JP3467199B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JP3467199B2
JP3467199B2 JP01311999A JP1311999A JP3467199B2 JP 3467199 B2 JP3467199 B2 JP 3467199B2 JP 01311999 A JP01311999 A JP 01311999A JP 1311999 A JP1311999 A JP 1311999A JP 3467199 B2 JP3467199 B2 JP 3467199B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カレンダー加工性
が良好であり、耐候性および着色性に優れたゴム変性ス
チレン系樹脂シートまたはフィルムの製造材料として有
用な熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】共役ジエン系ゴムで強化されたアクリロ
ニトリル−スチレン共重合体、いわゆるABS樹脂およ
びそれに類するゴム変性熱可塑性樹脂は、優れた成形加
工性、機械強度、耐薬品性を併せ持つので、幅広い用途
分野に使用されている。
【0003】また、薄いシート状物を成形するための各
種方法のうち、最も生産性が高い方法として、カレンダ
ー加工法がある。そして、ABS樹脂の性能を損なうこ
となく、カレンダー加工法によりABS樹脂をシート状
に成形したいという要望がある。
【0004】例えば、特開平1−245045号公報に
は、ABS系樹脂に金属石鹸および脂肪酸エステルを配
合して、また特開平9−208798号公報、特開平9
−216992号公報、特開平10−640号公報に
は、ABS系樹脂にアクリル系重合体や可塑剤を添加し
て、カレンダー加工性やロール加工性を改良する提案が
なされている。これらの提案によれば、ロール離れ、バ
ンク回り、材料表面の肌荒れ等が工業的実用レベルにす
ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ABS
樹脂はジエン単位をゴム成分として含むので耐候性が悪
く、屋外に暴露される様な用途では外観や機械的特性が
悪化し、その用途が制限されることがある。
【0006】また、ABS樹脂等から得られるゴム変性
スチレン系樹脂シートは、その多くの用途において染料
や顔料で着色して使用されており、その着色性の改良が
望まれている。
【0007】すなわち本発明は、連続的なカレンダー加
工が容易であり、かつ耐候性および着色性に優れたシー
ト状またはフィルム状製品を低コストで製造できる熱可
塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、複合化された
ゴム状重合体に、シアン化ビニル系単位、芳香族ビニル
系単位、および、必要に応じてその他のビニル系単位を
含有する単量体単位がグラフトしたグラフト共重合体
(A)10〜98.9重量部と、シアン化ビニル系単位
10〜45重量%、芳香族ビニル系単位90〜55重量
%、および、その他のビニル系単位0〜40重量%から
なる共重合体(B)1〜89.9重量部と、メタクリル
酸メチル単位10〜95重量%、アクリル酸エステル単
位5〜60重量%、および、その他の単量体単位0〜5
0重量%からなるアクリル系共重合体(C)0.1〜1
5重量部と[成分(A)、(B)、(C)の合計100
重量部]を主成分として含んで成り、かつリン系化合物
を含まない、あるいはリン系化合物の含有量が0.05
重量部以下であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物
である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態に
ついて説明する。
【0010】本発明で用いるグラフト共重合体(A)
は、複合化されたゴム状重合体に、シアン化ビニル系単
位、芳香族ビニル系単位、および、必要に応じてその他
のビニル系単位を含有する単量体単位がグラフトしたグ
ラフト共重合体である。
【0011】グラフト共重合体(A)を構成する複合化
されたゴム状重合体とは、二以上のゴム状重合体を複合
化してなるものであり、代表的には、二以上のゴム状重
合体の優位量がミクロレベルで絡みあった状態のもの、
または、互いに化学的に結合を持った状態のものであ
る。
【0012】この複合化されたゴム状重合体としては、
例えば、ジエン系単位を主成分とするジエン系ゴム、炭
素数1〜18の炭化水素基を有するアクリル酸エステル
単位を主成分とするアクリル系ゴム、エチレン−プロピ
レン非共役ジエン三元共重合ゴム(EPDM)、およ
び、炭素数1〜6のアルキル基を側鎖にもつシロキサン
単位を主成分としたポリオルガノシロキサン系ゴムから
なる群より選ばれる二つ以上のゴム状重合体から構成さ
れるものであることが好ましい。
【0013】ジエン系重合体としては、例えば、1,3
−ブタジエン単位を主成分とした、ポリブタジエン、ス
チレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、アクリロニ
トリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、イソプレン
ゴム、クロロプレンゴム等が挙げられる。特に、ポリブ
タジエン、SBRが好ましい。
【0014】アクリル系ゴムは、例えば、アクリル酸エ
ステルを主成分として、架橋剤を使用し、好ましくは乳
化重合により調製できる。ここで、グラフト交叉剤を併
用することもできる。使用するアクリル酸エステルのア
ルキル基の炭素数は、充分なゴム弾性を得る点から、1
〜18が好ましく、4〜8がより好ましい。また、その
ガラス転移温度は、常温よりも低いことが好ましい。具
体的には、ブチルアクリレートまたは2−エチルヘキシ
ルアクリレートの単独もしくは共重合体等が挙げられ
る。
【0015】エチレン−プロピレン非共役ジエン三元共
重合ゴム(EPDM)は、エチレンとプロピレンと非共
役ジエン系単量体との共重合体である。この非共役ジエ
ン系単量体としては、例えば、ジシクロペンタジエン、
エチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、1,5
−ヘキサジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、
1,4−シクロヘプタジエン、1,5−シクロオクタジエ
ン等が挙げられる。特に、ジシクロペンタジエン、エチ
リデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエンが好まし
い。EPDM中のエチレンとプロピレンとのモル比は、
5:1〜1:3の範囲内であることが好ましい。また、
EPDMの中の不飽和基の割合は、ヨウ素価に換算して
4〜50の範囲内であることが好ましい。
【0016】ポリオルガノシロキサン系ゴムとしては、
特に限定されないが、炭素数1〜6であるアルキル基を
側鎖にもつシロキサン単位を主成分としたポリオルガノ
シロキサン系ゴムが好ましい。また、ビニル系重合性官
能基を含有するポリオルガノシロキサンが好ましく、特
に、ビニル重合性官能基含有シロキサン単位0.3〜3
モル%およびジメチルシロキサン単位97〜99.7モ
ル%からなり、さらに3個以上のシロキサン結合を有す
るケイ素原子がポリジメチルシロキサン中の全ケイ素原
子に対し1モル%以下であるポリオルガノシロキサンが
より好ましい。
【0017】このポリオルガノシロキサンの製法として
は、例えば、ジメチルシロキサンとビニル重合性官能基
含有シロキサンからなる混合物、または、さらに必要に
応じてシロキサン系架橋剤を含む混合物を、乳化剤と水
によって乳化させてラテックスとし、ホモミキサーを用
いて高速回転による剪断力で微粒子化したり、あるいは
ホモジナイザーを用いて高圧発生機による噴出力で微粒
子化し、その後酸触媒を用いて高温下で重合させ、次い
でアルカリ性物質により酸を中和する方法等が挙げられ
る。
【0018】この重合における酸触媒の添加方法として
は、例えば、酸触媒を、シロキサン混合物、乳化剤およ
び水と共に混合する方法や、シロキサン混合物が微粒子
化した後の乳化物を高温の酸水溶液中に一定速度で滴下
する方法等が挙げられる。ポリオルガノシロキサンの粒
子径制御のし易さを考慮すると、特に後者の方法が好ま
しい。
【0019】ポリオルガノシロキサンの製造に用いるジ
メチルシロキサンとしては、例えば3員環以上のジメチ
ルシロキサン系環状体が挙げられる。特に、3〜7員環
のものが好ましい。具体的には、ヘキサメチルシクロト
リシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、
デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシク
ロヘキサシロキサン等が挙げられる。これらは単独でま
たは二種以上混合して用いられる。
【0020】ポリオルガノシロキサンの製造に用いるビ
ニル重合性官能基含有シロキサンとしては、例えば、ビ
ニル重合性官能基を含有し、かつジメチルシロキサン結
合を介して結合しうるものが挙げられる。ジメチルシロ
キサンとの反応性を考慮すると、ビニル重合性官能基を
含有する各種アルコキシシラン加工物が好ましい。
【0021】ビニル重合性官能基含有シロキサンの具体
例としては、β−メタクリロイルオキシエチルジメトキ
シメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジ
メトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロ
ピルメトキシジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキ
シプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオ
キシプロピルエトキシジメチルシラン、γ−メタクリロ
イルオキシプロピルジエトキシメチルシラン、δ−メタ
クリロイルオキシブチルジエトキシメチルシラン等のメ
タクリロイルオキシシロキサン;テトラメチルテトラビ
ニルシクロテトラシロキサン等のビニルシロキサン;p
−ビニルフェニルジメトキシメチルシラン;γ−メルカ
プトプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メルカプト
プロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシロキサ
ン;などが挙げられる。
【0022】これらビニル重合性官能基含有シロキサン
は、単独でまたは二種以上の混合物として用いることが
できる。
【0023】ポリオルガノシロキサンの製造に用いるシ
ロキサン系架橋剤としては、3官能または4官能のシラ
ン系架橋剤が好ましい。具体的には、トリメトキシメチ
ルシラン、トリエトキシジフェニルシラン、テトラメト
キシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシ
ラン等が挙げられる。
【0024】グラフト共重合体(A)を構成する複合化
されたゴム状重合体の形状に関しては、樹脂中の分散粒
子径として重量平均粒子径の下限は50nm以上が好ま
しく、100nm以上がより好ましく、上限は500n
m未満が好ましく、400nm未満がより好ましい。ゴ
ム状重合体の分散粒子径を上記範囲にする方法は特に限
定されないが、例えば、重合中に成長させて大きくする
方法や、予め50nm未満の粒子を製造し、後に酸や塩
または酸基を含有した重合体ラテックスを添加すること
によって所望の粒子径に肥大化する方法が使用できる。
【0025】本発明で用いるグラフト共重合体(A)
は、以上説明した複合化されたゴム状重合体に、さらに
シアン化ビニル系単位、芳香族ビニル系単位、および、
必要に応じてその他のビニル系単位を含有する単量体単
位がグラフトされた、いわゆるゴム変性スチレン系樹脂
である。ここで「グラフトされた」とは、幹重合体であ
るゴム状重合体に枝重合体である共重合体が化学的に結
合し、有機溶媒中に分散させる程度では容易に分離でき
ない程度に結合している状態を指す。
【0026】このグラフト共重合体(A)は、複合化さ
れたゴム状重合体の存在下に、シアン化ビニル系単量
体、芳香族ビニル系単量体、および必要に応じてその他
の共重合可能なビニル系単量体を重合することにより得
られる。
【0027】使用するシアン化ビニル系単量体として
は、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、
エタクリロニトリル、マレオニトリル、フマロニトリル
等が挙げられる。特に、アクリロニトリルが好ましい。
【0028】使用する芳香族ビニル系単量体としては、
例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルス
チレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレ
ン、p−t−ブチルスチレン、ハロゲン化スチレン等が
挙げられる。特に、スチレン、α−メチルスチレンが好
ましい。
【0029】必要に応じて使用するその他の共重合可能
なビニル系単量体としては、例えば、炭素数1〜18の
炭化水素基(特にアルキル基)を有するアクリル酸エス
テル系単量体、炭素数1〜18の炭化水素基(特にアル
キル基)を有するメタクリル酸エステル系単量体、不飽
和カルボン酸無水物系単量体、マレイミド系単量体等が
挙げられる。具体的には、(メタ)アクリル酸、無水マ
レイン酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリ
ル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メ
タ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−t
−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メ
タ)アクリル酸クロロメチル、N−メチルマレイミド、
N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミ
ド、N−フェニルマレイミド等が挙げられる。なお、本
発明において「(メタ)アクリル」とは、「アクリルお
よび/またはメタクリル」を意味する。
【0030】グラフト共重合体(A)の具体的な製造方
法については、特に制限は無い。例えば、ゴム状重合体
の存在下に、シアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系
単量体、および、必要に応じてその他のビニル系単量体
の混合物を、乳化、懸濁、塊状、もしくはそれら二つ以
上の組合せによりグラフト共重合させる方法が挙げられ
る。特に、構造の制御性の面から、乳化重合、もしくは
乳化重合とその他重合方法とを組合せることが好まし
い。
【0031】グラフト共重合体(A)において、各成分
の使用割合は特に限定されないが、複合化されたゴム状
重合体30〜75重量部に対し、グラフト用単量体を7
0〜25重量部程度用いることが好ましい。このゴム状
重合体の含有量を30重量部以上とすることにより、カ
レンダー加工性がより向上する。また、75重量部以下
とすることにより、カレンダーシートのフィッシュアイ
等をより防止できる。
【0032】また、グラフト用の各単量体の割合につい
ては、グラフト用各単量体の合計を100重量部とした
場合に、シアン化ビニル系単量体10〜45重量部、芳
香族ビニル系単量体55〜90重量部、およびその他の
共重合可能なビニル系単量体0〜40重量部であること
が好ましい。
【0033】本発明で用いる共重合体(B)は、シアン
化ビニル系単位10〜45重量%、芳香族ビニル系単位
90〜55重量%、および、その他のビニル系単位0〜
40重量%からなる共重合体である。
【0034】共重合体(B)中の単量体単位を構成する
為に用いられるシアン化ビニル系単量体、芳香族系ビニ
ル系単量体、その他の共重合可能な単量体としては、い
ずれも、グラフト共重合体(A)のグラフト共重合に使
用される単量体として挙げたものと同様なものが好適で
ある。
【0035】共重合体(B)の具体的な製造方法につい
ては、特に制限は無い。例えば、乳化重合、懸濁重合、
溶液重合、塊状重合もしくはこれらの二つ以上の組合せ
により製造可能である。
【0036】また、グラフト共重合体(A)を乳化重合
により製造した際に、ゴム状重合体にグラフトしなかっ
た重合体をそのまま共重合体(B)として使用すること
もできる。
【0037】本発明で用いるアクリル系共重合体(C)
は、メタクリル酸メチル単位10〜95重量%、アクリ
ル酸エステル単位5〜60重量%、および、その他の単
量体単位0〜50重量%からなるアクリル系共重合体で
ある。このようなメタクリル酸メチル単位およびアクリ
ル酸エステル単位を含む共重合体を使用することによ
り、バンク回りやロールからの剥離性を向上することが
できる。
【0038】このアクリル系共重合体(C)は、メタク
リル酸メチル、アクリル酸エステル、および必要に応じ
て、メタクリル酸メチルおよびアクリル酸エステルと共
重合可能なその他の単量体を重合することにより得られ
る。その製造方法については特に制限は無いが、乳化重
合による方法が好ましい。
【0039】使用するアクリル酸エステルとしては、炭
素数1〜18の炭化水素基(特にアルキル基)を有する
ものが好ましい。具体的には、アクリル酸メチル、アク
リル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−n−
ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−t−ブチ
ル、アクリル酸−n−ヘキシル、アクリル酸−2−エチ
ルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベ
ンジル、アクリル酸フェニル等が挙げられる。特に、ア
クリル酸−n−ブチル、アクリル酸エチルが好ましい。
【0040】また、その他の単量体としては、メタクリ
ル酸メチルを除くメタクリル酸エステルや、それ以外の
単量体が挙げられる。メタクリル酸メチルを除くメタク
リル酸エステルとしては、炭素数1〜18の炭化水素基
(特にアルキル基)を有するものが好ましい。具体的に
は、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−n−ブチル、
メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−t−ブチル、
メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸シク
ロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェ
ニル等が挙げられる。また、それ以外の単量体として
は、例えばアクリロニトリル、スチレン、α−メチルス
チレン、酢酸ビニル等の単官能性単量体や、メタクリル
酸アリル、シアヌル酸トリアリル等の多官能性単量体が
挙げられる。なお、多官能性単量体を使用する場合は、
アクリル系共重合体(C)中2重量%以下で使用するこ
とが好ましい。
【0041】特に、アクリル系共重合体(C)として
は、メタクリル酸メチル単位40〜95重量%、アクリ
ル酸エステル単位5〜60重量%、および、その他の単
量体単位0〜30重量%からなり、かつクロロホルム溶
液(0.1g/dL)を25℃で測定した還元粘度(η
sp/C)が0.1〜200dL/gであるアクリル系共
重合体(C−1)が好ましい。この還元粘度(ηsp/
C)を0.1dL/g以上にすることにより、ゴム変性ス
チレン系樹脂の性能を損なうことなく各種特性をより向
上できる。また、200dL/g以下にすることによ
り、アクリル系共重合体(C)のゴム変性スチレン系樹
脂への分散性の低下を防止できる。
【0042】さらに、アクリル系共重合体(C−1)に
ついては、メタクリル酸メチル単位70〜95重量%、
および、アクリル酸エチルもしくはアクリル酸ブチル単
位5〜30重量%からなり、前記還元粘度(ηsp/
C)が3〜150dL/gであるの共重合体を使用する
ことが、本発明の樹脂組成物の加工時におけるアクリル
系共重合体(C)分散性と、樹脂組成物のロール上での
バンク回りとのバランスがより優れたものになるので特
に好ましい。
【0043】また、アクリル系共重合体(C)として
は、メタクリル酸メチル単位を少なくとも5重量%含ん
でなりかつクロロホルム溶液(0.1g/dL)を25
℃で測定した還元粘度(ηsp/C)が2dL/g未満
である重合体(C−a)5〜45重量部の存在下で、炭
素数1〜18のアルキル基を有するメタクリル酸エステ
ル0〜70重量%と炭素数1〜18の炭化水素基を有す
るアクリル酸エステル30〜100重量%との混合物
(C−b)40〜70重量部を、成分(b)単独での前
記還元粘度(ηsp/C)が1dL/g以下になるよう
な条件で重合し、該重合により得られた二段重合体の存
在下で、さらにメタクリル酸メチル30〜100重量
%、および、メタクリル酸メチルと共重合可能な他の単
量体0〜50重量%からなる単量体または単量体混合物
(C−c)5〜40重量部[成分(C−a)、(C−
b)、(C−c)の合計100重量部]を重合して得ら
れる三段重合体(C−2)が好ましい。このような三段
重合構造を有する重合体を用いることにより、アクリル
系共重合体(C)のゴム変性スチレン系樹脂への分散性
(均一相溶性)と、ゴム変性スチレン系樹脂のロール加
工性がより優れたものになる。
【0044】三段重合体(C−2)において、炭素数1
〜18の炭化水素基を有するメタクリル酸エステルとし
ては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチ
ル、メタクリル酸−t−ブチル、メタクリル酸−2−エ
チルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリ
ル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル等が挙げられる。
また、炭素数1〜18の炭化水素基を有するアクリル酸
エステル、および共重合可能な他の単量体としては、ア
クリル系共重合体(C)において例示したものと同様の
ものが挙げられる。
【0045】アクリル系共重合体(C−1)と三段重合
体(C−2)とは、単独で使用しても良いし、両者を併
用してもよい。共重合体(C−1)はバンク回りを良く
する効果は大きいが、ロールからの剥離性を良くする効
果は共重合体(C−2)よりも小さい。一方、三段重合
体(C−2)はロールからの剥離性を良くする効果は大
きいが、バンク回りを良くする効果は共重合体(C−
1)よりも小さい。したがって、両者を併用することに
よって、少ない添加量で、よりバランス良く優れた効果
を奏することもできる。
【0046】本発明の熱可塑性樹脂組成物において、グ
ラフト共重合体(A)の組成比は、成分(A)〜(C)
の合計100重量部中、10〜98.9重量部である。
これが10重量部よりも少ないと、必然的にゴム状重合
体の割合が少なくなり、98.9重量部よりも多いと、
ロール加工性が悪化する。
【0047】また、共重合体(B)の組成比は、成分
(A)〜(C)の合計100重量部中、1〜89.9重
量部である。これが89.9重量部よりも多いと、必然
的にゴム状重合体の割合が少なくなり、1重量部よりも
少ないと、ロール加工性が悪化する。
【0048】また、アクリル系共重合体(C)の組成比
は、成分(A)〜(C)の合計100重量部中、0.1
〜15重量部である。これが0.1重量部よりも少ない
と、樹脂組成物のバンク回りあるいは加熱ロールからの
剥離性が劣り、15重量部よりも多いと、ゴム変性スチ
レン系樹脂組成物としての性能が損なわれ、またフィッ
シュアイが多く発生するようになる。なお、アクリル系
共重合体(C)を2種以上併用する場合には、それらの
合計量を上記範囲内にする。
【0049】さらに、本発明の樹脂組成物は、リン系化
合物を含まないことが好ましい。このような複合化ゴム
重合体を使用した樹脂組成物にリン系化合物が多量に存
在すると、本発明の目的である耐候性、特に暴露後の変
色が著しく悪化する。ここでいうリン系化合物とは、従
来より知られる各種化合物を含むものであり、例えばリ
ン系安定剤やリン系難燃剤である。本発明の樹脂組成物
が、リン系化合物を含む場合は、その含有量は0.05
重量部以下であることが好ましく、さらには0.01重
量部以下であることがより好ましい。
【0050】本発明の樹脂組成物を調製する為に、グラ
フト共重合体(A)、共重合体(B)、およびアクリル
系共重合体(C)を配合する方法については、特に制限
は無い。例えば、成分(A)〜(C)の各々の粉体を混
合する方法、あるいは、乳化重合で製造された成分
(A)および/または成分(B)のラテックスに、乳化
重合で製造された成分(C)のラテックスを混合した
後、この混合ラテックスから重合体を回収して、粉体混
合物を得る方法等が挙げられる。
【0051】これら成分(A)〜(C)を配合する際に
は、必要に応じて各種安定剤を添加するとよい。この安
定剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、チオ
エーテル系の抗酸化剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾ
フェノン系の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定
剤が挙げられる。
【0052】また、安定剤以外にも、各種着色剤、金属
石鹸、可塑剤、滑剤等を添加することができる。特に、
金属石鹸を添加することは好ましい。樹脂組成物中のゴ
ム状重合体の割合が少ない場合には、アクリル系共重合
体(C)によるロールからの剥離性向上効果が小さくな
ることがあるが、金属石鹸を添加することによりロール
からの剥離性向上効果をより大きく発現することができ
る。この金属石鹸としては、例えばステアリン酸のマグ
ネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛等の塩が挙げら
れる。
【0053】さらに、本発明の樹脂組成物には、目的に
応じて、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、抗菌・防カビ
剤等を配合することができる。難燃剤および難燃助剤と
しては、例えば、テトラブロモビスフェノールA、ビス
(ジブロモプロピル)テトラブロモビスフェノールA、
オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニ
ルエーテル、ヘキサブロモシクロドデカン、臭素化ポリ
カーボネート、ポリ塩化ビニル、末端変性・未変性の臭
素化エポキシ系難燃剤(例えばテトラブロモビスフェノ
ールAのグリシジルエーテルの重合体)、三酸化アンチ
モン、塩素化ポリエチレン、テフロン等が挙げられる。
帯電防止剤としては、例えば、アミン系、アンモニウム
塩系、スルホン酸塩系、ポリオキシエチレン系、ポリエ
ーテル−ポリアミドブロック系等が挙げられる。抗菌・
抗カビ剤としては、例えば、イミダゾール系、チアゾー
ル系、ニトリル系、ハロアルキル系、ピリジン系等の有
機系のものや、銀系、亜鉛系、銅系、チタン系等の無機
系のものが挙げられる。これらの内、熱的に安定で性能
の高い銀系のものを使用することが好ましい。この銀系
の抗菌剤としては、ゼオライト、シリカゲル、ハイドロ
タルサイト、ヒドロキシアパタイト、ケイ酸カルシウム
等の多孔性構造体に銀、銀イオン、銀錯体、銀化合物を
担持させたものが好ましい。また、これ以外にも脂肪酸
の銀塩等も例示される。
【0054】さらに、本発明の樹脂組成物には、得られ
るシートに石目調やパール調、メタリック調等の外観を
持たせる目的で、例えば、着色されたフッ素樹脂、ウレ
タン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹
脂、ポリエステル樹脂・繊維、アラミド樹脂・繊維、ガ
ラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、アルミニウム、
ステンレス、銅等の金属粒子・繊維、イリオジン、タル
ク、マイカ等を添加することも可能である。
【0055】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、これらの実施例によって本発明は何ら制限さ
れるものではない。また、実施例中の「部」、「%」
は、特にことわりのない限り「重量部」、「重量%」を
表すものである。
【0056】<評価方法> .重量平均粒子径の測定 ゴム状重合体ラテックスを直接透過型電子顕微鏡にて観
察し、粒子200〜300個の粒子径を測定し、それら
の平均粒子径を求めた。
【0057】.グラフト率の測定 得られたグラフト共重合体(ゴム状重合体に化学結合し
ていないものを含むもの)0.5gをアセトン80ml
中に分散させ、65℃で3時間抽出を行い、その混合物
を14、000rpmで遠心分離し、その不溶分を真空
乾燥し、その重量比と重合時に仕込んだゴム状重合体の
比率からグラフト率を算出した。
【0058】.還元粘度(ηsp/C)の測定 所定量の試料を溶媒に溶解し、ウベローデ管を用いて2
5℃の温度で測定した。
【0059】.ロール巻き付き性 6インチロールを用い、樹脂粉体混合物100gをロー
ル混練温度180℃、ロール回転数14×16rpm、
ロール間隔0.3mmにてロールを回転して混練させ、
ロールへの付着状態を観察した。評価は5段階法を用
い、5は非常に良く密着している状態であることを示
し、1は密着状態が非常に悪い状態を表し、数字が5に
近いほどロール巻き付き性が良いことを示す。
【0060】.バンク回り 上記条件にて樹脂のロール上のバンクの状態を観察し
た。評価は5段階法を用い、5はバンクが棒状で滑らか
に回転しバンク回りが良いことを示し、1はバンクが波
打ち空気を巻き込んでバンク回りが悪いことを表し、数
字が5に近いほどバンク回りが良く外観がよいシートが
得られることを示す。
【0061】.ロールからの剥離性 上記条件にて樹脂をロールにて3分間混練した後に、ロ
ール表面からの剥離性を評価した。評価は5段階法を用
い、5が剥離性最高で1が剥離性最低、数値が5に近い
ほどロールからの剥離性が良くなることを示す。
【0062】.シートの耐候性 スガ試験機(株)製のサンシャインスーパ―ロングライ
フウェザオメーターWEL−SUL−DCH型を使用
し、63℃、雨有りの条件下で500時間の加速暴露を
行った。そして、村上色彩技術研究所製の高速分光測色
計、CMS−1500を使用し、暴露試験片と非暴露試
験片との色差(ΔE)を測定した。
【0063】.シートの着色性 前記の非暴露試片について、同じ高速分光測色計を使
用してL*(明度)を測定した。
【0064】<グラフト共重合体A−1の製造>温度計
および攪拌機付き10Lステンレス製オートクレーブ
に、 脱イオン水(以後、単に水と記載) 150 部 オレイン酸ナトリウム 0.5 部 不均化ロジン酸カリウム 1.3 部 無水硫酸ナトリウム 0.2 部 水酸化ナトリウム 0.02部 t−ドデシルメルカプタン 0.2 部 過硫酸カリウム 0.3 部 スチレン 5 部 を仕込み、窒素置換後、 1,3−ブタジエン 95 部 を攪拌しながら仕込んで内温を50℃に昇温した。5時
間この温度を維持し、その後段階的に温度を上昇させ最
終的に80℃とした。合計36時間重合を行った後、脱
揮により残存ブタジエンを除去し、最終的に固形分3
9.8%、重量平均粒子径270nm、ゲル含有率92
%であるゴム状重合体を得た。
【0065】続いて、温度計および攪拌機付き5Lガラ
ス製反応器に、 上記ゴム状重合体(固形分として) 45 部 水(ゴム状重合体中の水も含む) 135 部 不均化ロジン酸カリウム 0.3 部 水酸化ナトリウム 0.02部 デキストローズ 0.35部 アクリロニトリル 5.8 部 スチレン 14.2 部 クメンヒドロパーオキシド 0.15部 を仕込み、内温を60℃に昇温した。これに、 硫酸第一鉄七水塩 0.005部 無水ピロリン酸ナトリウム 0.1 部 水 5 部 からなる水溶液を添加し重合を開始した。重合発熱が無くなった時点から、 アクリロニトリル 10.2 部 スチレン 24.8 部 クメンヒドロパーオキシド 0.2 部 からなる混合物を2時間かけて釜内に供給し重合させ、
ラテックスを冷却した。これに酸化防止剤0.2部を添
加し、得られたラテックスの2倍量の75℃に調節した
0.4%硫酸水溶液中に投入し、その後スラリーのpH
を5に調整し、温度を92℃に昇温し5分間保持した。
脱水と洗浄を繰り返し、最終的に乾燥させて平均粒度3
50nmである乳白色粉末状の共重合体(収率97%)
を得た。
【0066】得られたグラフト重合体のグラフト率は8
0%であり、目的とするアセトンに不溶であるグラフト
共重合体(A−1)は、ゴム状重合体45%に枝重合体
が36%グラフトしていることとなる。また、残り19
%が化学結合を持たない共重合体(B)に相当し、この
アセトン可溶分である共重合体(B−1)のDMF溶液
(0.2g/dL)のηsp/Cは0.81dL/gであっ
た。
【0067】<グラフト共重合体A−2の製造>温度計
および攪拌機付き5Lガラス製反応器に、 水 175 部 n−ブチルアクリレート 99.1 部 アリルメタクリレート 0.6 部 1,3−ブチレンジメタクリレート 0.3 部 アルケニルコハク酸ジカリウム 1.0 部 t−ブチルハイドロパーオキシド 0.1 部 ロンガリット 0.3 部 硫酸ナトリウム 0.2 部 を仕込み、攪拌下で内温を40℃に昇温した。さらに、 硫酸第一鉄七水塩 0.0005部 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム 0.0015部 水 5 部 からなる混合物を添加し、重合を開始した。重合発熱が
なくなるまで重合を継続し、重量平均粒子径320n
m、固形分34.6%であるアクリルゴムラテックスを
得た。
【0068】引き続き、 このゴム状重合体ラテックス(固形分) 45 部 水(ゴム状重合体中の水を含む) 200 部 ロンガリット 0.2 部 アルケニルコハク酸ジカリウム 0.8 部 を仕込み、攪拌下で80℃に昇温した。これに、 アクリロニトリル 13.8 部 スチレン 41.2 部 n−オクチルメルカプタン 0.05部 t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.1 部 からなる混合物を180分かけて系内に供給し重合を行
った。その後グラフト共重合体A−1と同様な処理を行
い重合体(収率98%)を得た。
【0069】得られたグラフト重合体のグラフト率は7
5%であり、目的とするアセトンに不溶であるグラフト
共重合体(A−2)は、ゴム状重合体45%に枝重合体
が33.8%グラフトしていることとなる。また、残り
21.2%が化学結合を持たない共重合体(B)に相当
し、このアセトン可溶分である共重合体(B−2)のD
MF溶液(0.2g/dL)のηsp/Cは0.85dL/
gであった。
【0070】<グラフト共重合体A−3の製造>温度計
および攪拌機付き5Lガラス製反応器に、 グラフト共重合体A−1で製造した ゴムラテックス(固形分) 5 部 水(ゴムラテックス中の水も含む) 175 部 n−ブチルアクリレート 39.4 部 アリルメタクリレート 0.4 部 1,3−ブチレンジメタクリレート 0.2 部 アルケニルコハク酸ジカリウム 0.4 部 t−ブチルハイドロパーオキシド 0.1 部 ロンガリット 0.3 部 硫酸ナトリウム 0.1 部 を仕込み、攪拌下で内温を50℃に昇温した。さらに、 硫酸第一鉄七水塩 0.0005部 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム 0.0015部 水 5 部 からなる混合物を添加し、重合を開始した。重合発熱が
なくなるまで重合を継続し、重量平均粒子径290n
m、固形分19.5%である複合ゴムラテックスを得
た。以後、グラフト共重合体A−2と同様にして重合お
よび回収操作を行い、共重合体(収率97%)を得た。
【0071】得られたグラフト重合体のグラフト率は8
4%であり、目的とするアセトンに不溶であるグラフト
共重合体(A−3)は、ゴム状重合体45%に枝重合体
が37.8%グラフトしていることとなる。また、残り
17.2%が化学結合を持たない共重合体(B)に相当
し、このアセトン可溶分である共重合体(B−3)のD
MF溶液(0.2g/dL)のηsp/Cは0.82dL/
gであった。
【0072】<グラフト共重合体A−4の製造>温度計
および攪拌機付き5Lガラス製反応器に、 水 200 部 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 1.0 部 ドデシルベンゼンスルホン酸 1.0 部 オクダメチルシクロテトラシロキサン 97.5 部 テトラエトキシシラン 2.0 部 γ−メタクリロイルオキシプロピル ジメトキシメチルシラン 0.5 部 からなる混合物をホモミキサーで10、000rpmで
予備攪拌した後、ホモジナイザーにより30MPaの圧
力で乳化、分散させた乳化液を入れ、80℃で5時間加
熱した後20℃で放置し、48時間後に水酸化ナトリウ
ム水溶液でこのラテックスのpHを7に中和して重合を
完結し、重量平均粒子径150nm、固形分31.5%
であるポリオルガノシロキサン系ゴムラテックスを得
た。さらに、 前記ポリオルガノシロキサン系ゴム ラテックス(固形分として) 5 部 水(ゴムラテックス中の水も含む) 175 部 n−ブチルアクリレート 39.4 部 アリルメタクリレート 0.4 部 1,3−ブチレンジメタクリレート 0.2 部 アルケニルコハク酸ジカリウム 0.4 部 t−ブチルハイドロパーオキシド 0.1 部 ロンガリット 0.3 部 硫酸ナトリウム 0.1 部 を仕込み、攪拌下で内温を50℃に昇温した。さらに、 硫酸第一鉄七水塩 0.0005部 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム 0.0015部 水 5 部 からなる混合物を添加し、重合を開始した。重合発熱が
なくなるまで重合を継続し、重量平均粒子径200n
m、固形分19.8%である複合ゴムラテックスを得
た。以後、グラフト共重合体A−2と同様にして重合お
よび回収操作を行い、共重合体(収率98%)を得た。
【0073】得られたグラフト重合体のグラフト率は8
0%であり、目的とするアセトンに不溶であるグラフト
共重合体(A−4)は、ゴム状重合体45%に枝重合体
が36.0%グラフトしていることとなる。また、残り
19.0%が化学結合を持たない共重合体(B)に相当
し、このアセトン可溶分である共重合体(B−4)のD
MF溶液(0.2g/dL)のηsp/Cは0.87(dL
/g)であった。
【0074】<グラフト共重合体A−5の製造> EPDMラテックス(平均粒子径500nm、ゲル含有
量60%、エチリデンノルボルネン使用、 ヨウ素価15、固形分) 50.0 部 不均化ロジン酸カリウム 1.0 部 水(ラテックス中の水を含む) 150 部 を仕込み、窒素置換した後、内温を70℃に昇温した。
これに、 過硫酸カリウム 0.12部 水 10 部 からなる混合物を加え、さらに、 アクリル酸−n−ブチル 80 部 メタクリル酸アリル 0.32部 エチレングリコールジメタクリレート 0.16部 からなる混合物を2時間かけて反応器内に供給し、重合
させた。その後、内温を80℃に上げ、1時間攪拌を継
続した後、冷却して重合を終了し、重量平均粒子径28
0nm、固形分44%である複合ゴムラテックスを得
た。
【0075】 前記複合ゴムラテックス(固形分) 30.0 部 水(ゴムラテックス中の水を含む) 200 部 を入れ、反応釜内内温を70℃に昇温した。これに、 アクリロニトリル 20.3 部 スチレン 49.7 部 ベンゾイルパーオキサイド 0.35部 からなる混合物を280分かけて反応器内に供給し、そ
の後さらに80℃に昇温して30分攪拌を継続した。冷
却後、グラフト共重合体A−2と同様にして回収操作を
行い共重合体(収率99%)を得た。
【0076】得られたグラフト重合体のグラフト率は8
5%であり、目的とするアセトンに不溶であるグラフト
共重合体(A−5)は、ゴム状重合体30%に枝重合体
が25.5%グラフトしていることとなる。また、残り
43.5%が化学結合を持たない共重合体(B)に相当
し、このアセトン可溶分である共重合体(B−5)のD
MF溶液(0.2g/dL)のηsp/Cは0.80dL/
gであった。
【0077】<共重合体B−6の製造>公知の懸濁重合
により、アクリロニトリル単位28%、スチレン単位7
2%、DMF溶液(0.2g/dL)の25℃で測定し
たηsp/Cが0.73dL/gである共重合体(B−6)
を得た。
【0078】<共重合体B−7の製造>公知の乳化重合
法により、アクリロニトリル単位39%、スチレン単位
61%、DMF溶液(0.2g/dL)の25℃で測定
したηsp/Cが0.42dL/gである共重合体(B−
7)を得た。
【0079】<共重合体B−8の製造>公知の乳化重合
法により、共重合体B−7と同様にして、アクリロニト
リル単位23%、α−メチルスチレン単位77%、DM
F溶液(0.2g/dL)の25℃で測定したηsp/Cが
0.46dL/gである共重合体(B−8)を得た。
【0080】<アクリル系共重合体C−1の製造>温度
計および攪拌機付き5Lガラス製反応器に、 水 200 部 メタクリル酸メチル 80 部 アクリル酸ブチル 20 部 ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 1.5 部 過硫酸アンモニウム 0.2 部 を仕込み、窒素フロー下攪拌しながら65℃に昇温し重
合を開始した。そのまま4時間重合を継続させ、得られ
た重合体ラテックスを5%塩化アルミウム水溶液で凝固
し、洗浄、乾燥することにより白色粉末状のアクリル系
共重合体(C−1)を得た。この(C−1)のクロロホ
ルム溶液(0.1g/dL)を25℃で測定したηsp
/Cは11.8dL/gであった。
【0081】<アクリル系共重合体C−2の製造>温度
計および攪拌機付き5Lガラス製反応器に、 水 280 部 メタクリル酸メチル 30 部 n−オクチルメルカプタン 0.003部 ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 1.5 部 過硫酸アンモニウム 0.2 部 を仕込み、窒素フロー下攪拌しながら65℃に昇温し、
このまま4時間重合させた。この重合体のηsp/Cは1.
5dL/gであった。続いて、 メタクリル酸ブチル 30 部 アクリル酸ブチル 20 部 n−オクチルメルカプタン 0.5 部 からなる混合物を1時間かけて供給して重合した。この
成分のみを同一条件で重合させた重合体のηsp/Cは0.
6dL/gであった。さらに、 メタクリル酸メチル 20 部 n−オクチルメルカプタン 0.002部 からなる混合物を30分かけて供給して重合した。最終
的に得られた重合体ラテックスを5%硫酸アルミウム水
溶液で凝固し、洗浄、乾燥することにより粉末状のアク
リル系共重合体(C−2)を得た。
【0082】<リン系化合物>リン系化合物としては、
次のものを使用した。ジ−ステアリルペンタエリスリト
ール−ジ−ホスファイト(旭電化工業(株)アデカスタ
ブPEP−8)、ジフェニルオクチルホスファイト(旭
電化工業(株)アデカスタブC)、トリス(2,4−ジ
−t―ブチルフェニル)ホスファイト(旭電化工業
(株)MARK2112)、トリス(ノニルフェニル)
ホスファイト(住友化学(株)SumilizerTNP)。
【0083】<実施例1〜9、比較例1〜8>得られた
グラフト共重合体(A)[一部共重合体(B)を含
む]、別途製造した共重合体(B)、アクリル系共重合
体(C)を表1に示す配合で混合し、さらにステアリン
酸マグネシウム0.4部、エチレンビスステアリルアミ
ド0.8部、カーボンブラック(三菱化学(株)製#9
60B)0.8部添加したものをヘンシェルミキサーで
混合し、目的とする粉体混合物を得た。これら粉体混合
物について、前記条件にて諸物性を評価した。結果を表
1に示す。
【0084】
【表1】 表1から明らかな様に、実施例1〜9では、本発明の熱
可塑性樹脂材料を用いており、これによりロール加工性
に優れ、耐候性および着色性に優れた材料を製造するこ
とが可能であった。
【0085】これに対して、比較例1、2では、複合化
されていなゴム状重合体を用いており、優れた耐候性と
着色性を両立することは出来なかった。また比較例3で
は、アクリル系重合体(C)を含まないので、バンク回
りが悪い上にロールからの剥離性が悪かった。また比較
例4では、アクリル系重合体(C)が多過ぎるので、ロ
ールからの剥離性が悪かった。また比較例5〜8では、
リン系化合物を含んでいるので、耐候性が悪化した。
【0086】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の熱可塑性
樹脂組成物は、カレンダー加工に供した場合の成形性が
良好であり、しかも耐候性および着色性に優れたシート
状またはフィルム状製品を低コストで製造できる材料で
ある。
【0087】したがって、本発明の熱可塑性樹脂組成物
は、従来よりゴム変性スチレン系樹脂シートまたはフィ
ルムの材料として、広い工業分野において非常に有用で
ある。なお、諸特性と共に着色性にも優れるということ
は、染料や顔料の使用量を抑制できるのみに留まらず、
製品の意匠性を向上させることになり、工業的な価値は
大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−120306(JP,A) 特開 平9−208791(JP,A) 特開 平9−208798(JP,A) 特開 平9−216992(JP,A) 特開 平10−306183(JP,A) 特開2000−7878(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 51/04 C08F 265/06 C08F 291/02 C08L 25/00 C08L 33/10

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複合化されたゴム状重合体に、シアン化
    ビニル系単位、芳香族ビニル系単位、および、必要に応
    じてその他のビニル系単位を含有する単量体単位がグラ
    フトしたグラフト共重合体(A)10〜98.9重量部
    と、 シアン化ビニル系単位10〜45重量%、芳香族ビニル
    系単位90〜55重量%、および、その他のビニル系単
    位0〜40重量%からなる共重合体(B)1〜89.9
    重量部と、 メタクリル酸メチル単位10〜95重量%、アクリル酸
    エステル単位5〜60重量%、および、その他の単量体
    単位0〜50重量%からなるアクリル系共重合体(C)
    0.1〜15重量部と[成分(A)、(B)、(C)の
    合計100重量部]を主成分として含んで成り、かつリ
    ン系化合物を含まないあるいはリン系化合物の含有量が
    0.05重量部以下であることを特徴とする熱可塑性樹
    脂組成物。
  2. 【請求項2】 複合化されたゴム状重合体が、ジエン系
    単位を主成分とするジエン系ゴム、炭素数1〜18の炭
    化水素基を有するアクリル酸エステル単位を主成分とす
    るアクリル系ゴム、エチレン−プロピレン非共役ジエン
    三元共重合ゴム、および、炭素数1〜6のアルキル基を
    側鎖にもつシロキサン単位を主成分としたポリオルガノ
    シロキサン系ゴムからなる群より選ばれる二つ以上のゴ
    ム状重合体から構成される請求項1記載の熱可塑性樹脂
    組成物。
  3. 【請求項3】 アクリル系共重合体(C)が、メタクリ
    ル酸メチル単位40〜95重量%、アクリル酸エステル
    単位5〜60重量%、および、その他の単量体単位0〜
    30重量%からなり、かつクロロホルム溶液(0.1g
    /dL)を25℃で測定した還元粘度(ηsp/C)が
    0.1〜200dL/gであるアクリル系共重合体(C
    −1)である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 アクリル系共重合体(C)が、 メタクリル酸メチル単位を少なくとも5重量%含んでな
    りかつクロロホルム溶液(0.1g/dL)を25℃で
    測定した還元粘度(ηsp/C)が2dL/g未満であ
    る重合体(C−a)5〜45重量部の存在下で、炭素数
    1〜18のアルキル基を有するメタクリル酸エステル0
    〜70重量%と炭素数1〜18のの炭化水素基を有する
    アクリル酸エステル30〜100重量%との混合物(C
    −b)40〜70重量部を、成分(b)単独での前記還
    元粘度(ηsp/C)が1dL/g以下になるような条
    件で重合し、 該重合により得られた二段重合体の存在下で、さらにメ
    タクリル酸メチル30〜100重量%、および、メタク
    リル酸メチルと共重合可能な単量体0〜50重量%から
    なる単量体または単量体混合物(C−c)5〜40重量
    部[成分(C−a)、(C−b)、(C−c)の合計1
    00重量部]を重合して得られる三段重合体(C−2)
    である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
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