JP5765076B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、成形材料として使用される熱可塑性樹脂組成物に関する。
自動車分野、電気・電子機器分野、プリンタ等のOA機器をはじめとする種々の分野に熱可塑性樹脂からなる成形体が広く用いられており、それらの成形体においては、高い耐衝撃性、顔料着色性、流動性などが要求される。
熱可塑性樹脂の耐衝撃性を向上させるためには、通常、耐衝撃性改質剤を添加する方法が用いられている。
例えば、ポリオルガノシロキサンとポリアルキル(メタ)アクリレートとからなる複合ゴムにビニル系単量体をグラフト重合させた複合ゴム系グラフト共重合体を耐衝撃性改質剤として用いる方法が提案されている。
特許文献1には、数平均粒子径が300〜2000nmであり、ポリオルガノシロキサン含有量が20〜70質量%、複合ゴム含有量が70〜90質量%であるシリコーン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体、および該複合ゴム系グラフト共重合体を含む熱可塑性樹脂組成物が提案されている。また、特許文献2には、ポリオルガノシロキサン含有量が65〜99質量%であるシリコーン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体、および該複合ゴム系グラフト共重合体とポリカーボネート樹脂とを含む難燃性熱可塑性樹脂組成物が提案されている。
しかしながら、複合ゴム系グラフト共重合体を用いる方法においては、低屈折率のポリオルガノシロキサンを含有するため、顔料着色性が他の耐衝撃性改良剤よりも低いことが知られている。
また、近年、自動車分野、OA機器分野で使用される成形体において薄肉化が図られており、それに伴い、熱可塑性樹脂の流動性のさらなる向上が求められている。しかし、特許文献1及び特許文献2に記載の方法では、上記要求性能を満足する熱可塑性樹脂組成物が得られていなかった。
特開2004−359889号公報 特開2000−17136号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、顔料着色性、流動性を大きく損なうことなく、高い耐衝撃性(特に低温における耐衝撃性)が得られる熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者が上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、ポリオルガノシロキサンを特定量含有するとともに、質量平均粒子径、Dw/Dn(質量平均粒子径/数平均粒子径)が特定範囲にある複合ゴム系グラフト共重合体を用いればよいことを見出し、以下の熱可塑性樹脂組成物を発明するに至った。
すなわち、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリオルガノシロキサンおよびポリアルキルアクリレートを含む複合ゴムに1種以上のビニル系単量体をグラフトして得た複合ゴム系グラフト共重合体(A)と、該複合ゴム系グラフト共重合体(A)以外の樹脂成分(B)とを含む熱可塑性樹脂組成物であって、複合ゴム系グラフト共重合体(A)の含有量が、熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して0.5〜1.5質量部であり、複合ゴム系グラフト共重合体(A)におけるポリオルガノシロキサン含有量が30〜70質量%、複合ゴム系グラフト共重合体(A)の質量平均粒子径が300〜2000nm、Dw/Dn(質量平均粒子径/数平均粒子径)が1.0〜2.0であることを特徴とする。
本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、樹脂成分(B)がポリカーボネートを含有することが好ましい。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、樹脂成分(B)がフッ素系樹脂(b2)を含有することが好ましい。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、前記樹脂成分(B)がポリカーボネート系樹脂およびフッ素系樹脂(b2)の両方を含有することが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物によれば、顔料着色性、流動性を大きく損なうことなく、高い耐衝撃性(特に低温における耐衝撃性)を得ることができる。
[複合ゴム系グラフト共重合体(A)]
本発明の熱可塑性樹脂組成物に含まれる複合ゴム系グラフト共重合体(A)は、ポリオルガノシロキサンおよびポリアルキルアクリレートゴムを含む複合ゴムに、1種以上のビニル系単量体がグラフト重合されてなるシリコーン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体である。
複合ゴム系グラフト共重合体(A)の質量平均粒子径は300〜2000nmであり且つ質量平均粒子径Dw/数平均粒子径Dnが1.0〜2.0である。ここで、質量平均粒子径およびDw/Dnは、ラテックスの状態の複合ゴム系グラフト共重合体(A)を測定試料とし、キャピラリー式粒度分布計によって測定した値である。
複合ゴム系グラフト共重合体(A)の質量平均粒子径が300nm未満であると、熱可塑性樹脂組成物から得られる成形体の耐衝撃性(特に低温耐衝撃性)が低下し、質量平均粒子径が2000nmを超えると、熱可塑性樹脂組成物から得られる成形体の顔料着色性と耐衝撃性(特に低温耐衝撃性)が低下するとともに成形体の表面外観が損なわれることがある。
Dw/Dnが2.0を超えると、顔料着色性が低くなる。なお、Dw/Dnが1.0未満であることは理論上ありえない。
また、複合ゴム系グラフト共重合体(A)の質量平均粒子径は300〜1000nmであることがより好ましい。
複合ゴム系グラフト共重合体(A)のDw/Dnは1.0〜1.5であることがより好ましい。
また、複合ゴム系グラフト共重合体(A)中のポリオルガノシロキサン含有量は30〜70質量%である。ポリオルガノシロキサン含有量が30質量%未満であると、耐衝撃性(特に低温耐衝撃性)が低下し、70質量%を超えると、顔料着色性が低下する。
複合ゴム系グラフト共重合体(A)を構成する複合ゴムは、ポリオルガノシロキサン及びポリアルキルアクリレートゴムから形成されたものである。ポリアルキルアクリレートゴムは、架橋構造を有し、ガラス転移温度(以下、「Tg」という。)が0℃以下であることが好ましい。
複合ゴムの中でも、ポリオルガノシロキサンの存在下にアルキルアクリレート成分を重合して得られる複合ゴムであることが好ましい。
本発明に用いるポリオルガノシロキサンとしては、特に限定されるものではないが、好ましくはビニル重合性官能基を含有するポリオルガノシロキサンである。
ビニル重合性官能基を有するポリオルガノシロキサンは、ジメチルシロキサン、ビニル重合性官能基を有するシロキサン、及び必要に応じてシロキサン系架橋剤を重合することにより得られる。
ポリオルガノシロキサンの製造に用いるジメチルシロキサンとしては、3員環以上のジメチルシロキサン系環状体が挙げられ、3〜7員環のものが好ましい。具体的にはヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上混合して用いられる。
粒子径分布の制御のしやすさの点からは、主成分としてオクタメチルシクロテトラシロキサンを用いることが好ましい。
また、ビニル重合性官能基含有シロキサンは、ビニル重合性官能基を含有しかつジメチルシロキサンとシロキサン結合を介して結合しうる単量体と、前記単量体とを共重合したものである。ジメチルシロキサンとの反応性を考慮すると、ビニル重合性官能基を含有する各種アルコキシシラン化合物を用いることが好ましい。具体的には、β−メタクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエトキシメチルシランおよびδ−メタクリロイルオキシブチルジエトキシメチルシラン等のメタクリロイルオキシシラン、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン等のビニルシロキサン、p−ビニルフェニルジメトキシメチルシラン等のビニルフェニルシラン、さらにγ−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシロキサンが挙げられる。
これらビニル重合性官能基含有シロキサンは単独でまたは2種以上の混合物として用いることができる。
シロキサン系架橋剤としては、3官能性または4官能性のシラン系架橋剤、例えばトリメトキシメチルシラン、トリエトキシフェニルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン等が用いられる。
上記ポリオルガノシロキサンの製法としては、特に制限はないが、ジメチルシロキサンとビニル重合性官能基含有シロキサン、またはさらに必要に応じてシロキサン系架橋剤を含むシロキサン混合物を乳化剤と水によって乳化させたエマルションを、高速回転による剪断力で微粒子化するホモミキサーや、高圧発生機による噴出力で微粒子化するホモジナイザー等を使用して微粒子化した後、酸触媒を用いて高温下で重合させ、次いでアルカリ性物質により酸を中和する方法が挙げられる。その場合、重合に用いる酸触媒の添加方法としては、シロキサン混合物、乳化剤および水とともに混合する方法と、シロキサン混合物が微粒子化したエマルションを高温の酸水溶液中に一定速度で滴下する方法等が挙げられる。ポリオルガノシロキサンの粒子径制御のしやすさを考慮すると、シロキサン混合物を含むエマルションを高温で保持し、次いで酸触媒水溶液を混合させて重合する方法が好ましい。
ポリオルガノシロキサンを製造する際に用いる乳化剤は特に制限されないが、アニオン系乳化剤及びノニオン系乳化剤が好ましい。
アニオン系乳化剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル燐酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル燐酸カルシウムが挙げられる。
ノニオン系乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテルが挙げられる。
これらの乳化剤は1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
シロキサン混合物、乳化剤、水を混合する方法は、高速攪拌による混合、ホモジナイザーなどの高圧乳化装置による混合などがあるが、ホモジナイザーを使用した方法は、ポリオルガノシロキサンラテックスの粒子径の分布が狭くなるので好ましい方法である。
ポリオルガノシロキサンの重合に用いる酸触媒としては、脂肪族スルホン酸、脂肪族置換ベンゼンスルホン酸、脂肪族置換ナフタレンスルホン酸などのスルホン酸類および硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸類などが挙げられる。これらの酸触媒は単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。また、これらの中では、硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸を使用すると、ポリオルガノシロキサンラテックスの粒子径分布を狭くすることができる点で好ましい。
ポリオルガノシロキサンを得る際の重合温度は、50℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましい。また、ポリオルガノシロキサンを得る際の重合時間は2時間以上が好ましく、5時間以上がより好ましい。
重合の停止は、反応液を冷却、さらにラテックスを水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア水溶液などのアルカリ性物質でpH6〜8に中和することによって行なうことができる。
本発明においては、複合ゴム中のポリオルガノシロキサン含有量を高くしつつ、複合ゴム系グラフト共重合体の質量平均粒子径Dwを300〜2000nm、質量平均粒子径Dw/数平均粒子径Dnを1.0〜2.0にするために、ポリオルガノシロキサンにおいては質量平均粒子径を150〜1000nmに、Dw/Dnを1.0〜1.7にすることが好ましい。
複合ゴムを構成するアルキルアクリレートとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレート;ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−ドデシルメタクリレート等のアルキル基の炭素数が6以上のアルキルメタクリレートが挙げられる。熱可塑性樹脂組成物から得られる成形体の耐衝撃性及び光沢が向上することから、アルキルアクリレートの中でも、n−ブチルアクリレートが好ましい。
これらのアルキルアクリレートは1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
ポリアルキルアクリレート成分に架橋構造を導入するためには、アクリル系架橋剤を添加して重合させることが好ましい。重合したアクリル系架橋剤は、グラフト共重合体(A)の製造の際にビニル単量体がグラフト結合するためのグラフト交叉点としても機能する。
アクリル系架橋剤としては、例えば、アリルメタクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
アクリル系架橋剤の含有量には特に制限はないが、ポリアルキルアクリレート成分100質量%中の0.1〜5.0質量%であることが好ましい。
複合ゴムを製造する方法としては、例えば、ポリオルガノシロキサンのラテックスにアルキルアクリレート成分を添加し、公知のラジカル重合開始剤を使用して重合して、複合ゴムのラテックスを得る方法が挙げられる。
ポリオルガノシロキサンのラテックスにアルキルアクリレート成分を添加する方法としては、例えば、ポリオルガノシロキサンのラテックスにアルキルアクリレート成分を一括で添加する方法、ポリオルガノシロキサンのラテックスにアルキルアクリレート成分を一定速度で滴下する方法が挙げられる。
複合ゴムのラテックスを製造する際には、ラテックスを安定化させ、複合ゴムの平均粒子径を制御するために、乳化剤を添加することができる。
複合ゴムのラテックスを製造する際に用いる乳化剤としては、前述のポリオルガノシロキサンのラテックスを製造する際に用いる乳化剤と同様のものが挙げられ、アニオン系乳化剤及びノニオン系乳化剤が好ましい。
アルキルアクリレート成分の重合に用いる重合開始剤としては、例えば、過酸化物、アゾ系開始剤又は酸化剤・還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤が挙げられる。これらの中では、レドックス系開始剤、特に硫酸第一鉄・エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩・還元剤・過酸化物を組み合わせたものを用いることが好ましい。
過酸化物としては、例えば、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
還元剤としては、例えば、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、L−アスコルビン酸、フルクトース、デキストロース、ソルボース、イノシトールが挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
上記のような複合ゴムの存在下に、1種以上のビニル系単量体からなるグラフト単量体成分をラジカル重合することによって、ラテックス状の複合ゴム系グラフト共重合体(A)を得ることができる。
記ビニル系単量体としては、特に限定はないが、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族アルケニル化合物;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のメタクリル酸エステル;メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物が挙げられる。これらビニル系単量体は1種を単独または2種以上併用することができる。
また、グラフト重合において用いるビニル系単量体中には、グラフトポリマーの分子量やグラフト化率を調整するための各種連鎖移動剤やグラフト交叉剤を添加することができる。
複合ゴムへのグラフト単量体成分のグラフト重合方法としては、複合ゴムのラテックスにグラフト単量体成分を添加し、1段又は多段で重合する方法が挙げられる。
多段で重合する場合には、複合ゴムのラテックスの存在下で、グラフト単量体成分を分割添加又は連続添加して重合することが好ましい。このような重合方法により良好な重合安定性が得られ、且つ所望の粒子径及び粒子径分布を有するラテックスを安定に得ることができる。
グラフト単量体成分の重合に用いる重合開始剤としては、前述のアルキルアクリレートゴムの重合に用いる重合開始剤と同様のものが挙げられる。
グラフト単量体成分を重合する際には、ラテックスを安定化させ、グラフト共重合体の平均粒子径を制御するために、乳化剤を添加することができる。
グラフト単量体成分を重合する際に用いる乳化剤としては、前述のポリオルガノシロキサンのラテックスを製造する際に用いる乳化剤と同様のものが挙げられ、アニオン系乳化剤及びノニオン系乳化剤が好ましい。
グラフト単量体成分を重合する際の乳化剤の使用量としては、グラフト共重合体100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、0.2〜5質量部がより好ましい。
上記のようにして得た複合ゴム系グラフト共重合体ラテックスから複合ゴム系グラフト共重合体(A)を粉体として回収する。
ラテックスからの粉体回収の方法は、噴霧乾燥法、凝固法のいずれかの方法を用いることができる。
噴霧乾燥法は、重合体のラテックスを乾燥機中に微小液滴状に噴霧し、これに乾燥用加熱ガスを当てて乾燥する方法である。
微小液滴を発生する方法としては、例えば、回転円盤型式、圧力ノズル式、二流体ノズル式、加圧二流体ノズル式が挙げられる。
乾燥機の容量は、実験室で使用するような小規模な容量から、工業的に使用するような大規模な容量のいずれであってもよい。
乾燥用加熱ガスの温度は200℃以下が好ましく、120〜180℃がより好ましい。
噴霧乾燥する重合体のラテックスは、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。更には、噴霧乾燥時のブロッキング、嵩比重等の粉末特性を向上させるために、重合体のラテックスに、シリカ等の任意成分を添加して噴霧乾燥することもできる。
凝固法は、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、硫酸アルミニウム等を溶解した熱水中に重合体のラテックスを投入し、塩析、固化することによりグラフト共重合体を分離し、次いで分離した湿潤状の重合体を脱水等によって回収し、さらに、圧搾脱水機や熱風乾燥機を用いて乾燥させる方法である。
ラテックスから重合体を凝析する際に用いる凝固剤としては、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硝酸ナトリウム、酢酸カルシウムなどの無機塩や、硫酸等の酸などが挙げられる。これらの凝固剤は1種を単独で用いても2種類以上を併用してもよいが、併用する場合は水に不溶性の塩を形成しない組み合わせを選択することが必要である。例えば、酢酸カルシウムと、硫酸やその塩(ナトリウム塩等)、炭酸塩(ナトリウム塩)とを併用すると、水に不溶性のカルシウム塩を形成するので好ましくない。
上記の凝固剤は、通常、水溶液として用いられる。凝固剤水溶液の濃度は、安定して重合体を凝固、回収できる点で、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上であることがより好ましい。また、凝固剤水溶液の濃度は、回収した重合体に残存する凝固剤の量を少なくでき、着色性などの成形体の性能を低下させにくくなることから、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。
ラテックスを凝固剤水溶液に接触させる方法としては特に限定されないが、通常、凝固剤水溶液を攪拌しながら、その中にラテックスを連続的に添加して一定時間保持する方法、凝固剤水溶液とラテックスとを一定の比率で攪拌機付きの容器に連続的に注入しながら接触させ、凝析された重合体と水とを含む混合物を容器から連続的に抜き出す方法等が挙げられる。
凝固剤水溶液の量は特に限定されないが、ラテックス100質量部に対して10質量部以上であることが好ましく、500質量部以下であることが好ましい。
ラテックスを凝固剤水溶液に接触させるときの温度は特に限定されないが、30℃以上であることが好ましく、また、100℃以下であることが好ましい。接触時間は特に限定されない。
凝固した重合体は1〜100質量倍程度の水で洗浄し、ろ別した湿潤状態の重合体を流動乾燥機や圧搾脱水機等を用いて乾燥させる。乾燥温度、乾燥時間は得られる重合体によって適宜決めればよい。
[樹脂成分(B)]
本発明で使用される樹脂成分(B)は、上記複合ゴム系グラフト共重合体(A)以外の樹脂であり、具体的には、後述するフッ素系樹脂(b2)以外の樹脂である熱可塑性樹脂(b1)およびフッ素系樹脂(b2)が挙げられる。
熱可塑性樹脂(b1)の具体例としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のオレフィン系樹脂;ポリスチレン(PS)、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、(メタ)アクリレート・スチレン共重合体(MS)、スチレン・アクリロニトリル共重合体(SAN)、スチレン・無水マレイン酸共重合体(SMA)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、アクリル酸エステル・スチレン・アクリロニトリル共重合体(ASA)、アクリロニトリル・エチレン・プロピレンゴム・スチレン共重合体(AES)等のスチレン(St)系樹脂;ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル(Ac)系樹脂;ポリカーボネート(PC)樹脂;ポリアミド(PA)樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のPEs樹脂;(変性)ポリフェニレンエーテル((m−)PPE)樹脂、ポリオキシメチレン(POM)樹脂、ポリスルフォン(PSO)樹脂、ポリアリレート(PAr)樹脂、ポリフェニレン(PPS)樹脂等のエンジニアリングプラスチックス;熱可塑性ポリウレタン(PU)樹脂;PC/ABS等のPC樹脂とSt系樹脂とのアロイ、PVC/ABS等のPVC系樹脂とSt系樹脂とのアロイ、PA/ABS等のPA樹脂とSt系樹脂とのアロイ、PA樹脂とTPEとのアロイ、PA/PP等のPA樹脂とポリオレフィン系樹脂とのアロイ、PC/PBT等のPC樹脂とPEs樹脂とのアロイ、ポリオレフィン系樹脂/TPE、PP/PE等のオレフィン系樹脂同士のアロイ、PPE/HIPS、PPE/PBT、PPE/PA等のPPE系樹脂同士のアロイ、PVC/PMMA等のPVC系樹脂とAc系樹脂とのアロイ等のポリマーアロイ;硬質塩化ビニル樹脂、半硬質塩化ビニル樹脂、軟質塩化ビニル樹脂等のPVC系樹脂が挙げられる。
これらの中でも、St系樹脂、PC樹脂、PA樹脂、PET樹脂、PBT樹脂、(m−)PPE樹脂、POM樹脂、PU樹脂、PC/ABS等のPC樹脂とSt系樹脂とのアロイ、PA/ABS等のPA樹脂とSt系樹脂とのアロイ、PA樹脂とTPEとのアロイ、PA/PP等のPA樹脂とポリオレフィン系樹脂とのアロイ、PC/PBT等のPC樹脂とPEs樹脂とのアロイ、PPE/PBT、PPE/PA等のPPE系樹脂同士のアロイ等が好ましい。
さらには、樹脂成分(B)がPC樹脂を含むと、本発明の効果をとりわけ発揮するため、より好ましい。
フッ素系樹脂(b2)はフィブリル形成能を有しており、樹脂組成物中に容易に分散し、樹脂同士を結合してフィブリルを形成することができる。フィブリルを形成すると、難燃性が向上する。そのため、難燃性を向上させるためには、樹脂成分(B)がフッ素系樹脂(b2)を含有することが好ましい。
また、フッ素系樹脂(b2)は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及び有機重合体で変性されたPTFE(以下、「変性PTFE」と略す。)から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。これらの中でも、熱可塑性樹脂組成物を溶融成形して得られる成形体の外観が良好となる点で変性PTFEがより好ましい。
変性PTFEとしては、樹脂組成物中での分散性の観点で、熱可塑性樹脂(b1)との親和性が高いものが好ましく、PTFEと有機系重合体の混合物がさらに好ましい。
変性PTFEを得るための有機系重合体用単量体としては、例えば、スチレン等の芳香族ビニル単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート;アクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
有機系重合体用単量体としては、熱可塑性樹脂(b1)との親和性の点で、芳香族ビニル単量体、(メタ)アクリレート及びシアン化ビニル系単量体から選ばれる1種以上の単量体が好ましく、少なくとも(メタ)アクリレートを含む単量体がより好ましい。
PTFEの具体例としては、三井・デュポンフロロケミカル(株)製のテフロン(登録商標)30J(商品名)が挙げられる。変性PTFEの具体例としては、三菱レイヨン(株)製メタブレンA−3800(商品名)が挙げられる。
フッ素系樹脂(b2)の配合量は、特に制限はないが、複合ゴム系グラフト共重合体(A)と熱可塑性樹脂(b1)との合計100質量部に対して0.01〜5質量部が好ましく、0.05〜2質量部がさらに好ましい。フッ素系樹脂(b2)の配合量が前記下限値以上であれば、難燃性がより向上し、前記上限値以下であれば、フッ素系樹脂(b2)を容易に分散させることができる。
[熱可塑性樹脂組成物]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上述した複合ゴム系グラフト共重合体(A)と、樹脂成分(B)を含有するものである。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、複合ゴム系グラフト共重合体(A)の含有量は、熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して0.5〜3.0質量部であり、0.5〜1.5質量部であることが好ましい。複合ゴム系グラフト共重合体(A)の含有量が0.5質量部未満では、耐衝撃性向上効果が十分に発揮されず、3.0質量部を超えると、顔料着色性および流動性が低下するおそれがある。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本来の目的を損なわない範囲で、添加剤を適宜配合してもよい。
添加剤としては、顔料や染料、ガラス繊維、金属繊維、金属フレーク、炭素繊維などの補強剤や充填剤、2,6−ジ−ブチル−4−メチルフェノール、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)などのフェノール系酸化防止剤;トリス(ミックスド、モノおよびジニルフェニル)ホスファイト、ジフェニル・イソデシルホスファイトなどのホスファイト系酸化防止剤;ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネートジアステリアルチオジプロピオネートなどの硫黄系酸化防止剤;2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;ビス(2,2,6,6)−テトラメチル−4−ピペリジニル)などの光安定剤;ヒドロキシルアルキルアミン、スルホン酸塩などの帯電防止剤;エチレンビスステアリルアミド、金属石鹸などの滑剤;およびテトラブロムフェノールA、デカブロモフェノールオキサイド、TBAエポキシオリゴマー、TBAポリカーボネートオリゴマー、三酸化アンチモン、TPP、リン酸エステルなどの難燃剤などが挙げられる。
上記熱可塑性樹脂組成物を調製する方法としては、例えば、ヘンシェルミキサー、タンブラー等で複合ゴム系グラフト共重合体(A)と樹脂成分(B)とを混合した後に押出機、ニーダー、ミキサー等で溶融混合する方法、予め溶融させた樹脂成分(B)に複合ゴム系グラフト共重合体(A)を混合する方法が挙げられる。
上記熱可塑性樹脂組成物は、成形されて成形品として利用される。
熱可塑性樹脂組成物の成形方法としては、射出成形法、押出成形法、プレス成形法、真空成形法、ブロー成形法などが挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に含まれる複合ゴム系グラフト共重合体(A)は耐衝撃性(特に低温耐衝撃性)を向上させる効果が大きいため、複合ゴム系グラフト共重合体(A)の配合を多くしなくてもよい。そのため、顔料着色性および流動性を大きく損なうことがない。
以下、実施例により、本発明を更に具体的に説明する。尚、以下において、「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
なお、以下の例においては、固形分濃度、質量平均粒子径、Dw/Dn、シャルピー衝撃強度、MFR、顔料着色性、難燃性を測定もしくは評価した。
(1)ラテックスの固形分濃度
ラテックスを180℃の熱風乾燥機で30分間乾燥し、下記式により固形分濃度を算出した。
固形分濃度[%]=[(180℃で30分間乾燥した後の残渣の質量)/(乾燥前のラテックスの質量)]×100
(2)質量平均粒子径、Dw/Dn
ラテックスを脱イオン水で濃度約3%に希釈したものを試料として、米国MATEC社製CHDF2000型粒度分布計を用いて質量平均粒子径及びDw/Dnを測定した。
測定はMATEC社が推奨する下記の標準条件で行なった。
カートリッジ:粒子分離用キャピラリー式カートリッジ(商品名;C−202)
キャリア液 :専用キャリア液(商品名;2XGR500)
キャリア液の液性:ほぼ中性
キャリア液の流速:1.4ml/分
キャリア液の圧力:約4,000psi(2,600kPa)
測定温度 :35℃
試料使用量:0.1ml
また、標準粒子径物質としては、米国DUKE社製の粒子径既知の単分散ポリスチレンで、40〜800nmの粒子径の範囲で合計12点の粒子径のものを用いた。
(3)シャルピー衝撃強度
熱可塑性樹脂組成物の試験片を用い、JIS K7111に従ってシャルピー衝撃強度を23℃および−30℃で測定した。
(4)MFR
熱可塑性樹脂組成物のペレットを80℃にて12時間予備乾燥した後、測定温度300℃にて、予熱5分及び荷重1.20kgfの条件で、メルトインデクサー(テクノ・セブン(株)製、L−243−1531型)を用いて、JIS K 7210に準じて測定した。
(5)顔料着色性
厚さ2mmの熱可塑性樹脂組成物の試験片を用い、JIS Z 8729(L 表色系による物体色の表示方法)に従ってLを測定した。測定には日本電色工業(株)製分光式色差計SE−2000を用いた。Lが低い程、顔料着色性に優れる。
(6)難燃性
UL−94に準じて1/16インチの燃焼棒の難燃性を測定した。
5本の試験片の総燃焼時間が50秒未満のものでドリップ綿着火のないものを「V−0」、総燃焼時間が250秒以下でドリップ綿着火のないものを「V−1」、総燃焼時間が250秒以下でドリップ綿着火のあるものを「V−2」、総燃焼時間が250秒を超えるものを「Fail」と評価した。
[製造例1]ポリオルガノシロキサンラテックス(S−1)の製造
テトラエトキシシラン(TEOS)2部、γ−メタクリロイロキシプロピルジメトキシメチルシラン(DSMA)0.5部及びオクタメチルシクロテトラシロキサン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、製品名:TSF−404)97.5部を混合して、シロキサン系混合物100部を得た。これにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(DBSNa)1.0部を溶解した蒸留水150部を添加し、ホモミキサーにより10000rpmで5分間攪拌した後、ホモジナイザーに20MPaの圧力で2回通し、安定な予備混合オルガノシロキサンエマルションを得た。
冷却コンデンサーを備えたセパラブルフラスコに、上記エマルションを入れ、硫酸0.20部と蒸留水49.8部との混合物を3分間にわたり投入して反応させた。これにより得られた反応水溶液を80℃に加熱した状態で、7時間温度を維持し、冷却した。次いでこの反応物を室温で6時間保持した後、10%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH7.0に中和して、ポリオルガノシロキサンラテックス(S−1)を得た。
このポリオルガノシロキサンラテックス(S−1)の固形分濃度は29.4%、質量平均粒子径は354nm、Dw/Dnは1.12であった。
[製造例2]ポリオルガノシロキサンラテックス(S−2)の製造
TEOS2部、DSMA0.5部及び環状オルガノシロキサン混合物(信越化学工業(株)製、製品名:DMC、以下DMCと略す。)97.5部を混合してオルガノシロキサン混合物100部を得た。これにDBSNa0.68部を溶解した蒸留水300部を添加し、ホモミキサーにより10,000rpmで2分間攪拌した後、ホモジナイザーに20MPaの圧力で2回通し、安定な予備混合エマルションを得た。
一方、冷却コンデンサーを備えたセパラブルフラスコにドデシルベンゼンスルホン酸(DBSH)10部とイオン交換水90部とを注入して、DBSH水溶液を調製した。
このDBSH水溶液を90℃に加熱した状態で、上記予備混合エマルションを4時間かけて滴下して反応させて、滴下終了後2時間その温度を維持し、冷却した。次いで、得られた反応物を室温で12時間保持した後、10%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH7.0に中和して、ポリオルガノシロキサンのラテックス(S−2)を得た。
このポリオルガノシロキサンラテックス(S−2)の固形分濃度は18.5%、質量平均粒子径は80nm、Dw/Dnは1.11であった。
[製造例3]ポリオルガノシロキサンラテックス(S−3)の製造
TEOS2.0部、DSMA0.5部及びDMC97.5部を混合してシロキサン混合物100部を得た。これに、脱イオン水150部にDBSNa0.67部、DBSH0.68部を溶解した溶液を添加し、ホモミキサーにより10,000rpmで5分間攪拌した。次いで、ホモジナイザーに20MPaの圧力で2回通し、安定な予備混合オルガノシロキサンエマルションを得た。
冷却コンデンサーを備えたセパラブルフラスコに、上記エマルションを入れ、80℃に加熱した状態で8時間温度を維持、冷却した。次いで、10%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH7.0に中和し、ポリオルガノシロキサン(S−3)のラテックスを得た。
このポリオルガノシロキサンラテックス(S−3)の固形分濃度は33.3%、質量平均粒子径は254nm、Dw/Dnは2.54であった。
[製造例4]複合ゴム系グラフト共重合体(A−1)の製造
冷却管、窒素導入管、温度計及び攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、製造例1で得たポリオルガノシロキサンラテックス(S−1)183.7部(ポリオルガノシロキサンとして54部)を投入した。
更に、脱イオン水50部を添加し混合した後、ブチルアクリレート(n−BA)36.0部、アリルメタクリレート(AMA)0.6部、クメンハイドロパーオキサイド(CHP)0.15部の混合物を添加した。
セパラブルフラスコに窒素気流を通じることによって、フラスコ内の窒素置換を行ない、60℃まで昇温した。
内温を60℃とし、硫酸第一鉄(Fe)0.001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩(EDTA)0.003部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(SFS)0.3部、脱イオン水2.5部からなる水溶液を添加し、その後、内温70℃で1時間保持し、複合ゴムのラテックスを得た。
上記複合ゴムのラテックスに、メチルメタクリレート(MMA)9.5部、メチルアクリレート(MA)0.5部、t−ブチルハイドロパーオキサイド(t−BH)0.03部の混合物を内温70℃で60分間滴下して重合した。
滴下終了後、内温70℃で60分間保持した後に冷却し、複合ゴム系グラフト共重合体(A−1)ラテックスを得た。得られた複合ゴム系グラフト共重合体ラテックス(A−1)の質量平均粒子径、Dw/Dnの測定結果を表1に示す。
次いで、塩化カルシウムを7.5%の割合で溶解した水溶液500部を60℃に加熱し、攪拌した。これにより得た塩化カルシウム水溶液の中に、複合ゴム系グラフト共重合体(A−1)のラテックス340部を徐々に滴下し凝固した。得られた凝固物を分離し、水洗し、乾燥して、複合ゴム系グラフト共重合体(A−1)を得た。
[製造例5〜7]複合ゴム系グラフト共重合体(A−2〜A−4)の製造
表1に示す組成に変更したこと以外は製造例4と同様に重合して、複合ゴム系グラフト共重合体(A−2〜A−4)を得た。また、得られた複合ゴム系グラフト共重合体(A−2〜A−4)の質量平均粒子径、Dw/Dnの測定を行った。測定結果を表1に示す。
Figure 0005765076
参考例1]
製造例4で得られた複合ゴム系グラフト共重合体(A−1)3.0部、PC樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、ユーピロンS−2000F)97部、BASFジャパン(株)製イルガノックス245(表中では、「Irg245」と表記する。)0.3部、(株)ADEKA製PEP−36(表中では、「PEP36」と表記する。)0.3部、三菱レイヨン(株)製メタブレンA−3800 1.0部、三菱化学社製カーボンブラック#960(表中では、「CB#960」と表記する。)0.4部をハンドブレンドした後、30mmφ二軸押出機(L/D=30)を用いてシリンダー温度280℃及びスクリュー回転数200rpmで溶融混合して熱可塑性樹脂組成物を得た。次いで、この熱可塑性樹脂組成物をペレタイザーによってペレット化した。
得られたペレットを80℃で12時間乾燥した後、100t射出成形機(住友重機械工業(株)製、商品名;SE−100DU)に供給し、シリンダー温度280℃及び金型温度80℃で射出成形を行ない、各種評価用の試験片を得た。
熱可塑性樹脂組成物のペレット及び試験片を用いて、シャルピー衝撃強度、MFR、L、難燃性を評価した。評価結果を表2に示す。
[実施例2、比較例1〜4]
複合ゴム系グラフト共重合体の種類、及び添加量を表2に示す配合にしたこと以外は参考例1と同様にして、熱可塑性樹脂組成物のペレットおよび試験片を得た。熱可塑性樹脂組成物のペレット及び試験片を用いて、シャルピー衝撃強度、MFR、L、難燃性を評価した。評価結果を表2に示す。
Figure 0005765076
参考例1から明らかなように、本発明で特定した複合ゴム系グラフト共重合体を用いた熱可塑性樹脂組成物は、−30℃におけるシャルピー衝撃強度が高く、低温時の耐衝撃性に優れていた。また、顔料着色性を示すL値が10以下であり、顔料着色性にも優れており、流動性および難燃性を有していた。
実施例2の熱可塑性樹脂組成物は、複合ゴム系グラフト共重合体の添加量を参考例1よりも少量としたものである。実施例2の熱可塑性樹脂組成物は、複合ゴム系グラフト共重合体を減らしても、−30℃におけるシャルピー衝撃強度が高く、低温時の耐衝撃性に優れていた。さらに、複合ゴム系グラフト共重合体の添加量が低いため、L値が小さく、顔料着色性に優れており、また難燃性も優れていた。
一方、比較例1の熱可塑性樹脂組成物は、用いた複合ゴム系グラフト共重合体中のポリオルガノシロキサン含有量が少ないため、−30℃におけるシャルピー衝撃強度、難燃性が低かった。
比較例2の熱可塑性樹脂組成物は、用いた複合ゴム系グラフト共重合体の質量平均粒子径が小さいため、−30℃におけるシャルピー衝撃強度が低かった。
比較例3の熱可塑性樹脂組成物は、用いた複合ゴム系グラフト共重合体のDw/Dnが2.0を超えていたため、Lが大きく、顔料着色性が低かった。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃性(特に低温耐衝撃性)、顔料着色性、流動性のバランスが優れるため、建材、自動車、玩具、文房具等の雑貨、さらにはOA機器、家電機器をはじめとする種々の分野に広く有用である。

Claims (4)

  1. ポリオルガノシロキサンおよびポリアルキルアクリレートを含む複合ゴムに1種以上のビニル系単量体をグラフトした複合ゴム系グラフト共重合体(A)と、該複合ゴム系グラフト共重合体(A)以外の樹脂成分(B)とを含む熱可塑性樹脂組成物であって、
    複合ゴム系グラフト共重合体(A)の含有量が、熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して0.5〜1.5質量部であり、
    複合ゴム系グラフト共重合体(A)におけるポリオルガノシロキサン含有量が30〜70質量%、複合ゴム系グラフト共重合体(A)の質量平均粒子径が300〜2000nm、Dw/Dn(質量平均粒子径/数平均粒子径)が1.0〜2.0である熱可塑性樹脂組成物。
  2. 前記樹脂成分(B)がポリカーボネート系樹脂を含有する、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記樹脂成分(B)がフッ素系樹脂(b2)を含有する、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 前記樹脂成分(B)がポリカーボネート系樹脂およびフッ素系樹脂(b2)の両方を含有する、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
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