JPH08165391A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH08165391A
JPH08165391A JP33351394A JP33351394A JPH08165391A JP H08165391 A JPH08165391 A JP H08165391A JP 33351394 A JP33351394 A JP 33351394A JP 33351394 A JP33351394 A JP 33351394A JP H08165391 A JPH08165391 A JP H08165391A
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JP
Japan
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weight
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resin
group
vinyl
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Withdrawn
Application number
JP33351394A
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English (en)
Inventor
Kazuaki Matsumoto
一昭 松本
Masahiko Mihoichi
真彦 三歩一
Kazufumi Hirobe
和史 広部
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
Application filed by Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 下記の(X)を0.5〜60重量%、(Y)
を15〜90重量%、(Z)を5〜80重量%含有して
なる熱可塑性樹脂組成物。 (X)(a)下記一般式(I) 【化1】 (Arはグリシジルオキシ基を少なくとも1個有するC
6 〜C23の芳香族炭化水素基、Rは水素原子又はメチル
基)で表される変性剤で変性されたポリオレフィン系樹
脂(A)5〜100重量%と、未変性のポリオレフィン
系樹脂(B)95〜0重量%からなるポリオレフィン系
樹脂、(Y)エポキシ基と反応性を有する官能基を持つ
変性芳香族ビニル系樹脂(C)5〜100重量%と未変
性の芳香族ビニル系樹脂(D)95〜0重量%からなる
芳香族ビニル系樹脂、(Z)ポリカーボネート系樹脂。 【効果】 耐薬品性、耐熱変形性、耐表層剥離性及び成
形加工性に優れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、グラフト変性ポリオレ
フィン系樹脂を含有してなる熱可塑性樹脂組成物に関す
る。更に詳しくは、耐薬品性、耐熱変形性、耐表層剥離
性、成形加工性に優れた成形品を提供する熱可塑性樹脂
組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族ビニル系樹脂とポリカーボネート
系樹脂からなるアロイは、耐熱変形性、耐衝撃性、成形
性に優れた熱可塑性樹脂として、機械、自動車、家電、
OA機器や電気、電子部品等に広く用いられている。し
かし、ポリカーボネート系樹脂は成形加工性が良好では
ないため、芳香族ビニル系樹脂とのアロイとしても大型
成形体の成形などの際には、いまだ成形加工性が不充分
である。また、両樹脂とも耐薬品性が不充分なため、溶
剤に接触するとクラックが発生するなどの問題点があ
る。これらを改良するため、例えば特公平3−7470
0、特公平3−80822等に記載されているように、
ポリカーボネート樹脂と芳香族ビニル系樹脂とのアロイ
に、ポリオレフィン系樹脂あるいは変性ポリオレフィン
系樹脂を添加する方法が種々検討されている。しかし、
ポリオレフィン系樹脂は非極性樹脂であるうえ、両樹脂
との溶融粘度に差があることが多いため、普通に混練し
ただけでは、得られた成形体の表面が剥離する傾向があ
り、機械的物性が著しく悪化してしまう。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、変性芳香族
ビニル系樹脂を含む芳香族ビニル系樹脂と、ポリカーボ
ネート系樹脂とのアロイに、特定の構造を有するグリシ
ジル基含有変性剤、あるいはグリシジル基含有変性剤と
ビニル系単量体が付加された、グラフト変性ポリオレフ
ィンを配合した、耐薬品性、耐熱変形性、耐表層剥離
性、成形加工性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供する
ものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる従
来技術の欠点を解決すべく種々検討を行った結果、変性
芳香族ビニル系樹脂を含む芳香族ビニル系樹脂とポリカ
ーボネート系樹脂とのアロイに、特定の構造を有するグ
リシジル基含有変性剤、あるいはグリシジル基含有変性
剤とビニル系単量体が付加されたグラフト変性ポリオレ
フィンを配合した配合物が上記課題を達成できることを
見いだし、本発明に到達した。
【0005】即ち本発明は、下記の成分(X)、(Y)
及び(Z)からなり、(X)を0.5〜60重量%、
(Y)を15〜90重量%、(Z)を5〜80重量%含
有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物を内容とす
るものである。 (X)(a)下記一般式(I)
【0006】
【化5】
【0007】(式中、Arはグリシジルオキシ基を少な
くとも1個有するC6 〜C23の芳香族炭化水素基を示
し、Rは水素原子又はメチル基を示す。)で表されるグ
リシジル基を持つ変性剤で変性されたポリオレフィン系
樹脂(A)を5〜100重量部、未変性のポリオレフィ
ン系樹脂(B)を95〜0重量%含有するポリオレフィ
ン系樹脂、(Y)エポキシ基と反応性を有する官能基を
持つ変性芳香族ビニル系樹脂(C)を5〜100重量
%、未変性の芳香族ビニル系樹脂(D)を95〜0重量
%含有する芳香族ビニル系樹脂、(Z)ポリカーボネー
ト系樹脂。
【0008】本発明に用いられる(B)及び(a)のポ
リオレフィン系樹脂としては、狭義のポリオレフィンの
他に、ポリジエン、それらの2種以上からなる混合物、
更にオレフィンモノマーとジエンモノマーとからなる共
重合体を包含する広義の概念として用いられる。例え
ば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテ
ン、イソブテン、ブタジエン、イソプレン、クロロピレ
ン、フェニルプロパジエン、シクロペンタジエン、1,
5−ノルボルナジエン、1,3−シクロヘキサジエン、
1,4−シクロヘキサジエン、1,5−シクロオクタジ
エン、1,3−シクロオクタジエン、α,ω−非共役ジ
エン類からなるモノマー群から選ばれる1種からなる単
独重合体あるいは2種以上からなる共重合体、該単独重
合体の2種以上の混合物、該共重合体の2種以上の混合
物、又は単独重合体の1種以上と共重合体の1種以上と
の混合物が挙げられる。好ましくはポリプロピレン、あ
るいはプロピレンと他のモノマー1種あるいは2種以上
との共重合体である。
【0009】本発明に使用される(c)ビニル系単量体
は、例えば芳香族ビニル化合物としては、スチレン、o
−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルス
チレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン及びジビ
ニルベンゼン等が、炭素数が1〜22であるメタクリル
酸アルキルエステルとしては、メタクリル酸メチル、メ
タクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリ
ル酸i−プロピル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリ
ル酸2−エチルヘキシル及びメタクリル酸ステアリル等
が、炭素数が1〜22であるアクリル酸アルキルエステ
ルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、ア
クリル酸i−ブチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル
酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル及びアク
リル酸ステアリル等が、炭素数が1〜22であるビニル
アルキルエーテルとしては、ビニルメチルエーテル、ビ
ニルエチルエーテル、ビニルi−プロピルエーテル、ビ
ニルn−プロピルエーテル、ビニルi−ブチルエーテ
ル、ビニルn−アミルエーテル、ビニルi−アミルエー
テル、ビニル2−エチルヘキシルエーテル及びビニルオ
クタデシルエーテル等が、不飽和ニトリル化合物として
は、アクリルニトリル、メタクリルニトリル等が、不飽
和アミノ化合物としては、アクリロアミド、メタクリロ
アミド等が、マレイン酸ジ−アルキルエステルとして
は、マレイン酸ジ−n−アミルエステル、マレイン酸ジ
−i−ブチルエステル、マレイン酸ジメチルエステル、
マレイン酸ジ−n−プロピルエステル、マレイン酸ジ−
オクチルエステル、マレイン酸ジ−ノニルエステル等
が、炭素数が1〜8のアリルアルキルエーテルとして
は、アリルエチルエーテル、アリルn−オクチルエーテ
ル等が、ジエン化合物としては、ジシクロペンタジエ
ン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、フェニル
プロパジエン、シクロペンタジエン、1,5−ノルボル
ナジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,4−シク
ロヘキサジエン、1,5−シクロヘキサジエン、1,3
−シクロオクタジエン等が挙げられ、また、他のビニル
モノマーとしてアクリル酸、メタクリル酸、マレイン
酸、無水マレイン酸、酢酸ビニル等が挙げられる。これ
らは単独又は2種以上組み合わせて用いられる。
【0010】本発明において、(b)下記一般式(I)
【0011】
【化6】
【0012】(式中、Arはグリシジルオキシ基を少な
くとも1個有するC6 〜C23の芳香族炭化水素基を示
し、Rは水素原子又はメチル基を示す。)で表されるグ
リシジル基を持つ変性剤は、分子内にそれぞれ少なくと
も1個のアクリルアミド基とグリシジル基を持つ変性剤
に由来する。アクリルアミド基とは、アクリルアミド基
の他にメタクリルアミド基も含む。
【0013】このような化合物は、例えば、特開昭60
−130580号に記載されたような方法で製造するこ
とができる。即ち、少なくとも1個のフェノール性水酸
基を有する芳香族炭化水素とN−メチロールアクリルア
ミド又はN−メチロールメタクリルアミドを酸性触媒の
存在下に縮合させた後、水酸基をエピハロヒドリンによ
りグリシジル化することによって目的の化合物が得られ
る。上記の少なくとも1個のフェノール性水酸基を有す
る芳香族炭化水素としては、炭素数6〜23のフェノー
ル化合物が用いられる。該フェノール化合物の具体例と
しては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノー
ル、カルバクロール、チモール、ナフトール、レゾルシ
ン、ヒドロキノン、ピロガロール、フェナントロールな
どが挙げられる。なかでもアルキル置換基を有する1価
フェノールが好適である。
【0014】例えば、出発物質として2,6−キシレノ
ールとN−メチロールアクリルアミドを用いた場合に
は、下記構造式(II)
【0015】
【化7】
【0016】で表される化合物を得ることができる。
【0017】また、出発物質としてオルトクレゾールと
N−メチロールアクリルアミドを用いた場合には、下記
構造式(III)
【0018】
【化8】
【0019】で表される化合物を得ることができる。
【0020】本発明で用いられる(d)ラジカル重合開
始剤としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサ
イド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、1,1−ビス
(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシ
クロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチル
パーオキシ)バレレート、2,5−ジメチルヘキサン−
2,5−ジハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキ
サイド、α,α′−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−
イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−
ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチ
ル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−
3、ベンゾイルパーオキサイド等の有機過酸化物類、あ
るいは例えば、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−
1−カルボニトリル)、1−〔(1−シアノ−1−メチ
ルエチル)アゾ〕ホルムアミド、2−フェニルアゾ−4
−メトキシ−2,4−ジメチル−バレロニトリル、2,
2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,
2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビ
ス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2′−ア
ゾビス(2−アセトキシプロパン)、2,2′−アゾビ
ス(2−アセトキシブタン)等のアゾ系化合物が挙げら
れ、これらは単独又は2種以上組み合わせて用いられ
る。また、これらラジカル開始剤は含浸、重合、溶融混
練等の条件に応じ所望のものを適宜選択できる。
【0021】本発明におけるグラフト変性ポリオレフィ
ン系樹脂組成物(A1)において、水性懸濁液中の
(a)ポリオレフィン系樹脂、(b)変性剤、(c)ビ
ニル系単量体、及び(d)ラジカル重合開始剤の配合割
合については、まず(b)変性剤の使用量は、(a)ポ
リオレフィン系樹脂100重量部に対し0.1〜50重
量部、好ましくは0.5〜10重量部の範囲である。こ
の範囲より多い場合は(a)ポリオレフィン系樹脂本来
の機械特性、流動性を損ない、少ない場合は(C)変性
芳香族ビニル系樹脂との相溶化効果が乏しい。
【0022】また、(c)ビニル単量体は、(a)ポリ
オレフィン系樹脂100重量部に対して0〜500重量
部、好ましくは1〜500重量部、より好ましくは5〜
200重量部、更に好ましくは10〜100重量部であ
る。ビニル系単量体が1重量部未満では、グラフト変性
ポリオレフィン系樹脂の色相が変化することがあり、ま
たグラフト変性ポリオレフィン系樹脂のコストアップに
つながるため、これらを避けるには1重量%以上が好ま
しい。また500重量部を越える場合には(c)ビニル
単量体同士の重合が主体となることから、重合時の水性
懸濁液において過度な凝集、融着、塊状化等が生じる。
【0023】また、本発明におけるグラフト変性ポリオ
レフィン系樹脂組成物(A1)において、(d)ラジカ
ル重合開始剤の使用量は、(b)変性剤と(c)ビニル
系単量体との合計量100重量部に対しては0.01〜
10重量部、好ましくは1〜10重量部、更に好ましく
は1〜5重量部である。(d)ラジカル重合開始剤が
0.01重量部未満である場合には、(b)変性剤及び
(c)ビニル系単量体の重合及び(a)ポリオレフィン
系樹脂に対するラジカル開始点の生成が不充分となり、
また10重量部を越える場合には(a)ポリオレフィン
系樹脂のラジカルによる架橋反応、あるいは主鎖切断に
よる分子量低下を招き該樹脂の有する機械的特性が低下
するので好ましくない。
【0024】また、グラフト変性ポリオレフィン系樹脂
組成物(A1)は、必要により実質的に前記(b)変性
剤あるいは(c)ビニル系単量体がそれぞれ単独重合あ
るいは共重合しない条件下で加熱し接触させたのち、水
性懸濁液中の該(b)変性剤及び(c)ビニル系単量体
が含浸された(a)ポリオレフィン系樹脂を含有する該
水性懸濁液を該ポリオレフィン系樹脂の結晶部分が実質
的に融解する温度以上に加熱することにより、該(b)
変性剤及び(c)ビニル系単量体を均一かつ効率よく付
加させることができ、これにより(Y)芳香族ビニル系
樹脂組成物との相溶化効果が高められる。
【0025】なお、本発明のグラフト変性ポリオレフィ
ン系樹脂組成物(A1)を得るに際しては、例えば、
水、懸濁剤、乳化剤、分散剤等を適宜用いればよく、こ
れらの種類、圧力、攪拌などの各条件のもとで、各成分
の反応混合物からなる水性懸濁液が過度に凝集、融着な
どしない程度に安定な条件に保たれる限り特に制限はな
い。
【0026】本発明におけるグラフト変性ポリオレフィ
ン系樹脂(A2)において、溶融混練中での(b)変性
剤の使用量は、(a)ポリオレフィン系樹脂100重量
部に対し0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜10
重量部の範囲である。この範囲より多い場合はポリオレ
フィン系樹脂本来の機械特性、流動性を損ない、少ない
場合は、芳香族ビニル系樹脂(C)を含む(Y)芳香族
ビニル系樹脂との相溶化効果が乏しい。
【0027】また、本発明におけるグラフト変性ポリオ
レフィン系樹脂(A2)において、(d)ラジカル重合
開始剤の使用量は、(b)変性剤100重量部に対して
は0.01〜10重量部、好ましくは1〜10重量部、
更に好ましくは1〜5重量部である。ラジカル開始剤が
0.01重量部未満である場合には、(b)変性剤の重
合及び(a)ポリオレフィン系樹脂に対するラジカル開
始点の生成が不充分となり、また10重量部を越える場
合には(a)ポリオレフィン系樹脂のラジカルによる架
橋反応、あるいは主鎖切断による分子量低下を招き該樹
脂の有する機械的特性が低下するので好ましくない。
【0028】なお、本発明のグラフト変性ポリオレフィ
ン系樹脂(A2)を溶融混練して得る際に使用される溶
融混練装置としては、押出機、バンバリーミキサー、ミ
ル、ニーダー、加熱ロール等を使用することができ、特
に単軸あるいは2軸押出機を用いる方法が生産性が高く
好ましい。また、製造する際の溶融温度、混練機回転
数、混練機付属の減圧機の減圧度、混練機中の樹脂の滞
留時間などは各成分の反応混合物からなる樹脂が過度に
凝集、融着、変色、劣化などしない程度に安定な条件に
保たれる限り特に制限はない。
【0029】本発明で用いられる(Y)のうち、未変性
の芳香族ビニル系樹脂(D)としては、ABS樹脂、A
S樹脂、MABS樹脂、MBS樹脂、AAS樹脂、AE
S樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン−α
−メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル−メチル
メタクリレート−ブタジエン−スチレン−α−メチルス
チレン共重合体、ポリスチレン、スチレン−α−メチル
スチレン共重合体、HIPS樹脂、メチルメタクリレー
ト−スチレン共重合体、スチレン−マレイミド共重合
体、スチレン−N−置換マレイミド共重合体、アクリロ
ニトリル−スチレン−N−置換マレイミド共重合体、ア
クリロニトリル−ブタジエン−スチレン−β−イソプロ
ペニルナフタレン共重合体、アクリロニトリル−メチル
メタクリレート−ブタジエン−スチレン−α−メチルス
チレン−N−置換マレイミド共重合体等が挙げられ、こ
れらは単独又は2種以上組み合わせて用いられる。
【0030】また、本発明で用いられるエポキシ基と反
応性を有する官能基を持つ変性芳香族ビニル系樹脂
(C)としては、上記例に挙げた樹脂中に、エポキシ基
と反応性を有する官能基、例えば、カルボン酸、カルボ
ン酸無水物、カルボン酸塩、水酸基、アミン、アミド、
イミド、エポキシ等を有する重合体である。これらの官
能基のうち、カルボン酸及びその無水物が特に好まし
い。これらの官能基は無水マレイン酸、アクリル酸、メ
タクリル酸等の官能基を有するモノマーを共重合する方
法、あるいは重合体中の反応開始点に対する高分子反応
等の既知の方法により導入することができる。
【0031】エポキシ基と反応性を有する官能基を持つ
変性芳香族ビニル系樹脂(C)の官能基の量については
特に制限はなく、本発明の目的を損なわない範囲で任意
の量の変性を行うことが可能である。
【0032】耐衝撃性を必要とする場合には、変性芳香
族ビニル系樹脂(C)を含む(Y)芳香族ビニル系樹脂
として、ゴム状重合体の存在下にシアン化ビニル化合
物、芳香族ビニル化合物、メタクリル酸アルキルエステ
ル化合物から選ばれる1種以上の化合物、及びこれらと
共重合可能な単量体との混合物を重合してなるグラフト
共重合体を、一部又は全部として用いるのが好ましい。
【0033】ゴム状重合体としては、ポリブタジエンゴ
ム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニ
トリル−ブタジエンゴム(NBR)、ブチルアクリレー
ト−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、アク
リルゴム等が挙げられる。シアン化ビニル化合物として
は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げら
れる。芳香族ビニル化合物としては、スチレン、o−メ
チルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレ
ン、クロロスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトル
エン等が挙げられる。またアルキルメタクリレートとし
ては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等
が挙げられる。上記ゴム状重合体及び化合物は、それぞ
れ単独または2種以上組み合わせて用いられる。各成分
中のゴム状重合体の量には特に制限はないが、熱可塑性
樹脂組成物全体中のゴム状重合体の割合は、70重量%
以下となることが好ましい。熱可塑性樹脂組成物中のゴ
ム状重合体量が70重量%を越えると成形加工が困難と
なる。
【0034】エポキシ基と反応性を有する官能基を持つ
変性芳香族ビニル系樹脂(C)を含む芳香族ビニル系樹
脂(Y)としては、加工性の点から、樹脂のメチルエチ
ルケトン可溶部の還元粘度が、0.2〜1.2dl/g
(ジメチルホルムアミド溶液、30℃、濃度0.3g/
dl)であることが好ましい。更に好ましくは、0.3
〜0.9dl/gである。また、機械的強度の点から、
エポキシ基と反応性を有する官能基を持つ変性芳香族ビ
ニル系樹脂(C)を含む(Y)芳香族ビニル系樹脂に
は、シアン化ビニル化合物及び/又はアルキルメタクリ
レート化合物を共重合成分として含有することが好まし
い。更に、シアン化ビニル化合物及び/又はアルキルメ
タクリレート化合物は共重合成分として10〜60重量
%含有することが好ましい。シアン化ビニル化合物及び
/又はアルキルメタクリレート化合物が共重合成分とし
て10重量部未満では機械的強度が低下し、60重量部
を越えると流動性が低下する傾向にある。また還元粘度
が、0.2dl/g未満では機械的強度が低下し1.2
dl/gを越えると流動性が低下し、成形が困難になる
傾向がある。
【0035】本発明で用いられる(Z)ポリカーボネー
ト系樹脂は、熱可塑性芳香族ポリカーボネートが好まし
く、更に2価フェノール化合物と、ホスゲン又は炭酸ジ
エステルとの反応により製造される芳香族ポリカーボネ
ートが好ましい。分子量には特に制限はないが、平均分
子量15000〜50000のものが好ましい。また、
分子量分布の異なる2種以上のポリカーボネート系樹脂
を混合して用いることもできる。2価フェノール化合物
としてはビスフェノール類が好ましく、特に2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、いわゆるビス
フェノールA、及び一部を他の官能基で置換されたビス
フェノールAを用いるのが好ましい。ビスフェノールA
を一定量あるいは全量を他の2価フェノール化合物で置
換することもできる。ビスフェノールA以外の2価のフ
ェノール化合物として、ハイドロキノン、4,4−ジヒ
ドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)
シクロアルカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スル
ファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニルスルホン)、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等の化合物が挙
げられる。これらの2価のフェノールからなるホモポリ
マー、又は2種以上からなるコポリマー、あるいはこれ
らのブレンド物であってもよい。また、難燃性を高める
ためには、リン化合物を共重合あるいは末端封止したポ
リマーを使用することもできる。また、耐候性を高める
ためには、ベンゾトリアゾール基を有する二価フェノー
ルを共重合したポリマーを使用することもできる。
【0036】(X)ポリオレフィン系樹脂、(Y)芳香
族ビニル系樹脂、(Z)ポリカーボネート系樹脂のそれ
ぞれの重合方法は、公知の重合方法を用いることがで
き、その種類、操作については特に制限はない。重合終
了後は、既知の方法により目的のパウダーを得る。
【0037】本発明のうち(X)を構成する変性ポリオ
レフィン系樹脂(A)の割合は、(X)100重量%中
5〜100重量%、好ましくは10〜100重量%、更
に好ましくは20〜100重量%である。変性ポリオレ
フィン系樹脂(A)が5重量%未満であると、(Y)芳
香族ビニル系樹脂との相溶性が低下し、成形体としたと
きに表面が剥離する傾向が見られるため好ましくない。
【0038】本発明のうち(Y)を構成する、エポキシ
基と反応性を有する官能基を持つ変性芳香族ビニル系樹
脂(C)の割合は、(Y)100重量%中5〜100重
量%、好ましくは8〜100重量%、更に好ましくは1
0〜100重量%である。変性芳香族ビニル系樹脂
(C)が5重量%未満であると、(X)ポリオレフィン
系樹脂との相溶性が低下し、成形体としたときに表面が
剥離する傾向が見られるため好ましくない。
【0039】本発明の(X)ポリオレフィン系樹脂、
(Y)芳香族ビニル系樹脂、(Z)ポリカーボネート系
樹脂の割合は、(X)0.5〜60重量%、(Y)15
〜90重量%、(Z)5〜80重量%からなるものであ
る。好ましくは、(X)1〜50重量%、(Y)20〜
80重量%、(Z)10〜75重量%(三者合わせて1
00重量%)からなるものである。(X)ポリオレフィ
ン系樹脂が0.5重量%未満では、樹脂に対する成形加
工性、耐薬品性等の改良効果が少なく、(X)が60重
量%を越えると、得られた成形体の耐熱変形性、機械的
強度が低下する。(Y)芳香族ビニル系樹脂が15重量
%未満では成形加工性が低下し、(Y)が90重量%を
越えると面衝撃強度、耐熱変形性等が低下する。(Z)
ポリカーボネート系樹脂が5重量%未満では面衝撃強
度、耐熱変形性等が低下し、(Z)が80重量%を越え
ると成形加工性が低下する。
【0040】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(X)、
(Y)、(Z)及び必要に応じ、適当な配合剤等をブレ
ンドして得られるが、その操作については特に限定され
ない。ただし製造効率等の面から、単軸あるいは2軸の
押出機を用いるのが好ましい。
【0041】ブレンド時には、(X)、(Y)、(Z)
の樹脂の他に、本発明の目的を損なわない範囲で任意の
熱可塑性樹脂を同時に1種又は2種以上混練することも
できる。
【0042】また必要に応じて、通常よく知られた酸化
防止剤、熱安定剤、滑剤、可塑剤、難燃剤、難燃助剤、
紫外線吸収剤、顔料、帯電防止剤、造核剤、分散剤、相
溶化剤等の添加剤を単独又は2種以上組み合わせて使用
することができる。また、更に有機・無機の充填剤・補
強剤、例えばガラス繊維、マイカ、タルク、ワラストナ
イト、チタン酸カリウム、炭酸カルシウム、シリカ等を
単独又は2種以上組み合わせて利用できる。
【0043】本発明で製造された熱可塑性樹脂組成物の
成形加工法は特に限定されるものではなく、熱可塑性樹
脂組成物について一般に用いられている成形法、即ち射
出成形、中空成形、押出成形、シート成形、ロール成
形、プレス成形、積層成形等の成形方法が適用できる。
【0044】
【実施例】以下、本発明を具体的な実施例に基づいて更
に詳細に説明するが、これらの実施例は本発明を限定す
るものではない。以下の記載において、「部」は重量部
を、「%」は重量%を示す。
【0045】なお、還元粘度は以下の方法により測定し
た。(Y)芳香族ビニル系樹脂のメチルエチルケトン可
溶部を、N,N−ジメチルホルムアミドに濃度が0.3
g/dlとなるように溶解して高分子溶液とし、JIS
−K6721に従って、30℃でウベローデ型粘度計
(柴山化学機器製作所株式会社製の毛管粘度自動測定装
置)を用い、通過時間(t)を測定した。一方、溶媒の
N,N−ジメチルホルムアミドについても同様の方法で
通過時間(to)を測定し、次式によって還元粘度(η
red)を算出した。 ηred =( t/to−1)C 但し、式中、Cは高分子溶液の濃度(g/dl)を意味
する。
【0046】耐薬品性は、歪1%の円弧状の治具に厚み
3mmの試験片を固定し、試験片表面全体に自動車用芳香
剤ニューハニーキッスライムの香り(SOFT99コー
ポレーション)を塗布し、試験片表面にクラックが発生
するまでの時間を測定した(分、但し、1週間でクラッ
クが発生しない場合は〇と表示)。成形品の耐表層剥離
性は、得られた成形品の表面に1mm2 のマス目を100
個作り、その部分に粘着テープを充分密着させ、勢い良
く剥す方法でテープ剥離試験を行い、100個中剥離せ
ずに残ったマスの個数で評価した(個)。成形加工性
は、厚み3mmの蚊取り線香状スパイラル金型を用いて1
50t射出成形機にて、成形機先端のシリンダー及びノ
ズルの設定温度250℃、金型温度40℃、射出成形機
の最大射出圧力1000Kg/cm2 の条件にて成形を行
い、得られた成形体の流動長の測定によって成形加工時
の流動性を評価した(mm)。耐熱変形性は、ASTM
D−648規格に準じ、18.6Kg/cm2 荷重のHDT
で評価した(℃)。
【0047】参考例1(変性剤の合成) 4−アクリルアミドメチル−2,6−ジメチルフェノー
ル102.26部、エピクロルヒドリン181部、およ
びベンジルトリエチルアンモニウムクロリド2.27部
の混合物を100℃で30分間攪拌した。この反応混合
物を室温まで冷却し、5規定水酸化ナトリウム147部
を攪拌下に10分で滴下し、その後45〜50℃で1時
間攪拌した。得られた反応混合物を室温まで冷却し、メ
チルイソブチルケトン120部および水500部を加え
て分液した。有機層を300部の水で3回水洗し、無機
硫酸ナトリウムで脱水した後、溶剤を減圧留去して、N
−〔(2,3−エポキシプロポキシ)−3,5−ジメチ
ルフェニルメチル〕アクリルアミド(以下変性剤と記
す)を得た。JIS−K7236の方法で測定したエポ
キシ等量は271、融点は90〜92℃であった。
【0048】参考例2〔グラフト変性ポリオレフィン系
樹脂(A1−1)の製造〕 耐圧密閉反応槽において、純水1400部にプロピレン
−エチレンランダムコポリマー粒子(エチレン含有3
%、DSC融解開始温度80℃、DSC融点146.7
℃)(B−1)490部、変性剤210部、ジ−t−ブ
チルパーオキサイド(10時間半減期温度124℃)
1.26部、リン酸カルシウム10.5部および乳化剤
(花王株式会社製ラテムルPS:登録商標)0.315
部を混入し、攪拌混合して水性懸濁液を得た。該水溶液
を100℃で攪拌した後、更に140℃で5時間攪拌し
て重合を完成させた。得られた粒子を水洗し、残存モノ
マー、リン酸カルシウム、ラテムルPS及びジ−t−ブ
チルパーオキサイドを除去した後、乾燥してグラフト変
性ポリオレフィン系樹脂組成物(A1−1)を得た。
【0049】参考例3〔グラフト変性ポリオレフィン系
樹脂(A1−2)の製造〕 参考例2において、変性剤210部の代わりにスチレン
139.5部、変性剤70.2部を用いた以外は参考例
2と同様にしてグラフト変性ポリオレフィン系樹脂組成
物(A1−2)を得た(スチレン/変性剤のモル比は5
/1)。
【0050】参考例4〔グラフト変性ポリオレフィン系
樹脂(A1−3)の製造〕 参考例2において、変性剤210部の代わりにメタクリ
ル酸メチル138部、変性剤72部を用いた以外は参考
例2と同様にしてグラフト変性ポリオレフィン系樹脂組
成物(A1−3)を得た(メタクリル酸メチル/変性剤
のモル比は5/1)。
【0051】参考例5〔グラフト変性ポリオレフィン系
樹脂(A1−4)の製造〕 参考例3において、プロピレン−エチレンランダムコポ
リマー粒子の代わりにエチレン−プロピレン共重合体
(日本合成ゴム株式会社製、EP−02P)(B−2)
を用いた以外は参考例3と同様にしてグラフト変性ポリ
オレフィン系樹脂組成物(A1−4)を得た(スチレン
/変性剤のモル比は5/1)。
【0052】参考例6〔グラフト変性ポリオレフィン系
樹脂(A1−5)の製造〕 参考例2において、変性剤210部の代わりにスチレン
165部、メタクリル酸グリシジル(和光純薬工業株式
会社製:以下GMAと略す)45部を用いた以外は参考
例2と同様にしてグラフト変性ポリオレフィン系樹脂組
成物(A1−5)を得た(スチレン/GMAのモル比は
5/1)。
【0053】参考例7〔グラフト変性ポリオレフィン系
樹脂(A1−6)〕 比較のための変性ポリオレフィン系樹脂(A1−6)と
して、市販の下記のものを用いた。日本油脂株式会社
モディパーA−4400(登録商標、GMA15%含有
エチレン・GMA共重合体70%に、AS樹脂30%を
グラフトさせた変性ポリオレフィン系樹脂)
【0054】参考例8〔グラフト変性ポリオレフィン系
樹脂(A2−1)の製造〕 参考例2で用いたプロピレン−エチレンランダムコポリ
マー粒子100部、変性剤10部、1,3−ビス−(t
−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン0.1部を
ヘンシェルミキサーで混合した後、190℃に設定した
2軸押出機で押し出したものをペレット化し、70℃で
12時間減圧下で乾燥して、変性ポリオレフィン系樹脂
組成物(A2−1)を得た。
【0055】参考例9〔変性芳香族ビニル系樹脂(C−
1)の製造〕 攪拌機及び冷却機付きの重合機に、窒素雰囲気下で、水
190部、ジオクチルスルホコハク酸ソーダ2部、ソジ
ウムホルムアルデヒドスルホキシレート1.3部、エチ
レンジアミン四酢酸二ソーダ0.01部、硫酸第一鉄
0.0025部を仕込み、重合温度65℃で、α−メチ
ルスチレン75部、アクリロニトリル20部、メタクリ
ル酸5部を開始剤のパラメンタンハイドロパーオキサイ
ド、連鎖移動剤のt−ドデシルメルカプタンとともに、
6.5時間かけて連続滴下した。滴下終了後、更に65
℃で1時間攪拌を続けた後、重合を終了し、芳香族ビニ
ル系樹脂(Ca)のラテックスを得た。一方、別途攪拌
機及び冷却機付の重合機に、窒素雰囲気下で、水220
部、ポリブタジエンラテックス70部、ソジウムホルム
アルデヒドスルホキシレート0.2部、エチレンジアミ
ン四酢酸二ソーダ0.008部、硫酸第一鉄0.002
部を仕込み、重合温度60℃で、スチレン9部、メチル
メタクリレート21部を、開始剤のt−ブチルパーオキ
シイソプロピルカーボネートとともに、3.5時間かけ
て連続滴下した。滴下終了後、更に60℃で1.5時間
攪拌を続けた後、重合を終了し、芳香族ビニル系樹脂
(Cb)のラテックスを得た。得られた上記2種のラテ
ックスを(Ca)/(Cb)=3/1の割合で混合し、
塩析、脱水、乾燥して、変性芳香族ビニル系樹脂(C−
1)を得た。
【0056】参考例10〔変性芳香族ビニル系樹脂(C
−2)の製造〕 攪拌機を備えたオートクレープ中に、窒素雰囲気下でス
チレン60部、メチルエチルケトン50部を仕込み、8
5℃に昇温後無水マレイン酸40部とベンゾイルパーオ
キサイド0.15部をメチルエチルケトン250部に溶
解した溶液を8時間かけて滴下した。滴下終了後さらに
85℃で3時間攪拌を続けた後、重合を終了し、芳香族
ビニル系樹脂(Cc)のラテックスを得た。この共重合
体溶液にアニリン32部、トリエチルアミン0.3部を
加え140℃で7時間反応後脱気処理し、無水マレイン
酸の一部をイミド化することにより、スチレン−Nフェ
ニルマレイミド−無水マレイン酸共重合体である変性芳
香族ビニル系樹脂(C−2)を得た。
【0057】参考例11〜17〔変性芳香族ビニル系樹
脂(C−3〜C−9)の製造〕 参考例9と同様の方法で、単量体の組成のみを表1に示
す組成に変更して重合を行うことにより、変性芳香族ビ
ニル系樹脂(C−3〜C−9)を得た。
【0058】参考例18〔芳香族ビニル系樹脂(D−
1)の製造〕 攪拌機及び冷却機付きの重合機に、窒素雰囲気下で、水
210部、ジオクチルスルホコハク酸ソーダ2部、ソジ
ウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.5部、エチ
レンジアミン四酢酸二ソーダ0.01部、硫酸第一鉄
0.0025部を仕込み、重合温度65℃で、α−メチ
ルスチレン75部、アクリロニトリル25部を開始剤の
パラメンタンハイドロパーオキサイド、連鎖移動剤のt
−ドデシルメルカプタンとともに、6時間かけて連続滴
下した。滴下終了後、更に65℃で1時間攪拌を続けた
後、重合を終了し、芳香族ビニル系樹脂(Da)のラテ
ックスを得た。一方、別途攪拌機及び冷却機付の重合機
に、窒素雰囲気下で、水240部、ポリブタジエンラテ
ックス70部、ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレ
ート0.2部、エチレンジアミン四酢酸二ソーダ0.0
12部、硫酸第一鉄0.003部を仕込み、重合温度6
0℃で、スチレン23部、アクリロニトリル7部を、開
始剤のt−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート
とともに、3.5時間かけて連続滴下した。滴下終了
後、更に60℃で1.5時間攪拌を続けた後、重合を終
了し、芳香族ビニル系樹脂(Db)のラテックスを得
た。得られた上記2種のラテックスを(Da)/(D
b)=3/1の割合で混合し、塩析、脱水、乾燥して、
芳香族ビニル系樹脂(D−1)を得た。
【0059】参考例19〔芳香族ビニル系樹脂(D−
2)の製造〕 参考例18と同様の方法で、単量体の組成のみを表1に
示す組成に変更して重合を行うことにより、芳香族ビニ
ル系樹脂(D−2)を得た。
【0060】
【表1】
【0061】実施例1〜31、比較例1〜9 グラフト変性ポリオレフィン系樹脂(A1−1)〜(A
1−6)、未変性ポリオレフィン系樹脂(B−1)、
(B−2)、変性芳香族ビニル系樹脂(C−1)〜(C
−9)、未変性芳香族ビニル系樹脂(D−1)、(D−
2)、下記の芳香族ポリカーボネート系樹脂(Z−
1)、(Z−2)の各成分の表2、表3、表4に示した
所定量と、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(IRG
ANOX−3114:チバガイギー株式会社の登録商
標)0.5部、リン系安定剤(アデカスタブ PEP−
36:旭電化工業株式会社の登録商標)0.5部、及び
触媒としてテトラブチルホスホニウムブロマイド(TB
PB)〔アルドリッチ・ケミカル・カンパニー製〕0.
05部を混合した後、70リットルのヘンシェルミキサ
ーでブレンドした。2軸押出機にて240℃で押し出
し、水冷、乾燥して本発明の熱可塑性樹脂組成物(ペレ
ット)を得た。
【0062】芳香族ポリカーボネート系樹脂(Z−
1)、(Z−2)はそれぞれ市販の下記のものを用い
た。 (Z−1)出光石油化学株式会社 タフロンFN250
0A(登録商標、粘度平均分子量:約23500) (Z−2)出光石油化学株式会社 タフロンFN300
0A(登録商標、粘度平均分子量:約29000)
【0063】次に、得られたペレットから、150t射
出成形機にてノズル温度250℃、金型温度70℃に設
定し、試験片を成形した。かかる試験片の各種物性を前
記の方法で測定した。その結果を表2、表3、表4に併
せて示す。
【0064】比較例1〜2では、変性ポリオレフィン系
樹脂(A)が含まれていないため、耐表層剥離性が悪化
し、得られた成形体に剥離が生じている。比較例3で
は、変性芳香族ビニル系樹脂(C)が含まれていないた
め、耐表層剥離性が悪化し、得られた成形体に剥離が生
じている。比較例4では、(X)ポリオレフィン系樹脂
が含まれていないため、耐薬品性、成形加工性が悪化し
ている。比較例5では、(Y)芳香族ビニル系樹脂が含
まれていないため、耐表層剥離性が悪化し、得られた成
形体に剥離が生じている。比較例6では、(Z)ポリカ
ーボネート系樹脂が含まれていないため、耐熱変形性が
悪化している。比較例7では、(X)ポリオレフィン系
樹脂の量が本発明の範囲を越えて多量に配合されている
ため、耐熱変形性が悪化している。比較例8では、変性
ポリオレフィン系樹脂(A)に用いられている変性剤の
種類が本発明のものと異なるため、耐表層剥離性が悪化
する傾向が見られる。比較例9では、変性ポリオレフィ
ン系樹脂(A)が本発明のものと異なるため、成形加工
性が大巾に悪化している。
【0065】このように、本発明の樹脂組成物は、耐薬
品性、耐表層剥離性、成形加工性、耐熱変形性が良好な
成形品が得られ、また成形加工性も良好であることがわ
かる。
【0066】尚、表1中の略記号はそれぞれ下記を意味
する。 ST :スチレン αST:αメチルスチレン AN :アクリロニトリル MMA:メチルメタクリレート PMI:N−フェニルマレイミド MAA:メタクリル酸 PBD:ポリブタジエンゴム PBA:ポリブチルアクリレートゴム EPR:エチレンプロピレンゴム
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】
【表4】
【0070】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐薬品
性、耐熱変形性、耐表層剥離性及び成形加工性に優れて
おり、射出成形品等広い範囲に好適に使用しうるもので
あり、その有用性は極めて大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08G 81/02 NUV C08L 23/02 LCG LCH LCM LCN LCQ 51/04 LLB 51/06 LLE 55/02 LME LMF 69/00 LPP

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の成分(X)、(Y)及び(Z)か
    らなり、(X)を0.5〜60重量%、(Y)を15〜
    90重量%、(Z)を5〜80重量%含有することを特
    徴とする熱可塑性樹脂組成物。 (X)(a)下記一般式(I) 【化1】 (式中、Arはグリシジルオキシ基を少なくとも1個有
    するC6 〜C23の芳香族炭化水素基を示し、Rは水素原
    子又はメチル基を示す。)で表されるグリシジル基を持
    つ変性剤で変性された変性ポリオレフィン系樹脂(A)
    を5〜100重量部、未変性のポリオレフィン系樹脂
    (B)を95〜0重量%含有するポリオレフィン系樹
    脂、(Y)エポキシ基と反応性を有する官能基を持つ変
    性芳香族ビニル系樹脂(C)を5〜100重量%、未変
    性の芳香族ビニル系樹脂(D)を95〜0重量%含有す
    る芳香族ビニル系樹脂、(Z)ポリカーボネート系樹
    脂。
  2. 【請求項2】 (A)変性ポリオレフィン系樹脂が、
    (a)ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、
    (b)下記一般式(I) 【化2】 (式中、Arはグリシジルオキシ基を少なくとも1個有
    するC6 〜C23の芳香族炭化水素基を示し、Rは水素原
    子又はメチル基を示す。)で表されるグリシジル基を持
    つ変性剤0.1〜50重量部、(c)ビニル系単量体0
    〜500重量部、および(d)ラジカル重合開始剤を前
    記(b)成分と(c)成分との合計量100重量部に対
    して0.01〜10重量部含有した水性懸濁液を調製
    し、水性懸濁液中の(b)変性剤及び(c)ビニル系単
    量体を前記(a)ポリオレフィン系樹脂に含浸させ、該
    (b)変性剤及び(c)ビニル系単量体を重合させてな
    るグラフト変性ポリオレフィン系樹脂組成物(A1)で
    ある請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 (A1)グラフト変性ポリオレフィン系
    樹脂が、(a)ポリオレフィン系樹脂に少なくとも1個
    の(b)変性剤及び(c)ビニル系単量体が付加し、グ
    ラフト鎖の分子量が400000以下であり、かつ
    (c)ビニル系単量体が(a)ポリオレフィン系樹脂1
    00重量部に対して1〜500重量部である請求項2記
    載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 (c)ビニル系単量体が、芳香族系ビニ
    ル化合物、アルキル基の炭素数が1〜22である(メ
    タ)アクリル酸アルキルエステル、アルキル基の炭素数
    が1〜22であるビニルアルキルエーテル、不飽和ニト
    リル化合物、不飽和アミノ化合物、アルキル基の炭素数
    が1〜9であるマレイン酸ジ−アルキルエステル、アル
    キル基の炭素数が1〜8であるアリルアルキルエーテ
    ル、ジエン化合物、無水マレイン酸、マレイン酸、アク
    リル酸、メタクリル酸及び酢酸ビニルからなる群から選
    ばれる少なくとも1種である請求項2又は3記載の熱可
    塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 (c)ビニル系単量体が、スチレン、α
    −メチルスチレン、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブ
    チル及びアクリロニトリルからなる群から選ばれる少な
    くとも1種である請求項4記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 (A)変性ポリオレフィン系重量部組成
    物が、(a)ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し
    て、(b)下記一般式(I) 【化3】 (式中、Arはグリシジルオキシ基を少なくとも1個有
    するC6 〜C23の芳香族炭化水素基を示し、Rは水素原
    子又はメチル基を示す。)で表されるグリシジル基を持
    つ変性剤0.1〜50重量部、及び(d)ラジカル重合
    開始剤を前記(b)成分100重量部に対して0.01
    〜10重量部配合された混合物を混練機中で溶融混練し
    て、(b)変性剤を前記(a)ポリオレフィン系樹脂に
    反応させることにより得られるグラフト変性ポリオレフ
    ィン系樹脂組成物(A2)である請求項1記載の熱可塑
    性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 (a)及び(B)のポリオレフィン系樹
    脂が、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテ
    ン、イソブテン、ブタジエン、イソプレン、クロロピレ
    ン、フェニルプロパジエン、シクロペンタジエン、1,
    5−ノルボルナジエン、1,3−シクロヘキサジエン、
    1,4−シクロヘキサジエン、1,5シクロオクタジエ
    ン、1,3−シクロオクタジエン、及びα、ω−非共役
    ジエン類からなるモノマー群から選ばれる単独重合体あ
    るいは2種以上からなる共重合体、単独重合体の2種以
    上の混合物、共重合体の2種以上の混合物、又は単独重
    合体の1種以上と共重合体の1種以上との混合物である
    請求項1〜6記載の熱可塑性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 (b)のグリシジル基を持つ構造単位
    が、下記式(II) 【化4】 で表される請求項1〜7記載の熱可塑性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 (Y)芳香族ビニル系樹脂が、メチルエ
    チルケトン可溶部の還元粘度0.2〜1.2dl/g
    (メチルホルムアミド溶液、30℃、濃度0.3g/d
    l)である請求項1〜8記載の熱可塑性樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 (Y)芳香族ビニル系樹脂が、ゴム状
    重合体の存在下にシアン化ビニル化合物、芳香族ビニル
    化合物、メタクリル酸アルキルエステル化合物から選ば
    れる1種以上の化合物及びこれらと共重合可能な単量体
    との混合物を重合してなるグラフト共重合体を全部又は
    一部含有し、ゴム状重合体の量が熱可塑性樹脂組成物全
    体の70重量%以下である請求項1〜9記載の熱可塑性
    樹脂組成物。
  11. 【請求項11】 (C)エポキシ基と反応性を有する官
    能基を持つ変性芳香族ビニル系樹脂中のエポキシ基と反
    応性を有する官能基が、カルボン酸及び/又はその無水
    物である請求項1〜10記載の熱可塑性樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008095087A (ja) * 2006-09-15 2008-04-24 Mitsubishi Rayon Co Ltd 重合体、その製造方法、レジスト組成物及びその応用
JP2016125025A (ja) * 2015-01-07 2016-07-11 帝人株式会社 ポリカーボネート樹脂組成物
CN116003892A (zh) * 2022-12-28 2023-04-25 武汉金发科技有限公司 一种高力学和高耐环境应力开裂性能的聚乙烯复合材料及其制备方法和应用

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