JP2001234051A - 難燃性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

難燃性熱可塑性樹脂組成物

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐衝撃性、流動性、耐熱性、難燃性、耐面衝
撃性に優れ、金型汚染性が少ない非ハロゲン性の難燃性
熱可塑性樹脂組成物を提供すること。 【解決手段】 (A)特定の平均ゴム粒径を有するゴム
質重合体の存在下に単量体成分をグラフト重合して得ら
れ、グラフト率が60〜120%であるゴム強化樹脂、
および(B)特定の重量平均分子量を有する芳香族ポリ
カーボネートに対して、(C)特定の化学構造を有する
2種のリン酸エステル化合物、ならびに、(D)ポリテ
トラフルオロエチレンを配合してなる難燃性熱可塑性樹
脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐衝撃性、流動
性、耐熱性、難燃性、耐面衝撃性に優れ、金型汚染性が
少ない非ハロゲン系の難燃性熱可塑性樹脂組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、難燃性を付与したスチレン系樹脂
/ポリカーボネートアロイ材料は、成形品表面外観、成
形加工性、機械的性質などが優れていることより、パソ
コン筐体、PPC部品、ゲーム機器などの電気・電子分
野、OA機器分野に幅広く使用されている。上記材料に
難燃性を付与するために、通常、臭素化合物、塩素化合
物、三酸化アンチモンなどが難燃剤として使用されてい
る。しかし、近年、これらの製品の加工時や燃焼時に発
生するハロゲン化合物の変性物質が人体に悪影響を与え
ることが指摘されており、環境保護の立場よりハロゲン
系難燃剤の使用を自粛する傾向がある。そこで、スチレ
ン系樹脂/ポリカーボネートアロイをベースにリン酸エ
ステル系難燃剤を組み合わせた難燃材料が上市されてき
ている。
【0003】しかしながら、リン酸エステル系難燃剤と
して、単分子型のリン系難燃剤(例えば、トリフェニル
フォスフェートなど)では、その分子量が低いため、成
形時の金型汚染、ガス発生の問題がある。一方、従来の
オリゴマー型リン系難燃剤(例えば、トリフェニルフォ
スフェートのオリゴマーなど)では、高温高湿下で分解
し易く、そのため、ポリカーボネートの分子量を低下さ
せ易いという問題があった。さらに、これらのオリゴマ
ー型リン系難燃剤は、実用的な強度(例えば、耐面衝撃
性)が劣るなどの問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の課題を背景になされたもので、上記問題点を解決で
きる、耐衝撃性、流動性、耐熱性、難燃性、耐面衝撃
性、高温高湿下での安定性に優れ、金型汚染性が少ない
非ハロゲン系の難燃性熱可塑性樹脂組成物を提供するこ
とを目的とする。本発明者らは、かかる現状に鑑み、鋭
意材料の開発について検討した結果、特定のゴム強化樹
脂、特定の芳香族ポリカーボネート、特定の化学構造を
有する2種のリン酸エステル系難燃剤および特定の添加
剤を使用することで、上記問題点を解決できることを見
いだし、本発明を完成するに至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、(A)(a)
平均ゴム粒径が80〜500nmのゴム質重合体10〜
70重量%の存在下に、(b)芳香族ビニル化合物、シ
アン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル、酸
無水物系化合物、およびマレイミド系化合物の群から選
ばれた少なくとも1種の単量体成分90〜30重量%
〔ただし、(a)+(b)=100重量%〕を重合して
得られ、かつ、グラフト率が60〜120%であるゴム
強化樹脂5〜50重量部、ならびに(B)重量平均分子
量が16,000〜30,000の芳香族ポリカーボネ
ート95〜50重量部、の合計100重量部〔ただし、
(A)+(B)=100重量部〕に対して、(C−1)
下記一般式(I)で表されるリン系難燃剤1〜30重量
部、(C−2)下記一般式(II)で表されるリン系難燃
剤1〜30重量部、および(D)ポリテトラフルオロエ
チレン0.1〜10重量部を含有することを特徴とする
難燃性熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0006】
【化3】
【0007】(ただし、R1 ,R2 ,R3 およびR
4 は、それぞれ相互に独立して選ばれるフェニル基また
はキシレニル基、Xはm−フェニレン基を表し、mは
0.5〜1.2である。)
【0008】
【化4】
【0009】(ただし、R5 ,R6 ,R7 およびR
8 は、それぞれ相互に独立して選ばれるフェニル基また
はキシレニル基、Yは2,2−ビス(4′−フェニレ
ン)プロパン基を表し、nは0.5〜1.2である。) 上記(C−2)成分の割合は、(C−1)成分および
(C−2)成分の合計100重量%中に、50〜95重
量%であることが好ましい。また、本発明の難燃性熱可
塑性樹脂組成物では、上記(A)〜(D)成分を溶融混
練りしてペレット化する際に、(D)成分と(E)滑剤
とを、あらかじめ(E)/(D)=0.1〜2.0(重
量比)の割合でブレンドしたものを使用することが好ま
しい。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の(A)成分は、(a)平
均ゴム粒径が80〜500nmのゴム質重合体10〜7
0重量%の存在下に、(b)芳香族ビニル化合物、シア
ン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル、酸無
水物系化合物、およびマレイミド系化合物の群から選ば
れた少なくとも1種の単量体成分90〜30重量%〔た
だし、(a)+(b)=100重量%〕を重合して得ら
れ、かつ、グラフト率が60〜120%であるゴム強化
樹脂である。なお、本発明の(A)ゴム強化樹脂は、上
記グラフト重合して得られるグラフト共重合体に、上記
(b)単量体成分の群から選ばれた少なくとも1種の単
量体成分の(共)重合体を別に製造し、ブレンドしたも
のでもよい。
【0011】上記(a)ゴム質重合体としては、ポリブ
タジエン、ポリブタジエンの水素添加物、ブタジエン−
スチレン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、ブ
タジエン−アクリロニトリル共重合体、エチレン−プロ
ピレン−(非共役ジエン)共重合体、エチレン−ブテン
−1−(非共役ジエン)共重合体、イソブチレン−イソ
プレン共重合体、アクリルゴム、スチレン−ブタジエン
−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−
スチレンブロック共重合体、SEBSなどの水素添加ジ
エン系(ブロック、ランダム、およびホモ)(共)重合
体、ポリウレタンゴムおよびシリコーンゴムなどが挙げ
られる。これらの中で、ポリブタジエン、ブタジエン−
スチレン共重合体、エチレン−プロピレン−(非共役)
ジエン共重合体、水素添加ジエン系(共)重合体、シリ
コーンゴムなどが好ましい。またシリコーンゴムを用い
る場合は、ビニル基を含有するグラフト交叉剤(例え
ば、p−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン、2−
(p−ビニルフェニル)エチルメチルジメトキシシラ
ン、2−(p−ビニルフェニル)エチレンメチルジメト
キシシランなど)をポリオルガノシロキサンに共縮合し
たものを使用するのが好ましい。本発明のゴム質重合体
は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混
合して使用することもできる。
【0012】上記(a)ゴム質重合体の平均ゴム粒径
は、80〜500nmの、好ましくは100〜400n
m、さらに好ましくは150〜350nmである。平均
ゴム粒径が80nm未満であると、本発明の難燃性熱可
塑性樹脂組成物の耐衝撃性が劣り、一方、500nmを
超えると成形品外観が劣る。また、平均ゴム粒径の異な
る2種のゴム質重合体を用いると、さらに耐衝撃性−流
動性バランスに優れる本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成
物が得られる。好ましい平均ゴム粒径としては、80〜
180nmと180〜480nmの2種の平均ゴム粒径
の異なる(a)成分を組み合わせて使用することが好ま
しい。この場合、2種のゴム質重合体の存在下で(b)
単量体成分をグラフト重合して(A)成分を合成して
も、またゴム粒径の異なる2種の(A)成分を配合する
こともできる。
【0013】また、上記(A)ゴム強化樹脂中の(a)
ゴム質重合体の含有量は、10〜70重量%、好ましく
は15〜65重量%、さらに好ましくは20〜60重量
%〔ただし、(a)+(b)=100重量%〕である。
(A)成分中の(a)ゴム質重合体の含有量が10重量
%未満では、充分な耐衝撃性が得られず、一方、70重
量%を超える場合は、成形品外観不良や、成形加工性
(流動性)の低下が生じ、好ましくない。
【0014】(A)成分のグラフト重合に用いられる
(b)単量体成分は、芳香族ビニル化合物、シアン化ビ
ニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル、酸無水物系
化合物、およびマレイミド系化合物の群から選ばれた少
なくとも1種の単量体である。上記(b)単量体成分
は、1種単独であるいは2種以上を混合して用いられ
る。芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチ
ルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレ
ン、t−ブチルスチレン、ビニルトルエン、メチル−α
−メチルスチレン、臭素化スチレン、ジビニルベンゼ
ン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−
p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−ア
ミノメチルスチレン、ビニルピリジン、ビニルキシレン
などが挙げられる。この中で、スチレン、α−メチルス
チレン、p−メチルスチレンが好ましい。(b)単量体
成分中に、α−メチルスチレンを10〜50重量%、好
ましくは20〜30重量%用いると、本発明の難燃性熱
可塑性樹脂組成物に耐熱性を付与することができる。
【0015】シアン化ビニル化合物としては、アクリロ
ニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられ、アクリ
ロニトリルが好ましい。 (メタ)アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル
酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルな
どが挙げられる。これらのなかで、メタクリル酸メチ
ル、アクリル酸ブチルが好ましい。酸無水物系化合物と
しては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラ
コン酸などが挙げられ、無水マレイン酸が好ましい。
【0016】マレイミド系化合物としては、マレイミ
ド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N
−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、
N−ラウリルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミ
ド、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニ
ル)マレイミド、N−(2,6−ジエチルフェニル)マ
レイミド、N−(4−カルボキシフェニル)マレイミ
ド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、など
が挙げられる。これらのなかで、N−フェニルマレイミ
ドが好ましい。(b)単量体成分中に、マレイミド系化
合物を20〜80重量%用いると、本発明の難燃性熱可
塑性樹脂組成物の耐熱性を向上させることができる。
【0017】上記(b)単量体成分には、さらに必要に
応じて共重合可能な官能基含有ビニル単量体を使用する
ことができる。官能基含有ビニル単量体は、単独である
いは2種以上混合して用いられる。官能基含有ビニル単
量体としては、具体例として、グリシジルアクリレー
ト、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエー
テルなどのエポキシ基含有不飽和化合物;3−ヒドロキ
シ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス
−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロ
キシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−
プロペン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒ
ドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシスチレンな
どの水酸基含有不飽和化合物;アクリルアミド、メタク
リルアミドなどの不飽和カルボン酸アミド;アクリルア
ミン、メタクリル酸アミノメチル、メタクリル酸アミノ
エーテル、メタクリル酸アミノプロピル、アミノスチレ
ンなどのアミノ基含有不飽和化合物;アクリル酸、メタ
クリル酸などの不飽和酸;ビニルオキサゾリンなどのオ
キサゾリン基含有不飽和化合物などが挙げられる。これ
らの官能基含有ビニル単量体を共重合することで、
(B)成分または他の樹脂を配合した場合の界面密着
(相溶性)を高めることができる。これらの官能基含有
ビニル単量体の共重合量は、(b)成分中に好ましくは
0.1〜15重量%、さらに好ましくは0.5〜12重
量%である。
【0018】また、上記(A)ゴム強化樹脂中の(b)
単量体成分の含有量は、90〜30重量%、好ましくは
85〜35重量%、さらに好ましくは80〜40重量%
〔ただし、(a)+(b)=100重量%〕である。
【0019】上記(A)ゴム強化樹脂のグラフト率は、
60〜120%、好ましくは65〜110%、特に好ま
しくは70〜100%である。ここで、グラフト率
(%)は、(A)成分1g中のゴム成分をx、(A)成
分のメチルエチルケトン不溶分をyとすると、次式によ
り求められる値である。 グラフト率(%)=〔(y−x)/x〕×100 なお、上記ゴム成分xは、仕込み量から計算した値であ
る。また、上記メチルエチルケトン不溶分yは、(A)
成分1gを50mlのメチルエチルケトン中に投入し、
振とう機で室温下、2時間振とうし、遊離の(共)重合
体を溶解させ、遠心分離器を用いて、この溶液を15,
000rpmで30分間、遠心分離し、得られた不溶分
を、真空乾燥により120℃で1時間乾燥したものの重
量である。グラフト率が60%未満では、得られる難燃
性熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃強度の低下、成形品外観
不良が生じ好ましくない。一方、120%を超えると、
流動性が劣る。
【0020】なお、本発明の(A)ゴム強化樹脂中のマ
トリックス成分であるメチルエチルケトン可溶分の極限
粘度〔η〕(30℃、メチルエチルケトン中で測定)
は、好ましくは0.1〜1.5dl/g、さらに好まし
くは0.3〜1.0dl/gである。なお、極限粘度の
測定は、(A)成分1gを20mlのメチルエチルケト
ン中に投入し、振とう機で室温下、2時間振とうし、遊
離の(共)重合体を溶解させ、遠心分離器を用いて、こ
の溶液を15,000rpmで30分間、遠心分離し、
分離乾燥後の不溶分を除いた可溶分について測定する。
極限粘度〔η〕が上記範囲内であると、耐衝撃性、成形
加工性(流動性)に優れた本発明の難燃性熱可塑性樹脂
組成物が得られる。なお、上記グラフト率(%)、極限
粘度〔η〕は、ゴム強化樹脂を重合するときの、重合開
始剤、連鎖移動剤、乳化剤、溶剤などの種類や量、さら
に重合時間、重合温度などを変えることにより、容易に
制御することができる。
【0021】本発明の(A)ゴム強化樹脂は、(a)ゴ
ム質重合体の存在下に、(b)単量体成分を、公知の乳
化重合、溶液重合、懸濁重合などでラジカルグラフト重
合を行い、製造することができる。この際、乳化重合に
は、重合開始剤、連鎖移動剤(分子量調節剤)、乳化
剤、水などが用いられる。なお、ゴム強化樹脂を製造す
るのに用いるゴム質重合体および単量体成分は、ゴム質
重合体全量の存在下に、単量体成分を一括添加して重合
してもよく、分割もしくは連続添加して重合してもよ
い。また、これらを組み合わせた方法で、重合してもよ
い。さらに、ゴム質重合体の全量または一部を、重合途
中で添加して重合してもよい。
【0022】重合開始剤としては、クメンハイドロパー
オキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキ
サイド、パラメンタンハイドロパーオキサイドなどで代
表される有機ハイドロパーオキサイド類と含糖ピロリン
酸処方、スルホキシレート処方などで代表される還元剤
との組み合わせによるレドックス系、あるいは過硫酸カ
リウムなどの過硫酸塩、アゾビスイソブチロニトリル
(AIBN)、ベンゾイルパーオキサイド(BPO)、
ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシラウ
レイト、t−ブチルパーオキシモノカーボネートなどの
過酸化物が使用される。また、上記油溶性開始剤と水溶
性開始剤とを組み合わせてもよい。組み合わせる場合の
水溶性開始剤の添加比率は、全添加量の好ましくは50
重量%以下、さらに好ましくは25重量%以下である。
さらに、重合開始剤は、重合系に一括または連続的に添
加することができる。重合開始剤の使用量は、単量体成
分に対し、通常、0.1〜1.5重量%、好ましくは
0.2〜0.7重量%である。
【0023】連鎖移動剤は、公知のものが使用できる。
具体的には、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメル
カプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキシルメ
ルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テト
ラデシルメルカプタン、t−テトラデシルメルカプタン
などのメルカプタン類、テトラエチルチウラムスルフィ
ド、四塩化炭素、臭化エチレン、ペンタフェニルエタン
などの炭化水素塩類、テルペン類、またはアクロレイ
ン、メタクロレイン、アリルアルコール、2−エチルヘ
キシルチオグリコール、α−メチルスチレンのダイマー
などが挙げられる。これら連鎖移動剤は、単独でも2種
以上を組み合わせても使用することができる。連鎖移動
剤の使用量は、単量体成分に対して、通常、0.05〜
2.0重量%用いられる。
【0024】乳化重合の場合に使用する乳化剤は、公知
のものが使用できる。具体的には、高級アルコールの硫
酸エステル、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムな
どのアルキルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナト
リウムなどの脂肪族スルホン酸塩、高級脂肪族カルボン
酸塩、リン酸系などのアニオン性界面活性剤、ポリエチ
レングリコールのアルキルエステル型、アルキルエーテ
ル型などのノニオン系界面活性剤が挙げられる。これら
は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混
合して用いることもできる。乳化剤の使用量は、通常、
単量体成分に対して、通常、0.3〜5.0重量%であ
る。
【0025】(A)ゴム強化樹脂を乳化重合により製造
する場合、通常、凝固剤により凝固して得られた粉末を
水洗後、乾燥することによって精製される。この凝固剤
としては、例えば、硫酸、塩酸などの酸、塩化ナトリウ
ム、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、塩化マグネシ
ウム、硫酸マグネシウム、硫酸第2鉄、硫酸第2鉄、塩
化第2鉄、硫酸アルミニウム、活性シリカ、リン酸カリ
ウムなどの無機塩などが挙げられる。(A)成分中にこ
れら無機塩の凝固剤が残ると、(B)芳香族ポリカーボ
ネートの分解が起こる恐れがあるので、凝固剤として
は、酸のほうが好ましい。
【0026】なお、本発明の(A)ゴム強化樹脂には、
必要に応じて、上記単量体成分の群から選ばれた少なく
とも1種の単量体成分の(共)重合体を配合してもよ
い。ここで、(共)重合体の単量体成分は、上記グラフ
ト重合に使用される単量体成分と同一の組成であって
も、異なっていてもよい。また、上記(共)重合体は、
幾つかの(共)重合体成分の組み合わせであってもよ
い。上記(共)重合体は、例えば、上記と同様に重合し
て得ることができる。上記(共)重合体のメチルエチル
ケトン可溶分の極限粘度〔η〕(30℃、メチルエチル
ケトン中で測定)は、好ましくは0.2〜1.0dl/
g、さらに好ましくは0.3〜1.0dl/g、特に好
ましくは0.3〜0.8dl/gである。極限粘度
〔η〕が上記範囲内であると、耐衝撃性、耐熱性、流動
性に優れた本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物が得られ
る。なお、極限粘度〔η〕は、上記と同様に制御するこ
とができる。
【0027】(A)ゴム強化樹脂は、(A)成分単独で
も、2種以上の(A)成分のブレンドであっても良い。
また、(b)単量体成分の(共)重合体を別途重合し配
合することも可能である。代表的な(A)ゴム強化樹脂
としては、下記のような組成が挙げられるが、本発明の
権利範囲は、その請求範囲を超えないかぎり、下記の例
示に何ら限定されるものではない。 ABS樹脂 ABS樹脂/AS樹脂 AES樹脂/AS樹脂 シリコーンゴム強化樹脂/AS樹脂
【0028】上記のように、代表的な(A)ゴム強化樹
脂としては、ABS樹脂、AES樹脂などが挙げられ
る。また、(b)単量体成分の(共)重合体としては、
スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−N
−フェニルマレイミド共重合体、ポリスチレン、ポリメ
チルメタクリレート、AS樹脂などが挙げられる。これ
らの中でも、(A)成分としては、ABS樹脂、AES
樹脂、AS樹脂が好ましい。
【0029】(A)成分として用いるABS樹脂または
AES樹脂中の(a)成分の含有量は、好ましくは20
〜50重量%、さらに好ましくは30〜45重量%〔た
だし、(a)+(b)=100重量%〕である。また、
グラフト率は、好ましくは60〜120%、さらに好ま
しくは70〜110%である。さらに、ABS樹脂また
はAES樹脂中のマトリックス成分であるメチルエチル
ケトン可溶分の極限粘度〔η〕は、好ましくは0.2〜
0.8dl/g、さらに好ましくは0.3〜0.6dl
/gである。(A)成分に用いるAS樹脂中のアクリロ
ニトリル共重合量は、好ましくは10〜45重量%(ス
チレン共重合量90〜55重量%)、さらに好ましくは
15〜35重量%(スチレン共重合量85〜65重量
%)、特に好ましくは20〜32重量%(スチレン共重
合量80〜68重量%)である。また、AS樹脂の極限
粘度〔η〕は、好ましくは0.3〜0.8dl/g、さ
らに好ましくは0.4〜0.7dl/gである。
【0030】(A)成分の配合量は、(A)および
(B)成分合計100重量部中に、5〜50重量部、好
ましくは10〜40重量部、さらに好ましくは15〜3
0重量部である。配合量が5重量部未満であると耐衝撃
性、流動性が劣り、一方、50重量部を超えると耐衝撃
性、燃焼性評価に劣る。
【0031】本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物に用い
られる(B)重量平均分子量が16,000〜30,0
00の芳香族ポリカーボネート樹脂としては、種々のジ
ヒドロキシアリール化合物とホスゲンとの反応によって
得られるもの(ホスゲン法)、あるいはジヒドロキシア
リール化合物とジフェニルカーボネートとのエステル交
換反応によって得られるもの(エステル交換法)が挙げ
られる。なお、合成時の重合溶媒としては、ジクロロメ
タンなどの塩素置換有機溶媒が一般的に使用されるが、
環境問題の点からこれらの塩素置換有機溶媒を使用しな
い重合系が好ましい。代表的な芳香族ポリカーボネート
としては、2,2′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン、すなわちビスフェノールAとホスゲンとの反
応によって得られるポリカーボネートである。
【0032】ここで、ポリカーボネートの原料となるジ
ヒドロキシアリール化合物としては、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)メタン、1,1′−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)エタン、2,2′−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン、2,2′−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)ブタン、2,2′−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)オクタン、2,2′−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)フェニルメタン、2,2′−ビス(4−ヒドロ
キシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2′−ビス
(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパ
ン、2,2′−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェ
ニル)プロパン、2,2′−ビス(4−ヒドロキシ−
3,5−ジクロロフェニル)プロパン、1,1′−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1′
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′
−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルエーテ
ル、4,4′−ジヒドロキシフェニルスルフィド、4,
4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルフェニルスル
フィド、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシ
ド、4,4′−ジヒドロキシフェニルスルホキシド、
4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニ
ルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシジフェニルス
ルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチル
ジフェニルスルホン、ヒドロキノン、レゾルシンなどが
挙げられる。また、芳香環上の水素原子がハロゲン(好
ましくは臭素)やメチル基、エチル基などの有機置換基
で置換されていてもよい。ただし、環境問題の点から、
芳香環へのハロゲンの導入は好ましくない。上記ジヒド
ロキシアリール化合物は、1種または2種以上で用いら
れる。特に好ましいものは、2,2′−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン、すなわちビスフェノールA
である。
【0033】上記(B)芳香族ポリカーボネートの重量
平均分子量は、16,000〜30,000、好ましく
は17,000〜29,000、さらに好ましくは1
8,000〜26,000である。重量平均分子量が1
6,000未満では耐衝撃性が劣り、一方、30,00
0を超えると流動性が劣る。特に、本発明の難燃性熱可
塑性樹脂組成物に高い流動性を付与したい場合の好まし
いポリカーボネートの重量平均分子量は、17,000
〜22,000である。また、重量平均分子量の異なる
2種以上の芳香族ポリカーボネートを用いることによ
り、耐衝撃性−流動性バランスの優れた良好な本発明の
難燃性熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。好まし
い2種類の重量平均分子量分布としては、18,000
〜22,000前後と、26,000〜30,000前
後のものである。(B)芳香族ポリカーボネートの融点
としては、好ましくは200〜245℃、さらに好まし
くは220〜240℃である。(B)成分の配合量は、
(A)および(B)成分合計100重量部中に、95〜
50重量部、好ましくは90〜60重量部、さらに好ま
しくは85〜70重量部である。
【0034】本発明の(C−1)成分は、上記一般式
(I)で表される特定の化学構造を有するリン酸エステ
ル化合物である。ここで、(C−1)リン酸エステル化
合物は、1種類の化合物として、または2種類以上の異
なる化合物の混合物としてのいずれの形態でも使用する
ことができる。上記一般式(I)において、R1 〜R4
中のフェニル基またはキシレニル基は、その芳香族環の
水素原子がアルキル基などにより置換されていてもよ
い。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、t−ブチル基などが挙げられる。また、キシレニ
ル基としては、2,6−ジメチルフェニル基、2,4−
ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基など
が挙げられるが、中でも2,6−ジメチルフェニル基が
好ましい。(C−1)成分としては、例えば、レゾルシ
ノール−ビス(ジフェニルフォスフェート)、レゾルシ
ノール−ビス(ジ−2,6−ジメチルフェニルフォスフ
ェート)、レゾルシノール−ビス(ジキシレニルフォス
フェート)など、またはこれらの混合物が挙げられる。
中でも、レゾルシノール−ビス(ジ−2,6−ジメチル
フェニルフォスフェート)が、常温固体であり、取り扱
い易いので好ましい。
【0035】(C−1)成分が混合物の場合は、上記一
般式(I)中のmの値は、縮合リン酸エステルの混合物
中の重合度の平均値(平均縮合度)を表す。平均縮合度
mは0.5〜1.2、好ましくは0.6〜1.1であ
る。平均縮合度mが0.5未満であると本発明の樹脂組
成物の耐金型汚染性が劣り、一方、1.2を超えると成
形加工性が劣る。(C−1)成分中の平均縮合度mの異
なる成分の好ましい組成としては、(C−1)成分中
に、m=1が80〜95重量%、m=2が5〜15重量
%、m=3以上が0〜5重量%である。
【0036】本発明の(C−1)リン酸エステルの配合
量は、(A)成分および(B)成分の合計量100重量
部に対し、1〜30重量部、好ましくは5〜20重量
部、さらに好ましくは8〜15重量部である。1重量部
未満では、難燃性付与効果が小さく、一方、30重量部
を超えると、熱変形温度、耐金型汚染性、高温高湿下で
の安定性、成形品外観、コスト性が劣る。
【0037】通常、難燃剤としてリン系オリゴマーを配
合したスチレン系樹脂/ポリカーボネートアロイを高温
高湿度条件下に置いておくと、リン系オリゴマーが分解
し、発生する残基がポリカーボネートを加水分解させ
て、ポリカーボネートの分子量が低下することになり、
実用上安定した使用ができない。本発明者らは、鋭意検
討の結果、(C−2)リン酸エステル化合物のようなビ
スフェノールA構造を導入したリン系難燃剤を使用する
ことで、高温高湿度条件下での分解が抑制されることを
見出した。この理由としては、ビスフェノールAの芳香
環上の水素基またはメチル基が嵩高いために、リン系オ
リゴマー難燃剤の分解が生じにくいためと考えられる。
さらに、(C−2)リン酸エステル化合物を使用する
と、難燃性熱可塑性樹脂組成物の耐面衝撃性を向上でき
ることも見出した。
【0038】本発明の(C−2)成分は、上記一般式
(II)で表される特定の化学構造を有するリン酸エステ
ル化合物である。ここで、(C−2)リン酸エステル化
合物は、1種類の化合物として、または2種類以上の異
なる化合物の混合物としてのいずれの形態でも使用する
ことができる。
【0039】上記一般式(II)において、R1 〜R4
のフェニル基またはキシレニル基は、その芳香族環の水
素原子がアルキル基などにより置換されていてもよい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル
基、t−ブチル基などが挙げられる。また、キシレニル
基としては、2,6−ジメチルフェニル基、2,4−ジ
メチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基などが
挙げられるが、中でも2,6−ジメチルフェニル基が好
ましい。(C−2)成分としては、例えば、ビスフェノ
ールA−ビス(ジフェニルフォスフェート)、ビスフェ
ノールA−ビス(ジ−2,6−ジメチルフェニルフォス
フェート)などが挙げられる。中でも、ビスフェノール
A−ビス(ジフェニルフォスフェート)が好ましい。
【0040】(C−2)成分が混合物の場合は、一般式
(II)中のnの値は、縮合リン酸エステルの混合物中の
重合度の平均値(平均縮合度)を表す。平均縮合度nは
0.5〜1.2である。平均縮合度nが0.5未満であ
ると、本発明の樹脂組成物の耐金型汚染性が劣り、一
方、1.2を超えると、成形加工性が劣る。(C−2)
成分中の平均縮合度nの異なる成分の好ましい組成とし
ては、(C−2)成分中に、n=1が80〜95重量
%、n=2が5〜15重量%、n=3以上が0〜5重量
%である。
【0041】なお、(C−2)成分は、通常、常温で液
体なので、本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物をペレッ
ト化する際には、押し出し機へ(C−2)成分を液体と
してフィードして配合することが好ましい。固体状の
(C−2)成分を押し出し機のホッパーからフィードす
ると、喰い込み不良などの問題が生じる可能性がある。
(C−2)成分を液体フィードする際の温度は、好まし
くは室温から80℃、さらに好ましくは30〜70℃で
ある。
【0042】本発明の(C−2)リン酸エステルの配合
量は、(A)成分および(B)成分の合計量100重量
部に対し、1〜30重量部、好ましくは5〜20重量
部、さらに好ましくは8〜15重量部である。1重量部
未満では、難燃性付与効果が小さく、一方、30重量部
を超えると、熱変形温度、耐金型汚染性が劣る。また、
上記(C−1)成分に対する(C−2)成分の重量比
は、(C−1)および(C−2)成分の合計を100重
量%としたときの(C−2)成分が、好ましくは50〜
95重量%、さらに好ましくは60〜90重量%、特に
好ましくは70〜85重量%である。上記範囲内である
と、耐面衝撃性と流動性バランスに特に優れる本発明の
難燃性熱可塑性樹脂組成物が得られる。
【0043】本発明の(D)成分は、ポリテトラフルオ
ロエチレンである。(D)成分を配合することで燃焼時
のドリッピング(溶融液だれ)を防止することができ
る。(D)成分の好ましい数平均分子量は、50万以上
で、さらに好ましくは100万以上である。また、好ま
しい平均粒径は、90〜600μm、さらに好ましくは
100〜500μm、特に好ましくは120〜400μ
mである。好ましい比重は、1.5〜2.5、さらに好
ましくは2.1〜2.3である。好ましい嵩密度は、
0.5〜1.0g/ml、さらに好ましくは0.6〜
0.9g/mlである。(D)ポリテトラフルオロエチ
レンの製造方法としては、懸濁重合、乳化重合などが挙
げられるが、懸濁重合品の方がドリッピング防止効果が
高く好ましい。
【0044】本発明の(D)ポリテトラフルオロエチレ
ンの配合量は、(A)成分および(B)成分の合計量1
00重量部に対し、0.1〜10重量部、好ましくは
0.2〜5重量部、さらに好ましくは0.3〜3重量部
である。0.1重量部未満では、ドリッピング防止効果
が小さく、一方、10重量部を超えると、樹脂組成物の
ペレット化時(押し出し加工時)にホッパーでの(D)
成分の喰い込み不良、(D)成分の本発明の樹脂組成物
中の分散不良などの問題が生じ、成形品外観に劣る。
【0045】上記(D)ポリテトラフルオロエチレン
は、本発明の樹脂組成物をペレット化する際(押し出し
加工時)に、ホッパーでの(D)成分の偏積による分散
不良を引き起す可能性がある。この分散不良を回避する
ために、(D)成分を溶媒(水、有機溶媒)に分散させ
たディスパージョン型、または(D)成分をあらかじめ
硬化ヒマシ油、ポリエチレンワックスなどの(E)滑剤
などとブレンド(予備ブレンド)したものを使用するこ
ともできる。このような予備ブレンド体を用いること
で、樹脂組成物の押し出し時のホッパーでの喰い込み不
良、本発明の樹脂組成物中での(D)成分の分散不良を
防ぎ、生産性を上げることができる。
【0046】(E)滑剤としては、例えば、硬化ヒマシ
油、硬化大豆油ワックスなどのグリセライド、ペンタエ
リスリトールなどのポリオールと脂肪酸のエステル類、
ステアリルステアレートなどの一価脂肪酸とのエステル
類、ポリエチレンワックスなどが挙げられる。硬化ヒマ
シ油の好ましい融点としては、75〜100℃、さらに
好ましくは83〜90℃である。融点が75℃未満であ
ると、ブレンド時に作業性が劣り、一方、100℃を超
えると、(D)成分の分散性向上効果が小さい。また、
ポリエチレンワックスとしては、酸化ポリエチレンワッ
クスなども使用できる。ポリエチレンワックスの好まし
い分子量は、1,000〜8,000、さらに好ましく
は1,500〜5,000前後である。ポリエチレンワ
ックスの好ましい軟化点としては、90〜120℃、さ
らに好ましくは100〜110℃である。軟化点が90
℃未満であると、ブレンド時に作業性が劣り、一方、1
20℃を超えると、(D)成分の分散性向上効果が小さ
い。
【0047】上記(E)成分を使用する場合の使用量
は、(D)成分に対し、好ましくは重量比で(E)/
(D)=0.1〜2.0、さらに好ましくは0.5〜
1.5、特に好ましくは0.7〜1.3である。(E)
/(D)が上記範囲内であると、特にペレット化時の生
産性が良好で、かつ、(D)成分の本発明の樹脂組成物
中での分散不良も少ない。重量比が0.1未満である
と、(E)成分を添加することによる改善効果が乏し
く、一方、2.0を超えると本発明の樹脂組成物の熱変
形温度が劣る。
【0048】上記(D)成分と(E)成分を均一に混合
する際には一定以上の高速混合が必要であり、例えば、
ハンドブレンド、ヘンシェルミキサー、タンブラー、ス
ーパーミキサーなどにより行われる。しかし、タンブラ
ーでの混合では、目的の組成物が得られない。中でもヘ
ンシェルミキサーが好ましい。また、予備ブレンドする
時の好ましい温度としては、室温〜50℃程度である。
【0049】本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物の流動
性としては、メルトフローレート(MFR)(240
℃、10kg荷重)は、好ましくは30〜120g/1
0分、さらに好ましくは40〜100g/10分、特に
好ましくは50〜80g/10分である。なお、本発明
の樹脂組成物のMFRが上記範囲内であると、2mm厚
みのA4サイズのノートブックパソコンの筐体が1〜5
点前後のピンゲートでも成形可能である。
【0050】本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物には、
必要に応じて、剛性を付与する目的で公知の充填剤を配
合することができる。充填剤としては、タルク、マイ
カ、ガラス繊維、炭素繊維、ワラストナイト、カオリ
ン、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ミルドファイバ
ー、酸化亜鉛ウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー
などが挙げられ、これらを、1種単独でまたは2種以上
併用することができる。上記充填剤の内、好ましくはタ
ルク、マイカ、ガラス繊維であり、さらに好ましくはタ
ルクである。タルクの好ましい平均粒径は、0.5〜2
0μm、さらに好ましくは1〜12μm、特に好ましく
は1.5〜8μmである。平均粒径が0.5μm未満で
あると、混練り時に凝集を起こし、成形品外観が劣り、
一方、20μmを超えると耐衝撃性などの物性および外
観を損なう。また、上記ガラス繊維、炭素繊維の好まし
い形状としては、繊維径が6〜20μm、繊維長が30
μm以上のものである。
【0051】上記充填剤は、シランカップリング剤で表
面を処理したものも使用できる。シランカップリング剤
の量は、無機充填剤に対して、好ましくは0.1〜5重
量%、さらに好ましくは0.5〜3重量%である。シラ
ンカップリング剤としては、エポキシ基、アミノ基、ビ
ニル基、ヒドロキシル基などの官能基を有するものが使
用できる。特に、エポキシ基、アミノ基のものが好まし
い。上記充填剤の好ましい配合量は、本発明の(A)成
分および(B)成分合計100重量部に対し、10〜5
0重量部、さらに好ましくは15〜40重量部である。
【0052】また、本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物
には、必要に応じて、無機リン化合物を配合することが
できる。通常、ABS樹脂中の残存乳化剤、凝固剤など
はポリカーボネートの分解反応による分子量低下を引き
起こすため、ABS樹脂/ポリカーボネートアロイ材料
の物性低下が起こる。このポリカーボネートの本分解反
応は、特に成形時などの高温時に顕著に進行する。しか
し、無機リン化合物を添加することにより、ポリカーボ
ネートの分解反応が高温時においても抑制でき、成形時
のの熱安定性を上昇させることができる。無機リン化合
物としては、リン酸2水素ナトリウム、リン酸1水素2
ナトリウム、およびこれらの水和物が挙げられる。無機
りん化合物の配合量としては、本発明の(A)成分およ
び(B)成分合計100重量部に対し、好ましくは0.
1〜3重量部、さらに好ましくは0.2〜2重量部であ
る。
【0053】また、本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物
には、公知の、難燃助剤、酸化防止剤、耐候(耐光)
剤、可塑剤、着色剤(顔料、染料など)、帯電防止剤、
シリコーンオイル、抗菌剤、防カビ剤などの添加物を、
要求される性能を損なわない範囲で配合することができ
る。難燃助剤としては、アンチモン化合物、耐候(光)
剤としては、リン系、硫黄系有機化合物、水酸基、ビニ
ル基を含有する有機化合物、帯電防止剤としてはポリエ
ーテル、アルキル基を有するスルホン酸塩などが挙げら
れる。これらの添加剤の配合量としては、本発明の
(A)成分および(B)成分合計100重量部に対し、
好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.
5〜5重量部である。
【0054】さらに、本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成
物には、要求される性能に応じて、他の(共)重合体を
配合することができる。ここで、他の重合体としては、
ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリスル
ホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィ
ド、液晶ポリマー、ポリフッ化ビニリデン、スチレン−
酢酸ビニル共重合体、ポリアミドエラストマー、ポリア
ミドイミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、
ポリエーテルエステルアミド、フェノール樹脂、エポキ
シ樹脂、ノボラック樹脂、レゾール樹脂などが挙げられ
る。これらの(共)重合体の配合量としては、本発明の
(A)成分および(B)成分合計100重量部に対し、
好ましくは1〜150重量部、さらに好ましくは5〜1
00重量部である。
【0055】本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、各
種押し出し機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロー
ル、フィーダールーダーなどを用い、各成分を混練りす
ることにより得られる。好ましい製造方法は、二軸押し
出し機を用いる方法である。また、各成分を混練りする
に際しては、各成分を一括して混練りしてもよく、数回
に分けて添加混練りしてもよい。混練りは、押し出し機
で多段添加式で混練りしてもよく、またバンバリーミキ
サー、ニーダーなどで混練りし、その後、押し出し機で
ペレット化することもできる。
【0056】このようにして得られる本発明の難燃性熱
可塑性樹脂組成物は、射出成形、シート押し出し、真空
成形、異形成形、発泡成形、インジェクションプレス、
プレス成形、ブロー成形などによって、各種成形品に成
形することができる。
【0057】上記成形法によって得られる各種成形品
は、その優れた性質を利用して、OA・家電分野のハウ
ジング材料、特にパソコン、DVD,CD−ROMの筐
体材料、各種トレー材料などに使用することができる。
さらに本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物にレーザーマ
ーキング方法を用いて、印字、マーキングすることも可
能である。
【0058】
【実施例】以下、実施例を挙げ本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の
実施例に何等制約されるものではない。なお、実施例
中、部および%は特に断らない限り重量基準である。ま
た、実施例中の各種評価は、次のようにして測定したも
のである。
【0059】平均ゴム粒径 (a)成分のゴム粒径は、あらかじめ乳化状態で合成し
たラテックスの粒径がそのままゴム強化樹脂中の分散粒
子の粒径を示すことを、電子顕微鏡で確認したのち、ラ
テックス中の分散粒子の粒子径を光散乱法で測定した。
測定機器は、大塚電子(株)製、レーザー粒径解析シス
テムLPA−3100であり、70回積算で、キュムラ
ント法を用いて、粒子径を測定した。グラフト率 本文中に詳細を記載した。極限粘度〔η 〕 (A)成分中の不溶分と可溶分の分離については、本文
中に詳細を記載した。この可溶分を真空乾燥機で充分乾
燥したものをメチルエチルケトンに溶解させ、濃度の異
なるものを5点作った。ウベローデ粘度管を用い、30
℃で各濃度の還元粘度を測定した結果から、極限粘度
〔η〕を求めた。単位はdl/gである。
【0060】重量平均分子量 芳香族ポリカーボネートの粘度平均分子量を、自動粘度
計(DJ504)にて測定した。溶媒は、メチレンクロ
ライドを用い、濃度6g/リットルで測定した。得られ
た粘度結果から、重量平均分子量を換算した。耐衝撃性(アイゾット衝撃強度) (株)日本製鋼所製の射出成形機J100E−C5を用
い、シリンダー温度220℃、金型温度50℃で、JI
S K7110のノッチ付き2号型試験片を成形し、A
STM D256に準じてアイゾット衝撃強度を測定し
た。単位は、kgf−cm/cmである。流動性(メルトフローレート、MFR) ASTM D1238に準じて測定した。測定温度は2
40℃、荷重は10kg、単位はg/10分である。
【0061】熱変形温度 幅12.8mm×高さ12.8mm×長さ128mmの
試験片を使用し、JIS K7207に準拠して、曲げ
応力18.5kgf/cm2 で熱変形温度(℃)を測定
した。曲げモジュラス 長さ100mm×幅25mm×厚み3.2mmの試験片
を使用し、ASTMD790に準拠して測定した。単位
は、MPaである。
【0062】燃焼性評価(難燃性) UL94規格に定められた方法により、長125mm×
幅12.5mm×厚み1.6mmの試験片について垂直
燃焼試験を行った。評価結果としては、「V−0」、
「V−2」は垂直試験結果でV−0、V−2合格を、
「not V」は規格外を表す。金型汚染性評価 150×150×2mmの平板を射出成形する際に、充
填量を約半分にして、20ショット成形した。その場
合、ほとんどのショットで、金型面の樹脂材料の未充填
部分周辺に、リン系難燃剤由来の付着物が生じた。その
後、フルパッキングを20ショット行い、金型表面の付
着物の汚れ、取れ具合を目視観察した。およその目安と
して、金型表面の汚れが無くなると認められるまでのシ
ョット数が5ショット以下を「○」(良好)、6ショッ
ト以上10ショット以下を「△」(普通)、10ショッ
トを超えるものを「×」(不可)とした。
【0063】耐面衝撃強度評価 厚さ2.4mmの平板を射出成形で成形し、得られた成
形品に垂直方向から打撃棒を2.4m/秒で落下させ
て、成形品が割れる時の衝撃強度を測定した。高温高湿下の安定性評価 アイゾット衝撃強度評価用の成形品を、80℃、95%
RH湿度(高温高湿度)下に74時間静置し、その後ア
イゾット衝撃強度を測定した。なお、成形品のノッチ
は、静置後に入れた。静置前に対する静置後の耐衝撃性
の保持率が60%以上であれば、高温高湿下での安定性
が良好なものとして判断した。
【0064】成形品表面外観 成形品表面のフローマーク、肌荒れ、シルバーストリー
ク、ブルーミングなどを、下記の評価基準に従って目視
評価した。 ○;良好 △;普通 ×;凸凹があり、不可
【0065】参考例1〔(A)成分の調製〕 攪拌機を備えた内容積7リットルのガラス製フラスコ
に、イオン交換水100部、ドデシルベンゼンスルホン
酸ナトリウム1.5部、t−ドデシルメルカプタン0.
1部、(a)成分としてポリブタジエンラテックス40
部(固形分換算)、スチレン15部、およびアクリロニ
トリル5部を加え、攪拌しながら昇温した。温度が45
℃に達した時点で、エチレンジアミン4酢酸ナトリウム
0.1部、硫酸第1鉄0.003部、ホルムアルデヒド
ナトリウムスルホキシラート・2水和物0.2部および
イオン交換水15部よりなる活性剤水溶液、ならびにジ
イソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド0.1部
を添加し、1時間反応を続けた。その後、イオン交換水
50部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1部、
t−ドデシルメルカプタン0.1部、ジイソプロピルベ
ンゼンハイドロパーオキサイド0.2部、スチレン30
部およびアクリロニトリル10部よりなるインクレメン
タル重合成分を3時間にわたって連続的に添加し、重合
反応を続けた。
【0066】添加終了後、さらに攪拌しながら1時間反
応を続けたのち、2,2−メチレン−ビス−(4−エチ
レン−6−t−ブチルフェノール)0.2部を添加し、
反応生成物をフラスコより取り出した。反応生成物のラ
テックスを希硫酸を用いて凝固し、脱水し、良く水洗し
たのち、75℃で24時間乾燥し、白色粉末状のゴム強
化樹脂(A−1)を回収した。重合転化率は97.2
%、グラフト率は70%、極限粘度〔η〕は0.44d
l/g、平均ゴム粒径は280nmであった。ゴム強化
樹脂(A−2)、(A′−1〜4)も、同様にして製造
した。また、表1に示す配合割合で、単量体成分だけで
同様に、共重合体(A″−1〜2)を製造した。重合転
化率は、すべて99%以上であった。得られたゴム強化
樹脂および共重合体の物性を表1に示す。
【0067】
【表1】
【0068】参考例3〔芳香族ポリカーボネート(B)
成分の調製〕 (B)成分として下記に示す芳香族ポリカーボネート
(B−1〜3)、(B′−1〜2)を使用した。 (B−1):重量平均分子量22,000のポリカーボ
ネート〔三菱エンジニアリングプラスチックス(株)
製、商品名7022A〕 (B−2):重量平均分子量29,500のポリカーボ
ネート〔三菱エンジニアリングプラスチックス(株)
製、商品名7030A〕 (B−3):重量平均分子量18,000のポリカーボ
ネート(試作品) (B′−1):重量平均分子量14,000のポリカー
ボネート(試作品) (B′−2):重量平均分子量33,000のポリカー
ボネート(試作品)
【0069】参考例3〔リン酸エステル化合物(C)成
分の調製〕 (C)成分として下記に示すリン酸エステル(C−1〜
2)を使用した。 (C−1):上記一般式(I)のR1 〜R4 が2,6−
ジメチルフェニル基、mが1.1のリン酸エステル化合
物、大八化学(株)製、商品名PX200 (C−2):上記一般式(II)のR5 〜R8 がフェニル
基、nが1.1のリン酸エステル化合物、大八化学
(株)製、商品名CR741
【0070】参考例4〔(D)成分の調製〕 (D−1):ポリテトラフルオロエチレン、ヘキスト株
式会社製、商品名ホスタフロンTF1620(平均粒径
220μm、嵩密度0.85g/ml) 参考例5(その他の成分の調製) 滑剤〔(E)成分〕: (E−1):硬化ヒマシ油、花王(株)製、商品名カオ
ワックス85P (E−2):酸化ポリエチレンワックス、三洋化成
(株)製、商品名サンワックスE−250P 充填剤:タルク、日本タルク株式会社製、商品名P−3
(平均粒径約3μm) 無機リン酸化合物:リン酸2水素ナトリウム・2水和物
【0071】実施例1〜7、比較例1〜12 上記各成分を、表2〜4に示す配合割合でヘンシェルミ
キサーにより3分間混合したのち、ナカタニ機械(株)
製、NVC型50mmベント付き押し出し機でシリンダ
ー設定温度230〜250℃で溶融押し出しし、ペレッ
トを得た。得られたペレットを充分に乾燥し、(株)日
本製鋼所製の射出成形機J100E−C5を用い、シリ
ンダー温度230℃、金型温度50℃で射出成形し、各
種評価用試験片を得た。この試験片を用い、上記評価法
で評価した。評価結果を表2〜4に示す。なお、実施例
3、4においては、(D)成分と(E)成分とを40℃
でヘンシェルミキサーにより5分間ミキシングしたもの
を、(D)成分および(E)成分として使用した。
【0072】
【表2】
【0073】*) 実施例5の外観が「△」なのは、タ
ルク配合量が多いためである。
【0074】
【表3】
【0075】
【表4】
【0076】表2の実施例1〜7より明らかなように、
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、いずれも耐衝撃
強度、流動性、耐熱性、難燃性、耐面衝撃性、高温高湿
度下の安定性、成形品外観に優れて、金型汚染性が少な
い。特に、実施例6に示したように、(C)成分と
(D)成分が本発明の請求項2の範囲内であると、耐面
衝撃性に優れることが、請求項2の範囲外である実施例
1との比較で明らかである。
【0077】一方、表3〜4より明らかなように、比較
例1は、(A)成分中のゴム質重合体(a)の平均ゴム
粒径が本発明の範囲外に小さい例であり、耐衝撃性が劣
る。比較例2は、(A)成分中のゴム質重合体(a)の
平均ゴム粒径が本発明の範囲外に大きい例であり、成形
品外観が劣る。比較例3は、(A)成分のグラフト率が
本発明の範囲外に小さい例であり、耐衝撃性、成形品外
観が劣る。比較例4は、(A)成分のグラフト率が本発
明の範囲外に大きい例であり、流動性が劣る。比較例5
は、(B)成分の重量平均分子量が本発明の範囲外に小
さい例であり、耐衝撃性、耐面衝撃性が劣る。比較例6
は、(B)成分の重量平均分子量が本発明の範囲外に大
きい例であり、流動性が劣る。比較例7は、(A)成分
の配合量が本発明の範囲外に多く、(B)成分の配合量
を本発明の範囲外に少ない例であり、耐衝撃性、難燃性
が劣る。比較例8は、(C)成分の配合量が本発明の範
囲外に多い例であり、熱変形温度が低く、実使用に耐え
ない。比較例9は、(D)成分の配合量が本発明の範囲
外に多い例であり、熱変形温度が低く、実使用に耐えな
い。比較例10は、(E)成分の配合量が本発明の範囲
外に大きい例であり、樹脂組成物の生産時にホッパーで
の(E)成分の食い込み不良が発生し、生産性に乏しい
上に、流動性、成形品外観が劣る。比較例11は、(C
−1)成分と(C−2)成分の配合量が本発明の範囲外
に少ない例であり、難燃性が劣る。比較例12は、
(D)成分の配合量が本発明の範囲外に少ない例であ
り、難燃性が本発明の樹脂組成物に比べ劣る。
【0078】
【発明の効果】本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、
非ハロゲン系であり、耐衝撃性、流動性、耐熱性、難燃
性、耐面衝撃性、高温高湿下での安定性に優れ、金型汚
染性が少ない。そして、その成形品は、その優れた性質
を利用して、OA・家電分野のハウジング材料、特にパ
ソコン、DVD,CD−ROMの筐体材料、各種トレー
材料などに使用することができる。さらに本発明の難燃
性熱可塑性樹脂組成物にレーザーマーキング方法を用い
て、印字、マーキングすることも可能である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 51:04 C08L 51:04 27:18 27:18 91:06) 91:06) (72)発明者 檜垣 圭吾 東京都中央区京橋一丁目18番1号 テクノ ポリマー株式会社内 (72)発明者 野呂 雅彦 東京都中央区京橋一丁目18番1号 テクノ ポリマー株式会社内 Fターム(参考) 4J002 AE044 BB034 BB254 BD153 BN052 BN062 BN122 BN142 BN152 BN172 BN212 CG011 CG021 CG031 EH038 EH048 EW046 EW047 FB090 FD010 FD100 FD130 GQ00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)(a)平均ゴム粒径が80〜50
    0nmのゴム質重合体10〜70重量%の存在下に、
    (b)芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、
    (メタ)アクリル酸エステル、酸無水物系化合物、およ
    びマレイミド系化合物の群から選ばれた少なくとも1種
    の単量体成分90〜30重量%〔ただし、(a)+
    (b)=100重量%〕を重合して得られ、かつ、グラ
    フト率が60〜120%であるゴム強化樹脂5〜50重
    量部、ならびに(B)重量平均分子量が16,000〜
    30,000の芳香族ポリカーボネート95〜50重量
    部、の合計100重量部〔ただし、(A)+(B)=1
    00重量部〕に対して、 (C−1)下記一般式(I)で表されるリン系難燃剤1
    〜30重量部、 (C−2)下記一般式(II)で表されるリン系難燃剤1
    〜30重量部、および(D)ポリテトラフルオロエチレ
    ン0.1〜10重量部を含有することを特徴とする難燃
    性熱可塑性樹脂組成物。 【化1】 (ただし、R1 ,R2 ,R3 およびR4 は、それぞれ相
    互に独立して選ばれるフェニル基またはキシレニル基、
    Xはm−フェニレン基を表し、mは0.5〜1.2であ
    る。) 【化2】 (ただし、R5 ,R6 ,R7 およびR8 は、それぞれ相
    互に独立して選ばれるフェニル基またはキシレニル基、
    Yは2,2−ビス(4′−フェニレン)プロパン基を表
    し、nは0.5〜1.2である。)
  2. 【請求項2】 上記(C−2)成分の割合が、(C−
    1)成分および(C−2)成分中に、50〜95重量%
    である請求項1記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 上記(A)〜(D)成分を溶融混練りし
    てペレット化する際に、(D)成分と(E)滑剤とを、
    あらかじめ(E)/(D)=0.1〜2.0(重量比)
    の割合でブレンドしたものを使用する請求項1または2
    記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
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