JP5672476B2 - ポリオルガノシロキサン系樹脂改質剤及びその製造方法、熱可塑性樹脂組成物、並びに成形体 - Google Patents
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Description
熱可塑性樹脂を用いた成形体の耐衝撃性、難燃性等の機能を向上させる方法として、以下に示す方法が示されている。
例えば、ポリオルガノシロキサン系ゴムとポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴムとからなる複合ゴムにビニル単量体をグラフト重合させた複合ゴムグラフト共重合体を配合する方法(特許文献1)が示されている。
また、低架橋のポリオルガノシロキサン系ゴムに対して、多官能性ビニル単量体を主成分とするビニル単量体をグラフト重合させたグラフト共重合体を配合する方法(特許文献2)が示されている。
しかしながら、特許文献1及び2に示されている方法では、難燃性の向上効果が充分ではなく、また、流動性も充分ではない。
[1]ポリオルガノシロキサン系ゴム(A)60〜93質量%の存在下で、多官能性ビニル単量体(b1)を主成分とするビニル単量体(B)7〜40質量%を重合して得られたグラフト共重合体(C)のラテックスと、ビニル単量体(s)を重合して得られたビニル重合体(S)のラテックスを、グラフト共重合体(C)55〜90質量%、ビニル重合体(S)10〜45質量%の比率で混合した後、粉体化する、樹脂改質剤の製造方法。
[2]熱可塑性樹脂100質量部に対して、前記[1]記載の樹脂改質剤1〜20質量部を配合して得られる熱可塑性樹脂組成物。
[3]前記[2]記載の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる成形体。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃性、難燃性及び流動性が優れる。
また、本発明の成形体は、耐衝撃性に優れ、充分な難燃性を有する。
ポリオルガノシロキサン系ゴム(A)は、下記成分(a1)〜(a3)を重合することにより得られる。
成分(a1):ジメチルシロキサン
成分(a2):ビニル重合性官能基を有するシロキサン
成分(a3):シロキサン系架橋剤
成分(a1)は、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
成分(a2)としては、例えば、β−メタクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシラン及びδ−メタクリロイルオキシブチルジエトキシメチルシラン等のメタクリロイルオキシシラン;テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン等のビニルシロキサン;p−ビニルフェニルジメトキシメチルシラン等のビニルフェニルシラン;γ−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシロキサンが挙げられる。
成分(a2)は、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
成分(a3)は、得られる成形体の耐衝撃性及び難燃性が優れることから、ポリオルガノシロキサン系ゴム(A)中に1〜5質量%含有されていることが好ましい。
重合に用いる酸触媒の添加方法としては、例えば、シロキサン混合物、乳化剤及び水と共に混合する方法と、シロキサン混合物が微粒子化されたオルガノシロキサンラテックスを、高温の酸水溶液中に一定速度で滴下する方法が挙げられる。
ポリオルガノシロキサン系ゴム(A)の製造方法としては、粒子径を制御しやすい点から、シロキサン混合物、乳化剤及び水と、ミセル形成能のない酸水溶液とを混合させて重合を行なう方法が好ましい。
これら乳化剤は、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
これら酸触媒は、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
また、ポリオルガノシロキサン系ゴム(A)の重合時間は、酸触媒をシロキサン混合物、乳化剤及び水と共に混合し、微粒子化を行なった後に重合する場合、2〜15時間が好ましく、5〜10時間がより好ましい。
重合は、反応液を冷却し、更にポリオルガノシロキサンラテックスを水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ性物質で中和することにより停止させることができる。
ポリオルガノシロキサン系ゴム(A)のトルエン不溶分は、ポリオルガノシロキサン系ゴム(A)中の成分(a3)の含有率を調節することにより制御できる。成分(a3)の含有率が高いほど、ポリオルガノシロキサン系ゴム(A)のトルエン不溶分の値が高くなる。
ビニル単量体(B)は、多官能性ビニル単量体(b1)を55〜100質量%含有し、75〜100質量%含有することが好ましい。ビニル単量体(B)中の多官能性ビニル単量体(b1)の含有率が55質量%以上であれば、難燃性の向上効果が充分に発現する。
これら多官能性ビニル単量体(b1)は、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
ビニル単量体(B)は、他のビニル単量体(b2)を0〜45質量%含有し、0〜25質量%含有することが好ましい。ビニル単量体(B)中の他のビニル単量体(b2)の含有率が45質量%以下であれば、難燃性の向上効果が充分に発現する。
これらの単量体は、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
グラフト共重合体(C)は、ポリオルガノシロキサン系ゴム(A)70〜93質量%の存在下で、ビニル単量体(B)7〜30質量%を重合して得ることが好ましい。
ビニル単量体(B)の前記使用量が7質量%以上であれば、充分な耐衝撃性が発現する。また、ビニル単量体(B)の前記使用量が40質量%以下であれば、充分な難燃性が発現する。
ビニル単量体(s)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート等の(メタ)アクリレート;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル単量体;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体;(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸;マレイミド、N−メチルマレイミド等のマレイミド類が挙げられる。
これらの単量体は、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートが挙げられ、樹脂改質剤の取扱性及び保存安定性が良好となることから、メチルメタクリレートが好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物、無機過酸化物、アゾ系開始剤、酸化剤と還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤が挙げられる。
有機過酸化物としては、例えば、キュメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシラウレイト、ラウロイルパーオキサイド、コハク酸パーオキサイド、シクロヘキサンノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイドが挙げられる。
無機過酸化物としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムが挙げられる。
レドックス系開始剤としては、例えば、硫酸第一鉄・エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩・ロンガリット・ハイドロパーオキサイドの組み合わせが挙げられる。
連鎖移動剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタンが挙げられる。
Mwが20,000以上であれば、粉体としての取扱性が向上する。4,000,000以下であれば、流動性の向上効果が発現する。
ビニル重合体(S)の体積平均粒子径がこの範囲内であれば、樹脂改質剤の分散性が良好となる。
樹脂改質剤は、グラフト共重合体(C)65〜85質量%、ビニル重合体(S)15〜35質量%の比率でラテックスを混合することが好ましい。
ビニル重合体(S)の前記使用量が10質量%以上であれば、耐衝撃性と難燃性の向上効果が優れる。また、ビニル重合体(S)の前記使用量が45質量%以下であれば、難燃性の向上効果が充分に発現する。
また、グラフト共重合体(C)とビニル重合体(S)の混合ラテックスを、噴霧乾燥して粉体化し、樹脂改質剤を粉体として得ることもできる。
特に、熱可塑性樹脂として、エステル結合を有する熱可塑性樹脂を用いる場合には、加水分解を抑制する点から、カルシウム塩による塩析により粉体化することが好ましい。
これらは、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
これらの中では、耐衝撃性、難燃性及び流動性が向上することから、ポリカーボネート系樹脂が好ましい。
樹脂改質剤の前記配合量が1質量部以上であれば、優れた耐衝撃性及び難燃性が発現する。また、樹脂改質剤の前記配合量が20質量部以下であれば、熱可塑性樹脂の本来の性質が損なわれることがない。
添加剤としては、例えば、顔料;染料;ガラス繊維、金属繊維、金属フレーク、炭素繊維等の補強剤;充填剤;グラフト共重合体等の相溶化剤;2,6−ジ−ブチル−4−メチルフェノール、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のフェノール系酸化防止剤;トリス(ミックスド、モノ及びジニルフェニル)ホスファイト、ジフェニル・イソデシルホスファイト等のホスファイト系酸化防止剤;ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネートジアステリアルチオジプロピオネート等の硫黄系酸化防止剤;2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)等の光安定剤;ヒドロキシルアルキルアミン、スルホン酸塩等の帯電防止剤;エチレンビスステアリルアミド、金属石鹸等の滑剤;テトラブロムフェノールA、デカブロモフェノールオキサイド、テトラブロモビスフェノールA(TBA)エポキシオリゴマー、TBAポリカーボネートオリゴマー、三酸化アンチモン、トリフェニルホスファイト(TPP)、リン酸エステル等の難燃剤;PTFE(ポリテトラフルオロエチレン);ビニル単量体を重合して得られた硬質重合体とフッ素樹脂を混合した変性フッ素樹脂が挙げられる。
ビニル単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート;スチレン等の芳香族ビニル単量体;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル単量体;エチレン、プロピレン等のオレフィン系単量体が挙げられる。
変性フッ素樹脂の前記配合量が0.05質量部以上であれば、難燃性が向上する。また、フッ素系樹脂の前記配合量が10質量部以下であれば、成形外観を損なわない。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ペレット状にすることが好ましい。
本発明の成形体は、例えば、建材、自動車、玩具、文房具等の雑貨、OA機器、家電機器等の低温における耐衝撃性と難燃性とが必要とされる成形体に広く利用できる。
本発明の成形体の製造方法は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いる以外は公知の製造方法を用いることができる。
本実施例における各測定は、以下のようにして行なった。
2−プロパノールを用いてポリオルガノシロキサン系ゴム(A)のラテックスから、ポリオルガノシロキサン系ゴム(A)を抽出し、それを常温で乾燥させた後、真空乾燥して2−プロパノールを完全に除去した。
得られたポリオルガノシロキサン系ゴム(A)を0.5g精秤して、常温でトルエン80mLに24時間浸漬し、12,000rpmにて60分間遠心分離した。この後、ポリオルガノシロキサン系ゴム(A)を再度精秤することにより、トルエン不溶分(%)を算出した。
ラテックスを蒸留水で希釈して、濃度約3%の試料0.1mLを調製し、キャピラリー式粒度分布測定器(CHDF2000型、MATEC社製(米国))を用いて測定した。
測定条件は、流速1.4mL/分、圧力約2.76MPa(約4,000psi)、温度35℃とした。また、測定には粒子分離用キャピラリー式カートリッジ及びキャリア液を用い、液性はほぼ中性にした。
尚、試料の測定前には、粒子径既知の単分散ポリスチレン(DUKE社製(米国))を標準粒子径物質とし、20〜800nmの合計12点の粒子径を測定して、検量線を作成した。
重合体のアセトン溶液を試料とし、ゲルパーミェーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した。
測定条件は下記の通りであり、標準ポリスチレンによる検量線からMwを求めた。
装置 :「HLC8220」(東ソー(株)製)
カラム :「TSKgel SuperHZM−M」(東ソー(株)製)
(内径4.6mm×長さ15cm×4本、排除限界4×106)
溶離液 :テトラヒドロフラン
溶離液流量:0.35mL/分
測定温度 :40℃
試料注入量:10μL(試料濃度0.1%)
ASTM D−256に準じて、ノッチつき1/4インチバーを用いて23℃及び−30℃でのアイゾット衝撃試験を行ない、耐衝撃性を評価した。
1/16インチの燃焼棒を用い、UL94V試験により難燃性を評価した。
JIS K7210に準拠して、熱可塑性樹脂組成物のペレットを用いてメルトフローレート(MFR)を測定することにより、流動性を評価した。
MFRの測定は、温度:280℃、荷重:5.0kgfの条件で行なった。
下記の原料混合物をホモミキサーにて10,000rpmで5分間攪拌した後、ホモジナイザーに20MPaの圧力で2回通し、安定な予備混合ラテックス(1)を得た。
原料混合物;
成分(a1):YF393 96部
成分(a2):KBM502 2部
成分(a3):AY43−101 2部
乳化剤:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 1部
脱イオン水 150部
次いで、反応物を常温で6時間保持した後、水酸化ナトリウム水溶液で中和してポリオルガノシロキサン系ゴム(A1)ラテックスを得た。
ポリオルガノシロキサン系ゴム(A1)ラテックスの固形分は29.8%であり、体積平均粒子径は260nmであった。
下記の原料混合物をホモミキサーにて10,000rpmで5分間攪拌した後、ホモジナイザーに20MPaの圧力で2回通し、安定な予備混合ラテックス(2)を得た。
原料混合物;
成分(a1):YF393 96部
成分(a2):KBM502 2部
成分(a3):AY43−101 2部
乳化剤:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.67部
酸触媒:ドデシルベンゼンスルホン酸 0.67部
脱イオン水 200部
次いで、反応物を常温で6時間保持した後、水酸化ナトリウム水溶液で中和してポリオルガノシロキサン系ゴム(A2)ラテックスを得た。
ポリオルガノシロキサン系ゴム(A2)ラテックスの固形分は29.3%であり、体積平均粒子径は140nmであった。
YF393 (商品名、オクタメチルシクロテトラシロキサン、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン(株)製)
KBM502 (商品名、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、信越化学(株)製)
AY43−101 (商品名、テトラエトキシシラン、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製)
下記の原料混合物をセパラブルフラスコに投入し、フラスコ内に窒素気流を通じて窒素置換を行ない、攪拌しながら昇温させた。
液温が50℃に達した時点で下記の還元剤水溶液を投入して重合を開始し、液温を70℃に1時間保持して、重合を完結させた。
原料混合物;
ポリオルガノシロキサン系ゴム(A1)ラテックス 302部
(ポリマー換算で90部)
多官能性ビニル単量体(b1):アリルメタクリレート 10部
重合開始剤:t−ブチルハイドロパーオキサイド 2.2部
脱イオン水 200部
還元剤水溶液;
硫酸第一鉄 0.001部
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.003部
ロンガリット 0.24部
脱イオン水 10部
表2に記載の原料を用い、製造例3と同様にして製造した。
下記の原料混合物をセパラブルフラスコに投入し、フラスコ内に窒素気流を通じて窒素置換を行ない、攪拌しながら昇温させた。
液温が50℃に達した時点で下記の還元剤水溶液を投入して重合を開始し、液温を70℃に2時間保持して、重合を完結させた。
原料混合物;
メチルメタクリレート 80部
ブチルアクリレート 20部
乳化剤:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 3部
重合開始剤:t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.1部
脱イオン水 200部
還元剤水溶液;
硫酸第一鉄 0.001部
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.003部
ロンガリット 0.24部
脱イオン水 10部
表3に記載の原料を用い、製造例10と同様にして製造した。
グラフト共重合体(C1)とビニル重合体(S1)を、表4に記載の比率で配合し、常温で30分間混合し、樹脂改質剤(1)ラテックスを得た。
酢酸カルシウム5%濃度の水溶液500部を攪拌しながら60℃に加熱し、該水溶液中に樹脂改質剤(1)ラテックスを徐々に滴下して凝固させ、分離、水洗した後に乾燥して樹脂改質剤(1)粉体を得た。
30mmφ二軸押出機(PCM−30、池貝製作所製)を用い、下記の配合成分を280℃で溶融混練し、ペレット状に賦型して熱可塑性樹脂組成物を得た。
次いで、得られた熱可塑性樹脂組成物を、100t射出成形機(SE−100DU、住友重機製作所製)を用い、280℃で成形し、アイゾット試験片及び燃焼試験片を得た。
評価結果を表4に示す。
樹脂改質剤(1)粉体 5部
熱可塑性樹脂:「ユーピロンS2000F」(商品名、ビスフェノールAタイプポリカーボネート、粘度平均分子量約22,000、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製) 100部
酸化防止剤:「イルガノックス245」(商品名、チバ・ジャパン(株)製)
0.3部
「アデカスタブPEP36」(商品名、(株)ADEKA製)
0.3部
滴下防止剤:「メタブレンA3800」(商品名、アクリル変性ポリテトラフルオロエチレン、三菱レイヨン(株)製) 1部
配合組成を表4に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様にして樹脂改質剤粉体を得た。
また、樹脂改質剤粉体を用いて、実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂組成物を製造し、アイゾット試験片及び燃焼試験片を得た。評価結果を表4に示す。
下記の第1原料混合物をセパラブルフラスコに投入し、フラスコ内に窒素気流を通じて窒素置換を行ない、攪拌しながら昇温させた。
液温が50℃に達した時点で下記の還元剤水溶液を投入して重合を開始し、液温を70℃に1時間保持して、重合を完結させた。
第1原料混合物;
ポリオルガノシロキサン系ゴム(A1)ラテックス 242部
(ポリマー換算で72部)
多官能性ビニル単量体(b1):アリルメタクリレート 8部
重合開始剤:t−ブチルハイドロパーオキサイド 2.2部
脱イオン水 200部
還元剤水溶液;
硫酸第一鉄 0.001部
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.003部
ロンガリット 0.24部
脱イオン水 10部
第2原料混合物;
他のビニル単量体(b2):メチルメタクリレート 18部
他のビニル単量体(b2):ブチルアクリレート 2部
重合開始剤:t−ブチルハイドロパーオキサイド 2.2部
樹脂改質剤(15)粉体を用いて、実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂組成物を製造し、アイゾット試験片及び燃焼試験片を得た。評価結果を表5に示す。
配合組成を表5に示す通りに変更した以外は、比較例3と同様にして樹脂改質剤(16)粉体を得た。
また、樹脂改質剤(16)粉体を用いて、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を製造し、アイゾット試験片及び燃焼試験片を得た。評価結果を表5に示す。
PC :「ユーピロンS2000F」(商品名、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)
Irg245:「イルガノックス245」 (商品名、チバ・ジャパン(株)製)
PEP36 :「アデカスタブPEP36」(商品名、(株)ADEKA製)
A3800 :「メタブレンA3800」 (商品名、三菱レイヨン(株)製)
ポリオルガノシロキサン系ゴム(A)の含有率が高く、多官能性ビニル単量体(b1)の含有率が低い樹脂改質剤(13)を配合した比較例1の熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃性が劣り、流動性が劣る結果であった。
グラフト共重合体(C)の含有率が低く、ビニル重合体(S)の含有率が高い樹脂改質剤(14)を配合した比較例2の熱可塑性樹脂組成物は、低温での耐衝撃性が劣り、燃焼時間が長いという結果であった。
ビニル単量体(b2)を重合して得られるビニル重合体は可燃性の高い成分であることから、ポリオルガノシロキサン系ゴム(A)は可燃性の高い成分の影響を受けることが予想される。これより、樹脂改質剤(15)及び(16)の難燃性は低下し、燃焼時間が長くなったものと推測する。
本発明の樹脂改質剤は、グラフト共重合体(C)とビニル重合体(S)が化学的に結合していないため、熱可塑性樹脂組成物の中では、グラフト共重合体(C)とビニル重合体(S)が独立に存在していることが予想される。これより、ポリオルガノシロキサン系ゴム(A)は、可燃性の高い成分の影響を受けず、難燃性の向上効果が充分に発現したものと推測する。
Claims (3)
- ジメチルシロキサン(a1)、ビニル重合性官能基を有するシロキサン(a2)及びシロキサン系架橋剤(a3)を重合することにより得られるポリオルガノシロキサン系ゴム(A)60〜93質量%の存在下で、多官能性ビニル単量体(b1)を主成分とするビニル単量体(B)7〜40質量%を重合して得られたグラフト共重合体(C)のラテックスと、
ビニル単量体(s)を重合して得られたビニル重合体(S)のラテックスを、
グラフト共重合体(C)55〜90質量%、ビニル重合体(S)10〜45質量%の比率で混合した後、粉体化する、
樹脂改質剤の製造方法。 - 熱可塑性樹脂100質量部に対して、請求項1記載の樹脂改質剤1〜20質量部を配合して得られる熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項2記載の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる成形体。
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