脂組成物を成形し、厚さ2mmの成形体としたのち、JIS K5600−5−4に準じて測定した鉛筆硬度がHB以上である。この値がこの範囲であると、表面硬度が良好であり、好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、該樹脂組成物を成形し、厚さ4mmの成形体としたのち、JIS K7111に準じて、厚さ4mmの成形体を23℃で測定したノッチ付シャルピー衝撃強度が20〜90kJ/mとなる。この値がこの範囲であると、耐衝撃性が良好であり、好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ISO1133に準じて、温度280℃、荷重5kgfで測定したメルトマスフローレートが30〜90g/10分である。この値がこの範囲であると、流動性が良好であり、好ましい。
(ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法)
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)とポリメチルメタクリレート(B)とゴム含有グラフト重合体(C)と、必要に応じて他の成分とを溶融混練することによって製造することができる。
溶融混練装置としては、例えば、バンバリーミキサ、ニーダ、ロール、ニーダールーダ、単軸押出機、二軸押出機、多軸押出機等が挙げられる。
(ポリカーボネート樹脂組成物の組成)
本発明において、ポリカーボネート樹脂(A)とポリメチルメタクリレート(B)との合計100質量%のうち、ポリメチルメタクリレート(B)が10〜40質量%が好ましく、15〜30質量%がより好ましい。ポリメチルメタクリレート(B)が10質量%以上であると成形体の表面硬度が優れる傾向にあり、40質量%以下であると成形体の耐衝撃性が優れる傾向にある。
本発明において、ゴム含有グラフト重合体(C)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)およびポリメチルメタクリレート(B)の合計100質量部に対して、3〜14質量部が好ましく、3〜7質量部がより好ましい。ゴム含有グラフト重合体(C)の含有量が3質量部以上であると成形体の耐衝撃性が優れる傾向にあり、14質量部以下であると流動性が優れる傾向にある。
<成形体の製造方法>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法等の公知の方法で成形体とすることができる。成形方法としては、所望の形状に成形できる点から、射出成形法、押出成形法が好ましい。
本発明の成形体は、各種機器(電気機器、OA機器、携帯電話、タブレット端末)の部材(筐体等)、光記録媒体、自動車部品(自動車外装材、自動車内装材等)、建築部材、各種シートとして有用であるが、中でも、車両内装または筐体として用いると成形しやすく、塗装工程が削減できるという点で好ましい。
以下に本発明を実施例により説明する。実施例において、「部」は「質量部」を示す。重合体の各構成単位の割合および質量平均分子量の求め方、ならびに成形体の評価方法は、下記のとおりである。
(構成単位の割合)
重合体の各構成単位の割合は、単量体の仕込み量から計算した。
(質量平均分子量)
テトラヒドロフラン(THF)に溶解した重合体について、4本のカラム(東ソー(株)、TSKgel SuperHZM−M)を搭載したゲル浸透クロマトグラフィ(GPC、東ソー(株)、HLC8220)によって40℃における溶出曲線を測定し、標準ポリスチレンによる検量線を基に重合体の質量平均分子量を算出した。
(メルトマスフローレート)
ISO1133に準じて、温度280℃、荷重5kgfで測定した。
(全光線透過率)
JIS K7361−1に準拠し、厚さ2mmのシート状の成形体の全光線透過率を測定した。
(鉛筆硬度)
JIS K 5600−5−4に準拠し、厚さ2mmのシート状の成形体の表面の鉛筆硬度を測定した。
(ノッチ付シャルピー衝撃強度)
JIS K7111に準じて、厚さ4mmの成形体を23℃で測定した。
[製造例1:分散剤(1)の合成]
撹拌機、冷却管および温度計を備えた容量1200Lの反応容器内に、17%水酸化カリウム水溶液61.6部、アクリエステルM(三菱ケミカル(株)製メタクリル酸メチル、商品名)19.1部および脱イオン水19.3部を仕込んだ。次いで、反応装置内の液を室温にて撹拌し、発熱ピークを確認した後、更に4時間撹拌した。この後、反応装置内の反応液を室温まで冷却してメタクリル酸カリウム水溶液を得た。
次いで、撹拌機、冷却管および温度計を備えた容量1050Lの反応容器内に、脱イオン水900部、アクリエステルSEM−Na(三菱ケミカル(株)製メタクリル酸2−スルホエチルナトリウム、商品名、42質量%水溶液)60部、上記のメタクリル酸カリウム水溶液10部およびアクリエステルM12部を入れて撹拌し、重合装置内を窒素置換しながら、50℃に昇温した。その中に、重合開始剤としてV−50(和光純薬工業(株)製2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、商品名)0.08部を添加し、更に60℃に昇温した。昇温後、アクリエステルMを0.24部/分の速度で75分間連続的に滴下した。反応溶液を60℃で6時間保持した後、室温に冷却して、透明な水溶液である固形分10質量%の分散剤(1)を得た。
[製造例2:重合体(B−1)の合成]
撹拌機、冷却管および温度計を備えた重合装置中に、脱イオン水200部、硫酸ナトリウム(Na2SO4)0.3部および製造例1で製造した分散剤(1)(固形分10質量%)0.26部を入れて撹拌して、均一な水溶液とした。次に、メチルメタクリレートに由来する構成単位(b1)を構成する単量体としてアクリエステルM(三菱ケミカル(株)製、メチルメタクリレート、商品名)98.5部、および他の単量体に由来する構成単位(b2)を構成する単量体としてメチルアクリレート(和光純薬(株)製、試薬特級)1.5部、および連鎖移動剤として1−オクチルメルカプタン(東京化成工業(株)製)1部、重合開始剤としてAMBN(日油(株)製、2,2−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、商品名)0.3部を加え、水性分散液とした。次いで、重合装置内を十分に窒素置換し、水性分散液を75℃に昇温してから3時間保持した後に85℃に昇温して1.5時間保持した。その後、反応液を40℃に冷却して、重合体(B−1)の水性懸濁液を得た。この水性懸濁液を濾過布で濾過し、濾過物を脱イオン水で洗浄し、75℃で18時間乾燥して、重合体(B−1)を得た。
[製造例3〜5:重合体(B−2)〜(B−4)の合成]
連鎖移動剤である1−オクチルメルカプタンの添加量を「表1」の通りに変更した以外は製造例2と同様にして、重合体(B−2)〜(B−4)を合成した。重合体(B−1)〜(B−4)の質量平均分子量を「表1」に示す。
Figure 0006954119
[製造例6:ポリオルガノシロキサン(C−1−1)の合成]
環状オルガノシロキサン混合物(信越シリコーン(株)製、製品名:DMC)を97.5部、テトラエトキシシラン(TEOS)を2部およびγ−メタクリロイロキシプロピルジメトキシメチルシラン(DSMA)を0.5部、混合してオルガノシロキサン混合物100部を得た。ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(DBSNa)を0.68部、ドデシルベンゼンスルホン酸(DBSH)を0.68部、脱イオン水200部中に溶解した水溶液を、前記混合物中に添加し、ホモミキサーにて10000rpmで2分間撹拌した後、ホモジナイザーに20MPaの圧力で2回通し、安定な予備混合エマルションを得た。
次いで、冷却コンデンサーを備えた容量5Lのセパラブルフラスコ内に前記エマルションを仕込んだ。該エマルションを85℃に加熱し、6時間維持して重合反応させた後、25℃に冷却し、室温で12時間保持した。その後、5%水酸化ナトリウム水溶液を添加して反応液をpH7.0に中和して、ポリオルガノシロキサン(C−1−1)のラテックスを得た。
このラテックスの固形分は28.3%であった。また、このラテックスの数平均粒子径(Dn)は86nm、質量平均粒子径(Dw)は254nmであり、Dw/Dnは2.95であった。
[製造例7:ポリオルガノシロキサン複合ゴム(C−1−2)およびゴム含有グラフト重合体(C−1)の合成]
製造例6において得たポリオルガノシロキサン(C−1−1)のラテックスをポリマー換算で9.9部、容量5Lのセパラブルフラスコ内に採取し、脱イオン水100部を添加混合した。次いでこのセパラブルフラスコ内に、アクリル酸n−ブチル(n−BA)77.5部、メタクリル酸アリル(AMA)1.6部、tert−ブチルハイドロパーオキサイド(t−BH)0.25部の混合物を添加した。
このセパラブルフラスコ内に窒素気流を通じることによりフラスコ内雰囲気の窒素置換を行い、液温を50℃まで昇温した。50℃となった時点で硫酸第一鉄(Fe)0.001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩(EDTA)0.003部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(SFS)0.3部を脱イオン水2.5部に溶解させた水溶液を添加し、ラジカル重合を開始した。アクリレート成分の重合を完結させるため、液温65℃の状態を1時間維持し、ポリオルガノシロキサンとn−BAとの複合ゴム(C−1−2)のラテックスを得た。
上記複合ゴムのラテックスの温度を65℃に維持した状態で、メタクリル酸メチル(MMA)を11部、t−BHを0.03部の混合液を1.5時間にわたって、このラテックス中に滴下し重合した。滴下終了後、液温を65℃に1時間維持した後、25℃に冷却して、ゴム含有グラフト重合体(C−1)のラテックスを得た。
次いで、酢酸カルシウムの濃度が1質量%の水溶液500部を、30℃に維持して撹拌しながら、この中にゴム含有グラフト重合体(C−1)のラテックス300部を徐々に滴下し凝固した。得られたゴム含有グラフト重合体(C−1)を濾過、脱水した。さらに、ゴム含有グラフト重合体(C−1)100部に対して10倍量の水を加えたあと、撹拌機のついたフラスコ内にて10分間洗浄を行い、濾過、脱水した。この操作を2回繰り返した後、乾燥させてゴム含有グラフト重合体(C−1)の粉体を得た。
[製造例8:ポリオルガノシロキサン(C−2−1)の合成]
テトラエトキシシラン(TEOS)2部、γ−メタクリロイロキシプロピルジメトキシメチルシラン(DSMA)2部及び、オクタメチルシクロテトラシロキサン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン(株)製、製品名:TSF404)96部を混合してオルガノシロキサン混合物100部を得た。脱イオン水150部中にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(DBSNa)1部を溶解した水溶液を、前記混合物中に添加し、ホモミキサーにて10,000rpmで5分間攪拌した後、ホモジナイザーに20MPaの圧力で2回通し、安定な予備混合エマルションを得た。
次いで、冷却コンデンサーを備えた容量5リットルのセパラブルフラスコ内に、上記エマルションを入れた。該エマルションを温度80℃に加熱し、次いで硫酸0.20部と蒸留水49.8部との混合物を3分間にわたり連続的に投入した。温度80℃に加熱した状態を7時間維持して重合反応させた後、室温(25℃)に冷却し、得られた反応液を室温で6時間保持した。その後、5%水酸化ナトリウム水溶液を添加して反応液をpH7.0に中和して、ポリオルガノシロキサンゴムのラテックス(C−2−1)を得た。
このラテックスの固形分は29.8%であった。また、数平均粒子径(Dn)は384nm、質量平均粒子径(Dw)は403nmであり、Dw/Dnは1.05であった。
[製造例9:ポリオルガノシロキサン複合ゴム(C−2−2)およびゴム含有グラフト重合体(C−2)の合成]
製造例8において得たポリオルガノシロキサンゴムのラテックス(C−2−1)をポリマー換算で29.5部、容量5リットルのセパラブルフラスコ内に採取し、脱イオン水100部を添加混合した。次いでこのセパラブルフラスコ内に、n−ブチルアクリレート(n−BA)58.9部、アリルメタクリレート(AMA)1.8部、tert−ブチルハイドロパーオキサイド(t−BH)0.25部の混合物を添加した。
このセパラブルフラスコ内に窒素気流を通じることによりフラスコ内雰囲気の窒素置換を行い、液温を50℃まで昇温した。液温が50℃となった時点で硫酸第一鉄(Fe)0.001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩(EDTA)0.003部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(SFS)0.3部を脱イオン水2.5部に溶解させた水溶液を添加しラジカル重合を開始した。アクリレート成分の重合を完結させるため、液温65℃の状態を1時間維持し、ポリオルガノシロキサンとポリn−ブチルアクリレートとの複合ゴムのラテックス(C−2−2)を得た。
上記複合ゴムのラテックス(C−2−2)の温度を65℃に維持した状態で、Stを4.9部、MMAを4.7部、n−BAを0.2部、t−BHを0.03部の混合液を、1.5時間にわたって、このラテックス中に滴下して重合した。滴下終了後、液温を65℃に1時間維持したのち25℃に冷却して、ゴム含有グラフト重合体(C−2)のラテックスを得た。
次いで、製造例7と同様に凝析を行って、ゴム含有グラフト重合体(C−2)の粉体を得た。
[製造例10:ブタジエンゴムラテックス(C−3−1)の合成]
1,3−ブタジエン100質量部、t−ドデシルメルカプタン0.4質量部、混合脂肪酸カリウム(日油(株)製、商品名ノンサールTK−1)1.25質量部、ロジン酸カリウム(東邦化学工業(株)製、商品名ディプロジン)1.25部、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド0.24部、脱イオン水200部をオートクレーブ中に仕込み、昇温して43℃となった時点で、Fe0.003部、デキストロース0.3部、ピロリン酸ナトリウム0.3部、脱イオン水5部からなるレドックス系開始剤をオートクレーブ内に添加し、重合を開始した後、さらに60℃まで昇温した。重合開始から8時間反応させて、ゴムラテックス(C−3−1)を得た。
[製造例11:酸基含有共重合体ラテックス(K−1)の合成]
Fe0.003部、EDTA0.009部、SFS0.3部、牛脂酸カリウム1.73部、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム2.5部、脱イオン水200部を反応容器内に仕込み、内温を60℃に昇温した後、n−BA85部、メタクリル酸15部、クメンハイドロパーオキサイド0.5部からなる混合物を、2時間にわたり連続滴下で投入して重合させた。さらに2時間撹拌を続け、酸基含有共重合体ラテックス(K−1)を得た。
[製造例12:肥大化ゴムラテックス(C−3−2)の合成]
ゴムラテックス(C−3−1)をポリマー固形分として100質量部を反応容器に仕込み、内温50℃にてポリマー固形分として2質量部の酸基含有共重合体ラテックス(K−1)を加えて30分間保持してゴムラテックス(C−3−1)中のゴム質重合体を肥大化させた。次いで、固形分として0.4部のアルケニルコハク酸ジカリウム(花王(株)製、商品名ラテムルASK)を添加して安定化させ、(肥大化ゴムラテックス(C−3−2)を得た。
[製造例13:ゴム含有グラフト重合体(C−3)の合成]
反応容器に、ゴムラテックス(C−3−2)をポリマー固形分として75部仕込み、内温を70℃に昇温した後、SFS0.3部を脱イオン水10部に溶解させた水溶液を添加した。内温を70℃に保ちながら、以下の混合物を30分かけて滴下した後、40分間保持して1段目のグラフト重合を行った。
MMA 9部
n−BA 1部
t−BH 0.038部
次いで、以下の混合物を30分かけて滴下した後、60分間保持して2段目のグラフト重合を行った。
スチレン 12.5部
t−BH 0.047部
次いで、以下の混合物を10分かけて滴下した後、120分間保持して3段目のグラフト重合を行い、ゴム含有グラフト重合体ラテックス(C−3)を得た。
MMA 2.5部
t−BH 0.0094部
得られたゴム含有グラフト重合体ラテックスに、フェノール系酸化防止剤Irg245を0.25部と、チオエーテル系酸化防止剤DLTDPを0.75質量部添加した。これを酢酸カルシウム5質量部が入った脱イオン水460質量部に添加して重合物を凝析し、脱イオン水で洗浄し、脱水、乾燥してゴム含有グラフト重合体(C−3)の粉体を得た。
[ゴム含有グラフト重合体(C−4)]
ブタジエン系ゴムをコアとし、シェルがスチレン単位、アクリロニトリル単位からなるゴム含有グラフト重合体UMG ABS(株)製、商品名EX18Aをゴム含有グラフト重合体(C−4)として用いた。
[実施例1]
ポリカーボネート樹脂(A)としてユーピロンS−2000F(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製(芳香族ポリカーボネート、粘度平均分子量:23,000)を74部、ポリメチルメタクリレート(B)として重合体(B−3)を26部の合計100部に対し、ゴム含有グラフト重合体(C)として製造例7で作製したゴム含有グラフト重合体(C−1)5.3部をポリエチレン製の袋に入れた。ポリエチレン製の袋を手でよく振ってポリエチレン製の袋内に添加したものをハンドブレンドした後、二軸押出機((株)池貝製、商品名:PCM30)を用いて280℃で溶融混練し、押出されたストランドをペレット状にカットし、ペレットを得た。
ペレットを、射出成形機(住友重機械工業社製、SE100DU)を用いて成形温度280℃および金型温度80℃で成形し、各評価に応じた厚さのシート状の成形体を得た。評価結果を「表2」に示す。
メルトマスフローレート値および鉛筆硬度は非常に優れていた。シャルピー衝撃強度も良好であった。
Figure 0006954119
[実施例2〜10]
実施例1において用いた各原料の種類および量を「表2」に示す条件に変更した以外は実施例1と同様にして各評価に応じた厚さのシート状の成形体を得た。評価結果を「表2」に示す。
実施例1〜10では、メルトマスフローレート、シャルピー衝撃強度、鉛筆硬度および全光線透過率はいずれも非常に優れていた。
[比較例1、2]
各原料の種類および量を「表2」に示す条件に変更した以外は実施例1と同様にして各評価に応じた厚さのシート状の成形体を得た。評価結果を「表2」に示す。
比較例1では、ポリメチルメタクリレート(B)の質量平均分子量が高いため、メルトマスフローレートが不良となった。また、B/Cが2.0未満であるため、鉛筆硬度もやや低下した。比較例2では、B/Cが2.0未満であるため、鉛筆硬度が低下した。

Claims (13)

  1. ポリカーボネート樹脂(A)、ポリメチルメタクリレート(B)、およびゴム質重合体にビニル単量体をグラフトしたゴム含有グラフト重合体(C)を含むポリカーボネート樹脂組成物であって、
    ポリメチルメタクリレート(B)が、メチルメタクリレート単位を85〜100質量%含み、かつ、1,000〜50,000の質量平均分子量を有し、
    ゴム含有グラフト重合体(C)が、ゴム質重合体をゴム含有グラフト重合体(C)の総質量に対して50〜99質量%含み、
    次式で定義される値B/Cが、2.0〜15.0であるポリカーボネート樹脂組成物。
    B/C=ポリメチルメタクリレート(B)の質量部÷ゴム含有グラフト重合体(C)の質量部
  2. ゴム含有グラフト重合体(C)に含まれるゴム質重合体が、ジエン系ゴム、ジエン−アクリル複合ゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、及びアクリル−シリコーン複合ゴムからなる群より選ばれる1つ以上である、請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  3. ゴム含有グラフト重合体(C)に含まれるゴム質重合体が、アクリルゴム、シリコーンゴム、アクリル−シリコーン複合ゴムからなる群より選ばれる1つ以上である、請求項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  4. ゴム含有グラフト重合体(C)のグラフト部分に、メチルメタクリレート単位をグラフト部分の総質量に対して50〜100質量%含む、請求項1〜のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  5. ポリメチルメタクリレート(B)の質量平均分子量が15,000〜40,000である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  6. ポリカーボネート樹脂(A)とポリメチルメタクリレート(B)との合計100質量%のうち、ポリメチルメタクリレート(B)の含有率が10〜40質量%である、請求項1〜のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  7. ポリカーボネート樹脂(A)とポリメチルメタクリレート(B)との合計100質量%のうち、ポリメチルメタクリレート(B)の含有率が15〜30質量%である、請求項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  8. ポリカーボネート樹脂(A)とポリメチルメタクリレート(B)の合計100質量部に対し、ゴム含有グラフト重合体(C)の含有量が3〜14質量部である、請求項1〜のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  9. ポリカーボネート樹脂(A)とポリメチルメタクリレート(B)の合計100質量部に対し、ゴム含有グラフト重合体(C)の含有量が3〜7質量部である、請求項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  10. 前記B/Cが2.5〜10.0である、請求項1〜のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  11. ポリカーボネート樹脂(A)が、芳香族ポリカーボネート樹脂である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形体。
  13. 車両内装または筐体である、請求項12に記載の成形体。

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