JP2009292921A - 熱可塑性樹脂組成物、成形品及びメッキ成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物、成形品及びメッキ成形品 Download PDF

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尚文 上野
Takashi Miura
崇 三浦
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Abstract

【課題】エンジニアリングプラスチック樹脂の特徴やABS樹脂の良好なメッキ性が損なわれることなく、その流動性(成形加工性)が改良される熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】特定のゴム質含有グラフト共重合体(A)、芳香族ビニル系単量体単位及びシアン化ビニル系単量体単位を含むビニル共重合体(B)、特定の共重合体(C)、及び、エンジニアリングプラスチック(D)とからなり、それらを特定量含有する熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、自動車の外装材等に使用される、優れた溶融流動性を有する熱可塑性樹脂組成物、それを成形して得られる成形品及びメッキ成形品に関する。
ABS樹脂等のグラフト共重合体は、優れた加工性、耐衝撃性、機械特性、耐薬品性を有することから、車両分野、家電分野、建材分野等の広範な分野において使用されている。近年、車両分野では、ABS樹脂の優れた2次加工性、特に、メッキ性及び塗装性が着目されて、ドアミラーやラジエーターグリル等の自動車外装用途に使用されている。
また、ABS樹脂とエンジニアリングプラスチックとの熱可塑性樹脂組成物は、ABS樹脂の強度を改良し、エンジニアリングプラスチックの耐熱性、耐衝撃性等の優れた特性を有することから、多くの成形材料分野に使用されている。しかしながら、近年、射出成形品の形状複雑化や、リブやボス等の凸凹が成形品に形成されること、成形品が薄肉化すること等の理由から、さらなる溶融流動性の向上、即ち、射出成形性に優れた熱可塑性樹脂組成物が求められている。
自動車部品の形状の複雑化等に対応するために、熱可塑性樹脂組成物の成形加工性、メッキ性、塗装性を改良するべく様々な提案がなされている。
例えば、下記特許文献1では、大型成形性を向上させ、良好なメッキ性及び塗装性を有する成形品を得る方法が提案されている。しかしながら、特許文献1で提案された方法では、成形品の表面外観及びメッキ性の評価は良好であるものの、エンジニアリングプラスチックにポリカーボネート樹脂を用いた場合の溶融流動性は十分ではない。
特開2007−39489号公報
本発明の目的は、ABS樹脂の優れたメッキ性、及び、エンジニアリングプラスチックの優れた特性(耐熱性、耐衝撃性等)を損なうことなく、溶融流動性が改良された熱可塑性樹脂組成物、それを成形して得られる成形品及びメッキ成形品を提供することにある。
本発明の要旨は、ゴム質重合体(a−1)の存在下で、芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体である単量体(a−2)を重合して得られるグラフト共重合体(A)、芳香族ビニル単量体単位及びシアン化ビニル単量体単位を含有するビニル共重合体(B)、ガラス転移温度が25℃以下のポリアルキルアクリレートを主成分とする重合体(c−1)又はポリオルガノシロキサンを主成分とする重合体(c−2)の存在下で、(メタ)アクリレート単量体、芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体から選ばれる少なくとも1種の単量体(c−3)を重合して得られ、アセトンに対する可溶成分の含有率が90質量%以上であり、可溶成分の質量平均分子量が10,000〜100,000である共重合体(C)、及び、エンジニアリングプラスチック(D)とからなる熱可塑性樹脂組成物であって、グラフト共重合体(A)とビニル共重合体(B)の合計を30〜60質量%、共重合体(C)を1〜15質量%(但し、(A)〜(C)の合計を45〜65質量%とする)及びエンジニアリングプラスチック(D)を35〜55質量%(但し、(A)〜(D)の合計を100質量%とする)含有する熱可塑性樹脂組成物にある。
また、単量体(c−3)が、芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体であることが好ましい。
さらに、エンジニアリングプラスチック(D)が、ポリカーボネート樹脂であることが好ましい。
尚、「主成分」とは、含有率が50質量%以上であることを意味する。
また、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ABS樹脂の優れたメッキ性、及び、エンジニアリングプラスチックの優れた特性(耐熱性、耐衝撃性等)を損なうことなく、その溶融流動性が改良される。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明におけるグラフト共重合体(A)は、ゴム質重合体(a−1)の存在下で、芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体である単量体(a−2)を重合して得られる。
ゴム質重合体(a−1)としては、例えば、ポリブタジエン等のジエン系ゴム、ブチルアクリルゴム等のアルキル(メタ)アクリレート系ゴム、エチレン−プロピレンゴム等のエチレン−プロピレン系共重合体ゴム、ポリオルガノシロキシサン系ゴム、ジエン/アルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム、ポリオルガノシロキシサン/アルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム、ポリオルガノシロキシサン/ジエン系複合ゴムが挙げられる。
ゴム質重合体(a−1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ゴム質重合体(a−1)は、メッキ性を良好に保つために、ポリブタジエン等のジエン系ゴム、ジエン/アルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム、ポリオルガノシロキシサン/ジエン系複合ゴムが好ましい。
単量体(a−2)が含有する芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、ブロムスチレンが挙げられる。これらの中では、スチレンが好ましい。
芳香族ビニル単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
単量体(a−2)が含有するシアン化ビニル単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが挙げられる。これらの中では、アクリロニトリルが好ましい。
シアン化ビニル単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
単量体(a−2)は、必要に応じて、芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体以外の、その他の単量体を含有してもよい。
その他の単量体としては、例えば、メチルメタクリレート、メチルアクリレート等の(メタ)アクリレート;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド化合物;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸化合物が挙げられる。
その他の単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
グラフト共重合体(A)(但し、(a−1)と(a−2)の合計を100質量%とする)中のゴム質重合体(a−1)の含有率は、本発明の効果を得るうえで、30〜85質量%が好ましい。
さらに、熱可塑性樹脂組成物の溶融流動性及び成形品の耐衝撃性を向上させ、グラフト共重合体(A)の微粉の発生を抑制するとともに、ブロッキングを防止するため、グラフト共重合体(A)中のゴム質重合体(a−1)の含有率は、45〜80質量%がより好ましく、50〜80質量%がさらに好ましい。
グラフト共重合体(A)は、公知の重合方法によって製造することができる。例えば、ゴム質重合体(a−1)のラテックスと、単量体(a−2)の一部又は全量を混合することによって、単量体(a−2)をゴム質重合体(a−1)に含浸させ、その後、重合する方法が挙げられる。
この重合方法によれば、熱可塑性樹脂組成物の大型成形性と耐衝撃性等の物性とのバランスが良好になる。
グラフト共重合体(A)の具体的な製造方法としては、乳化重合で製造されたゴム質重合体(a−1)のラテックスを、ジャケット及び攪拌装置を備えた反応器内に投入し、次いで、単量体(a−2)の一部又は全量を一括添加又は連続滴下し、撹拌しながら40〜70℃で放置する。放置時間(含浸時間)は5〜60分程度が好ましい。
次いで、開始剤を添加し、前工程で単量体(a−2)の一部を使用した場合には、残りの単量体(a−2)を添加する。
開始剤の添加前に添加した単量体(a−2)は、ゴム質重合体(a−1)に含浸し、ゴム質重合体(a−1)内で重合して重合体になる。
本発明におけるビニル共重合体(B)は、芳香族ビニル単量体単位及びシアン化ビニル単量体単位を含有する。
芳香族ビニル単量体単位を形成する原料となる芳香族ビニル単量体としては、単量体(a−2)で例示したものを用いることができる。
シアン化ビニル単量体単位を形成する原料となるシアン化ビニル単量体としては、単量体(a−2)で例示したものを用いることができる。
ビニル共重合体(B)は、必要に応じて、芳香族ビニル単量体単位及びシアン化ビニル単量体単位以外の、その他の単量体単位を含有してもよい。
その他の単量体単位を形成する原料となるその他の単量体としては、単量体(a−2)で例示したものを用いることができる。
ビニル共重合体(B)(100質量%)中の芳香族ビニル単量体単位の含有率は45〜80質量%が好ましく、シアン化ビニル単量体単位の含有率は20〜55質量%が好ましい。
ビニル共重合体(B)中の芳香族ビニル単量体単位の含有率は55〜80質量%がより好ましく、シアン化ビニル単量体単位の含有率は20〜45質量%がより好ましい。
ビニル共重合体(B)の質量平均分子量(以下、「Mw」という。)は80,000〜200,000が好ましい。
ビニル共重合体(B)は、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等の公知の重合方法によって製造することができる。
本発明における共重合体(C)は、ガラス転移温度(以下、「Tg」という。)が25℃以下のポリアルキルアクリレートを主成分とする重合体(c−1)又はポリオルガノシロキサンを主成分とする重合体(c−2)の存在下で、(メタ)アクリレート単量体、芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体から選ばれる少なくとも1種の単量体(c−3)を重合して得られ、アセトンに対する可溶成分の含有率が90質量%以上であり、可溶成分のMwが10,000〜100,000の範囲内にある。
この共重合体(C)は、エンジニアリングプラスチックの流動性改質剤として好適であり、エンジニアリングプラスチックの優れた特性(耐熱性、耐衝撃性等)を損なうことなく、その溶融流動性を向上させることができる。
重合体(c−1)は、Tgが25℃以下のポリアルキルアクリレートを主成分とするものであり、例えば、ポリエチルアクリレート、ポリn−ブチルアクリレート、ポリ2−エチルヘキシルアクリレート、ポリラウリルアクリレート、ポリステアリルアクリレート等のアルキル基の炭素数が2以上のポリアルキルアクリレートが挙げられる。
重合体(c−1)のTgは、0℃以下が好ましく、−20℃以下がより好ましい。重合体(c−1)のTgが25℃以下であれば、溶融流動性の改良効果と耐衝撃性等の機械特性のバランスを損なうことがない。
尚、重合体(c−1)は、ポリカーボネート樹脂に非相溶性な重合体である。
重合体(c−2)は、ポリオルガノシロキサンを主成分とするものであり、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリジフェニルジメチルシロキサンが挙げられる。
重合体(c−2)は、樹脂自体の溶融粘度が低く、エンジニアリングプラスチックの溶融流動性の改良効果が大きい。
尚、重合体(c−2)は、ポリカーボネート樹脂に非相溶性な重合体である。
単量体(c−3)は、(メタ)アクリレート単量体、芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体から選ばれる少なくとも1種である。
単量体(c−3)は、溶融流動性、耐衝撃性等に優れることから、芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体であることが好ましい。
(メタ)アクリレート単量体としては、例えば、メチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレートが挙げられる。
芳香族ビニル単量体としては、単量体(a−2)で例示したものを用いることができる。
シアン化ビニル単量体としては、単量体(a−2)で例示したものを用いることができる。
単量体(c−3)は、それを重合して得られる(共)重合体のTgが25℃を超えることが好ましく、50℃以上がより好ましく、70℃以上がさらに好ましい。
単量体(c−3)を重合して得られる(共)重合体のTgが25℃を超えれば、溶融流動性の改良効果と耐衝撃性等の機械特性のバランスを損なうことがない。
共重合体(C)(但し、(c−1)又は(c−2)と(c−3)の合計を100質量%とする)中の重合体(c−1)又は重合体(c−2)の含有率は、溶融流動性の改良効果と耐衝撃性等の機械特性のバランスから、1〜80質量%が好ましく、3〜70質量%がより好ましく、5〜40質量%がさらに好ましい。
共重合体(C)中の重合体(c−1)又は重合体(c−2)の含有率が1質量%以上であれば溶融流動性の向上効果が十分に発現し、80質量%以下であれば得られる成形品の表層剥離及び面衝撃強度の低下が生じない。
共重合体(C)は、全てが非架橋であることが好ましいが、優れた溶融流動性の向上効果を損なわない範囲であれば、全てが非架橋である必要はなく、クロロホルムやアセトン等の有機溶媒に不溶の架橋構造体が一部存在していても特に問題はない。
共重合体(C)(100質量%)の、アセトンに対する可溶成分の含有率は90質量%以上であり、95質量%以上が好ましい。
共重合体(C)の、アセトンに対する可溶成分の含有率が90質量%以上であれば、共重合体(C)の流動性の向上効果が十分に発現する。
共重合体(C)が含有する可溶成分のMwは、10,000〜100,000である。
共重合体(C)が含有する可溶成分のMwが10,000以上であれば、耐熱性や機械的特性が低下せず、成形時の発煙、ミスト、機械汚れ、フィッシュアイ等が生じない。
共重合体(C)が含有する可溶成分のMwが100,000以下であれば、熱可塑性樹脂組成物自体の溶融粘度が高くならず、十分な溶融流動性の向上効果が発現する。
共重合体(C)が含有する可溶成分のMwの下限は、15,000が好ましく、18,000がより好ましく、20,000がさらに好ましい。また、共重合体(C)が含有する可溶成分のMwの上限は、70,000が好ましく、50,000がより好ましく、30,000がさらに好ましい。
尚、共重合体(C)が含有する可溶成分には、重合体(c−1)又は重合体(c−2)と単量体(c−3)が重合した非架橋の重合体、重合体(c−1)又は重合体(c−2)、単量体(c−3)の単独重合体のうちの1種以上が含まれる。
共重合体(C)は、公知の重合方法によって製造することができ、重合体(c−1)又は重合体(c−2)の存在下で、単量体(c−3)を重合して得られる。
具体的には、乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合におけるリビングアニオン重合や、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(TEMPO)系、N,N−二置換又は環状のジチオカーボネートを用いた可逆的付加−開裂連鎖移動重合(RAFT)系、原子移動ラジカル重合(ATRP)系等のリビングラジカル重合により、重合体(c−1)又は重合体(c−2)と、単量体(c−3)を連続的に重合する方法が挙げられる。
重合体(c−1)又は重合体(c−2)と、単量体(c−3)を連続的に重合する方法としては、重合体(c−1)又は重合体(c−2)の側鎖又は末端に、少なくとも1つ以上の不飽和基を導入し、その存在下で単量体(c−3)を重合する方法が挙げられる。
重合体(c−1)の側鎖又は末端に、少なくとも1つ以上の不飽和基を導入する方法としては、アルキルアクリレート単量体100質量部に対して、不飽和基を2つ以上有する単量体0.5〜5質量部を配合し、これに、水、乳化剤、重合開始剤、連鎖移動剤等を混合して加熱する方法が挙げられる。
アルキルアクリレート単量体100質量部に対する、不飽和基を2つ以上有する単量体の配合量が0.5質量部以上であれば、重合体(c−1)が単量体(c−3)と十分に結合し、得られる成形品の表層剥離及び面衝撃強度の低下が生じない。
アルキルアクリレート単量体100質量部に対する、不飽和基を2つ以上有する単量体の配合量が5質量部以下であれば、可溶成分の含有率が低下せず、溶融流動性の向上効果が十分に発現する。
重合体(c−1)を形成する単量体は、炭素数が2〜20のアルキル基を有するアルキルアクリレートであることが好ましく、そのアルキル基は直鎖でも分岐鎖でもよい。
炭素数が2〜20のアルキル基を有するアルキルアクリレートとしては、例えば、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−メチルブチルアクリレート、3−メチルブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、デシルアクリレート、ラウリルアクリレート、トリデシルアクリレート、セチルアクリレート、ステアリルアクリレート、エイコシルアクリレートが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中では、溶融流動性及びコストを考慮すると、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートが好ましい。
アルキルアクリレート単量体は、必要に応じて、その他の単量体を含有してもよい。
その他の単量体として、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、o−メトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等の芳香族ビニル単量体;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン;酢酸ビニル等のビニルアルコールのエステル;ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基を含有する化合物;アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボン酸基、カルボン酸無水物、ハロゲン基、ハロゲン化カルボニル等の官能基を含有するビニル単量体;メチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
アルキルアクリレート単量体(100質量%)中の、その他の単量体の含有率は、50質量%以下が好ましい。アルキルアクリレート単量体中の、その他の単量体の含有率は、耐衝撃性のバランスを考慮すると、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。
不飽和基を2つ以上有する単量体としては、例えば、アリル(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらの中では、熱可塑性樹脂組成物の溶融流動性を考慮すると、アリル(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート(トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートは3つのアリル基を有するが、最初に反応するアリル基の反応性と、二番目、三番目に反応するアリル基の反応性とは異なる)等の反応性の異なる2種以上の不飽和基を有する単量体が好ましい。
乳化剤としては、ノニオン性乳化剤、アニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、両性イオン乳化剤が挙げられ、公知のものを用いることができる。
重合開始剤としては、例えば、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、酸化剤と還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤が挙げられる。レドックス系開始剤の具体例としては、硫酸第一鉄、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩、ロンガリット、ハイドロパーオキサイドを組み合わせたスルホキシレート系開始剤が挙げられる。
連鎖移動剤としては、例えば、n−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンが挙げられる。
重合体(c−2)の側鎖又は末端に、少なくとも1つ以上の不飽和基を導入する方法としては、環状オルガノシロキサン100質量部に対して、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、p−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン等のグラフト交叉剤0.5〜5質量部を配合し、ポリオルガノシロキサンを得る方法が挙げられる。
環状オルガノシロキサン100質量部に対する、グラフト交叉剤の配合量が0.5質量部以上であれば、重合体(c−2)が単量体(c−3)と十分に結合し、得られる成形品の表層剥離及び面衝撃強度の低下が生じない。
環状オルガノシロキサン100質量部に対する、グラフト交叉剤の配合量が5質量部以下であれば、可溶成分の含有率が低下せず、溶融流動性の向上効果が十分に発現する。
環状オルガノシロキサンとしては、3員環以上の環状オルガノシロキサンが用いられ、3〜6員環のものが好ましく用いられる。
環状オルガノシロキサンとしては、例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサンが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
グラフト交叉剤は、ポリオルガノシロキサンを重合する際には反応せず、その後の、単量体(c−3)との重合の際に反応する官能基を有するシロキサンであり、その具体例としては次式(1)〜(4)で表される化合物を示すことができる。
Figure 2009292921
なお、上記式(1)〜(4)中、R1、R3はメチル基、エチル基、プロピル基又はフェニル基を表し、R2は水素原子又はメチル基を表し、nは0、1又は2であり、pは1〜6の整数である。
これらの中では、上記式(1)で表される(メタ)アクリロイルオキシアルキルシロキサンは、単量体(c−3)との重合の際に効率よく反応するものであり、これを用いた場合、耐衝撃性がより優れたものになるので好ましい。
(メタ)アクリロイルオキシアルキルシロキサンの中では、メタクリロイルオキシアルキルシロキサンが好ましく、例えば、β−メタクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシラン、δ−メタクリロイルオキシブチルジエトキシメチルシランが挙げられる。
上記式(2)で表されるビニルシロキサンとしては、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシランが挙げられる。
上記式(3)で表されるメルカプトシロキサンとしては、γ−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルジエトキシエチルシランが挙げられる。
上記式(4)で表される化合物としては、p−ビニルフェニルメチルジメトキシシランが挙げられる。
側鎖又は末端に少なくとも1つ以上の不飽和基を導入した重合体(c−1)又は重合体(c−2)の存在下で、単量体(c−3)、重合開始剤、連鎖移動剤等を供給し、重合を行なうことにより、共重合体(C)が得られる。
重合開始剤、連鎖移動剤としては、重合体(c−1)の重合で例示したものと同じものを用いることができる。
本発明におけるエンジニアリングプラスチック(D)は、公知のエンジニアリングプラスチックであればよく、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル、シンジオタクチックポリスチレン、ポリアミド、ポリアリレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリアセタールが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中では、溶融流動性の向上効果の点から、ポリカーボネート樹脂が好ましい。
ポリカーボネート樹脂としては、4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパン(即ち、ビスフェノールA)系ポリカーボネート等の4,4’−ジオキシジアリールアルカン系ポリカーボネートが挙げられる。
エンジニアリングプラスチック(D)の分子量は、所望に応じて適宜決定すればよく、本発明において特に制限はない。ただし、エンジニアリングプラスチック(D)がポリカーボネート樹脂である場合、粘度平均分子量は10,000〜50,000が好ましく、15,000〜30,000がより好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、グラフト共重合体(A)、ビニル共重合体(B)、共重合体(C)、エンジニアリングプラスチック(D)を含有し、グラフト共重合体(A)とビニル共重合体(B)の合計を30〜60質量%、共重合体(C)を1〜15質量%(但し、(A)〜(C)の合計を45〜65質量%とする)及びエンジニアリングプラスチック(D)を35〜55質量%(但し、(A)〜(D)の合計を100質量%とする)含有する。
また、熱可塑性樹脂組成物(100質量%)中のグラフト共重合体(A)の含有率が10質量%以上であれば、成形品の耐衝撃性が低下せず、メッキ性が低下しない。
熱可塑性樹脂組成物(100質量%)中の共重合体(C)の含有率は1〜15質量%であり、3〜12質量%が好ましい。
熱可塑性樹脂組成物中の共重合体(C)の含有率が1質量%以上であれば溶融流動性の向上効果が十分に発現し、15質量%以下であれば耐衝撃性が低下しない。
熱可塑性樹脂組成物(100質量%)中のエンジニアリングプラスチック(D)の含有率は35〜55質量%であり、40〜50質量%が好ましい。
熱可塑性樹脂組成物中のエンジニアリングプラスチック(D)の含有率が35質量%以上であれば耐衝撃性が低下せず、55質量%以下であれば溶融流動性の向上効果が十分に発現し、メッキ性が低下しない。
熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて、顔料、染料、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、補強剤、充填剤等各種添加剤を、その物性を損なわない範囲において配合することができる。
熱可塑性樹脂組成物を得る方法としては、グラフト共重合体(A)、ビニル共重合体(B)、共重合体(C)、エンジニアリングプラスチック(D)を混合した後に、溶融混練することが好ましい。溶融混練は、例えば、押出機、バンバリーミキサー等を用いて実施することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、大型の自動車部品等の成形材料として、その工業的な実用価値は極めて大きく、ドアミラーやラジエーターグリル等の自動車外装用途のメッキ成形材料として極めて有用である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下の記載において、「部」及び「%」は特に断らない限り「質量部」及び「質量%」を意味する。
各実施例、比較例での諸物性の測定は次の方法による。
(1)固形分
重合後のラテックスを170℃で30分間乾燥した後、質量を測定し、固形分を求めた。
(2)アセトン可溶成分
共重合体(C)1gを、50mlのアセトンに24時間分散させ、遠心分離により不溶分を分離した後、アセトン溶液を乾燥させて可溶成分の含有率を測定した。
(3)質量平均分子量(Mw)
上記のアセトン可溶成分を、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いて、溶離液クロロホルム、ポリメチルメタクリレート換算で測定した。
(4)シャルピー衝撃強度(耐衝撃性)
ISO179に準拠して測定した。
(5)MFR(メルトフローレート)
テクノ・セブン社製L−243を用いて240℃、荷重10kgfにて測定した。
(6)メッキ性(表面外観)
実際のラジエーターグリルを想定した格子状の形状を持つ箱型大型成形品を、型締め圧が550tクラスの射出成形機を用い、市場での成形条件を参考にしてシリンダー温度280℃、射出速度50%で成形し、下記のようなメッキ処理を施し、メッキ処理表面を肉眼にて観察した。
メッキ工程:次の(1)〜(15)の手順でメッキ処理した。
(1)脱脂工程(60℃×3分)、
(2)水洗、
(3)エッチング(CrO3:400g/LとH2SO4:200cc/Lの混合液を用い、65℃、15分の条件でエッチングを行なった。)、
(4)水洗、
(5)酸処理(常温×1分)、
(6)水洗、
(7)触媒化処理(25℃×3分)、
(8)水洗、
(9)活性化処理(40℃×5分)、
(10)水洗、
(11)化学Niメッキ(40℃×5分)、
(12)水洗、
(13)電気銅メッキ(膜厚35μm、20℃×60分)、
(14)水洗、
(15)乾燥。
判定基準;
◎ :極めて良好。
○ :ほぼ良好。
× :やや不良。
××:著しく不良。
(7)密着強度
得られたメッキ皮膜と樹脂間の密着強度を、JIS H8630附属書6に従って測定した。まず、銅皮膜の形成されたABS樹脂板から10mm幅で銅皮膜が引き剥がせるように、カッターで2本の溝を形成した。次いで、引っ張り強度試験器(商品名「AGS−H500N」、島津製作所(株)製)を用いて、10mm幅の銅皮膜の引き剥がし強度を密着強度として測定した。
(製造例1) 共重合体(C−1)の製造
温度計、窒素導入管、冷却管及び攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、アニオン系乳化剤(商品名「ラテムルASK」、花王(株)製)(固形分28%)1.0部(固形分)、脱イオン水290部を投入し、窒素雰囲気下に水浴中で80℃まで加熱した。
次いで、硫酸第一鉄0.0004部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0012部、ロンガリット0.5部を脱イオン水5部に溶かして添加した後、ブチルアクリレート10部、アリルメタクリレート0.1部、n−オクチルメルカプタン0.1部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.05部の混合物を18分かけて滴下した。その後60分間攪拌し、第一段目の重合を完了した。
さらに、硫酸第一鉄0.0004部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0012部、ロンガリット0.5部を脱イオン水5部に溶かして添加した後、アクリロニトリル27部、スチレン63部、n−オクチルメルカプタン1.8部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.45部の混合物を162分かけて滴下した。その後60分間攪拌し、第二段目の重合を完了して、共重合体(C−1)のラテックスを得た。
得られた共重合体(C−1)のラテックスの固形分は24.2%であった。
共重合体(C−1)のラテックスを希硫酸水溶液中に注ぎ、生じた沈殿物を乾燥させ、共重合体(C−1)を得た。
(製造例2) 共重合体(C−2)の製造
温度計、窒素導入管、冷却管及び攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、アニオン系乳化剤(商品名「ラテムルASK」、花王(株)製)(固形分28%)1.0部(固形分)、脱イオン水290部を投入し、窒素雰囲気下に水浴中で80℃まで加熱した。
次いで、硫酸第一鉄0.0004部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0012部、ロンガリット0.5部を脱イオン水5部に溶かして添加した後、ブチルアクリレート30部、アリルメタクリレート0.3部、n−オクチルメルカプタン0.3部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.15部の混合物を54分かけて滴下した。その後60分間攪拌し、第一段目の重合を完了した。
さらに、硫酸第一鉄0.0004部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0012部、ロンガリット0.5部を脱イオン水5部に溶かして添加した後、アクリロニトリル21部、スチレン49部、n−オクチルメルカプタン1.4部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.35部の混合物を126分かけて滴下した。その後60分間攪拌し、第二段目の重合を完了して、共重合体(C−2)のラテックスを得た。
得られた共重合体(C−2)のラテックスの固形分は24.6%であった。
共重合体(C−2)のラテックスを希硫酸水溶液中に注ぎ、生じた沈殿物を乾燥させ、共重合体(C−2)を得た。
(製造例3) 共重合体(C−3)の製造
環状ジメチルシロキサンオリゴマー100部、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン2部の混合物に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1部を溶解した脱イオン水310部を添加し、ホモミキサーにて10,000rpmで2分間攪拌した後、ホモジナイザーに20MPaの圧力で2回通し、安定な予備混合オルガノシロキサンラテックスを得た。
温度計、冷却管及び攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、ドデシルベンゼンスルホン酸10部と脱イオン水90部を投入した。この水溶液を85℃に加熱した状態で、上記予備混合オルガノシロキサンラテックスを4時間かけて滴下し、滴下終了後1時間、上記温度を維持した後に冷却した。
次いで、この反応物を室温で12時間保持した後、5%水酸化ナトリウム水溶液で中和して、ポリオルガノシロキサンのラテックスを得た。得られたポリオルガノシロキサンのラテックスの固形分濃度は18.5%であり、粒子径分布は単一のピークを示し、質量平均粒子径は60nmであった。
温度計、窒素導入管、冷却管及び攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、ポリオルガノシロキサンのラテックスを30.6部(固形分)、脱イオン水295部を投入し、窒素雰囲気下に水浴中で80℃まで加熱した。
次いで、硫酸第一鉄0.0004部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0012部、ロンガリット0.5部を脱イオン水5部に溶かして添加した後、アクリロニトリル21部、スチレン49部、n−オクチルメルカプタン1.4部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.35部の混合物を126分かけて滴下した。その後60分間攪拌し、第二段目の重合を完了して、共重合体(C−3)のラテックスを得た。
得られた共重合体(C−3)のラテックスの固形分は24.5%であった。
共重合体(C−3)のラテックスを酢酸カルシウム水溶液中に注ぎ、生じた沈殿物を乾燥させ、共重合体(C−3)を得た。
(製造例4) 共重合体(C’−4)の製造
温度計、窒素導入管、冷却管及び攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、アニオン系乳化剤(商品名「ラテムルASK」、花王(株)製)(固形分28%)1.0部(固形分)、脱イオン水290部を投入し、窒素雰囲気下に水浴中で80℃まで加熱した。
次いで、硫酸第一鉄0.0004部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0012部、ロンガリット0.5部を脱イオン水5部に溶かして添加した後、ブチルアクリレート30部、アリルメタクリレート0.3部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.15部の混合物を54分かけて滴下した。その後60分間攪拌し、第一段目の重合を完了した。
さらに、硫酸第一鉄0.0004部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0012部、ロンガリット0.5部を脱イオン水5部に溶かして添加した後、アクリロニトリル21部、スチレン49部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.35部、n−オクチルメルカプタン0.35部の混合物を126分かけて滴下した。その後60分間攪拌し、第二段目の重合を完了して、共重合体(C’−4)のラテックスを得た。
得られた共重合体(C’−4)のラテックスの固形分は24.6%であった。
共重合体(C’−4)のラテックスを希硫酸水溶液中に注ぎ、生じた沈殿物を乾燥させ、共重合体(C’−4)を得た。
製造例1〜4で用いた単量体の組成(部)、共重合体(C)のアセトン可溶成分、Mw、セグメント(X)(重合体(c−1)又は重合体(c−2))、及び、セグメント(Y)(単量体(c−3)の重合体)のTg(℃)を表1に示す。
Figure 2009292921
表中、BAはブチルアクリレート、AMAはアリルメタクリレート、ANはアクリロニトリル、Stはスチレンを示す。
(実施例1〜8、比較例1〜8)
製造例1〜4で得られた共重合体(C)及び各成分を、表2に示す割合(質量比)で混合し、二軸押出機(機種名「TEM−35」、東芝機械(株)製)に供給し、280℃で溶融混練し、熱可塑性樹脂組成物を得た。
Figure 2009292921
以下、表中の略号及び使用した材料について記す。
ABS樹脂:ABS樹脂(商品名「RV」、UMG−ABS(株)製)
AS樹脂1:SAN樹脂(商品名「AP−H」、UMG−ABS(株)製)
AS樹脂2:SAN樹脂(商品名「SR05B」、UMG−ABS(株)製)
PC :ポリカーボネート樹脂(商品名「ユーピロンS−2000F」、三菱エンジニアリングプラスチック(株)製)
表2で明らかなように、実施例1〜8で得られた熱可塑性樹脂組成物は、重合体を添加していない比較例3、7で得られた熱可塑性樹脂組成物に対し、耐衝撃性、溶融流動性、メッキ性のバランスが非常に優れていた。
一方、比較例1、5で得られた熱可塑性樹脂組成物は、実施例に比較して十分な溶融流動性が得られなかった。また、比較例2、6で得られた熱可塑性樹脂組成物は、実施例に比較して十分な耐衝撃性が得られなかった。
重合体を20質量部添加した比較例4、8は、実施例に比較して溶融流動性は優れるものの、耐衝撃性、メッキ性に劣る結果となった。
本発明の熱可塑性樹脂組成物によれば、耐衝撃性、メッキ性に優れるとともに、溶融流動性(成形加工性)に優れるものである。また、本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いることにより、各種物性に優れると共に、複雑な形状や薄型の成形品を含む任意の形状の成形品を容易、かつ安定に成形することが可能となり、工業的に非常に有益である。
本発明の樹脂組成物を成形して得られる成形品は、溶融流動性を従来の樹脂組成物に対して飛躍的に向上させると共に、耐衝撃性が高く、メッキ性に優れるため、ドアミラーやラジエーターグリル等の自動車外装用途等に使用することができる。

Claims (5)

  1. ゴム質重合体(a−1)の存在下で、芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体である単量体(a−2)を重合して得られるグラフト共重合体(A)、
    芳香族ビニル単量体単位及びシアン化ビニル単量体単位を含有するビニル共重合体(B)、
    ガラス転移温度が25℃以下のポリアルキルアクリレートを主成分とする重合体(c−1)又はポリオルガノシロキサンを主成分とする重合体(c−2)の存在下で、
    (メタ)アクリレート単量体、芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体から選ばれる少なくとも1種の単量体(c−3)を重合して得られ、アセトンに対する可溶成分の含有率が90質量%以上であり、可溶成分の質量平均分子量が10,000〜100,000である共重合体(C)、及び、
    エンジニアリングプラスチック(D)とからなる熱可塑性樹脂組成物であって、
    グラフト共重合体(A)とビニル共重合体(B)の合計を30〜60質量%、共重合体(C)を1〜15質量%(但し、(A)〜(C)の合計を45〜65質量%とする)及びエンジニアリングプラスチック(D)を35〜55質量%(但し、(A)〜(D)の合計を100質量%とする)含有する熱可塑性樹脂組成物。
  2. 単量体(c−3)が、芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. エンジニアリングプラスチック(D)が、ポリカーボネート樹脂である、請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる成形品。
  5. 請求項4に記載の成形品をメッキ処理して得られるメッキ成形品。
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