JP2001098133A - グラフト共重合体を含む熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

グラフト共重合体を含む熱可塑性樹脂組成物

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JP2001098133A JP27346199A JP27346199A JP2001098133A JP 2001098133 A JP2001098133 A JP 2001098133A JP 27346199 A JP27346199 A JP 27346199A JP 27346199 A JP27346199 A JP 27346199A JP 2001098133 A JP2001098133 A JP 2001098133A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐候性、低温衝撃特性、成形光沢、および顔
料着色性を同時に満足する熱可塑性樹脂組成物。 【解決手段】 (A)酸基含有共重合体ラテックスで肥大
化したジエン系ゴムの存在下で、グラフト交叉剤と架橋
剤を併用して(メタ)アクリル酸アルキルエステル成分
を乳化重合した複合ゴム系ゴム質重合体の存在下に、芳
香族アルケニル化合物等の単量体を乳化グラフト重合し
たグラフト共重合体と、(B)ポリオルガノシロキサンの
存在下に、多官能性単量体、(メタ)アクリル酸アルキ
ルエステル等からなる単量体混合物をラジカル重合した
複合ゴム重合体の存在下に、芳香族アルケニル化合物等
の単量体を乳化グラフト重合したグラフト共重合体であ
って、アセトン不溶分を含み、かつ還元粘度が0.30
〜0.70dl/gであるグラフト共重合体と、(C)熱可
塑性樹脂とを含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐候性、耐衝撃
性、および成形光沢に優れ、かつ良好な顔料着色性を有
する熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】樹脂材料の耐衝撃性を向上させること
は、材料の用途の拡大だけでなく成形品の薄肉化や大型
化への対応を可能にするなど、工業的な有用性は非常に
大きく、これまで様々な手法によって発明がなされてき
た。このうち、ゴム質重合体を硬質樹脂と組み合わせる
ことによって、材料の耐衝撃性を高めた材料としては、
従来ABS樹脂、ハイインパクトポリスチレン樹脂、変
性PPE樹脂およびMBS樹脂強化ポリ塩化ビニル樹脂
等が既に工業的に使用されている。特にゴム質重合体に
(メタ)アクリル酸アルキルエステルゴム等の飽和ゴム
成分を用いることによって、良好な耐候性を有する樹脂
材料として、例えば耐候性ABS樹脂であるASA樹脂
が提案されている。さらに、ASA樹脂の低温衝撃特性
を改良する第一の方法として、(メタ)アクリル酸アル
キルエステルゴムにジエン系ゴムを組み合わせた複合ゴ
ム重合体が特公昭47−47863号公報、特公昭59
−49245号公報等で提案され、さらにその成形性、
光沢/耐衝撃性バランスを改良する方法として、特公平
3−66329号公報に酸基含有共重合体ラテックスで
肥大化したジエン系ゴムを粒子内部に含み、グラフト交
叉剤と架橋剤を併用して得られる架橋アクリル酸エステ
ル系重合体を外層部とした複合ゴム系グラフト共重合体
を用いることが提案されている。さらに、特開平10−
77383号公報には、特定のトルエン可溶分の分子
量、ゲル含有率およびトルエンに対する膨潤度のジエン
系ゴムを使用することによってグラフト共重合体を含む
樹脂組成物が良好な耐衝撃性を有することが記載されて
いる。しかしながら、これらジエン系ゴムを含有する複
合ゴム系グラフト共重合体を含有する樹脂組成物は、良
好な低温衝撃特性と顔料着色性を有すものの、ジエン系
ゴム成分に由来して耐候性が不良であり、特に高いレベ
ルの耐候性が必要となる用途には使用することができな
かった。一方、ASA樹脂の低温衝撃特性を改良する第
二の方法として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル
ゴムにポリオルガノシロキサンを組み合わせた複合ゴム
重合体を用いることが、特開平1−190746号公報
に記載され、さらにその顔料着色性を改良する方法が、
特開平6−025492号公報、特開平8−04114
9号公報および特開平11−199642号公報等に記
載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
1−190746号公報に記載されているポリオルガノ
シロキサンと(メタ)アクリル酸アルキルエステルゴム
とからなる複合ゴム系グラフト共重合体を含有する樹脂
組成物は、良好な低温衝撃特性と耐候性を有すものの、
ポリオルガノシロキサン成分に由来する顔料着色性が不
良であり、このように意匠性に劣る材料は使用できる用
途に制限があった。また、特開平8−041149号公
報および特開平11−199642号公報に記載の平均
粒子径の小さいポリオルガノシロキサンと(メタ)アク
リル酸アルキルエステルゴムとからなる複合ゴム系グラ
フト共重合体を含有する樹脂組成物は、良好な耐候性と
顔料着色性を示すものの、低温衝撃特性が不良であり、
特に過酷な条件で使用される用途には用いることができ
なかった。
【0004】すなわち従来は、(メタ)アクリル酸アル
キルエステルゴムを構成成分としたグラフト共重合体を
含む熱可塑性樹脂組成物において、耐候性、低温衝撃特
性および顔料着色性を同時に満足する樹脂材料は見出さ
れておらず、これらを満足する材料の技術の開発が強く
要望されていた。本発明は前記課題を解決するためにな
されたもので、耐候性、低温衝撃特性、成形光沢、およ
び顔料着色性を同時に満足する熱可塑性樹脂組成物を目
的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、(メタ)
アクリル酸アルキルエステルゴムを構成成分とするグラ
フト共重合体を含有する樹脂組成物の耐候性、低温衝撃
特性および顔料着色性について鋭意検討したところ、驚
くべきことに、特定の構造の二種のグラフト共重合体を
含有する熱可塑性樹脂組成物が良好な耐候性、低温衝撃
特性および顔料着色性を示すことを見出し、本発明に到
達した。すなわち本発明は、下記(A)、(B)及び
(C)の各成分を含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組
成物である。 (A)(a−1)酸基含有共重合体ラテックスで重量平
均粒子径300nm以上に肥大化したジエン系ゴム1〜
30重量%の存在下で(a−2)グラフト交叉剤と架橋
剤を併用して(メタ)アクリル酸アルキルエステル成分
70〜99重量%を乳化重合して得られる複合ゴム系ゴ
ム質重合体((a−1)+(a−2))20〜80重量
%の存在下に、(a−3)芳香族アルケニル化合物、メ
タクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよびシアン
化ビニル化合物から選ばれる少なくとも一種の単量体2
0〜80重量%((a−1)+(a−2)+(a−3)
=100重量%)を乳化グラフト重合してなるグラフト
共重合体。 (B)(b−1)ポリオルガノシロキサン1〜20重量
部の存在下に、(b−2)多官能性単量体0.01〜1
0重量%、(メタ)アクリル酸アルキルエステル50〜
99.9重量%およびこれと共重合可能なビニル単量体
0〜30重量%からなる単量体混合物99〜80重量部
をポリオルガノシロキサンとの総量が100重量部にな
るように配合しラジカル重合して得られる複合ゴム重合
体((b−1)+(b−2))20〜80重量%の存在
下に、(b−3)芳香族アルケニル化合物、メタクリル
酸エステル、アクリル酸エステルまたはシアン化ビニル
化合物から選ばれた少なくとも一種の単量体20〜80
重量%((b−1)+(b−2)+(b−3)=100
重量%)を乳化グラフト重合して得られるグラフト共重
合体であって、アセトン不溶分を70〜99重量%含
み、かつアセトン可溶分の0.2g/100c cN,N
−ジメチルホルムアミド溶液として25℃で測定した還
元粘度が0.30〜0.70dl/gであるグラフト共重
合体。 (C)熱可塑性樹脂。
【0006】ここで、グラフト共重合体(B)の重量平
均粒子径が0.07〜0.2μmであることが望ましい。
また、熱可塑性樹脂(C)が、芳香族アルケニル化合物
成分、シアン化ビニル化合物成分、(メタ)アクリル酸
エステル成分から選ばれた少なくとも一種の単量体成分
を構成成分とする(共)重合体であることが望ましい。
さらに、ブタジエン系重合体に、芳香族アルケニル化合
物、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル及びシ
アン化ビニル化合物から選ばれた少なくとも一種の単量
体がグラフト重合したグラフト共重合体(D)を含有す
ることが望ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の熱可塑性樹脂樹脂組成物
を構成するグラフト共重合体(A)中の肥大化したジエ
ン系ゴム(a−1)は、ブタジエン、イソプレン等のジ
エン成分およびこれらと共重合可能な単量体成分を構成
成分とするゴム質重合体を酸基含有共重合体ラテックス
にて重量平均粒子径300nm以上に肥大化したもので
ある。肥大化剤として用いる酸基含有共重合体ラテック
スとは、酸基含有単量体とアクリル酸アルキルエステル
を共重合体の構成成分とする共重合体ラテックスであ
る。酸基含有単量体としては、アクリル酸、メタクリル
酸、イタコン酸およびクロトン酸等が挙げられ、アクリ
ル酸アルキルエステルとしてはアルキル基の炭素数が1
〜12のアクリル酸アルキルエステルである。酸基含有
共重合体中の酸基含有単量体成分の量としては、肥大化
時のラテックスの安定性と肥大化したブタジエン系重合
体の平均粒子径を考慮すると共重合体中3〜30重量
%、さらに好ましくは10〜25重量%である。酸基含
有重合体ラテックス中の酸基含有重合体の重量平均粒子
径としては、肥大化時のラテックスの安定性と肥大化し
たブタジエン系重合体の平均粒子径を考慮すると100
〜200nmが好ましい。肥大化の方法としては、乳化
重合にて製造した小粒子径のジエン系ゴムラテックスに
上記酸基含有ラテックスを添加することによって行うこ
とができる。肥大化したジエン系ゴムの重量平均粒子径
は300nm以上でなければならない。重量平均粒子径
が300nm未満の場合は、グラフト共重合体を含む樹
脂組成物の耐衝撃性および顔料着色性が低下してしま
う。
【0008】グラフト共重合体(A)を構成する複合ゴ
ム系ゴム質重合体((a−1)+(a−2))中の(メ
タ)アクリル酸アルキルエステル成分(a−2)は、グ
ラフト交叉剤と架橋剤を併用した(メタ)アクリル酸ア
ルキルエステルの重合体である。(メタ)アクリル酸ア
ルキルエステルとしては、例えばメチルアクリレート、
エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−
ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート
等のアクリル酸アルキルエステルおよびヘキシルメタク
リレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−ラ
ウリルメタクリレート等のメタクリル酸アルキルエステ
ルが挙げられ、特にn−ブチルアクリレートの使用が好
ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとともに
用いるグラフト交叉剤とては、アリルメタクリレート、
トリアリルシアヌレートおよびトリアリルイソシアヌレ
ート等が挙げられる。架橋剤としてはエチレングリコー
ルジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリ
レート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート
および1,4−ブチレングリコールジメタクリレート等
が挙げられる。複合ゴム系ゴム質重合体((a−1)+
(a−2))の製造は上記の方法で製造した重量平均粒
子径300nm以上の肥大化ジエン系ゴムラテックスに
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル、グラフト交
叉剤および架橋剤を添加して乳化重合することによって
製造することができる。その際使用する肥大化ジエン系
ゴム(a−1)の量は、1〜30重量%、グラフト交叉
剤および架橋剤を併用した(メタ)アクリル酸アルキル
エステル成分(a−2)の量は、70〜99重量%の範
囲である。肥大化ジエン系ゴム(a−1)の量が1重量
%未満の場合は、グラフト共重合体を含む樹脂組成物の
低温衝撃特性が低下し、一方、30重量%を超えた場合
は耐候性が低下する場合がある。
【0009】グラフト共重合体(A)を構成する複合ゴ
ム系ゴム質重合体((a−1)+(a−2))の粒子径
分布は特に限定されるものではないが、グラフト共重合
体を含む樹脂組成物の高温成形時の光沢を考慮すると、
ゴム質重合体の全重量に対する100nm未満の粒子の
重量が5〜20%であるゴム質重合体を用いることが好
ましい。ゴム質重合体の全重量に対する100nm未満
の粒子の重量が5%未満の場合は、グラフト共重合体を
含む樹脂組成物の耐衝撃性が低下する傾向を示し、一
方、ゴム質重合体の全重量に対する100nm未満の粒
子の重量が20%を超えた範囲ではグラフト共重合体を
含む樹脂組成物を高温にて成形した場合の成形品表面の
光沢が低下する傾向を示す。グラフト共重合体(A)
は、上記ゴム質重合体((a−1)+(a−2))に、
芳香族アルケニル化合物、メタクリル酸エステル、アク
リル酸エステルおよびシアン化ビニル化合物から選ばれ
る少なくとも一種の単量体成分(a−3)を乳化グラフ
ト重合して製造することができる。
【0010】グラフト重合に用いる単量体のうち芳香族
アルケニル化合物としては例えばスチレン、α−メチル
スチレン、ビニルトルエン等であり、メタクリル酸エス
テルとしては例えばメチルメタクリレート、エチルメタ
クリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等であ
り、アクリル酸エステルとしては例えばメチルアクリレ
ート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等であ
り、シアン化ビニル化合物としては例えばアクリロニト
リル、メタクリロニトリル等である。これらのうち、グ
ラフト共重合体の熱安定性を考慮するとグラフト重合に
用いる単量体としては、スチレンとアクリロニトリルの
混合物が好ましい。また、グラフト共重合体(A)を製
造する際に用いる複合ゴム系ゴム質重合体((a−1)
+(a−2))量および乳化グラフト重合に用いる単量
体(a−3)の量は、グラフト共重合体を含む樹脂組成
物の耐衝撃性と顔料着色性を考慮すると、複合ゴム系ゴ
ム質重合体((a−1)+(a−2))量が20〜80
重量%、乳化グラフト重合に用いる単量体(a−3)の
量が20〜80重量%((a−1)+(a−2)+(a
−3)=100重量%)でなければならない。乳化グラ
フト重合に用いる単量体(a−3)の量が20重量%未
満の場合は、グラフト共重合体を含む樹脂組成物の顔料
着色性が低下し、また乳化グラフト重合に用いる単量体
(a−3)の量が80重量%を超えた場合は、耐衝撃性
が低下する場合がある。グラフト共重合体を含む樹脂組
成物の耐衝撃性と顔料着色性のバランスを考慮すると、
複合ゴム系ゴム質重合体((a−1)+(a−2))量
が40〜70重量%、乳化グラフト重合に用いる単量体
(a−3)の量が30〜60重量%((a−1)+(a
−2)+(a−3)=100重量%)の範囲が好まし
い。
【0011】乳化グラフト重合は、複合ゴム系ゴム質重
合体((a−1)+(a−2))ラテックスに、芳香族
アルケニル化合物、メタクリル酸エステル、アクリル酸
エステルおよびシアン化ビニル化合物から選ばれる少な
くとも一種の単量体成分(a−3)を加え、ラジカル重
合技術により行うことができる。また、上記グラフト重
合に用いる単量体中には、グラフト率およびグラフト成
分の分子量の制御のための各種連鎖移動剤を添加するこ
とができる。ゴム質重合体の製造および乳化グラフト重
合に用いるラジカル重合開始剤としては、過酸化物、ア
ゾ系開始剤または酸化剤・還元剤を組み合わせたレドッ
クス系開始剤が用いられる。この中でレドックス系開始
剤が好ましく、特に硫酸第一鉄・エチレンジアミン四酢
酸二ナトリウム塩・ロンガリット・ヒドロパーオキサイ
ドを組み合わせたスルホキシレート系開始剤が好まし
い。また、グラフト共重合体(A)は、これを構成する
ゴム質重合体((a−1)+(a−2))の製造および
乳化グラフト重合を行う際に、乳化剤を使用する。用い
る乳化剤としては特に限定されるものではないが、乳化
重合時のラテックスの安定性および重合率を考慮する
と、サルコシン酸ソーダ、脂肪酸カリウム、脂肪酸ナト
リウム、アルケニルコハク酸ジカリウム、ロジン酸石鹸
等の各種カルボン酸塩が好ましく、さらにグラフト共重
合体を含む樹脂組成物の高温成形時のガス発生の抑制の
観点よりアルケニルコハク酸ジカリウムが好ましい。
【0012】グラフト共重合体(A)の重量平均粒子径
は特に限定されるものではないが、グラフト共重合体を
含む樹脂組成物の耐衝撃性を考慮すると、200〜50
0nmであることが好ましく、さらに好ましくは230
〜400nm、さらに好ましくは260〜350nmで
ある。グラフト共重合体(A)は、上記のごとく製造し
たグラフト共重合体ラテックスを凝固剤を溶解させた熱
水中に投入し、凝析、固化させることによって回収する
ことができる。凝固剤としては、硫酸、塩酸、リン酸お
よび硝酸等の無機酸、塩化カルシウム、酢酸カルシウム
および硫酸アルミニウム等の金属塩等を用いることがで
きる。このうち、該グラフト共重合体の生産性およびこ
れを含む樹脂組成物の成型時における熱着色等を考慮す
ると、用いる凝固剤としては無機酸が好ましい。グラフ
ト共重合体(A)は、上記の方法で回収したグラフト共
重合体を水または温水中に再分散することでスラリー状
とし共重合体中に残存する乳化剤残渣を水中に溶出洗浄
した後脱水機等で回収し、これを気流乾燥機等で乾燥す
ることで製造される。凝固回収した共重合体の洗浄条件
としては特に限定されるものではないが、乾燥後の共重
合体中に含まれる乳化剤残渣量が0.5〜2重量%の範
囲となる条件で洗浄することが好ましい。共重合体中の
乳化剤残渣が0.5重量%未満の場合は、該グラフト共
重合体を含む樹脂組成物の流動性が低下する傾向を示
し、また2重量%を超えた場合は高温成形時のガス発生
量が大きくなる傾向を示す。上記グラフト共重合体
(A)中の乳化剤残渣の量は、上記凝固回収グラフト共
重合体の洗浄条件に加え、使用する乳化剤の量によって
も変化し、上記グラフト共重合体中の残存乳化剤残渣量
を考慮すると、好ましい乳化剤使用量は、得られるグラ
フト共重合体100重量部に対し、0.5〜5重量部で
あり、さらに好ましくは0.5〜1.5重量部である。
【0013】グラフト共重合体(A)の好ましい特性と
しては、TG−DTAを20℃/分の条件で測定した際
の1%重量減少温度が300℃以上であることである。
1%重量減少温度が300℃未満の場合は、グラフト共
重合体を含む樹脂組成物を高温成形した際の成形ガス発
生量が増大する傾向を示す。
【0014】本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成するグ
ラフト共重合体(B)中のポリオルガノシロキサン(b
−1)としては特に限定されるものではないが好ましく
は、ビニル重合性官能基を含有するポリオルガノシロキ
サンである。さらに好ましくは、ビニル重合性官能基含
有シロキサン単位0.3〜3モル%およびジメチルシロ
キサン単位97〜99.7モル%からなり、さらに3個
以上のシロキサン結合を有するケイ素原子がポリジメチ
ルシロキサン中の全ケイ素原子に対し1モル%以下であ
る。ポリオルガノシロキサン(b−1)中のビニル重合性
官能基含有シロキサン単位が0.3モル%未満では、
(メタ)アクリル酸アルキルエステルゴム(b−2)との
複合化が不十分となり、グラフト共重合体を含む樹脂組
成物成形品の表面におけるポリオルガノシロキサンのブ
リードアウトに由来する外観不良が発生しやすい。ま
た、ポリオルガノシロキサン(b−1)中のビニル重合性
官能基含有シロキサン単位が3モル%を超える、または
3個以上のシロキサン結合を有するケイ素原子がポリオ
ルガノシロキサン中の全ケイ素原子に対し1モル%を超
える場合は、グラフト共重合体を含む樹脂組成物の耐衝
撃性が低くなりやすい。さらにグラフト共重合体(B)
を含む樹脂組成物の耐衝撃性と成形外観の両方を考慮す
ると、好ましくはポリオルガノシロキサン(b−1)中の
ビニル重合性官能基含有シロキサン単位を0.5〜2モ
ル%さらに好ましくは0.5〜1モル%である。
【0015】グラフト共重合体(B)を構成する複合ゴ
ム重合体((b−1)+(b−2))中のポリオルガノシロ
キサン(b−1)の量は1〜20重量%である。1重量%
未満ではポリオルガノシロキサン量が少ないため耐衝撃
性が低くなり、20重量%を超えるとグラフト共重合体
を含む樹脂組成物成形品の顔料着色性が低下する場合が
ある。また、グラフト共重合体を含む樹脂組成物の耐衝
撃性と顔料着色性の両方を考慮すると、複合ゴム重合体
((b−1)+(b−2))中のポリオルガノシロキサン
(b−1)の量は好ましくは6〜20重量%、さらに好ま
しくは10〜20重量%である。上記ポリオルガノシロ
キサン(b−1)の製法としては、ジメチルシロキサンと
ビニル重合性官能基含有シロキサンからなる混合物また
はさらに必要に応じてシロキサン系架橋剤を含む混合物
を乳化剤と水によって乳化させたラテックスを、高速回
転による剪断力で微粒子化するホモミキサーや、高圧発
生機による噴出力で微粒子化するホモジナイザー等を使
用して微粒子化した後、酸触媒を用いて高温下で重合さ
せ、次いでアルカリ性物質により酸を中和するものであ
る。重合に用いる酸触媒の添加方法としては、シロキサ
ン混合物、乳化剤および水とともに混合する方法と、シ
ロキサン混合物が微粒子化したラテックスを高温の酸水
溶液中に一定速度で滴下する方法等があるが、ポリオル
ガノシロキサンの粒子径の制御のしやすさを考慮すると
シロキサン混合物が微粒子化したラテックスを高温の酸
水溶液中に一定速度で滴下する方法が好ましい。
【0016】ポリオルガノシロキサン(b−1)粒子の大
きさは特に限定されないが、グラフト共重合体を含む樹
脂組成物の顔料着色性を考慮すると、重量平均粒子径が
0.2μm以下が好ましく、さらに好ましくは0.1μm
以下である。また、ポリオルガノシロキサン(b−1)の
製造に用いるジメチルシロキサンとしては、3員環以上
のジメチルシロキサン系環状体が挙げられ、3〜7員環
のものが好ましい。具体的にはヘキサメチルシクロトリ
シロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デ
カメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロ
ヘキサシロキサン等が挙げられるが、これらは単独でま
たは二種以上混合して用いられる。また、ビニル重合性
官能基含有シロキサンとしては、ビニル重合性官能基を
含有しかつジメチルシロキサンとシロキサン結合を介し
て結合しうるものであり、ジメチルシロキサンとの反応
性を考慮するとビニル重合性官能基を含有する各種アル
コキシシラン化合物が好ましい。具体的には、β−メタ
クリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−
メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラ
ン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメトキシジメチ
ルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエトキ
シジエチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピル
ジエトキシメチルシランおよびδ−メタクリロイルオキ
シブチルジエトキシメチルシラン等のメタクリロイルオ
キシシロキサン、テトラメチルテトラビニルシクロテト
ラシロキサン等のビニルシロキサン、p−ビニルフェニ
ルジメトキシメチルシランさらにγ−メルカプトプロピ
ルジメトキシメチルシラン、γ−メルカプトプロピルト
リメトキシシラン等のメルカプトシロキサンが挙げられ
る。なお、これらビニル重合性官能基含有シロキサン
は、単独で、または二種以上の混合物として用いること
ができる。
【0017】シロキサン系架橋剤としては、3官能性ま
たは4官能性のシラン系架橋剤、例えばトリメトキシメ
チルシラン、トリエトキシフェニルシラン、テトラメト
キシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシ
ラン等が用いられる。また、本発明のグラフト共重合体
(B)を構成するポリオルガノシロキサン(b−1)製造
の際用いる乳化剤としては、アニオン系乳化剤が好まし
く、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキ
シエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステルナトリ
ウムなどの中から選ばれた乳化剤が使用される。特にア
ルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルスルホ
ン酸ナトリウムなどのスルホン酸系の乳化剤が好まし
い。これらの乳化剤は、シロキサン混合物100重量部
に対して0.05〜5重量部程度の範囲で使用される。
使用量が少ないと分散状態が不安定となり微小な粒子径
の乳化状態を保てなくなる。また、使用量が多いとこの
乳化剤に起因する樹脂組成物成形品の着色が甚だしくな
り不都合である。シロキサン混合物、乳化剤、水および
/または酸触媒を混合する方法は、高速攪拌による混
合、ホモジナイザーなどの高圧乳化装置による混合など
があるが、ホモジナイザーを使用した方法は、ポリオル
ガノシロキサン(b−1)ラテックスの粒子径の分布が小
さくなるので好ましい方法である。
【0018】ポリオルガノシロキサン(b−1)の重合に
用いる酸触媒としては、脂肪族スルホン酸、脂肪族置換
ベンゼンスルホン酸、脂肪族置換ナフタレンスルホン酸
などのスルホン酸類および硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸
類が挙げられる。これらの酸触媒は一種でまたは二種以
上を組み合わせて用いられる。また、これらの中では、
ポリオルガノシロキサン(b−1)ラテックスの安定化作
用にも優れている点で脂肪族置換ベンゼンスルホン酸が
好ましく、n−ドデシルベンゼンスルホン酸が特に好ま
しい。また、n−ドデシルベンゼンスルホン酸と硫酸な
どの鉱酸とを併用すると、ポリオルガノシロキサン(b
−1)ラテックスの乳化剤成分に起因する樹脂組成物の
着色を低減させることができる。ポリオルガノシロキサ
ン(b−1)の重合温度は、50℃以上が好ましく、さら
に好ましくは80℃以上である。ポリオルガノシロキサ
ン(b−1)の重合時間は、酸触媒をシロキサン混合物、
乳化剤および水とともに混合、微粒子化させて重合する
場合は2時間以上、さらに好ましくは5時間以上であ
り、酸触媒の水溶液中にシロキサン混合物が微粒子化し
たラテックスを低下する方法では、ラテックスの滴下終
了後1時間程度保持することが好ましい。重合の停止
は、反応液を冷却、さらにラテックスを苛性ソーダ、苛
性カリ、炭酸ナトリウムなどのアルカリ性物質で中和す
ることによって行うことができる。
【0019】本発明に係るグラフト共重合体(B)を構
成する単量体混合物(b−2)は、(メタ)アクリル酸ア
ルキルエステルと多官能性単量体との混合物であり、用
いることができる単量体混合物(b−2)の量は99〜8
0重量%である。99重量%を超えるとポリオルガノシ
ロキサン(b−1)量が少ないため耐衝撃性が低くなり、
80重量%未満ではグラフト共重合体を含む樹脂組成物
成形品の顔料着色性が低下する場合がある。また、グラ
フト共重合体を含む樹脂組成物の耐衝撃性と顔料着色性
の両方を考慮すると、複合ゴム重合体((b−1)+(b
−2))の製造に用いることのできる単量体混合物(b−
2)の量は好ましくは94〜80重量%、さらに好まし
くは90〜80重量%である。(メタ)アクリル酸アル
キルエステルとしては、例えばメチルアクリレート、エ
チルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブ
チルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等
のアルキルアクリレートおよびヘキシルメタクリレー
ト、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−ラウリル
メタクリレート等のアルキルメタクリレートが挙げら
れ、これらを単独でまたは二種以上併用して用いること
ができる。またグラフト共重合体を含む樹脂組成物の耐
衝撃性および成形光沢を考慮すると、特にn−ブチルア
クリレートの使用が好ましい。
【0020】多官能性単量体としては、例えばアリルメ
タクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、
プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチ
レングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレング
リコールジメタクリレート、トリアリルシアヌレート、
トリアリルイソシアヌレート等の多官能性(メタ)アク
リル酸アルキルエステルが挙げられ、これらを単独でま
たは二種以上併用して用いることができる。グラフト共
重合体のグラフト構造(アセトン不溶分量、アセトン可
溶成分の溶液粘度)を考慮すると好ましい多官能性単量
体の例としては、アリルメタクリレートと1,3−ブチ
レングリコールジメタクリレートを併用して使用する方
法である。また、多官能性単量体の使用量は、単量体混
合物(b−2)中、0.01〜10重量%、好ましくは0.
2〜5重量%、さらに好ましくは0.2〜1重量%であ
る。グラフト共重合体(B)を構成する単量体混合物
(b−2)には、(メタ)アクリル酸アルキルエステル
および多官能性単量体以外に任意に共重合可能なビニル
系単量体を共重合することができる。共重合可能なビニ
ル系単量体としては、どの様なものでも構わないが、例
えば前述の芳香族アルケニル化合物やシアン化ビニル化
合物等が任意に利用できる。グラフト共重合体(B)を
構成する複合ゴム重合体((b−1)+(b−2))は、ポ
リオルガノシロキサン(b−1)成分のラテックス中へ上
記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体混合物
(b−2)を添加し、通常のラジカル重合開始剤を作用
させて重合することによって調製できる。(メタ)アク
リル酸アルキルエステルを添加する方法としては、ポリ
オルガノシロキサン(b−1)成分のラテックスと一括で
混合する方法とポリオルガノシロキサン(b−1)成分の
ラテックス中に一定速度で滴下する方法がある。なお、
得られるグラフト共重合体を含む樹脂組成物の耐衝撃性
を考慮するとポリオルガノシロキサン(b−1)成分のラ
テックスを一括で混合する方法が好ましい。
【0021】また、重合に用いるラジカル重合開始剤と
しては、過酸化物、アゾ系開始剤、または酸化剤・還元
剤を組み合わせたレドックス系開始剤が用いられる。こ
の中では、レドックス系開始剤が好ましく、特に硫酸第
一鉄・エチレンジアミン四酢酸にナトリウム塩・ロンガ
リット・ヒドロパーオキサイドを組み合わせたスルホキ
シレート系開始剤が好ましい。グラフト共重合体(B)
中において芳香族アルケニル化合物、メタクリル酸エス
テル、アクリル酸エステルおよびシアン化ビニル化合物
から選ばれる少なくとも一種の単量体がグラフト重合さ
れたグラフト成分(b−3)の量は、複合ゴム重合体
((b−1)+(b−2))との総量を100重量%と
したときに20〜80重量%である。20重量%未満で
はグラフト共重合体を含む樹脂組成物成形品の顔料着色
性が低下する傾向を示し、また、80重量%を超えると
ゴム量が低くなるため耐衝撃性が低くなりやすい。顔料
着色性と耐衝撃性の両方を考慮すると、好ましくは50
〜70重量%、さらに好ましくは50〜60重量%であ
る。上記(b−3)成分に用いる芳香族アルケニル化合
物としては例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニ
ルトルエン等であり、メタクリル酸エステルとしては例
えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2
−エチルヘキシルメタクリレート等であり、アクリル酸
エステルとしては例えばメチルアクリレート、エチルア
クリレート、ブチルアクリレート等であり、シアン化ビ
ニル化合物としては例えばアクリロニトリル、メタクリ
ロニトリル等である。このうち、グラフト共重合体を含
む樹脂組成物の熱安定性を考慮するとスチレンおよびア
クリロニトリルの混合物が好ましい。
【0022】グラフト重合は、複合ゴム重合体((b−
1)+(b−2))のラテックスに芳香族アルケニル化合
物、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよび
シアン化ビニル化合物から選ばれた少なくとも一種の単
量体を加え、ラジカル重合技術により一段であるいは多
段で行うことができるが、得られるグラフト共重合体を
含む樹脂組成物の耐衝撃性および顔料着色性を考慮する
と二段以上で重合を行うことが好ましい。また、グラフ
ト重合において用いる単量体中にはグラフトポリマーの
分子量やグラフト率を調整するための各種連鎖移動剤を
添加することができる。また、グラフト重合には、重合
ラテックスを安定化させ、さらにグラフト共重合体の平
均粒子径を制御するために乳化剤を添加することができ
る。用いる乳化剤としては、特に限定させるものではな
いが、好ましい例としてはカチオン系乳化剤、アニオン
系乳化剤およびノニオン系乳化剤であり、さらに好まし
い例としてはスルホン酸塩乳化剤あるいは硫酸塩乳化剤
とカルボン酸塩乳化剤を併用させて使用する方法であ
る。上記のごとく調製されるグラフト共重合体の粒子径
は、得られるグラフト共重合体を含む樹脂組成物の耐衝
撃性と顔料着色性の両方を考慮すると、重量平均粒子径
が0.07〜0.2μmであることが好ましく、さらに好
ましくは0.10〜0.15μm、である。グラフト重合
が終了した後、ラテックスを酢酸カルシウムまたは硫酸
アルミニウム等の金属塩を溶解した熱水中に投入し、塩
析、凝固することによりグラフト共重合体を分離し、回
収することができる。
【0023】グラフト共重合体(B)は、アセトン溶媒
に対する不溶分を70〜99重量%含み、かつアセトン
可溶分の0.2g/100ccN,N−ジメチルホルムア
ミド溶液として25℃で測定した還元粘度が0.30〜
0.70dl/gでなければならない。アセトン溶媒に
対する不溶分が70重量%未満の場合は、グラフト共重
合体を含む樹脂組成物の耐衝撃性が低下し、一方99重
量%を超えるとグラフト共重合体を含む樹脂組成物の成
形光沢が低下してしまう。また、アセトン可溶分の0.
2g/100ccN,N−ジメチルホルムアミド溶液と
して25℃で測定した還元粘度が0.30dl/g未満
の場合は、グラフト共重合体を含む樹脂組成物の耐衝撃
性が低下し、一方0.70dl/g超えるとグラフト共
重合体を含む樹脂組成物の低温度成形時の光沢が低下す
る場合がある。 グラフト共重合体を含む樹脂組成物の
耐衝撃性と低温度成形時の光沢の両方を考慮すると、ア
セトン不溶分のより好ましい範囲は、75〜95重量
%、さらに好ましくは80〜95重量%であり、アセト
ン可溶分の0.2g/100ccN,N−ジメチルホルム
アミド溶液として25℃で測定した還元粘度のより好ま
しい範囲は、0.50〜0.70dl/g、さらに好まし
くは0.55〜0.65dl/gの範囲である。
【0024】上記アセトン不溶分量の範囲およびアセト
ン可溶分の溶液粘度の範囲のグラフト共重合体(B)を
製造する方法としては特に限定されるものではないが、
好ましい例としては芳香族アルケニル化合物、メタクリ
ル酸エステル、アクリル酸エステルおよびシアン化ビニ
ル化合物から選ばれる少なくとも一種の単量体がグラフ
ト重合されたグラフト成分(b−3)の調製時に、重合
速度を司る重合開始剤量(硫酸第一鉄・エチレンジアミ
ン四酢酸二ナトリウム塩、ロンガリットおよびヒドロパ
ーオキサイドを組み合わせたスルホキシレート系開始剤
の場合は、硫酸第一鉄・エチレンジアミン四酢酸二ナト
リウム塩の使用量あるいはロンガリットの使用量あるい
はヒドロパーオキサイドの使用量)を制限させる方法、
あるいは成分(b−3)の調製時に用いる芳香族アルケ
ニル化合物、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステ
ルおよびシアン化ビニル化合物から選ばれる少なくとも
一種の単量体中に各種メルカプタン化合物、スチレンダ
イマー等の連鎖移動剤を混合使用する方法あるいは重合
温度を制限する方法、あるいは使用する乳化剤の使用量
を制限する方法等が挙げられ、このうちアセトン不溶分
の量およびアセトン可溶成分の溶液粘度の制御のしやす
さを考慮すると、重合速度を司る重合開始剤量(硫酸第
一鉄・エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩、ロンガ
リットおよびヒドロパーオキサイドを組み合わせたスル
ホキシレート系開始剤の場合は、硫酸第一鉄・エチレン
ジアミン四酢酸二ナトリウム塩の使用量あるいはロンガ
リットの使用量あるいはヒドロパーオキサイドの使用
量)を制限させる方法が好ましい。
【0025】グラフト共重合体(B)のアセトン可溶成
分の溶液粘度は、グラフト共重合体を含む樹脂組成物中
でのグラフト共重合体の分散性およびグラフト共重合体
と熱可塑性樹脂との界面の強度に影響を及ぼし、グラフ
ト共重合体中のアセトン可溶成分の溶液粘度が極端に低
い場合は、グラフト共重合体(B)と熱可塑性樹脂
(C)との界面の強度低下により耐衝撃性が低下し、ま
たグラフト共重合体(B)中のアセトン可溶成分の溶液
粘度が極端に高い場合には、樹脂組成物中でのグラフト
共重合体(B)の分散性が低下するため、特に低温度成
形した成形品の光沢度が低くなってしまう。すなわち、
グラフト共重合体(B)を含む樹脂組成物の耐衝撃性と
低温度成形時の光沢を両立させるためには、本発明のご
ときグラフト共重合体(B)のアセトン可溶成分の溶液
粘度を特定の範囲とすることが必要であり、これによっ
て低温〜高温に至る幅広い成形条件範囲で光沢度の高
く、耐衝撃性に優れた成形品が成形可能となり、工業的
利用価値を極めて向上させることができる。
【0026】本発明の熱可塑性樹脂を構成する熱可塑性
樹脂(C)としては、本発明の効果である良好な耐衝撃
性、耐候性および顔料着色性の発現性を考慮すると、ポ
リカーボネート樹脂、PBT樹脂、PET樹脂、芳香族
アルケニル化合物成分、シアン化ビニル化合物成分、
(メタ)アクリル酸エステル成分から選ばれた少なくと
も一種の単量体成分を構成成分とする(共)重合体、芳
香族アルケニル化合物成分、シアン化ビニル化合物成分
およびN置換マレイミド成分を構成成分とする共重合体
が好ましい。特に、芳香族アルケニル化合物成分、シア
ン化ビニル化合物成分、(メタ)アクリル酸エステル成
分から選ばれた少なくとも一種の単量体成分を構成成分
とする(共)重合体が好ましい。好ましい熱可塑性樹脂
(C)の具体例としては、アクリロニトリル−スチレン
共重合体樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、スチレ
ン−メチルメタクリレート共重合体樹脂、ポリスチレン
樹脂およびアクリロニトリル−スチレン−メチルメタク
リレート三元共重合体である。
【0027】本発明の熱可塑性樹脂樹脂組成物中のグラ
フト共重合体(A)、グラフト共重合体(B)および熱
可塑性樹脂(C)の含有量は特に限定されるものではな
いが、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性、剛性及
び耐候性を考慮すると、全樹脂組成物を100重量%に
対し、グラフト共重合体(A)が1〜50重量%、グラ
フト共重合体(B)が1〜50重量%および熱可塑性樹
脂(C)が30〜98重量%の範囲であることが好まし
く、さらに好ましくはグラフト共重合体(A)が5〜3
0重量%、グラフト共重合体(B)が5〜30重量%お
よび熱可塑性樹脂(C)が40〜90重量%の範囲であ
る。
【0028】本発明の熱可塑性樹脂樹脂組成物は上記グ
ラフト共重合体(A)、グラフト共重合体(B)および
熱可塑性樹脂(C)以外の第四成分として、ブタジエン
系重合体に、芳香族アルケニル化合物、メタクリル酸エ
ステル、アクリル酸エステル、シアン化ビニル化合物か
ら選ばれた少なくとも一種の単量体がグラフト重合した
グラフト共重合体(D)を必要に応じて含有することが
できる。上記グラフト共重合体(D)は熱可塑性樹脂組
成物の耐衝撃性を補うための成分であり、具体的にはA
BSグラフト共重合体、MBSグラフト共重合体等であ
る。グラフト共重合体(D)の配合量としては特に限定
されるものではないが、得られる樹脂組成物の耐候性を
考慮すると全樹脂組成物を100重量%に対し0〜20
重量%の範囲が好ましく、さらに好ましくは1〜10重
量%の範囲である。本発明の熱可塑性樹脂組成物は上記
グラフト共重合体(A)、グラフト共重合体(B)、熱
可塑性樹脂(C)および必要に応じてグラフト共重合体
(D)を通常使用される各種溶融混練機を用いて溶融混
合することにより製造することができる。溶融混練する
際には、押出機または、バンバリーミキサー、加圧ニー
ダー、ロール等の混練機等を用いればよい。本発明のグ
ラフト共重合体(A)を含む熱可塑性樹脂組成物は、そ
のまま成形品の製造原料に供することができる。また、
さらに必要に応じて染料、顔料、安定剤、補強剤、充填
材、難燃剤、発泡剤、滑剤、可塑剤等を配合することが
できる。また、本発明のグラフト共重合体を含む熱可塑
性樹脂組成物は、射出成形法、押出成形法、ブロー成形
法、圧縮成形法、カレンダー成形法、インフレーション
成形法等の各種成形方法によって、目的の成形品とされ
る。本発明のグラフト共重合体を含む熱可塑性樹脂組成
物の工業的用途例としては、車両部品特に無塗装で使用
される各種外装・内装部品、壁材、窓枠等の建材部品、
食器、玩具、掃除機ハウジング、テレビジョンハウジン
グ、エアコンハウジング等の家電部品、インテリア部
材、船舶部材および通信機器ハウジング等が挙げられ
る。
【0029】
【実施例】以下実施例により本発明を説明する。参考例
におけるラテックス中のゴム質重合体およびグラフト共
重合体の重量平均粒子径は、MATEC APPLIED SCIENCES社
製サブミクロン粒度分布測定器CHDF−2000を用
いて測定した。参考例におけるゴム質重合体の全重量に
対する100nm未満の粒子の重量は、ゴム質重合体ラ
テックスの重量換算粒子径分布をMATEC APPLIED SCIENC
ES社製サブミクロン粒度分布測定器CHDF−2000
を用いて測定し、これより100nm以下の粒子径重量
を求めた。参考例におけるグラフト共重合体中のアセト
ン不溶分量の測定は、冷却管および加熱器を備えたフラ
スコ中にグラフト共重合体約2.5g(秤量)およびア
セトン80mlを入れ、加熱器により65℃で3時間加
熱抽出処理を行い、冷却後、内液を日立工機(株)遠心
分離器を用いて15000回転/分の条件で30分処理
することによって、アセトン不溶分を分離し、ついで上
澄みを取り除いた後の沈殿物を乾燥後、その重量を測定
し、以下の式で算出した。アセトン不溶分(重量%)=
分離処理後の沈殿物乾燥重量/アセトン抽出前の グラフト共重合体重量 ×100 ・・・ (1) また、参考例におけるグラフト共重合体中のアセトン可
溶成分の還元粘度の測定は、上記グラフト共重合体のア
セトン溶媒での抽出、次いで遠心分離処理によるアセト
ン不溶分の分離によって得た上澄み液中のアセトン溶媒
を減圧蒸発させることによってアセトン可溶成分を析出
回収し、次いでこのアセトン可溶成分0.2gを100
ccのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させた溶液
の溶液粘度を自動粘度計(SAN DENSHI(株)製)を用い
て25℃で測定し、同条件で測定した溶媒粘度よりアセ
トン可溶分の還元粘度を求めた。参考例におけるグラフ
ト共重合体中の乳化剤残渣の量は、グラフト共重合体中
に含まれる乳化剤残渣をアセトン溶媒中で、メタノール
と塩酸によりメチルエステル化させた後、濾過し、濾液
中の溶媒を減圧除去した後の残渣をノルマルヘキサンに
溶解させ、これを水洗した後、ガスクロマトグラフィー
(島津製作所(株)製GC−14B)にて定量分析し求
めた。また、参考例におけるグラフト共重合体の1%重
量減少温度は、セイコー電子工業(株)製「TG/DT
A200」を用い、昇温条件20℃/分の条件で測定し
た。
【0030】(参考例1)ポリブタジエンラテックス
(a’−1)の製造 下記各成分を10Lのステンレス製オートクレーブに仕
込み、50℃に昇温した。 イオン交換水 145重量部 不均化ロジン酸カリウム 1.0重量部 オレイン酸カリウム 1.0重量部 ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート二水和物 0.4重量部 無水硫酸ナトリウム 0.1重量部 ターシャリードデシルメルカプタン 0.3重量部 ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド 0.5重量部 1,3−ブタジエン 26.2重量部 スチレン 1.4重量部 続いて、ピロリン酸ナトリウムを0.5重量部と、硫酸
第一鉄を0.005重量部と、イオン交換水を5重量部
からなる混合物を添加し、重合を開始した。重合温度5
7℃で、1,3−ブタジエンが68.6重量部、スチレン
が3.6重量部からなる混合物を圧力ポンプにて滴下供
給した。次いで、重合転化率が40%に達した時点で、
ノルマルドデシルメルカプタンを0.3重量部添加し、
さらに重合を継続した。8時間後、残存した1,3−ブ
タジエンを除去し、固形分が40.2重量%、重合転化
率が97%、重量平均粒子径70nmのジエン系重合体
ラテックス(a’−1)を得た。
【0031】(参考例2) 肥大化用酸基含有共重合体
(K−1)の合成 冷却管、ジャケット加熱器および撹拌装置を備えた反応
器内に、窒素気流下で下記各成分を仕込み、撹拌を行い
ながら内温65℃に昇温した。 オレイン酸カリウム 2.2重量部 ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(70%溶液) 3.6重量部 ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート二水和物 0.3重量部 硫酸第一鉄七水塩 0.003重量部 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.009重量部 イオン交換水 200重量部 これに、n−ブチルアクリレートを81.5重量部と、
メタクリル酸を18.5重量部と、クメンヒドロパーオ
キシドを0.5重量部からなる混合物を2時間かけて添
加し、添加終了後も2時間そのままの温度で重合を継続
した。重合転化率は98%であり、平均粒子径150n
mの肥大化用酸基含有共重合体ラテックス(K−1)を
得た。
【0032】(参考例3)グラフト共重合体(A−1)
の製造 参考例1で調製したジエン系重合体ラテックス(a’−
1)100重量部(固形分として)に、参考例2で調製
した肥大化用酸基含有共重合体(K−1)ラテックス
2.1重量部(固形分として)を撹拌しながら添加し、
さらに30分間撹拌を続け肥大化ジエン系ゴムラテック
スを得た。肥大化後の重合体の平均粒子径は380nm
であった。次に、試薬注入容器、冷却管、ジャケット加
熱機および撹拌装置を備えた反応器に、この肥大化ジエ
ン系ゴムラテックス10重量部(固形分として)、アル
ケニルコハク酸ジカリウム0.3重量部、イオン交換水
175重量部およびブチルアクリレート40重量部、ア
リルメタクリレート0.16重量部、1,3−ブチレング
リコールジメタクリレート0.08重量部およびターシ
ャリーブチルヒドロパーオキサイト0.1重量部の混合
物を添加した。この反応器に窒素気流を通じることによ
って、雰囲気の窒素置換を行い、60℃まで昇温した。
内部の液温が50℃となった時点で、硫酸第一鉄0.0
0015重量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム
塩0.00045重量部およびロンガリット0.24重量
部を蒸留水5重量部に溶解させた水溶液を添加した後内
温を75℃に上昇させ、ラジカル重合を開始せしめた。
1時間この状態を維持し、アクリレート成分の重合を完
結させ肥大化ポリブタジエンとブチルアクリレートゴム
との複合ゴム重合体のラテックスを得た。この複合ゴム
重合体ラテックスを少量サンプリングして測定した複合
ゴム重合体の重量平均粒子径は、300nmで、全重量
に対する100nm未満の粒子の重量は8重量%であっ
た。次に、ロンガリット0.15重量部およびアルケニ
ルコハク酸ジカリウム0.65重量部を蒸留水10重量
部に溶解した水溶液を添加し、次いでアクリロニトリル
6.3重量部、スチレン18.7重量部およびターシャリ
ーブチルヒドロパーオキサイト0.11重量部の混合液
を1時間にわたって滴下し重合した。滴下終了から5分
後、硫酸第一鉄0.001重量部、エチレンジアミン四
酢酸二ナトリウム塩0.003重量部およびロンガリッ
ト0.15重量部を蒸留水5重量部に溶解させた水溶液
を添加し、次いでアクリロニトリル6.3重量部、スチ
レン18.7重量部およびターシャリーブチルヒドロパ
ーオキサイト0.19重量部およびノルマルオクチルメ
ルカプタン0.014重量部の混合液を1時間にわたっ
て滴下し重合した。滴下終了後、温度75℃の状態を1
0分間保持した後冷却し、内温が60℃となった時点
で、抗酸化剤(アンテージW500)0.2重量部およ
びアルケニルコハク酸ジカリウム0.2重量部を蒸留水
5重量部に溶解した水溶液を添加した。以上の操作によ
り、肥大化ポリブタジエンとブチルアクリレートゴムと
の複合ゴムに、アクリロニトリル/スチレンをグラフト
重合させたグラフト共重合体のラテックスを得た。得ら
れたラテックス中の重合体の平均粒子径は、325nm
であった。次いで、上記重合ラテックスを全ラテックス
の1.2倍量の45℃に加熱した硫酸0.6%水溶液中に
撹拌しながら投入し、重合体を凝析させた。次いで液温
を65℃に上昇させ5分間保持した後、液温を90まで
上昇させた。次いで析出物を分離した後、この回収物を
10倍量の蒸留水中に投入後10分間攪拌することで洗
浄を実施した。この分散液を遠心脱水機に脱水処理し、
さらに80℃で16時間乾燥し、グラフト共重合体(A
−1)を得た。グラフト共重合体(A−1)中の残存乳
化剤残渣量は、1.3重量%、アセトン不溶分量は82
重量%、アセトン可溶成分の還元粘度は0.65dl/
gおよび1%重量減少温度は320℃であった。
【0033】(参考例4)ポリオルガノシロキサン(b
−1)ラテックスの製造 オクタメチルシクロテトラシロキサン98重量部、γ−
メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン
2重量部を混合してシロキサン系混合物100重量部を
得た。これにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
0.67重量部を溶解した蒸留水300重量部を添加
し、ホモミキサーにて10000回転/分で2分間攪拌
した後、ホモジナイザーに200kg/cm2の圧力で
1回通し、安定な予備混合オルガノシロキサンラテック
スを得た。一方、試薬注入容器、冷却管、ジャケット加
熱機および撹拌装置を備えた反応器内に、ドデシルベン
ゼンスルホン酸10重量部と蒸留水90重量部とを注入
し、10%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液を調製
した。この水溶液を85℃に加熱した状態で、予備混合
オルガノシロキサンラテックスを4時間に亘って滴下
し、滴下終了後1時間温度を維持し、冷却した。次いで
この反応物を苛性ソーダ水溶液で中和した。このように
して得られたラテックスを170℃で30分間乾燥して
固形分を求めたところ、17.7重量%であった。ま
た、ラテックス中のポリオルガノシロキサンの重量平均
粒子径は0.05μmであった。
【0034】(参考例5) グラフト共重合体(B−
1)の製造 試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機および撹拌装
置を備えた反応器内に、参考例4で製造したポリオルガ
ノシロキサンラテックス(b−1)45.2重量部、エ
マールNC−35(ポリオキシエチレンアルキルフェニ
ルエーテルサルフェート;花王(株)製)0.2重量部
を採取し、蒸留水148.5重量部を添加混合した後、
ブチルアクリレート42重量部、アリルメタクリレート
0.3重量部、1,3−ブチレングリコールジメタクリレ
ート0.1重量部およびt−ブチルハイドロパーオキサ
イト0.11重量部の混合物を添加した。この反応器に
窒素気流を通じることによって、雰囲気の窒素置換を行
い、60℃まで昇温した。内部の液温が60℃となった
時点で、硫酸第一鉄0.000075重量部、エチレン
ジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.000225重量部
およびロンガリット0.2重量部を蒸留水10重量部に
溶解させた水溶液を添加し、ラジカル重合を開始せしめ
た。アクリレート成分の重合により、液温は78℃まで
上昇した。1時間この状態を維持し、アクリレート成分
の重合を完結させポリオルガノシロキサンとブチルアク
リレートゴムとの複合ゴムのラテックスを得た。 反応
器内部の液温が70℃に低下した後、ロンガリット0.
25重量部を蒸留水10重量部に溶解した水溶液を添加
し、次いでアクリロニトリル2.5重量部、スチレン7.
5重量部およびt−ブチルハイドロパーオキサイト0.
05重量部の混合液を2時間にわたって滴下し重合し
た。滴下終了後、温度60℃の状態を1時間保持した
後、硫酸第一鉄0.001重量部、エチレンジアミン四
酢酸二ナトリウム塩0.003重量部、ロンガリット0.
2重量部およびエマールNC−35(花王(株)製)
0.2重量部を蒸留水10重量部に溶解させた水溶液を
添加し、次いでアクリロニトリル10重量部、スチレン
30重量部およびt−ブチルハイドロパーオキサイト
0.2重量部の混合液を2時間にわたって滴下し重合し
た。滴下終了後、温度60℃の状態を0.5時間保持し
た後キュメンヒドロパーオキサイト0.05重量部を添
加し、さらに温度60℃の状態を0.5時間保持した後
冷却した。このラテックスにラテムルASK(アルケニ
ルコハク酸ジカリウム塩;花王(株)製)を0.5重量
部添加し、ポリオルガノシロキサンとブチルアクリレー
トゴムとからなる複合ゴムに、アクリロニトリル、スチ
レンをグラフト重合させたグラフト共重合体(B−1)
の重合ラテックスを得た。ラテックス中のグラフト共重
合体の重量平均粒子径は、0.12μmであった。 次
いで酢酸カルシウムを1重量%の割合で溶解した水溶液
150重量部を60℃に加熱し攪拌した。この中へグラ
フト共重合体のラテックス100重量部を徐々に滴下し
凝固した。次いで析出物を分離し、洗浄した後、遠心器
(国産遠心器(株)製;H−130E)を用いて180
0回転毎秒の条件で2分間脱水処理した。次いで、85
℃で24時間乾燥し、グラフト共重合体(B−1)を得
た。また、グラフト共重合体(B−1)中のアセトン不
溶分は85重量%であり、アセトン可溶成分の還元粘度
は0.58dl/gであった。
【0035】(実施例1〜4および比較例1〜2)参考
例3で製造したグラフト共重合体(A−1)、参考例5
で製造したグラフト共重合体(B−1)、アクリロニト
リル成分29重量%およびスチレン成分71重量%より
なり、N,N−ジメチルホルムアミド溶液から25℃で
測定した還元粘度が0.60dl/gであるアクリロニ
トリル−スチレン共重合体(SAN樹脂)およびポリブ
タジエンを60重量%含有するABSグラフト共重合体
を表1に示す樹脂配合にて計量し、さらに旭電化(株)
製「アデカスタブC」0.3重量部、ステアリン酸バリ
ウム0.3重量部、エチレンビスステアリルアミド0.4
重量部、旭電化(株)製「アデカスタブ63P」0.2
重量部、旭電化(株)製「アデカスタブLA−36」
0.2重量部およびカーボンブラック(三菱化学(株)
製#960)0.8重量部を添加した後ヘンシェルミキ
サーを用いて混合し、この混合物を230℃に加熱した
脱気式押出機(池貝鉄工(株)製PCM−30)に供給
し、混練してペレットを得た。得られたペレットを用い
て測定したMI、アイゾット衝撃強度、ロックウェル硬
度、顔料着色性、成形光沢の結果を表1に示す。また、
上記の樹脂配合のうち、使用するカーボンブラックに変
えて酸化チタン(CR60−2:石原産業(株)製)を
3重量部添加した以外は同様の方法で白着色ペレットを
作製したのち、これを用いて白着色成形板を成形した。
この白着色板を用いた耐候性試験結果を表1に示す。
【0036】メルトフローレイト(MI)の測定は、A
STM D1238に準拠する方法で、バレル温度20
0℃、加重49Nの条件で実施した。アイゾット衝撃強
度の測定は、ASTM D256に準拠した方法により
行い、特に低温雰囲気下でのアイゾット衝撃強度の測定
は−30℃雰囲気下で12時間以上アイゾット試験片を
放置した後、測定を行うことにより行った。表面硬度
(ロックウェル硬度)の測定は、ASTM D785に
準拠する方法により行った。顔料着色性評価は、サンプ
ルとして100mm×100mm×3mm板の成形を日
本製鋼所(株)製射出成形機「J85−ELII」を用い
てシリンダー設定温度230℃、金型温度60℃、イン
ジェクションスピード50%の条件で行った。得られた
黒着色成形板について、JIS Z8729に準拠した
色相測定(L*測定)によって行った。光沢度は、10
0mm×100mm×3mm板の成形を日本製鋼所
(株)製射出成形機J85−ELIIを用いてシリンダー
設定温度230℃、金型温度60℃、インジェクション
スピード50%の条件で行い、得られた成形板を用いて
測定した。耐候性は、100mm×100mm×3mm
白着色板をサンシャインウエザーメーター(スガ試験機
(株)製)でブラックパネル温度63℃、サイクル条件
60分(降雨:12分)にて1000時間処理した後の
色差計で測定した変色の度合い(ΔE)および下記式
(2)で算出した光沢度保持率により評価した。光沢度
保持率(%)=(1000時間曝露後光沢度−曝露前光
沢度)/曝露前光沢度 ×100 ・・・ (2)
【0037】
【表1】
【0038】実施例および比較例より、次のことが明ら
かとなった。 1) 実施例1〜4のグラフト共重合A−1とグラフト
共重合B−1をともに含有する熱可塑性樹脂組成物は、
いずれも高い常温および低温雰囲気下でのアイゾット衝
撃強度、良好な顔料着色性および良好な耐候性を示す。 2) 比較例1のグラフト共重合体A−1のみを含有す
る樹脂組成物は、良好な常温および低温雰囲気下でのア
イゾット衝撃強度を示すものの、顔料着色性および耐候
性が不良であり、このように意匠性と耐候性に劣る樹脂
材料は、例えば無塗装で降雨および太陽光に曝される用
途に使用することが困難であり、工業的価値が低い。 3) 比較例2のグラフト共重合体B−1のみを含有す
る樹脂組成物は、良好な常温でのアイゾット衝撃強度、
顔料着色性および耐候性を示すものの、低温雰囲気下で
のアイゾット衝撃強度が低く、特に耐寒性が必要となる
工業用途に使用することができないため工業的価値が低
い。
【0039】
【発明の効果】本発明は以上説明したとおりであり、次
のように特別に顕著な効果を奏し、その産業上の利用価
値は極めて大である。 1) 本発明に係るグラフト共重合体を含有する熱可塑
性樹脂組成物は、耐衝撃性、顔料着色性、耐候性に優れ
る。 2) 特に耐候性、顔料着色性と低温雰囲気下での耐衝
撃性のバランスは、従来知られているASA樹脂では得
られない非常に高いレベルであり、各種工業材料とりわ
け耐候性材料としての利用価値は極めて高い。さらに、
グラフト共重合体(B)の重量平均粒子径を0.07〜
0.2μmとすることで、耐衝撃性と顔料着色性をより
向上できる。さらにまた、熱可塑性樹脂(C)として、
芳香族アルケニル化合物成分、シアン化ビニル化合物成
分、(メタ)アクリル酸エステル成分から選ばれた少な
くとも一種の単量体成分を構成成分とする(共)重合体
を用いることで、耐衝撃性、耐候性および顔料着色性を
より向上できる。さらに、ブタジエン系重合体に、芳香
族アルケニル化合物、メタクリル酸エステル、アクリル
酸エステル及びシアン化ビニル化合物から選ばれた少な
くとも一種の単量体がグラフト重合したグラフト共重合
体(D)を含有させることで、耐衝撃性をより向上でき
る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08F 212:06) (C08F 285/00 (C08F 285/00 220:10) 220:10) (C08F 285/00 (C08F 285/00 220:42) 220:42) C08L 101/00 (72)発明者 福山 信光 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社大竹事業所内 Fターム(参考) 4J002 BC06Y BC07Y BG06Y BN11Y BN122 BN14W BN212 BN22X CF06Y CF07Y CG00Y GL00 GN00 GQ00 4J026 AA68 AA69 AB44 AC11 AC15 BA05 BA24 BA27 BA28 BA31 BB01 DA04 DA07 DA16 DB04 DB08 DB16 FA04 GA08

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(A)、(B)及び(C)の各成分
    を含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。 (A)(a−1)酸基含有共重合体ラテックスで重量平
    均粒子径300nm以上に肥大化したジエン系ゴム1〜
    30重量%の存在下で(a−2)グラフト交叉剤と架橋
    剤を併用して(メタ)アクリル酸アルキルエステル成分
    70〜99重量%を乳化重合して得られる複合ゴム系ゴ
    ム質重合体((a−1)+(a−2))20〜80重量
    %の存在下に、(a−3)芳香族アルケニル化合物、メ
    タクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよびシアン
    化ビニル化合物から選ばれる少なくとも一種の単量体2
    0〜80重量%((a−1)+(a−2)+(a−3)
    =100重量%)を乳化グラフト重合してなるグラフト
    共重合体。 (B)(b−1)ポリオルガノシロキサン1〜20重量
    部の存在下に、(b−2)多官能性単量体0.01〜1
    0重量%、(メタ)アクリル酸アルキルエステル50〜
    99.9重量%およびこれと共重合可能なビニル単量体
    0〜30重量%からなる単量体混合物99〜80重量部
    をポリオルガノシロキサンとの総量が100重量部にな
    るように配合しラジカル重合して得られる複合ゴム重合
    体((b−1)+(b−2))20〜80重量%の存在
    下に、(b−3)芳香族アルケニル化合物、メタクリル
    酸エステル、アクリル酸エステルまたはシアン化ビニル
    化合物から選ばれた少なくとも一種の単量体20〜80
    重量%((b−1)+(b−2)+(b−3)=100
    重量%)を乳化グラフト重合して得られるグラフト共重
    合体であって、 アセトン不溶分を70〜99重量%含み、かつアセトン
    可溶分の0.2g/100ccN,N−ジメチルホルムア
    ミド溶液として25℃で測定した還元粘度が0.30〜
    0.70dl/gであるグラフト共重合体。 (C)熱可塑性樹脂。
  2. 【請求項2】 グラフト共重合体(B)の重量平均粒子
    径が0.07〜0.2μmであることを特徴とする請求項
    1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 熱可塑性樹脂(C)が、芳香族アルケニ
    ル化合物成分、シアン化ビニル化合物成分、(メタ)ア
    クリル酸エステル成分から選ばれた少なくとも一種の単
    量体成分を構成成分とする(共)重合体であることを特
    徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 さらに、ブタジエン系重合体に、芳香族
    アルケニル化合物、メタクリル酸エステル、アクリル酸
    エステル及びシアン化ビニル化合物から選ばれた少なく
    とも一種の単量体がグラフト重合したグラフト共重合体
    (D)を含有することを特徴とする請求項1記載の熱可
    塑性樹脂組成物。
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