JP6070974B2 - グラフト共重合体組成物、樹脂組成物及び成形体 - Google Patents
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Description
(1)ゴム(a)の重量平均粒子径が10〜150nm、Dw/Dn(重量平均粒子径/数平均粒子径)が1.0〜2.0
(2)ゴム(b)の重量平均粒子径が200〜700nm、Dw/Dnが1.0〜2.0
(3)グラフト共重合体(A)とグラフト共重合体(B)の重量分率が、グラフト共重合体組成物(C)100重量%に対して(A)50〜99重量%、(B)1〜50重量%
ビニル重合性官能基を有するシロキサンは、ポリオルガノシロキサンの側鎖又は末端にビニル重合性官能基を導入するための成分である。
シロキサン系架橋剤としては、例えば、トリメトキシメチルシラン、トリエトキシフェニルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシランが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
以下に示す方法を用いて製造した場合、ポリオルガノシロキサンを含むゴム(a)の重量平均粒子径を10nm〜150nm、Dw/Dnを1.0〜2.0とすることができるため、好ましい。
次いで、水、酸触媒からなる水性媒体に、先述のシロキサンエマルションを滴下させて重合する。重合後、アルカリ性物質により中和して、ポリオルガノシロキサンのラテックスを得る。
アニオン系乳化剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル燐酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル燐酸カルシウムが挙げられる。
ノニオン系乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテルが挙げられる。
これらの乳化剤は1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
有機酸触媒としては、スルホン酸類が好ましく、脂肪族スルホン酸、脂肪族置換ベンゼンスルホン酸、脂肪族置換ナフタレンスルホン酸のうちから選ばれる少なくとも1種以上を含むことが好ましい。これらの中では、オルガノシロキサンのラテックスの安定化作用にも優れている点で、脂肪族置換ベンゼンスルホン酸が好ましい。脂肪族置換ベンゼンスルホン酸における脂肪族置換基としては、炭素数9〜20のアルキル基等が好ましい。脂肪族置換ベンゼンスルホン酸としては、n−ドデシルベンゼンスルホン酸が好ましい。
無機酸触媒としては、硫酸・塩酸・硝酸などの鉱酸類が挙げられる。これらの中では硫酸が好ましい。
これらの酸触媒は、1種を単独で又は2種以上を併用してもよい。
水性媒体のpHは、無機酸触媒と有機酸触媒の含有量により調整することができる。
乳化剤と水性媒体に含まれる有機酸触媒との総量が、シロキサン100質量部に対し3質量部以上であれば、得られるポリオルガノシロキサンラテックスの質量平均粒子径を120nm以下にすることができ、粒子径分布を狭くすることができる。また、これらの総量がオルガノシロキサン100質量部に対し20質量部以下であれば、得られるポリオルガノシロキサンラテックスの質量平均粒子径が10nm以上となり、粒子径分布を狭くすることができる。
ポリアルキルアクリレートは、架橋構造を有し、ガラス転移温度(以下、「Tg」という。)が0℃以下であることが好ましい。Tgが0℃以下であれば、低温における衝撃強度を高くすることができる。
アクリル系架橋剤としては、例えば、アリルメタクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
複合ゴムのラテックスを製造する際に用いる乳化剤としては、前述のポリオルガノシロキサンのラテックスを製造する際に用いる乳化剤と同様のものが挙げられ、アニオン系乳化剤及びノニオン系乳化剤が好ましい。
還元剤としては、例えば、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、L−アスコルビン酸、フルクトース、デキストロース、ソルボース、イノシトールが挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
ポリオルガノシロキサン及びポリアルキルアクリレートの質量比率は、複合ゴムの製造に用いるポリオルガノシロキサンと、アルキルアクリレート及びアクリル系架橋剤との質量比率から算出することができる。
ポリアルキルアクリレートを含むゴムの重量平均粒子径を10〜150nm、Dw/Dnを1.0〜2.0とするには、乳化剤量を調整すればよい。用いる乳化剤量は、ポリアルキルアクリレートを含むゴム100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましい。
ゴム(a)の重量平均粒子径が10nmより大きいと、耐衝撃強度が得られやすい傾向にあり、150nmより小さいと、顔料着色性に優れる傾向にある。また、ゴム(a)のDw/Dnが2.0より小さいと、粒度分布が狭くなり、顔料着色性に優れるため好ましい。
この際、ビニル系単量体成分の少なくとも1部は、ゴム(a)にグラフト結合してグラフト共重合体を形成していることが好ましい。
グラフト用(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
シアン化ビニル単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
多段で重合する場合は、ゴム(a)のラテックスの存在下で、ビニル系単量体を分割添加又は連続添加して重合することが好ましい。このような重合方法により良好な重合安定性が得られ、且つ所望の粒子径及び粒子径分布を有するラテックスを安定に得ることができる。
グラフト重合に用いる重合開始剤としては、前述の複合ゴムのラテックスを製造する際に用いる重合開始剤と同様のものが挙げられる。
用いる乳化剤としては、前述のポリオルガノシロキサンのラテックスを製造する際に用いる乳化剤と同様のものが挙げられ、アニオン系乳化剤及びノニオン系乳化剤が好ましい。
グラフト単量体成分を重合する際に用いる乳化剤の使用量としては、グラフト共重合体100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、0.2〜5質量部がより好ましい。
なお、ゴム(b)が複合ゴムである場合には、ポリオルガノシロキサンの粒子径を調整すればよく、ポリオルガノシロキサンの重量平均粒子径を150nm〜500nm、Dw/Dnを1.0〜2.0とすることが好ましい。
以下の2つの方法を用いて製造した場合、重量平均粒子径が150nm〜700nm、Dw/Dnが1.0〜2.0の範囲で所望の粒子径のポリオルガノシロキサンを得ることができるため、好ましい。
すなわち、ジメチルシロキサン、ビニル重合性官能基を有するシロキサン及び必要に応じてシロキサン系架橋剤を含有するシロキサン混合物に、乳化剤及び水を添加して乳化させ、シロキサンエマルションを得る。このシロキサンエマルションを、高速回転による剪断力で微粒子化するホモミキサーや高圧発生機による噴出力で微粒子化するホモジナイザー等を使用して微粒子化し、微粒子化したシロキサンエマルション得る。次いで、水、酸触媒からなる水性媒体に、先述のシロキサンエマルションを滴下させて重合する。重合後、アルカリ性物質により中和して、ポリオルガノシロキサンのラテックスを得る。
ジメチルシロキサン、ビニル重合性官能基含有シロキサン及び必要に応じてシロキサン系架橋剤を含有するシロキサン混合物に、乳化剤及び水を添加して乳化させ、シロキサンエマルションを得る。このシロキサンエマルションを、高速回転による剪断力で微粒子化するホモミキサーや高圧発生機による噴出力で微粒子化するホモジナイザー等を使用して微粒子化し、無機酸触媒を用いて重合し、次いでアルカリ性物質により酸を中和する方法である。
ゴム(b)の重量平均粒子径が200nmより大きいと、グラフト共重合体(A)と組み合わせた際に、高い耐衝撃強度が得られやすくなり、また700nmより小さいと、顔料着色性に優れるため好ましい。ゴム(b)のDw/Dnが2.0より小さいと、顔料着色性に優れるため好ましい。
微小液滴を発生する方法としては、例えば、回転円盤型式、圧力ノズル式、二流体ノズル式、加圧二流体ノズル式が挙げられる。
乾燥機の容量は、実験室で使用するような小規模な容量から、工業的に使用するような大規模な容量のいずれであってもよい。
噴霧乾燥する重合体のラテックスは、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。更には、噴霧乾燥時のブロッキング、嵩比重等の粉末特性を向上させるために、重合体のラテックスに、シリカ等の任意成分を添加して噴霧乾燥することもできる。
本発明で用いる樹脂(D)は、硬化性樹脂、熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーから選ばれる1種以上である。
硬化性樹脂は、熱硬化性樹脂と光硬化性樹脂とに分類できるが、そのいずれであってもよい。
エポキシ樹脂としては、グラフト共重合体組成物の分散性が良好となることから、固形状のものが好ましい。
エポキシ樹脂の硬化剤としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のフェノール系硬化剤;アミン系硬化剤;酸無水物系硬化剤が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用することができる。硬化剤使用量は、エポキシ基の化学量論量であることが好ましい。
フェノール樹脂としては、グラフト共重合体組成物の分散性が良好となることから、固形状のものが好ましい。
フェノール樹脂が、ノボラック型フェノール樹脂である場合には、硬化剤として、ヘキサミン等のポリアミン、エポキシ樹脂、イソシアネート化合物、ポリホルムアルデヒド化合物、レゾール型フェノール樹脂等が併用される。
不飽和ポリエステル樹脂は、上記不飽和二塩基酸と共重合可能な単量体を共重合させてもよい。不飽和二塩基酸と共重合可能な単量体としては、例えば、スチレン、t−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ビニルトルエン、(メタ)アクリレート類が挙げられる。
これらの中でも、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーが好ましい。
グラフト共重合体(C)の添加量が15〜70重量%であれば、耐衝撃性と流動性の高い樹脂組成物を得ることができる。
添加剤としては、例えば、種々の硬化促進剤;シリコーンオイル、天然ワックス類、合成ワックス類等の離型剤;結晶質シリカ、溶融シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナ等の充填剤;ガラス繊維、炭素繊維等の繊維;三酸化アンチモン等の難燃剤;ハイドロタルサイト類、希土類酸化物等のハロゲントラップ剤;カーボンブラック、ベンガラ等の着色剤;シランカップリング剤が挙げられる。
添加剤としては、例えば、フェノール系安定剤、燐系安定剤、紫外線吸収剤、アミン系光安定剤等の安定剤;燐系、ブロム系、シリコーン系、有機金属塩系等の難燃剤;耐加水分解性等の各種物性を付与するための改質剤;酸化チタン、タルク等の充填剤;染顔料;可塑剤が挙げられる。
また、硬化性樹脂組成物が溶液状態である場合には、接着剤として塗布することもできる。
実施例に示した各種物性の評価は、以下に示す方法により実施した。
ポリオルガノシロキサン、グラフト共重合体のラテックスを180℃の熱風乾燥機で30分間乾燥し、下記式により固形分を算出した。
固形分[%]=(180℃で30分間乾燥した後の残渣の質量)/(乾燥前のラテックスの質量)×100
ポリオルガノシロキサン、ゴムのラテックスをイオン交換水で濃度約3%に希釈したものを試料として、米国MATEC社製CHDF2000型粒度分布計を用いて質量平均粒子径を測定した。
測定はMATEC社が推奨する下記の標準条件で行った。
カートリッジ:粒子分離用キャピラリー式カートリッジ(商品名;C−202)
キャリア液 :専用キャリア液(商品名;2XGR500)
キャリア液の液性:ほぼ中性
キャリア液の流速:1.4ml/分
キャリア液の圧力:約4,000psi(2,600kPa)
測定温度 :35℃
試料使用量:0.1ml
また、標準粒子径物質としては、米国DUKE社製の粒子径既知の単分散ポリスチレンで、40〜800nmの粒子径の範囲で合計12点の粒子径のものを用いた。
熱可塑性樹脂組成物の試験片を用いてJIS K7111に準じて23℃、−30℃の条件下でシャルピー衝撃強度を測定した。
熱可塑性樹脂組成物のペレットを80℃にて12時間予備乾燥した後、測定温度220℃にて、予熱5分及び荷重10kgfの条件で、メルトインデクサー(テクノ・セブン(株)製、L−243−1531型)を用いて、JIS K 7210に準じて測定した。
JIS Z 8729(L*a*b* 表色系による物体色の表示方法)に準じてカーボンブラックで着色した厚さ2mmの試験片のL*を測定した。測定には日本電色工業(株)製分光式色差計SE−2000を用いた。
テトラエトキシシラン(TEOS)2部、γ−メタクリロイロキシプロピルジメトキシメチルシラン(DSMA)0.5部及び環状オルガノシロキサン混合物(信越化学工業(株)製、製品名:DMC、以下DMCと略す)97.5部を混合してオルガノシロキサン混合物100部を得た。これにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(DBSNa)0.68部を溶解したイオン交換水300部を添加し、ホモミキサーにて10,000rpmで2分間攪拌した後、ホモジナイザーに20MPaの圧力で2回通し、安定な予備混合エマルションを得た。
一方、冷却コンデンサーを備えたセパラブルフラスコにドデシルベンゼンスルホン酸(DBSH)13部とイオン交換水90部とを注入し、水性媒体を調製した。
この水溶液を90℃に加熱した状態で、上記予備混合エマルションを4時間かけて滴下し、滴下終了後2時間その温度を維持し、冷却した。次いでこの反応物を室温で12時間保持した後、10%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH7.0に中和して、ポリオルガノシロキサンのラテックス(S−1)を得た。S−1の固形分、重量平均粒子径、Dw/Dn測定結果を表1に示す。
製造例1において、水性媒体のDBSH量、及び硫酸量、予備混合エマルションの滴下時間を表1に示す量に変更する以外は製造例1と同様にして、ポリオルガノシロキサンラテックス(S−2〜S−4)を得た。S−2〜S−4の固形分、重量平均粒子径、Dw/Dn測定結果を表1に示す。
TEOS2部、DSMA0.5部及びオクタメチルシクロテトラシロキサン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、製品名:TSF−404)97.5部を混合して、シロキサン系混合物100部を得た。これにDBSNa1.00部を溶解したイオン交換水150部を添加し、ホモミキサーにて10000rpm で5分間攪拌した後、ホモジナイザーに20MPaの圧力で2回通し、安定な予備混合オルガノシロキサンエマルションを得た。
冷却コンデンサーを備えたセパラブルフラスコに、上記エマルションを入れ、硫酸0.20部とイオン交換水49.8部との混合物を3分間にわたり投入した。この水溶液を80℃に加熱した状態で、7時間温度を維持し、冷却した。次いでこの反応物を室温で6時間保持した後、10%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH7.0に中和して、ポリオルガノシロキサンラテックス(S−5)を得た。S−5の固形分、重量平均粒子径、及びDw/Dnを表2に示す。
TEOS2.0部、DSMA0.5部及びDMC97.5部を混合してシロキサン混合物100部を得た。これに、イオン交換水150部にDBSNa0.68部、DBSH0.68部を溶解した溶液を添加し、ホモミキサーにて10,000rpmで5分間攪拌した。次いで、ホモジナイザーに20MPaの圧力で2回通し、安定な予備混合オルガノシロキサンエマルションを得た。
冷却コンデンサーを備えたセパラブルフラスコに、上記エマルションを入れ、80℃に加熱した状態で8時間温度を維持、冷却した。次いで、10%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH7.0に中和し、ポリオルガノシロキサン(S−6)のラテックスを得た。S−6の固形分、重量平均粒子径、及びDw/Dnを表2に示す。
冷却管、窒素導入管、温度計及び攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、製造例1で得られたポリオルガノシロキサンラテックス(S−1)37.0部(ポリオルガノシロキサンとして7部)を投入した。
更に、イオン交換水105部を添加混合した後、ブチルアクリレート(n−BA)43.0部、アリルメタクリレート(AMA)0.6部、1,3−ブチレングコールジメタクリレート(1,3−BD)0.2部、クメンハイドロパーオキサイド(CHP)0.40部の混合物を添加した。
セパラブルフラスコに窒素気流を通じることによって、フラスコ内の窒素置換を行い、60℃まで昇温した。
内温を60℃とし、硫酸第一鉄(Fe)0.0001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩(EDTA)0.0003部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(SFS)0.17部、イオン交換水2.5部からなる水溶液を添加し、その後、内温70℃で1時間保持し、複合ゴムのラテックス(g−1)を得た。得られた複合ゴムラテックス(g−1)の重量平均粒子径、Dw/Dn測定結果を表3に示す。
滴下終了後、内温70℃で120分間保持した後に冷却し、グラフト共重合体(G−1)ラテックスを得た。
製造例7において、ポリオルガノシロキサンラテックスを表3に示すものに変えた以外は、製造例7と同様にして、グラフト共重合体(G−2〜G−6)を得た。複合ゴム(g−2〜g−6)の重量平均粒子径、Dw/Dn測定結果を表3に示す。
冷却コンデンサーを備えたセパラブルフラスコに、イオン交換水145部、DBSNa0.5部仕込み、セパラブルフラスコに窒素気流を通じることによって、フラスコ内の窒素置換を行い、70℃まで昇温した。
内温を70℃となった時点で、Fe0.0001部、EDTA0.0003部、SFS0.17部、イオン交換水2.5部からなる水溶液を添加し、次いで、n−BA50部、AMA0.6部、CHP0.4部の混合液を60分間滴下し、その後、70℃で60分間保持してポリアルキルアクリレートゴム(g−7)を重合した。
上記ポリアルキルアクリレートゴムのラテックスに、SFS0.25部、イオン交換水2.5部からなる水溶液を添加し、次いで、AN12.5部、St37.5部、t−BH0.2部の混合物を100分間滴下して重合した。
滴下終了後、内温70℃で120分間保持した後に冷却し、グラフト共重合体(G−7)ラテックスを得た。ポリアルキルアクリレートゴム(g−7)の重量平均粒子径、Dw/Dn測定結果を表3に示す。
製造例7〜13で得たグラフト共重合体ラテックスを、表4に示す割合で混合し、噴霧乾燥することにより、グラフト共重合体組成物の粉体(C−1〜C−22)を回収した。この噴霧乾燥は、アドマイザー式噴霧装置(大川原化工機(株)製、商品名:L−8型スプレードライヤー)を用い、入口温度140℃、出口温度65℃で実施した。
グラフト共重合体組成物(C)30部及びSAN樹脂(UMG ABS(株)製、商品名:AP−H)70部を、30mmφ二軸押出機(L/D=30)を用いてシリンダー温度230℃及びスクリュー回転数150rpmで溶融混合して熱可塑性樹脂組成物を得た。次いで、この熱可塑性樹脂組成物をペレット状に賦形した。
得られたペレットを80℃で12時間乾燥した後、100t射出成形機(住友重機(株)製、商品名;SE−100DU)に供給し、シリンダー温度230℃及び金型温度60℃で射出成形を行い、各種評価用の試験片を得た。各評価結果を表5に示す。
傾向としては、複合ゴムの質量平均粒子径が小さいものほどL*が小さく、顔料着色性は良好であったが、23℃におけるシャルピー衝撃強度が低下した。また複合ゴムの質量平均粒子径が大きいほど23℃におけるシャルピー衝撃強度は高くなるが、L*が大きく、顔料着色性は低下した。
比較例15の熱可塑性樹脂組成物は複合ゴムのDw/Dnが2.0より大きいグラフト共重合体を用いており、23℃におけるシャルピー衝撃強度は高くなるが、L*が大きく、顔料着色性が悪化した。
比較例17〜18の熱可塑性樹脂組成物は、2種類のグラフト共重合体を用いたものであるが、大粒径であるグラフト共重合体(B)を含まないため、L*が小さく、顔料着色性に優れるが、シャルピー衝撃強度は低かった。
これに対し、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、23℃の条件下で高いシャルピー衝撃強度を発現し、かつ顔料着色性の低下も少なく、良好な強度、顔料着色性のバランスを示した。
Claims (2)
- ポリオルガノシロキサン及びポリアルキルアクリレートを含むゴム(a)に、1種以上のビニル系単量体をグラフト重合させてなるグラフト共重合体(A)と、
ポリオルガノシロキサン及びポリアルキルアクリレートを含むゴム(b)に、1種以上のビニル系単量体をグラフト重合させてなるグラフト共重合体(B)とからなり、
以下(1)〜(3)の条件を満たす、グラフト共重合体組成物(C)15〜70重量%と、樹脂(D)85〜30重量%とを含む樹脂組成物(ただし、グラフト共重合体組成物(C)と樹脂(D)との合計を100重量%とする)。
(1)ゴム(a)の重量平均粒子径が10〜150nm、Dw/Dn(重量平均粒子径/数平均粒子径)が1.0〜2.0
(2)ゴム(b)の重量平均粒子径が200〜700nm、Dw/Dnが1.0〜2.0
(3)グラフト共重合体(A)とグラフト共重合体(B)の重量分率が、グラフト共重合体組成物(C)100重量%に対して(A)80〜99重量%、(B)1〜20重量% - 請求項1記載の樹脂組成物を成形して得られる成形体。
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