JP3590169B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐衝撃性と顔料着色性に優れた耐衝撃性樹脂に関する。
【0002】
【従来技術】
一般に、樹脂材料を工業用途に用いる場合、成形加工後の外観、強度、さらに無塗装で使用する場合には、太陽光や降雨によって変色、物性低下の少ない、いわゆる耐候性が良好であると同時に、顔料等の着色剤を混合した際の発色性、顔料着色性が良好でなければならない。
【0003】
特に、車両分野で用いられる樹脂部品においては、成形外観、衝撃強度および顔料着色性が高いレベルである必要がある。
【0004】
このうち、衝撃強度は一般にASTM D258試験法に準拠したアイゾット衝撃強度で評価されるが、例えば自動車外装用材料に使用可能かどうかの見極めは室温での衝撃強度に加え、−30℃あるいは−40℃といった低温雰囲気下での衝撃強度をもって判断される。
【0005】
また、車両分野に用いる樹脂材料に要求される顔料着色性は、用途や所望する色相によって異なるものの、一般には最も代表的な色調である黒色の発色性をもって評価される。この場合、評価法としてはカ−ボンブラック等の着色剤を一定量添加した樹脂成形品の明度(L* )を色相色差分析より求めることによって行われ、この値が小さいものほど顔料着色性が優れていると評価される。例えば自動車ドアハンドル、ホイールカバー等の自動車外装用材料等の高度な意匠性が必要な用途では、例えばカ−ボンブラックを0.8重量部添加したときの樹脂成形品のL* 値が13程度あるいはそれ以下を示す優れた漆黒性、透明感を有した材料が用いられる。
【0006】
従来、このような特に高度な耐衝撃性と顔料着色性が要求される用途に対応する方法としては、例えば耐衝撃性の高い樹脂材料表面に顔料着色性に優れた樹脂材料を積層する方法、塗装する方法あるいは被覆する方法等が用いられているが、これらは複雑な工程を要するため高い製造コストとなり工業的に好ましい方法とは言えない。
【0007】
ポリカーボネート樹脂は、その優れた耐衝撃性あるいは透明性を生かして様々な工業用用途に用いられているが、成形加工温度が高い、流動性が悪いあるいは衝撃強度の厚み依存性が大きい等の欠点を有している。
【0008】
従来、ポリカーボネート樹脂の欠点を改良する方法として、ポリカーボネート樹脂にABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)系樹脂をブレンドすることが、特公昭38−15225号公報、特公昭48−12170号公報等に記載されている。
【0009】
しかしながら、ポリカーボネート樹脂にABS系樹脂をブレンドする方法では、得られる樹脂組成物の成形性およびその樹脂組成物から得られる成形品の耐衝撃性は良好であるが、耐候性が不良であり、無塗装状態での自動車外装用材料等には使用できない。
【0010】
さらにポリカーボネート樹脂系樹脂組成物の耐候性を改良し、かつ上記ポリカーボネート樹脂の欠点を克服する方法として、特開昭64−79257号公報に、ポリオルガノシロキサンおよびポリアルキル(メタ)アクリレートからなる複合ゴムにビニル系単量体がグラフト重合されてなる複合ゴム系グラフト共重合体をポリカーボネート樹脂にブレンドすることが提案されている。
【0011】
また、ABS系樹脂の耐衝撃性改質剤としての効果を向上させ、特に低温雰囲気下での衝撃強度を向上させる方法として、特開平6−1897号公報にポリカーボネート樹脂および/またはコポリエステルカーボネートならびにSAN(スチレン−アクリロニトリル)樹脂からなる樹脂マトリックスにABS系樹脂およびポリオルガノシロキサンおよびポリアルキル(メタ)アクリレートからなる複合ゴムにビニル系単量体がグラフト重合されてなる複合ゴム系グラフト共重合体を添加することが提案されている。
【0012】
さらに、特開平6−157889号公報には、ポリオルガノシロキサンとポリアルキルアクリレートからなる複合ゴムにビニル系単量体がグラフト重合されてなる複合ゴム系グラフト共重合体とポリカーボネート樹脂とのブレンド物から得られる成形物の顔料着色性を改良する方法として、粒子径0.01〜0.07μmで0.10μmより大きい粒子の体積が全粒子体積の20%以下である複合ゴム系グラフト共重合体を用いることが提案されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開昭64−79257号公報に記載される複合ゴム系グラフト共重合体とポリカーボネート樹脂からなる樹脂組成物から得られる成形物は高い耐衝撃性を示すものの、顔料着色性が不良であり、ポリカーボネート樹脂が本来有している優れた意匠性を損ない、例えば自動車外装用材料などの高度な意匠性の必要な用途に利用することができない。
【0014】
また、特開平6−1897号公報に記載される樹脂組成物は、ABS系樹脂中のポリブタジエンに起因して耐候性が不良である。さらに実施例に示された樹脂組成物はいずれも顔料着色性が不良のため、ポリカーボネート樹脂が本来有している優れた意匠性を損ない、例えば自動車外装用材料などの高度な意匠性の必要な用途には利用することができない。
【0015】
一方、特開平6−157889公報に記載される樹脂組成物は、顔料着色性が特に良好であるが、耐衝撃性特に−30℃雰囲気下でのアイゾット衝撃強度が低く、低温衝撃強度が必要となる自動車外装用材料等には利用することができない。
【0016】
すなわち従来は、ポリカーボネート樹脂の耐候性や顔料着色性を損なうことなく、耐衝撃性の厚み依存性および低温雰囲気下での衝撃強度を向上させ、例えば自動車外装用材料としても利用可能となる材料は未だ見出されておらず、これを満足する技術の開発が強く望まれていた。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ポリカーボネート樹脂系樹脂組成物の耐衝撃性と顔料着色性について改良すべく鋭意検討した結果、驚くべきことに特定のビニル重合性官能基を有するポリオルガノシロキサンとポリアルキル(メタ)アクリレ−トとからなる複合ゴムを含有したグラフト共重合体とポリカーボネート樹脂からなる樹脂組成物が、従来にない耐衝撃性、顔料着色性を示すことを見いだし本発明に到達した。
【0018】
すなわち、本発明の要旨とするところは、(a−1)ビニル重合性官能基含有シロキサン単位0.2〜3モル%およびジメチルシロキサン単位97〜99.8モル%からなり、さらに3個以上のシロキサン結合を有するケイ素原子がポリジメチルシロキサン中の全ケイ素原子に対し1モル%以下であるポリジメチルシロキサンと(a−2)ポリアルキル(メタ)アクリレ−トとからなる複合ゴムに(a−3)芳香族アルケニル、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよびシアン化ビニル化合物から選ばれる少なくとも一種の単量体がグラフトされた数平均粒子径が0.1μm〜0.5μmであるグラフト共重合体(A)とポリカーボネート樹脂(B)とからなる熱可塑性樹脂組成物にある。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明に係るグラフト共重合体(A)を構成するポリジメチルシロキサンは、(a−1)ビニル重合性官能基含有シロキサン単位0.2〜3モル%およびジメチルシロキサン単位97〜99.8モル%からなり、さらに3個以上のシロキサン結合を有するケイ素原子がポリジメチルシロキサン中の全ケイ素原子に対し1モル%以下のものである。
ポリジメチルシロキサン(a−1)中のビニル重合性官能基含有シロキサン単位が0.2モル%未満では、アルキル(メタ)アクリレートゴム(a−2)との複合化が不十分となり、グラフト共重合体を含む樹脂組成物成形品の表面におけるポリオルガノシロキサンのブリードアウトに由来する成形外観が発生する場合があり、また、ポリジメチルシロキサン(a−1)中のビニル重合性官能基含有シロキサン単位が3.0モル%を超えるか、または3個以上のシロキサン結合を有するケイ素原子がポリジメチルシロキサン中の全ケイ素原子に対し1モル%を超える場合は、得られる樹脂組成物の耐衝撃性が若干低下する。
さらにグラフト共重合体を含む樹脂組成物の耐衝撃性と成形外観の両方を考慮するとポリジメチルシロキサン(a−1)中のビニル重合性含有シロキサン単位はより好ましくは0.5〜2モル%さらに好ましくは0.5〜1モル%である。
本発明に係るグラフト共重合体(A)を構成する複合ゴムの組成比はポリジメチルシロキサン(a−1)の量が1〜20重量%、アルキル(メタ)アクリレートゴム(a−2)が99〜80重量%((a−1)+(b−2)=100重量%)であり、1重量%未満ではポリジメチルシロキサン量が少ないため耐衝撃性が低下し、20重量%を超えるとグラフト共重合体を含む樹脂組成物成形品の顔料着色性が不良となる。また、グラフト共重合体を含む樹脂組成物の耐衝撃性と顔料着色性の両方を考慮すると、複合ゴム中のポリジメチルシロキサン(a−1)の量は好ましくは6〜20重量%、アルキル(メタ)アクリレートゴム(a−2)が94〜80重量%((a−1)+(a−2)=100重量%)であり、さらに好ましくはポリジメチルシロキサン(a−1)が10〜20重量%、アルキル(メタ)アクリレートゴム(a−2)が90〜80重量%((a−1)+(a−2)=100重量%)である。
【0020】
また、本発明に係るグラフト共重合体(A)を構成するビニル重合性官能基含有シロキサンを含むポリオルガノシロキサンの製法としては、ジメチルシロキサンとビニル重合性官能基含有シロキサンからなる混合物、またはこれにさらにシロキサン系架橋剤を含む混合物を乳化剤と水によって乳化させたラテックスを高速回転による剪断力で微粒子化するホモミキサ−や、高圧発生機による噴出力で微粒子化するホモジナイザ−等を使用して微粒子化した後、酸触媒を用いて高温下で重合させ、ついでアルカリ性物質により酸を中和するものである。
【0021】
重合に用いる酸触媒の添加方法としては、シロキサン混合物、乳化剤および水と共に混合する方法と、シロキサン混合物が微粒子化したラテックスを高温の酸水溶液中に一定速度で滴下する方法等があるが、オルガノシロキサン混合物が微粒子化したラテックスを高温の酸水溶液中に一定速度で滴下する方法が好ましい。
【0022】
ポリオルガノシロキサンの粒径は特に限定されるものではないが、グラフト共重合体を含む樹脂組成物の顔料着色性を考慮すると、重量平均粒子径が0.15μm以下が好ましく、さらに好ましくは0.1μm以下である。
【0023】
また、ポリオルガノシロキサンの製造に用いるジメチルシロキサンとしては、3員環以上のジメチルシロキサン系環状体があげられ、3〜6員環のものが好ましい。具体的には、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等が挙げられるが、これらは単独もしくは二種以上混合して用いられる。
【0024】
また、ビニル重合性官能基含有シロキサンとしては、ビニル重合性官能基を含有しかつジメチルシロキサンとシロキサン結合を介して結合するものであれば特に限定されないが、ジメチルシロキサンとの反応性を考慮するとビニル重合性官能基を含有する各種アルコキシシラン化合物が好ましい。具体的には、β−メタクリロイルオキシエチルジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、β−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシランおよびδ−メタクリロイルオキシブチルジエトキシメチルシラン等のビニルシロキサン、p−ビフェニルジエトキシメチルシランが挙げられるが、ポリオルガノシロキサンとポリアルキル(メタ)アクリレートの複合化のしやすさを考慮すると、メタクリロイル基を有するシランが好ましい。
【0025】
またシロキサン系架橋剤としては、3官能または4官能のシラン系架橋剤、例えば、トリメトキシメチルシラン、トリエトキシフェニルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン等が用いられるが、得られる樹脂組成物の耐衝撃性を考慮すると、シロキサン架橋剤のケイ素原子がポリオルガノシロキサン中の全ケイ素原子に対し1モル%以下であり、好ましくは0.5モル%以下である。
【0026】
また、本発明に係るポリオルガノシロキサンの製造に用いる乳化剤としては、アニオン系乳化剤が好ましく、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエ−テル硫酸ナトリウムなどの中から選ばれた乳化剤が使用される。
【0027】
特に、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸系乳化剤が好ましい。これらの乳化剤は、シロキサン混合物100重量部に対し0.05〜5重量部程度の範囲で使用される。使用量が多いと分散状態が不安定となり微小な粒子径の乳化状態が保てなくなる。また、使用量が多いと乳化剤に起因する樹脂組成物の成形品の着色性が甚だしくなる不都合である。シロキサン混合物、乳化剤水および/または酸触媒を混合する方法は、高速撹拌による混合、ホモジナイザ−などの高圧乳化装置による混合などがあるが、ホモジナイザ−を使用した方法は、ポリオルガノシロキサンラテックス粒子径の分布が小さくなるので好ましい方法である。
【0028】
ポリオルガノシロキサンの重合に用いる酸触媒としては、脂肪族スルホン酸、脂肪族置換ベンゼンスルホン酸、脂肪族置換ナフタレンスルホン酸などのスルホン酸類および硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸類が挙げられる。これらの酸触媒は一種または二種以上組み合わせて用いられる。また、これらの中では、ポリオルガノシロキサンラテックスの安定化作用にも優れている点で、脂肪族置換ベンゼンスルホン酸が好ましく、n−ドデシルベンゼンスルホン酸が特に好ましい。また、n−ドデシルベンゼンスルホン酸と硫酸などの鉱酸とを併用すると、ポリオルガノシロキサンラテックスの乳化剤成分に起因する樹脂組成物の着色を低減させることができる。
【0029】
ポリオルガノシロキサンの重合温度は、50℃以上が好ましく、さらに好ましくは80℃以上である。
【0030】
ポリオルガノシロキサンの重合時間は、酸触媒をシロキサン混合物、乳化剤および水とともに混合、微粒子化させて重合する場合は2時間以上、さらに好ましくは、5時間以上であり、酸触媒の水溶液にシロキサン混合物が微粒子化したラテックスを滴下する方法ではラテックスの滴下終了後1時間程度保持することが好ましい。
【0031】
重合の停止は、反応液を冷却後、さらにラテックスを苛性ソ−ダ、苛性カリ、炭酸ナトリウムなどのアルカリ性物質で中和することによって行うことができる。
【0032】
このようして製造された、ポリオルガノシロキサンラテックスにアルキル(メタ)アクリレ−トと多官能性アルキル(メタ)アクリレ−トとからなるアルキル(メタ)アクリレ−ト成分を含浸させた後重合させることによって複合ゴムを得ることができる。
【0033】
アルキル(メタ)アクリレ−トとしては、例えば、メチルアクリレ−ト、エチルアクリレ−ト、n−プロピルアクリレ−ト、n−ブチルアクリレ−ト、2−エチルヘキシルアクリレ−ト等のアルキルアクリレ−トおよびヘキシルメタクリレ−ト、2−エチルヘキシルメタクリレ−ト、n−ラウリルメタクリレ−ト等のアルキルメタクリレ−トが挙げられ、特に、n−ブチルアクリレ−トの使用が好ましい。多官能性アルキル(メタ)アクリレ−トとしては、例えばアリルメタクリレ−ト、エチレングリコ−ルジメタクリレ−ト、プロピレングリコ−ルジメタクリレ−ト、1,3−ブチレングリコ−ルジメタクリレ−ト、1,4−ブチレングリコ−ルジメタクリレ−ト、トリアリルシアヌレ−ト、トリアリルイソシアヌレ−ト等が挙げられる。また多官能性アルキル(メタ)アクリレ−トの使用量は、アルキル(メタ)アクリレ−ト成分中0.1〜20重量%、好ましくは0.2〜5重量%、さらに好ましくは0.2〜1重量%である。アルキル(メタ)アクリレ−トは単独でまたは二種以上併用して用いられる。
【0034】
本発明に係るポリオルガノシロキサンとアルキル(メタ)アクリレ−トゴムからなる複合ゴムは、ポリオルガノシロキサン成分のラテックス中へ上記アルキル(メタ)アクリレ−ト成分を添加し通常にラジカル重合開始剤を作用させることによって調整できる。アルキル(メタ)アクリレ−トを添加する方法としては、ポリオルガノシロキサン成分のラテックスと一括で混合する方法とポリオルガノシロキサン成分のラテックス中に一定速度で滴下する方法がある。なお、得られるグラフト共重合体を含む樹脂組成物の耐衝撃性を考慮するとポリオルガノシロキサンのラテックスを一括で混合する方法が好ましい。また、重合に用いる重合開始剤としては、過酸化物、アゾ系開始剤または酸化剤、還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤が用いられる。この中ではレドックス系開始剤が好ましく、特に硫酸第一鉄、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩、ロンガリット、ヒドロパ−オキサイドを組み合わせたスルホキシレ−ト系開始剤が好ましい。
【0035】
本発明に係るグラフト共重合体は、上記のごとく乳化重合によって製造された複合ゴムに、芳香族アルケニル化合物、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよびシアン化ビニル化合物から選ばれた少なくとも一種の単量体をグラフト共重合することによって製造できる。
【0036】
グラフト共重合に用いる単量体のうち芳香族アルケニル化合物としては例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等であり、メタクリル酸エステルとしては例えばメチルメタクリレ−ト、エチルメタクリレ−ト、2−エチルヘキシルメタクリレ−ト等であり、アクリル酸エステルとしては例えばメチルアクリレ−ト、エチルアクリレ−ト、ブチルアクリレ−ト等であり、シアン化ビニル化合物としては例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等である。グラフト重合するこれらの単量体の混合物のうち、得られる樹脂組成物の成形外観、顔料着色性および耐衝撃性から考慮するとスチレン/アクリロニトリルが特に好ましい。
【0037】
グラフト共重合体は、複合ゴムのラテックスに芳香族アルケニル化合物、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよびシアン化ビニル化合物から選ばれた少なくとも一種の単量体を加え、ラジカル重合技術により一段あるいは多段で重合することにより得ることできるが、得られるグラフト共重合体を含む樹脂組成物の顔料着色性を考慮すると二段以上で重合することが好ましい。
【0038】
グラフト共重合体に用いる芳香族アルケニル化合物、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよびシアン化ビニル化合物から選ばれた少なくとも一種の単量体の量は特に限定されるものではないが、得られる樹脂組成物の顔料着色性、成形外観および耐衝撃性を考慮すると、得られるグラフト共重合体の重量を基準にして50〜80重量%が好ましく、より好ましくは50〜70重量%、さらに好ましくは50〜60重量%である。
【0039】
またグラフト共重合体の調製において単量体中にはグラフトポリマ−の分子量やグラフト率を調整するための各種連鎖移動剤を添加することができる。
【0040】
また上記のごとく調製されるグラフト共重合体の数平均粒子は、得られるグラフト共重合体を含む樹脂組成物の耐衝撃性と顔料着色性の両方を考慮して、0.1μm〜0.5μmである必要があり、好ましくは0.1μm〜0.3μm、さらに好ましくは0.1μm〜0.15μmである。
【0041】
グラフト重合が終了した後、ラテックスを塩化カルシウムまたは硫酸アルミニウム等の金属塩を溶解した熱水中に投入し、塩析、凝固することによりグラフト共重合体を分離し回収することができる。
【0042】
本発明に係るポリカ−ボネ−ト樹脂(B)としては、公知の方法で製造されるものが用いられる。すなわち、▲1▼単官能性芳香族あるいは脂肪族ヒドロキシ化合物から得られる炭酸のジエステルとジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応、▲2▼ジヒドロキシ化合物とそれ自身あるいは他のジヒドロキシ化合物のビスアルキル、またはビスアリルカ−ボネ−トとのエステル交換反応、▲3▼酸素結合剤の存在下でジヒドロキシ化合物とホスゲンの反応、▲4▼酸素結合剤の存在下でジヒドロキシ化合物とジヒドロキシ化合物のビスクロロ炭酸エステルとの反応による製造法等が挙げられる。代表的には、ビスフェノ−ルAを酸素結合剤および溶剤の存在下で塩化カルボニルと反応させる製造法がある。
【0043】
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、所望により第3成分として種々の熱可塑性樹脂を混合することができるが、特に得られる樹脂組成物を用いた射出成形品の光沢および流動性を考慮すると、芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物およびこれらと共重合可能なビニル単量体から選ばれる少なくとも一種から得られる共重合体が好ましく、より好ましくはスチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−N−フェニルマレイミド3元共重合体であり、さらに好ましくはスチレンーアクリロニトリル共重合体である。
上記熱可塑性樹脂に用いられる芳香族アルケニル化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、p−タ−シャリ−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレン等であり、好ましくはスチレン、α−メチルスチレンである。またシアン化ビニル化合物としては例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ、好ましくはアクリロニトリルである。また共重合可能なビニル単量体としては、メチルメタクリレ−ト、エチルメタクリレ−ト、2−エチルヘキシルメタクリレ−ト、グリシジルメタクリレ−ト等のメタクリル酸エステル、メチルアクリレ−ト、エチルアクリレ−ト、ブチルアクリレ−ト等のアクリル酸エステル、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド等のマレイミド化合物、無水マレイン酸等が挙げられる。
これらの樹脂の製造法としては、バルク重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などの通常公知の方法が用いられる。
【0044】
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、グラフト共重合体(A)とポリカーボネート樹脂(B)を任意の配合比率で、通常公知の混練機械によって押し出し成形することによって得ることができる。このような成形機としては押出成形機、射出成形機、ブロ−成形機、カレンダ−成形機およびインフレ−ション成形機等が挙げられる。
【0045】
さらに本発明の熱可塑性樹脂組成物には必要に応じて染料、顔料、安定剤、補強剤、充填剤、難燃剤等を配合することができる。
【0046】
以下実施例により本発明を説明する。なお、参考例、実施例および比較例において『部』および『%』は特に断らない限り『重量部』および『重量%』を意味する。
【0047】
参考例におけるラテックス中のポリオルガノシロキサンの重量平均粒子径およびグラフト共重合体の数平均粒子径は、大塚電子(株)社製DLS−700型を用いた動的光散乱法により求めた。
【0048】
実施例および比較例におけるアイゾット衝撃強度の測定は、ASTM D258に準拠した方法により行った。
【0049】
また、実施例および比較例における表面硬度(ロックウエル硬度)の測定は、ASTM D−785に準拠した方法により測定した。
【0050】
また、実施例および比較例における樹脂組成物の顔料着色性は、カ−ボンブラック(三菱化学社製CB−960)を0.8重量部含有させた樹脂組成物を東芝機械(株)社製射出成形機IS−100ENにより成形した100mm×100mm×3mm板を用いてJIS Z8729に準拠した色相測定を行い、ここで得られたL* 値で評価した。すなわち、L* 値の小さい樹脂組成物ほど顔料着色性が優れていると判断した。
【0051】
【実施例】
(参考例1)ポリオルガノシロキサン(L−1)調製
オクタメチルシクロテトラシロキサン98部、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン2部を混合しシロキサン系混合物100部を得た。これにドデシルベンゼンスルホン酸ナトルウム0.67部を溶解した蒸留水300部を添加しホモミキサ−にて10000回転/2分で撹拌した後、ホモジナイザ−で300kg/m3 の圧力で1回通し、予備混合オルガノシロキサンラテックスを得た。
【0052】
一方、試薬注入容器、冷却管、ジャケット過熱機および撹拌装置を備えた反応器内にドデシルベンゼンスルホン酸10部に蒸留水90部とを注入し、10重量%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液を調製した。
【0053】
この水溶液を85℃に加温した状態で、予備混合オルガノシロキサンラテックスを4時間に亘って滴下し、滴下後1時間温度を維持し、冷却した。ついでこの反応物を苛性ソ−ダ水溶液で中和した。
【0054】
このようにして得られたラテックスを170℃で30分間乾燥して固形分を求めたところ17.7%であった。また、ラテックス中のポリオルガノシロキサンの重量粒子径は0.05μmであった。
【0055】
(参考例2)ポリオルガノシロキサン(L−2)の調製
参考例1において、用いるオクタメチルシクロテトラシロキサンの量を99.5部、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシランの量を0.5部に変更する以外は参考例1と同様にしてラテックスを調製した。得られたラテックスの固形分を求めたところ18.0%であった。また、ラテックス中のポリオルガノシロキサンの重量平均粒子径は0.05μmであった。
【0056】
(参考例3)ポリオルガノシロキサン(L−3)の調
参考例1において、用いるオクタメチルシクロテトラシロキサンの量を90部、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシランの量を10部に変更する以外は参考例1と同様にしてラテックスを調製した。得られたラテックスの固形分を求めたところ17.8%であった。また、ラテックス中のポリオルガノシロキサンの重量平均粒子径は0.05μmであった。
【0057】
(参考例4)ポリオルガノシロキサン(L−4)の調
オクタメチルシクロテトラシロキサン95部、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン5部を混合しシロキサン系混合物100部を得た。これにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.67部を溶解した蒸留水300部を添加しホモミキサ−にて10000回転/2分で撹拌した後、ホモジナイザ−で300kg/m3 の圧力で1回通し、予備混合オルガノシロキサンラテックスを得た。
【0058】
一方、試薬注入容器、冷却管、ジャケット過熱機および撹拌装置を備えた反応器内にドデシルベンゼンスルホン酸10部に蒸留水90部とを注入し、10重量%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液を調製した。
【0059】
この水溶液を85℃に加温した状態で、予備混合オルガノシロキサンラテックスを4時間に亘って滴下し、滴下後1時間温度を維持し、冷却した。ついでこの反応物を苛性ソ−ダ水溶液で中和した。
【0060】
このようにして得られたラテックスを170℃で30分間乾燥して固形分を求めたところ18.2%であった。また、ラテックス中のポリオルガノシロキサンの重量平均粒子径は0.05μmであった。
【0061】
以上の参考例のポリオルガノシロキサンの調製条件および結果を表−1に示す。
【0062】
【表1】
Figure 0003590169
【0063】
(参考例5)グラフト共重合体S−1の調製
試薬注入容器、冷却管、ジャケット過熱機および撹拌装置を備えた反応器内に、参考例1で得られたポリオルガノシロキサンラテックス(L−1)56部、N−ラウロイルサルコシンナトリウム0.3部を採取し、蒸留水250部を添加混合し、ブチルアクリレ−ト63.7部、アリルメタクリレ−ト0.4部、1.3ブチレングリコ−ルジメタクリレ−ト0.1部およびキュメンヒドロパ−オキサイド0.15部の混合物を添加した。この反応器に窒素気流を通じることによって、雰囲気の窒素置換を行い、60℃まで昇温した。内部の温度が60℃になった時点で硫酸第一鉄0.0001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0003部およびロンガリット0.24部を蒸留水10部に溶解させた水溶液を添加し、開始せしめた。アクリレ−ト成分の重合により、液温は78℃まで上昇した。1時間この状態を保持し、アクリレ−ト成分の重合を完結させポリオルガノシロキサンとブチルアクリレ−トゴムとの複合ゴムのラテックスを得た。
【0064】
反応器内部の液温が60℃に低下した後、ロンガリット0.4部を蒸留水10部に溶解した水溶液を添加し、次いでアクリロニトリル11部、スチレン33部およびキュメンヒドロパ−オキサイド0.23部の混合溶液にを2時間にわたって滴下し重合した。滴下終了後、温度60℃の状態を1時間保持した後、硫酸第一鉄0.0002部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0006部およびロンガリット0.23部を蒸留水10部に溶解させた水溶液を添加し、次いでアクリロニトリル7.4部、スチレン22.2部およびキュメンヒドロパ−オキサイド0.13部の混合液を2時間にわたつて滴下し重合した。滴下終了後、温度60℃の状態を1時間保持した後冷却し、ポリオルガノシロキサンとブチルアクリレ−トゴムからなる複合ゴムに、アクリロニトリル−スチレン共重合体をグラフト共重合させたグラフト共重合体(S−1)のラテックスを得た。動的光散乱法より求めたラテックス中のグラフト共重合体の数平均粒子径は0.13μmであった。
【0065】
次いで、硫酸アルミニウムを5%の割合で溶解した水溶液150部を60℃に過熱し撹拌した。この中へグラフト共重合体のラテックス100部を徐々に滴下し凝固した。次いで、析出物を分離し、洗浄した後乾燥し、グラフト共重合体を得た。
【0066】
(参考例6)グラフト共重合体S−2の製造
参考例5において、用いるポリオルガノシロキサンラテックスを(L−2)に変更する以外は同様にしてグラフト共重合体(S−2)を調製した。得られたグラフト共重合体の数平均粒子径は、0.13μmであった。得られた重合ラテックスを凝固した後、洗浄、乾燥しグラフト共重合体(S−2)を得た。
【0067】
(参考例7)グラフト共重合体S−3の製造
参考例5において、用いるポリオルガノシロキサンラテックスを(L−3)に変更する以外は同様にしてグラフト共重合体(S−3)を調製した。得られたグラフト共重合体の数平均粒子径は、0.13μmであった。得られた重合ラテックスを凝固した後、洗浄、乾燥しグラフト共重合体(S−3)を得た。
【0068】
(参考例8)グラフト共重合体S−4の製造
参考例5において、用いるポリオルガノシロキサンラテックスを(L−4)に変更する以外は同様にしてグラフト共重合体(S−4)を調製した。得られたグラフト共重合体の数平均粒子径は、0.13μmであった。得られた重合ラテックスを凝固した後、洗浄、乾燥しグラフト共重合体(S−4)を得た。
【0069】
(参考例9)グラフト共重合体S−5の製造
参考例5において、用いるポリオルガノシロキサンラテックス(L−1)の量を112部に、またブチルアクリレ−トの量を36.6部にそれぞれ変更する以外は同様にしてグラフト共重合体(S−5)を調製した。得られたグラフト共重合体の数平均粒子径は、0.11μmであった。得られた重合ラテックスを凝固した後、洗浄、乾燥しグラフト共重合体(S−5)を得た。
【0070】
(参考例10)複合ゴム系グラフト共重合体(S−6)の製造
試薬注入容器、冷却管、ジャケット過熱機および撹拌装置を備えた反応器内に、参考例1で得られたポリオルガノシロキサンラテックス(L−1)66部、N−ラウロイルサルコシンナトリウム0.3部を採取し、蒸留水250部を添加混合し、ブチルアクリレ−ト76.4部、アリルメタクリレ−ト0.4部、1.3ブチレングリコ−ルジメタクリレ−ト0.1部およびキュメンヒドロパ−オキサイド0.15部の混合物を添加した。この反応器に窒素気流を通じることによって、雰囲気の窒素置換を行い、60℃まで昇温した。内部の温度が60℃になった時点で硫酸第一鉄0.0001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0003部およびロンガリット0.24部を蒸留水10部に溶解させた水溶液を添加し、開始せしめた。アクリレ−ト成分の重合により、液温は78℃まで上昇した。1時間この状態を保持し、アクリレ−ト成分の重合を完結させポリオルガノシロキサンとブチルアクリレ−トゴムとの複合ゴムのラテックスを得た。
【0071】
反応器内部の液温が60℃に低下した後、ロンガリット0.4部を蒸留水10部に溶解した水溶液を添加し、次いでアクリロニトリル7.4部、スチレン22.2部およびキュメンヒドロパ−オキサイド0.13部の混合溶液にを2時間にわたって滴下し重合した。滴下終了後、温度60℃の状態を1時間保持した後、硫酸第一鉄0.0002部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0006部およびロンガリット0.23部を蒸留水10部に溶解させた水溶液を添加し、次いでアクリロニトリル7.4部、スチレン22.2部およびキュメンヒドロパ−オキサイド0.13部の混合液を2時間にわたって滴下し重合した。滴下終了後、温度60℃の状態を1時間保持した後冷却し、ポリオルガノシロキサンとブチルアクリレ−トゴムからなる複合ゴムに、アクリロニトリル−スチレン共重合体をグラフト共重合させたグラフト共重合体(S−6)のラテックスを得た。動的光散乱法より求めたラテックス中のグラフト共重合体の数平均粒子径は0.12μmであった。
【0072】
次いで、硫酸アルミニウムを7.5%の割合で溶解した水溶液150部を60℃に過熱し撹拌した。この中へグラフト共重合体のラテックス100部を徐々に滴下し凝固した。次いで、析出物を分離し、洗浄した後乾燥し、グラフト共重合体を得た。
【0073】
(参考例11)グラフト共重合体(T−1)の製造
試薬注入容器、冷却管、ジャケット過熱機および撹拌装置を備えた反応器内に、N−ラウロイルサルコシンナトリウム0.3部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.67部を採取し、蒸留水250部を添加混合し、ブチルアクリレ−ト73.6部、アリルメタクリレ−ト0.4部、1,3−ブチレングリコ−ルジメタクリレ−ト0.1部およびキュメンヒドロパ−オキサイド0.15部の混合物を添加した。この反応器に窒素気流を通じることによって、雰囲気の窒素置換を行い、60℃まで昇温した。内部の温度が60℃になった時点で硫酸第一鉄0.0001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0003部およびロンガリット0.24部を蒸留水10部に溶解させた水溶液を添加し、重合を開始させた。アクリレ−ト成分の重合により、液温は78℃まで上昇した。1時間この状態を保持し、アクリレ−ト成分の重合を完結させブチルアクリレ−トゴムラテックスを得た。
【0074】
反応器内部の液温が60℃に低下した後、ロンガリット0.4部を蒸留水10部に溶解した水溶液を添加し、次いでアクリロニトリル11部、スチレン33部およびキュメンヒドロパ−オキサイド0.20部の混合溶液にを2時間にわたって滴下し重合した。滴下終了後、温度60℃の状態を1時間保持した後、硫酸第一鉄0.0002部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0006部およびロンガリット0.23部を蒸留水10部に溶解させた水溶液を添加し、次いでアクリロニトリル7.4部、スチレン22.2部およびキュメンヒドロパ−オキサイド0.13部の混合液を2時間にわたって滴下し重合した。滴下終了後、温度60℃の状態を1時間保持した後冷却し、ブチルアクリレ−トゴムに、アクリロニトリル−スチレン共重合体をグラフト共重合させたグラフト共重合体(T−1)のラテックスを得た。動的光散乱法より求めたラテックス中のグラフト共重合体の数平均粒子径は0.12μmであった。
【0075】
次いで、硫酸アルミニウムを7.5%の割合で溶解した水溶液150部を60℃に過熱し撹拌した。この中へグラフト共重合体のラテックス100部を徐々に滴下し凝固した。次いで、析出物を分離し、洗浄した後乾燥し、グラフト共重合体(T−1)を得た。
【0076】
(実施例1〜および比較例1〜
実施例および比較例において、以下の成分を使用した。
成分(A)(グラフト共重合体):参考例5〜11で調製した複合ゴム系グラフト共重合体(S−1〜6)およびグラフト共重合体T−1を使用した。
成分(B)(PC樹脂):三菱エンプラ(株)社製ユーピロンS2000Fを使用した。
成分(C)(SAN樹脂):スチレン70部およびアクリロニトリル30部の混合物を懸濁重合法によって重合し、ジメチルホルムアミド溶液中(25℃)で測定した還元粘度(ηsp/C)が0.60のSAN樹脂を調製し、使用した。
上記(A)、(B)および/または(C)の各成分を表2に示す割合(重量比)で混合し、さらに熱安定剤としてアデカスタブルC(旭電化(株)社製)を0.3部、さらに離型剤としてステアリン酸バリウムを0.4部、さらに滑剤としてエチレンビスステアリルアミドを0.4部、さらに黒着色剤としてカーボンブラック(CB−960:三菱化学(株)社製)を0.8部をそれぞれ添加混合し、シリンダー温度260℃に設定した二軸押出機で賦形し、ペレットを作製した。次いで、このペレットをシリンダ−設定温度260℃、金型温度80℃の条件で射出成形し、物性および顔料着色性評価用の試験片を得た。この試験片を用いて測定したアイゾット衝撃強度、ロックウェル硬度および色相測定から得られたL*値を表2に示す。
【0077】
【表2】
Figure 0003590169
【0078】
実施例および比較例より次のことが明らかとなった。
【0079】
1) 実施例1〜に示した樹脂組成物は、比較例1に示すポリカーボネート樹脂単体に比べて、高いアイゾット衝撃強度を示す。
【0080】
2)特に実施例1〜5の樹脂組成物は40kgcm/cm以上の高いアイゾット衝撃強度を示し、自動車部品等の高いレベルの耐衝撃性が要求される用途にも使用することができる。
【0081】
3)比較例2および3のポリオルガノシロキサンを含まないグラフト共重合体(T−1)を含む樹脂組成物は、常温でのアイゾット衝撃強度は高いものの、−30℃でのアイゾット衝撃強度が低く、自動車用途等に用いることができないので好ましくない。
【0082】
4)比較例4に示す樹脂組成物は成形板表面にポリジメチルシロキサン成分のブードアウトによる白化がみられた。
【0083】
5)実施例1および4の樹脂組成物を用いた成形板のL*値はいずれも13以下と良好な顔料着色性を示し、自動車外装部品用途等に使用することができる。
【0084】
【発明の効果】
本発明は、次のように特別に顕著な効果を奏しその産業上の利用価値は極めて大である。
【0085】
1)本発明に係る樹脂組成物は、耐衝撃性、表面硬度、顔料着色性および成形外観のバランスに優れる。
【0086】
2)特にアイゾット衝撃強度と顔料着色性のバランスは、従来知られているポリカーボネート系樹脂組成物に比べ非常に高いレベルであり、各種工業用材料特に自動車外装部品用途としての利用価値は極めて高い。

Claims (2)

  1. (a−1)ビニル重合性官能基含有シロキサン単位0.2〜3モル%およびジメチルシロキサン単位97〜99.8モル%からなり、さらに3個以上のシロキサン結合を有するケイ素原子がポリジメチルシロキサン中の全ケイ素原子に対し1モル%以下であるポリジメチルシロキサンと(a−2)ポリアルキル(メタ)アクリレ−トとからなる複合ゴムに(a−3)芳香族アルケニル化合物、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよびシアン化ビニル化合物から選ばれる少なくとも一種の単量体がグラフトされた数平均粒子径が0.1μm〜0.5μmであるグラフト共重合体(A)とポリカーボネート樹脂(B)とからなる熱可塑性樹脂組成物。
  2. 請求項1の熱可塑性樹脂組成物にさらに、芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物およびこれらと共重合可能なビニル単量体から選ばれる少なくとも一種から得られる共重合体が配合されてなる熱可塑性樹脂組成物。
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