JP3563792B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、耐衝撃性、耐熱変形性、耐薬品性、および成形加工性に優れ、成形されたときに、層剥離が起こらず、かつ艶消しされた外観を有する成形体を与える熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ABS系樹脂およびポリカーボネート系樹脂は、耐熱性、耐衝撃性、および成形性に優れた熱可塑性樹脂として、機械、自動車、家庭電化製品、OA機器、電気部品、電子部品などに広く用いられている。近年、自動車内層部品、弱電部品などの分野では、落ち着き感、高級感、光の反射を抑えることによる安全性確保などのために、表面光沢を抑えた部品に対する需要が高まっている。表面光沢を抑え、艶消しされた外観を有する部品を得る方法としては、金型表面加工および艶消し塗装が用いられる。しかし、金型表面加工では、金型の補修および管理が必要であり、艶消し塗装では、部品を得た後に塗装を施す工程が別途必要であるなどの問題がある。
【0003】
特公平4−23661号公報では、ゴム状重合体にα,β−不飽和酸のグリシジルエステルを共重合したABS系樹脂と、ポリカーボネート系樹脂とを含む樹脂化合物を用いて、これらの問題点を解決する方法が開示されている。この方法を用いて得られた樹脂は艶消し性が高く、この樹脂組成物から成形された部品に艶消しされた外観を付与することができる。
【0004】
しかし、このABS系樹脂およびポリカーボネート系樹脂を含む樹脂組成物は、塗装を施さずに用いるときには、耐薬品性が不十分である。耐薬品性を改善するために、ABS系樹脂およびポリカーボネート系樹脂を含む樹脂組成物に、ポリオレフィンおよびポリエステルなどの結晶性樹脂を配合する方法が多数検討されているが、これらの樹脂組成物から得られる成形体の艶消し性はあまり優れていない。このように、耐薬品性および艶消し性のいずれにも優れた樹脂組成物は、いまだに得られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、耐衝撃性、耐熱変形性、耐薬品性、および成形加工性に優れ、成形されたときに、層剥離が起こらず、かつ艶消しされた外観を有する成形体を与える熱可塑性樹脂組成物を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来の課題を解決すべく鋭意努力した結果、特定の成分を含有するグラフト共重合体(A)と、ビニル系共重合体(B)と、ポリカーボネート系樹脂(C)とを含有する樹脂に、特定の変性ポリオレフィン系樹脂(D)を配合することによって、上記目的を達することを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、以下のグラフト共重合体(A)3〜40重量部、ビニル系共重合体(B)8〜70重量部、およびポリカーボネート系樹脂(C)5〜85重量部からなる樹脂混合物100重量部と、変性ポリオレフィン系樹脂(D)0.5〜50重量部とを含有し、そのことにより上記目的が達成される:
(A)エポキシ基を有するビニル化合物(a.1.1)0.1〜40重量%およびゴム状重合体に共重合可能なビニル化合物(a.1.2)99.9〜60重量%からなる、ビニル化合物群(a.1)5〜60重量部を、ゴム状重合体(a.2)95〜40重量部にグラフト重合させてなるグラフト共重合体、
(B)芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、アクリル酸アルキルエステル化合物またはメタクリル酸アルキルエステル化合物、およびN−置換マレイミド化合物でなる共重合可能なビニル化合物(b)の群から選択される、少なくとも2種のビニル系モノマーを重合させてなるビニル系共重合体、
(C)ポリカーボネート系樹脂、および
(D)エポキシ基と反応性を有する基を含む変性ポリオレフィン系樹脂。
【0008】
好ましい実施態様においては、上記ゴム状重合体に共重合可能なビニル化合物(a.1.2)は、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、アクリル酸アルキルエステル化合物およびメタクリル酸アルキルエステル化合物からなる群から選択される少なくとも1種のビニル系モノマーである。
【0009】
好ましい実施態様においては、上記エポキシ基を有するビニル化合物(a.1.1)は、α,β−不飽和酸のグリシジルエステル化合物、および、一般式(I)
【0010】
【化2】
Figure 0003563792
【0011】
で表されるグリシジル基を有する化合物のうち少なくとも1種であり、ここで、Arはグリシジルオキシ基を少なくとも1個有する炭素数6〜23の芳香族炭化水素基であり、Rは水素原子またはメチル基である。
【0012】
好ましい実施態様においては、上記ビニル系共重合体(B)は、芳香族ビニル化合物40〜90重量%、シアン化ビニル化合物40重量%以下、アクリル酸アルキルエステル化合物またはメタクリル酸アルキルエステル化合物40重量%以下、およびN−置換マレイミド化合物40重量%以下を含有する。
【0013】
好ましい実施態様においては、上記変性ポリオレフィン系樹脂(D)は、カルボン酸無水物残基、および、カルボキシル基のうち少なくとも一方を有する。
【0014】
以下、詳細に本発明について説明する。
【0015】
本発明で用いられるグラフト共重合体(A)は、ビニル化合物群(a.1)5〜60重量部、好ましくは、10〜55重量部、さらに好ましくは、15〜55重量部を、ゴム状重合体(a.2)95〜40重量部、好ましくは、90〜45重量部、さらに好ましくは、85〜45重量部にグラフト重合させて得られる。ビニル化合物群(a.1)が60重量部を超え、ゴム状重合体(a.2)が40重量部を下回ると、得られる樹脂組成物の耐衝撃性が低下し、ビニル化合物群(a.1)が5重量部を下回り、ゴム状重合体(a.2)が95重量部を超えると、得られる樹脂組成物の成形加工性が低下する。
【0016】
上記ビニル化合物群(a.1)は、エポキシ基を有するビニル化合物(a.1.1)0.1〜40重量%、好ましくは、0.5〜35重量%、さらに好ましくは、1〜35重量%、および、ゴム状共重合体に共重可能なビニル化合物(a.1.2)99.9〜60重量%、好ましくは99.5〜65重量%、さらに好ましくは、99〜65重量%からなる。上記ビニル化合物群(a.1)のうち、エポキシ基を有するビニル化合物(a.1.1)の量が0.1重量%を下回り、ゴム状共重合体に共重可能なビニル化合物(a.1.2)の量が99.9重量%を超えると、得られる組成物を用いた成形体の艶消し性が不十分であり、かつ、得られた成形品に剥離が生じる。エポキシ基を有するビニル化合物(a.1.1)の量が40重量%を超え、ゴム状重合体に共重可能なビニル化合物(a.1.2)の量が60重量%を下回ると、成形加工性および耐衝撃性が低下し、さらに、ゴム状重合体(a.2)との重合時にエポキシ基が反応して安定的な重合が困難になるため、好ましくない。
【0017】
上記ビニル化合物群(a.1)のうち、エポキシ基を有するビニル化合物(a.1.1)としては、α,β−不飽和酸のグリシジルエステル化合物、および、以下の一般式(I)
【0018】
【化3】
Figure 0003563792
【0019】
で表されるグリシジル基を有する化合物のうちの少なくとも1種が好ましい。ここで、Arはグリシジルオキシ基を少なくとも1個有するC6〜C23の芳香族炭化水素基であり、Rは水素原子またはメチル基である。
【0020】
α,β−不飽和酸のグリシジルエステル化合物としては、アクリル酸グリシジルおよびメタクリル酸グリシジルなどが用いられ得る。
【0021】
上記一般式(I)で表されるグリシジル基を持つ化合物としては、分子内にそれぞれ少なくとも1個のアクリルアミド基とグリシジル基をもつ化合物が好ましい。ここで、アクリルアミド基には、アクリルアミド基およびメタクリルアミド基が包含される。
【0022】
上記一般式(I)で表される化合物は、例えば、特開昭60−130580号公報に記載されたような方法を用いて調製し得る。この方法によれば、少なくとも1個のフェノール性水酸基を有する芳香族炭化水素と、N−メチロールアクリルアミドまたはN−メチロールメタクリルアミドとを酸性触媒の存在下で縮合させる。次いで、エピハロヒドリンを用いて水酸基をグリシジル化することにより、上記一般式(I)で表される化合物が得られる。
【0023】
上記の少なくとも1個のフェノール性水酸基を有する芳香族炭化水素としては、C6〜C23のフェノール化合物が用いられ得る。このようなフェノール化合物として、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、カルバクロール、チモール、ナフトール、レゾルシン、ヒドロキノン、ピロガロール、およびフェナントロールなどが挙げられる。特に、アルキル置換基を有する一価フェノールが好ましい。
【0024】
上記方法によれば、例えば、出発物質として2,6−キシレノールおよびN−メチロールアクリルアミドを用いると、以下の構造式(II)
【0025】
【化4】
Figure 0003563792
【0026】
で表される化合物が得られる。
【0027】
あるいは、出発物質としてオルトクレゾールおよびN−メチロールアクリルアミドを用いると、以下の構造式(III)
【0028】
【化5】
Figure 0003563792
【0029】
で表される化合物が得られる。
【0030】
上記エポキシ基を有するビニル化合物(a.1.1)は、単独で、または2種以上組み合わせて用いられ得る。
【0031】
ゴム状重合体に共重合可能なビニル化合物(a.1.2)は、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、アクリル酸アルキルエステル化合物またはメタクリル酸アルキルエステル化合物からなる群から選択される、少なくとも1種のビニル系モノマーが好ましい。これら以外のモノマーでは、耐衝撃性、成形加工性などのバランスが低下する、樹脂が着色する、重合が困難になるなどの問題が生じる場合がある。好ましくは、ビニル化合物群(a.1)は、ゴム状重合体に共重合可能なビニル化合物(a.1.2)として、芳香族ビニル化合物を90重量%以下の割合で含有する。
【0032】
上記ゴム状重合体に共重合可能なビニル化合物(a.1.2)のうち、芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、クロルスチレンなどが用いられ得る。好ましくは、α−メチルスチレン、スチレンである。シアン化ビニル化合物としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが用いられ得る。アクリル酸アルキルエステル化合物またはメタクリル酸アルキルエステル化合物としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルなどが用いられ得る。さらに、必要に応じて、N−フェニルマレイミドなどのような、ゴム状重合体に共重合可能な他のビニル化合物を共重合することもできる。
【0033】
上記ゴム状共重合体(a.2)としては、例えば、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)、ブチルアクリレート−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)などのジエン系ゴム;ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル系ゴム;エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体(EPDM)などのポリオレフィン系ゴムなどが用いられ得る。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いられ得る。
【0034】
上記グラフト重合体(A)は、上記ビニル化合物群(a.1)およびゴム状重合体(a.2)を、任意の方法を用いてグラフト重合することにより調製し得る。例えば、乳化重合、懸濁重合、塊状重合、乳化−塊状重合、乳化−懸濁重合、および塊状−懸濁重合などが用いられ得る。必要に応じて、異なる方法を用いて調製した、2種以上のグラフト共重合体を、本発明の熱可塑性樹脂組成物の調製のために用い得る。
【0035】
本発明で用いられるビニル系共重合体(B)は、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、アクリル酸アルキルエステル化合物またはメタクリル酸アルキルエステル化合物、およびN−置換マレイミド化合物でなる共重合可能なビニル化合物(b)の群から選択される、2種以上のビニル系モノマーを重合させてなる。共重合可能なビニル化合物(b)として、上記以外の重合可能なビニル化合物を用いることも可能である。
【0036】
上記ビニル系共重合体(B)の組成は、芳香族ビニル化合物が45〜80重量%、好ましくは40〜80重量%、さらに好ましくは、45〜80重量%、シアン化ビニル化合物が40重量%以下、好ましくは35重量%以下、さらに好ましくは、30重量%以下、アクリル酸アルキルエステル化合物またはメタクリル酸アルキルエステル化合物が40重量%以下、好ましくは35重量%以下、さらに好ましくは、30重量%以下、および、N−置換マレイミド化合物が40重量%以下、好ましくは35重量%以下、さらに好ましくは、30重量%以下である。芳香族ビニル化合物が40重量%未満では、成形加工性が低下し、90重量%を超えると、耐衝撃性が低下する。シアン化ビニル化合物が40重量%を超えると、成形時に樹脂が着色する。アクリル酸アルキルエステル化合物またはメタクリル酸アルキルエステル化合物が40重量%を超えると、耐衝撃性が低下する。N−置換マレイミド化合物が40重量%を超えると、耐衝撃性および成形加工性が低下する。
【0037】
上記ビニル系共重合体(B)の調製方法としては、例えば、乳化重合、懸濁重合、塊状重合、乳化−塊状重合、乳化−懸濁重合、および塊状−懸濁重合などが挙げられる。必要に応じて、異なる方法を用いて調製した、2種以上の共重合体を、本発明の熱可塑性樹脂組成物の調製のために用い得る。
【0038】
上記グラフト共重合体(A)およびビニル系共重合体(B)それぞれの固有粘度は、特に制限されない。しかし、最終的に得られる熱可塑性樹脂において、望ましい耐衝撃性、耐薬品性、剛性、成形加工性などを発現させるためには、上記グラフト共重合体(A)とビニル系共重合体(B)との混合物のメチルエチルケトン可溶成分が、0.2〜1.5dl/gの範囲の極限粘度(N,N’−ジメチルホルムアミド溶液、30℃)を有することが好ましい。さらに好ましくは、この極限粘度は0.25〜1.2dl/gの範囲である。0.2dl/g未満または1.5dl/gを超えると、耐衝撃性、耐薬品性、剛性、成形加工性などが低下する。
【0039】
本発明で用いられるポリカーボネート系樹脂(C)は、熱可塑性芳香族ポリカーボネートであり、好ましくは、二価フェノール化合物と、ホスゲンまたは炭酸ジエステルとの反応により調製される、芳香族ポリカーボネートである。
【0040】
上記二価フェノール化合物は、好ましくは、ビスフェノール類である。さらに好ましくは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビスフェノールA、および他の官能基で一部置換されたビスフェノールAである。これらのビスフェノールAの一定量または全量を、他の二価フェノール化合物で置換することもできる。さらに、ビスフェノールA以外の二価フェノール化合物、例えば、ハイドロキノン、4,4−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、およびビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトンなどの化合物が使用され得る。
【0041】
ポリカーボネート系樹脂(C)として、上記二価フェノールの群から選択される、1種の二価フェノール化合物の単独重合体、および2種以上の二価フェノール化合物の共重合体、またはこれらの混合物も用い得る。さらに、難燃性を高めるために、リン化合物と共重合したポリカーボネート樹脂、あるいはリン化合物で末端封止したポリカーボネート樹脂を使用することもできる。耐候性を高めるために、ベンゾトリアゾール基を有する二価フェノールを共重合したポリマーが使用され得る。
【0042】
上記ポリカーボネート系樹脂の粘度平均分子量は、10000〜60000、好ましくは、12000〜55000であり、さらに好ましくは、15000〜50000である。平均分子量が10000未満では、耐衝撃性が低下し、60000を超えると、成形加工性が低下する。必要に応じて、粘度平均分子量分布の異なる2種以上のポリカーボネート系樹脂を用い得る。
【0043】
本発明に用いられる変性ポリオレフィン系樹脂(D)は、エポキシ基と反応性を有する基を含む。
【0044】
上記変性ポリオレフィン系樹脂(D)は、(i)エポキシ基と反応性を有する基を有するモノマーと、オレフィン系樹脂を構成し得るオレフィン系モノマーとの共重合、(ii)上記エポキシ基と反応性を有する基を有するモノマーまたはマクロマーと、オレフィン系樹脂とのブロック重合またはグラフト重合、および、(iii)上記エポキシ基と反応性を有する基を有する化合物によるオレフィン系樹脂の修飾(例えば、過酸化物などによるオレフィン系樹脂の酸化)により調製され得る。必要に応じて、他の方法も用いられ得る。
【0045】
エポキシ基と反応性を有する基としては、エポキシ基、1級−、2級−、3級アミノ基、アミド基、カルボキシル基、酸無水物基、ヒドロキシル基などが挙げられ得る。ポリカーボネート系樹脂の分解を促進しないことから、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、およびヒドロキシル基が好ましい。得られる変性ポリオレフィン系樹脂の反応性、および最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物の物性バランスなどを考慮すると、カルボキシル基および酸無水物基が特に好ましい。これらの基は、単独で、または2種以上を組み合わせることも可能である。
【0046】
上記エポキシ基と反応性を有する基を有するモノマーとしては、例えば、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、アリルグリシジルエーテル、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ビニルピリジン、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイミド、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートなどが挙げられ得る。特に好ましくは、カルボキシル基または酸無水物基を有するモノマーである。
【0047】
上記変性ポリオレフィン系樹脂(D)に含まれる、上記エポキシ基と反応性を有する基の量は、これらの基を有するモノマー量として、該樹脂(D)を構成し得るモノマー全体の0.01〜40重量%、好ましくは、0.05〜30重量%、さらに好ましくは、0.1〜20重量%である。上記モノマー量が0.01重量%未満では、得られる熱可塑性樹脂組成物を用いて得られた成形体が剥離し易く、40重量%を超えると、耐薬品性などが低下する。
【0048】
(i)の方法においては、これらのオレフィン系モノマーと、上記エポキシ基を含有するモノマーとの共重合により変性ポリオレフィン系樹脂(D)が、得られる。
【0049】
上記変性ポリオレフィン系樹脂(D)の原料のうち、上記(i)の方法で使用されるオレフィン系モノマーとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、イソブテン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、フェニルプロパジエン、シクロペンタジエン、1,5−ノルボルナジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,4−シクロヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエン、1,3−シクロオクタジエン、およびα,ω−非共役ジエン類などがある。(ii)および(iii)の方法で用いられるオレフィン系樹脂としては、上記オレフィン系モノマーの単独重合体または共重合体がある。これらの少なくとも2種からなる混合物も利用され得る。好ましくは、ポリプロピレン、またはプロピレンと少なくとも1種の他のモノマーとの共重合体、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、または、エチレンと少なくとも1種の他のモノマーとの共重合体である。これらのオレフィン系樹脂は、任意の公知の重合方法で調製され得る。
【0050】
(ii)の方法においては、これらのオレフィン系樹脂と上記エポキシ基と反応性を有するモノマーまたはマクロマーとがブロック重合またはグラフト重合に供され、変性ポリオレフィン系樹脂(D)が形成される。
【0051】
(iii)の方法においては、これらのオレフィン系樹脂が酸化などの手段により修飾され、変性ポリオレフィン系樹脂(D)が形成される。
【0052】
上記変性ポリオレフィン系樹脂(D)の分子量は、広い範囲であり得、特に制限はない。
【0053】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記グラフト共重合体(A)3〜40重量部、ビニル系共重合体(B)8〜70重量部、およびポリカーボネート系樹脂(C)5〜85重量部からなる樹脂混合物100重量部と、変性ポリオレフィン系樹脂(D)0.5〜50重量部とを含有する。好ましくは、グラフト共重合体(A)3〜40重量部、ビニル系共重合体(B)10〜70重量部、ポリカーボネート系樹脂(C)10〜80重量部からなる樹脂混合物100重量部と、変性ポレオレフィン系樹脂(D)1〜45重量部とを含有する。さらに好ましくは、グラフト共重合体(A)5〜35重量部、ビニル系共重合体(B)15〜65重量部、ポリカーボネート系樹脂(C)15〜75重量部からなる樹脂混合物100重量部に対し、変性ポレオレフィン系樹脂(D)2〜40重量部とを含有する。グラフト共重合体(A)が3重量部未満では、艶消し性、耐衝撃性、および耐薬品性に劣り、40重量部を超えると、耐熱変形性および成形加工性に劣る。ビニル系共重合体(B)が8重量部未満では、成形加工性および耐熱変形性に劣り、70重量部を超えると、耐衝撃性および艶消し性に劣る。ポリカーボネート系樹脂(C)が5重量部未満では、耐衝撃性および耐熱変形性に劣り、90重量部を超えると、艶消し性および成形加工性に劣る。変性ポリオレフィン系樹脂(D)が0.5重量部未満では、成形加工性、艶消し性、および耐薬品性に劣り、50重量部を超えると、耐衝撃性および耐熱変形性に劣る。
【0054】
上記(A)から(D)までの樹脂の他に、本発明の目的を損なわない範囲で、1種または2種以上の任意の熱可塑性樹脂が組成物中に含有されていてもよい。
さらに、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、可塑剤、難燃剤、難燃助剤、紫外線吸収剤、顔料、帯電防止剤、造核剤、分散剤、および相溶化剤のような、公知の添加剤の1種または2種以上が含有され得る。さらに充填剤として、有機または無機充填剤および補強剤、例えば、ガラス繊維、マイカ、タルク、ワラストナイト、チタン酸カリウム、炭酸カルシウム、シリカなども含有され得る。
【0055】
本発明の樹脂組成物は、各種の成形体に成形され得る。例えば、上記成分(A)〜(D)、および必要に応じてその他の添加剤や充填剤を、任意の方法で混合し、そして溶融し、これを任意の成形体に形成し得る。例えば、ヘンシェルミキサーで混合し、単軸押出機、2軸押出機、およびニーダーなどを用いて溶融混練し、射出成形、中空成形、押出成形、シート成形、ロール成形、プレス成形、積層成形などの、熱可塑性樹脂に対して一般に用いられている成形法により成形され得る。
【0056】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されない。本明細書中では、特に指示のない限り、「部」は重量部を、「%」は重量%を示す。以下の略記号はそれぞれ次の化合物を示す:ST=スチレン;αST=α−メチルスチレン;AN=アクリロニトリル;MMA=メチルメタクリレート;PMI=N−フェニルマレイミド;PBD=ポリブタジエンゴム;PBA=ポリブチルアクリレートゴム;EPR=エチレンプロピレンゴム;GMA=グリシジルメタクリレート;AXE=以下の構造式(II)で示される化合物。
【0057】
【化6】
Figure 0003563792
【0058】
本発明の実施例の評価項目は、以下の通りである。
【0059】
▲1▼耐衝撃性
以下の実施例および比較例で得られた試験評価用試料(厚さ3mmのASTM1号ダンベル形)を用いて、ASTM D−256に従って、1/8”ノッチ付きおよび23℃で、アイゾット(IZOD)試験により評価した。
【0060】
▲2▼耐熱変形性
以下の実施例および比較例で得られた試験評価用試料(厚さ3mmのASTM1号ダンベル形)を用いて、ASTM D−648に準じて、18.6kg/cmの荷重の熱変形温度(HDT)を測定した。
【0061】
▲3▼成形加工性
以下の実施例および比較例で得られた無着色のペレット、深さ3mmおよび幅10mmの流動溝を有する蚊取線香状スパイラル金型、ならびに射出成形機を用いて、成形機先端のシリンダーおよびノズルの設定温度250℃、金型温度40℃、および射出成形機の最大射出圧力1000kg/cmで成形を行い、得られた成形体の流動長を測定した。
【0062】
▲4▼艶消し性
以下の実施例および比較例で得られた無着色のペレットを用い、80mm×40mm×3mmの、表面が鏡面状である板状成形体を成形した。この板状体の最大面積部分の表面の中央部分の所定の位置における、60度反射率を測定した。
【0063】
▲5▼耐薬品性
以下の実施例および比較例で得られた試験評価用試料(厚さ3mmのASTM1号ダンベル形)を、以下のようにして作製した、円弧状表面を有する耐薬品性試験用治具上に沿わせて置き、両端を固定した。この治具は、図1に示すように、厚さ3mmおよび長さ180mmの短冊状の板を、円弧状治具の表面の端部a、a’間の距離Lが176mmであり、そして裏面の端部b、b’を結ぶ線分Lの中点と円弧状治具の裏面の長手方向の中点Mとの距離Lが18mmであるように湾曲させることにより、作製し、その歪は1%である。上記試験評価用試料の表面全体に自動車用芳香剤ニューハニーキッスライムの香り(SOFT99コーポレーション製)を充分塗布し、そして温度を23℃に保持し、試験片表面にクラックが発生するまでの時間を測定した。表4における○は、塗布後1週間を超えてもクラックが発生しないことを示す。
【0064】
▲6▼剥離性
以下の実施例および比較例で得られた試験評価用試料(厚さ3mmのASTM1号ダンベル形)の表面端部に、カッターナイフで切り込みを入れることにより1mmの碁盤状のマス目を100個作った。これを用いて、JIS−K5400に準じてテープ剥離試験を行い、100個中剥離せずに残ったマスの個数により評価した。
【0065】
(参考例1)グラフト共重合体(A1)の調製
撹拌機および冷却機付きの反応容器に、窒素気流中で、表1に示す割合(単位は部である)で、水、ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート、硫酸第一鉄、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、およびゴム状重合体のラテックスを入れ、攪拌しながら60℃まで加熱した。次いで、表1に示すモノマーの種類および割合で混合したビニル化合物群およびキュメンハイドロパーオキサイドを、3.5時間かけて連続的に滴下して添加した。滴下終了後、さらに60℃で1時間撹拌して重合を終了させ、グラフト共重合体(A1)のラテックスを得た。
【0066】
(参考例2)グラフト共重合体(A2〜A9およびA’)の調製
ゴム状重合体およびモノマーを表1に示す種類および割合としたこと以外は、参考例1と同様に、グラフト共重合体(A2〜A9およびA’)のラテックスを得た。ただし、(A’)は、エポキシ基を有するビニル化合物(a.1.1)を含まないグラフト重合体である。
【0067】
(参考例3)ビニル系共重合体(B1)の調製
撹拌機および冷却機付きの反応容器に、窒素気流中で、表2に示す割合(単位は部である)で、水、ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート、硫酸第一鉄、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、およびジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを入れ、撹拌しながら65℃まで加熱した。次いで、表2に示すモノマーの種類および割合のモノマー混合物を、6.5時間かけて連続的に滴下して添加した。滴下終了後、さらに65℃で1時間撹拌して重合を終了させ、ビニル系共重合体(B1)のラテックスを得た。
【0068】
(参考例4)ビニル系共重合体(B2〜B6)の調製
モノマーを表2に示す種類および割合としたこと以外は、参考例3と同様に、ビニル系共重合体(B2〜B6)のラテックスを得た。
【0069】
(参考例5)グラフト共重合体(A1)とビニル系共重合体(B1)とのブレンド物の調製
参考例1で得られたグラフト共重合体(A1)、および参考例2で得られた共重合体(B1)のラテックスを、総重量部数が30、50、および80になるように、表3に示す割合で混合して均一化し、フェノール系抗酸化剤を加えた後、塩化カルシウムで凝固させた。得られた凝固物を水洗した後、脱水し、さらに乾燥して、グラフト共重合体(A1)と共重合体(B1)とからなるブレンド物を得た。得られたブレンド物のうち、総重量部数が50のブレンド物を以下の実施例1〜6で、総重量部数が30のブレンド物を以下の実施例7で、総重量部数が80のブレンド物を以下の実施例8で用いた。
【0070】
(参考例6)グラフト共重合体(A1〜A9およびA’)および共重合体(B1〜B6)をそれぞれ1種ずつ含むブレンド物の調製
グラフト共重合体および共重合体を、表3に示す種類および割合としたこと以外は、参考例5と同様に、参考例2で得たグラフト共重合体(A1〜A9およびA’)および共重合体(B1〜B6)それぞれ1種ずつからなる、種々の総重量部数のブレンド物を得た。得られたブレンド物を、以下の実施例9〜21で用いた。
【0071】
(参考例7)変性ポリオレフィン系樹脂(D)の調製
ポリプロピレン樹脂としてポリプロハイボールJ−600(三井石油化学(株)製)を100部、無水マレイン酸を3部、および過酸化物としてパーヘキシン2−5B(日本油脂(株)製)を0.5部を用いた。これらの成分を日本製鋼所社製TEX44二軸型ベント付き押出機を用いて、220℃で溶融混練し、ペレット状の無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(D1)を得た。中和滴定法を用いたところ、得られた樹脂の無水マレイン酸含有量は2.4%であった。
【0072】
ポリプロピレン樹脂のかわりに、エチレン−プロピレン樹脂EP−02P(日本合成ゴム(株)製)を用いたこと以外は、参考例4と同様にして、無水マレイン酸により変性したエチレン−プロピレン樹脂(D2)を得た。中和滴定法を用いたところ、この樹脂の無水マレイン酸含有量は2.3%であった。
【0073】
さらに、変性ポリオレフィン系樹脂(D3)として、酸化ポリエチレンワックスであるヘキストワックスPED522(ヘキストジャパン(株)製)を用いた。このワックスの酸価は、22〜28mgKOH/gであった。
【0074】
(参考例8)芳香族ポリカーボネート樹脂(C)
芳香族ポリカーボネート系樹脂(C1)として、ポリカーボネート樹脂である、タフロンFN2500A(出光石油化学(株)製)を用いた。このポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、約23500であった。
【0075】
芳香族ポリカーボネート系樹脂(C2)として、ポリカーボネート樹脂である、タフロンFN3000A(出光石油化学(株)製)を用いた。この樹脂の粘度平均分子量は、約29000であった。
【0076】
(実施例1)
表3に示す組成で、参考例5で得られたグラフト共重合体(A1)と共重合体(B1)とのブレンド物、上記ポリカーボネート系樹脂(C1)、および参考例7で得られた変性ポリオレフィン系樹脂(D1)を混合容器に入れ、ヒンダードフェノール系抗酸化剤およびホスファイト系安定剤をそれぞれ0.5部添加した後、スーパーミキサーを用いて十分に撹拌混合した。次いで、得られた混合物を、日本製鋼所社製TEX44二軸型ベント付き押出機を用いて、260℃で溶融混練することにより、ペレット状の本発明の熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を、熱風乾燥機を用いて110℃で5時間乾燥した後、日本製鋼所社製J150E−P射出成形機を用いて、シリンダー温度260℃にて、各試験に用いる試験用試料を得た。この試料を上記▲1▼〜▲6▼の試験に供した。結果を表3に示す。
【0077】
(実施例2〜21)
参考例5および6で得られた、種々のグラフト共重合体(A)とビニル系共重合体(B)とのブレンド物と、上記ポリカーボネート系樹脂(C1)および(C2)のいずれかと、参考例7で得られた変性ポリオレフィン系樹脂(D1)、(D2)、ならびに(D3)のいずれかとを、表3に示す割合で配合し、実施例1と同様の方法を用いて、ペレットを得た。これを用いて実施例1と同様の方法で成形し、試験を行った。その結果を表3に示す。
【0078】
(比較例1〜10)
表4に示す組成で、参考例1で得られたグラフト共重合体(A1)および参考例2で得られたグラフト共重合体(A’)のいずれかと、参考例3で得られた共重合体(B1)と、上記ポリカーボネート系樹脂(C1)と、参考例7で得られた変性ポリオレフィン系樹脂(D1)のいずれかとを、表4に示す割合で配合し、実施例1と同様の方法を用いて、ペレットを得た。ただし、比較例4においては、(D1)の代わりに、ポリプロピレン樹脂であるポリプロハイボールJ−600(三井石油化学(株)製)を用いた(表4にD’として示す)。得られたペレットを用いて実施例1と同様の方法で成形し、試験を行った。その結果を表4に示す。
【0079】
【表1】
Figure 0003563792
【0080】
【表2】
Figure 0003563792
【0081】
【表3】
Figure 0003563792
【0082】
【表4】
Figure 0003563792
【0083】
表3および表4に示すように、実施例1〜21は、耐衝撃性、耐熱変形性、成形加工性、艶消し性、および耐薬品性に優れており、そして剥離しにくいことがわかる。
【0084】
実施例1〜3と比較例1との比較;実施例7と比較例2との比較;および実施例8と比較例3との比較から、変性ポリオレフィン系樹脂(D)を含む本発明の熱可塑性樹脂組成物は、成形加工性、艶消し性、および耐薬品性に優れていることがわかる。
【0085】
実施例2および比較例4においては、(A)〜(D)成分の配合比率は同一であるが、(D)成分として変性ポリオレフィン系樹脂を用いた、実施例2で得られた本発明の熱可塑性樹脂組成物では、得られた成型品に剥離は生じなかった。一方、(D)成分として変性されていないポリオレフィン系樹脂を用いた比較例4の樹脂では、得られた成形品に剥離が生じた。
【0086】
比較例5の樹脂組成物では、ポリカーボネート系樹脂(C)が含まれていないため、耐衝撃性および耐熱変形性に劣る。
【0087】
比較例6の樹脂組成物では、グラフト共重合体(A)、およびビニル系共重合体(B)が含まれていないため、成形加工性および艶消し性に劣り、かつ、得られた成形品に剥離が生じた。
【0088】
比較例7の樹脂組成物では、ビニル系共重合体(B)が含まれていないため、耐熱変形性および成形加工性に劣る。
【0089】
比較例8の樹脂組成物では、グラフト共重合体(A)が含まれていないため、耐衝撃性および艶消し性に劣り、かつ、得られた成形品に剥離が生じた。
【0090】
比較例9の樹脂組成物では、グラフト共重合体(A)の含有量が本発明の範囲外であるため、耐熱変形性および成形加工性に劣る。
【0091】
比較例10の樹脂組成物では、グラフト共重合体(A’)がエポキシ基を有するビニル化合物(a.1.1)を含まないため、耐衝撃性および艶消し性に劣り、かつ、得られた成形品に剥離が生じた。
【0092】
以上の結果から、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃性、耐熱変形性、耐薬品性、および成形加工性に優れており、成形されたときに、層剥離が起こらず、かつ艶消し性の高い成形体を与えることがわかった。
【0093】
【発明の効果】
本発明によって得られた樹脂組成物は、優れた耐衝撃性、耐熱変形性、耐薬品性、および成形加工性を有し、成形されたときに、層剥離が起こらず、かつ艶消しされた外観を有する成形体を与えるため、工業的に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】耐薬品性試験用治具の断面図である。
【符号の説明】
a 円弧状治具の表面の端部
a’ 円弧状治具の表面の端部
b 円弧状治具の裏面の端部
b’ 円弧状治具の裏面の端部
M 円弧状治具の裏面の長手方向の中点
円弧状治具の表面の端部a、a’間の距離
円弧状治具の裏面の端部b、b’を結ぶ線分
の中点とMとの距離

Claims (4)

  1. 以下のグラフト共重合体(A)3〜40重量部、ビニル系共重合体(B)8〜70重量部、およびポリカーボネート系樹脂(C)5〜85重量部からなる樹脂混合物100重量部と、変性ポリオレフィン系樹脂(D)0.5〜50重量部とを含有する熱可塑性樹脂組成物:
    (A)エポキシ基を有するビニル化合物(a.1.1)0.1〜40重量%およびゴム状重合体に共重合可能なビニル化合物(a.1.2)99.9〜60重量%からなる、ビニル化合物群(a.1)5〜60重量部を、ゴム状重合体(a.2)95〜40重量部にグラフト重合させてなるグラフト共重合体であって、ここで、該ゴム状重合体に共重合可能なビニル化合物(a.1.2)が、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、アクリル酸アルキルエステル化合物およびメタクリル酸アルキルエステル化合物からなる群から選択される少なくとも1種のビニル系モノマーである、グラフト共重合体
    (B)芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、アクリル酸アルキルエステル化合物またはメタクリル酸アルキルエステル化合物、およびN−置換マレイミド化合物でなる共重合可能なビニル化合物(b)の群から選択される、少なくとも2種のビニル系モノマーを重合させてなるビニル系共重合体、
    (C)ポリカーボネート系樹脂、および
    (D)エポキシ基と反応性を有する基を含む変性ポリオレフィン系樹脂。
  2. 前記エポキシ基を有するビニル化合物(a.1.1)が、α,β−不飽和酸のグリシジルエステル化合物、および、一般式(I)
    Figure 0003563792
    で表されるグリシジル基を有する化合物のうち少なくとも1種であり、ここで、Arがグリシジルオキシ基を少なくとも1個有する炭素数6〜23の芳香族炭化水素基であり、Rが水素原子またはメチル基である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記ビニル系共重合体(B)が、芳香族ビニル化合物40〜90重量%、シアン化ビニル化合物40重量%以下、アクリル酸アルキルエステル化合物またはメタクリル酸アルキルエステル化合物40重量%以下、およびN−置換マレイミド化合物40重量%以下を含有する共重合体である、請求項1または請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 前記変性ポリオレフィン系樹脂(D)が、カルボン酸無水物基およびカルボキシル基のうち少なくとも一方を有する変性ポリオレフィン系樹脂である、請求項1から請求項のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
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