JP4567872B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形光沢、顔料着色性に優れ、かつ、広い温度領域での耐衝撃性、特に高い面衝撃特性を有する熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、工業用途に用いられる樹脂材料には、成形加工後の外観、強度に加え、無塗装で使用する場合には太陽光や降雨による変色、物性低下の少ない、いわゆる優れた耐候性が求められ、さらに、顔料や染料等の着色剤を混合した際の発色性、顔料着色性が良好であることが望まれる。
特に、車両分野で用いられる樹脂部品においては、成形外観、衝撃強度および顔料着色性が高いレベルである必要がある。
【0003】
これらの特性のうち、衝撃強度は一般にASTM D−256試験法に準拠したアイゾット衝撃強度で評価されることが多く、例えば自動車外装用材料に使用可能かどうかの見極めは室温での衝撃強度に加え、−30℃あるいは−40℃といった低温雰囲気下での衝撃強度をもって判断されることが多い。しかし、この測定方法は一般に広く用いられているものの、測定で求められた衝撃特性と、実際に使用される実成形品の衝撃特性との間に乖離が起こることが多く、アイゾット衝撃強度の値は高いものの、実成形品では衝撃に弱く割れやすい現象が発生することがある。そのような場合、JIS K7211試験法に準拠したデュポン衝撃試験や落球衝撃試験等に代表される面衝撃試験で評価することにより、実成形品に近い衝撃特性が評価できる。
【0004】
また、車両分野に用いる樹脂材料に要求される顔料着色性は、用途や所望する色相によって異なるものの、一般には最も代表的な色調である黒色の発色性をもって評価されることが多い。この場合の評価法としては、カーボンブラック等の着色剤を一定量添加した樹脂成形品の明度(L*)を色相色差分析より求めることによって行うことができ、このL*の値が小さいものほど顔料着色性が優れていると評価できる。例えば自動車ドアハンドル、ホイールカバー等の自動車外装用材料等の高度な意匠性が要求される用途では、L*値が小さく、優れた漆黒性、透明感を有した材料が望まれる。
従来、このように高度な耐衝撃性と顔料着色性がともに要求される用途には、例えば耐衝撃性の高い樹脂材料表面に顔料着色性に優れた樹脂材料を積層したり、塗装したり、被覆したりして得られた樹脂材料等が用いられてきた。しかし、これらの方法では複雑な工程を要するために製造コストが高く、工業的に好ましくなかった。
【0005】
一方、ポリカーボネート樹脂は、その優れた耐衝撃性や透明性を生かして様々な工業用途に用いられている。しかし、その反面、成形加工温度が高い、流動性が悪いあるいは衝撃強度の厚み依存性が大きい等の欠点を有している。
従来、このようなポリカーボネート樹脂の欠点を克服する方法として、ポリカーボネート樹脂にABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)系樹脂をブレンドすることが広く行われている。しかし、この方法では得られる樹脂組成物の成形性や、その樹脂組成物から得られる成形品の耐衝撃性は良好であるが、耐候性が不良であり、前述のような塗装処理等を施さない状態での自動車外装用材料用途等には使用できなかった。
さらに、ポリカーボネート樹脂系樹脂組成物の耐候性を改良し、かつ上記ポリカーボネート樹脂の欠点を克服する方法として、特開昭64−79257号公報に、ポリオルガノシロキサンおよびポリアルキル(メタ)アクリレートからなる複合ゴムにビニル系単量体がグラフト重合されてなる複合ゴム系グラフト重合体をポリカーボネート樹脂にブレンドすることが提案されている。
【0006】
また、ABS系樹脂の耐衝撃性改質剤としての効果を向上させ、特に低温雰囲気下での衝撃強度を向上させる方法として、特開平6−1897号公報にポリカーボネート樹脂および/またはコポリエステルカーボネートならびにSAN(スチレン−アクリロニトリル)樹脂からなる樹脂マトリクスにABS系樹脂およびポリオルガノシロキサンおよびポリアルキル(メタ)アクリレートからなる複合ゴムにビニル系単量体がグラフト重合されてなる複合ゴム系グラフト重合体を添加することが提案されている。
さらに、特開平6−157889号公報、特開平9−157484号公報には、ポリオルガノシロキサンとアルキルアクリレートからなる複合ゴムに、ビニル系単量体がグラフト重合されてなる複合ゴム系グラフト共重合体と、ポリカーボネート樹脂とのブレンド物から得られる成形物の顔料着色性を改良する方法として、粒子径10〜70nmであり、100nmより大きい粒子の体積が全粒子体積の20%以下である複合ゴム系グラフト共重合体を用いることが提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平64−79257号公報に記載されている複合ゴム系グラフト共重合体とポリカーボネート樹脂からなる樹脂組成物の成形物は、高い耐衝撃性を示すものの、顔料着色性が不良であり、ポリカーボネート樹脂が本来有している優れた意匠性を損なう。そのため、例えば自動車外装用材料などの高度な意匠性が要求される用途には利用することができない。
また、特開平6−1897号公報に記載されている樹脂組成物は、ABS樹脂中にポリブタジエンが含まれるため耐候性が非常に悪い。さらに実施例に示された樹脂組成物はいずれも顔料着色性が不十分であるため、ポリカーボネート樹脂が本来有している優れた意匠性を損ない、自動車外装用材料などの高度な意匠性が要求される用途には利用することができない。
一方、特開平6−157889号公報に記載されている樹脂組成物は、顔料着色性が特に良好であるが、耐衝撃性、特に−30℃という低温環境下でのアイゾット衝撃強度と面衝撃強度が低く、低温衝撃強度が必要とされる自動車外装用材料等の用途には使用することができない。
さらに、特開平9−157484号公報に記載されている樹脂組成物は、顔料着色性や、広い温度領域でのアイゾット衝撃強度は良好であるが、低温領域における面衝撃強度が低く、様々な形態の自動車外装用材料等に使用するにはやはり不十分であった。
すなわち、ポリカーボネート樹脂の良好な耐候性や顔料着色性を有し、耐衝撃性の厚み依存性が小さく、かつ、広い温度領域での面衝撃特性を有する樹脂材料は見出されておらず、これらの特性を同時に満足する材料の開発が強く要望されていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ポリカーボネート樹脂組成物の顔料着色性を維持したまま面衝撃強度を改良する方法について鋭意検討したところ、驚くべきことに、特定の構造を有する二種のグラフト共重合体とポリカーボネート樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物が、従来にない顔料着色性と、低温環境下での面衝撃特性を示すことを見出し、本発明に到達した。
【0009】
すなわち本発明は、下記(A)成分1〜50重量%と、(B)成分1〜50重量%と、(C)成分5〜98重量%とを含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物を要旨とする。
(A)重量平均粒子径が300nm以上であるジエン系ゴム(a−1)1〜30重量%の存在下で、グラフト交叉剤と架橋剤とを含むアルキル(メタ)アクリレート単量体成分(a−2)99〜70重量%を乳化重合して得られる複合ゴム質重合体((a−1)+(a−2))20〜80重量%に、芳香族アルケニル化合物、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよびシアン化ビニル化合物から選ばれる少なくとも一種の単量体(a−3)80〜20重量%が乳化グラフト重合されたグラフト共重合体。
(B)ポリオルガノシロキサン(b−1)1〜90重量%の存在下で、多官能性単量体0.01〜10重量%と、アルキル(メタ)アクリレート60〜99.9重量%と、これらと共重合可能なビニル単量体0〜30重量%からなる単量体混合物(b−2)99〜10重量%をラジカル重合して得られる複合ゴム質重合体((b−1)+(b−2))20〜80重量%に、芳香族アルケニル化合物、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよびシアン化ビニル化合物から選ばれる少なくとも一種の単量体(b−3)80〜20重量%が乳化グラフト重合されたグラフト共重合体。
(C)ポリカーボネート樹脂
上記熱可塑性樹脂組成物は、さらに(D)ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
上記ジエン系ゴム(a−1)は、酸基含有共重合体ラテックスからなる肥大化剤で肥大化されたものであることが好ましい。
また、上記熱可塑性樹脂組成物は、下記(1)式を満足することが好ましい。
0.5≦wa/wb≦5 …(1)
(式中、waはグラフト共重合体(A)中の複合ゴム質重合体((a−1)+(a−2))の重量を示し、wbはグラフト共重合体(B)中の複合ゴム質重合体((b−1)+(b−2)の重量を示す。)
上記のポリカーボネート以外の熱可塑性樹脂(D)は、芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる少なくとも一種の単量体を構成成分とする(共)重合体であることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成するグラフト共重合体(A)中のジエン系ゴム(a−1)は、ブタジエン、イソプレン等のジエン成分と、これらと共重合可能な単量体成分を構成成分とするゴム質重合体であり、重量平均粒子径が300nm以上のものである。重量平均粒子径が300nm未満の場合は、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性および顔料着色性が低下する。
このような重量平均粒子径を有するジエン系ゴム(a−1)は、例えば、酸基含有共重合体ラテックスからなる肥大化剤でジエン系ゴム(a−1)粒子を肥大化することにより得られる。
【0011】
肥大化剤として用いられる酸基含有共重合体ラテックスとは、酸基含有単量体と、アクリル酸アルキルエステルとを共重合体の構成成分とする共重合体ラテックスである。酸基含有単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸およびクロトン酸等が挙げられ、アクリル酸アルキルエステルとしてはアルキル基の炭素数が1〜12のアクリル酸アルキルエステルが好ましい。酸基含有共重合体中の酸基含有単量体成分の重量割合は、ジエン系ゴム(a−1)を肥大化させる際のラテックスの安定性が優れ、肥大化して得られるジエン系ゴム(a−1)の平均粒子径を300nm以上に制御しやすいことから、共重合体中3〜30重量%、さらに好ましくは10〜25重量%である。また、酸基含有重合体ラテックス中の酸基含有共重合体の重量平均粒子径は、ジエン系ゴム(a−1)を肥大化させる際のラテックスの安定性が優れ、肥大化して得られるジエン系ゴム(a−1)の平均粒子径を300nm以上に制御しやすいことから、100〜200nmが好ましい。
肥大化は、乳化重合で得られた小粒子径のジエン系ゴム(a−1)ラテックス中に、上記酸基含有共重合体ラテックスを添加することによって行う。
【0012】
グラフト共重合体(A)を構成する複合ゴム質重合体((a−1)+(a−2))は、重量平均粒子径が300nm以上のジエン系ゴム(a−1)1〜30重量%の存在下で、グラフト交叉剤と架橋剤とを含むアルキル(メタ)アクリレート単量体成分(a−2)99〜70重量%を乳化重合して得られるものである。
ジエン系ゴム(a−1)の量が1重量%未満の場合は、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物の低温衝撃特性が低下し、一方、30重量%を超える場合は耐候性が低下する場合がある。
【0013】
アルキル(メタ)アクリレート単量体成分(a−2)中のアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレートや、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−ラウリルメタクリレート等のアルキルメタクリレートが挙げられ、特にn−ブチルアクリレートが好ましい。
アルキル(メタ)アクリレート単量体成分(a−2)中のグラフト交叉剤としては、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられ、単独または2種類以上混合して用いられる。アルキル(メタ)アクリレート単量体成分(a−2)中の架橋剤としてはエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート等が挙げられ、単独または2種類以上混合して用いられる。
【0014】
複合ゴム質重合体((a−1)+(a−2))は、重量平均粒子径が300nm以上のジエン系ゴム(a−1)ラテックスに、グラフト交叉剤と架橋剤とを含むアルキル(メタ)アクリレート単量体成分(a−2)を添加して乳化重合することによって得られる。
乳化重合には、ラジカル重合開始剤や乳化剤を使用する。ラジカル重合開始剤としては、過酸化物、アゾ系開始剤または酸化剤・還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤が用いられる。この中ではレドックス系開始剤が好ましく、特に硫酸第一鉄・エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩・ロンガリット・ヒドロパーオキサイドを組み合わせたスルホキシレート系開始剤が好ましい。また、乳化剤としては特に制限はないが、乳化重合時のラテックスの安定性が優れ、重合率を高められることから、サルコシン酸ソーダ、脂肪酸カリウム、脂肪酸ナトリウム、アルケニルコハク酸ジカリウム、ロジン酸石鹸等の各種カルボン酸塩が好ましい。さらにこれらの中では、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物の高温成形時のガス発生が抑制できることからアルケニルコハク酸ジカリウムが好ましい。
【0015】
複合ゴム質重合体((a−1)+(a−2))の粒子径分布には特に制限はないが、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性と高温成形時の光沢が優れることから、粒子径が100nm未満の粒子の割合が、5〜20重量%である複合ゴム質重合体((a−1)+(a−2))が好ましい。粒子径が100nm未満の粒子の割合が5重量%未満の場合は、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が低下する傾向を示し、一方、粒子径が100nm未満の粒子の割合が20重量%を超えると、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物を高温成形した時の成形品表面の光沢が低下する傾向を示す。
【0016】
グラフト共重合体(A)は、複合ゴム質重合体((a−1)+(a−2))に、芳香族アルケニル化合物、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよびシアン化ビニル化合物から選ばれる少なくとも一種の単量体成分(a−3)を乳化グラフト重合して製造することができる。
単量体成分(a−3)のうち芳香族アルケニル化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等であり、メタクリル酸エステルとしては、例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等であり、アクリル酸エステルとしては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等であり、シアン化ビニル化合物としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等である。これらのうち、単量体成分(a−3)として、スチレンとアクリロニトリルの混合物を使用すると、グラフト共重合体(A)の熱安定性が優れるため好ましい。
【0017】
グラフト共重合体(A)は、複合ゴム質重合体((a−1)+(a−2))20〜80重量%に対して、単量体成分(a−3)80〜20重量%を乳化グラフト重合させて得られる。このような重量割合で乳化グラフト重合すると、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性と顔料着色性がともに優れるため好ましい。単量体成分(a−3)の量が20重量%未満の場合は、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物の顔料着色性が低下し、一方、80重量%を超えると耐衝撃性が低下する場合がある。さらに好ましくは、グラフト共重合体(A)中、複合ゴム質重合体((a−1)+(a−2))が40〜70重量%で、単量体成分(a−3)は60〜30重量%である。このような場合、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物は良好な耐衝撃性と顔料着色性をバランス良く発現するため好ましい。
【0018】
グラフト共重合体(A)を製造する際の乳化グラフト重合は、乳化剤を使用してラジカル重合技術により行う。また、単量体成分(a−3)中には、グラフト率やグラフト成分の分子量を制御するための各種連鎖移動剤を添加することができる。
この際に用いるラジカル重合開始剤としては、過酸化物、アゾ系開始剤または酸化剤・還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤が用いられる。この中でレドックス系開始剤が好ましく、特に硫酸第一鉄・エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩・ロンガリット・ヒドロパーオキサイドを組み合わせたスルホキシレート系開始剤が好ましい。
乳化剤としては特に制限はないが、乳化重合時のラテックスの安定性が優れ、重合率が高められることから、サルコシン酸ソーダ、脂肪酸カリウム、脂肪酸ナトリウム、アルケニルコハク酸ジカリウム、ロジン酸石鹸等の各種カルボン酸塩が好ましい。より好ましくは、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物の高温成形時のガス発生を抑制できることからアルケニルコハク酸ジカリウムが好ましい。
【0019】
乳化グラフト重合で得られたグラフト共重合体(A)ラテックスは、ついで、凝固剤を溶解させた熱水中に投入され、凝析、固化される。凝固剤としては、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸等の無機酸や、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の金属塩等を用いることができる。このうち、グラフト共重合体(A)の生産性が優れ、かつ、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物の成形時における熱着色が優れることから無機酸が好ましい。ついで、上述のように凝固剤を使用して固化させたグラフト共重合体(A)を、水または温水中に再分散させてスラリー状とし、グラフト共重合体(A)中に残存する乳化剤残渣を水中に溶出させ、洗浄する。洗浄後、スラリーを脱水機等で脱水し、得られた固体を気流乾燥機等で乾燥すると、グラフト共重合体(A)が粒子状で得られる。
この際の洗浄条件としては特に制限はないが、乾燥後のグラフト共重合体(A)中に含まれる乳化剤残渣量が0.5〜2重量%の範囲となる条件で洗浄することが好ましい。グラフト共重合体(A)中の乳化剤残渣が0.5重量%未満の場合は、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性が低下する傾向を示し、一方、2重量%を超えると、熱可塑性樹脂組成物を高温で成形する際のガス発生量が大きくなる傾向を示す。
グラフト共重合体(A)中の乳化剤残渣の量は、上述のグラフト共重合体(A)の洗浄条件に加え、使用する乳化剤の量によっても変化する。そこで、グラフト共重合体(A)中の乳化剤残渣量を0.5〜2重量%とするために好ましい乳化剤使用量は、得られるグラフト共重合体(A)100重量部に対して、0.5〜5重量部であり、さらに好ましくは0.5〜1.5重量部である。
【0020】
グラフト共重合体(A)の重量平均粒子径には特に制限はないが、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が優れることから、200〜500nmであることが好ましく、さらに好ましくは230〜400nm、より好ましくは260〜350nmである。
また、グラフト共重合体(A)の好ましい特性としては、20℃/分の昇温条件で熱重量分析した際に、グラフト共重合体(A)の重量が1重量%減少する温度が300℃以上であることである。この温度が300℃未満の場合は、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物の高温成形時のガス発生量が増大する傾向を示す。
【0021】
本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成するグラフト共重合体(B)中のポリオルガノシロキサン(b−1)には特に制限はないが、好ましくは、ビニル重合性官能基を含有するポリオルガノシロキサンである。さらに好ましくは、ビニル重合性官能基を含有するシロキサン単位0.3〜3モル%と、ジメチルシロキサン単位97〜99.7モル%からなり、さらに3個以上のシロキサン結合を有するケイ素原子がポリジメチルシロキサン中の全ケイ素原子に対し1モル%以下のポリオルガノシロキサンである。
ポリオルガノシロキサン(b−1)粒子の大きさには特に制限はないが、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物の顔料着色性が優れることから、重量平均粒子径は600nm以下が好ましく、さらに好ましくは200nm以下である。
【0022】
ポリオルガノシロキサン(b−1)中において、ビニル重合性官能基を含有するシロキサン単位が0.3モル%未満では、ポリオルガノシロキサン(b−1)とアルキル(メタ)アクリレートゴム(b−2)との複合化が不十分となる場合がある。その結果、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物成形品の表面においてポリオルガノシロキサン(b−1)がブリードアウトし、成形品の外観が不良となりやすい。また、ポリオルガノシロキサン(b−1)中のビニル重合性官能基を含有するシロキサン単位が3モル%を超える場合や、3個以上のシロキサン結合を有するケイ素原子がポリオルガノシロキサン中の全ケイ素原子に対し1モル%を超える場合は、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が低くなりやすい。さらに、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性と成形外観がともに優れることから、好ましくは、ポリオルガノシロキサン(b−1)中のビニル重合性官能基を含有するシロキサン単位は0.5〜2モル%、より好ましくは0.5〜1モル%である。
【0023】
ポリオルガノシロキサン(b−1)の製造に用いられるジメチルシロキサンとしては、3員環以上のジメチルシロキサン系環状体が挙げられ、3〜7員環のものが好ましい。具体的にはヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等が挙げられ、これらは単独でまたは二種以上混合して用いられる。
【0024】
ビニル重合性官能基を含有するシロキサンとしては、ビニル重合性官能基を含有し、かつ、ジメチルシロキサンとシロキサン結合を介して結合しうるものである。ジメチルシロキサンとの反応性を考慮すると、ビニル重合性官能基を含有する各種アルコキシシラン化合物が好ましい。具体的には、β−メタクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシラン、δ−メタクリロイルオキシブチルジエトキシメチルシラン等のメタクリロイルオキシシロキサン、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン等のビニルシロキサン、p−ビニルフェニルジメトキシメチルシランさらにγ−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシロキサンが挙げられる。これらビニル重合性官能基を含有するシロキサンは、単独で、または二種以上の混合物として用いることができる。
【0025】
ポリオルガノシロキサン(b−1)を製造するためには、まず、ジメチルシロキサンとビニル重合性官能基を含有するシロキサンからなる混合物に、必要に応じてシロキサン系架橋剤を添加して、乳化剤と水によって乳化させてラテックスを得る。ついで、このラテックスを高速回転による剪断力で微粒子化するホモミキサーや、高圧発生機による噴出力で微粒子化するホモジナイザー等を使用して微粒子化させる。ホモジナイザー等の高圧乳化装置を使用すると、ポリオルガノシロキサン(b−1)ラテックスの粒子径の分布が小さくなるので好ましい。そして、この微粒子化後のラテックスを酸触媒が含まれる酸水溶液中に添加して高温下で重合させる。重合の停止は、反応液を冷却し、さらに苛性ソーダ、苛性カリ、炭酸ナトリウムなどのアルカリ性物質で中和することにより行う。
【0026】
酸触媒の添加方法は、あらかじめ、シロキサン混合物、乳化剤および水とともに酸触媒を混合する方法でもよいし、高温の酸水溶液を、シロキサン混合物が微粒子化したラテックス中に高温の酸水溶液を一定速度で滴下する方法でもよい。
しかし、得られるポリオルガノシロキサンの粒子径を制御しやすいことから、シロキサン混合物が微粒子化したラテックスを高温の酸水溶液中に一定速度で滴下する方法が好ましい。
重合時間は、酸触媒をシロキサン混合物、乳化剤および水とともに混合、微粒子化させて重合する場合は2時間以上、さらに好ましくは5時間以上である。シロキサン混合物が微粒子化したラテックスを、酸触媒の水溶液中に滴下する方法では、ラテックスの滴下終了後1時間程度保持することが好ましい。また、重合温度は、50℃以上が好ましく、さらに好ましくは80℃以上である。
【0027】
ポリオルガノシロキサン(b−1)を製造する際に使用されるシロキサン系架橋剤としては、3官能性または4官能性のシラン系架橋剤、例えばトリメトキシメチルシラン、トリエトキシフェニルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。
また、乳化剤としては、アニオン系乳化剤が好ましく、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステルナトリウムなどの中から選ばれた乳化剤が使用される。これらの中では、特にアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸系の乳化剤が好ましい。これらの乳化剤は、シロキサン混合物100重量部に対して、0.05〜5重量部程度の範囲で使用される。0.05重量部未満では使用量が少なく分散状態が不安定となり、微小な粒子径の乳化状態を保てなくなる。また、5重量部を超えると使用量が多く、乳化剤の色が熱可塑性樹脂組成物成形品の色に大きな影響を与える場合がある。
【0028】
ポリオルガノシロキサン(b−1)の重合に用いる酸触媒としては、脂肪族スルホン酸、脂肪族置換ベンゼンスルホン酸、脂肪族置換ナフタレンスルホン酸などのスルホン酸類および硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸類が挙げられる。これらの酸触媒は一種でまたは二種以上を組み合わせて用いられる。また、これらの中では、ポリオルガノシロキサン(b−1)ラテックスの安定化作用にも優れているため、脂肪族置換ベンゼンスルホン酸が好ましく、n−ドデシルベンゼンスルホン酸が特に好ましい。また、n−ドデシルベンゼンスルホン酸と硫酸などの鉱酸とを併用すると、ポリオルガノシロキサン(b−1)ラテックスに使用した乳化剤の色が熱塑性樹脂組成物成形品の色に与える影響を、小さく抑えることができる。
【0029】
グラフト共重合体(B)を構成する複合ゴム質重合体((b−1)+(b−2))は、ポリオルガノシロキサン(b−1)1〜90重量%の存在下で、単量体混合物(b−2)99〜10%をラジカル重合して得られる。複合ゴム質重合体((b−1)+(b−2))中のポリオルガノシロキサン(b−1)の量が1重量%未満では、ポリオルガノシロキサン(b−1)量が少ないため耐衝撃性が低くなり、90重量%を超えると最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物の顔料着色性が低下する場合がある。また、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性と顔料着色性がともに優れることから、複合ゴム質重合体((b−1)+(b−2))中のポリオルガノシロキサン(b−1)は、好ましくは3〜60重量%、さらに好ましくは5〜40重量%である。
【0030】
単量体混合物(b−2)は、多官能性単量体0.01〜10重量%と、アルキル(メタ)アクリレート60〜99.9重量%と、これらと共重合可能なビニル単量体0〜30重量%からなる。多官能性単量体としては、例えばアリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等の多官能性アルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは単独でまたは二種以上併用して用いることができるが、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が高くなることから、アリルメタクリレートを単独で使用するか、または、アリルメタクリレートと1,3−ブチレングリコールジメタクリレートを併用することが好ましい。また、多官能性単量体は、単量体混合物(b−2)中、通常0.1〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%、さらに好ましくは0.2〜1重量%である。
【0031】
単量体混合物(b−2)を構成するアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレートや、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−ラウリルメタクリレート等のアルキルメタクリレートが挙げられる。これらは単独で、または二種以上を併用できるが、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性と成形光沢がともに優れることから、特にn−ブチルアクリレートの使用が好ましい。
【0032】
単量体混合物(b−2)には、アルキル(メタ)アクリレートおよび多官能性単量体以外に、これらと共重合可能なビニル系単量体が含まれていてもよい。共重合可能なビニル系単量体としては、特に制限はないが、例えば、前述の芳香族アルケニル化合物やシアン化ビニル化合物等を任意に利用できる。
【0033】
複合ゴム質重合体((b−1)+(b−2))は、ポリオルガノシロキサン(b−1)のラテックス中へ、単量体混合物(b−2)を添加し、通常のラジカル重合開始剤を用いて重合することによって得られる。単量体混合物(b−2)は、ポリオルガノシロキサン(b−1)のラテックスと、一括で混合されてもよいし、ポリオルガノシロキサン(b−1)のラテックス中に一定速度で滴下されてもよい。
しかし、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が優れることから、ポリオルガノシロキサン(b−1)のラテックスと一括で混合される方法が好ましい。
重合に用いられるラジカル重合開始剤としては、過酸化物、アゾ系開始剤、または酸化剤・還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤が用いられる。この中では、レドックス系開始剤が好ましく、特に硫酸第一鉄・エチレンジアミン四酢酸にナトリウム塩・ロンガリット・ヒドロパーオキサイドを組み合わせたスルホキシレート系開始剤が好ましい。
【0034】
グラフト共重合体(B)は、複合ゴム質重合体((b−1)+(b−2))20〜80重量%に、芳香族アルケニル化合物、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよびシアン化ビニル化合物から選ばれる少なくとも一種の単量体(b−3)80〜20重量%を乳化グラフト重合して得られる。
グラフト重合体(B)中、単量体(b−3)が20重量%未満では、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物の顔料着色性が低下する傾向を示し、また、80重量%を超えると複合ゴム重合体((b−1)+(b−2))量が低くなるため、耐衝撃性が低くなりやすい。好ましくは、顔料着色性と耐衝撃性がともに優れることから、単量体(b−3)は70〜30重量%、さらに好ましくは65〜35重量%である。
グラフト共重合体(B)の粒子径は、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性と顔料着色性がともに優れることから、重量平均粒子径が50〜600nmであることが好ましく、さらに好ましくは100〜400nmである。
【0035】
単量体(b−3)に用いられる芳香族アルケニル化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等であり、メタクリル酸エステルとしては、例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等であり、アクリル酸エステルとしては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等であり、シアン化ビニル化合物としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等である。このうち、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物の熱安定性が優れることからスチレンおよびアクリロニトリルの混合物が好ましい。
【0036】
グラフト重合体(B)は、複合ゴム質重合体((b−1)+(b−2))のラテックスに、単量体(b−3)を加え、ラジカル重合技術により一段であるいは多段で得られる。単量体(b−3)中にはグラフトポリマーの分子量やグラフト率を調整するための各種連鎖移動剤を添加することができる。
また、グラフト重合の際には、重合ラテックスを安定化させ、さらにグラフト共重合体(B)の平均粒子径を制御するために乳化剤を添加することができる。
乳化剤としては、特に制限はないが、カチオン系乳化剤、アニオン系乳化剤およびノニオン系乳化剤等が好ましい。
グラフト重合が終了した後、ラテックスを酢酸カルシウムまたは硫酸アルミニウム等の金属塩が溶解した熱水中に投入し、凝析、固化することによりグラフト共重合体(B)粒子を分離、回収することができる。
【0037】
本発明で用いられるポリカーボネート系樹脂(C)は、ジヒドロキシジアリールアルカンから得られるものであり、任意に枝分かれしていても良い。ポリカーボネート樹脂(C)は公知の方法により製造されるものであり、一般にジヒドロキシ化合物またはポリヒドロキシ化合物を、ホスゲンまたは炭酸のジエステルと反応させることにより製造される。
ジヒドロキシアリールアルカンは、ヒドロキシ基に関しオルトの位置にアルキル基、塩素原子または臭素原子を有していてもよい。ジヒドロキシジアリールアルカンの好ましい具体例としては、4,4’−ジヒドロキシ−2,2’−ジフェニルプロパン(ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン等が挙げられる。また、分岐したポリカーボネートは、例えばジヒドロキシ化合物の一部、例えば0.2〜2モル%をポリヒドロキシ化合物で置換することにより製造される。ポリヒドロキシ化合物の具体例としては、1,4−ビス(4’,4,2−ジヒドロキシトリフェニルメチル)−ベンゼン、フロロダルシノール、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン−2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)−エタンならびに2,2−ビス[4,4’−(4,4’−ジヒドロキシフェニル)シキロヘキシル]プロパン等が挙げられる。ポリカーボネート樹脂(C)は任意の分子量のものを使用することができる。
【0038】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、グラフト共重合体(A)と、グラフト共重合体(B)と、ポリカーボネート樹脂(C)を含む。これら各成分の含有量には特に制限はないが、熱可塑性樹脂組成物の面衝撃強度、剛性、耐候性が優れることから、熱可塑性樹脂組成物を100重量%とした場合に、グラフト共重合体(A)が1〜50重量%、グラフト共重合体(B)が1〜50重量%、ポリカーボネート樹脂(C)が5〜98重量%である。さらに好ましくは、グラフト共重合体(A)が、3〜40重量%、グラフト共重合体(B)が3〜40重量%、ポリカーボネート樹脂(C)が20〜90重量%である。
【0039】
さらに、熱可塑性樹脂組成物の低温環境下での面衝撃特性をより改善するためには、下記(1)式を満足することが好ましい。
0.5≦wa/wb≦5 …(1)
(式中、waはグラフト共重合体(A)中の複合ゴム質重合体((a−1)+(a−2))の重量を示し、wbはグラフト共重合体(B)中の複合ゴム質重合体((b−1)+(b−2)の重量を示す。)
a/wbが0.5未満の場合、または5を超える場合、熱可塑性樹脂組成物の低温環境下の面衝撃が低下する場合がある。
さらには、下記(2)式を満足することがより好ましい。
0.8≦wa/wb≦4 …(2)
【0040】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、さらにポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂(D)が含まれていてもよい。このような熱可塑性樹脂(D)としては、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物が、良好な耐衝撃性、耐候性、顔料着色性を発現することから、PBT樹脂、PET樹脂等の樹脂、芳香族アルケニル化合物成分、シアン化ビニル化合物成分、(メタ)アクリル酸エステル成分から選ばれる少なくとも一種の単量体成分を構成成分とする(共)重合体、芳香族アルケニル化合物成分、シアン化ビニル化合物成分およびN置換マレイミド成分を構成成分とする共重合体が好ましい。より好ましくは、芳香族アルケニル化合物成分、シアン化ビニル化合物成分、(メタ)アクリル酸エステル成分から選ばれる少なくとも一種の単量体成分を構成成分とする(共)重合体である。
好ましい熱可塑性樹脂(D)の具体例としては、アクリロニトリル−スチレン共重合体(SAN)樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂、スチレン−メチルメタクリレート共重合体(MS)樹脂、ポリスチレン樹脂およびアクリロニトリル−スチレン−メチルメタクリレート三元共重合体等の硬質樹脂、ハイインパクトポリスチレン、ABS樹脂、AES樹脂、MBS樹脂、本発明で使用されるもの以外のASA樹脂等のゴム変性樹脂である。
【0041】
熱可塑性樹脂組成物中に熱可塑性樹脂(D)が含まれる場合には、得られる熱可塑性樹脂組成物の面衝撃強度、剛性、耐候性が優れることから、熱可塑性樹脂組成物を100重量%とした場合、グラフト共重合体(A)が1〜50重量%で、グラフト共重合体(B)が1〜50重量%で、ポリカーボネート樹脂(C)が50〜98重量%で、熱可塑性樹脂(D)が5〜90重量%の範囲であることが好ましい。さらにはグラフト共重合体(A)が3〜40重量%で、グラフト共重合体(B)が3〜40重量%で、ポリカーボネート樹脂(C)が10〜90重量%で、熱可塑性樹脂(D)が10〜80重量%であることが好ましい。
【0042】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、グラフト共重合体(A)、グラフト共重合体(B)、ポリカーボネート樹脂(C)と、さらに必要に応じて熱可塑性樹脂(D)を、押出機または、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、ロール等の混練機等を用いて溶融混練することにより製造できる。
得られた熱可塑性樹脂組成物はそのままで、または、必要に応じて染料、顔料、安定剤、補強剤、充填材、難燃剤、発泡剤、滑剤、可塑剤等の添加剤を配合した後、成形品の製造原料として使用することができる。この熱可塑性樹脂組成物は、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、圧縮成形法、カレンダー成形法、インフレーション成形法等の各種成形方法によって、目的の成形品とされる。
このような熱可塑性樹脂組成物の工業的用途例としては、車両部品、特に無塗装で使用される各種外装・内装部品、壁材、窓枠等の建材部品、食器、玩具、掃除機ハウジング、テレビジョンハウジング、エアコンハウジング等の家電部品、インテリア部材、船舶部材および通信機器ハウジング等が挙げられる。
【0043】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の例に限定されるものではない。なお、以下の例中の%および部数は明記しない限りは重量基準とする。
(参考例1)ジエン系ゴムラテックス(G−1)の製造
下記各成分を10Lのステンレス製オートクレーブに仕込み、50℃に昇温した。
イオン交換水 145部
不均化ロジン酸カリウム 1.0部
オレイン酸カリウム 1.0部
ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート二水和物 0.4部
無水硫酸ナトリウム 0.1部
ターシャリードデシルメルカプタン 0.3部
ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド 0.5部
1,3−ブタジエン 26.2部
スチレン 1.4部
続いて、ピロリン酸ナトリウムを0.5部と、硫酸第一鉄を0.005部と、イオン交換水を5部からなる混合物を添加し、重合を開始した。
重合温度57℃で、1,3−ブタジエンが68.6部、スチレンが3.6部からなる混合物を圧力ポンプにて滴下供給した。
次いで、重合転化率が40%に達した時点で、ノルマルドデシルメルカプタンを0.3部添加し、さらに重合を継続した。8時間後、残存した1,3−ブタジエンを除去し、固形分が40.2%、重合転化率が97%、重量平均粒子径70nmのジエン系ゴムラテックス(G−1)を得た。
【0044】
(参考例2) 肥大化用酸基含有共重合体ラテックス(K−1)の合成
冷却管、ジャケット加熱器および攪拌装置を備えた反応器内に、窒素気流下で下記各成分を仕込み、攪拌を行いながら内温65℃に昇温した。
オレイン酸カリウム 2.2部
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(70%溶液) 3.6部
ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート二水和物 0.3部
硫酸第一鉄七水塩 0.003部
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.009部
イオン交換水 200部
これに、n−ブチルアクリレートを81.5部と、メタクリル酸を18.5部と、クメンヒドロパーオキシドを0.5部からなる混合物を2時間かけて添加し、添加終了後も2時間そのままの温度で重合を継続した。重合転化率は98%であり、平均粒子径150nmの肥大化用酸基含有共重合体ラテックス(K−1)を得た。
【0045】
(参考例3)グラフト共重合体(A−1)の製造
参考例1で調製したジエン系ゴムラテックス(G−1)100部(固形分として)に、参考例2で調製した肥大化用酸基含有共重合体ラテックス(K−1)2.1部(固形分として)を攪拌しながら添加し、さらに30分間攪拌を続け肥大化されたジエン系ゴムラテックスを得た。肥大化後のジエン系ゴムの重量平均粒子径は380nmであった。
次に、試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機および攪拌装置を備えた反応器に、
肥大化ジエン系ゴムラテックス(固形分として) 10部
アルケニルコハク酸ジカリウム 0.3部
イオン交換水 175部
ブチルアクリレート 40部
アリルメタクリレート 0.16部
1,3−ブチレングリコールジメタクリレート 0.08部
ターシャリーブチルヒドロパーオキサイド 0.1部
を添加した。
この反応器に窒素気流を通じることによって、雰囲気の窒素置換を行い、60℃まで昇温した。内部の液温が50℃となった時点で、
硫酸第一鉄 0.00015部
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.00045部
ロンガリット 0.24部
イオン交換水 5部
からなる水溶液を添加した後、内温を75℃に上昇させ、ラジカル重合を開始させた。1時間この状態を維持し、アクリレート成分の重合を完結させ、肥大化されたジエン系ゴムとブチルアクリレートゴムとの複合ゴム質重合体のラテックスを得た。
この複合ゴム質重合体ラテックスを少量サンプリングして測定した重量平均粒子径は300nmで、粒子径が100nm未満の粒子の重量割合は8%であった。次に、この複合ゴム質重合体ラテックスに対して、
ロンガリット 0.15部
アルケニルコハク酸ジカリウム 0.65部
イオン交換水 10部
からなる水溶液を添加し、次いで
アクリロニトリル 6.3部
スチレン 18.7部
ターシャリーブチルヒドロパーオキサイド 0.11部
の混合液を1時間にわたって滴下し重合した。滴下終了から5分後、
硫酸第一鉄 0.001部
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.003部
ロンガリット 0.15部
イオン交換水 5部
からなる水溶液を添加し、次いで
アクリロニトリル 6.3部
スチレン 18.7部
ターシャリーブチルヒドロパーオキサイド 0.19部
ノルマルオクチルメルカプタン 0.014部
の混合液を1時間にわたって滴下し重合した。滴下終了後、温度75℃の状態を10分間保持した後冷却し、内温が60℃となった時点で、
抗酸化剤(吉富製薬工業(株)製アンテージW500) 0.2部
アルケニルコハク酸ジカリウム 0.2部
イオン交換水 5部
からなる混合物を添加した。以上の操作により、肥大化されたジエン系ゴムとブチルアクリレートゴムとの複合ゴム質重合体に、アクリロニトリルとスチレンをグラフト重合させたグラフト共重合体(A−1)のラテックスを得た。
得られたラテックス中の重合体の重量平均粒子径は325nmであった。
次いで、上記グラフト共重合体(A−1)ラテックスを全ラテックスの1.2倍量の45℃に加熱した硫酸0.6%水溶液中に攪拌しながら投入し、重合体を凝析させた。次いで液温を65℃に上昇させ5分間保持した後、液温を90℃まで上昇させた。次いで析出物を分離した後、この回収物を10倍量のイオン交換水中に投入後10分間撹拌して洗浄を行った。この分散液を遠心脱水機で脱水処理し、さらに80℃で16時間乾燥し、グラフト共重合体(A−1)を得た。
グラフト共重合体(A−1)中の残存乳化剤残渣量は、1.3%、アセトン不溶分量は82%、アセトン可溶成分の還元粘度は0.65dl/g、グラフト重合体の重量が1%減少する温度は320℃であった。
【0046】
(参考例4)ポリオルガノシロキサン(L−1)ラテックスの製造
オクタメチルシクロテトラシロキサン 98部
γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン 2部
を混合してシロキサン系混合物100部を得た。これに
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.67部
を溶解したイオン交換水300部を添加し、ホモミキサーにて10000回転/分で2分間撹拌した後、ホモジナイザーに200kg/cm2の圧力で1回通し、安定な予備混合オルガノシロキサンラテックスを得た。
一方、試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機および攪拌装置を備えた反応器内に、
ドデシルベンゼンスルホン酸 10部
イオン交換水 90部
とを注入し、10%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液を調製した。
この水溶液を85℃に加熱した状態で、予備混合オルガノシロキサンラテックスを4時間に亘って滴下し、滴下終了後1時間温度を維持し、冷却した。次いでこの反応物を苛性ソーダ水溶液で中和した。
このようにして得られたポリオルガノシロキサン(L−1)ラテックスを170℃で30分間乾燥して固形分を求めたところ、17.7%であった。また、ラテックス中のポリオルガノシロキサン(L−1)の重量平均粒子径は50nmであった。
【0047】
(参考例5) グラフト共重合体(B−1)の製造
試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機および攪拌装置を備えた反応器内に、参考例4で製造した
ポリオルガノシロキサン(L−1)ラテックス 45.2部
エマールNC−35(ポリオキシエチレンアルキル
フェニルエーテルサルフェート;花王(株)製) 0.2部
を採取し、イオン交換水148.5部を添加混合した後、
ブチルアクリレート 42部
アリルメタクリレート 0.3部
1,3−ブチレングリコールジメタクリレート 0.1部
t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.11部
の混合物を添加した。
この反応器に窒素気流を通じることによって、雰囲気の窒素置換を行い、60℃まで昇温した。内部の液温が60℃となった時点で、
硫酸第一鉄 0.000075部
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.000225部
ロンガリット 0.2部
イオン交換水 10部
からなる水溶液を添加し、ラジカル重合を開始させた。アクリレート成分の重合により、液温は78℃まで上昇した。1時間この状態を維持し、アクリレート成分の重合を完結させポリオルガノシロキサン(L−1)とブチルアクリレートゴムとの複合ゴム質重合体のラテックスを得た。
反応器内部の液温が70℃に低下した後、
ロンガリット 0.25部
イオン交換水 10部
からなる水溶液を添加し、次いで
アクリロニトリル 2.5部
スチレン 7.5部
t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.05部
の混合液を2時間にわたって滴下し重合した。滴下終了後、温度60℃の状態を1時間保持した後、
硫酸第一鉄 0.001部
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.003部
ロンガリット 0.2部
エマールNC−35(花王(株)製) 0.2部
イオン交換水 10部
からなる水溶液を添加し、次いで
アクリロニトリル 10部
スチレン 30部
t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.2部
の混合液を2時間にわたって滴下し重合した。滴下終了後、温度60℃の状態を0.5時間保持した後
キュメンヒドロパーオキサイド 0.05部
を添加し、さらに温度60℃の状態を0.5時間保持した後冷却した。このラテックスに
ラテムルASK 0.5部
(アルケニルコハク酸ジカリウム塩;花王(株)製)
添加し、ポリオルガノシロキサン(L−1)とブチルアクリレートゴムとからなる複合ゴム質重合体に、アクリロニトリル、スチレンをグラフト重合させたグラフト共重合体(B−1)のラテックスを得た。
ラテックス中のグラフト共重合体(B−1)の重量平均粒子径は、120nmであった。
次いで酢酸カルシウムを1%の割合で溶解した水溶液150部を60℃に加熱し撹拌した。この中へグラフト共重合体(B−1)のラテックス100部を徐々に滴下し凝固した。次いで析出物を分離し、洗浄した後、遠心器(国産遠心器(株)製;H−130E)を用いて1800回転毎秒の条件で2分間脱水処理した。
次いで、85℃で24時間乾燥し、グラフト共重合体(B−1)を得た。
また、グラフト共重合体(B−1)中のアセトン不溶分は85%であり、アセトン可溶成分の還元粘度は0.58dl/gであった。
【0048】
(参考例6)ポリオルガノシロキサン(L−2)ラテックスの製造
オクタメチルシクロテトラシロキサン 97.5部
γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン 0.5部
テトラエトキシシラン 2部
を混合してシロキサン系混合物100部を得た。これに
ドデシルベンゼンスルホン酸 1部
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 1部
イオン交換水 200部
からなる水溶液を添加し、ホモミキサーにて10000回転/分で2分間撹拌した後、ホモジナイザーに200kg/cm2の圧力で1回通し、安定な予備混合オルガノシロキサンラテックスを得た。
この予備混合オルガノシロキサンラテックスを、冷却管、ジャケット加熱器および攪拌装置を備えた反応器内に入れ、攪拌混合しながら80℃で5時間加熱した後約20℃に冷却し、そのまま48時間放置した。次いでこの反応物を苛性ソーダ水溶液でpH7.0に中和し重合を完結した。
このようにして得られたポリオルガノシロキサン(L−2)ラテックスを170℃で30分間乾燥して固形分を求めたところ、36.5%であった。また、ラテックス中のポリオルガノシロキサン(L−2)の重量平均粒子径は160nmであった。
【0049】
(参考例7) グラフト共重合体(B−2)の製造
試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機および攪拌装置を備えた反応器内に、参考例6で製造した
ポリオルガノシロキサンラテックス(L−2)
(固形分として30部) 82.1部
イオン交換水 242.9部
を加え、窒素置換した後に50℃に昇温し、
n−ブチルアクリレート 37.5部
アリルメタクリレート 2.5部
t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.3部
からなる混合物を添加して室温のまま30分間攪拌した。次いで、
硫酸第一鉄七水塩 0.0003部
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.001部
ロンガリット 0.17部
イオン交換水 5部
からなる水溶液を添加してラジカル重合を開始させ、その後内温70℃で2時間重合を保持し、アクリレートの重合を完結させ複合ゴム質重合体のラテックスを得た。このラテックスを一部採取し、複合ゴム質重合体の重量平均粒子径を測定したところ、190nmであった。
この複合ゴム質重合体ラテックスに、
アクリロニトリル 9部
スチレン 21部
t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.3部
からなる混合物を、内温70℃にて45分間にわたり滴下し、その後70℃で4時間保持し、複合ゴム質重合体へのグラフト重合を完結した。
このグラフト共重合体(B−2)ラテックスを、同量の12%塩化カルシウム60℃水溶液中に攪拌しながら投入し、その後、80℃にて5分間、さらに95℃にて5分間保持することにより凝固した。次いで析出物を分離し、洗浄した後、遠心器(国産遠心器(株)製;H−130E)を用いて1800回転毎秒の条件で2分間脱水処理した。
次いで、85℃で24時間乾燥し、グラフト共重合体(B−2)を得た。また、グラフト共重合体(B−2)中のアセトン不溶分は93%であり、アセトン可溶成分の還元粘度は0.65dl/gであった。
【0050】
参考例中の各種物性の測定は以下の方法で行った。
(1) ラテックス中の(共)重合体の重量平均粒子径
MATEC APPLIED SCIENCES社製サブミクロン粒度分布測定器CHDF−2000を用いて測定した。
(2) 複合ゴム質重合体中における粒子径が100nm未満の粒子の重量割合
複合ゴム質重合体ラテックスの重量換算粒子径分布を、MATEC APPLIED SCIENCES社製サブミクロン粒度分布測定器CHDF−2000を用いて測定し、これより100nm以下の粒子径重量を求めた。
(3) グラフト共重合体中のアセトン不溶分量
冷却管および加熱器を備えたフラスコ中に、グラフト共重合体約2.5g(秤量)およびアセトン80mlを入れ、加熱器により65℃で3時間加熱抽出処理を行った。冷却後、内液を日立工機(株)遠心分離器を用いて15000回転/分の条件で30分処理してアセトン不溶分を分離し、ついで上澄みを取り除いた後の沈殿物を乾燥後、その重量を測定し、以下の式(3)で算出した。
アセトン不溶分(重量%)=分離処理後の沈殿物乾燥重量/アセトン抽出前のグラフト共重合体重量 ×100 ・・・ (3)
(4) グラフト共重合体中のアセトン可溶成分の還元粘度
上記(3)において、遠心分離処理でアセトン不溶分を分離して得た上澄み液から、アセトン溶媒を減圧蒸発させてアセトン可溶成分を析出回収した。次いでこのアセトン可溶成分0.2gを100ccのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させて得られた溶液の溶液粘度を、自動粘度計(サン電子工業(株)製)を用いて25℃で測定した。そして、同条件で測定した溶媒粘度よりアセトン可溶分の還元粘度を求めた。
(5) グラフト共重合体中の乳化剤残渣量
グラフト共重合体中に含まれる乳化剤残渣を、アセトン溶媒中で、メタノールと塩酸によりメチルエステル化させた後、濾過した。次いで、濾液中の溶媒を減圧除去して得られた残渣をノルマルヘキサンに溶解させ、これを水洗した後、ガスクロマトグラフィー(島津製作所(株)製GC−14B)にて定量分析し求めた。
(6)グラフト共重合体の重量が1%減少する温度の測定
セイコー電子工業(株)製「TG/DTA200」を用い、昇温条件20℃/分の条件で測定した。
【0051】
(実施例1〜4および比較例1〜3)
参考例3で製造したグラフト共重合体(A−1)、参考例5で製造したグラフト共重合体(B−1)、参考例7で製造したグラフト共重合体(B−2)、ポリカーボネート樹脂(C)(三菱エンプラ(株)製ユーピロンS2000F)、アクリロニトリル成分29%およびスチレン成分71%よりなり、N,N−ジメチルホルムアミド溶液から25℃で測定した還元粘度が0.60dl/gであるアクリロニトリル−スチレン共重合体(D)(SAN樹脂)を、表1に示す樹脂配合にて計量し、さらに旭電化工業(株)製「アデカスタブAO−50」0.2部、旭電化工業(株)製「アデカスタブLA−31」0.5部、旭電化工業(株)製「アデカスタブLA−63P」0.5部、およびカーボンブラック(三菱化学(株)製#960B)0.8部を添加した後ヘンシェルミキサーを用いて混合し、この混合物を260℃に加熱した脱気式押出機(池貝鉄工(株)製PCM−30)に供給し、混練してペレットを得た。
得られたペレットを用いて測定したアイゾット衝撃強度、面衝撃強度、ロックウェル硬度、顔料着色性評価の結果を表1に示す。
【0052】
(1) アイゾット衝撃強度
ASTM D256に準拠した方法により行い、測定温度23℃、0℃、−30℃の3条件(試片は各温度で12時間放置したものを使用)で測定を行った。
(2)面衝撃強度
サンプルとして100mm×100mm×3mm板の成形を日本製鋼所(株)製射出成形機「J85−ELII」を用いてシリンダー設定温度260℃、金型温度80℃、インジェクションスピード50%の条件で行った。得られた成形板について、ASTM D−3764に準拠し、島津製作所(株)製HTM−1型高速衝撃試験機を使用し、測定温度23℃、0℃、−30℃の3条件(試片は各温度で12時間放置したものを使用)、ストライカ速度3.3m/秒、ストライカ系1/2インチφ、支持枠3インチφの条件で測定した。
(2) ロックウェル硬度
ASTM D785に準拠する方法により行った。
(4)顔料着色性評価
サンプルとして100mm×100mm×3mm板の成形を日本製鋼所(株)製射出成形機「J85−ELII」を用いてシリンダー設定温度230℃、金型温度60℃、インジェクションスピード50%の条件で行った。得られた黒着色成形板について、JIS Z8729に準拠した色相測定(L*測定)によって行った。
【0053】
【表1】
Figure 0004567872
【0054】
実施例および比較例より、次のことが明らかとなった。
1) 実施例1〜4の、グラフト共重合(A−1)と、グラフト共重合(B−1)または(B−2)とを共に含有する熱可塑性樹脂組成物は、常温から低温までの広い温度雰囲気下で、面衝撃強度および顔料着色性が良好であった。
2) 比較例1〜3の熱可塑性樹脂組成物は、良好なアイゾット衝撃強度を示すものの低温環境下での面衝撃強度が不良であり、車両用途等の分野には不適であった。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の熱可塑性樹脂組成物は、次のように特別に顕著な効果を奏し、その産業上の利用価値は極めて大きい。
1) 本発明に係る異なる二種のグラフト共重合体を含有する熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃性、特に、面衝撃特性および顔料着色性に優れる。
2) 特に顔料着色性と低温雰囲気下での面衝撃性のバランスは、従来知られているポリカーボネート系樹脂組成物では得られない非常に高いレベルであり、各種工業材料とりわけ耐候性材料としての利用価値は極めて高い。
さらに、二種のグラフト共重合体中に含まれる複合ゴム質重合体の比率を調節することで、その他の特性を低下させることなく低温環境下での面衝撃強度をより向上できる。
さらにまた、熱可塑性樹脂(D)として、芳香族アルケニル化合物成分、シアン化ビニル化合物成分、(メタ)アクリル酸エステル成分から選ばれた少なくとも一種の単量体成分を構成成分とする(共)重合体を用いることで、耐衝撃性および顔料着色性をより向上できる。

Claims (5)

  1. 下記(A)成分1〜50重量%と、(B)成分1〜50重量%と、(C)成分5〜98重量%とを含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
    (A)重量平均粒子径が300nm以上であるジエン系ゴム(a−1)1〜30重量%の存在下で、グラフト交叉剤と架橋剤とを含むアルキル(メタ)アクリレート単量体成分(a−2)99〜70重量%を乳化重合して得られる複合ゴム質重合体((a−1)+(a−2))20〜80重量%に、芳香族アルケニル化合物、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよびシアン化ビニル化合物から選ばれる少なくとも一種の単量体(a−3)80〜20重量%が乳化グラフト重合されたグラフト共重合体。
    (B)ポリオルガノシロキサン(b−1)1〜90重量%の存在下で、多官能性単量体0.01〜10重量%と、アルキル(メタ)アクリレート60〜99.9重量%と、これらと共重合可能なビニル単量体0〜30重量%からなる単量体混合物(b−2)99〜10重量%をラジカル重合して得られる複合ゴム質重合体((b−1)+(b−2))20〜80重量%に、芳香族アルケニル化合物、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよびシアン化ビニル化合物から選ばれる少なくとも一種の単量体(b−3)80〜20重量%が乳化グラフト重合されたグラフト共重合体。
    (C)ポリカーボネート樹脂
  2. さらに、下記の(D)成分を含むことを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
    (D)ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂
  3. ジエン系ゴム(a−1)は、酸基含有共重合体ラテックスからなる肥大化剤で肥大化されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 下記(1)式を満足することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
    0.5≦wa/wb≦5 …(1)
    (式中、waはグラフト共重合体(A)中の複合ゴム質重合体((a−1)+(a−2))の重量を示し、wbはグラフト共重合体(B)中の複合ゴム質重合体((b−1)+(b−2)の重量を示す。)
  5. ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂(D)は、芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる少なくとも一種の単量体を構成成分とする(共)重合体であることを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
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