JP2006152070A - 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ポリアミド樹脂(A)5〜99質量部と、ポリオルガノシロキサン(b−1)とアルキル(メタ)アクリレートゴム(b−2)とからなる複合ゴム((b−1)+(b−2))に、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体がグラフト重合されたグラフト共重合体(B)0.9〜80質量部と、不飽和カルボン酸単量体、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体を共重合してなるカルボン酸基含有共重合体(C)0.1〜20質量部とを含有する[(A)+(B)+(C)=100質量部である]熱可塑性樹脂組成物を用いる。
【選択図】 なし
Description
<ポリアミド樹脂(A)>
ポリアミド樹脂(A)としては、例えば、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン116、ナイロン4、ナイロン7、ナイロン8、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6I、ナイロン6/66、ナイロン6T/6I、ナイロン6/6T、ナイロン66/6T、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド、ポリビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド、ポリメタキシリレンアジパミド、ナイロン11T、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタルアミド、ポリアミドエラストマー等が挙げられる。ただし、Iはイソフタル酸成分、Tはテレフタル酸成分を示す。これらのポリアミド樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明においては、これらのうち、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン12、ナイロン6T/6I、ナイロン6/6T、ナイロン66/6Tが特に好ましく用いられる。
グラフト共重合体(B)は、ポリオルガノシロキサン(b−1)とアルキル(メタ)アクリレートゴム(b−2)とからなる複合ゴム((b−1)+(b−2))に、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体、必要に応じてこれらと共重合可能なビニル系単量体がグラフト重合されたものである。
ポリオルガノシロキサン(b−1)としては、ビニル重合性官能基を含有するポリオルガノシロキサンが好ましい。該ポリオルガノシロキサンの製法としては、以下の方法が挙げられる。
ジオルガノシロキサンおよびビニル重合性官能基含有シロキサン、必要に応じてシロキサン系架橋剤を含むシロキサン混合物を、乳化剤および水によって乳化させてラテックスとする。高速回転による剪断力で微粒子化するホモミキサー、高圧発生機による噴出力で微粒子化するホモジナイザー等を使用してラテックス中のシロキサン混合物を微粒子化した後、酸触媒を用いて高温下でシロキサン混合物を重合させる。重合後、アルカリ性物質により酸触媒を中和する。酸触媒の添加方法としては、酸触媒を、シロキサン混合物、乳化剤および水とともに混合する方法、シロキサン混合物が微粒子化したラテックスを高温の酸触媒の水溶液中に一定速度で滴下する方法等が挙げられる。
これらビニル重合性官能基含有シロキサンは、単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
ポリオルガノシロキサン(b−1)粒子の大きさは、グラフト共重合体(B)の製造のし易さ、熱可塑性樹脂組成物の成形性を考慮すると、質量平均粒子径で0.02〜0.5μmが好ましく、0.05〜0.3μmが特に好ましい。
アルキル(メタ)アクリレートゴム(b−2)は、アルキル(メタ)アクリレートおよび多官能性アルキル(メタ)アクリレートからなるアルキル(メタ)アクリレート混合物の重合体である。本発明において、アルキル(メタ)アクリレートとは、アルキルアクリレートおよび/またはアルキルメタクリレートを意味する。
複合ゴム((b−1)+(b−2))は、ポリオルガノシロキサン(b−1)ラテックス中へ、アルキル(メタ)アクリレートおよび多官能アルキル(メタ)アクリレートからなるアルキル(メタ)アクリレート混合物を添加し、通常のラジカル重合開始剤を作用させて重合することによって製造できる。
また、ラジカル重合の際に、必要に応じて乳化剤を添加することができる。乳化剤としては、ノニオン系、アニオン系およびカチオン系乳化剤が挙げられる。
グラフト共重合体(B)は、上記のごとく乳化重合によって製造された複合ゴム((b−1)+(b−2))ラテックスに、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体、必要に応じてこれらと共重合可能なビニル系単量体(以下、他のビニル系単量体と記す)をグラフト重合することによって製造できる。
シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリルニトリル等が挙げられ、アクリロニトリルが特に好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
また、単量体中には、グラフト共重合体(B)の分子量、グラフト率を調製するための各種連鎖移動剤を添加することができる。
カルボン酸基含有共重合体(C)は、不飽和カルボン酸単量体、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体、必要に応じてこれらと共重合可能なビニル系単量体を共重合してなる共重合体である。
これらと共重合可能な他のビニル系単量体としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が挙げられる。
カルボン酸基含有共重合体(C)の製造には、塊状重合、溶液重合、塊状懸濁重合、懸濁重合、乳化重合等の通常公知の方法が用いられる。
共重合体(D)は、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体、必要に応じてこれらと共重合可能なビニル系単量体を共重合してなる共重合体である。共重合体(D)は、これが配合された熱可塑性樹脂組成物の流動性およびこれから得られる成形品の寸法安定性を向上させる。
シアン化ビニル系単量体としては、前記グラフト共重合体(B)の製造に用いられるものとして例示したものを用いることができる。これらのうち、アクリロニトリルが特に好ましい。
共重合体(D)の製造には、塊状重合、溶液重合、塊状懸濁重合、懸濁重合、乳化重合等の通常公知の方法が用いられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリアミド樹脂(A)(以下、(A)成分とも記す)、グラフト共重合体(B)(以下、(B)成分とも記す)、およびカルボン酸基含有共重合体(C)(以下、(C)成分とも記す)、必要に応じて共重合体(D)(以下、(D)成分とも記す)を含有するものである。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、得られる熱可塑性樹脂組成物、成形品の物性バランスの観点から、熱可塑性樹脂組成物全体に占める複合ゴム((b−1)+(b−2))の含有量は、5〜35質量%の範囲であることが好ましい。
本発明の成形品は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を、射出成形、シート押出、真空成形、圧空成形、異形押出成形、発泡成形、ブロー成形等により成形することにより得ることができる。
(ポリオルガノシロキサン(S−1)ラテックスの製造)
オクタメチルシクロテトラシロキサン98部およびγ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン2部を混合してシロキサン混合物100部を得た。これに、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.67部を溶解した蒸留水300部を添加し、ホモミキサーにて10000回転/分で2分間撹拌した後、ホモジナイザーに20MPaの圧力で1回通し、安定な予備混合オルガノシロキサンラテックスを得た。
この水溶液を85℃に加熱した状態で、予備混合オルガノシロキサンラテックスを4時間にわたって滴下し、滴下終了後1時間85℃を維持し、冷却した。ついで、この反応物を水酸化ナトリウム水溶液でpH7.4に中和し、ポリオルガノシロキサン(S−1)ラテックスを得た。
このようにして得られたラテックスの一部を170℃で30分間乾燥して固形分を求めたところ、17.7%であった。
試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機および攪拌装置を備えた反応器内に、ポリオルガノシロキサン(S−1)ラテックス45.2部、エマールNC−35(ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート;花王(株)社製)0.2部を入れ、さらに蒸留水148.5部を加え、混合した後、n−ブチルアクリレート42部、アリルメタクリレート0.3部、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート0.1部およびt−ブチルハイドロパーオキサイト0.11部からなるアルキル(メタ)アクリレート混合物を添加した。
ついで、このラテックスに酢酸カルシウムを添加してグラフト共重合体(B−1)を凝固させ、充分水洗後、乾燥してグラフト共重合体(B−1)を得た。
(グラフト共重合体(B−2)の製造)
窒素ガス雰囲気下の撹拌機付き反応器に、n−ブチルアクリレート100部、トリアリルシアヌレート0.5部、オレイン酸ナトリウム1.0部、ピロリン酸ナトリウム2.0部、過硫酸カリウム0.3部、純水200部を仕込み、撹拌しながら65℃で8時間加熱反応させて、アクリルゴムラテックスを得た。
ついで、このラテックスに酸化防止剤を添加後、さらに塩化カルシウムを添加してグラフト共重合体(B−2)を凝固させ、脱水、乾燥して、グラフト共重合体(B−2)を得た。
(グラフト共重合体(B−3)の製造)
窒素ガス雰囲気下の撹拌機付き反応器に、純水180部、ポリブタジエンゴムラテックス(固形分で50部)、半硬化牛脂ソーダ石鹸1.5部を添加し、60℃に昇温した。60℃を保持したまま、これにスチレン37部、アクリロニトリル13部を添加し、60分間放置した後、クメンハイドロパーオキサイド0.25部を添加し、硫酸第一鉄0.004部、ピロリン酸ナトリウム0.02部および結晶ブドウ糖0.2部を2時間かけて連続添加し、その後70℃に昇温して1時間保って反応を完結し、ポリブタジエンゴムに、アクリロニトリル、スチレンをグラフト重合させたグラフト共重合体(B−3)のラテックスを得た。
ついで、このラテックスに酸化防止剤を添加後、さらに硫酸を添加してグラフト共重合体(B−3)を凝固させ、充分水洗後、乾燥してグラフト共重合体(B−3)を得た。
(カルボン酸基含有共重合体(C−1)の製造)
ステンレス容器に純水200部、過硫酸カリウム0.3部およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2部を仕込み、攪拌下に65℃に昇温した。これにスチレン71部、アクリロニトリル24部、メタクリル酸5部およびt−ドデシルメルカプタン0.4部からなる単量体混合物を5時間にわたって連続的に加えた後、反応系の温度を70℃に昇温し、この温度で1時間保持して重合を完結し、カルボン酸基含有共重合体(C−1)のラテックスを得た。
ついで、このラテックスに酢酸カルシウムを添加して、カルボン酸基含有共重合体(C−1)を凝固させ、脱水、乾燥して、カルボン酸基含有共重合体(C−1)を得た。得られたカルボン酸基含有共重合体(C−1)の数平均分子量は45000であった。
(カルボン酸基含有共重合体(C−2)の製造)
製造例4において、t−ドデシルメルカプタンを0.2部に変更した以外は、製造例4と同様にして、カルボン酸基含有共重合体(C−2)を得た。得られたカルボン酸基含有共重合体(C−2)の数平均分子量は72000であった。
(カルボン酸基含有共重合体(C−3)の製造)
製造例4において、t−ドデシルメルカプタンを1.5部に変更した以外は、製造例4と同様にして、カルボン酸基含有共重合体(C−3)を得た。得られたカルボン酸基含有共重合体(C−3)の数平均分子量は19000であった。
(共重合体(D−1)の製造)
窒素置換した反応器に純水120部、ポリビニルアルコール0.5部、アゾビスイソブチロニトリル0.3部、t−ドデシルメルカプタン0.35部、アクリロニトリル27部とスチレン73部とからなる単量体混合物を加え、60℃で5時間加熱後、120℃に昇温し、4時間反応を行った。
この反応液を冷却後、洗浄、脱水、乾燥の工程を経て、ビーズ状の共重合体(D)を得た。得られた共重合体(D)の質量平均分子量は120000であった。
ポリアミド樹脂(A−1)(宇部興産(株)製、ナイロン6、商品名「1013B」)、グラフト共重合体(B−1)〜(B−3)、カルボン酸基含有共重合体(C−1)〜(C−3)および共重合体(D−1)を、表1および表2に示す配合で混合し、30mm二軸押出機(日本製鋼(株)製「TEX30α」)を用いて260℃で溶融混合し、ペレットとした後、75トン射出成形機((株)日本製鋼所製「J75EII−P」)にて成形した。これらの物性を下記方法で評価し、結果を表1に示した。
スパイラルフロー金型(幅15mm×厚さ2mm)に、シリンダー温度260℃、金型温度80℃、圧力7.4MPaの条件で、熱可塑性樹脂組成物を射出成形機から射出し、スパイラルフロー長[mm]を測定した。
(シャルピー衝撃強度)
ISO 179に準拠し、測定温度23℃、−30℃で測定した。
(曲げ弾性率)
ISO 178に準拠して測定した。
射出成形にて作製した短冊状試験片(150×10×2mm)をベンディングフォーム法試験治具に沿わして固定後、試験片に薬液を塗布し、23℃の環境下で48時間放置後、クレーズおよびクラックの発生有無を確認し、試験治具の曲率から限界歪み[%]を求めた。薬液としては、可塑剤(フタル酸ジ2−エチルヘキシル(DOP))、汎用ブレーキオイル(DOT−4(本田技研工業(株)))、トイレパワーズ(エステー化学(株))を使用した。
比較例1〜3の熱可塑性樹脂組成物、成形品は、各成分の配合量が、本発明の範囲外であるため、比較例1については耐衝撃性が、比較例2については耐薬品性が、比較例3については耐衝撃性および耐薬品性が劣っている。
また、比較例4、5の熱可塑性樹脂組成物、成形品は、グラフト共重合体(B)としてASA樹脂、ABS樹脂を用いており、比較例4については耐衝撃性が、比較例5については、流動性および耐薬品性が、同配合の実施例1と比較して劣っている。
Claims (2)
- ポリアミド樹脂(A)5〜99質量部と、
ポリオルガノシロキサン(b−1)とアルキル(メタ)アクリレートゴム(b−2)とからなる複合ゴム((b−1)+(b−2))に、少なくとも芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体がグラフト重合されたグラフト共重合体(B)0.9〜80質量部と、
少なくとも不飽和カルボン酸単量体、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体を共重合してなるカルボン酸基含有共重合体(C)0.1〜20質量部と
を含有する[ただし、ポリアミド樹脂(A)、グラフト共重合体(B)、およびカルボン酸基含有共重合体(C)の合計は100質量部である]熱可塑性樹脂組成物。 - 請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
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