JP2000026694A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JP2000026694A
JP2000026694A JP19530698A JP19530698A JP2000026694A JP 2000026694 A JP2000026694 A JP 2000026694A JP 19530698 A JP19530698 A JP 19530698A JP 19530698 A JP19530698 A JP 19530698A JP 2000026694 A JP2000026694 A JP 2000026694A
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polymer
vinyl
thermoplastic resin
acrylate
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JP19530698A
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English (en)
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Kazuhiro Okamoto
一博 岡本
Hiroyuki Ito
博幸 伊藤
Takashi Kurata
貴志 蔵田
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Techno UMG Co Ltd
Original Assignee
Techno Polymer Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐衝撃性、剛性、耐薬品性および成形外観に
優れた熱可塑性樹脂組成物を提供すること。 【解決手段】 (A)ゴム変性スチレン系樹脂ならびに
(B)芳香族ビニル化合物およびシアン化ビニル化合物
からなる樹脂質重合体〔ただし、(A)+(B)=10
0重量部〕に対して、(C)非極性α−オレフィン
(共)重合体および少なくとも1種のビニル系単量体か
らなるビニル系(共)重合体を有する熱可塑性樹脂0.
1〜10重量部、ならびに(D)DSC法で測定した融
点が40〜80℃であるエチレン/アクリル酸エステル
/一酸化炭素系三元共重合体0.1〜8重量部を配合し
た熱可塑性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐衝撃性、剛性、
耐薬品性および成形外観に優れた熱可塑性樹脂組成物に
関する。
【0002】
【従来の技術】ABS樹脂などのスチレン系樹脂は、耐
衝撃性、剛性、成形外観などに優れていることから、幅
広い分野に使用されているが、耐薬品性が十分でなく、
使用用途に制限があった。従来のスチレン系樹脂の欠点
を克服し、耐衝撃性、剛性、耐薬品性および成形外観に
優れた熱可塑性樹脂組成物が求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の課題を背景になされたもので、耐衝撃性、剛性、耐
薬品性および成形外観に優れた広範囲の用途に使用でき
る熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、(A)ゴム質
重合体の存在下に芳香族ビニル化合物および必要に応じ
てこれと共重合可能な他のビニル系単量体を(共)重合
してなるゴム変性スチレン系樹脂5〜100重量%、な
らびに(B)芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合
物および必要に応じてこれらと共重合可能な他のビニル
系単量体を共重合してなる樹脂質重合体95〜0重量%
〔ただし、(A)+(B)=100重量%〕の合計量1
00重量部に対し、(C)非極性α−オレフィン(共)
重合体30〜80重量%および少なくとも1種のビニル
系単量体からなるビニル系(共)重合体70〜20重量
%〔ただし、非極性α−オレフィン(共)重合体+ビニ
ル系(共)重合体=100重量%〕を主体とする熱可塑
性樹脂0.1〜10重量部、ならびに(D)DSC法で
測定した融点が40〜80℃であるエチレン/アクリル
酸エステル/一酸化炭素系三元共重合体0.1〜8重量
部を配合した熱可塑性樹脂組成物を提供するものであ
る。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の(A)成分は、ゴム質重
合体の存在下に、芳香族ビニル化合物および必要に応じ
てこれと共重合可能な他のビニル系単量体を(共)重合
してなるゴム変性スチレン系樹脂である。
【0006】ここで、上記ゴム質重合体としては、例え
ばポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、ブ
タジエン−アクリロニトリル共重合体、エチレン−プロ
ピレン−(非共役ジエン)共重合体、エチレン−ブテン
−1−(非共役ジエン)共重合体、イソブチレン−イソ
プレン共重合体、アクリルゴム、スチレン−ブタジエン
−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−
スチレンブロック共重合体、SEBSなどの水素添加ジ
エン系(ブロック、ランダム、およびホモ)重合体、ポ
リウレタンゴムおよびシリコーンゴムなどが挙げられ
る。これらの中で、ポリブタジエン、ブタジエン−スチ
レン共重合体、エチレン−プロピレン−(非共役ジエ
ン)共重合体、水素添加ジエン系重合体およびシリコー
ンゴムが好ましい。なお、シリコーンゴムを用いる場
合、シリコーンゴム中にグラフト交叉剤(例えば、ビニ
ル基を含んだものや、γ−メタクリロキシプロピルメチ
ルジメトキシシランなど)が0.01〜10重量%程度
共重合したシリコーンゴムを使用すると、耐衝撃性に優
れる熱可塑性樹脂組成物が得られる。これらのゴム質重
合体は、1種単独でまたは2種以上で使用される。
【0007】使用されるゴム質重合体の平均ゴム粒径
は、好ましくは0.08〜0.8μm、さらに好ましく
は0.1〜0.7μmである。また、ゴム粒径の異なる
2種以上のゴム質重合体を用いると、さらに耐衝撃性な
どの物性バランスに優れた本発明の熱可塑性樹脂組成物
が得られる。好ましくは、0.08〜0.18μmと
0.18〜0.8μm程度の2種の粒径の異なるゴム質
重合体を使用する。この場合、2種のゴム質重合体の存
在下でゴム変性スチレン系樹脂を製造しても、また、ゴ
ム粒径の異なる2種のゴム変性スチレン系樹脂を使用す
ることもできる。
【0008】なお、(A)ゴム変性スチレン系樹脂にお
けるゴム質重合体の含有率は、好ましくは5〜80重量
%、さらに好ましくは10〜70重量%である。ゴム質
重合体が5重量%未満であると、耐衝撃性が不十分とな
り、一方、80重量%を超えると、剛性、成形外観が低
下し好ましくない。
【0009】(A)ゴム変性スチレン系樹脂に用いられ
る芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチル
スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、
ビニルトルエン、ビニルキシレン、メチル−α−メチル
スチレン、t−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、
1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−
アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノ
メチルスチレン、ビニルピリジン、モノクロルスチレ
ン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモ
スチレン、モノフルオロスチレン、エチルスチレン、ビ
ニルナフタレンなどが挙げられ、特にスチレン、α−メ
チルスチレン、p−メチルスチレンが好ましい。以上の
芳香族ビニル化合物は、1種単独で使用することも、あ
るいは2種以上を混合して用いることもできる。
【0010】芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビ
ニル系単量体としては、シアン化ビニル化合物、(メ
タ)アクリル酸エステル、酸無水物系単量体およびマレ
イミド系単量体の群から選ばれた少なくとも1種の単量
体であり、これらは1種単独で使用することも、あるい
は2種以上を混合して用いることもできる。このうち、
シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メ
タクリロニトリルなどが挙げられ、好ましくはアクリロ
ニトリルである。
【0011】(メタ)アクリル酸エステルとしては、ア
クリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピ
ル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸
ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチル
ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェ
ニルなどのアクリル酸アルキルエステルや、メタクリル
酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピ
ル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタク
リル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸
2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メ
タクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル、メタ
クリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジルなどのメタク
リル酸アルキルエステルが挙げられる。好ましくはメタ
クリル酸メチル、アクリル酸ブチルである。
【0012】酸無水物系単量体としては、無水マレイン
酸、無水イタコン酸などの不飽和酸無水物が挙げられ、
無水マレイン酸が好ましい。マレイミド系単量体として
は、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマ
レイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチル
フェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニ
ル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどの
α,β−不飽和ジカルボン酸のイミド化合物などが挙げ
られ、好ましくは、N−フェニルマレイミドである。こ
れらのその他の共重合可能なビニル系単量体は、1種単
独で使用するか、あるいは2種以上を混合して使用でき
る。上記芳香族ビニル化合物またはこれと共重合可能な
他のビニル系単量体の混合物の使用量は、ゴム変性スチ
レン系樹脂成分中に95〜20重量%、好ましくは90
〜30重量%である。95重量%を超えると、耐衝撃性
が劣り、一方、20重量%未満では剛性および成形外観
が劣る。
【0013】なお、(A)ゴム変性スチレン系樹脂を構
成する、上記単量体成分中の芳香族ビニル化合物の使用
量は好ましくは90〜5重量%、さらに好ましくは85
〜10重量%、他のビニル系単量体の使用量は好ましく
は10〜95重量%、さらに好ましくは15〜90重量
%である。
【0014】ゴム質重合体の存在下で重合される単量体
成分の好ましい組み合わせを下記に示す。 芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物 芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物/(メ
タ)アクリル酸エステル 芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物/マレイ
ミド系単量体 芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物/酸無水
物系単量体 芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物/(メ
タ)アクリル酸エステル/酸無水物系単量体
【0015】本発明の(A)ゴム変性スチレン系樹脂の
グラフト率は、好ましくは10〜150重量%、さらに
好ましくは30〜130重量%、特に好ましくは40〜
120重量%である。グラフト率が10重量%未満で
は、得られる熱可塑性樹脂組成物の外観不良、衝撃強度
の低下が生じ好ましくない。一方、150重量%を超え
ると、成形加工性が劣る。グラフト率は、重合開始剤の
種類・量、重合温度、さらには単量体成分の濃度などに
よって調整することができる。
【0016】また、(A)ゴム変性スチレン系樹脂のマ
トリックス成分であるメチルエチルケトン可溶分の極限
粘度〔η〕(30℃、メチルエチルケトン中で測定)
は、好ましくは0.1〜1.5dl/g、さらに好まし
くは0.3〜1.0dl/gである。極限粘度〔η〕が
上記範囲内である(A)ゴム変性スチレン系樹脂を使用
すると、耐衝撃性、成形外観に優れた本発明の熱可塑性
樹脂組成物が得られる。上記極限粘度〔η〕は、重合開
始剤、連鎖移動剤、乳化剤、溶剤などの種類や量、さら
に重合時間、重合温度などを変えることにより、容易に
制御することができる。
【0017】本発明の(A)ゴム変性スチレン系樹脂
は、上記ゴム質重合体の存在下に、上記単量体成分を乳
化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合などでグラフト
重合を行い、製造することができる。好ましくは乳化重
合、溶液重合である。なお、上記グラフト重合には、通
常使用されている重合溶媒(溶液重合の場合)、重合開
始剤、連鎖移動剤、乳化剤(乳化重合の場合)などが用
いられる。また、(A)ゴム変性スチレン系樹脂を製造
するのに用いるゴム質重合体および単量体成分は、ゴム
質重合体全量の存在下に、単量体成分を一括添加して重
合してもよく、分割もしくは連続添加して重合してもよ
い。また、これらを組み合わせた方法で、重合してもよ
い。さらに、ゴム質重合体の全量または一部を、重合途
中で添加して重合してもよい。
【0018】溶液重合法では、溶剤が用いられる。この
溶剤は、通常のラジカル重合で使用される不活性重合溶
剤であり、例えばエチルベンゼン、トルエンなどの芳香
族炭化水素、メチルエチルケトン、アセトンなどのケト
ン類、ジクロロメチレン、四塩化炭素などのハロゲン化
炭化水素などが用いられる。
【0019】上記重合開始剤は、重合法に合った一般的
な開始剤が用いられる。溶液重合に際しては、例えばケ
トンパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジア
シルパーオキサイド、パーオキシエステル、ハイドロパ
ーオキサイドなどの有機過酸化物が重合開始剤として用
いられる。また、重合開始剤は、重合系に、一括または
連続的に添加することができる。重合開始剤の使用量
は、単量体成分に対し、通常、0.05〜2重量%、好
ましくは0.2〜0.8重量%である。
【0020】また、乳化重合に際しては、重合開始剤と
して、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピル
ベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイド
ロパーオキサイドなどで代表される有機ハイドロパーオ
キサイド類と含糖ピロリン酸処方、スルホキシレート処
方などで代表される還元剤との組み合わせによるレドッ
クス系、あるいは過硫酸塩、アゾビスイソブチロニトリ
ル、ベンゾイルパーオキサイドなどの過酸化物が使用さ
れる。好ましくは、油溶性開始剤であり、クメンハイド
ロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパ
ーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイドな
どで代表される有機ハイドロパーオキサイド類と含糖ピ
ロリン酸処方、スルホキシレート処方などで代表される
還元剤との組み合わせによるレドックス系がよい。ま
た、上記油溶性開始剤と水溶性開始剤とを組み合わせて
もよい。組み合わせる場合の水溶性開始剤の添加比率
は、全添加量の好ましくは50重量%以下、さらに好ま
しくは25重量%以下である。さらに、重合開始剤は、
重合系に一括または連続的に添加することができる。重
合開始剤の使用量は、単量体成分に対し、通常、0.1
〜1.5重量%、好ましくは0.2〜0.7重量%であ
る。
【0021】また、連鎖移動剤としては、オクチルメル
カプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメ
ルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テト
ラデシルメルカプタン、t−テトラデシルメルカプタン
などのメルカプタン類、テトラエチルチウラムスルフィ
ド、四塩化炭素、臭化エチレンおよびペンタフェニルエ
タンなどの炭化水素類、またはアクロレイン、メタクロ
レイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグ
リコレート、α−メチルスチレンのダイマーなどが挙げ
られる。これらの連鎖移動剤は、単独でまたは2種以上
を組み合わせて使用することができる。連鎖移動剤の使
用方法は、一括添加、分割添加、または連続添加のいず
れの方法でも差し支えない。連鎖移動剤の使用量は、単
量体成分に対し、通常、2.0重量%以下程度である。
【0022】乳化剤を使用する場合は、アニオン性界面
活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げ
られる。このうち、アニオン性界面活性剤としては、例
えば高級アルコールの硫酸エステル、アルキルベンゼン
スルホン酸塩、脂肪酸スルホン酸塩、リン酸系塩、脂肪
酸塩などが挙げられる。また、ノニオン性界面活性剤と
しては、通常のポリエチレングリコールのアルキルエス
テル型、アルキルエーテル型、アルキルフェニルエーテ
ル型などが用いられる。さらに、両性界面活性剤として
は、アニオン部分としてカルボン酸塩、硫酸エステル
塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩を、カチオン部分
としてアミン塩、第4級アンモニウム塩などを持つもの
が挙げられる。
【0023】(A)ゴム変性スチレン系樹脂の使用量
は、(A)〜(B)成分中に、5〜100重量%、好ま
しくは10〜90重量%、さらに好ましくは20〜85
重量%、特に好ましくは30〜75重量%である。
(A)成分の使用量が5重量%未満では耐衝撃性が劣
る。
【0024】次に、本発明の(B)成分である樹脂質重
合体は、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物お
よび必要に応じてこれらと共重合可能な他のビニル系単
量体を共重合して得られる共重合体である。(B)成分
の樹脂質重合体で使用される芳香族ビニル化合物、シア
ン化ビニル化合物および他のビニル系単量体としては、
上記(A)ゴム変性スチレン系樹脂に関して挙げられた
ものすべてが使用できる。好ましい(B)成分として
は、下記に挙げられるものである。 (1)AS樹脂 (2)AS樹脂/PMMA (3)AS樹脂/PMI
【0025】(B)成分が上記(1)のAS樹脂である
場合、共重合体中の好ましいアクリロニトリルの含有量
は、10〜45重量%、さらに好ましくは15〜35重
量%、特に好ましくは20〜32重量%である。10重
量%未満の場合、耐薬品性が劣る。一方、45重量%を
超えると、成形外観や耐衝撃性が劣る。また、好ましい
極限粘度〔η〕(30℃、メチルエチルケトン中で測
定)は、0.1〜1.5dl/g、さらに好ましくは
0.2〜0.8dl/gである。また、(B)成分が上
記(2)または(3)のAS樹脂を含む共重合体である
場合、共重合体中の好ましいアクリロニトリルの含有量
は、10〜45重量%、さらに好ましくは15〜35重
量%、特に好ましくは20〜32重量%である。10重
量%未満の場合、耐薬品性が劣る。一方、45重量%を
超えると、成形外観や耐衝撃性が劣る。
【0026】本発明の(B)樹脂質重合体は、上記単量
体成分を乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合など
で重合を行い、製造することができる。上記重合には、
通常使用されている重合溶媒(溶液重合の場合)、重合
開始剤、連鎖移動剤、乳化剤(乳化重合の場合)などを
用いることができる。本発明の熱可塑性樹脂組成物にお
ける(B)樹脂質重合体の使用量は、(A)〜(B)成
分中に95〜0重量%、好ましくは90〜10重量%、
さらに好ましくは80〜15重量%、特に好ましくは7
0〜25重量%である。(B)成分の使用量が95重量
%を超えると、耐衝撃性が劣る。
【0027】次に、本発明の(C)成分は、非極性α−
オレフィン(共)重合体および少なくとも1種のビニル
系単量体からなるビニル系(共)重合体を主体とし、前
者の非極性α−オレフィン(共)重合体の含有量が30
〜80重量%である熱可塑性樹脂である。(C)熱可塑
性樹脂は、非極性α−オレフィン(共)重合体が主鎖ポ
リマーであり、ビニル系(共)重合体が枝ポリマーとな
っている分散構造をとる多相構造熱可塑性樹脂である。
本発明の(C)成分の非極性α−オレフィン(共)重合
体を構成する非極性α−オレフィン単量体としては、エ
チレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキ
セン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1、デ
セン−1が挙げられ、このうちエチレンが好ましい。
【0028】なお、上記非極性α−オレフィン単量体に
は、極性ビニル系単量体を共重合することもできる。そ
の極性ビニル系単量体としては、例えば(メタ)アクリ
ル酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸などの
α,β−不飽和カルボン酸およびその金属塩;アクリル
酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、ア
クリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル
酸t−ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシ
ル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシ
ル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル
酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i
−ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシ
ル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸2−エチルヘ
キシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ド
デシル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸フェ
ニル、メタクリル酸ベンジルなどのα,β−不飽和カル
ボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カ
プロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリン酸ビニ
ル、ステアリン酸ビニル、トリフルオル酢酸ビニルなど
のビニルエステル単量体などが挙げられる。
【0029】上記非極性α−オレフィン単量体と極性ビ
ニル系単量体とからなる共重合体の具体例としては、エ
チレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メ
チル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、
エチレン−アクリル酸i−プロピル共重合体、エチレン
−アクリル酸n−ブチル共重合体、エチレン−メタクリ
ル酸i−ブチル共重合体、エチレン−アクリル酸2−エ
チルヘキシル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル
共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体、エ
チレン−メタクリル酸i−ブチル共重合体、エチレン−
酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピオン酸ビニル共
重合体、エチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸
共重合体などが挙げられる。これらの非極性α−オレフ
ィン単量体と極性ビニル系単量体とからなる共重合体は
混合して使用することもできる。
【0030】一方、本発明の(C)成分のビニル系
(共)重合体とは、スチレン、核置換スチレン、例えば
o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジメチルス
チレン、エチルスチレン、t−ブチルスチレン、モノク
ロルスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレ
ン、ジブロモスチレン、モノフルオロスチレン、1,1
−ジフェニルスチレン、α−置換スチレン、例えばα−
メチルスチレン、メチル−α−メチルスチレン、などの
芳香族ビニル化合物;アクリル酸メチル、アクリル酸エ
チル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピ
ル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、ア
クリル酸t−ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘ
キシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メ
タクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、
メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メ
タクリル酸t−ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリ
ル酸ヘキシルなどの(メタ)アクリル酸の炭素数1〜7
のアルキルエステル;メタクリル酸2−ヒドロキシエチ
ル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、ポリエチレング
リコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコー
ルモノメタクリレートなどの(メタ)アクリル酸ヒドロ
キシアルキルエステル;アクリロニトリルまたはメタク
リロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル
酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ト
リアルオル酢酸ビニルなどのビニルエステル;アクリル
アミド、メタクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミ
ド;(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタ
コン酸、シトラコン酸、クロトン酸などの不飽和カルボ
ン酸およびそのアミド、イミド、エステル、無水物など
誘導体などの、ビニル系単量体の1種または2種以上を
重合して得られる(共)重合体である。これらの中で
も、スチレン、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸
エステルが好ましい。特に好ましくはスチレンとアクリ
ロニトリルとからなる共重合体であって、その共重合体
中のアクリロニトリル含有量は20〜32重量%であ
る。(C)成分中のビニル系(共)重合体の数平均重合
度は、5〜10,000が好ましく、さらに好ましくは
10〜5,000の範囲である。
【0031】(C)熱可塑性樹脂中の非極性α−オレフ
ィン(共)重合体の含有量は、30〜80重量%、好ま
しくは40〜70重量%である。30重量%未満である
と、耐薬品性が劣る。一方、80重量%を超えると、耐
衝撃性が劣る。(C)成分の熱可塑性樹脂は、1種ある
いは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0032】(C)成分中の非極性α−オレフィン
(共)重合体とビニル系(共)重合体の好ましい組み合
わせは、ポリエチレン−gr−AS、ポリプロピレン−
gr−ASである。本発明の(C)成分を製造する際の
グラフト重合法は、一般に良く知られている連鎖移動
法、電離性放射線照射法などいずれの方法でもよいが、
好ましくは特開昭64 48856号公報記載の方法で
ある。
【0033】本発明の(C)成分において、非極性α−
オレフィン(共)重合体にグラフトしたビニル系(共)
重合体の量、すなわちグラフト率は、少なくとも1重量
%以上であることが好ましい。(C)熱可塑性樹脂の多
相構造としては、非極性α−オレフィン(共)重合体ま
たはビニル系(共)重合体マトリックス中に、それとは
異なる成分であるビニル系(共)重合体または非極性α
−オレフィン(共)重合体が、球状に均一に分散してい
るものが挙げられる。分散している重合体の平均粒径
は、通常0.001〜10μm、好ましくは0.05〜
7μm、さらに好ましくは0.01〜5μmである。分
散粒子径が0.001μm未満の場合、あるいは10μ
mを超える場合、得られる樹脂組成物の機械的強度が低
下し好ましくない。本発明の(C)熱可塑性樹脂のビカ
ット軟化温度は、50〜140℃が好ましく、さらに好
ましくは60〜100℃である。50℃未満では剛性が
劣り、一方、140℃を超えると耐衝撃性が低下する。
【0034】(C)成分の使用量は、(A)〜(B)成
分の合計量100重量部に対して0.1〜10重量部、
好ましくは0.2〜9重量部、さらに好ましくは0.3
〜8重量部、特に好ましくは0.4〜5重量部である。
その使用量が0.1重量部未満では、耐薬品性の改良効
果がなく、一方、10重量部を超えると、剛性および成
形外観が劣る。
【0035】次に、本発明の(D)成分は、DSC法で
測定した融点が40〜80℃であるエチレン/アクリル
酸エステル/一酸化炭素系三元共重合体である。アクリ
ル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸
エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸i−プロピ
ル、アクリル酸n−ブチル、およびアクリル酸i−ブチ
ルなどが挙げられ、アクリル酸n−ブチルが好ましい。
(D)成分の組成比は、エチレン10〜80重量%、ア
クリル酸エステル10〜57重量%、一酸化炭素3〜4
0重量%が好ましい。
【0036】本発明の(D)成分は、例えば下記のよう
にして製造することができる。すなわち、単量体として
エチレン、アクリル酸エステル、および一酸化炭素を用
い、重合供給系において連続的に単量体の調合を行な
う。ここで使用する容器は、高圧・高温に耐えるもの
で、高速モーターで駆動する攪拌機と圧力放出弁、およ
び温度調整用の加熱または冷却流体循環用ジャケット付
き壁面を有するものが好ましい。原料である一酸化炭素
およびアクリル酸エステルをそれぞれ別々にまたは一緒
にエチレン供給系ラインに圧入し、次いでこの単量体ま
たはその混合物を別々にまたは一緒に反応器に圧入す
る。この際、必要に応じてラジカル重合触媒(過酸化
物、過エステル、アゾ化合物、過炭酸塩など)を、別の
供給ラインを通じて反応器に圧入する。反応器中で生成
する共重合体と未反応の単量体との混合物は、反応器排
出口より出て混合物が分離器へと流れるにつれて、その
内圧が減少する。未反応の単量体については、分離器で
分離したのち、分解するか、または反応用単量体ととも
に再び反応器へ圧入し循環する。分離器から排出される
溶融共重合体は、冷却し、適当な大きさに切断する。
【0037】ここで、反応器の温度は140℃以上、好
ましくは155〜300℃、さらに好ましくは155〜
225℃、反応器の圧力は3.45×107 〜4.14
×108 Pa(5,000〜60,000psi)、好
ましくは1.38×108 〜2.41×108 Pa(2
0,000〜35,000psi)である。
【0038】DSC(示差走査熱量計)法で融点(T
m)を求めるには、基準物質(例えばクウォーツ)を対
照として一定昇温速度で昇温する際に、(D)成分と基
準物質との温度差をゼロとするように調節するために生
じる電気入力差から得られるDSC曲線より求める。
(D)成分の融点は、40〜80℃である。融点が40
℃未満の場合は、成形外観不良が発生し、一方、80℃
を超える場合は、耐薬品性が劣る。本発明の(D)成分
は、本発明の熱可塑性樹脂組成物中に均一に分散してい
ることが好ましい。熱可塑性樹脂組成物中に分散してい
る(D)成分の平均粒径は、好ましくは0.001〜1
0μm、さらに好ましくは0.01〜5μmである。平
均粒径が0.001μm未満の場合、得られる熱可塑性
樹脂組成物の機械的強度が低下する。一方、10μmを
超える場合、成形外観(光沢度)が低下する。
【0039】なお、(D)成分のメルトフローレート
(測定温度:190℃、荷重:2.16kg、JIS
K−7210に準拠)は、10〜150g/10min
が好ましく、さらに好ましくは12〜120g/10m
inである。メルトフローレートが、10g/10mi
n未満の場合、成形品に剥離が生じ、一方、150g/
10minを超える場合、成形外観不良が発生する。
【0040】(D)成分の使用量は、(A)〜(B)成
分の合計量100重量部に対して0.1〜8重量部であ
り、好ましくは0.2〜7重量部、さらに好ましくは
0.3〜6重量部、特に好ましくは0.4〜5重量部で
ある。使用量が0.1重量部未満では、耐薬品性の改良
効果がなく、一方、8重量部を超えると、成形品に層状
剥離が生じる。なお、(C)成分と(D)成分の好まし
い配合比(重量比)は、(C)/(D)=1/0.1〜
10である。この配合比の範囲であると、特に耐薬品性
が優れる。
【0041】本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に
応じて、ガラス繊維、炭素繊維、ガラスビーズ、ワラス
トナイト、ロックフィラー、炭酸カルシウム、タルク、
マイカ、ガラスフレーク、ミルドファイバー、硫酸バリ
ウム、黒鉛、二硫化モリブデン、酸化マグネシウム、酸
化亜鉛ウィスカー、チタン酸カルシウムウィスカーなど
の充填剤を1種単独で、または2種以上を混合して用い
ることもできる。これらの充填剤を配合することで、本
発明の熱可塑性樹脂組成物にさらに剛性、高熱変形温度
などを付与することができる。また、タルク、炭酸カル
シウムなどを配合することで、本発明の熱可塑性樹脂組
成物に艶消し性を付与することができる。ガラス繊維、
炭素繊維の形状としては、好ましくは6〜60μmの繊
維径、好ましくは30μm以上の繊維長である。上記充
填剤の配合量は、(A)〜(B)成分の合計量100重
量部に対して、好ましくは1〜100重量部、さらに好
ましくは5〜80重量部である。
【0042】また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、
公知のカップリング剤、耐候剤、酸化防止剤、可塑剤、
滑剤、着色剤、帯電防止剤、シリコーンオイル、発泡剤
などの添加剤を配合することができる。耐候剤として
は、リン系、イオウ系の有機化合物、水酸基を含有する
有機化合物が好ましい。また、帯電防止剤としては、ポ
リエーテル、アルキル基を有するスルホン酸塩などが挙
げられる。上記添加剤の配合量は、(A)〜(B)成分
の合計量100重量部に対して、好ましくは0.1〜1
0重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部である。
【0043】さらに、本発明の熱可塑性樹脂組成物に
は、要求される用途に応じて、他の熱可塑性樹脂や熱硬
化性樹脂などの他の重合体を配合することができる。他
の重合体としては、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリ
エステル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ
フェニレンスルフィド、液晶ポリマー、ポリフッ化ビニ
リデン、ポリテトラフルオロエチレン、スチレン−酢酸
ビニリデン共重合体、ポリアミドエラストマー、ポリア
ミドイミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、
ポリエーテルエステルアミド、フェノール樹脂、エポキ
シ樹脂、ノボラック樹脂、レゾール樹脂などを、1種単
独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用い
ることもできる。上記他の重合体の配合量は、(A)〜
(B)成分の合計量100重量部に対して、好ましくは
1〜150重量部、さらに好ましくは5〜100重量部
である。上記他の重合体のうち、ポリアミドエラストマ
ー、ポリエーテルエステルアミドなどを配合すること
で、永久帯電防止性の付与が可能である。永久帯電防止
性の付与に好ましい配合量は、(A)〜(B)成分の合
計量100重量部に対して、1〜30重量部、さらに好
ましくは2〜20重量部である。
【0044】さらに、本発明の熱可塑性樹脂組成物に
は、難燃性を付与するために、難燃剤を配合することも
できる。難燃剤としては、ハロゲン系化合物、有機リン
系化合物、窒素系化合物、アンチモン化合物などを、1
種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して
用いることもできる。このうち、ハロゲン系化合物とし
ては、テトラブロモビスフェノールAのオリゴマー(末
端は、エポキシ基、トリブロモフェノールなどで封止し
てあってもよい)、臭素化スチレン、後臭素化ポリスチ
レン、臭素化ポリカーボネートのオリゴマー、テトラブ
ロモビスフェノールA、デカブロモジフェニルエーテ
ル、塩素化ポリスチレン、脂肪族塩素化合物などが挙げ
られる。なかでも、テトラブロモビスフェノールAのオ
リゴマーが好ましい(好ましい分子量は、1,000〜
6,000程度である)。また、ハロゲン系化合物にお
いて、ハロゲンが臭素の場合、好ましい臭素濃度は、3
0〜65重量%、さらに好ましくは45〜60重量%で
ある。
【0045】また、有機リン系化合物としては、トリフ
ェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、ト
リクレジルホスフェート、トリキシレニルチオホスフェ
ート、ハイドロキノンビス(ジフェニルホスフェー
ト)、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェー
ト)、レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェー
ト)、トリフェニルホスフェートのオリゴマーなどが挙
げられる。中でも、トリフェニルホスフェート、トリキ
シレニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジキシレ
ニルホスフェート)が好ましい。また、有機リン系化合
物において、好ましいリン濃度は、4〜30重量%、さ
らに好ましくは6〜25重量%である。
【0046】さらに、窒素系化合物としては、例えばメ
ラミン、イソシアネートの環化物などが挙げられる。さ
らに、アンチモン化合物としては、三酸化アンチモン、
五酸化アンチモンなどが使用できる。上記難燃剤の配合
量は、(A)〜(B)成分の合計量100重量部に対し
て、好ましくは1〜50重量部、さらに好ましくは2〜
30重量部、特に好ましくは5〜25重量部である。難
燃剤の配合量が1重量部未満であると、難燃性の付与効
果が不十分であり、一方、50重量部を超えると、摺動
性が劣る。
【0047】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、各種押し
出し機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、フィ
ーダールーダーなどを用い、各成分を混練りすることに
より得られる。好ましい製造方法は、二軸押し出し機を
用いる方法である。各成分を混練りするに際しては、各
成分を一括して混練りしてもよく、数回に分けて添加混
練りしてもよい。混練りは、押し出し機で多段添加式で
混練りしてもよい。
【0048】このようにして得られる本発明の熱可塑性
樹脂組成物は、射出成形、シート押し出し、真空成形、
異形押し出し、発泡成形、インジェクションプレス、プ
レス成形、ブロー成形などによって、各種成形品に成形
することができる。上記成形法によって得られる各種成
形品は、耐衝撃性、剛性、耐薬品性、成形外観に優れて
おり、これらの特性を生かして、OA・家電分野、車両
分野、電気・電子分野、雑貨分野、サニタリー分野など
の各種パーツ、ボタン、ハウジング、シャーシ、トレー
などに使用することができる。中でも、便座、浴室の排
水トラップ、オートバイのカウル、四輪車のインパネな
どの用途が好ましい。さらに、本発明の熱可塑性樹脂組
成物にレーザーマーキング方法を用いて、印字、マーキ
ングすることも可能であり、レーザーマーキングを施し
た材料をボタン、ハウジングなどに使用することもでき
る。
【0049】
【実施例】以下、実施例を挙げ本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の
実施例に何等制約されるものではない。なお、実施例
中、部および%は特に断らない限り重量基準である。ま
た、実施例中の各種評価は、次のようにして測定したも
のである。
【0050】融点(Tm) デュポン社製、DSC(示差走査熱量計)を用いて測定
した。平均粒径 分散粒子の平均粒径は、あらかじめ乳化状態で合成した
ラテックスの粒径がそのまま樹脂中の分散粒子の粒径を
示すことを電子顕微鏡で確認したのち、ラテックス中の
分散粒子の粒径を、光散乱法で測定した。測定機器は、
大塚電子(株)製、レーザー粒径解析システムLPA−
3100を用い、70回積算でキュムラント法を用い、
平均粒径を測定した。
【0051】グラフト率 グラフト共重合体(ゴム変性スチレン系樹脂)の一定量
(x)をアセトン中に投入し、振とう機で2時間振とう
し、遊離の共重合体を溶解させる。遠心分離器を用い
て、この溶液を15,000rpmで30分間、遠心分
離し、不溶分を得る。次に、真空乾燥により、120℃
で1時間乾燥し、不溶分(y)を得る。グラフト率は、
次式より算出した。 グラフト率(重量%)={〔(y)−(x)×グラフト
共重合体のゴム分率〕/〔(x)×グラフト共重合体の
ゴム分率〕}×100極限粘度〔η〕 ゴム変性スチレン系樹脂のマトリックス成分であるメチ
ルエチルケトン(MEK)可溶分を、MEK中30℃で
測定した。単位は、dl/gである。
【0052】メルトフローレート(MFR) ASTM D1238に準じて測定した。単位はg/1
0分である。スチレン(ブロック)含量 13 C−NMRを用いて、ST(スチレンブロック)とE
B(ブタジエン部分が水添されたエチレン−ブチレンブ
ロック)の組成比率から求めた。
【0053】アイゾット衝撃強度 射出成形によって作製した試験片(63.6mm×1
2.7mm×6.3mm、ノッチ付き)を用い、AST
M D256に準拠して測定した。単位はkgf・cm
/cmである。剛性(曲げモジュラス) 射出成形によって作製した試験片(100mm×25m
m×3.2mm)を用い、ASTM D790に準拠し
て測定した。単位はkgf/cm2 である。
【0054】耐薬品性 メネックスクリーナー(洗剤)に対する臨界歪を測定し
た。1/4楕円治具に、射出成形によって作製した試験
片(225mm×40mm×1.6mm)を固定し、メ
ネックスクリーナーを塗布し、23℃で72時間放置し
たのち、試験片を観察し、クラックが生じている最小の
歪(臨界歪)を求めた。
【0055】成形外観 射出成形によって作製した平板状試験片(79mm×5
4mm×2.3mm)の表面を、以下の評価基準で目視
評価した。 ○;平滑で外観良好。 △;フローマークが見える。または、平滑性が少し劣
る。 ×;表面の凸凹が大きく外観不良。
【0056】成形品剥離 射出成形によって作製した平板状試験片(79mm×5
4mm×2.3mm)の射出成形時のゲート付近に対応
する部分を折り曲げ、成形品が層状に剥離するかどうか
を目視評価した。 ○;剥離なし。 ×;剥離あり。
【0057】参考例1〔ゴム質重合体(a−1)〜(a
−3)の調製〕 実施例および比較例で用いられたゴム質重合体は、表1
に示した物を使用した。
【0058】
【表1】
【0059】参考例2〔ゴム変性スチレン系樹脂(A−
1)〜(A−4)の調製〕 上記ゴム質重合体(a−1)〜(a−3)の存在下に、
表2に示す各種単量体をグラフト重合し、ゴム変性スチ
レン系樹脂(A−1)〜(A−4)を得た。なお、(A
−1)、(A−2)は乳化重合で、(A−3)、(A−
4)は溶液重合で得た。得られたゴム変性スチレン系樹
脂の特性を表2に示す。
【0060】
【表2】
【0061】参考例3〔樹脂質重合体(B−1)〜(B
−2)の調製〕 下記の組成比の樹脂質重合体を、溶液重合で得た。 B−1:スチレン/アクリロニトリル=70/30 B−2:スチレン/アクリロニトリル=76/24 得られた樹脂質重合体(B−1)、(B−2)の極限粘
度〔η〕は、それぞれ0.4dl/g、0.45dl/
gであった。
【0062】参考例4〔熱可塑性樹脂(C−1)〜(C
−6)の調製〕 本発明の(C)成分を、下記の製造方法で得た。ステン
レス製オートクレーブ中に、純水を入れ、懸濁剤として
ポリビニルアルコールを添加し溶解させた。この中にポ
リプロピレンまたはポリエチレンを入れ、攪拌して分散
させた。別に、ラジカル重合開始剤としてベンゾイルパ
ーオキサイド、ラジカル重合性有機過酸化物としてt−
ブチルパーオキシメタクリロキシエチルカーボネート、
さらに、ビニル系単量体としてスチレンおよびアクリロ
ニトリルを溶解させ、この溶液を上記オートクレーブ中
に投入攪拌した。次いで、オートクレーブを60〜65
℃に昇温し2時間攪拌することによって、ラジカル重合
開始剤およびラジカル重合性有機過酸化物を含むビニル
系単量体を、ポリプロピレンまたはポリエチレン中に含
浸させた。次いで、含浸させたビニル系単量体、ラジカ
ル重合性有機過酸化物およびラジカル重合開始剤の合計
重量が、含浸前のポリプロピレンまたはポリエチレンの
重量の10%以上となっていることを確認したのち、温
度を80〜85℃に昇温し、その温度を7時間維持して
重合を完結させたのち、水洗および乾燥して(C)熱可
塑性樹脂のグラフト化した前駆体を得た。この前駆体
を、単軸押し出し機で200℃にて押し出し、多相構造
を有する(C)熱可塑性樹脂を得た。得られた熱可塑性
樹脂は、走査型電子顕微鏡で観察すると、粒径0.3〜
0.4μmの真球状樹脂が均一に分散したものであっ
た。上記方法で、非極性α−オレフィン重合体の種類、
ビニル系共重合体の組成比ならびに非極性α−オレフィ
ン重合体に対するビニル系共重合体の配合比を表3のよ
うに変えて熱可塑性樹脂(C−1)〜(C−6)を得
た。得られた熱可塑性樹脂(C−1)〜(C−6)の特
性を表3に示す。
【0063】
【表3】
【0064】*:メルトフローレート測定温度は220
℃、荷重は10kgである。 参考例5〔三元共重合体(D−1)〜(D−4)の調
製〕 本発明の(D)成分であるエチレン/アクリル酸エステ
ル/一酸化炭素系三元共重合体として、イー.アイ.デ
ュポン デ ニモアス アンド カンパニー社製の表4
に示す商品を用いた。
【0065】
【表4】
【0066】*)メルトフローレート測定温度は190
℃、荷重は2.16kgである。 実施例1〜10、比較例1〜9(熱可塑性樹脂組成物の
製造) (A)〜(D)成分を、表5〜7に示す配合比で、設定
温度220℃の条件下で、単軸押し出し機を用いて溶融
混練りし、射出成形により評価用試験片を得た。結果
を、表5〜7に示す。
【0067】
【表5】
【0068】
【表6】
【0069】
【表7】
【0070】本発明の熱可塑性樹脂組成物(実施例1〜
10)は、いずれも、耐衝撃性、剛性、耐薬品性、成形
外観に優れ、成形品の層状剥離が発生しない。これに対
し、比較例1、2および5は、本発明の(C)成分、
(D)成分の配合量が本発明の範囲外で少ないか、
(C)成分の非極性α−オレフィン(共)重合体含有量
が本発明の範囲外である30%未満の例であり、十分な
耐薬品性が得られない。また、比較例3、4および6
は、本発明の(C)成分、(D)成分の配合量が本発明
の範囲外で多いか、(C)成分の非極性α−オレフィン
(共)重合体含有量が本発明の範囲外である80%を超
える例であり、耐衝撃性、剛性、成形外観が劣り、成形
品の層状剥離が発生する。さらに、比較例7は、本発明
の(D)成分の融点が本発明の範囲外である40℃未満
の場合であり、成形外観が劣る。比較例8は、本発明の
(D)成分の融点が本発明の範囲外である80℃を超え
る場合であり、耐薬品性が劣る。比較例9は、(A)成
分を含まない例であり、耐衝撃性、耐薬品性に劣る。
【0071】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ゴム変
性スチレン系樹脂および芳香族ビニル化合物、シアン化
ビニル化合物および必要に応じてこれらと共重合可能な
他のビニル系単量体からなる樹脂質重合体に対して、特
定の範囲の含有量の、非極性α−オレフィン(共)重合
体および少なくとも1種のビニル系単量体からなるビニ
ル系(共)重合体を有する熱可塑性樹脂ならびに特定の
範囲の融点を有するエチレン/アクリル酸エステル/一
酸化炭素系三元共重合体を配合して得られる熱可塑性樹
脂組成物であり、耐衝撃性、剛性、耐薬品性および成形
外観に優れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 57:04 73:00) (72)発明者 蔵田 貴志 東京都中央区京橋一丁目18番1号 テクノ ポリマー株式会社内 Fターム(参考) 4J002 BB03X BB06X BB07X BB08X BB09X BB12X BB14X BB17X BB19X BC063 BN03W BN06W BN12W BN14W BN16W BN17W BN21W CJ004 FD010 FD100 FD130 GL00 GN00 GQ00

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ゴム質重合体の存在下に芳香族ビ
    ニル化合物および必要に応じてこれと共重合可能な他の
    ビニル系単量体を(共)重合してなるゴム変性スチレン
    系樹脂5〜100重量%、ならびに(B)芳香族ビニル
    化合物、シアン化ビニル化合物および必要に応じてこれ
    らと共重合可能な他のビニル系単量体を共重合してなる
    樹脂質重合体95〜0重量%〔ただし、(A)+(B)
    =100重量%〕の合計量100重量部に対し、(C)
    非極性α−オレフィン(共)重合体30〜80重量%お
    よび少なくとも1種のビニル系単量体からなるビニル系
    (共)重合体70〜20重量%〔ただし、非極性α−オ
    レフィン(共)重合体+ビニル系(共)重合体=100
    重量%〕を主体とする熱可塑性樹脂0.1〜10重量
    部、ならびに(D)DSC法で測定した融点が40〜8
    0℃であるエチレン/アクリル酸エステル/一酸化炭素
    系三元共重合体0.1〜8重量部を配合した熱可塑性樹
    脂組成物。
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