JP2016125025A - ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)ポリカーボネート系樹脂(A成分)および(B)ポリプロピレン系樹脂(B成分)の合計100重量部に対し、(C)スチレン系熱可塑性エラストマー(C成分)1〜15重量部および(D)無機充填材(D成分)1〜100重量部を含むことを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
そこで、ポリカーボネート樹脂とポリオレフィン系樹脂の相溶性を高め、実用的な機械特性を付与するべく、種々の樹脂組成物が提案されている。
また、ポリカーボネートを含む樹脂組成物に対して剛性を始めとする機械特性を付与する方法は多々報告されているが、ポリカーボネートとポリプロピレンの両方を含む樹脂組成物に対して剛性を付与する方法はほとんど報告例がないのが現状である。
(A成分:ポリカーボネート系樹脂)
本発明において使用されるポリカーボネート系樹脂は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られるものである。反応方法の一例として界面重合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマーの固相エステル交換法、および環状カーボネート化合物の開環重合法などを挙げることができる。
例えば、2価フェノール成分の一部又は全部として、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(以下“BPM”と略称することがある)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(以下“Bis−TMC”と略称することがある)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン及び9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(以下“BCF”と略称することがある)を用いたポリカーボネ−ト(単独重合体又は共重合体)は、吸水による寸法変化や形態安定性の要求が特に厳しい用途に適当である。これらのBPA以外の2価フェノールは、該ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分全体の5モル%以上、特に10モル%以上、使用するのが好ましい。
(1)該ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分100モル%中、BPMが20〜80モル%(より好適には40〜75モル%、さらに好適には45〜65モル%)であり、かつBCFが20〜80モル%(より好適には25〜60モル%、さらに好適には35〜55モル%)である共重合ポリカーボネート。
(2)該ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分100モル%中、BPAが10〜95モル%(より好適には50〜90モル%、さらに好適には60〜85モル%)であり、かつBCFが5〜90モル%(より好適には10〜50モル%、さらに好適には15〜40モル%)である共重合ポリカーボネート。
(3)該ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分100モル%中、BPMが20〜80モル%(より好適には40〜75モル%、さらに好適には45〜65モル%)であり、かつBis−TMCが20〜80モル%(より好適には25〜60モル%、さらに好適には35〜55モル%)である共重合ポリカーボネート。
これらの特殊なポリカーボネートの製法及び特性については、例えば、特開平6−172508号公報、特開平8−27370号公報、特開2001−55435号公報及び特開2002−117580号公報等に詳しく記載されている。
(i)吸水率が0.05〜0.15%、好ましくは0.06〜0.13%であり、かつTgが120〜180℃であるポリカーボネート、あるいは
(ii)Tgが160〜250℃、好ましくは170〜230℃であり、かつ吸水率が0.10〜0.30%、好ましくは0.13〜0.30%、より好ましくは0.14〜0.27%であるポリカーボネート。
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、炭酸ジエステルまたはハロホルメートなどが使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメートなどが挙げられる。
また、特に溶融エステル交換法の場合、副反応として分岐構造単位が生ずる場合があるが、かかる分岐構造単位量についても、2価フェノールから誘導される構成単位との合計100モル%中、好ましくは0.001〜1モル%、より好ましくは0.005〜0.9モル%、さらに好ましくは0.01〜0.8モル%であるものが好ましい。なお、かかる分岐構造の割合については1H−NMR測定により算出することが可能である。
本発明の樹脂組成物を製造するにあたり、ポリカーボネート系樹脂の粘度平均分子量(M)は、特に限定されないが、好ましくは1×104〜5×104であり、より好ましくは1.4×104〜3×104、さらに好ましくは1.4×104〜2.4×104である。粘度平均分子量が1×104未満のポリカーボネート系樹脂では、良好な機械的特性が得られない場合がある。一方、粘度平均分子量が5×104を超える芳香族ポリカーボネート樹脂から得られる樹脂組成物は、射出成形時の流動性に劣る点で汎用性に劣る場合がある。
比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0
[t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度(ηSP)から次の数式により粘度平均分子量Mを算出する。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4M0.83
c=0.7
また、本発明の妨げにならない範囲で、上記二価フェノール(I)、ヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)以外の他のコモノマーを共重合体の全重量に対して10重量%以下の範囲で併用することもできる。
二価フェノール(I)のオリゴマーを生成するにあたり、本発明の方法に用いられる二価フェノール(I)の全量を一度にオリゴマーにしてもよく、又は、その一部を後添加モノマーとして後段の界面重縮合反応に反応原料として添加してもよい。後添加モノマーとは、後段の重縮合反応を速やかに進行させるために加えるものであり、必要のない場合には敢えて加える必要はない。
炭酸エステル形成性化合物の使用割合は、反応の化学量論比(当量)を考慮して適宜調整すればよい。また、ホスゲン等のガス状の炭酸エステル形成性化合物を使用する場合、これを反応系に吹き込む方法が好適に採用できる。
かかる重合反応においては、末端停止剤或いは分子量調節剤が通常使用される。末端停止剤としては一価のフェノール性水酸基を有する化合物が挙げられ、通常のフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノール、トリブロモフェノールなどの他に、長鎖アルキルフェノール、脂肪族カルボン酸クロライド、脂肪族カルボン酸、ヒドロキシ安息香酸アルキルエステル、ヒドロキシフェニルアルキル酸エステル、アルキルエーテルフェノールなどが例示される。その使用量は用いる全ての二価フェノール系化合物100モルに対して、100〜0.5モル、好ましくは50〜2モルの範囲であり、二種以上の化合物を併用することも当然に可能である。
かかる重合反応の反応時間は、好ましくは30分以上、更に好ましくは50分以上である。所望に応じ、亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイドなどの酸化防止剤を少量添加してもよい。
本発明の樹脂組成物はB成分として、ポリプロピレン系樹脂を含有する。ポリプロピレン樹脂は、プロピレンの重合体であるが、本発明においては、他のモノマーとの共重合体も含む。本発明のポリプロピレン樹脂の例には、ホモポリプロピレン樹脂、プロピレンとエチレンおよび炭素数4〜10のα−オレフィンとのブロック共重合体(「ブロックポリプロピレン」ともいう)、プロピレンとエチレンおよび炭素数4〜10のα−オレフィンとのランダム共重合体(「ランダムポリプロピレン」ともいう)が含まれる。なお、「ブロックポリプロピレン」と「ランダムポリプロピレン」を合わせて、「ポリプロピレン共重合体」ともいう。
ポリプロピレン共重合体に用いられる炭素数4〜10のα−オレフィンの例には、1−ブテン、1−ペンテン、イソブチレン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3,4−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、3−メチル−1−ヘキセンが含まれる。
ポリプロピレン共重合体中のエチレンの含有量は、全モノマー中、5質量%以下であることが好ましい。ポリプロピレン共重合体中の炭素数4〜10のα−オレフィンの含有量は、全モノマー中20質量%以下であることが好ましい。
ポリプロピレン共重合体は、プロピレンとエチレンとの共重合体、またはプロピレンと1−ブテンとの共重合体であることが好ましく、特にプロピレンとエチレンとの共重合体が好ましい。
本発明の樹脂組成物はC成分としてスチレン系熱可塑性エラストマーを含有する。本発明で使用するスチレン系熱可塑性エラストマーは下記式(I)または(II)で表されるブロック共重合体であることが好ましい。
X−(Y−X)n …(I)
(X−Y)n …(II)
本発明の樹脂組成物はD成分として無機充填材を含有する。無機充填材は、ガラス繊維、扁平ガラス繊維、ミルドファイバー、炭素繊維、ガラスフレーク、ワラストナイト、カオリンクレー、マイカ、タルクおよび各種ウイスカー類(チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカーなど)といった一般に知られている各種フィラーを使用することができる。無機充填材の形状は繊維状、フレーク状、球状、中空状を自由に選択でき、樹脂組成物の強度や耐衝撃性の向上のためには特に繊維状、板状のものが好適に用いられる。また、ガラス繊維やガラスフレークといったガラス系の無機充填材は成形時に金型を磨耗させやすいといった問題があるため、D成分としてはケイ酸塩鉱物がより好適に用いられる。本発明のD成分として使用されるケイ酸塩鉱物は、少なくとも金属酸化物成分とSiO2成分とからなる鉱物であり、オルトシリケート、ジシリケート、環状シリケート、および鎖状シリケートなどが好適である。ケイ酸塩鉱物は結晶状態を取るものであり、また結晶の形状も繊維状や板状などの各種の形状を取ることができる。
各金属酸化物成分(MO)におけるケイ酸塩鉱物の具体例としては以下のものが挙げられる。ここでカッコ内の表記はかかるケイ酸塩鉱物を主成分とする鉱物等の名称であり、例示された金属塩としてカッコ内の化合物が使用できることを意味する。
Na2Oをその成分に含むものとしては、Na2O・SiO2、およびその水化物、Na2O・2SiO2、2Na2O・SiO2、Na2O・4SiO2、Na2O・3SiO2・3H2O、Na2O・Al2O3・2SiO2、Na2O・Al2O3・4SiO2(ヒスイ輝石)、2Na2O・3CaO・5SiO2、3Na2O・2CaO・5SiO2、およびNa2O・Al2O3・6SiO2(曹長石)などが挙げられる。
BaOをその成分に含むものとしては、BaO・SiO2、2BaO・SiO2、BaO・Al2O3・2SiO2(セルシアン)、およびBaO・TiO2・3SiO2(ベントアイト)などが挙げられる。
またその他のCaOをその成分に含むケイ酸塩鉱物として高炉スラグやフェライトなどを挙げることができる。
MnOをその成分に含むものとしては、MnO・SiO2、2MnO・SiO2、CaO・4MnO・5SiO2(ロードナイト)およびコーズライトなどが挙げられる。
FeOをその成分に含むものとしては、FeO・SiO2(フェロシライト)、2FeO・SiO2(鉄カンラン石)、3FeO・Al2O3・3SiO2(アルマンジン)、および2CaO・5FeO・8SiO2・H2O(テツアクチノセン石)などが挙げられる。
CoOをその成分に含むものとしては、CoO・SiO2および2CoO・SiO2などが挙げられる。
Fe2O3をその成分に含むものとしては、Fe2O3・SiO2などが挙げられる。
ZrO2をその成分に含むものとしては、ZrO2・SiO2(ジルコン)およびAZS耐火物などが挙げられる。
上記ケイ酸塩鉱物の中でも特に好適であるのは、マイカ、タルク、およびワラストナイトであり、特にタルクを含む1種以上のケイ酸塩鉱物であることがより好ましい。
本発明におけるタルクとは、化学組成的には含水珪酸マグネシウムであり、一般的には化学式4SiO2・3MgO・2H2Oで表され、通常層状構造を持った鱗片状の粒子であり、また組成的にはSiO2を56〜65重量%、MgOを28〜35重量%、H2O約5重量%程度から構成されている。その他の少量成分としてFe2O3が0.03〜1.2重量%、Al2O3が0.05〜1.5重量%、CaOが0.05〜1.2重量%、K2Oが0.2重量%以下、Na2Oが0.2重量%以下などを含有している。タルクの粒子径は、沈降法により測定される平均粒径が0.1〜15μm(より好ましくは0.2〜12μm、更に好ましくは0.3〜10μm、特に好ましくは0.5〜5μm)の範囲であることが好ましい。更にかさ密度を0.5(g/cm3)以上としたタルクを原料として使用することが特に好適である。タルクの平均粒径は、液相沈降法の1つであるX線透過法で測定されたD50(粒子径分布のメジアン径)をいう。かかる測定を行う装置の具体例としてはマイクロメリティックス社製Sedigraph5100などを挙げることができる。
さらにタルクは、その取り扱い性等の点で凝集状態であるものが好ましく、かかる製法としては脱気圧縮による方法、集束剤を使用し圧縮する方法等がある。特に脱気圧縮による方法が簡便かつ不要の集束剤樹脂成分を本発明の樹脂組成物中に混入させない点で好ましい。
マイカは、マイクロトラックレーザー回折法により測定した平均粒径が10〜100μmのものを好ましく使用できる。より好ましくは平均粒径が20〜50μmのものである。マイカの平均粒径が10μm未満では剛性に対する改良効果が十分でない場合があり、100μmを越えても剛性の向上が十分でなく、衝撃特性等の機械的強度の低下も著しくなる場合があり好ましくない。マイカは、電子顕微鏡の観察により実測した厚みが0.01〜1μmのものを好ましく使用できる。より好ましくは厚みが0.03〜0.3μmである。アスペクト比としては好ましくは5〜200、より好ましくは10〜100のものを使用できる。また使用するマイカはマスコバイトマイカが好ましく、そのモース硬度は約3である。マスコバイトマイカはフロゴバイトなど他のマイカに比較してより高剛性および高強度を達成でき、本発明の課題をより良好なレベルにおいて解決する。また、マイカの粉砕法としては乾式粉砕法および湿式粉砕法のいずれで製造されたものであってもよい。乾式粉砕法の方が低コストで一般的であるが、一方湿式粉砕法は、マイカをより薄く細かく粉砕するのに有効であり、その結果樹脂組成物の剛性向上効果はより高くなる。
ワラストナイトの繊維径は0.1〜10μmが好ましく、0.1〜5μmがより好ましく、0.1〜3μmが更に好ましい。またそのアスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)は3以上が好ましい。アスペクト比の上限としては30以下が挙げられる。ここで繊維径は電子顕微鏡で強化フィラーを観察し、個々の繊維径を求め、その測定値から数平均繊維径を算出する。電子顕微鏡を使用するのは、対象とするレベルの大きさを正確に測定することが光学顕微鏡では困難なためである。繊維径は、電子顕微鏡の観察で得られる画像に対して、繊維径を測定する対象のフィラーをランダムに抽出し、中央部の近いところで繊維径を測定し、得られた測定値より数平均繊維径を算出する。観察の倍率は約1000倍とし、測定本数は500本以上(600本以下が作業上好適である)で行う。一方平均繊維長の測定は、フィラーを光学顕微鏡で観察し、個々の長さを求め、その測定値から数平均繊維長を算出する。光学顕微鏡の観察は、フィラー同士があまり重なり合わないように分散されたサンプルを準備することから始まる。観察は対物レンズ20倍の条件で行い、その観察像を画素数が約25万であるCCDカメラに画像データとして取り込む。得られた画像データを画像解析装置を使用して、画像データの2点間の最大距離を求めるプログラムを使用して、繊維長を算出する。かかる条件の下では1画素当りの大きさが1.25μmの長さに相当し、測定本数は500本以上(600本以下が作業上好適である)で行う。
珪酸塩鉱物(より好適には、マイカ、タルク、ワラストナイト)は、表面処理されていないことが好ましいが、シランカップリング剤、高級脂肪酸エステル、およびワックスなどの各種表面処理剤で表面処理されていてもよい。さらに各種樹脂、高級脂肪酸エステル、およびワックスなどの集束剤で造粒し顆粒状とされていてもよい。
本発明の樹脂組成物はE成分としてC成分以外のゴム状弾性体を含有することができる。ゴム状弾性体は、ガラス転移温度が10℃以下、好ましくは−10℃以下、より好ましくは−30℃以下のゴム成分を40重量%以上含有するものである。例えば、かかるゴム成分に、芳香族ビニル、シアン化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、およびこれらと共重合可能なビニル化合物から選択されたモノマーの1種または2種以上が共重合されたグラフト共重合体を挙げることができる。一方、C成分以外の架橋構造を有しない熱可塑性エラストマーとして知られている各種、例えばポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリエーテルアミドエラストマー等を使用することも可能である。ここでいうガラス転移温度が10℃以下のゴム成分としては、ブタジエンゴム、ブタジエン−アクリル複合ゴム、アクリルゴム、アクリル−シリコーン複合ゴム、イソブチレン−シリコーン複合ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ニトリルゴム、エチレン−アクリルゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴムおよびこれらの不飽和結合部分に水素が添加されたものを挙げることができる。
本発明の樹脂組成物はF成分としてフェノール系熱安定剤を含有することができる。フェノール系熱安定剤としては一般的にヒンダードフェノール、セミヒンダードフェノール、レスヒンダードフェノール化合物が挙げられるが、ポリプロピレン系樹脂に対して熱安定処方を施すという観点で特にヒンダードフェノール化合物がより好適に用いられる。かかるヒンダードフェノール化合物としては、例えば、α−トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、シナピルアルコール、ビタミンE、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−ジメチレン−ビス(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)、2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、1,6−へキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス[2−tert−ブチル−4−メチル6−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1,−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、4,4’−ジ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−トリ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2−チオジエチレンビス−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、N,N’−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス2[3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)アセテート、3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)アセチルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、テトラキス[メチレン−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)ベンゼン、およびトリス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)イソシアヌレートなどが例示される。上記化合物の中でも、本発明において、テトラキス[メチレン−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]メタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好適に用いられ、さらに加工時の熱分解による機械特性低下の抑制に優れるものとして、下記式(5)で表される(3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、および下記式(6)で表される1,3,5−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンがより好適に用いられる。
F成分の含有量は、A成分とB成分との合計100重量部に対し、好ましくは0.05〜1.0重量部であり、より好ましくは0.07〜0.8重量部、さらに好ましくは0.1〜0.5重量部である。含有量が0.05重量部未満では加工時の熱分解抑制効果が発現せず、機械特性の低下が発生する場合があり、1.0重量部を超えても機械特性が低下する場合がある。
本発明の樹脂組成物はG成分としてリン系熱安定剤を含有することができる。リン系安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル、並びに第3級ホスフィンなどが例示される。
第3級ホスフィンとしては、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリアミルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、ジフェニルオクチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリナフチルホスフィン、およびジフェニルベンジルホスフィンなどが例示される。特に好ましい第3級ホスフィンは、トリフェニルホスフィンである。
本発明の樹脂組成物はH成分として酸化チタンを含有することができる。使用される酸化チタンとしては、有機物で表面処理された平均粒子径が0.1〜5.0μmの酸化チタンが好ましい。(尚、本発明においては酸化チタン顔料の酸化チタン成分を“TiO2”と表記し、表面処理剤を含む顔料全体について“酸化チタン”と表記する)H成分におけるTiO2は結晶形がアナタース型、ルチル型のいずれのものでもよく、それらは必要に応じて混合して使用することもできる。初期の機械特性や長期耐候性の点でより好ましいのはルチル型である。尚、ルチル型結晶中にアナタース型結晶を含有するものでもよい。更にTiO2の製法は硫酸法、塩素法、その他種々の方法によって製造された物を使用できるが、塩素法がより好ましい。また本発明の酸化チタンは、特に、その形状を限定するものではないが粒子状のものがより好適である。酸化チタンは、通常各種着色用途に使用されており、本発明のH成分として使用される酸化チタンの平均粒子径は、0.10〜5.0μmであることが好ましく、0.15〜2.0μmがより好ましく、0.18〜1.5μmがさらに好ましい。平均粒子径が0.10μmより小さい場合、高充填した場合にシルバー等の外観不良が発生しやすく、また、5.0μmより大きい場合、外観の悪化や機械特性の低下が起こる場合がある。なお、かかる平均粒子径は電子顕微鏡観察から、個々の単一粒子径を測定しその数平均により算出される。
(i)離型剤
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、その成形時の生産性向上や成形品の歪みの低減を目的として、更に離型剤を配合することが好ましい。かかる離型剤としては公知のものが使用できる。例えば、飽和脂肪酸エステル、不飽和脂肪酸エステル、ポリオレフィン系ワックス(ポリエチレンワックス、1−アルケン重合体など。酸変性などの官能基含有化合物で変性されているものも使用できる)、シリコーン化合物、フッ素化合物(ポリフルオロアルキルエーテルに代表されるフッ素オイルなど)、パラフィンワックス、蜜蝋などを挙げることができる。中でも好ましい離型剤として脂肪酸エステルが挙げられる。かかる脂肪酸エステルは、脂肪族アルコールと脂肪族カルボン酸とのエステルである。かかる脂肪族アルコールは1価アルコールであっても2価以上の多価アルコールであってもよい。また該アルコールの炭素数としては、3〜32の範囲、より好適には5〜30の範囲である。かかる一価アルコールとしては、例えばドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、エイコサノール、テトラコサノール、セリルアルコール、およびトリアコンタノールなどが例示される。かかる多価アルコールとしては、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ポリグリセロール(トリグリセロール〜ヘキサグリセロール)、ジトリメチロールプロパン、キシリトール、ソルビトール、およびマンニトールなどが挙げられる。本発明の脂肪酸エステルにおいては多価アルコールがより好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は紫外線吸収剤を含有することができる。ベンゾフェノン系では、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシトリハイドライドレイトベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−ソジウムスルホキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンソフェノン、および2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノンなどが例示される。
シアノアクリレート系では、例えば1,3−ビス−[(2’−シアノ−3’,3’−ジフェニルアクリロイル)オキシ]−2,2−ビス[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル)プロパン、および1,3−ビス−[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]ベンゼンなどが例示される。
紫外線吸収剤の含有量は、A成分とB成分との合計100重量部に対して、好ましくは0.01〜2重量部、より好ましくは0.02〜2重量部、さらに好ましくは0.03〜1重量部、更に好ましくは0.05〜0.5重量部である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物はヒンダードアミン系光安定剤を含有することができる。ヒンダードアミン系光安定剤は一般にHALS(Hindered Amine Light Stabilizer)と呼ばれ、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン骨格を構造中に有する化合物であり、例えば、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルアセトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−フェノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(エチルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(シクロヘキシルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)カーボネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)オキサレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)マロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)テレフタレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)カーボネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)オキサレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)マロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アジペート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)テレフタレート、N,N’−ビス−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル−1,3−ベンゼンジカルボキシアミド、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)エタン、α,α’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−p−キシレン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルトリレン−2,4−ジカルバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ヘキサメチレン−1,6−ジカルバメート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、N,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,4−トリカルボキシレート、1−[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}ブチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、及び1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物などが挙げられる。
上記化合物の中でも、本発明において、下記式(8)で表される化合物がより好適に用いられる。
ヒンダードアミン系光安定剤の含有量は、A成分およびB成分の合計100重量部に対し、0〜1重量部であることが好ましく、0.05〜1重量部がより好ましく、さらに好ましくは0.08〜0.7重量部、特に好ましくは0.1〜0.5重量部である。ヒンダードアミン系光安定剤の含有量が1重量部より多いとガス発生による外観不良やポリカーボネート樹脂の分解による物性低下が起こる場合があり好ましくない。また、0.05重量部未満であると、十分な耐光性が発現しない場合がある。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は更に各種の染顔料を含有し多様な意匠性を発現する成形品を提供できる。蛍光増白剤やそれ以外の発光をする蛍光染料を配合することにより、発光色を生かした更に良好な意匠効果を付与することができる。また極微量の染顔料による着色、かつ鮮やかな発色性を有するポリカーボネート樹脂組成物もまた提供可能である。
上記の染顔料の含有量は、A成分とB成分との合計100重量部に対して、0.00001〜1重量部が好ましく、0.00005〜0.5重量部がより好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、上記のリン系熱安定剤およびフェノール系熱安定剤以外の他の熱安定剤を配合することもできる。かかるその他の熱安定剤は、これらの安定剤および酸化防止剤のいずれかと併用されることが好ましく、特に両者と併用されることが好ましい。かかる他の熱安定剤としては、例えば3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンとo−キシレンとの反応生成物に代表されるラクトン系安定剤(かかる安定剤の詳細は特開平7−233160号公報に記載されている)が好適に例示される。かかる化合物はIrganox HP−136(商標、CIBA SPECIALTY CHEMICALS社製)として市販され、該化合物を利用できる。更に該化合物と各種のホスファイト化合物およびヒンダードフェノール化合物を混合した安定剤が市販されている。例えば上記社製のIrganox HP−2921が好適に例示される。本発明においてもかかる予め混合された安定剤を利用することもできる。ラクトン系安定剤の配合量は、A成分とB成分との合計100重量部に対し、好ましくは0.0005〜0.05重量部、より好ましくは0.001〜0.03重量部である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、H成分とは別に、光高反射用白色顔料を配合して光反射効果を付与することができる。かかる白色顔料としては硫化亜鉛、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、焼成カオリンなどが挙げられる。かかる光高反射用白色顔料の含有量は、A成分とB成分との合計100重量部に対して、3〜30重量部が好ましく、8〜25重量部がより好ましい。尚、光高反射用白色顔料は2種以上を併用することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には難燃剤を配合して難燃性を付与することができる。かかる難燃剤としては従来、熱可塑性樹脂、特にポリカーボネート系樹脂の難燃剤として知られる各種の化合物が適用できるが、より好適には、(i)ハロゲン系難燃剤(例えば、臭素化ポリカーボネート化合物など)(ii)リン系難燃剤(例えば、モノホスフェート化合物、ホスフェートオリゴマー化合物ホスホネートオリゴマー化合物、ホスホニトリルオリゴマー化合物、ホスホン酸アミド化合物、およびホスファゼン化合物など)、(iii)金属塩系難燃剤(例えば有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩、ホウ酸金属塩系難燃剤、および錫酸金属塩系難燃剤など)、(iv)シリコーン化合物からなるシリコーン系難燃剤である。尚、難燃剤として使用される化合物の配合は難燃性の向上のみならず、各化合物の性質に基づき、例えば帯電防止性、流動性、剛性、および熱安定性の向上などがもたらされる。
本発明の樹脂組成物には、他の樹脂を本発明の効果を発揮する範囲において、少割合使用することもできる。
かかる他の樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリメタクリレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。
その他、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には、成形品に種々の機能の付与や特性改善のために、それ自体知られた添加物を少割合配合することができる。これら添加物は本発明の目的を損なわない限り、通常の配合量である。
かかる添加剤としては、摺動剤(例えばPTFE粒子)、H成分以外の着色剤(例えばカーボンブラックなどの顔料、染料)、光拡散剤(例えばアクリル架橋粒子、シリコン架橋粒子、極薄ガラスフレーク、炭酸カルシウム粒子)、蛍光染料、無機系蛍光体(例えばアルミン酸塩を母結晶とする蛍光体)、帯電防止剤、結晶核剤、無機および有機の抗菌剤、光触媒系防汚剤(例えば微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛)、ラジカル発生剤、赤外線吸収剤(熱線吸収剤)、およびフォトクロミック剤などが挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採用される。例えばA成分〜D成分および任意に他の添加剤を、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などの予備混合手段を用いて充分に混合した後、必要に応じて押出造粒器やブリケッティングマシーンなどによりかかる予備混合物の造粒を行い、その後ベント式二軸押出機に代表される溶融混練機で溶融混練し、その後ペレタイザーによりペレット化する方法が挙げられる。
溶融混練機としては二軸押出機の他にバンバリーミキサー、混練ロール、単軸押出機、3軸以上の多軸押出機などを挙げることができる。
本発明における樹脂組成物は、通常上述の方法で得られたペレットを射出成形して各種製品を製造することができる。かかる射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、適宜目的に応じて、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体の注入によるものを含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、サンドイッチ成形、および超高速射出成形などの射出成形法を用いて成形品を得ることができる。これら各種成形法の利点は既に広く知られるところである。また成形はコールドランナー方式およびホットランナー方式のいずれも選択することができる。
(i)外観
下記の方法で作製して得られたISO引張試験片の外観について、目視で評価した。なお、評価は下記の基準で実施した。
◎:外観が特に優れているもの
○:ほとんど外観不良が見られないもの
△:ゲート側からのフローマークやシルバー等の外観不良が若干発生しているもの
×:ゲート側からのフローマークやシルバー等の外観不良が強く発生しているもの
下記の方法で得られたISO引張試験片を用いて、3点曲げ試験法にて、1%歪みをかけた後、マジックリン、バスマジックリンおよびトイレマジックリン(全て、花王(株)製)を含浸させた布をかけ、23℃で96時間放置した後に、外観変化の有無を確認した。なお、評価は下記の基準で実施した。
○:外観変化が見られないもの
△:微細なクラックの発生が見られるもの
×:破断にいたるような大きなクラックが見られるもの
下記の方法で得られたISO曲げ試験片を用いて、ISO 178に従い、曲げ弾性率の測定を実施した。
下記の方法で得られたISO曲げ試験片を用いて、ISO 179に従い、ノッチ付きのシャルピー衝撃強度の測定を実施した。
下記の方法で得られた角板を用いて、JIS K5600−5−4に準じて、下記の条件にて鉛筆硬度を求めた。
[使用機器]
試験機 : 鉛筆硬度試験機 No.553−M(株式会社安田精機製作所 製)
使用鉛筆 : 三菱鉛筆uni(HB〜5B)
※鉛筆は芯を約5〜6mm露出させ、#400のサンドペーパーで先端が平らで角が鋭くなるよう研磨
[試験条件]
荷重 : 750g
試験速度 : 約30mm/min
[判定基準]
試験部位を目視により観察し、判定○(傷がつかない)となる鉛筆硬度を求めた。
表1〜表4に示す組成で、B成分のポリプロピレン系樹脂を除く成分からなる混合物を押出機の第1供給口から供給した。かかる混合物はV型ブレンダーで混合して得た。B成分のポリプロピレン系樹脂は、第2供給口からサイドフィーダーを用いて供給した。押出は径30mmφのベント式二軸押出機((株)日本製鋼所TEX30α−38.5BW−3V)を使用し、スクリュー回転数230rpm、吐出量25kg/h、ベントの真空度3kPaで溶融混練しペレットを得た。なお、押出温度については、第1供給口からダイス部分まで260℃で実施した。
得られたペレットの一部は、90〜100℃で6時間熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、射出成形機を用いて、シリンダー温度260℃、金型温度70℃にて評価用の試験片(ISO引張試験片(ISO527−1及びISO527−2準拠)、ISO曲げ試験片(ISO178およびISO179準拠))および角板(150mm×150mm×2mmt)を成形した。
(A成分)
A−1:芳香族ポリカーボネート樹脂(ビスフェノールAとホスゲンから常法によって作られた粘度平均分子量25,100のポリカーボネート樹脂粉末、帝人(株)製 パンライトL−1250WQ(製品名))
A−2:芳香族ポリカーボネート樹脂(ビスフェノールAとホスゲンから常法によって作られた粘度平均分子量22,400のポリカーボネート樹脂粉末、帝人(株)製 パンライトL−1225WP(製品名))
A−3:芳香族ポリカーボネート樹脂(ビスフェノールAとホスゲンから常法によって作られた粘度平均分子量19,800のポリカーボネート樹脂粉末、帝人(株)製 パンライトL−1225WX(製品名))
A−4:ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂(粘度平均分子量19,800、PDMS量8.4%、PDMS重合度37)
B−1:ポリプロピレン樹脂(ホモポリマー、MFR:2.0g/10min、(株)サンアロマー製 サンアロマーPL400A(製品名))
B−2:ポリプロピレン樹脂(ホモポリマー、MFR:0.5g/10min、(株)サンアロマー製 サンアロマーVS200A(製品名))
B−3:ポリプロピレン樹脂(ホモポリマー、MFR:10g/10min、(株)サンアロマー製 サンアロマーVS700A(製品名))
B−4:ポリプロピレン樹脂(ブロックポリマー、MFR:1.5g/10min、(株)サンアロマー製 サンアロマーVB370BA(製品名))
C−1:スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体(スチレン含有量:65wt%、MFR:0.4g/10min、(株)クラレ製 セプトン2104(製品名))
C−2:スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体(スチレン含有量:30wt%、MFR:70g/10min、(株)クラレ製 セプトン2002(製品名))
C−3:スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(スチレン含有量:67wt%、MFR:2.0g/10min、旭化成ケミカルズ(株)製 タフテックH1043(製品名))
C−4:スチレン−ブタジエン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(スチレン含有量:67wt%、MFR:28g/10min、旭化成ケミカルズ(株)製 タフテックP2000(製品名))
D−1:タルク(林化成(株)製;HST0.8(商品名)、平均粒径3.5μm)
D−2:タルク(IMI Fabi S.p.A.(株)製;HTP ultra 5c(商品名)、平均粒径0.5μm)
D−3:タルク(勝光山鉱業所(株)製;ビクトリライト SG−A(商品名)、平均粒径15.2μm)
D−4:ワラストナイト(NYCO社製:NYGLOS4(商品名))
D−5:マイカ(キンセイマテック(株)製:マイカパウダー MT−200B(商品名))
E−1:ブタジエン系コアシェル型グラフトポリマー(コアがブタジエンゴムを主成分として70wt%、シェルがメチルメタクリレートとスチレンを主成分として30wt%であるコアシェル構造を有するグラフト共重合体、(株)カネカ製 カネエースM−701(製品名))
E−2:ブタジエン系コアシェル型グラフトポリマー(コアがブタジエンゴムを主成分として60wt%、シェルがメチルメタクリレートを主成分として40wt%であるコアシェル構造を有するグラフト共重合体、(株)カネカ製 カネエースM−711(製品名))
E−3:アクリル系コアシェル型グラフトポリマー(コアがブタジエン−アクリル複合ゴムとブチルアクリレートを主成分として60wt%、シェルがメチルメタクリレートを主成分として40wt%であるコアシェル構造を有するグラフト共重合体、三菱レイヨン(株)製 メタブレンW−600A(製品名))
E−4:シリコーン系コアシェル型グラフトポリマー(コアがアクリル−シリコーン複合ゴムを主成分として70wt%、シェルがメチルメタクリレートを主成分として30wt%であるコアシェル構造を有するグラフト共重合体、三菱レイヨン(株)製 メタブレンS−2001(製品名))
E−5:シリコーン系コアシェル型グラフトポリマー(コアがアクリル−シリコーン複合ゴムを主成分として70wt%、シェルがアクリロニトリルとスチレンを主成分として30wt%であるコアシェル構造を有するグラフト共重合体、三菱レイヨン(株)製 メタブレンSRK−200A(製品名))
E−6:エチレン−アクリル酸エチル コポリマー(エチレンとアクリル酸エチルの共重合体、日本ポリエチレン(株)製 レクスパールEEA A4250(製品名))
F−1:フェノール系熱安定剤(オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、分子量531、BASFジャパン(株)製 Irganox 1076(製品名))
F−2:フェノール系熱安定剤(3,3´,3´´,5,5´,5´´−ヘキサ−tert−ブチル−a,a´,a´´−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、分子量775、BASFジャパン(株)製 Irganox 1330(製品名))
F−3:フェノール系熱安定剤(1,3,5−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、分子量784、BASFジャパン(株)製 Irganox 3114(製品名))
G−1:リン系熱安定剤(トリメチルフォスフェート、大八化学工業(株)製 TMP(製品名))
G−2:リン系熱安定剤(トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、チバスペシャルティケミカルズ(株)製;Irgafos168(商品名))
(H成分)
H:酸化チタン(酸化チタン、0.2〜0.3μm、タイオキサイド社製 RTC−30(製品名))
(その他の成分)
WAX:脂肪酸エステル系離型剤(理研ビタミン(株)製 リケマールSL900(製品名))
Claims (16)
- (A)ポリカーボネート系樹脂(A成分)および(B)ポリプロピレン系樹脂(B成分)の合計100重量部に対し、(C)スチレン系熱可塑性エラストマー(C成分)1〜15重量部および(D)無機充填材(D成分)1〜100重量部を含むことを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
- D成分がケイ酸塩鉱物である請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 樹脂成分100重量部に対し、(E)C成分以外のゴム状弾性体(E成分)1〜10重量部を含む請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- E成分がコアシェル型グラフトポリマーである請求項3に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- E成分がスチレン成分を含まないコアシェル型グラフトポリマーである請求項4に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- C成分のスチレン単位の含有量が40〜70重量%である請求項1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- C成分中の水添ポリジエン単位が水添イソプレン単位であり、エチレン・プロピレンブロック単位を有するブロック共重合体である請求項1〜6のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- C成分中の水添ポリジエン単位が水添ブタジエン単位であり、エチレン・ブチレンブロック単位を有するブロック共重合体である請求項1〜6のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- C成分中の水添ポリジエン単位が部分水添ブタジエン単位であり、ブダジエン・ブチレンブロック単位を有するブロック共重合体である請求項1〜6のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- C成分の230℃、2.16kg荷重でのMFRが0.1〜10g/10minである請求項1〜9のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- B成分の230℃、2.16kg荷重でのMFRが0.1〜5g/10minである請求項1〜10のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- (A)ポリカーボネート系樹脂(A成分)および(B)ポリプロピレン系樹脂(B成分)の割合(重量比)(A/B)が90/10〜60/40である請求項1〜11のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 樹脂成分100重量部に対し、(F)フェノール系熱安定剤(F成分)を0.05〜1.0重量部含む請求項1〜12のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 樹脂成分100重量部に対し、(G)リン系熱安定剤(G成分)を0.05〜1.0重量部含む請求項1〜14のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 樹脂成分100重量部に対し、(H)酸化チタン(H成分)を0.1〜10重量部含むことを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
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