JP4124863B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物に関し、より詳しくは高い耐衝撃性と、優れた流動性、耐候性ならびに顔料着色性に優れた熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
樹脂材料の耐衝撃性を向上させることは、材料の用途の拡大だけでなく成形品の薄肉化や大型化への対応を可能にするなど、工業的な有用性は非常に大きく、これまで様々な手法によって開発がなされてきた。
【0003】
特に、ガラス転移温度(Tg)や弾性率の低いゴム成分を樹脂マトリックス中に分散させた樹脂材料はその優れた耐衝撃性を特長として工業化に至っている。
【0004】
このうち、ゴム成分として耐候性、耐衝撃性および熱安定性に優れたポリオルガノシロキサンとアルキル(メタ)アクリレートゴムとからなる複合ゴムを含むグラフト共重合体を用いた樹脂材料が特開平1−190746号公報および特許第2558126号公報等に提案されている。さらに、その顔料着色性の改良について、特開平8−41149号公報には、特定のポリジメチルシロキサンとアルキル(メタ)アクリレートゴムとからなる複合ゴムに、ビニル単量体がグラフト重合したグラフト共重合体とアクリロニトリル−スチレン共重合体を構成成分とする樹脂組成物が、また、特開平8−199025号公報には、特定のポリオルガノシロキサンとアルキル(メタ)アクリレートゴムとからなる複合ゴムに、ビニル単量体がグラフト重合したグラフト共重合体とマレイミド系共重合体を構成成分とする樹脂組成物が、さらに、特開平8−283524号公報には、ポリオルガノシロキサンとアルキル(メタ)アクリレートゴムとからなる複合ゴムに、ビニル単量体がグラフト重合したグラフト共重合体とポリメチルメタクリレート樹脂を構成成分とする樹脂組成物が提案されている。
【0005】
しかしながら、特開平8−41149号公報に記載される樹脂組成物は、耐衝撃性および溶融成形時の流動性には優れるものの、マトリックス樹脂としてアクリロニトリル−スチレン共重合体を使用しているために、耐候性が十分でなく、屋外での使用に際して制限が生じる等の欠点があった。また、特開平8−199025号公報に記載される樹脂組成物は、耐衝撃性および耐熱性には優れるものの、マトリックス樹脂としてマレイミド系樹脂を使用しているために、成形品が着色しやすく色調が重要視される用途への使用ができなかった。また、特開平8−283524号公報に記載される樹脂組成物は、耐衝撃性で、屋内外の使用においても成形品の変色は少なく、良好な耐候性を有しているものの、マトリックス樹脂としてポリメタクリレート樹脂を使用しているため、溶融成形時の流動性が低く、自動車部材のように大型あるいは薄肉形状を有する成形品の射出成形が困難であり、そのために利用できる成形品の形状あるいは加工法等に制限が生じるという問題があった。
【0006】
すなわち、従来は、ポリオルガノシロキサンとアルキル(メタ)アクリレートゴムとからなる複合ゴムを含むグラフト共重合体と熱可塑性樹脂を構成成分とする樹脂組成物において、高い溶融成形時の流動性と変色の少ない良好な耐候性を有する材料は未だ見出されておらず、これらを同時に満足する樹脂材料の開発が強く望まれていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ポリオルガノシロキサンとアルキル(メタ)アクリレートゴムからなる複合ゴムを含むグラフト共重合体と熱可塑性樹脂とからなる樹脂組成物について、マトリックス樹脂の成分構成と得られる樹脂組成物の流動性および耐候性について鋭意検討した結果、驚くべきことに、特定の構成成分によって構成される重合体をマトリックスに用いることにより、高耐衝撃性で、従来にない優れた流動性と耐候性を示し、かつ優れた顔料着色性を有する樹脂組成物が得られることを見出し本発明に到達した。
【0008】
すなわち本発明は、(a−1)ポリオルガノシロキサンと(a−2)アルキル(メタ)アクリレートゴムとからなる複合ゴム((a−1)+(a−2))に、(a−3)芳香族アルケニル化合物、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよびシアン化ビニル化合物から選ばれる少なくとも一種の単量体をグラフト重合してなるグラフト共重合体(A)、および芳香族アルケニル化合物成分、シアン化ビニル化合物成分および(メタ)アクリル酸エステル成分を必須の構成成分とする共重合体であって、(メタ)アクリル酸エステル成分を10〜25重量%含有する共重合体(B)からなる熱可塑性樹脂組成物にある。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明におけるグラフト共重合体(A)を構成するポリオルガノシロキサン(a−1)としては特に限定されるものではないが好ましくは、ビニル重合性官能基を含有するポリオルガノシロキサンである。さらに好ましくは、ビニル重合性官能基含有シロキサン単位0.3〜3モル%およびジメチルシロキサン単位97〜99.7モル%からなり、さらに3個以上のシロキサン結合を有するケイ素原子がポリジメチルシロキサン中の全ケイ素原子に対し1モル%以下の場合である。
【0010】
ポリオルガノシロキサン(a−1)中のビニル重合性官能基含有シロキサン単位が0.3モル%未満では、アルキル(メタ)アクリレートゴム(a−2)との複合化が不十分となり、グラフト共重合体(A)を含む樹脂組成物の成形品表面におけるポリオルガノシロキサンのブリードアウトに由来する外観不良が発生しやすい。また、ポリオルガノシロキサン(a−1)中のビニル重合性官能基含有シロキサン単位が3モル%を超えるか、または3個以上のシロキサン結合を有するケイ素原子がポリオルガノシロキサン中の全ケイ素原子に対し1モル%を超える場合は、グラフト共重合体(A)を含む樹脂組成物の耐衝撃性が低くなりやすい。
【0011】
さらにグラフト共重合体(A)を含む樹脂組成物の耐衝撃性と成形外観の両方を考慮すると、ポリオルガノシロキサン(a−1)中のビニル重合性官能基含有シロキサン単位を0.5〜2モル%とすることが好ましく、より好ましくは0.5〜1モル%である。
【0012】
上記ポリオルガノシロキサン(a−1)の製法としては、ジメチルシロキサンとビニル重合性官能基含有シロキサンからなる混合物、またはさらに必要に応じてシロキサン系架橋剤を含む混合物を乳化剤と水によって乳化させたラテックスを、高速回転による剪断力で微粒子化するホモミキサーや、高圧発生機による噴出力で微粒子化するホモジナイザー等を使用して微粒子化した後、酸触媒を用いて高温下で重合させ、次いでアルカリ性物質により酸を中和する方法が挙げられる。
【0013】
重合に用いる酸触媒の添加方法としては、シロキサン混合物、乳化剤および水とともに混合する方法と、シロキサン混合物が微粒子化したラテックスを高温の酸水溶液中に一定速度で滴下する方法等があるが、ポリオルガノシロキサンの粒子径の制御のしやすさを考慮するとシロキサン混合物が微粒子化したラテックスを高温の酸水溶液中に一定速度で滴下する方法が好ましい。
【0014】
ポリオルガノシロキサン粒子の大きさは特に限定されないが、グラフト共重合体(A)を含む樹脂組成物の顔料着色性を考慮すると、重量平均粒子径は0.2μm以下が好ましく、より好ましくは0.1μm以下である。
【0015】
また、ポリオルガノシロキサン(a−1)の製造に用いるジメチルシロキサンとしては、3員環以上のジメチルシロキサン系環状体が挙げられ、3〜6員環のものが好ましい。具体的にはヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等が挙げられるが、これらは単独でまたは二種以上混合して用いられる。
【0016】
また、ビニル重合性官能基含有シロキサンとしては、ビニル重合性官能基を含有し、かつジメチルシロキサンとシロキサン結合を介して結合しうるものであり、ジメチルシロキサンとの反応性を考慮するとビニル重合性官能基を含有する各種アルコキシシラン化合物が好ましい。具体的には、β−メタクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシランおよびδ−メタクリロイルオキシブチルジエトキシメチルシラン等のメタクリロイルオキシシロキサン、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン等のビニルシロキサン、p−ビニルフェニルジメトキシメチルシラン、さらにγ−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシロキサンが挙げられる。これらビニル重合性官能基含有シロキサンは、単独でまたは二種以上の混合物として用いることができる。
【0017】
シロキサン系架橋剤としては、3官能性または4官能性のシラン系架橋剤、例えばトリメトキシメチルシラン、トリエトキシフェニルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン等が用いられる。
【0018】
また、本発明におけるポリオルガノシロキサン(a−1)製造の際用いる乳化剤としては、アニオン系乳化剤が好ましく、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステルナトリウムなどの中から選ばれた乳化剤が使用される。特にアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸系の乳化剤が好ましい。これらの乳化剤は、シロキサン混合物100重量部に対して0.05〜5重量部程度の範囲で使用される。使用量が少ないと分散状態が不安定となり微小な粒子径の乳化状態を保てなくなる。また、使用量が多いとこの乳化剤に起因する樹脂組成物成形品が着色するようになる。
【0019】
シロキサン混合物、乳化剤、水および/または酸触媒を混合する方法は、高速撹拌による混合、ホモジナイザーなどの高圧乳化装置による混合などがあるが、ホモジナイザーを使用した方法は、ポリオルガノシロキサンラテックスの粒子径の分布が小さくなるので好ましい方法である。
【0020】
ポリオルガノシロキサン(a−1)の重合に用いる酸触媒としては、脂肪族スルホン酸、脂肪族置換ベンゼンスルホン酸、脂肪族置換ナフタレンスルホン酸などのスルホン酸類および硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸類が挙げられる。これらの酸触媒は一種でまたは二種以上を組み合わせて用いられる。また、これらの中では、ポリオルガノシロキサンラテックスの安定化作用にも優れている点で脂肪族置換ベンゼンスルホン酸が好ましく、n−ドデシルベンゼンスルホン酸が特に好ましい。また、n−ドデシルベンゼンスルホン酸と硫酸などの鉱酸とを併用すると、ポリオルガノシロキサンラテックスの乳化剤成分に起因する樹脂組成物の着色を低減させることができる。
【0021】
ポリオルガノシロキサンの重合温度は、50℃以上が好ましく、より好ましくは80℃以上である。
【0022】
ポリオルガノシロキサン(a−1)の重合時間は、酸触媒をシロキサン混合物、乳化剤および水とともに混合、微粒子化させて重合する場合は2時間以上、さらに好ましくは5時間以上であり、酸触媒の水溶液中にシロキサン混合物が微粒子化したラテックスを低下する方法では、ラテックスの滴下終了後1時間程度保持することが好ましい。重合の停止は、反応液を冷却し、さらにラテックスを苛性ソーダ、苛性カリ、炭酸ナトリウムなどのアルカリ性物質で中和することによって行うことができる。
【0023】
本発明におけるグラフト共重合体(A)を構成するアルキル(メタ)アクリレートゴム(a−2)は、アルキル(メタ)アクリレートと多官能性アルキル(メタ)アクリレートとの重合物である。アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレートおよびヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−ラウリルメタクリレート等のアルキルメタクリレートが挙げられ、特にn−ブチルアクリレートの使用が好ましい。多官能性アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えばアリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、多官能性アルキル(メタ)アクリレートの使用量は、アルキル(メタ)アクリレート成分中0.1〜20重量%であることが好ましく、より好ましくは0.2〜5重量%、さらに好ましくは0.2〜1重量%である。アルキル(メタ)アクリレートや多官能性アルキル(メタ)アクリレートは単独でまたは二種以上併用して用いられる。
【0024】
本発明におけるグラフト共重合体(A)の構成成分であるポリオルガノシロキサン(a−1)とアルキル(メタ)アクリレートゴム(a−2)からなる複合ゴム((a−1)+(a−2))は、ポリオルガノシロキサン(a−1)成分のラテックス中へ上記アルキル(メタ)アクリレート成分を添加し、通常のラジカル重合開始剤を作用させて重合することによって調製できる。アルキル(メタ)アクリレートを添加する方法としては、ポリオルガノシロキサン(a−1)成分のラテックスと一括で混合する方法とポリオルガノシロキサン(a−1)成分のラテックス中に一定速度で滴下する方法がある。なお、得られるグラフト共重合体(A)を含む樹脂組成物の耐衝撃性を考慮するとポリオルガノシロキサン(a−1)成分のラテックスを一括で混合する方法が好ましい。
【0025】
本発明における複合ゴム((a−1)+(a−2))中のポリオルガノシロキサン(a−1)の量は1〜20重量%であることが好ましい。1重量%未満ではポリオルガノシロキサン量が少ないため耐衝撃性が低くなりやすく、また、一方、20重量%を超えるとグラフト共重合体(A)を含む樹脂組成物から得られる成形品の顔料着色性が低下する傾向を示す。また、グラフト共重合体(A)を含む樹脂組成物の耐衝撃性と顔料着色性の両方を考慮すると、複合ゴム((a−1)+(a−2))中のポリオルガノシロキサン(a−1)の量は、より好ましくは6〜20重量%、さらに好ましくは10〜20重量%である。
【0026】
重合に用いるラジカル重合開始剤としては、過酸化物、アゾ系開始剤、または酸化剤・還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤が用いられる。この中では、レドックス系開始剤が好ましく、特に硫酸第一鉄・エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩・ロンガリット・ヒドロパーオキサイドを組み合わせたスルホキシレート系開始剤が好ましい。
【0027】
複合ゴム((a−1)+(a−2))を得るに当っての重合温度は特に限定されないが50〜90℃の温度で行うことが好ましい。
【0028】
本発明の樹脂組成物を構成するグラフト共重合体(A)は、上記の如く乳化重合によって製造された複合ゴムに、(a−3)芳香族アルケニル化合物、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよびシアン化ビニル化合物から選ばれる少なくとも一種の単量体をグラフト重合することによって製造することができる。
【0029】
グラフト共重合体(A)を得るのに使用される、芳香族アルケニル化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等であり、メタクリル酸エステルとしては、例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等であり、アクリル酸エステルとしては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等であり、シアン化ビニル化合物としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等である。このうち、グラフト共重合体(A)を含む樹脂組成物の熱安定性を考慮するとスチレンおよびアクリロニトリルの混合物が好ましい。
【0030】
グラフト重合は、複合ゴム((a−1)+(a−2))のラテックスに、(a−3)芳香族アルケニル化合物、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよびシアン化ビニル化合物から選ばれた少なくとも一種の単量体を加え、ラジカル重合により一段であるいは多段で行うことができるが、得られるグラフト共重合体を含む樹脂組成物の耐衝撃性および顔料着色性を考慮すると二段以上で重合を行うことが好ましい。また、上記グラフト重合において用いる単量体中にはグラフトポリマーの分子量やグラフト率を調製するための各種連鎖移動剤を添加することができる。
【0031】
本発明におけるグラフト共重合体(A)を構成するのに使用される単量体である(a−3)成分の量は、特に限定されないがグラフト共重合体(A)に対し(a−3)成分が50〜80重量%であることが好ましく、より好ましくは50〜70重量%、さらに好ましくは50〜60重量%である。(a−3)成分量が50重量%未満では得られる樹脂組成物の顔料着色性が低下する傾向を示し、また、一方、80重量%を超えるとゴム量が低くなるため耐衝撃性が低くなりやすい。
【0032】
グラフト重合体(A)を得るに当って重合温度は特に限定されないが、60〜90℃の温度で行われる。
【0033】
また、上記のごとく調製されるグラフト共重合体(A)の粒子径は特に限定されるものではないが、得られる樹脂組成物の耐衝撃性と顔料着色性の両方を考慮すると、数平均粒子径が0.10〜0.5μmであることが好ましく、より好ましくは0.10〜0.30μm、さらに好ましくは0.10〜0.15μmである。
【0034】
本発明で用いられるグラフト共重合体(A)は、上記のごとくに製造したグラフト共重合体ラテックスを酢酸カルシウムまたは硫酸アルミニウム等の金属塩を溶解した熱水中に投入し、塩折、凝固することによりグラフト共重合体を分離し、回収することができる。
【0035】
本発明の樹脂組成物を構成する共重合体(B)は、芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物および(メタ)アクリル酸エステルを必須の構成成分とする共重合体であって、必要に応じてこれらと共重合可能な他のビニル単量体成分を含むことができる。共重合体(B)を構成するのに使用される芳香族アルケニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、p−ブロモスチレン、p−クロロスチレン等が挙げられ、シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、マレオニトリル等が挙げられ、(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸グリシル等が挙げられる。また、これらと共重合可能な他のビニル単量体としては、N−置換マレイミド化合物、無水マレイン酸等の不飽和酸無水物、塩化ビニル等のハロゲン化ビニル化合物、エチレン、プロピレン等の不飽和炭化水素およびアクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸が挙げられる。
【0036】
本発明で用いられる共重合体(B)を構成する芳香族アルケニル化合物成分、シアン化ビニル化合物成分および(メタ)アクリル酸エステル成分およびこれらと共重合可能な他のビニル単量体成分の含有量としては特に限定されるものではないが、得られる樹脂組成物の流動性、耐候性、耐衝撃性および熱安定性を考慮すると、芳香族アルケニル化合物成分が10〜80重量%、シアン化ビニル化合物成分が5〜50重量%、(メタ)アクリル酸エステル化合物成分が1〜80重量%および共重合可能な他のビニル単量体成分が0〜20重量%であることが好ましい。より好ましくは、芳香族アルケニル化合物成分が20〜50重量%、シアン化ビニル化合物成分が10〜30重量%、(メタ)アクリル酸エステル化合物成分が5〜75重量%および共重合可能な他のビニル単量体成分が0〜20重量%となる範囲である。
【0037】
また、本発明に用いられる共重合体(B)中の(メタ)アクリル酸エステル化合物成分の含有量は、本発明の樹脂組成物の耐候性と耐衝撃性に影響し、(メタ)アクリル酸エステル化合物成分の含有量の増大に伴って、光および降雨曝露による成形品の変色は小さくなる傾向を示す。
【0038】
共重合体(B)の好ましい例としては、スチレン−アクリロニトリル−メタクリル酸メチルの三元重合体である。スチレン−アクリロニトリル−メタクリル酸メチル三元共重合体を共重合体(B)として用いた場合の各単量体成分の含有量としては特に限定されるものではないが、スチレン−アクリロニトリル−メタクリル酸メチル三元共重合体のガラス転移温度は各単量体成分の含有量に応じて変化し、これによって本発明の樹脂組成物の耐熱性が変化するため、使用する用途に応じてスチレン−アクリロニトリル−メタクリル酸メチル三元共重合体中の各単量体成分の含有量を規定する必要がある。例えば、自動車外装・内装部品等の特に高い耐熱性が要求される用途に使用される場合の好ましいスチレン−アクリロニトリル−メタクリル酸メチル三元共重合体のガラス転移温度としては100℃以上であり、これを示すスチレン−アクリロニトリル−メタクリル酸メチル三元共重合体の各単量体成分の範囲の好ましい例としては、メタクリル酸メチル成分量を0.1〜50重量%、アクリロニトリル成分量とスチレン成分量の合計が50〜99.9重量%となる範囲およびメタクリル酸メチル成分量を50〜99.9重量%含み、かつ、アクリロニトリル成分量とスチレン成分量の合計を100重量%としたときのアクリロニトリル成分量が0.1〜50重量%、スチレン成分量が50〜99.9重量%となる範囲である。
【0039】
さらに、本発明に係る樹脂組成物の耐熱性、流動性、耐候性および耐衝撃性を考慮すると、好ましい共重合体(B)の例としては、メタクリル酸メチル成分量を10〜30重量%、アクリロニトリル成分量を10〜20重量%およびスチレン成分量を50〜80重量%含有するスチレン−アクリロニトリル−メタクリル酸メチル三元共重合体およびメタクリル酸メチル成分量を60〜80重量%、アクリロニトリル成分量を10〜20重量%およびスチレン成分量を15〜30重量%含有するスチレン−アクリロニトリル−メタクリル酸メチル三元共重合体である。
【0040】
また、本発明で用いられる共重合体(B)の分子量は特に限定されないが、得られる樹脂組成物の流動性、耐候性、機械特性を考慮すると、重量平均分子量が50,000〜500,000の範囲が好ましく、より好ましくは50,000〜300,000の範囲である。
【0041】
本発明で用いられる共重合体(B)は、芳香族アルケニル化合物成分、シアン化ビニル化合物成分およびメタクリル酸エステル成分を必須成分として含有することが重要であり、これらのうち一つの成分が欠けても本発明の目的を達成することができない。
【0042】
本発明で用いられる共重合体(B)は、通常公知の乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法および塊状重合法によって得ることができる。このうち、得られる共重合体の熱安定性および生産性を考慮すると、懸濁重合法および溶液重合法を用いて製造することが好ましい。
【0043】
本発明の樹脂組成物は、上記のごとく製造したグラフト共重合体(A)と共重合体(B)を必須成分とするものである。樹脂組成物中の各成分の含有量は特に限定されないが、得られる樹脂組成物の耐衝撃性、剛性、流動性および耐候性を考慮すると、好ましい含有量の範囲は、合計量を100重量部としたとき、グラフト共重合体(A)0.1〜99.8重量部に対して共重合体(B)0.2〜99.9重量部の範囲であり、より好ましくはグラフト共重合体(A)10〜70重量部に対して共重合体(B)30〜90重量部となる範囲であり、さらに好ましくはグラフト共重合体(A)20〜50重量部に対して共重合体(B)50〜80重量部となる範囲である。
【0044】
本発明の樹脂組成物は、通常、公知の混合混練方法、例えば粉末、ビーズ、またはペレット状態の樹脂を所定量秤量して混合し、得られた混合物を溶融混練する方法等により得ることができる。溶融混練する際には、押出機または、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、ロール等の混練機等を用いればよい。
【0045】
本発明の樹脂組成物は、そのまま成形品の製造原料に供することができる。また、さらに必要に応じて染料、顔料、安定剤、補強剤、充填材、難燃剤等を配合することができる。
【0046】
本発明の樹脂組成物は、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、圧縮成形法、カレンダー成形法、インフレーション成形法等の各種成形方法によって、目的の成形品とされる。
【0047】
【実施例】
以下実施例により本発明を説明する。なお、参考例、実施例および比較例において『部』および『%』は特に断らない限り『重量部』および『重量%』を意味する。また、参考例、実施例および比較例における物性の評価は以下に示す方法によって行った。
【0048】
(1)重量平均粒子径
ラテックス中のポリオルガノシロキサンの重量平均粒子径およびラテックス中のグラフト共重合体の重量平均粒子径は、大塚電子(株)製、DLS−700型を用いた動的光散乱法により求めた。
【0049】
(2)参考例における共重合体のガラス転移温度は、セイコー電子工業(株)製SSC5000−DSC200型を用いたDSC測定により求めた。
【0050】
(3)アイゾット衝撃強度
ASTM D256に準拠して測定した。
【0051】
(4)ロックウェル硬度(表面硬度)
ASTM D785に準拠して測定した。
【0052】
(5)MI(メルトインデックス)
ASTM D1283に準拠し、バレル温度200℃、荷重5kgの条件で行った。
【0053】
(6)ビカット軟化温度
ISO306に準拠した方法で、荷重5kgの条件で行った。
【0054】
(7)スパイラル流動長
幅15mm、厚み2mmのスパイラル状の射出成形用金型による射出成形を、東芝機械(株)製、射出成形機IS−100ENを用いて、シリンダー設定温度230℃、金型温度60℃、インジェクションスピード50%および射出圧力設定53%の条件で行い、射出成形した成形品の樹脂の流動方向の長さを測定することによって行った。
【0055】
(8)耐候性
100mm×100mm×厚さ3mmの白着色板をサンシャインウエザーメーター(スガ試験機(株)製)で1000時間処理した後の色差計で測定した変色の度合い(ΔE)および下記式で算出した光沢度保持率により評価した。
【0056】
【数1】
Figure 0004124863
【0057】
(9)顔料着色性
東芝機械(株)製、射出成形機IS−100ENで成形した100mm×100mm×厚さ3mmの黒着色板を用いてJIS Z8729に準拠した色相測定によって測定した。
【0058】
[参考例1]グラフトの共重合体S−1の製造
オクタメチルシクロテトラシロキサン98部、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン2部を混合してシロキサン系混合物100部を得た。これにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.67部を溶解した蒸留水300部を添加し、ホモミキサーにて10000回転/分で2分間撹拌した後、ホモジナイザーに300kg/cm2 の圧力で1回通し、安定な予備混合オルガノシロキサンラテックスを得た。
【0059】
一方、試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機および撹拌装置を備えた反応器内に、ドデシルベンゼンスルホン酸10部と蒸留水90部とを注入し、10%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液を調製した。この水溶液を85℃に加熱した状態で、予備混合オルガノシロキサンラテックスを4時間にわたって滴下し、滴下終了後1時間温度を維持し、冷却した。次いで、この反応物を苛性ソーダ水溶液で中和した。このようにして得られたラテックスを170℃で30分間乾燥して固形分を求めたところ、17.7%であった。また、ラテックス中のポリオルガノシロキサンの重量平均粒子径は、0.05μmであった。
【0060】
次に、試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機および撹拌装置を備えた反応器内に、上記ポリオルガノシロキサンラテックス53.3部、N−ラウロイルザルコシンナトリウム0.3部を採取し、蒸留水258.5部を添加混合した後、n−ブチルアクリレート57部、アリルメタクリレート0.3部、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート0.1部およびキュメンヒドロパーオキサイド0.14部の混合物を添加した。この反応器に窒素気流を通して、雰囲気の窒素置換を行い、60℃まで昇温した。内部の液温が60℃となった時点で、硫酸第一鉄0.0001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0003部およびロンガリット0.24部を蒸留水10部に溶解させた水溶液を添加し、ラジカル重合を開始せしめた。アクリレート成分の重合により、液温は78℃まで上昇した。1時間この状態を維持し、アクリレート成分の重合を完結させてポリオルガノシロキサンとn−ブチルアクリレートゴムとからなる複合ゴムのラテックスを得た。
【0061】
次いで、反応器内部の液温が60℃に低下した後、ロンガリット0.4部を蒸留水10部に溶解した水溶液を添加し、次いで、アクリロニトリル12.9部、スチレン38.8部およびキュメンヒドロパーオキサイド0.23部の混合液を2時間にわたって滴下し重合した。滴下終了後、温度60℃の状態を1時間保持した後、硫酸第一鉄0.0002部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0006部およびロンガリット0.23部を蒸留水10部に溶解させた水溶液を添加し、次いで、アクリロニトリル7.4部、スチレン22.2部およびキュメンヒドロパーオキサイド0.13部の混合液を2時間にわたって滴下し重合した。滴下終了後、温度60℃の状態を1時間保持した後冷却し、ポリオルガノシロキサンとn−ブチルアクリレートゴムとからなる複合ゴムに、アクリロニトリルおよびスチレンをグラフト重合させたグラフト共重合体のラテックスを得た。得られたラテックス中のグラフト共重合体の重量平均粒子径は、0.13μmであった。次いで、硫酸アルミニウムを7.5%の割合で溶解した水溶液150部を60℃に加熱し撹拌した。この中へ上記のグラフト共重合体ラテックス100部を徐々に滴下し凝固した。次いで、析出物を分離し、洗浄した後乾燥して、グラフト共重合体S−1を得た。
【0062】
[参考例2]共重合体A−1の製造
冷却管、ジャケット加熱機および撹拌装置を備えた耐圧反応器内に、水150部、アクリロニトリル25部、スチレン70部、メタクリル酸メチル5部、アゾビスイソブチロニトリル0.20部、t−ドデシルメルカプタン0.4部およびポリビニルアルコール0.7部を仕込み、碇型撹拌棒を用いて400回転/毎分の条件で撹拌した。次いで、ジャケット加熱機により内温を75℃まで昇温し、2時間重合反応を行った。次に、再びジャケット加熱機により内温を110℃まで昇温し、20分間保持して反応を完結させた。次いで、内容物を冷却後、遠心脱水機を用いて洗浄、脱水を繰り返し、さらに得られた固形物を乾燥して、白色粒状の共重合体A−1を得た。この得られた共重合体A−1の重量平均分子量は、90,000であった。また、この重合体(A−1)のガラス転移温度を測定したところ、108℃であった。
【0063】
[参考例3]共重合体A−2の製造
共重合体A−1の製造において、重合に使用する単量体を、アクリロニトリル25部、スチレン65部、メタクリル酸メチル10部に変更した以外は、共重合体A−1の製造と同様な方法で重合を行って白色粒状の共重合体A−2を得た。この得られた共重合体A−2の重量平均分子量は、94,000であった。また、この重合体(A−2)のガラス転移温度を測定したところ、107℃であった。
【0064】
[参考例4]共重合体A−3の製造
共重合体A−1の製造において、重合に使用する単量体を、アクリロニトリル25部、スチレン50部、メタクリル酸メチル25部に変更した以外は、共重合体A−1の製造と同様な方法で重合を行って白色粒状の共重合体A−3を得た。この得られた共重合体A−3の重量平均分子量は、95,000であった。また、この重合体(A−3)のガラス転移温度を測定したところ、102℃であった。
【0065】
[参考例5]共重合体A−4の製造 共重合体A−1の製造において、重合に使用する単量体を、アクリロニトリル20部、スチレン65部、メタクリル酸メチル15部に変更した以外は、共重合体A−1の製造と同様な方法で重合を行って白色粒状の共重合体A−4を得た。この得られた共重合体A−4の重量平均分子量は、96,000であった。また、この重合体(A−4)のガラス転移温度を測定したところ、105℃であった。
【0066】
[参考例6]共重合体A−5の製造 共重合体A−1の製造において、重合に使用する単量体を、アクリロニトリル10部、スチレン20部、メタクリル酸メチル70部に変更した以外は、共重合体A−1の製造と同様な方法で重合を行って白色粒状の共重合体A−5を得た。この得られた共重合体A−5の重量平均分子量は、91,000であった。また、この重合体(A−5)のガラス転移温度を測定したところ、101℃であった。
【0067】
[参考例7]共重合体A−6の製造 共重合体A−1の製造において、重合に使用する単量体を、アクリロニトリル17部、スチレン12部、メタクリル酸メチル71部に変更した以外は、共重合体A−1の製造と同様な方法で重合を行って白色粒状の共重合体A−6を得た。この得られた共重合体A−6の重量平均分子量は、87,000であった。また、この重合体(A−6)のガラス転移温度を測定したところ、94℃であった。
【0068】
[参考例8]共重合体A−7の製造 共重合体A−1の製造において、重合に使用する単量体を、アクリロニトリル25部、スチレン25部、メタクリル酸メチル50部に変更した以外は、共重合体A−1の製造と同様な方法で重合を行って白色粒状の共重合体A−7を得た。この得られた共重合体A−7の重量平均分子量は、90,000であった。また、この重合体(A−7)のガラス転移温度を測定したところ、98℃であった。
【0069】
[参考例9]共重合体A−8の製造
冷却管、ジャケット加熱機および撹拌装置を備えた耐圧反応器内に、水150部、アクリロニトリル25部、スチレン75部、アゾビスイソブチロニトリル0.20部、t−ドデシルメルカプタン0.4部、およびポリビニルアルコール0.7部を仕込み、碇型撹拌棒を用いて400回転/毎分の条件で撹拌した。次いで、ジャケット加熱機により内温を75℃まで昇温し、2時間重合を行った。次に、再びジャケット加熱機により内温を110℃まで昇温し、20分間保持することで反応を完結させた。次いで、内容物を冷却後、遠心脱水機を用いて洗浄、脱水を繰り返し、さらに得られた固形物を乾燥し、白色粒状の共重合体A−8を得た。この得られた共重合体A−8の重量平均分子量は、84,000であった。また、この重合体(A−8)のガラス転移温度を測定したところ、107℃であった。
【0070】
[参考例10]重合体ブレンドB−1の製造
参考例9で製造した共重合体A−8 75部およびメタクリル樹脂(三菱レイヨン(株)製アクリペットVH)25部の混合物を、バレル温度を230℃に設定した二軸押出機で賦形して重合体ブレンドB−1のペレットを作製した。この重合体(B−1)のガラス転移温度を測定したところ、107℃と114℃であった。
【0071】
[参考例11]重合体ブレンドB−2の製造
参考例10の重合体ブレンドB−1の製造において、用いる共重合体A−8を75部から25部に、そしてメタクリル樹脂を25部から75部に変更する以外は、重合体ブレンドB−1の製造と同様の方法で賦形して重合体ブレンドB−2のペレットを作製した。この重合体(B−2)のガラス転移温度を測定したところ、107℃と114℃であった。
【0072】
[実施例1〜3]、[比較例1〜10]
参考例1〜11にて製造したグラフト共重合体S−1、共重合体A−1〜A−8、重合体ブレンドB−1〜B−2、ポリスチレン樹脂(スミブライトM−140、住友化学工業(株)製)、メタクリル樹脂(アクリペットVH、三菱レイヨン(株)製)およびMS樹脂(エスチレンMS−200、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、新日鐵化学(株)製)を表1に示す割合でそれぞれ混合し、さらに熱安定剤として、アデカスタブC(旭電化工業(株)製)を0.3部、離型剤としてステアリン酸バリウムを0.4部、滑剤としてEBS(エチレンビスステアレート)を0.4部、光安定剤としてアデカスタブLA−63P(旭電化工業(株)製)を0.2部およびアデカスタブLA−36(旭電化工業(株)製)を0.2部、さらに着色剤として酸化チタン(CR60−2、石原産業(株)製)を3.0部添加した後、ヘンシェルミキサーを用いて十分混合した。これら混合物をバレル温度230℃に設定した二軸押出機で賦形して、ペレットを作製した。得られたペレットをシリンダー温度230℃、金型温度60℃に設定した射出成形機により100mm×100mm×厚さ3mmの白着色板を成形した。この白着色成形板を用いて、耐候性の評価を行った。得られた結果を表1に示した。また、得られたペレットを用いてスパイラル流動長の測定およびメルトインデックスの測定を行った。結果を表1に示した。また、得られたペレットを用いてアイゾット衝撃強度、ロックウェル硬度およびビカット軟化温度測定用の試験片を射出成形法により作製し、これを用いてアイゾット衝撃強度、ロックウェル硬度およびビカット軟化温度の測定を行った。結果を表1に示した。
【0073】
また、上記樹脂組成物において、着色剤を酸化チタン3.0部からカーボンブロック(#960、三菱化学(株)製)0.8部に変更し、それぞれを同様のブレンド、賦形を行い黒着色したペレットを得た。次いで、このペレットを用いて上記と同じ条件で射出成形を行って100mm×100mm×厚さ3mmの成形板を得た。この成形板を用いて行った顔料着色性の評価結果を表1に示した。
【0074】
【表1】
Figure 0004124863
【0075】
【発明の効果】
表1に示す実施例からも明らかなとおり、本発明の樹脂組成物は、高い耐衝撃性と、優れた流動性、耐候性ならびに顔料着色性を同時に示し、特に、そのレベルは従来知られているポリオルガノシロキサンとアクリレートゴムからなる複合ゴムをゴム源とした樹脂材料では得られない非常に高いものであり、各種工業用材料としての利用価値は極めて高い。特に、実施例1〜3の樹脂組成物は、高い耐衝撃性と、優れた流動性、耐候性、顔料着色性に加え、良好な耐熱性を示すことから、例えば自動車外装・内装用部品を無塗装で使用する用途等に使用することが可能であり、その利用価値は極めて高いものである。

Claims (1)

  1. (a−1)ポリオルガノシロキサンと(a−2)アルキル(メタ)アクリレートゴムとからなる複合ゴム((a−1)+(a−2))に、(a−3)芳香族アルケニル化合物、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよびシアン化ビニル化合物から選ばれる少なくとも一種の単量体をグラフト重合してなるグラフト共重合体(A)、および芳香族アルケニル化合物成分、シアン化ビニル化合物成分および(メタ)アクリル酸エステル成分を必須の構成成分とする共重合体であって、(メタ)アクリル酸エステル成分を10〜25重量%含有する共重合体(B)からなる熱可塑性樹脂組成物。
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