JP2002146146A - 難燃性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

難燃性熱可塑性樹脂組成物

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JP2002146146A
JP2002146146A JP2000338764A JP2000338764A JP2002146146A JP 2002146146 A JP2002146146 A JP 2002146146A JP 2000338764 A JP2000338764 A JP 2000338764A JP 2000338764 A JP2000338764 A JP 2000338764A JP 2002146146 A JP2002146146 A JP 2002146146A
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Norifumi Sumimoto
典史 住本
Masahiko Noro
雅彦 野呂
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐衝撃性、耐熱性、難燃性、耐熱変色性に優
れた非ハロゲン性の難燃性熱可塑性樹脂組成物を提供す
ること。 【解決手段】 (A)ゴム質重合体の存在下に、芳香族
ビニル化合物およびシアン化ビニル化合物を主成分とす
る単量体成分をグラフト重合して得られる共重合体およ
び必要に応じて上記単量体成分の共重合体とからなり、
特定のグラフト率、ゴム含有量であるゴム強化熱可塑性
樹脂100重量部に対して、(B)特定構造の縮合リン
酸エステルおよび/またはホスファゼン化合物5〜20
重量部を含有し、かつ水分含有量が0.5重量%以下で
ある難燃性熱可塑性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐衝撃性、耐熱
性、難燃性に優れ、特にリン系難燃剤の加水分解を防止
し、耐熱変色性に優れた非ハロゲン系の難燃性熱可塑性
樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、難燃性を付与したABS樹脂は、
成形加工性、機械的性質などが優れていることより、電
気・電子分野、OA機器分野に幅広く使用されている。
近年、これらの製品においては、環境保護の立場よりハ
ロゲン系難燃剤の使用を自粛する傾向があり、PC(ポ
リカーボネート)/ABSアロイ樹脂をベースにリン酸
エステル系難燃剤を組み合わせた難燃材料が上市されて
いる。しかしながら、PC/ABSアロイ樹脂にリン酸
エステル系難燃剤を組み合わせた場合には、成形加工性
が低く、耐薬品性に劣る場合がある。従来より、PCを
使用せず、ABS樹脂をベースにして非ハロゲン系難燃
剤を使用した難燃化の検討もされているが、物性面も含
めUL94規定の燃焼性評価でV−0以上を達成した実
用的な材料は見出されていない。ただし、UL94規定
の燃焼性V−2以上の達成については、ABS樹脂とリ
ン酸エステル系難燃剤などのリン系難燃剤との組み合わ
せでの可能性が検討されている。最近、成形品の生産性
を高めるために、長時間にわたって、連続成形すること
が試みられている。しかし、成形機のシリンダー、ダイ
部に滞留する少量の成形材料(滞留樹脂)が、長時間、
高温状態下で熱履歴を受け、熱変色する。その結果、熱
変色した滞留樹脂が成形品の色調悪化の原因となるた
め、長時間連続成形により成形品を生産する支障となっ
ている。その結果、成形品材料の耐熱変色性の要求が一
段と高まっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の課題を背景になされたもので、ABS樹脂をベース
にリン酸エステル系難燃剤などのリン系難燃剤を用いて
UL94規定の燃焼性V−2を発現し、かつ優れた物
性、特に優れた耐熱変色性を有する、広範囲の用途に使
用できる難燃性熱可塑性樹脂組成物を提供することを目
的とする。本発明者らは、かかる現状に鑑み、鋭意材料
の開発について検討した結果、特定のゴム強化熱可塑性
樹脂と特定のリン系難燃剤を含有する難燃性熱可塑性樹
脂組成物において、250℃条件のカールフィッシャー
法により測定した水分含有量が特定の範囲内にあると、
上記の耐熱変色性の問題を解決できることを見いだし、
本発明を完成するに至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記(A)ゴ
ム強化熱可塑性樹脂100重量部に対し、(B)下記リ
ン系難燃剤5〜20重量部を含有し、250℃条件のカ
ールフィッシャー法により測定した水分含有量が0.5
重量%以下である難燃性熱可塑性樹脂組成物に関する。 (A)ゴム質重合体(a)の存在下に、芳香族ビニル化
合物、シアン化ビニル化合物、および必要に応じて他の
共重合可能な単量体からなる単量体成分(b)をグラフ
ト重合して得られるグラフト共重合体(A1)、または
グラフト共重合体(A1)および単量体成分(b)の共
重合体(A2)とからなり、グラフト率が20%以上、
かつゴム含有量が8〜20重量%であるゴム強化熱可塑
性樹脂。 (B)下記一般式(I)で表される縮合リン酸エステル
および/またはホスファゼン化合物からなるリン系難燃
剤。
【0005】
【化2】
【0006】(ただし、R1 ,R2 ,R3 およびR
4 は、それぞれ相互に独立して選ばれるフェニル基また
はキシレニル基、Xは2価のレゾルシノール残基または
ビスフェノールA残基を表し、nは0.5〜1.2であ
る。)
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の(A)ゴム強化熱可塑性
樹脂は、ゴム質重合体(a)の存在下に、芳香族ビニル
化合物、シアン化ビニル化合物、および必要に応じて他
の共重合可能な単量体からなる単量体成分(b)をグラ
フト重合して得られるグラフト共重合体(A1)、また
はグラフト共重合体(A1)および単量体成分(b)の
共重合体(A2)とからなる。
【0008】上記ゴム質重合体(a)としては、ポリブ
タジエン、ポリブタジエンの水素添加物、スチレン−ブ
タジエン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重
合体、エチレン−プロピレン−(非共役ジエン)共重合
体、エチレン−ブテン−1−(非共役ジエン)共重合
体、イソブチレン−イソプレン共重合体、アクリルゴ
ム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合
体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合
体、SEBSなどの水素添加ジエン系(ブロック、ラン
ダム、およびホモ)(共)重合体、ポリウレタンゴムお
よびシリコーンゴムなどが挙げられる。上記スチレン−
ブタジエン共重合体としては、スチレン−ブタジエンラ
ンダム共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合
体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加
物などが挙げられる。さらに、上記スチレン−ブタジエ
ンブロック共重合体の水素添加物には、上記ブロック共
重合体の水素添加物のほかに、スチレンブロックとスチ
レン−ブタジエンランダム共重合体の水素添加物などが
含まれる。本発明のゴム質重合体は、1種単独で使用す
ることも、あるいは2種以上を混合して使用することも
できる。これらの中で、ポリブタジエン、スチレン−ブ
タジエン共重合体、エチレン−プロピレン−(非共役ジ
エン)共重合体、水素添加ジエン系(共)重合体、およ
びシリコーンゴムが好ましい。本発明においては、ラテ
ックス状のゴム質重合体が好ましい。
【0009】ゴム質重合体(a)の平均粒径は、好まし
くは150〜500nm、さらに好ましくは150〜4
50nm、特に好ましくは200〜400nmである。
平均粒径が150nm未満であると、耐衝撃性が劣る。
一方、500nmを超えると、成形加工性が劣る。上記
平均粒径の調整は、乳化剤の種類・量、開始剤の種類・
量、重合時間、重合温度、攪拌条件などの条件を適宜決
めることにより行うことができる。また、上記平均粒径
の他の調整方法としては、異なる平均粒径の(a)成分
を少なくとも2種ブレンドする方法でもよい。
【0010】ゴム質重合体のゲル分率は、好ましくは4
0〜98重量%、さらに好ましくは50〜95重量%、
特に好ましくは60〜90重量%である。40重量%未
満であると、成形品表面の光沢が劣る。一方、98重量
%を超えると、耐衝撃性が劣る。なお、ゴム質重合体の
ゲル分率(トルエン不溶分)は、ゴム質重合体1gをト
ルエン100ml中に加え、48時間室温で放置したの
ち、100メッシュ金網でろ過し、分散したろ液からト
ルエンを除去、乾燥してトルエン可溶分(g)を求め、
次式により算出できる。 トルエン不溶分(%)=〔1(g)−トルエン可溶分
(g)〕×100 上記ゲル分率の調整は、上記平均粒径の調整と同様に行
うことができる。
【0011】上記(A)ゴム強化熱可塑性樹脂中のゴム
質重合体(a)の含有量は、8〜20重量%、好ましく
は8〜18重量%、さらに好ましくは10〜15重量%
である。(A)成分中のゴム質重合体の配合量が8重量
%未満では、耐衝撃強度が低下し、一方、20重量%を
超える場合は、流動性、剛性が低下し、燃焼性評価(難
燃性)も低下する。
【0012】(A)成分に用いられる単量体成分(b)
は、芳香族ビニル化合物およびシアン化ビニル化合物を
含むものである。(A)成分に用いられる芳香族ビニル
化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−
メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチ
レン、ビニルトルエン、メチル−α−メチルスチレン、
ジビニルベンゼンなどが挙げられ、特にスチレン、α−
メチルスチレンが好ましい。単量体成分中に、α−メチ
ルスチレンを10〜50重量%、好ましくは20〜30
重量%用いると、本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物に
耐熱性を付与することができる。
【0013】(A)成分中の芳香族ビニル化合物の使用
量は、単量体全成分中に好ましくは40〜92重量%、
さらに好ましくは50〜80重量%、特に好ましくは5
0〜75重量%である。芳香族ビニル化合物の使用量
が、単量体全成分中に40重量%未満であると、流動
性、熱安定性に劣る。一方、92重量%を超えると、剛
性、耐薬品性が低下する。
【0014】(A)成分中に用いられるシアン化ビニル
化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ルなどが挙げられ、アクリロニトリルが好ましい。
(A)成分中のシアン化ビニル化合物の使用量は、単量
体全成分中に好ましくは5〜45重量%、さらに好まし
くは5〜40重量%、特に好ましくは10〜40重量%
である。シアン化ビニル化合物の使用量が、単量体全成
分中に5重量%未満であると、剛性、耐薬品性が低下す
る。一方、45重量%を超えると、熱安定性、流動性が
低下する。
【0015】上記(A)成分には、さらに必要に応じて
共重合可能なその他の単量体成分を使用することができ
る。その他の単量体成分としては、例えば、不飽和酸無
水物、不飽和酸、不飽和ジカルボン酸のイミド化合物な
どが挙げられる。不飽和酸無水物としては、無水マレイ
ン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などが挙げら
れ、無水マレイン酸が好ましい。不飽和酸としては、ア
クリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。不飽和ジカ
ルボン酸のイミド化合物としては、マレイミド、N−メ
チルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニル
マレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、
N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−シク
ロヘキシルマレイミドなどが挙げられ、N−フェニルマ
レイミドが好ましい。上記(A)成分に使用される単量
体成分は、単独であるいは2種以上混合して用いられ
る。
【0016】さらに、上記(A)成分には、必要に応じ
て、他の共重合可能な単量体として、官能基含有ビニル
単量体を使用することもできる。官能基含有ビニル単量
体としては、具体例として、グリシジルアクリレート、
グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル
などのエポキシ基含有不飽和化合物;3−ヒドロキシ−
1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス−4
−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ
−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロ
ペン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロ
キシエチルメタクリレート、ヒドロキシスチレンなどの
水酸基含有不飽和化合物;アクリルアミド、メタクリル
アミドなどの不飽和カルボン酸アミド;アクリルアミ
ン、メタクリル酸アミノメチル、メタクリル酸アミノエ
ーテル、メタクリル酸アミノプロピル、アミノスチレン
などのアミノ基含有不飽和化合物;アクリル酸、メタク
リル酸などの不飽和酸;ビニルオキサゾリンなどのオキ
サゾリン基含有不飽和化合物などが挙げられる。上記官
能基含有ビニル単量体は、単独であるいは2種以上混合
して用いられる。これらの官能基含有ビニル単量体を共
重合することで、他の樹脂を配合した場合に、上記樹脂
との界面密着(相溶性)を高めることができる。上記そ
の他の単量体成分の使用量は、単量体全成分中に、好ま
しくは0〜40重量%、さらに好ましくは0〜30重量
%である。
【0017】また、本発明の(A)ゴム強化熱可塑性樹
脂中のアセトン可溶分の極限粘度〔η〕(30℃、メチ
ルエチルケトン中で測定)は、好ましくは0.2〜1.
2dl/g、さらに好ましくは0.2〜1.0dl/
g、特に好ましくは0.3〜1.0dl/gである。極
限粘度〔η〕が上記範囲内であると、耐衝撃性、耐熱
性、難燃性に優れた本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物
が得られる。また、本発明の(A)ゴム強化熱可塑性樹
脂中のアセトン可溶分のゲルパーミエーションクロマト
グラフィー〔GPC、溶媒;THF(テトラヒドロフラ
ン)〕によるMw/Mn(ここで、Mwはポリスチレン
換算の重量平均分子量、Mnはポリスチレン換算の数平
均分子量を示す)は、好ましくは2〜4、さらに好まし
くは2〜3である。Mw/Mnがこの範囲にあると、成
形加工時の耐衝撃性のバランスに優れる。
【0018】本発明のグラフト共重合体(A1)は、ゴ
ム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物およびシア
ン化ビニル化合物を主成分とする単量体成分を、好まし
くは乳化重合、懸濁重合などでラジカルグラフト重合を
行い、製造することができる。この際、乳化重合には、
重合開始剤、連鎖移動剤(分子量調節剤)、乳化剤、水
などが用いられる。なお、グラフト共重合体(A1)を
製造するのに用いるゴム質重合体および単量体成分は、
ゴム質重合体全量の存在下に、単量体成分を一括添加し
て重合してもよく、分割もしくは連続添加して重合して
もよい。また、これらを組み合わせた方法で、重合して
もよい。さらに、ゴム質重合体の全量または一部を、重
合途中で添加して重合してもよい。
【0019】重合開始剤としては、クメンハイドロパー
オキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキ
サイド、パラメンタンハイドロパーオキサイドなどで代
表される有機ハイドロパーオキサイド類と含糖ピロリン
酸処方、スルホキシレート処方などで代表される還元剤
との組み合わせによるレドックス系、あるいは過硫酸カ
リウムなどの過硫酸塩、ベンゾイルパーオキサイド(B
PO)、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオ
キシラウレイト、t−ブチルパーオキシモノカーボネー
トなどの過酸化物が使用される。さらに、重合開始剤
は、重合系に一括または連続的に添加することができ
る。重合開始剤の使用量は、単量体成分に対し、通常、
0.1〜1.5重量%、好ましくは0.2〜0.7重量
%である。
【0020】連鎖移動剤は、公知のものが使用できる。
具体的には、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメル
カプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキシルメ
ルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テト
ラデシルメルカプタン、t−テトラデシルメルカプタン
などのメルカプタン類、ターピノーレン、α−メチルス
チレンのダイマーなどが挙げられる。これら連鎖移動剤
は、単独でも2種以上を組み合わせても使用することが
できる。連鎖移動剤の使用量は、単量体成分に対して、
通常、0.05〜2.0重量%用いられる。
【0021】乳化重合の場合に使用する乳化剤は、公知
のものが使用できる。具体的には、高級アルコールの硫
酸エステル、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムな
どのアルキルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナト
リウムなどの脂肪族スルホン酸塩、高級脂肪族カルボン
酸塩、リン酸系などのアニオン性界面活性剤、ポリエチ
レングリコールのアルキルエステル型、アルキルエーテ
ル型などのノニオン系界面活性剤が挙げられる。これら
は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混
合して用いることもできる。乳化剤の使用量は、通常、
単量体成分に対して、通常、0.3〜5.0重量%であ
る。
【0022】グラフト共重合体(A1)を乳化重合によ
り製造する場合、通常、凝固剤により凝固して得られた
粉末を水洗後、乾燥することによって精製される。この
凝固剤としては、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、
塩化マグネシウム、塩化ナトリウムなどの無機塩や、硫
酸、塩酸などの酸を使用することができる。
【0023】なお、本発明の(A)ゴム強化熱可塑性樹
脂は、上記グラフト共重合体(A1)でもよく、グラフ
ト共重合体(A1)に、単量体成分(b)の共重合体
(A2)を配合したものでもよい。ここで、共重合体
(A2)の単量体成分は、上記グラフト重合に使用され
る単量体成分と同一の組成であっても、異なっていても
よいが、芳香族ビニル化合物およびシアン化ビニル化合
物を含むものである。また、上記共重合体(A2)は、
幾つかの共重合体成分の組み合わせであってもよい。上
記共重合体(A2)は、例えば、懸濁重合、バルク重合
などで重合して得ることができる。上記共重合体(A
2)の極限粘度〔η〕(30℃、メチルエチルケトン中
で測定)は、好ましくは0.2〜1.0dl/g、さら
に好ましくは0.3〜1.0dl/g、特に好ましくは
0.3〜0.8dl/gである。極限粘度〔η〕が上記
範囲内であると、耐衝撃性、耐熱性、難燃性に優れた本
発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物が得られる。
【0024】上記(A)ゴム強化熱可塑性樹脂中のグラ
フト共重合体(A1)のグラフト率は、20%以上、好
ましくは30〜120%、特に好ましくは40〜120
%である。ここで、グラフト率(%)は、ゴム質重合体
にグラフトした単量体成分の割合であり、次式により求
められる値である。 グラフト率(%)=100×(T−S)/S 〔ただし、Tはゴム強化熱可塑性樹脂1gをアセトン2
0mlに投入し、振とう機で、常温、2時間振とうし、
遠心分離機(回転数23,000rpm)で60分間遠
心分離し、不溶分と可溶分とを分離して得られる不溶分
重量、Sはゴム強化熱可塑性樹脂1g中のゴム質重合体
の重量を表す。〕 グラフト率が20%未満では、得られる難燃性熱可塑性
樹脂組成物の耐衝撃強度が劣る。上記グラフト率(%)
は、グラフト共重合体(A1)を重合するときの、重合
開始剤、連鎖移動剤、乳化剤、溶剤などの種類や量、さ
らに重合時間、重合温度などを変えることにより、容易
に制御することができる。
【0025】代表的な(A)ゴム強化熱可塑性樹脂とし
ては、下記のような組成が挙げられるが、本発明の権利
範囲は、その請求範囲を越えないかぎり、下記の例示に
何ら限定されるものではない。 アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂/アク
リロニトリル−スチレン樹脂 アクリロニトリル−エチレンプロピレン−スチレン樹
脂/アクリロニトリル−スチレン樹脂
【0026】次に、本発明の(B)リン系難燃剤は、上
記一般式(I)で表される縮合リン酸エステルおよび/
またはホスファゼン化合物である。ここで、一般式
(I)で表される縮合リン酸エステルは、1種類の化合
物として、または2種類以上の異なる縮合リン酸エステ
ルの混合物としてのいずれの形態でも使用することがで
きる。上記R1 〜R4 中のフェニル基は、その芳香族環
の水素原子がアルキル基などにより置換されていてもよ
い。また、上記Xは、ジヒドロキシ化合物であるレゾル
シノールまたはビスフェノールAから誘導される基であ
る。本発明の縮合リン酸エステルは、それ自体公知であ
る。本発明において、上記縮合リン酸エステルが混合物
の場合は、nの値は、縮合リン酸エステルの混合物中の
平均値(平均重合度)を表し、平均重合度nは0.5〜
1.2、好ましくは0.7〜1.2、さらに好ましくは
0.9〜1.1である。平均重合度nが0.5未満の場
合には、耐熱性が低下し、成形品のシルバー不良など外
観不良を発生しやすい。一方、平均重合度nが1.2を
超える縮合リン酸エステルは、製造が困難であるため高
価格であり経済的に利用し難い。
【0027】一方、本発明に用いられるホスファゼン化
合物とは、例えば、"Studies in Inorganic Chemistry
6 Phosphorus (Third Edition)" (ELSEVIER)に記載のあ
る、下記一般式(II)で表される直鎖状ホスファゼンお
よび/または下記一般式(III)で表される環状ホスファ
ゼンが挙げられる。
【0028】
【化3】
【0029】
【化4】
【0030】〔ただし、上記式(II)および(III)にお
いて、nは0〜15、好ましくは1〜10の整数、Rは
アルキル基、アリル基、アルコキシ基、アリロキシ基、
アミノ基、ヒドロキシ基から選ばれる任意の官能基を示
す。上記アルコキシ基、アリロキシ基はアルキル基、ア
リル基、アミノ基、ヒドロキシ基などで修飾されていて
も良い。また、アミノ基はアルキル基、アリル基などで
修飾されていても良い。〕 本発明で用いられるホスファゼン化合物の具体例として
は、例えばプロポキシホスファゼン、フェノキシホスフ
ァゼン、メチルフェノキシホスファゼン、アミノホスフ
ァゼン、フルオロアルキルホスファゼンなどが挙げられ
る。特に、その合成方法および入手容易性などからみ
て、フェノキシホスファゼンが好ましい。これらは1種
または2種以上の混合物であっても良いし、環状と直鎖
状の混合物であっても良い。また、本発明に用いられる
ホスファゼン化合物は、同一分子内のRがすべて同種の
官能基であっても良いし、2種類以上の異なった官能基
であっても良い。このような混合置換ホスファゼンの具
体例としては、分子内の一部をフェノキシ基で置換し、
その後にプロポキシ基で置換したホスファゼン、すなわ
ち、フェノキシプロポキシホスファゼンなどがあげられ
る。市販のホスファゼンは一般にクロロホスファゼンを
アルコールやフェノールなどで置換することにより合成
される。
【0031】本発明の(B)成分は、上記一般式(I)
で表される縮合リン酸エステルまたはホスファゼン化合
物を1種単独で使用することも、あるいは上記縮合リン
酸エステルおよびホスファゼン化合物を併用することも
できる。本発明の(B)成分の配合量は、(A)ゴム強
化熱可塑性樹脂100重量部に対し、5〜20重量部、
好ましくは5〜18重量部、さらに好ましくは5〜15
重量部である。5重量部未満では難燃性が不充分であ
り、一方、20重量部を超えると、耐熱性が低下する。
【0032】本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物中の2
50℃条件におけるカールフィッシャー法で測定される
水分含有量は、0.5重量%以下、好ましくは0.4重
量%以下、さらに好ましくは0.3重量%以下、特に好
ましくは0.2重量%以下である。水分が0.5重量%
を超えると、本発明の目的とずる耐熱変色性が得られな
い。水分含有量を調節する方法としては、例えば、本発
明のグラフト共重合体(A1)、共重合体(A2)の製
造時の乾燥条件、ペレット化工程における水分除去に関
する条件などを適宜選択することで調節できる。上記ペ
レット化は、例えば、バンバリーミキサー、押し出し機
により混練りし、ペレット化される。本発明の難燃性熱
可塑性樹脂組成物は、各種押し出し機、バンバリーミキ
サーなどで混練りされ、ペレット化される場合、その混
練り工程で、例えば、押し出し機の場合、スクリューの
形状、ベント口の数、ベント圧、シリンダーの温度、ス
クリューの回転数などを適宜選択することで、水分含有
量を調節できる。
【0033】本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物には、
必要に応じて、ガラス繊維、炭素繊維、ワラストナイ
ト、タルク、マイカ、カオリン、ガラスビーズ、ガラス
フレーク、ミルドファイバー、酸化亜鉛ウィスカー、チ
タン酸カリウムウィスカーなどの充填材を、1種単独で
または2種以上併用することができる。これらの充填材
を配合することで、本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物
に剛性を付与することができる。また、タルクなどを配
合することで、本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物に艶
消し性を付与することができる。上記ガラス繊維、炭素
繊維の好ましい形状としては、繊維径が6〜20μm、
繊維長が30μm以上である。また、本発明の難燃性熱
可塑性樹脂組成物には、アンチモン化合物などの難燃助
剤、公知のカップリング剤、抗菌剤、防カビ剤、酸化防
止剤、耐候(耐光)剤、可塑剤、着色剤(顔料、染料な
ど)、滑剤、帯電防止剤、シリコーンオイルなどの添加
物を、要求される性能を損なわない範囲で配合すること
ができる。
【0034】さらに、本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成
物には、要求される性能に応じて、他の(共)重合体を
配合することができる。ここで、他の重合体としては、
ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リアミド、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエーテル
スルホン、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、
ポリフッ化ビニリデン、スチレン−酢酸ビニル共重合
体、ポリアミドエラストマー、ポリアミドイミドエラス
トマー、ポリエステルエラストマー、フェノール樹脂、
エポキシ樹脂、ノボラック樹脂などが挙げられる。
【0035】本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、各
種押し出し機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロー
ル、フィーダールーダーなどを用い、各成分を混練りす
ることにより得られる。好ましい製造方法は、押し出し
機、バンバリーミキサーを用いる方法である。また、各
成分を混練りするに際しては、各成分を一括して混練り
してもよく、数回に分けて添加混練りしてもよい。混練
りは、押し出し機で多段添加式で混練りしてもよく、ま
たバンバリーミキサー、ニーダーなどで混練りし、その
後、押し出し機でペレット化することもできる。本発明
の水分含有量の調節は、上記混練り工程で行うことが好
ましい。
【0036】このようにして得られる本発明の難燃性熱
可塑性樹脂組成物は、射出成形、シート押し出し、真空
成形、異形成形、発泡成形、インジェクションプレス、
プレス成形、ブロー成形などによって、各種成形品に成
形することができる。なお、上記射出成形において、ピ
ンポイントゲートを好適に使用することができる。
【0037】上記成形法によって得られる各種成形品
は、耐衝撃性、耐熱性、難燃性に優れており、OA・家
電分野、電気・電子・通信分野、コンピュータ分野、雑
貨分野、サニタリー分野、車両分野などで使用すること
ができ、特にピンポイントゲートを使用して射出成形さ
れた成形品は、電子部品内蔵の機器のハウジングに好適
に使用することができる。
【0038】
【実施例】以下、実施例を挙げ本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の
実施例に何等制約されるものではない。なお、実施例
中、部および%は特に断らない限り重量基準である。ま
た、実施例中の各種評価は、次のようにして測定したも
のである。
【0039】ゴム質重合体の平均粒径 ラテックス中の分散粒子の粒子径を光散乱法で測定し
た。測定機器は、大塚電子(株)製、レーザー粒径解析
システムLPA−3100であり、70回積算で、キュ
ムラント法を用いて、平均粒径を測定した。なお、ゴム
強化熱可塑性樹脂中の分散ゴム質重合体粒子の平均粒径
は、ラテックス中のゴム質重合体粒子の平均粒径を示す
ことが確認された。
【0040】ゲル分率(トルエン不溶分) 本文中に記載水分含有量 250℃条件で、カールフィッシャー法により水分含有
量を測定した。グラフト率 本文中に記載極限粘度〔η 〕 共重合体(A2)をメチルエチルケトンに溶解させ、濃
度の異なるものを5点作った。ウベローデ粘度管を用
い、30℃で各濃度の還元粘度を測定した結果から、極
限粘度〔η〕を求めた。単位はdl/gである。
【0041】流動性(メルトフローレート) JIS K7210に準じて測定した。測定温度は22
0℃、荷重は98N、単位はg/10分である。耐衝撃性(アイゾット衝撃強度 ) (株)日本製鋼所製の射出成形機J100E−C5を用
い、JIS K7110の2号型試験片を成形し、アイ
ゾット衝撃強度を測定した。単位は、J/mである。
【0042】熱変形温度(HDT) 幅6.4mm×長さ128mm×厚み12.8mmの試
験片を使用し、JISK7207に準拠して、曲げ応力
18.5kgf/cm2 で測定した。燃焼性評価(難燃性) UL94規格に定められた方法により、長さ5″×幅1
/2″×厚み1/12″の試験片について垂直燃焼試験
を行った。評価結果としては、「V−2」は垂直試験結
果でV−2合格を、「B」は燃焼(burning)で
V−2不適合を表す。耐熱変色性評価 (1)試験片の成形条件 ペレット状の難燃性熱可塑性樹脂組成物を成形材料とし
て、3.5オンス射出成形機を用い、下記の条件,
で、50×80×2.5mm厚みの試験片を得た。 試験片成形条件;シリンダー温度200℃、射出・保
在時間10秒、冷却時間20秒、その他20秒からなる
50秒サイクルで15ショット連続成形を行った。 試験片成形条件;シリンダー温度200℃で、成形材
料をシリンダー内に最大量くいこませ、15分間滞留さ
せ、射出・保在時間10秒、冷却時間20秒で、スクリ
ューを回転させずに、5ショット連続成形を行った。 (2)色調差(△E)の測定条件 上記条件の10ショット目、条件の2ショット目の
成形品を、色調差測定用の試験片として使用した。上記
条件と条件の試験片の色調差(△E)を、須賀試験
機(株)製、分光測色計を用いて求めた。△E値が小さ
い程、耐熱変色性に優れる。
【0043】参考例1〔ゴム質重合体(a)の調製〕 攪拌機付き反応器に、1,3−ブタジエン100部、水
60部、ロジン酸カリウム2.4部、リン酸カリウム
0.5部、水酸化カリウム0.1部、連鎖移動剤として
t−ドデシルメルカプタンを0.3部、過硫酸カリウム
0.3部を加えて、60〜70℃で30時間バッチ重合
した。重合添加率は、95%であった。この重合系に、
重合開始剤としてN,N−ジエチルヒドロキシルアミン
を0.2部加え、反応を停止させた。その後、減圧で
1,3−ブタジエンを除去し、ポリブタジエンゴムラテ
ックスを得た(固形分56.2%)。得られたポリブタ
ジエンゴムのゲル分率は75%、平均粒径は300nm
であった。
【0044】 参考例2〔グラフト共重合体(A1−1)の調製〕 滴下ビン、コンデンサ、窒素導入口および攪拌機を備え
たセパラブルフラスコに、参考例1で得られたゴム質重
合体(a)を固形分換算で50部、乳化剤としてロジン
酸カリウム0.5部、および水100部を混合し、スチ
レン9部、アクリロニトリル3部、分子量調節剤として
t−ドデシルメルカプタン0.5部、重合開始剤として
クメンハイドロパーオキサイド0.2部を加えた。70
℃まで昇温後、クメンハイドロパーオキサイド0.2
部、ピロリン酸ナトリウム0.2部、ブドウ糖0.25
部、硫酸第一鉄0.01部を加え、重合を行った。1時
間後、残りのスチレン28部、アクリロニトリル10
部、t−ドデシルメルカプタン0.3部、水40部、ク
メンハイドロパーオキサイド0.15部の混合物を4時
間にわたって滴下した。滴下終了後、クメンハイドロパ
ーオキサイド0.1部、ピロリン酸ナトリウム0.1
部、ブドウ糖0.13部、硫酸第一鉄0.005部を添
加し、さらに1時間重合反応を行った。重合転化率は、
97.5%であった。得られた重合体を硫酸で凝固さ
せ、水酸化ナトリウムで中和し、この凝固物を良く水洗
したのち、乾燥させ、粉末状のグラフト共重合体(A1
−1)を得た。グラフト率は、50%であった。
【0045】 参考例3〔グラフト共重合体(A1−2)の調製〕 参考例2において、混合物の滴下時間4時間を1時間に
短縮し、その他は参考例2と同一の条件で、グラフト共
重合体(A1−2)を得た。グラフト率は、15%であ
った。 参考例4〔共重合体(A2)成分の調製〕 スチレン70部とアクリロニトリル30部を溶液重合
し、溶剤を除去したのち、下記実施例1に示すペレット
化条件と同一の条件でペレット化を行い共重合体(A
2−1)を得た。極限粘度〔η〕は、0.60dl/g
であった。
【0046】参考例5(リン系難燃剤の調製) (B)成分として下記に示す縮合リン酸エステル(B−
1〜4)およびホスファゼン化合物(B−5)を使用し
た。 (B−1):上記一般式(I)のR1 〜R4 がフェニル
基、XがビスフェノールA残基、nが1.1の縮合リン
酸エステル。 (B−2):上記一般式(I)のR1 〜R4 が2,6−
キシレニル基、Xがレゾルシノール残基、nが1.0の
縮合リン酸エステル。 (B−3):上記一般式(I)のR1 〜R4 がフェニル
基、XがビスフェノールA残基、nが0.6の縮合リン
酸エステル。 (B−4):上記一般式(I)のR1 〜R4 がフェニル
基、XがビスフェノールA残基、nが0.3の縮合リン
酸エステル。 (B−5):下記化学式(IV)で示されるフェノキシホ
スファゼン(ただし、n=1の化合物とn=2の化合物
の混合物)
【0047】
【化5】
【0048】参考例6〔その他(C)成分の調製〕 その他(C)成分として花王(株)製のエチレンビスス
テアリルアミドを使用した。
【0049】実施例1〜5、比較例1〜5 上記(A)〜(C)成分を、表1〜2に示す配合割合で
ヘンシェルミキサーにより3分間混合した後、50mm
ベント付き押し出し機を用いて、下記の条件でペレット
化を行った。 ペレット化条件;シリンダー設定温度:180〜220℃ ベント口:2箇所 ベント圧:−500mmHg(2箇所とも) ペレット化条件;シリンダー設定温度:180〜220℃ ベント口:2箇所 ベント圧:−600mmHg(2箇所とも) ペレット化条件;シリンダー設定温度:180〜220℃ ベント口:1箇所 ベント圧:−500mmHg
【0050】得られたペレットを、(株)日本製鋼所製
の射出成形機J100E−C5を用い、シリンダー温度
200℃、金型温度50℃で射出成形し、各種評価用試
験片を得た(ただし、耐熱変色性評価用試験片は除
く)。この試験片を用い、上記評価法で評価した。評価
結果を表1〜2に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】実施例1〜5より明らかなように、本発明
の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、いずれも流動性、耐衝
撃強度、耐熱性、難燃性、耐熱変色性に優れている。一
方、比較例1は、樹脂組成物中の水分含有量が本発明の
範囲を超えた例であり、耐熱変色性が劣る。比較例2
は、(A)成分中の(A1)成分のグラフト率が本発明
の範囲未満の例であり、耐衝撃性、難燃性、耐熱変色性
が劣る。比較例3は、縮合リン酸エステルのnが本発明
の範囲未満の例であり、耐熱性、難燃性が劣る。比較例
4は、(A)成分中のゴム質重合体含有量が本発明の範
囲未満の例であり、耐衝撃性が劣る。比較例5は、
(A)成分中のゴム質重合体含有量が本発明の範囲を超
えた例であり、流動性、耐衝撃性、難燃性、耐熱変色性
が劣る。
【0054】
【発明の効果】本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、
非ハロゲン系であり、耐衝撃性、耐熱性、難燃性に優
れ、耐熱変色性に優れることから、長時間の連続成形時
の成形機のシリンダー、ダイ部に少量滞留する滞留樹脂
の耐熱変色性が改良されるので、熱変色滞留樹脂による
成形品の色調悪化の原因が解消され、成形品の長時間の
連続成形ができ、生産性に優れた成形材料である。そし
て、その成形品は、OA・家電分野、電気・電子・通信
分野、コンピュータ分野、雑貨分野、サニタリー分野、
車両分野などで使用することができ、特にピンポイント
ゲートを使用して射出成形された成形品は、電子部品内
蔵の機器のハウジングに好適に使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 BC012 BC042 BC062 BC082 BC092 BG102 BN141 BN151 BN161 EW046 EW156 FD136 GC00 GQ00

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(A)ゴム強化熱可塑性樹脂100
    重量部に対し、 (B)下記リン系難燃剤5〜20重量部を含有し、25
    0℃条件のカールフィッシャー法により測定した水分含
    有量が0.5重量%以下である難燃性熱可塑性樹脂組成
    物。 (A)ゴム質重合体(a)の存在下に、芳香族ビニル化
    合物、シアン化ビニル化合物、および必要に応じて他の
    共重合可能な単量体からなる単量体成分(b)をグラフ
    ト重合して得られるグラフト共重合体(A1)、または
    グラフト共重合体(A1)および単量体成分(b)の共
    重合体(A2)とからなり、グラフト率が20%以上、
    かつゴム含有量が8〜20重量%であるゴム強化熱可塑
    性樹脂。 (B)下記一般式(I)で表される縮合リン酸エステル
    および/またはホスファゼン化合物からなるリン系難燃
    剤。 【化1】 (ただし、R1 ,R2 ,R3 およびR4 は、それぞれ相
    互に独立して選ばれるフェニル基またはキシレニル基、
    Xは2価のレゾルシノール残基またはビスフェノールA
    残基を表し、nは0.5〜1.2である。)
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