JP5453512B2 - グラフト共重合体及び熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
本発明のグラフト共重合体(A)は、共役ジエン系ゴム状重合体と架橋アクリル酸エステル系重合体を主成分とする複合ゴムの存在下に芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、及びこれらと共重合可能な他のビニル系単量体から選ばれた少なくとも一種の単量体をグラフト重合して得られた、グラフト共重合体である。
小粒子径スチレン−ブタジエンゴムラテックスの製造
10リットルの耐圧容器の内部を窒素で置換後、1,3−ブタジエン97重量部、スチレン3重量部、n−ドデシルメルカプタン0.45重量部、過硫酸カリウム0.3重量部、不均化ロジン酸ナトリウム1.85重量部、水酸化ナトリウム0.1重量部、脱イオン水155重量部を仕込み、攪拌しつつ70℃で8時間反応させた。その後、不均化ロジン酸ナトリウム0.21重量部、水酸化ナトリウム0.1重量部及び脱イオン水5重量部を添加した。さらに温度を70℃に維持しながら6時間攪拌を継続して反応を終了した。その後、減圧して残存している1,3−ブタジエンを除去し、スチレン−ブタジエンゴムラテックスを得た。得られたスチレン−ブタジエンゴムラテックスを、四酸化オスミウム(OsO4)で染色し、乾燥後に透過型電子顕微鏡で写真撮影した。画像解析処理装置(装置名:旭化成(株)製 IP−1000PC)を用いて800個のゴム粒子の面積を計測し、その円相当径(直径)を求め、スチレン−ブタジエンゴムの重量平均粒子径を算出した結果、重量平均粒子径は105nmであった。
10リットルの耐圧容器に、重合水185重量部、小粒子径スチレン−ブタジエンゴムラテックス100重量部(固形分)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.02重量部を添加して10分間攪拌混合した後、5%リン酸水溶液20重量部を10分間にわたり添加した。次いで10%水酸化カリウム水溶液10重量部を添加し、凝集肥大化したスチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を得た。
上述の方法で、凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムの重量平均粒子径を算出した結果、重量平均粒子径は450nmであった。
10リットルの耐圧容器に、重合水185重量部、小粒子径スチレン−ブタジエンゴムラテックス100重量部(固形分)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.05重量部を添加して10分間攪拌混合した後、5%リン酸水溶液20重量部を10分間にわたり添加した。次いで10%水酸化カリウム水溶液10重量部を添加し、凝集肥大化したスチレン−ブタジエンゴムラテックス(2)を得た。
上述の方法で、凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムの重量平均粒子径を算出した結果、重量平均粒子径は233nmであった。
10リットルの耐圧容器の内部を窒素で置換後、1,3−ブタジエン90重量部、スチレン10重量部、n−ドデシルメルカプタン0.3重量部、過硫酸カリウム0.31重量部、不均化ロジン酸ナトリウム0.20重量部、水酸化ナトリウム0.10重量部、脱イオン水73重量部を仕込み、攪拌しつつ65℃で反応させた。10時間目、20時間目、30時間目、40時間目にそれぞれ不均化ロジン酸ナトリウム0.35重量部、水酸化ナトリウム0.10重量部及び脱イオン水7.5重量部を添加し45時間反応させた。その後、不均化ロジン酸ナトリウム0.2重量部、水酸化ナトリウム0.1重量部及び脱イオン水5重量部を添加した。さらに温度を70℃に維持しながら7時間攪拌を継続して反応を終了した。その後、減圧して残存している1,3−ブタジエンを除去し、スチレン−ブタジエンゴムラテックス(3)を得た。上述の方法で、重量平均粒子径を算出した結果、重量平均粒子径は420nmであった。
複合ゴムラテックス(a−1)の製造
10Lのガラスリアクターに、上記の凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を20重量部(固形分)、脱イオン水を100重量部仕込み、窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し45℃に到達したところで脱イオン水20重量部にラクトース0.3重量部、ピロリン酸四ナトリウム0.08重量部及び硫酸第1鉄・7水和物0.001重量部を溶解した水溶液を添加した。さらに、アクリル酸ブチル30重量部、メタクリル酸アリル0.1重量部を添加した。槽内の温度が48℃に到達した後、そのまま1時間保持した。さらに1段目重合として槽内の温度が50℃に到達した後、クメンハイドロパーオキサイド0.2重量部を一括添加し、脱イオン水20重量部にアルケニルコハク酸ジカリウム0.9重量部、ホルムアルデヒドナトリウムスルホシレート0.08重量部を溶解した水溶液とアクリル酸ブチル30重量部、メタクリル酸アリル0.05重量部を2時間かけて連続的に滴下した。滴下後、1時間保持して、1段目重合を終了した。さらに2段目重合として槽内の温度が65℃に到達した後、ホルムアルデヒドナトリウムスルホシレート0.04重量部を一括添加し、脱イオン水20重量部に過硫酸カリウム0.4重量部を溶解した水溶液とアクリル酸ブチル20重量部、メタクリル酸アリル0.05重量部を4時間かけて連続的に滴下した。滴下後、転化率が97%以上のところで重合を終了した。凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴム(1)と架橋アクリル酸ブチル重合体から構成される複合ゴムラテックス(a−1)を得た。
10Lのガラスリアクターに、上記の凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を20重量部(固形分)、脱イオン水を100重量部仕込み、窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し45℃に到達したところで脱イオン水20重量部にラクトース0.35重量部、ピロリン酸四ナトリウム0.09重量部及び硫酸第1鉄・7水和物0.003重量部、β‐ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩0.001重量部を溶解した水溶液を添加した。さらに、アクリル酸ブチル20重量部、メタクリル酸アリル0.1重量部を添加した。槽内の温度が48℃に到達した後、そのまま0.5時間保持した。さらに1段目重合として槽内の温度が50℃に到達した後、クメンハイドロパーオキサイド0.15重量部を一括添加し、脱イオン水20重量部にアルケニルコハク酸ジカリウム0.9重量部、ホルムアルデヒドナトリウムスルホシレート0.08重量部を溶解した水溶液とアクリル酸ブチル25重量部、メタクリル酸アリル0.1重量部を2時間かけて連続的に滴下した。滴下後、1時間保持して、1段目重合を終了した。さらに2段目重合として槽内の温度が65℃に到達した後、ホルムアルデヒドナトリウムスルホシレート0.05重量部を一括添加し、脱イオン水20重量部に過硫酸カリウム0.5重量部を溶解した水溶液とアクリル酸ブチル35重量部、メタクリル酸アリル0.15重量部を4時間かけて連続的に滴下した。滴下後、転化率が97%以上のところで重合を終了した。凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴム(1)と架橋アクリル酸ブチル重合体から構成される複合ゴムラテックス(a−2)を得た。表2の実施例4に示す組成割合を有する熱可塑性樹脂組成物のペレットを用いた以外は、複合ゴム(a−1)と同様の方法で外層の平均厚さを求めた。外層の平均厚さは82nmであった。
10Lのガラスリアクターに、上記の凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を48重量部(固形分)、脱イオン水を100重量部仕込み、窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し45℃に到達したところで脱イオン水20重量部にラクトース0.35重量部、ピロリン酸四ナトリウム0.09重量部及び硫酸第1鉄・7水和物0.003重量部を溶解した水溶液を添加した。さらに、アクリル酸ブチル22重量部、メタクリル酸アリル0.05重量部を添加した。槽内の温度が48℃に到達した後、そのまま1時間保持した。さらに1段目重合として槽内の温度が52℃に到達した後、クメンハイドロパーオキサイド0.15重量部を一括添加し、脱イオン水19重量部にアルケニルコハク酸ジカリウム0.45重量部、ホルムアルデヒドナトリウムスルホシレート0.08重量部を溶解した水溶液とアクリル酸ブチル20重量部、メタクリル酸アリル0.05重量部を2時間かけて連続的に滴下した。滴下後、1時間保持して、1段目重合を終了した。さらに2段目重合として槽内の温度が65℃に到達した後、ホルムアルデヒドナトリウムスルホシレート0.02重量部を一括添加し、脱イオン水20重量部にt−ブチルハイドロパーオキサイド0.1重量部、アルケニルコハク酸ジカリウム0.25重量部を溶解した水溶液とアクリル酸ブチル10重量部、メタクリル酸アリル0.01重量部を5時間かけて連続的に滴下した。滴下後、転化率が97%以上のところで重合を終了した。凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴム(1)と架橋アクリル酸ブチル重合体から構成される複合ゴムラテックス(a−3)を得た。表2の実施例5に示す組成割合を有する熱可塑性樹脂組成物のペレットを用いた以外は、複合ゴム(a−1)と同様の方法で外層の平均厚さを求めた。外層の平均厚さは10nmであった。
10Lのガラスリアクターに、上記の凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(2)を20重量部(固形分)、脱イオン水を100重量部仕込み、窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し45℃に到達したところで脱イオン水20重量部にラクトース0.3重量部、ピロリン酸四ナトリウム0.08重量部及び硫酸第1鉄・7水和物0.001重量部を溶解した水溶液を添加した。さらに、アクリル酸ブチル30重量部、メタクリル酸アリル0.1重量部を添加した。槽内の温度が48℃に到達した後、そのまま1時間保持した。さらに1段目重合として槽内の温度が50℃に到達した後、クメンハイドロパーオキサイド0.2重量部を一括添加し、脱イオン水20重量部にアルケニルコハク酸ジカリウム0.55重量部、ホルムアルデヒドナトリウムスルホシレート0.08重量部を溶解した水溶液とアクリル酸ブチル30重量部、メタクリル酸アリル0.05重量部を2時間かけて連続的に滴下した。滴下後、1時間保持して、1段目重合を終了した。さらに2段目重合として槽内の温度が65℃に到達した後、ホルムアルデヒドナトリウムスルホシレート0.04重量部を一括添加し、脱イオン水20重量部にt−ブチルハイドロパーオキサイド0.25重量部、アルケニルコハク酸ジカリウム0.35重量部を溶解した水溶液とアクリル酸ブチル20重量部、メタクリル酸アリル0.05重量部を4時間かけて連続的に滴下した。滴下後、転化率が97%以上のところで重合を終了した。凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴム(2)と架橋アクリル酸ブチル重合体から構成される複合ゴムラテックス(a−4)を得た。表2の実施例6に示す組成割合を有する熱可塑性樹脂組成物のペレットを用いた以外は、複合ゴム(a−1)と同様の方法で外層の平均厚さを求めた。外層の平均厚さは33nmであった。
10Lのガラスリアクターに、上記の凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を20重量部(固形分)、脱イオン水を100重量部仕込み、窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し45℃に到達したところで脱イオン水20重量部にラクトース0.3重量部、ピロリン酸四ナトリウム0.08重量部及び硫酸第1鉄・7水和物0.001重量部を溶解した水溶液を添加した。さらに、アクリル酸ブチル30重量部、メタクリル酸アリル0.1重量部を添加した。槽内の温度が48℃に到達した後、そのまま1時間保持した。さらに1段目重合として槽内の温度が50℃に到達した後、過硫酸カリウム0.2重量部を一括添加し、脱イオン水20重量部にアルケニルコハク酸ジカリウム0.9重量部、ホルムアルデヒドナトリウムスルホシレート0.08重量部を溶解した水溶液とアクリル酸ブチル30重量部、メタクリル酸アリル0.05重量部を2時間かけて連続的に滴下した。滴下後、1時間保持して、1段目重合を終了した。さらに2段目重合として槽内の温度が65℃に到達した後、ホルムアルデヒドナトリウムスルホシレート0.04重量部を一括添加し、脱イオン水20重量部に過硫酸カリウム0.65重量部を溶解した水溶液とアクリル酸ブチル20重量部、メタクリル酸アリル0.05重量部を4時間かけて連続的に滴下した。滴下後、転化率が97%以上のところで重合を終了した。凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴム(1)と架橋アクリル酸ブチル重合体から構成される複合ゴムラテックス(a−5)を得た。表2の実施例7に示す組成割合を有する熱可塑性樹脂組成物のペレットを用いた以外は、複合ゴム(a−1)と同様の方法で外層の平均厚さを求めた。外層の平均厚さは61nmであった。
凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を非凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(3)に変更した以外は、複合ゴムラテックス(a−1)を得る重合方法と同様にして複合ゴムラテックス(a−6)を得た。表2の比較例1に示す組成割合を有する熱可塑性樹脂組成物のペレットを用いた以外は、複合ゴム(a−1)と同様の方法で外層の平均厚さを求めた。外層の平均厚さは44nmであった。
10Lのガラスリアクターに、上記の凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を20重量部(固形分)、脱イオン水を110重量部仕込み、窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し45℃に到達したところで脱イオン水20重量部にラクトース0.3重量部、ピロリン酸四ナトリウム0.08重量部及び硫酸第1鉄・7水和物0.001重量部を溶解した水溶液を添加した。さらに、アクリル酸ブチル50重量部、メタクリル酸アリル0.1重量部を添加した。槽内の温度が48℃に到達した後、そのまま2時間保持した。さらに1段目重合として槽内の温度が48℃で、クメンハイドロパーオキサイド0.4重量部を一括添加し、脱イオン水20重量部にアルケニルコハク酸ジカリウム0.8重量部、ホルムアルデヒドナトリウムスルホシレート0.1重量部を溶解した水溶液とアクリル酸ブチル27重量部、メタクリル酸アリル0.1重量部を6時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持して、1段目重合を終了した。さらに2段目重合として槽内の温度が65℃に到達した後、クメンハイドロパーオキサイド0.4重量部を一括添加し、脱イオン水10重量部にホルムアルデヒドナトリウムスルホシレート0.025重量部、アルケニルコハク酸ジカリウム0.1重量部を溶解した水溶液とアクリル酸ブチル3重量部を0.5時間かけて連続的に滴下した。滴下後、転化率が97%以上のところで重合を終了した。凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴム(1)と架橋アクリル酸ブチル重合体から構成される複合ゴムラテックス(a−7)を得た。表2の比較例2に示す組成割合を有する熱可塑性樹脂組成物のペレットを用いた以外は、複合ゴム(a−1)と同様の方法で外層の平均厚さを求めた。外層の平均厚さは4nmであった。
10Lのガラスリアクターに、上記の凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を20重量部(固形分)、脱イオン水を100重量部仕込み、窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し45℃に到達したところで脱イオン水20重量部にラクトース0.3重量部、ピロリン酸四ナトリウム0.08重量部及び硫酸第1鉄・7水和物0.001重量部を溶解した水溶液を添加した。さらに、アクリル酸ブチル3重量部、メタクリル酸アリル0.05重量部を添加した。槽内の温度が48℃に到達した後、そのまま0.1時間保持した。さらに1段目重合として槽内の温度が50℃に到達した後、過硫酸カリウム0.2重量部を一括添加し、脱イオン水20重量部にアルケニルコハク酸ジカリウム0.9重量部、ホルムアルデヒドナトリウムスルホシレート0.08重量部を溶解した水溶液とアクリル酸ブチル30重量部、メタクリル酸アリル0.05重量部を2時間かけて連続的に滴下した。滴下後、1時間保持して、1段目重合を終了した。さらに2段目重合として槽内の温度が65℃に到達した後、ホルムアルデヒドナトリウムスルホシレート0.05重量部を一括添加し、脱イオン水20重量部に過硫酸カリウム0.65重量部を溶解した水溶液とアクリル酸ブチル47重量部、メタクリル酸アリル0.15重量部を4時間かけて連続的に滴下した。滴下後、転化率が97%以上のところで重合を終了した。凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴム(1)と架橋アクリル酸ブチル重合体から構成される複合ゴムラテックス(a−8)を得た。表2の比較例3に示す組成割合を有する熱可塑性樹脂組成物のペレットを用いた以外は、複合ゴム(a−1)と同様の方法で外層の平均厚さを求めた。外層の平均厚さは105nmであった。
10Lのガラスリアクターに、上記の凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を60重量部(固形分)、脱イオン水を100重量部仕込み、窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し45℃に到達したところで脱イオン水20重量部にラクトース0.3重量部、ピロリン酸四ナトリウム0.08重量部及び硫酸第1鉄・7水和物0.001重量部を溶解した水溶液を添加した。さらに、アクリル酸ブチル10重量部、メタクリル酸アリル0.1重量部を添加した。槽内の温度が48℃に到達した後、そのまま1時間保持した。さらに1段目重合として槽内の温度が50℃に到達した後、クメンハイドロパーオキサイド0.2重量部を一括添加し、脱イオン水20重量部にアルケニルコハク酸ジカリウム0.5重量部、ホルムアルデヒドナトリウムスルホシレート0.08重量部を溶解した水溶液とアクリル酸ブチル25重量部、メタクリル酸アリル0.05重量部を2時間かけて連続的に滴下した。滴下後、1時間保持して、1段目重合を終了した。さらに2段目重合として槽内の温度が65℃に到達した後、ホルムアルデヒドナトリウムスルホシレート0.04重量部を一括添加し、脱イオン水20重量部に過硫酸カリウム0.4重量部を溶解した水溶液とアクリル酸ブチル5重量部、メタクリル酸アリル0.05重量部を0.5時間かけて連続的に滴下した。滴下後、転化率が97%以上のところで重合を終了した。凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴム(1)と架橋アクリル酸ブチル重合体から構成される複合ゴムラテックス(a−9)を得た。表2の比較例4に示す組成割合を有する熱可塑性樹脂組成物のペレットを用いた以外は、複合ゴム(a−1)と同様の方法で外層の平均厚さを求めた。外層の平均厚さは10nmであった。
10Lのガラスリアクターに、上記の凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を5重量部(固形分)、脱イオン水を100重量部仕込み、窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し45℃に到達したところで脱イオン水20重量部にラクトース0.3重量部、ピロリン酸四ナトリウム0.08重量部及び硫酸第1鉄・7水和物0.001重量部を溶解した水溶液を添加した。さらに、アクリル酸ブチル30重量部、メタクリル酸アリル0.1重量部を添加した。槽内の温度が48℃に到達した後、そのまま1時間保持した。さらに1段目重合として槽内の温度が50℃に到達した後、クメンハイドロパーオキサイド0.2重量部を一括添加し、脱イオン水20重量部にアルケニルコハク酸ジカリウム0.9重量部、ホルムアルデヒドナトリウムスルホシレート0.08重量部を溶解した水溶液とアクリル酸ブチル30重量部、メタクリル酸アリル0.05重量部を2時間かけて連続的に滴下した。滴下後、1時間保持して、1段目重合を終了した。さらに2段目重合として槽内の温度が65℃に到達した後、ホルムアルデヒドナトリウムスルホシレート0.04重量部を一括添加し、脱イオン水20重量部に過硫酸カリウム0.4重量部を溶解した水溶液とアクリル酸ブチル35重量部、メタクリル酸アリル0.05重量部を4時間かけて連続的に滴下した。滴下後、転化率が97%以上のところで重合を終了した。凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴム(1)と架橋アクリル酸ブチル重合体から構成される複合ゴムラテックス(a−10)を得た。表2の比較例5に示す組成割合を有する熱可塑性樹脂組成物のペレットを用いた以外は、複合ゴム(a−1)と同様の方法で外層の平均厚さを求めた。外層の平均厚さは110nmであった。
グラフト共重合体(A−1)の製造
ガラスリアクターに、複合ゴムラテックス(a−1)45重量部(固形分)を仕込み窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し63℃に到達したところで、アクリロニトリル1重量部、スチレン3重量部、ラクトース0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.1重量部及び硫酸第1鉄0.005重量部を脱イオン水15重量部に溶解した水溶液を添加した。70℃に到達後、アクリロニトリル15重量部、スチレン36重量部、ターシャリードデシルメルカプタン0.09部の混合液及び脱イオン水20重量部にオレイン酸カリウム1.0重量部、クメンハイドロパーオキサイド0.18部、を溶解した乳化剤水溶液を4時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持してグラフト共重合体ラテックス(A−1)を得た。その後、塩析・脱水・乾燥し、グラフト重合体(A−1)のパウダーを得た。
複合ゴムラテックス(a−1)から複合ゴムラテックス(a−2)〜(a−10)に変更した以外はグラフト共重合体(A−1)と同様に製造し、グラフト共重合体ラテックス(A−2)〜(A−10)を得た。その後、塩析・脱水・乾燥し、グラフト重合体(A−2)〜(A−10)のパウダーを得た。
窒素置換したガラスリアクターに、脱イオン水149重量部、スチレン7重量部、アクリロニトリル3重量部、ターシャリードデシルメルカプタン0.03重量部、オレイン酸カリウム1.0重量部及び過硫酸カリウム0.3重量部を仕込み、65℃で1時間重合した。その後、スチレン63重量部、アクリロニトリル27重量部、ターシャリードデシルメルカプタン0.15重量部及びオレイン酸カリウム1.5重量部を含む乳化剤水溶液29重量部を各々3時間かけて連続的に滴下した。滴下後2時間保持して、共重合体ラテックス(B)を得た。その後、塩析・脱水・乾燥し、共重合体(B)のパウダーを得た。
光安定剤:ADEKA(株)製 アデカスタブ LA77Y
紫外線吸収剤:住友化学(株)製 スミソーブ200
表2に示すグラフト共重合体(A)、共重合体(B)、添加剤を混合した後、東芝TEM−35B二軸押出機を用いて240℃にて溶融混練して実施例1〜7及び比較例1〜5のペレットを得た。各実施例及び比較例で得られたペレットを用いて以下の評価に供した。その結果を表2に示す。
各実施例及び比較例で得られたペレットを用いISO試験方法294に準拠して各種試験片を成形し、耐衝撃性を測定した。
耐衝撃性はISO179に準拠し、4mm厚みで、ノッチ付きシャルピー衝撃値を測定した。単位:kJ/m2
発色性の評価には、各実施例及び比較例で得られたペレットを、射出成形機(日本製鋼所製 J−150EP シリンダー温度:230℃ 金型温度:60℃)にて成形された成形品(60mm×60mm×2mm)を用いた。JIS−Z8729に準拠した色相測定により得られた成形品の白バック、黒バックの色相差を、成形品の発色性の尺度とした(値が大きいほど発色性に優れる)。分光光度計は、(株)村上色彩研究所社製 CMS−35SPを用いた。
耐候性の評価には、各実施例及び比較例で得られたペレットを用い、射出成形機(山城精機製作所製 SAV−30−30 シリンダー温度:210℃ 金型温度:50℃)にて成形された成形品(90mm×55mm×2.5mm)を用いた。スガ試験機(株)製サンシャインスーパーロングライフウェザーメーター、WEL−SUN−HCH−Bを使用し、65℃、雨ありの条件下で500時間の加速曝露試験を行った。その後測色計を用い、曝露前と曝露後の色差(ΔE)を測定した(値が小さいほど耐候性に優れる)。
2:外層と内層の境界面
3:重量平均粒子径が50〜300nmである共役ジエン系ゴム状重合体の粒子
Claims (3)
- 共役ジエン系ゴム状重合体5〜50重量%と架橋アクリル酸エステル系重合体50〜95重量%から構成される複合ゴム10〜80重量部に、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体及びこれらと共重合可能な他のビニル系単量体から選ばれた少なくとも一種の単量体20〜90重量部をグラフト重合して得られるグラフト共重合体(A)であって、複合ゴムは多層構造を有しており、内層が共役ジエン系ゴム状重合体もしくは共役ジエン系ゴム状重合体と架橋アクリル酸エステル系重合体を主成分とし、外層が架橋アクリル酸エステル系重合体を主成分とするだけでなく、内層は重量平均粒子径が50〜300nmである共役ジエン系ゴム状重合体粒子を2個以上内包し、外層の平均厚さが5〜100nmであることを特徴とするグラフト共重合体(A)
- 重量平均粒子径が50〜300nmである共役ジエン系ゴム状重合体を凝集肥大化することによって、重量平均粒子径を150〜800nmとした共役ジエン系ゴム状重合体を用いることを特徴とする請求項1に記載のグラフト共重合体(A)
- 請求項1又は2のいずれかに記載のグラフト共重合体(A)と芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、必要に応じてその他の共重合可能な他のビニル系単量体を共重合することで得られる共重合体(B)から構成されることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
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