JP5701849B2 - 難燃性熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成形品 - Google Patents
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式中、n=0または自然数、Xは独立に塩素または、臭素を示し、i,j,k,lはそれぞれ1〜4の整数であり、RおよびR’はそれぞれ独立に水素、メチル基、下記式のエポキシプロピル基、
フェニル基または、下記の式(但しmは0,1,2または3を示し、Xは独立に塩素または臭素を示す)
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物はグラフト共重合体(A)と共重合体(B)を含む樹脂組成物100重量部に対して、難燃剤(C)を1〜40重量部配合した難燃性熱可塑性樹脂組成物である。
10リットルの耐圧容器の内部を窒素で置換後、1,3−ブタジエン95重量部、スチレン5重量部、n−ドデシルメルカプタン0.5重量部、過硫酸カリウム0.3重量部、不均化ロジン酸ナトリウム1.8重量部、水酸化ナトリウム0.1重量部、脱イオン水145重量部を仕込み、攪拌しつつ70℃で8時間反応させた。その後、不均化ロジン酸ナトリウム0.2重量部、水酸化ナトリウム0.1重量部及び脱イオン水5重量部を添加した。さらに温度を70℃に維持しながら6時間攪拌を継続して反応を終了した。その後、減圧して残存している1,3−ブタジエンを除去し、スチレン−ブタジエンゴムラテックスを得た。得られたスチレン−ブタジエンゴムラテックスを、四酸化オスミウム(OsO4)で染色し、乾燥後に透過型電子顕微鏡で写真撮影した。画像解析処理装置(装置名:旭化成(株)製 IP−1000PC)を用いて1000個のゴム粒子の面積を計測し、その円相当径(直径)を求め、スチレン−ブタジエンゴムの重量平均粒子径を算出した結果、重量平均粒子径は120nmであった
10リットルの耐圧容器に、上記で得られたスチレン−ブタジエンゴムラテックス270重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1重量部を添加して10分間攪拌混合した後、5%リン酸水溶液20重量部を10分間にわたり添加した。次いで10%水酸化カリウム水溶液10重量部を添加し、凝集肥大化したスチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を得た。
上述の方法で、凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムの重量平均粒子径を算出した結果、重量平均粒子径は330nmであった。
上述の方法で、凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムの重量平均粒子径を算出した結果、重量平均粒子径は250nmであった。
窒素置換したガラスリアクターに、脱イオン水180重量部、アクリル酸ブチル15重量部、メタクリル酸アリル0.1重量部、アルケニルコハク酸ジカリウム0.16重量部(固形分換算)、過硫酸カリウム0.15重量部を仕込み、65℃で1時間反応させた。その後、アクリル酸ブチル85重量部、メタクリル酸アリル0.53重量部の混合液及び脱イオン水20重量部にアルケニルコハク酸ジカリウム0.64重量部(固形分換算)を溶解した乳化剤水溶液を3時間かけて連続的に添加した。滴下後、3時間保持して、架橋アクリル酸ブチルゴムラテックスを得た。
10Lのガラスリアクターに、上記の凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を20重量部(固形分)、脱イオン水を160重量部仕込み、窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し45℃に到達したところで脱イオン水20重量部にブドウ糖0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.03重量部及び硫酸第1鉄0.001重量部を溶解した水溶液を添加した。さらに、アクリル酸ブチル20重量部、メタクリル酸アリル0.1重量部を添加した。槽内の温度が50℃に到達した後、1時間保持し、脱イオン水25重量部にアルケニルコハク酸ジカリウム0.9重量部、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド0.1重量部を溶解した水溶液とアクリル酸ブチル60重量部、メタクリル酸アリル0.4重量部を5時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持して、肥大化スチレン−ブタジエンゴムと架橋アクリル酸ブチル重合体から構成される複合ゴムラテックス(a−1)を得た。
10Lのガラスリアクターに、上記の凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(2)を20重量部(固形分)、脱イオン水を160重量部仕込み、窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し45℃に到達したところで脱イオン水20重量部にブドウ糖0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.03重量部及び硫酸第1鉄0.001重量部を溶解した水溶液を添加した。さらに、アクリル酸ブチル20重量部、メタクリル酸アリル0.1重量部を添加した。槽内の温度が50℃に到達した後、1時間保持し、脱イオン水25重量部にアルケニルコハク酸ジカリウム0.9重量部、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド0.1重量部を溶解した水溶液とアクリル酸ブチル60重量部、メタクリル酸アリル0.4重量部を5時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持して、肥大化スチレン−ブタジエンゴムと架橋アクリル酸ブチル重合体から構成される複合ゴムラテックス(a−2)を得た。
10Lのガラスリアクターに、上記の凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を20重量部(固形分)、脱イオン水を160重量部仕込み窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し45℃に到達したところで脱イオン水20重量部にブドウ糖0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.03重量部及び硫酸第1鉄0.001重量部を溶解した水溶液を添加した。さらに、脱イオン水25重量部にアルケニルコハク酸ジカリウム0.9重量部、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド0.1重量部を溶解した乳化剤溶液の5%、アクリル酸ブチル16重量部、メタクリル酸アリル0.1重量部を添加し、槽内の温度が50℃に到達した後、1時間保持し、残りの乳化剤溶液とアクリル酸ブチル64重量部、メタクリル酸アリル0.4重量部を5時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持して、肥大化スチレン−ブタジエンゴムと架橋アクリル酸ブチル重合体から構成される複合ゴムラテックス(a−3)を得た。
10Lのガラスリアクターに、上記の凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を20重量部(固形分)、脱イオン水を160重量部仕込み窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し45℃に到達したところで脱イオン水20重量部にブドウ糖0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.03重量部及び硫酸第1鉄0.001重量部を溶解した水溶液を添加した。さらに、脱イオン水25重量部にアルケニルコハク酸ジカリウム0.9重量部、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド0.1重量部を溶解した乳化剤溶液の20%、アクリル酸ブチル16重量部、メタクリル酸アリル0.1重量部を添加し、槽内の温度が50℃に到達した後、1時間保持し、残りの乳化剤溶液とアクリル酸ブチル64重量部、メタクリル酸アリル0.4重量部を5時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持して、肥大化スチレン−ブタジエンゴムと架橋アクリル酸ブチル重合体から構成される複合ゴムラテックス(a−4)を得た。
10Lのガラスリアクターに、上記の凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を20重量部(固形分)、脱イオン水を160重量部仕込み窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し45℃に到達したところで脱イオン水20重量部にブドウ糖0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.03重量部及び硫酸第1鉄0.001重量部を溶解した水溶液を添加した。さらに、脱イオン水25重量部にアルケニルコハク酸ジカリウム0.9重量部、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド0.1重量部を溶解した乳化剤溶液の40%、アクリル酸ブチル16重量部、メタクリル酸アリル0.1重量部を添加し、槽内の温度が50℃に到達した後、1時間保持し、残りの乳化剤溶液とアクリル酸ブチル64重量部、メタクリル酸アリル0.4重量部を5時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持して、肥大化スチレン−ブタジエンゴムと架橋アクリル酸ブチル重合体から構成される複合ゴムラテックス(a−5)を得た。
ガラスリアクターに、複合ゴムラテックス(a−1)60重量部(固形分)を仕込み窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し60℃に到達したところで、ブドウ糖0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.1重量部及び硫酸第1鉄0.005重量部を脱イオン水10重量部に溶解した水溶液を添加した。65℃に到達後、アクリロニトリル12重量部、スチレン28重量部、ターシャリードデシルメルカプタン0.1部、クメンハイドロパーオキサイド0.3重量部の混合液及び脱イオン水20重量部にオレイン酸カリウム1.0重量部を溶解した乳化剤水溶液を5時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持してグラフト共重合体ラテックス(A−1)を得た。その後、塩析・脱水・乾燥し、グラフト重合体(A−1)のパウダーを得た。
複合ゴムラテックス(a−1)から複合ゴムラテックス(a−2)〜(a−5)に変更した以外はグラフト共重合体(A−1)と同様に製造し、グラフト共重合体ラテックス(A−2)〜(A−5)を得た。その後、塩析・脱水・乾燥し、グラフト重合体(A−2)〜(A−5)のパウダーを得た。
ガラスリアクターに、凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を固形分換算で60重量部仕込み、窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し60℃に到達したところで、ブドウ糖0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.1重量部及び硫酸第1鉄0.005重量部を脱イオン水10重量部に溶解した水溶液を添加した後に、65℃に昇温した。その後、アクリロニトリル12重量部、スチレン28重量部、ターシャリードデシルメルカプタン0.1部、クメンハイドロパーオキサイド0.3重量部の混合液及び脱イオン水20重量部にオレイン酸カリウム1.0重量部を溶解した乳化剤水溶液を4時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持してグラフト共重合体ラテックス(A−6)を得た。その後、塩析・脱水・乾燥し、グラフト重合体(A−6)のパウダーを得た。
ガラスリアクターに、凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を固形分換算で15重量部、架橋アクリル酸ブチルゴムラテックスを固形分換算で45重量部仕込み、窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し60℃に到達したところで、ブドウ糖0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.1重量部及び硫酸第1鉄0.005重量部を脱イオン水10重量部に溶解した水溶液を添加した後に、65℃に昇温した。その後、アクリロニトリル12重量部、スチレン28重量部、ターシャリードデシルメルカプタン0.1部、クメンハイドロパーオキサイド0.3重量部の混合液及び脱イオン水20重量部にオレイン酸カリウム1.0重量部を溶解した乳化剤水溶液を4時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持してグラフト共重合体ラテックス(A−7)を得た。その後、塩析・脱水・乾燥し、グラフト重合体(A−7)のパウダーを得た。
公知の塊状重合法により、スチレン70重量部、アクリロニトリル30重量部からなる共重合体(B)を得た。上述の方法により、得られた共重合体(B)の還元粘度を測定した結果、還元粘度は0.60dl/gであった。
C−1:縮合リン酸エステル(PX−200 大八化学工業(株)製)
C−2:縮合リン酸エステル(CR−741 大八化学工業(株)製)
C−3:2,4,6−トリス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)−1,3,5−トリアジン(SR−245 第一エフ・アール(株)製 融点232℃、臭素含有量重量67%)
C−4:臭素化変性エポキシ樹脂(プラサーム EP−16 DIC(株)製 軟化点116℃、臭素含有量50重量%)
C−5:臭素化変性エポキシ樹脂(プラサーム EC−20 DIC(株)製 軟化点115℃、臭素含有量56重量%)
C−6:テトラブロモビスフェノールA(SAYTEX CP−2000 アルベマール日本(株)製 融点181℃、臭素含有量59重量%)
難燃助剤:日本精鉱(株)製 パトックス−M(三酸化アンチモン)
光安定剤:ADEKA(株)製 アデカスタブ LA77Y
紫外線吸収剤:住友化学(株)製 スミソーブ200
表1に示す割合でグラフト共重合体(A)、共重合体(B)、難燃剤(C)及び添加剤(D)を混合した後、40mm二軸押出機を用いて240℃にて溶融混練して、難燃性熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。得られたペレットを用いて種々の成形品を成形し、物性評価を行った。評価結果を表1に示す。なお、それぞれの評価方法を以下に示す。
各実施例及び比較例で得られたペレットを用いISO試験方法294に準拠して各種試験片を成形し、耐衝撃性を測定した。
耐衝撃性はISO179に準拠し、4mm厚みで、ノッチ付きシャルピー衝撃値を測定した。単位:kJ/m2
各実施例及び比較例で得られたペレットを用い、ISO1133に準拠して、220℃、10kg荷重の条件でメルトボリュームフローレイトを測定した。単位;cm3/10分
発色性の評価には、各実施例及び比較例で得られたペレットを用いて、射出成形機(日本製鋼所製 J−150EP シリンダー温度:230℃ 金型温度:60℃)にて成形された成形品(60mm×60mm×2mm)を用いた。JIS−Z8729に準拠した色相測定により得られた成形品の白バック、黒バックの色相差を、成形品の発色性の尺度とした(値が大きいほど発色性に優れる)。分光光度計は、(株)村上色彩研究所社製 CMS−35SPを用いた。
各実施例及び比較例で得られたペレット100部に対して酸化チタン(RTC−30)1部を混合し、40mm単軸押出機を用いて240℃にて溶融混練することで着色ペレットを得た。着色ペレットを用いて、射出成形機(山城精機製作所製 SAV−30−30 シリンダー温度:210℃ 金型温度:50℃)にて成形された成形品(90mm×55mm×2.5mm)を得た。得られた成形品を用い、スガ試験機(株)製サンシャインスーパーロングライフウェザーメーター、WEL−SUN−HCH−Bを使用し、63℃、雨ありの条件下で200時間の加速曝露試験を行った。その後測色計を用い、曝露前と曝露後の色差(ΔE)を測定することで耐候性の評価を行った。
各実施例及び比較例で得られたペレットを用いて、UL94規格に準じて1.6mm厚みの試験片を作成した。得られた試験片を用いて、燃焼性試験を行うことで難燃性の評価を行った。
Claims (3)
- グラフト共重合体(A)と共重合体(B)を含む樹脂組成物100重量部に対して、難燃剤(C)を1〜40重量部配合した難燃性熱可塑性樹脂組成物であって、グラフト共重合体(A)は共役ジエン系ゴム状重合体5〜50重量%と架橋アクリル酸エステル系重合体50〜95重量%から構成される複合ゴム10〜80重量部に、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体及びこれらと共重合可能な他のビニル系単量体から選ばれた少なくとも1種の単量体20〜90重量部をグラフト重合して得られるグラフト共重合体であり、グラフト共重合体中に存在する複合ゴムに関して、円相当粒子径が150nm以下である複合ゴムの粒子数が複合ゴム粒子全体の50%以下であることを特徴とするグラフト共重合体であり、共重合体(B)は芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体とを共重合することで得られる共重合体、または、芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体とその他の共重合可能な他のビニル系単量体を共重合することで得られる共重合体であることを特徴とする難燃性熱可塑性樹脂組成物であって、難燃剤(C)がリン酸エステル系難燃剤、ハロゲン化芳香族トリアジン化合物、及び下記化3で表されるハロゲン系有機化合物から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする難燃性熱可塑性樹脂組成物。
式中、n=0または自然数、Xは独立に塩素または、臭素を示し、i,j,k,lはそれぞれ1〜4の整数であり、RおよびR’はそれぞれ独立に水素、メチル基、下記式のエポキシプロピル基、
フェニル基または、下記の式(但しmは0,1,2または3を示し、Xは独立に塩素または臭素を示す)
- 請求項1に記載の難燃剤(C)のリン酸エステル系難燃剤が下記化1、ハロゲン化芳香族トリアジン化合物が下記化2で表されることを特徴とする難燃性熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1〜2のいずれかに記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物を成形して得られることを特徴とする樹脂成形品。
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