JP4536494B2 - 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 Download PDF

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本発明は、ポリアミド樹脂の耐薬品性を損なうことなく、得られる成形品の耐衝撃性と成形時の流動性とのバランスに優れる熱可塑性樹脂組成物、この熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品に関する。
ナイロン6、ナイロン66に代表される脂肪族ポリアミド樹脂は、優れた機械的強度、染色性、耐薬品性、耐摩耗性等の特徴を有するエンジニアリング樹脂であり、自動車、電気、電子、機械部品等の工業用品、スポーツ、レジャー用品等、多くの用途に使用されている。その反面、脂肪族ポリアミド樹脂は、耐衝撃性が劣るという欠点があり、この改良のため、過去に多くの研究がなされてきた。
耐衝撃性が改良されたポリアミド樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂とABS樹脂との混合組成物(特許文献1参照)、ポリアミド樹脂およびABS樹脂の組成物に、不飽和カルボン酸とスチレンとアクリロニトリルまたはメチルメタクリレートとを共重合してなる共重合体を相溶化剤として配合したポリアミド組成物(特許文献2参照)、相溶化剤として、不飽和カルボン酸、芳香族ビニルおよびシアン化ビニル共重合してなる、特定の還元粘度を有する共重合体を配合した熱可塑性樹脂組成物(特許文献3参照)が提案されている。
また、より高い耐衝撃性を発現させるために、ゴム成分のガラス転移温度に着目し、例えば、−120℃前後のガラス転移温度を有するポリジメチルシロキサンゴムまたはこれを含む複合ゴムに、ビニル系単量体がグラフト重合されたグラフト共重合体を用いる研究も行われている。例えば、ポリアミド樹脂に、ポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分とからなる両成分が分離できない構造の複合ゴムに、シアン化ビニル単量体および芳香族ビニル単量体がグラフト重合された複合ゴム系グラフト共重合体、シアン化ビニル単量体、芳香族ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル単量体のうちの少なくとも一種を重合して得られる共重合体および強化用充填材を配合した熱可塑性樹脂組成物(特許文献4参照)が提案されている。
これら従来の技術により、耐衝撃性についてはある程度の改善が図られている。しかし、家電製品、自動車部品等の大型化および薄肉化が一層進展する現在、成形サイクルを向上して、その生産性を高めるべく、成形品の耐衝撃性と成形時の流動性とのバランスを図るといった点では、いまだ充分とはいえない。また、ABS樹脂、グラフト共重合体等を配合した場合、ポリアミド樹脂の有する耐薬品性が低下するという問題も残されている。
特公昭38−23476号公報 特公平7−84549号公報 特開2000−17170号公報 特許第2876226号公報
よって、本発明の目的は、ポリアミド樹脂の耐薬品性を損なうことなく、得られる成形品の耐衝撃性と成形時の流動性とのバランスに優れる熱可塑性樹脂組成物、および耐薬品性および耐衝撃性に優れる成形品を提供することにある。
本発明者らは、前記課題に対して鋭意検討を重ねた結果、ポリアミド樹脂に、ポリオルガノシロキサンとアルキル(メタ)アクリレートゴムとからなる複合ゴムに特定のビニル系単量体がグラフト重合されたグラフト共重合体を配合するとともに、特定のカルボン酸基含有共重合体を配合することにより、広範囲のポリアミド樹脂の配合領域で、ポリアミド樹脂単体と同等の耐薬品性を有し、かつ得られる成形品の耐衝撃性と成形時の流動性とのバランスに優れた熱可塑性樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリアミド樹脂(A)10〜9質量部と、ポリオルガノシロキサン(b−1)とアルキル(メタ)アクリレートゴム(b−2)とからなる複合ゴム((b−1)+(b−2))に、少なくとも芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体(ただし、アミド基、酸基、エポキシ基から選ばれた官能基を含有するビニル単量体を除く)がグラフト重合されたグラフト共重合体(B).9〜80質量部と、少なくとも不飽和カルボン酸単量体、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体を共重合してなるカルボン酸基含有共重合体(C)0.1〜15質量部と、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体、必要に応じてこれらと共重合可能な、アルキル(メタ)アクリレート、マレイミド化合物から選ばれる1種以上のビニル系単量体を共重合してなる共重合体(D)1〜35質量部とを含有する[ただし、ポリアミド樹脂(A)、グラフト共重合体(B)、カルボン酸基含有共重合体(C)、および共重合体(D)の合計は100質量部である]ことを特徴とするものである。
そして、本発明の成形品は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形してなるものである。
本発明によれば、ポリアミド樹脂の耐薬品性を損なうことなく、得られる成形品の耐衝撃性と成形時の流動性とのバランスに優れる熱可塑性樹脂組成物、および耐薬品性および耐衝撃性に優れる成形品が提供される。
以下、本発明について詳細に説明する。
<ポリアミド樹脂(A)>
ポリアミド樹脂(A)としては、例えば、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン116、ナイロン4、ナイロン7、ナイロン8、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6I、ナイロン6/66、ナイロン6T/6I、ナイロン6/6T、ナイロン66/6T、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド、ポリビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド、ポリメタキシリレンアジパミド、ナイロン11T、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタルアミド、ポリアミドエラストマー等が挙げられる。ただし、Iはイソフタル酸成分、Tはテレフタル酸成分を示す。これらのポリアミド樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明においては、これらのうち、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン12、ナイロン6T/6I、ナイロン6/6T、ナイロン66/6Tが特に好ましく用いられる。
<グラフト共重合体(B)>
グラフト共重合体(B)は、ポリオルガノシロキサン(b−1)とアルキル(メタ)アクリレートゴム(b−2)とからなる複合ゴム((b−1)+(b−2))に、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体、必要に応じてこれらと共重合可能なビニル系単量体がグラフト重合されたものである。
(ポリオルガノシロキサン(b−1))
ポリオルガノシロキサン(b−1)としては、ビニル重合性官能基を含有するポリオルガノシロキサンが好ましい。該ポリオルガノシロキサンの製法としては、以下の方法が挙げられる。
ジオルガノシロキサンおよびビニル重合性官能基含有シロキサン、必要に応じてシロキサン系架橋剤を含むシロキサン混合物を、乳化剤および水によって乳化させてラテックスとする。高速回転による剪断力で微粒子化するホモミキサー、高圧発生機による噴出力で微粒子化するホモジナイザー等を使用してラテックス中のシロキサン混合物を微粒子化した後、酸触媒を用いて高温下でシロキサン混合物を重合させる。重合後、アルカリ性物質により酸触媒を中和する。酸触媒の添加方法としては、酸触媒を、シロキサン混合物、乳化剤および水とともに混合する方法、シロキサン混合物が微粒子化したラテックスを高温の酸触媒の水溶液中に一定速度で滴下する方法等が挙げられる。
ジオルガノシロキサンとしては、3員環以上のジオルガノシロキサン系環状体、低重合度の直鎖状ポリシロキサン等が挙げられ、3〜6員環のジメチルシロキサンが特に好ましい。具体的には、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
ビニル重合性官能基含有シロキサンは、ビニル重合性官能基を含有し、かつジオルガノシロキサンとシロキサン結合を介して結合しうるものである。ビニル重合性官能基含有シロキサンとしては、ジオルガノシロキサンとの反応性を考慮すると、ビニル重合性官能基を含有する各種アルコキシシラン化合物が好ましい。具体的には、β−メタクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシラン、δ−メタクリロイルオキシブチルジエトキシメチルシラン等のメタクリロイルオキシシロキサン;テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン等のビニルシロキサン;p−ビニルフェニルジメトキシメチルシラン;γ−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシロキサンが挙げられる。
これらビニル重合性官能基含有シロキサンは、単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
シロキサン系架橋剤としては、3官能性または4官能性のシラン系架橋剤、例えば、トリメトキシメチルシラン、トリエトキシフェニルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。
乳化剤としては、アニオン系乳化剤が好ましく、具体的には、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステルナトリウム等が挙げられる。アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸系乳化剤が特に好ましい。乳化剤は、シロキサン混合物100質量部に対して0.05〜5質量部程度の範囲で使用される。乳化剤が少なすぎると、シロキサン混合物の分散状態が不安定となり、微小な粒子径の乳化状態を保てなくなる。一方、乳化剤が多すぎると、乳化剤に起因する成形品の着色が甚だしくなり不都合である。
酸触媒としては、脂肪族スルホン酸、脂肪族置換ベンゼンスルホン酸、脂肪族置換ナフタレンスルホン酸等のスルホン酸類;硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸類が挙げられる。これらの酸触媒は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、ポリオルガノシロキサンラテックスの安定化作用にも優れている点で、脂肪族置換ベンゼンスルホン酸が好ましく、n−ドデシルベンゼンスルホン酸が特に好ましい。また、n−ドデシルベンゼンスルホン酸と硫酸等の鉱酸とを併用すると、ポリオルガノシロキサンラテックスの乳化剤成分に起因する成形品の着色を低減できる。
シロキサン混合物、乳化剤および水(場合によってはさらに酸触媒)を混合する方法としては、高速撹拌による方法、ホモジナイザーなどの高圧乳化装置を使用する方法等が挙げられる。これらのうち、ホモジナイザーを使用する方法は、ポリオルガノシロキサンラテックスの粒子径の分布が小さくなるので、好ましい。
シロキサン混合物の重合温度は、50℃以上が好ましく、80℃以上がさらに好ましい。また、重合時間は、酸触媒をシロキサン混合物、乳化剤および水とともに混合し、シロキサン混合物を微粒子化させて重合する場合は2時間以上が好ましく、5時間以上がさらに好ましい。酸触媒の水溶液中にシロキサン混合物が微粒子化したラテックスを滴下する場合は、ラテックスの滴下終了後1時間程度保持することが好ましい。
重合の停止は、反応液を冷却し、さらにラテックス中の酸触媒を、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ性物質で中和することによって行うことができる。
ポリオルガノシロキサン(b−1)粒子の大きさは、グラフト共重合体(B)の製造のし易さ、熱可塑性樹脂組成物の成形性を考慮すると、質量平均粒子径で0.02〜0.5μmが好ましく、0.05〜0.3μmが特に好ましい。
(アルキル(メタ)アクリレートゴム(b−2))
アルキル(メタ)アクリレートゴム(b−2)は、アルキル(メタ)アクリレートおよび多官能性アルキル(メタ)アクリレートからなるアルキル(メタ)アクリレート混合物の重合体である。本発明において、アルキル(メタ)アクリレートとは、アルキルアクリレートおよび/またはアルキルメタクリレートを意味する。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレート;ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−ラウリルメタクリレート等のアルキルメタクリレートが挙げられる。これらのうち、n−ブチルアクリレートが特に好ましい。
多官能性アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、アリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。多官能性アルキル(メタ)アクリレートの使用量は、アルキル(メタ)アクリレート混合物中、0.1〜20質量%が好ましく、0.2〜5質量%がより好ましい。
(複合ゴム((b−1)+(b−2)))
複合ゴム((b−1)+(b−2))は、ポリオルガノシロキサン(b−1)ラテックス中へ、アルキル(メタ)アクリレートおよび多官能アルキル(メタ)アクリレートからなるアルキル(メタ)アクリレート混合物を添加し、通常のラジカル重合開始剤を作用させて重合することによって製造できる。
アルキル(メタ)アクリレート混合物を添加する方法としては、ポリオルガノシロキサン(b−1)ラテックスとアルキル(メタ)アクリレート混合物と一括で混合する方法;ポリオルガノシロキサン(b−1)ラテックス中にアルキル(メタ)アクリレート混合物を一定速度で滴下する方法が挙げられる。これらのうち、得られる熱可塑性樹脂組成物の加工性および成形物の外観を考慮すると、ポリオルガノシロキサン(b−1)ラテックスとアルキル(メタ)アクリレート混合物とを一括で混合する方法が好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、過酸化物、アゾ系開始剤、酸化剤・還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤等が挙げられる。これらのうち、レドックス系開始剤が好ましく、硫酸第一鉄・エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩に、ロンガリット・ヒドロパーオキサイドを組み合わせたスルホキシレート系開始剤が特に好ましい。
また、ラジカル重合の際に、必要に応じて乳化剤を添加することができる。乳化剤としては、ノニオン系、アニオン系およびカチオン系乳化剤が挙げられる。
複合ゴム((b−1)+(b−2))中のポリオルガノシロキサン(b−1)とアルキル(メタ)アクリレートゴム(b−2)との割合は、得られる熱可塑性樹脂組成物の成形性および成形品の外観を考慮すると、好ましくは複合ゴム((b−1)+(b−2))を100質量部とした場合に、ポリオルガノシロキサン(b−1)を1〜99質量部、アルキル(メタ)アクリレートゴム(b−2)を99〜1質量部含有する範囲であり、さらに好ましくはポリオルガノシロキサン(b−1)を10〜90質量部、アルキル(メタ)アクリレートゴム(b−2)を90〜10質量部含有する範囲である。
(グラフト共重合体(B)の製造)
グラフト共重合体(B)は、上記のごとく乳化重合によって製造された複合ゴム((b−1)+(b−2))ラテックスに、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体、必要に応じてこれらと共重合可能なビニル系単量体(以下、他のビニル系単量体と記す)をグラフト重合することによって製造できる。
芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ブロムスチレン等が挙げられ、スチレン、α−メチルスチレンが特に好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリルニトリル等が挙げられ、アクリロニトリルが特に好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
他のビニル単量体としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、n−ブチルアクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド化合物が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
芳香族ビニル系単量体の割合は、全単量体(100質量%)中、80〜60質量%が好ましい。シアン化ビニル系単量体の割合は、全単量体(100質量%)中、20〜40質量%が好ましい。芳香族ビニル系単量体がこの範囲より少なく、シアン化ビニル系単量体がこの範囲よりも多いと、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性が低下するおそれがあり、逆に、芳香族ビニル系単量体がこの範囲よりも多く、シアン化ビニル系単量体がこの範囲よりも少ないと、得られる成形品の耐衝撃性が低下するおそれがある。
また、グラフト共重合体(B)中の複合ゴム((b−1)+(b−2))の割合は、得られる成形品の耐衝撃性を発現させることを考慮すると、好ましくはグラフト共重合体(B)(100質量%)中、40〜80質量%が好ましい。
グラフト共重合体(B)の製造は、公知のラジカル重合技術により一段または多段で行うことができる。
また、単量体中には、グラフト共重合体(B)の分子量、グラフト率を調製するための各種連鎖移動剤を添加することができる。
グラフト共重合体(B)は、凝固剤を溶解させた熱水中に、上記のように製造したグラフト共重合体(B)ラテックスを投入し、グラフト共重合体(B)を凝析、固化させることによって回収することができる。凝固剤としては、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸等の無機酸;塩化カルシウム、酢酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の金属塩等を用いることができる。
<カルボン酸基含有共重合体(C)>
カルボン酸基含有共重合体(C)は、不飽和カルボン酸単量体、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体、必要に応じてこれらと共重合可能なビニル系単量体を共重合してなる共重合体である。
不飽和カルボン酸単量体としては、前記グラフト共重合体(B)の製造に用いられる不飽和カルボン酸単量体として例示したアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらのうち、重合の簡便性、耐衝撃性等の効果の点で、メタクリル酸が特に好ましい。
芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体としては、前記グラフト共重合体(B)の製造に用いられるものとして例示したものが挙げられる。
これらと共重合可能な他のビニル系単量体としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が挙げられる。
不飽和カルボン酸単量体の割合は、得られる成形品の耐衝撃性と成形時の流動性とのバランスの点から、全単量体(100質量%)中、0.05〜20質量%が好ましい。不飽和カルボン酸単量体の割合が0.05質量%未満では、カルボン酸基含有共重合体(C)とポリアミド樹脂(A)との相溶性に劣るため、得られる成形品の耐衝撃性が劣り、不飽和カルボン酸単量体の割合が20質量%を超えると、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性の低下が見られる。
芳香族ビニル系単量体の割合は、全単量体(100質量%)中、90〜50質量%が好ましい。シアン化ビニル系単量体の割合は、全単量体(100質量%)中、10〜50質量%が好ましい。芳香族ビニル系単量体がこの範囲より少なく、シアン化ビニル系単量体がこの範囲よりも多いと、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性が劣るおそれがあり、逆に、芳香族ビニル系単量体がこの範囲よりも多く、シアン化ビニル系単量体がこの範囲よりも少ないと、得られる成形品の耐衝撃性が劣るおそれがある。
カルボン酸基含有共重合体(C)の製造には、塊状重合、溶液重合、塊状懸濁重合、懸濁重合、乳化重合等の通常公知の方法が用いられる。
カルボン酸基含有共重合体(C)の分子量は、得られる成形品の耐衝撃性と成形時の流動性とのバランスの点から、数平均分子量で20000〜700000が好ましく、25000〜60000が特に好ましい。カルボン酸基含有共重合体(C)の数平均分子量が低すぎると、得られる成形品の耐衝撃性が劣るおそれがあり、カルボン酸基含有共重合体(C)の数平均分子量が高すぎると、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性が劣るおそれがある。カルボン酸基含有共重合体(C)の数平均分子量は、該共重合体をテトラヒドロフランに溶解させたものについて、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)(東ソー(株)製)にて測定し、標準ポリスチレン換算法にて算出した値である。
<共重合体(D)>
共重合体(D)は、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体、必要に応じてこれらと共重合可能なビニル系単量体を共重合してなる共重合体である。共重合体(D)は、これが配合された熱可塑性樹脂組成物の流動性およびこれから得られる成形品の寸法安定性を向上させる。
芳香族ビニル系単量体としては、前記グラフト共重合体(B)の製造に用いられるものとして例示したものを用いることができる。これらのうち、スチレン、α−メチルスチレンが特に好ましい。
シアン化ビニル系単量体としては、前記グラフト共重合体(B)の製造に用いられるものとして例示したものを用いることができる。これらのうち、アクリロニトリルが特に好ましい。
これらと共重合可能なビニル系単量体としては、前記グラフト共重合体(B)の製造に用いられるものとして例示したものを用いることができる。
共重合体(D)の製造には、塊状重合、溶液重合、塊状懸濁重合、懸濁重合、乳化重合等の通常公知の方法が用いられる。
共重合体(D)の分子量は、熱可塑性樹脂組成物の流動性および成形品の耐衝撃性の点から、質量平均分子量で50,000〜300,000が好ましく、60,000〜250,000が特に好ましい。共重合体(D)の質量平均分子量が低すぎると、得られる成形品の耐衝撃性が低下するおそれがあり、共重合体(D)の質量平均分子量が高すぎると、熱可塑性樹脂組成物の流動性が低下するおそれがある。共重合体(D)の質量平均分子量は、該共重合体をテトラヒドロフランに溶解させたものについて、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)(東ソー(株)製)にて測定し、標準ポリスチレン換算法にて算出した値である。
<熱可塑性樹脂組成物>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリアミド樹脂(A)(以下、(A)成分とも記す)、グラフト共重合体(B)(以下、(B)成分とも記す)、およびカルボン酸基含有共重合体(C)(以下、(C)成分とも記す)、必要に応じて共重合体(D)(以下、(D)成分とも記す)を含有するものである。
ポリアミド樹脂(A)の配合量は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、および必要に応じて(D)成分の合計100質量部のうち、5〜99質量部であり、10〜90質量部が好ましく、19.9〜80質量部がより好ましい。ポリアミド樹脂(A)が5質量部未満では、得られる成形品の耐薬品性が劣り、ポリアミド樹脂(A)が99質量部を超えると、得られる成形品の耐衝撃性、寸法安定性が劣る。
グラフト共重合体(B)の配合量は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、および必要に応じて(D)成分の合計100質量部のうち、0.9〜80質量部であり、8.9〜80質量部が好ましく、16.9〜60質量部がより好ましい。グラフト共重合体(B)が0.9質量部未満では、得られる成形品の耐衝撃性が劣り、グラフト共重合体(B)が80質量部を超えると、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性、成形品の剛性、寸法安定性が劣る。
カルボン酸基含有共重合体(C)の配合量は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、および必要に応じて(D)成分の合計100質量部のうち、0.1〜20質量部であり、0.1〜15質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましい。カルボン酸基含有共重合体(C)が0.1質量部未満では、ポリアミド樹脂(A)とグラフト共重合体(B)との相溶性に劣るため、得られる成形品の耐衝撃性が劣り、カルボン酸基含有共重合体(C)が20質量部を超えると、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性の低下が著しい。
必要に応じて配合される共重合体(D)の配合量は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、および(D)成分の合計100質量部のうち、0〜40質量部であり、1〜35質量部が好ましく、3〜30質量部がより好ましい。共重合体(D)が40質量部を超えると、得られる成形品の耐衝撃性が劣る。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、得られる熱可塑性樹脂組成物、成形品の物性バランスの観点から、熱可塑性樹脂組成物全体に占める複合ゴム((b−1)+(b−2))の含有量は、5〜35質量%の範囲であることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリアミド樹脂(A)、グラフト共重合体(B)、カルボン酸基含有共重合体(C)および必要に応じて共重合体(D)を均一に溶融混合することによって得ることができる。その混合の順序は何ら限定されるものではない。したがって、例えば、すべての成分を一括して同時に混合してもよく、いずれかの2成分をまず予備的に混合した後、これに残余の成分を加えて混合してもよい。このような各成分の溶融混合に際しては、押出機、バンバリーミキサー、ロールミル等を用いることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて、上記成分以外に、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のオレフィンの単独重合体または共重合体;ポリスチレン、ハイインパクトスチレン等のスチレン系樹脂;ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタアクリレート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン等の他の熱可塑性樹脂;酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、染料、顔料、可塑剤、難燃剤、離型剤、ガラス繊維、カーボン繊維、金属繊維、炭素繊維、金属フレーク、タルク、マイカ、グラファイト等の種々の添加剤、補強材、充填材等を含有していてもよい。
<成形品>
本発明の成形品は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を、射出成形、シート押出、真空成形、圧空成形、異形押出成形、発泡成形、ブロー成形等により成形することにより得ることができる。
以下に、製造例、実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に何ら制限されるものではない。以下、「部」および「%」(限界歪み[%]を除く)は質量基準である。
[製造例1]
(ポリオルガノシロキサン(S−1)ラテックスの製造)
オクタメチルシクロテトラシロキサン98部およびγ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン2部を混合してシロキサン混合物100部を得た。これに、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.67部を溶解した蒸留水300部を添加し、ホモミキサーにて10000回転/分で2分間撹拌した後、ホモジナイザーに20MPaの圧力で1回通し、安定な予備混合オルガノシロキサンラテックスを得た。
これとは別に、試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機および攪拌装置を備えた反応器内に、ドデシルベンゼンスルホン酸10部および蒸留水90部を注入し、10%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液を調製した。
この水溶液を85℃に加熱した状態で、予備混合オルガノシロキサンラテックスを4時間にわたって滴下し、滴下終了後1時間85℃を維持し、冷却した。ついで、この反応物を水酸化ナトリウム水溶液でpH7.4に中和し、ポリオルガノシロキサン(S−1)ラテックスを得た。
このようにして得られたラテックスの一部を170℃で30分間乾燥して固形分を求めたところ、17.7%であった。
(グラフト共重合体(B−1)の製造)
試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機および攪拌装置を備えた反応器内に、ポリオルガノシロキサン(S−1)ラテックス45.2部、エマールNC−35(ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート;花王(株)社製)0.2部を入れ、さらに蒸留水148.5部を加え、混合した後、n−ブチルアクリレート42部、アリルメタクリレート0.3部、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート0.1部およびt−ブチルハイドロパーオキサイト0.11部からなるアルキル(メタ)アクリレート混合物を添加した。
この反応器に窒素気流を通じることによって、雰囲気の窒素置換を行い、60℃まで昇温した。内部の液温が60℃となった時点で、硫酸第一鉄0.000075部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.000225部およびロンガリット0.2部を蒸留水10部に溶解させた水溶液を添加し、アルキル(メタ)アクリレート混合物のラジカル重合を開始させた。アルキル(メタ)アクリレート混合物の重合により、液温は78℃まで上昇した。1時間この状態を維持し、アルキル(メタ)アクリレート混合物の重合を完結させ、ポリオルガノシロキサンとブチルアクリレートゴムとの複合ゴムラテックスを得た。この複合ゴムのゲル回収率は99%であった。
この複合ゴムラテックス(固形分で50部)に、ロンガリット0.25部を蒸留水10部に溶解した水溶液を添加し、ついでアクリロニトリル2.5部、スチレン7.5部およびt−ブチルハイドロパーオキサイト0.05部の混合液を、70℃にて2時間にわたって滴下し重合した。滴下終了後、温度60℃の状態を1時間保持した後、硫酸第一鉄0.001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.003部、ロンガリット0.2部およびエマールNC−35(花王(株)社製)0.2部を蒸留水10部に溶解させた水溶液を添加し、ついでアクリロニトリル10部、スチレン30部およびt−ブチルハイドロパーオキサイト0.2部の混合液を2時間にわたって滴下し重合した。滴下終了後、温度60℃の状態を0.5時間保持した後、キュメンヒドロパーオキサイト0.05部を添加し、さらに温度60℃の状態を0.5時間保持した後、冷却した。このラテックスにラテムルASK(アルケニルコハク酸ジカリウム塩;花王(株)社製)を0.5部添加し、ポリオルガノシロキサンとブチルアクリレートゴムとからなる複合ゴムに、アクリロニトリル、スチレンをグラフト重合させたグラフト共重合体(B−1)のラテックスを得た。
ついで、このラテックスに酢酸カルシウムを添加してグラフト共重合体(B−1)を凝固させ、充分水洗後、乾燥してグラフト共重合体(B−1)を得た。
[製造例2]
(グラフト共重合体(B−2)の製造)
窒素ガス雰囲気下の撹拌機付き反応器に、n−ブチルアクリレート100部、トリアリルシアヌレート0.5部、オレイン酸ナトリウム1.0部、ピロリン酸ナトリウム2.0部、過硫酸カリウム0.3部、純水200部を仕込み、撹拌しながら65℃で8時間加熱反応させて、アクリルゴムラテックスを得た。
引き続いて、上記アクリルゴムラテックス(固形分で50部)、オレイン酸ナトリウム1.0部、デキストローズ0.6部、ピロリン酸ナトリウム1.0部、硫酸第一鉄七水塩0.003部、純水160部を撹拌機付き反応器に仕込み、窒素置換した後、60℃に昇温し、反応温度を60℃に保ちながら、アクリロニトリル15部、スチレン35部、t−ドデシルメルカプタン0.6部およびクメンハイドロパーオキシド0.15部からなる単量体混合物を150分かけて滴下した。滴下終了後、クメンハイドロパーオキシド0.06部を添加し、さらに70℃で1時間保持し、重合を完結し、アクリルゴムに、アクリロニトリル、スチレンをグラフト重合させたグラフト共重合体(B−2)のラテックスを得た。
ついで、このラテックスに酸化防止剤を添加後、さらに塩化カルシウムを添加してグラフト共重合体(B−2)を凝固させ、脱水、乾燥して、グラフト共重合体(B−2)を得た。
[製造例3]
(グラフト共重合体(B−3)の製造)
窒素ガス雰囲気下の撹拌機付き反応器に、純水180部、ポリブタジエンゴムラテックス(固形分で50部)、半硬化牛脂ソーダ石鹸1.5部を添加し、60℃に昇温した。60℃を保持したまま、これにスチレン37部、アクリロニトリル13部を添加し、60分間放置した後、クメンハイドロパーオキサイド0.25部を添加し、硫酸第一鉄0.004部、ピロリン酸ナトリウム0.02部および結晶ブドウ糖0.2部を2時間かけて連続添加し、その後70℃に昇温して1時間保って反応を完結し、ポリブタジエンゴムに、アクリロニトリル、スチレンをグラフト重合させたグラフト共重合体(B−3)のラテックスを得た。
ついで、このラテックスに酸化防止剤を添加後、さらに硫酸を添加してグラフト共重合体(B−3)を凝固させ、充分水洗後、乾燥してグラフト共重合体(B−3)を得た。
[製造例4]
(カルボン酸基含有共重合体(C−1)の製造)
ステンレス容器に純水200部、過硫酸カリウム0.3部およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2部を仕込み、攪拌下に65℃に昇温した。これにスチレン71部、アクリロニトリル24部、メタクリル酸5部およびt−ドデシルメルカプタン0.4部からなる単量体混合物を5時間にわたって連続的に加えた後、反応系の温度を70℃に昇温し、この温度で1時間保持して重合を完結し、カルボン酸基含有共重合体(C−1)のラテックスを得た。
ついで、このラテックスに酢酸カルシウムを添加して、カルボン酸基含有共重合体(C−1)を凝固させ、脱水、乾燥して、カルボン酸基含有共重合体(C−1)を得た。得られたカルボン酸基含有共重合体(C−1)の数平均分子量は45000であった。
[製造例5]
(カルボン酸基含有共重合体(C−2)の製造)
製造例4において、t−ドデシルメルカプタンを0.2部に変更した以外は、製造例4と同様にして、カルボン酸基含有共重合体(C−2)を得た。得られたカルボン酸基含有共重合体(C−2)の数平均分子量は72000であった。
[製造例6]
(カルボン酸基含有共重合体(C−3)の製造)
製造例4において、t−ドデシルメルカプタンを1.5部に変更した以外は、製造例4と同様にして、カルボン酸基含有共重合体(C−3)を得た。得られたカルボン酸基含有共重合体(C−3)の数平均分子量は19000であった。
[製造例6]
(共重合体(D−1)の製造)
窒素置換した反応器に純水120部、ポリビニルアルコール0.5部、アゾビスイソブチロニトリル0.3部、t−ドデシルメルカプタン0.35部、アクリロニトリル27部とスチレン73部とからなる単量体混合物を加え、60℃で5時間加熱後、120℃に昇温し、4時間反応を行った。
この反応液を冷却後、洗浄、脱水、乾燥の工程を経て、ビーズ状の共重合体(D)を得た。得られた共重合体(D)の質量平均分子量は120000であった。
[実施例1〜9、比較例1〜5]
ポリアミド樹脂(A−1)(宇部興産(株)製、ナイロン6、商品名「1013B」)、グラフト共重合体(B−1)〜(B−3)、カルボン酸基含有共重合体(C−1)〜(C−3)および共重合体(D−1)を、表1および表2に示す配合で混合し、30mm二軸押出機(日本製鋼(株)製「TEX30α」)を用いて260℃で溶融混合し、ペレットとした後、75トン射出成形機((株)日本製鋼所製「J75EII−P」)にて成形した。これらの物性を下記方法で評価し、結果を表1に示した。
(流動性)
スパイラルフロー金型(幅15mm×厚さ2mm)に、シリンダー温度260℃、金型温度80℃、圧力7.4MPaの条件で、熱可塑性樹脂組成物を射出成形機から射出し、スパイラルフロー長[mm]を測定した。
(シャルピー衝撃強度)
ISO 179に準拠し、測定温度23℃、−30℃で測定した。
(曲げ弾性率)
ISO 178に準拠して測定した。
(耐薬品性)
射出成形にて作製した短冊状試験片(150×10×2mm)をベンディングフォーム法試験治具に沿わして固定後、試験片に薬液を塗布し、23℃の環境下で48時間放置後、クレーズおよびクラックの発生有無を確認し、試験治具の曲率から限界歪み[%]を求めた。薬液としては、可塑剤(フタル酸ジ2−エチルヘキシル(DOP))、汎用ブレーキオイル(DOT−4(本田技研工業(株)))、トイレパワーズ(エステー化学(株))を使用した。
Figure 0004536494
Figure 0004536494
表1より、実施例1〜9の熱可塑性樹脂組成物、成形品は、いずれも耐薬品性に優れ、かつ耐衝撃性と流動性とのバランスに優れている。
一方、表2より、次のことが明らかである。
比較例1〜3の熱可塑性樹脂組成物、成形品は、各成分の配合量が、本発明の範囲外であるため、比較例1については耐衝撃性が、比較例2については耐薬品性が、比較例3については耐衝撃性および耐薬品性が劣っている。
また、比較例4、5の熱可塑性樹脂組成物、成形品は、グラフト共重合体(B)としてASA樹脂、ABS樹脂を用いており、比較例4については耐衝撃性が、比較例5については、流動性および耐薬品性が、同配合の実施例1と比較して劣っている。
本発明の熱可塑性樹脂組成物および成形品は、耐薬品性に優れ、かつ耐衝撃性と流動性とのバランスに優れることから、自動車、電気、電子、機械部品等の工業用品、建材、サニタリー、家具、スポーツ、レジャー用品等多くの用途に好適に使用可能であり、その工業的な実用価値は極めて大きい。自動車分野においては、外装部品としてスポイラー、ピラー、ホイールカバー等、内装部品としてコンソールボックス、インパネ等、また、二輪用部品としてカウリング、メーター周辺部品等に特に好適である。また、建材分野においては、棚板、収納ボックス、電力メーターケース等、サニタリー分野においては浴槽、洗面用具、洗面台等に特に好適である。

Claims (2)

  1. ポリアミド樹脂(A)10〜9質量部と、
    ポリオルガノシロキサン(b−1)とアルキル(メタ)アクリレートゴム(b−2)とからなる複合ゴム((b−1)+(b−2))に、少なくとも芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体(ただし、アミド基、酸基、エポキシ基から選ばれた官能基を含有するビニル単量体を除く)がグラフト重合されたグラフト共重合体(B).9〜80質量部と、
    少なくとも不飽和カルボン酸単量体、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体を共重合してなるカルボン酸基含有共重合体(C)0.1〜15質量部と
    芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体、必要に応じてこれらと共重合可能な、アルキル(メタ)アクリレート、マレイミド化合物から選ばれる1種以上のビニル系単量体を共重合してなる共重合体(D)1〜35質量部と
    を含有する[ただし、ポリアミド樹脂(A)、グラフト共重合体(B)、カルボン酸基含有共重合体(C)、および共重合体(D)の合計は100質量部である]熱可塑性樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
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